特許第6188195号(P6188195)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188195
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】トルクコンバータのロックアップ装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 45/02 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   F16H45/02 Y
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-99812(P2013-99812)
(22)【出願日】2013年5月10日
(65)【公開番号】特開2014-219074(P2014-219074A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2015年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】河原 裕樹
【審査官】 岩本 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−252960(JP,A)
【文献】 特開2008−196646(JP,A)
【文献】 特開2009−019640(JP,A)
【文献】 米国特許第05080215(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 45/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータのタービンとの間に配置され、前記フロントカバーからのトルクを前記タービンに機械的に伝達するためのロックアップ装置であって、
軸方向に移動可能なピストンを有し、前記フロントカバーからのトルクを伝達又は遮断するクラッチ部と、
前記クラッチ部からトルクが入力される入力回転部材と、
前記入力回転部材と相対回転自在であり、前記タービンに接続される出力回転部材と、
前記入力回転部材と前記出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結し、同一円周上にのみ配置される複数の弾性部材と、
前記入力回転部材及び前記出力回転部材と相対回転自在であり、前記複数の弾性部材のうちの少なくとも2つを直列的に作用させるための中間部材と、
を備え、
前記中間部材は、外周環状部と、前記外周環状部の内周側に配置される内周環状部と、前記外周環状部と前記内周環状部とを径方向に連結するとともに円周方向において所定間隔で配置される複数の連結部と、を有し、
前記中間部材における前記外周環状部、前記内周環状部、及び円周方向において隣り合う2つの前記連結部によって画定される収容孔内において、少なくとも2つの前記弾性部材が円周方向に直列的に配置される、
ロックアップ装置。
【請求項2】
軸方向において、前記入力回転部材、前記中間部材、前記出力回転部材は、この順で配置され、
前記各弾性部材は、前記入力回転部材と前記出力回転部材との間に配置される、請求項1に記載のロックアップ装置。
【請求項3】
前記中間部材の収容孔は、円周方向の中間部において径方向の長さが前記弾性部材の直径よりも大きく、円周方向の両端部において円周方向の端面に近づくほど径方向の長さが小さくなる、請求項1又は2に記載のロックアップ装置。
【請求項4】
軸方向において、前記入力回転部材、前記中間部材、及び前記出力回転部材は、この順で配置され、
前記入力回転部材及び前記出力回転部材の少なくとも一方は、前記中間部材側に突出するとともに前記中間部材の前記内周環状部の内周面又は前記外周環状部の外周面に当接する突出部を有する、請求項1から3のいずれかに記載のロックアップ装置。
【請求項5】
前記中間部材の内周環状部は、前記突出部を収容するよう外周側に凹む凹部を有し、
前記凹部は、前記中間部材が前記入力回転部材又は前記出力回転部材に対して相対的に回転したときに、円周方向側面が前記突出部に当接する、請求項4に記載のロックアップ装置。
【請求項6】
軸方向において、前記入力回転部材、前記中間部材、及び前記出力回転部材は、この順で配置されており、
前記入力回転部材及び前記出力回転部材は、前記入力回転部材と前記出力回転部材との間で前記弾性部材を収容するための収容部の外周側の面を画定する外周側壁部をそれぞれ有し、
前記各外周側壁部の内周側の面と前記外周環状部の内周側の面とは、軸方向において前記弾性部材の外周面に沿う円弧を画定する、請求項1から5のいずれかに記載のロックアップ装置。
【請求項7】
軸方向において、前記入力回転部材、前記中間部材、及び前記出力回転部材は、この順で配置されており、
前記入力回転部材及び前記出力回転部材は、前記入力回転部材と前記出力回転部材との間で前記弾性部材を収容するための収容部の外周側の面を画定する外周側壁部をそれぞれ有し、
前記入力回転部材における前記外周側壁部の内周側の面と、前記出力回転部材における前記外周側壁部の内周側の面とは、軸方向において前記弾性部材の外周面に沿う円弧を画定し、
前記外周環状部の内周側の面は、前記円弧よりも内周側に配置される、請求項1から5のいずれかに記載のロックアップ装置。
【請求項8】
前記出力回転部材の外周縁よりも外周側において前記入力回転部材から径方向に突出するように装着されたリベットをさらに備え、
前記出力回転部材は、前記リベットの頭部及び前記入力回転部材によって軸方向への移動が規制される、請求項1から7のいずれかに記載のロックアップ装置。
【請求項9】
前記リベットは、円周方向において等間隔に配置される、請求項8に記載のロックアップ装置。
【請求項10】
エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータのタービンとの間に配置され、前記フロントカバーからのトルクを前記タービンに機械的に伝達するためのロックアップ装置であって、
軸方向に移動可能なピストンを有し、前記フロントカバーからのトルクを伝達又は遮断するクラッチ部と、
前記クラッチ部からトルクが入力される入力回転部材と、
前記入力回転部材と相対回転自在であり、前記タービンに接続される出力回転部材と、
前記入力回転部材と前記出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結するための複数の弾性部材と、
前記入力回転部材及び前記出力回転部材と相対回転自在であり、前記複数の弾性部材のうちの少なくとも2つを直列的に作用させるための中間部材と、
を備え、
前記中間部材は、外周環状部と、前記外周環状部の内周側に配置される内周環状部と、前記外周環状部と前記内周環状部とを径方向に連結するとともに円周方向において所定間隔で配置される複数の連結部と、を有し、
前記中間部材における前記外周環状部、前記内周環状部、及び円周方向において隣り合う2つの前記連結部によって画定される収容孔内において、少なくとも2つの前記弾性部材が円周方向に直列的に配置され、
軸方向において、前記入力回転部材、前記中間部材、前記出力回転部材は、この順で配置され、
前記各弾性部材は、前記入力回転部材と前記出力回転部材との間に配置される、
ロックアップ装置。
【請求項11】
エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータのタービンとの間に配置され、前記フロントカバーからのトルクを前記タービンに機械的に伝達するためのロックアップ装置であって、
軸方向に移動可能なピストンを有し、前記フロントカバーからのトルクを伝達又は遮断するクラッチ部と、
前記クラッチ部からトルクが入力される入力回転部材と、
前記入力回転部材と相対回転自在であり、前記タービンに接続される出力回転部材と、
前記入力回転部材と前記出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結するための複数の弾性部材と、
前記入力回転部材及び前記出力回転部材と相対回転自在であり、前記複数の弾性部材のうちの少なくとも2つを直列的に作用させるための中間部材と、
を備え、
前記中間部材は、外周環状部と、前記外周環状部の内周側に配置される内周環状部と、前記外周環状部と前記内周環状部とを径方向に連結するとともに円周方向において所定間隔で配置される複数の連結部と、を有し、
前記中間部材における前記外周環状部、前記内周環状部、及び円周方向において隣り合う2つの前記連結部によって画定される収容孔内において、少なくとも2つの前記弾性部材が円周方向に直列的に配置され、
軸方向において、前記入力回転部材、前記中間部材、及び前記出力回転部材は、この順で配置され、
前記入力回転部材及び前記出力回転部材の少なくとも一方は、前記中間部材側に突出するとともに前記中間部材の前記内周環状部の内周面又は前記外周環状部の外周面に当接する突出部を有する、
ロックアップ装置。
【請求項12】
エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータのタービンとの間に配置され、前記フロントカバーからのトルクを前記タービンに機械的に伝達するためのロックアップ装置であって、
軸方向に移動可能なピストンを有し、前記フロントカバーからのトルクを伝達又は遮断するクラッチ部と、
前記クラッチ部からトルクが入力される入力回転部材と、
前記入力回転部材と相対回転自在であり、前記タービンに接続される出力回転部材と、
前記入力回転部材と前記出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結するための複数の弾性部材と、
前記入力回転部材及び前記出力回転部材と相対回転自在であり、前記複数の弾性部材のうちの少なくとも2つを直列的に作用させるための中間部材と、
を備え、
前記中間部材は、外周環状部と、前記外周環状部の内周側に配置される内周環状部と、前記外周環状部と前記内周環状部とを径方向に連結するとともに円周方向において所定間隔で配置される複数の連結部と、を有し、
前記中間部材における前記外周環状部、前記内周環状部、及び円周方向において隣り合う2つの前記連結部によって画定される収容孔内において、少なくとも2つの前記弾性部材が円周方向に直列的に配置され、
軸方向において、前記入力回転部材、前記中間部材、及び前記出力回転部材は、この順で配置されており、
前記入力回転部材及び前記出力回転部材は、前記入力回転部材と前記出力回転部材との間で前記弾性部材を収容するための収容部の外周側の面を画定する外周側壁部をそれぞれ有し、
前記各外周側壁部の内周側の面と前記外周環状部の内周側の面とは、軸方向において前記弾性部材の外周面に沿う円弧を画定する、
ロックアップ装置。
【請求項13】
エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータのタービンとの間に配置され、前記フロントカバーからのトルクを前記タービンに機械的に伝達するためのロックアップ装置であって、
軸方向に移動可能なピストンを有し、前記フロントカバーからのトルクを伝達又は遮断するクラッチ部と、
前記クラッチ部からトルクが入力される入力回転部材と、
前記入力回転部材と相対回転自在であり、前記タービンに接続される出力回転部材と、
前記入力回転部材と前記出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結するための複数の弾性部材と、
前記入力回転部材及び前記出力回転部材と相対回転自在であり、前記複数の弾性部材のうちの少なくとも2つを直列的に作用させるための中間部材と、
を備え、
前記中間部材は、外周環状部と、前記外周環状部の内周側に配置される内周環状部と、前記外周環状部と前記内周環状部とを径方向に連結するとともに円周方向において所定間隔で配置される複数の連結部と、を有し、
前記中間部材における前記外周環状部、前記内周環状部、及び円周方向において隣り合う2つの前記連結部によって画定される収容孔内において、少なくとも2つの前記弾性部材が円周方向に直列的に配置され、
軸方向において、前記入力回転部材、前記中間部材、及び前記出力回転部材は、この順で配置されており、
前記入力回転部材及び前記出力回転部材は、前記入力回転部材と前記出力回転部材との間で前記弾性部材を収容するための収容部の外周側の面を画定する外周側壁部をそれぞれ有し、
前記入力回転部材における前記外周側壁部の内周側の面と、前記出力回転部材における前記外周側壁部の内周側の面とは、軸方向において前記弾性部材の外周面に沿う円弧を画定し、
前記外周環状部の内周側の面は、前記円弧よりも内周側に配置される、
ロックアップ装置。
【請求項14】
エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータのタービンとの間に配置され、前記フロントカバーからのトルクを前記タービンに機械的に伝達するためのロックアップ装置であって、
軸方向に移動可能なピストンを有し、前記フロントカバーからのトルクを伝達又は遮断するクラッチ部と、
前記クラッチ部からトルクが入力される入力回転部材と、
前記入力回転部材と相対回転自在であり、前記タービンに接続される出力回転部材と、
前記入力回転部材と前記出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結するための複数の弾性部材と、
前記入力回転部材及び前記出力回転部材と相対回転自在であり、前記複数の弾性部材のうちの少なくとも2つを直列的に作用させるための中間部材と、
を備え、
前記中間部材は、外周環状部と、前記外周環状部の内周側に配置される内周環状部と、前記外周環状部と前記内周環状部とを径方向に連結するとともに円周方向において所定間隔で配置される複数の連結部と、を有し、
前記中間部材における前記外周環状部、前記内周環状部、及び円周方向において隣り合う2つの前記連結部によって画定される収容孔内において、少なくとも2つの前記弾性部材が円周方向に直列的に配置され、
前記出力回転部材の外周縁よりも外周側において前記入力回転部材から径方向に突出するように装着されたリベットをさらに備え、
前記出力回転部材は、前記リベットの頭部及び前記入力回転部材によって軸方向への移動が規制される、
ロックアップ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクコンバータのロックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1又は特許文献2に示されるように、トルクコンバータには、トルクをフロントカバーからタービンに直接伝達するためのロックアップ装置が設けられている場合が多い。これらの特許文献に示されたロックアップ装置は、フロントカバーに摩擦連結可能なクラッチ部と、クラッチ部からトルクが伝達される入力プレートと、複数のトーションスプリングを介して入力プレートから伝達されたトルクをタービンに伝達するための出力プレートと、を備えている。
【0003】
このようなロックアップ装置において、振動吸収性能を向上させるためには、トーションスプリングの低剛性化及び広捩じり角度化を実現することが必要である。
【0004】
そこで特許文献3に示されるように、1対のトーションスプリングを中間プレートによって直列に作用させるようにした構成が提案されている。具体的には、特許文献3のロックアップ装置は、1枚の入力プレートと、2枚の出力プレートと、1枚の中間プレートと、を有している。入力プレートは外周部がピストンに連結されている。2枚の出力プレートは、互いに連結されて、タービンハブに固定されている。また、中間プレートは、2枚の出力プレートの間に配置され、入力プレート及び出力プレートに対して相対回転自在である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−122640号公報
【特許文献2】特開2009−250288号公報
【特許文献3】特開2006−118534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3に示されるような従来のロックアップ装置は、中間プレートの強度が十分ではなく、中間プレートが変形してしまうおそれがある。
【0007】
本発明の課題は、大きな捩じり角度を実現するようにしたロックアップ装置において、中間プレートの強度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明のある側面に係るロックアップ装置は、エンジン側の部材に連結されるフロントカバーとトルクコンバータのタービンとの間に配置され、フロントカバーからのトルクをタービンに機械的に伝達する。このロックアップ装置は、クラッチ部、入力回転部材、出力回転部材、複数の弾性部材、及び中間部材を備える。クラッチ部は、軸方向に移動可能なピストンを有し、フロントカバーからのトルクを伝達又は遮断する。入力回転部材は、クラッチ部からトルクが入力される。出力回転部材は、入力回転部材と相対回転自在であり、タービンに接続される。各弾性部材は、入力回転部材と出力回転部材とを回転方向に弾性的に連結する。中間部材は、入力回転部材及び出力回転部材と相対回転自在であり、複数の弾性部材のうちの少なくとも2つを直列的に作用させる。また、中間部材は、外周環状部、内周環状部、及び複数の連結部を有する。内周環状部は、外周環状部の内周側に配置される。各連結部は、外周環状部と内周環状部とを径方向に連結する。また、各連結部は、円周方向において所定間隔で配置される。中間部材は、外周環状部、内周環状部、及び円周方向において隣り合う2つの連結部によって画定される収容孔を有する。この収容孔内において、少なくとも2つの弾性部材が円周方向に直列的に配置される。
【0009】
この構成によれば、中間部材は、外周環状部と内周環状部との2つの環状部を有し、これらを複数の連結部によって連結する構成であるため、中間部材の強度を向上させることができる。
【0010】
(2)好ましくは、軸方向において、入力回転部材、中間部材、出力回転部材は、この順で配置される。そして、各弾性部材は、入力回転部材と出力回転部材との間に配置される。
【0011】
この構成によれば、軸方向において弾性部材を入力回転部材と出力回転部材とによって保持するため、入力回転部材と出力回転部材とをそれぞれ一枚とすることができる。この結果、2枚の入力回転部材を有する従来のロックアップ装置に比べて部品点数を減らすことができる。
【0012】
(3)好ましくは、中間部材の収容孔は、径方向の長さが弾性部材の直径よりも大きい。そして、中間部材の収容孔は、円周方向の中間部において径方向の長さが弾性部材の直径よりも大きく、円周方向の両端部において円周方向の端面に近づくほど径方向の長さが小さくなる。
【0013】
弾性部材は、入力回転部材と出力回転部材との相対的な回転によって圧縮される際に外周側に湾曲する。これに対して、上記構成によれば円周方向の中間部において収容孔の径方向の長さが弾性部材の直径よりも大きいため、弾性部材が収容孔の外周側の面と摺動することを防ぐことができる。この結果、ヒステリシストルクを低下させて低燃費化させることができる。なお、本発明に係るロックアップ装置の中間部材は上述したとおり十分な強度を有するため、中間部材の外周環状部を細くして収容孔の径方向の長さを広げることができる。すなわち、中間部材の外形寸法を大きくすることなく収容孔の径方向の長さを大きくすることができる。また、収容孔は、円周方向の両端部において円周方向の端面に近づくほど径方向の長さが小さくなるため、弾性部材の端部を外周環状部と内周環状部とによって支持することができる。
【0014】
(4)好ましくは、軸方向において、入力回転部材、中間部材、及び出力回転部材は、この順で配置される。そして、入力回転部材及び出力回転部材の少なくとも一方は、中間部材側に突出する突出部を有する。この突出部は、中間部材の内周環状部の内周側の面、又は外周環状部の外周面に当接する。
【0015】
この構成によれば、中間部材が径方向に移動することを防止することによって中間部材を安定して回転させることができ、ひいては中間部材をはじめとした各部材の耐久性を向上させることができる。
【0016】
(5)好ましくは、中間部材の内周環状部は、突出部を収容するよう外周側に凹む凹部を有する。この凹部は、中間部材が入力回転部材又は出力回転部材に対して相対的に回転したときに、円周方向側面が突出部に当接する。
【0017】
この構成によれば、弾性部材が完全に圧縮される前に突出部を凹部の円周方向側面と当接させることができる。この結果、例えば弾性部材がトーションスプリングの場合に、トーションスプリングが完全に圧縮して密着することを防止することができる。
【0018】
(6)好ましくは、軸方向において、入力回転部材、中間部材、及び出力回転部材は、この順で配置されている。そして、入力回転部材及び出力回転部材は、入力回転部材と出力回転部材との間で弾性部材を収容するための収容部の外周側の面を画定する外周側壁部をそれぞれ有する。各外周側壁部の内周側の面と外周環状部の内周側の面とは、軸方向において弾性部材の外周面に沿う円弧を画定する。
【0019】
この構成によれば、遠心力によって弾性部材が各外周側壁部を押圧する際に、この弾性部材による押圧力を、各外周側壁部と外周環状部とに分散させることができる。この結果、各外周側壁部が外周側に変形してしまうことを防ぐことができる。
【0020】
(7)好ましくは、軸方向において、入力回転部材、中間部材、及び出力回転部材は、この順で配置されている。入力回転部材及び出力回転部材は、入力回転部材と出力回転部材との間で弾性部材を収容するための収容部の外周側の面を画定する外周側壁部をそれぞれ有する。入力回転部材における外周側壁部の内周側の面と、出力回転部材における外周側壁部の内周側の面とは、軸方向において前記弾性部材の外周面に沿う円弧を画定する。外周環状部の内周側の面は、円弧よりも内周側に配置される。
【0021】
この構成によれば、遠心力によって弾性部材が各外周側壁部を押圧する際に、この弾性部材による押圧力を、各外周側壁部に比べて外周環状部に大きく作用させることができる。この結果、弾性部材からの押圧力によって各外周側壁部が外周側に変形することを防ぐことができる。
【0022】
(8)好ましくは、ロックアップ装置は、出力回転部材の外周縁よりも外周側において入力回転部材から径方向に突出するように装着されたリベットをさらに備える。出力回転部材は、リベットの頭部及び入力回転部材によって軸方向への移動が規制される。
【0023】
この構成によれば、出力回転部材が軸方向に移動する、すなわち、出力回転部材が軸方向において入力回転部材から離れる方向に移動することを防ぐことができる。
【0024】
(9)好ましくは、リベットは、円周方向において等間隔に配置される。この構成によれば、出力回転部材の軸方向への移動を均一な力で抑えるため、出力回転部材の軸方向の変形を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、大きな捩じり角度を実現するようにしたロックアップ装置において、中間部材の強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】トルクコンバータのロックアップ装置の側面断面図。
図2】ピストンの側面断面図。
図3】ダンパー機構の側面断面図。
図4】出力プレートを取り外した状態におけるダンパー機構の正面図。
図5】ダンパー機構の正面図。
図6】中間プレートの正面図。
図7】ダンパー機構における外周の一部の詳細を示す側面断面図。
図8】変形例1に係るダンパー機構の側面断面図。
図9】変形例2に係るダンパー機構の側面断面図。
図10】変形例3に係る中間プレートの正面図。
図11】変形例7に係るダンパー機構の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るロックアップ装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、トルクコンバータのロックアップ装置1の側面断面図を示す。ここでは、トルクコンバータの構成については、フロントカバー11とタービン120の一部であるタービンハブ12のみを示し、他の構成は省略している。なお、図1の左側にはエンジンが配置され、図1の右側にはトルクコンバータ及びトランスミッションが配置されている。図1に示すO−O線がトルクコンバータ及びロックアップ装置1の回転軸である。以下の説明において「軸方向」とはトルクコンバータ及びロックアップ装置1の回転軸の方向を意味し、図1の左右方向と「軸方向」とは同義である。また、以下の説明において「外周側」とは、トルクコンバータ及びロックアップ装置1の回転軸から離れる側を意味し、「内周側」とは、トルクコンバータ及びロックアップ装置1の回転軸側を意味する。
【0028】
[フロントカバー11及びタービンハブ12]
フロントカバー11は、図示しないフレキシブルプレート等の部材を介してトルクが入力される部材である。フロントカバー11は、円板部111と、円板部111の外周縁からトランスミッション側に向かって延びる筒状部112とを有している。円板部111のトランスミッション側の側面において、外周部には摩擦面113が形成されている。円板部111のエンジン側の側面外周部には、複数のボルト13が溶接により固定されている。このボルト13に螺合するナット(図示せず)により、図示しないフレキシブルプレート等の部材が装着される。また、筒状部112のトランスミッション側の端部には、トルクコンバータを構成するインペラーのインペラーシェル14が溶接により固定されている。
【0029】
タービンハブ12はタービン120の内周部に設けられている。タービンハブ12は、軸方向に延びる筒状部121と、筒状部121から外周に向かって延びるフランジ部122とを有している。タービンハブ12のフランジ部122にはタービンシェル124の内周部が複数のリベット15によって固定されている。また、タービンハブ12の筒状部121の内周部には、トランスミッションの入力シャフトが係合するスプライン孔123が形成されている。
【0030】
[ロックアップ装置1]
ロックアップ装置1は、タービン120とフロントカバー11との間の空間に配置されており、必要に応じて両者を機械的に連結するための機構である。
【0031】
ロックアップ装置1は、主に、ピストン2、入力プレート(入力回転部材)3、出力プレート(出力プレート)4、複数(例えば6つ)のトーションスプリング(弾性部材)5、及び中間プレート(中間部材)6を有している。入力プレート3、出力プレート4、トーションスプリング5、及び中間プレート6によって、ダンパー機構が構成されている。
【0032】
[ピストン2]
図2は、ピストン2の側面断面図である。図2に示すように、ピストン2は、環状の円板部21、内周筒状部22、外周筒状部23を有している。内周筒状部22は、円板部21の内周端部からトランスミッション側に突出して形成されており、タービンハブ12の筒状部121の外周面に軸方向及び回転方向に摺動自在に支持されている。外周筒状部23は、円板部21の外周端部からトランスミッション側に延びて形成されており、円周方向に並ぶ複数の切欠き24を有している。ピストン2の円板部21の外周部には、環状の摩擦部材16が固定されている。このピストン2と摩擦部材16とが、本発明のクラッチ部に相当する。
【0033】
[ダンパー機構]
ダンパー機構のサブアセンブリを図3から図5に示している。図3はダンパー機構の側面断面図、図4及び図5図3の右側から見たダンパー機構の正面図である。なお、図4では、説明の便宜上、出力プレート4の記載を省略している。また、図5では、一部のトーションスプリング5の記載を省略している。
【0034】
図3から図5に示すように、入力プレート3は、環状の円板部31、複数の歯部32、及び複数(例えば3つ)の収容部33を有している。円板部31の外周部には複数(例えば6つ)のリベット7が装着されており、このリベット7がストッパ機構を構成している。
【0035】
複数の歯32は、円板部31の外周部に形成されている。複数の歯32は、円周方向に所定の間隔で形成されており、ピストン2の外周筒状部23に形成された複数の切欠き24に係合している。このような構成により、ピストン2と入力プレート3とは、軸方向に移動自在で、かつ相対回転不能である。
【0036】
収容部33は、トーションスプリング5を収容して保持する部分であり、各収容部33には2個1組のトーションスプリング5が収容されている。また、収容部33の円周方向の両端面333は、内部に収容されたトーションスプリング5の端面に当接可能である。この収容部33は、外周側の面が外周側壁部331によって画定され、内周側の面が内周側壁部332によって画定される。外周側側壁部331及び内周側壁部332は、円板部31からピストン2側に突出しており、軸方向に沿った断面形状が円弧状に形成されている。
【0037】
出力プレート4は、入力プレート3に対して相対的に回転自在であり、入力プレート3に対向してタービン120側に配置されている。出力プレート4は、環状の円板部41、複数(例えば3つ)の突出部42、複数(例えば3つ)の当接部43、及び複数(例えば3つ)の収容部44を有している。
【0038】
円板部41は、内周部において、リベット15を通すための貫通孔411が複数形成されている。貫通孔411は、同一円周上において所定間隔で形成されている。この貫通孔411を通るリベット15によって、出力プレート4は、タービンシェル124とともにタービンハブ12のフランジ部122に固定されている。
【0039】
各突出部42は、円板部41の一部を入力プレート3側に折り曲げて形成されている。各突出部42は、同一円周上において、円周方向に所定間隔をおいて形成されている。この突出部42は軸方向において中間プレート6まで延びており、突出部42の外周側の面が後述する中間プレート6の内周環状部62の内周面と当接している。
【0040】
各当接部43は、円板部41の外周部において円周方向に長い切り欠き41aを形成することによって、外周側に向かって延びるように形成されている。各当接部43の円周方向の両端面431がリベット7と当接することによって、入力プレート3が出力プレート4に対して過度に回転しないように規制されている。
【0041】
出力プレート4の収容部44は、入力プレート3の収容部33と対向する位置に形成されており、入力プレート3の収容部33とともにトーションスプリング5を収容し、保持する部分である。入力プレート3の収容部33と出力プレート4の収容部44との間に、2個1組のトーションスプリング5が収容され、保持されている。また、収容部44の円周方向の両端面443は、内部に収容されたトーションスプリング5の端面に当接可能である。この収容部44は、外周側の面が外周側壁部441によって画定され、内周側の面が内周側壁部442によって画定される。外周側側壁部441及び内周側壁部442は、円板部41からタービン120側に突出しており、軸方向に沿った断面形状が円弧状に形成されている。
【0042】
中間プレート6は、軸方向において、入力プレート3と出力プレート4との間に、両プレート3,4と相対回転自在に配置されている。中間プレート6は、図6に示すように、外周環状部61、内周環状部62、及び複数(例えば3つ)の連結部63を有している。外周環状部61,内周環状部62,及び連結部63は1つの部材によって形成されている。
【0043】
外周環状部61と内周環状部62とは同心であって、内周環状部62は、外周環状部61の内周側に配置されている。各連結部63は、外周環状部61と内周環状部62とを連結している。各連結部63は、円周方向に所定間隔で配置されている。各連結部63には軽量化のための貫通孔631が形成されており、この貫通孔631を利用して中間プレート6を治具に固定することができる。
【0044】
また、中間プレート6は、外周環状部61,内周環状部62,及び各連結部63によって、複数(例えば3つ)の収容孔64が画定されている。この収容孔64内には、複数(例えば2つ)のトーションスプリング5が収容されている。各収容孔64における径方向の長さは、円周方向の両端部を除いて一定であり、トーションスプリング5の直径よりも大きい。また、各収容孔64は、円周方向の両端部において、円周方向の端面641に近付くほど、径方向の長さが小さくなる。そして、各収容孔64の円周方向の両端面641において、各収容孔64の径方向の長さは、トーションスプリング5の直径と同程度
となる。このため、トーションスプリング5の連結部63側の端部は、径方向において外周環状部61と内周環状部62とに支持される。
【0045】
なお、各係合部63は、入力プレート3の収容部33及び出力プレート4の収容部44の円周方向の中間部に位置するように配置されている。すなわち、各トーションスプリング5は、第1端面が中間プレート6の連結部63と当接し、第2端面が入力プレート3の収容部33における円周方向の端面333及び出力プレート4の収容部44における円周方向の端面443と当接する。
【0046】
このような中間プレート6によって、2個1組のトーションスプリング5を直列に作用させることができる。
【0047】
[リベット]
入力プレート3と出力プレート4とを連結するとともに、ストッパ機構を構成するリベット7を図7に拡大して示している。このリベット7は、第1径を有する円形の第1胴部7aと、第1径より小さい第2径を有する円形の第2胴部7bと、第1胴部7aの一端側に形成された頭部7cと、第2胴部7bの他端側に形成されたかしめ部7dと、を有している。
【0048】
第1胴部7aは、出力プレート4の外周部に形成された円周方向に長い切欠き41aを貫通し、この切欠き41a内を回転方向に移動自在である。なお、切欠き41aは外周に向かって開いている。第2胴部7bは入力プレート3の円板部31の外周部に形成されたリベット用貫通孔31aを貫通している。頭部7cは第1胴部7a及び出力プレート4の切欠き41aよりさらに大径に形成されている。そして、頭部7cは出力プレート4のタービン側の側面に当接している。かしめ部7dはこのリベット7を両プレート3,4に装着した後、かしめられる部分である。かしめ部7dがかしめられた後は、かしめ部7dは入力プレート3のピストン側の側面に当接している。
【0049】
[動作]
車両の速度が所定の速度以上になると、ピストン2がフロントカバー11側に移動させられ、摩擦部材16がフロントカバー11の摩擦面に押し付けられる。これにより、フロントカバー11のトルクは、ピストン2から入力プレート3を介してトーションスプリング5に伝達され、さらに出力プレート4を介してタービンハブ12に伝達される。すなわち、フロントカバー11が機械的にタービンハブ12に連結され、フロントカバー11のトルクがタービンハブ12を介してトランスミッションの入力シャフトに直接出力される。
【0050】
以上のような動力伝達の際に、トーションスプリング5は中間プレート6によって、それぞれ2つのトーションスプリングが直列に作用する。このため、低剛性、広捩じり角度化を実現することができる。
【0051】
[特徴]
本実施形態に係るロックアップ装置1は、次の特徴を有する。
【0052】
(1)中間プレート6は、外周環状部61と内周環状部62との2つの環状部を有し、これらを複数の連結部63によって連結する構成であるため、強度を向上させることができる。
【0053】
(2)ダンパー機構が、それぞれ1枚の入力プレート3及び出力プレート4と、トーションスプリング17と、中間プレート6と、によって構成されている。このため、ロックアップ装置のダンパー機構を、3枚のプレートによって低剛性及び広捩じり角度化することができ、従来装置に比較して、部品点数を削減することができる。
【0054】
(3)トーションスプリング5は、入力プレート3と出力プレート4との相対的な回転によって圧縮される際に、外周側に湾曲する。これに対して、中間プレート6収容孔64の径方向の長さがトーションスプリング5の直径よりも大きいため、トーションスプリング5が収容孔64の外周側の面と摺動することを防ぐことができる。この結果、ヒステリシストルクを低下させて低燃費化させることができる。なお、ロックアップ装置1の中間プレート6は上述したとおり従来と比べて強度が向上しているため、中間プレート6の外周環状部61を細くすることによって収容孔64の径方向の長さを広げることができる。すなわち、中間プレート6の外形寸法を大きくすることなく収容孔64の径方向の長さを大きくすることができる。
【0055】
また、トーションスプリング5の連結部63側の端部は、径方向において外周環状部61と内周環状部62とによって支持されている。このため、トーションスプリング5は圧縮される際に径方向に移動することを防止することができる。
【0056】
(4)出力プレート4の各突出部42は、外周側の面が中間プレート6の内周環状部62の内周面と当接している。このため、中間プレート6が径方向に移動することを防止することによって中間プレート6を安定して回転させることができ、ひいては入力プレート3、出力プレート4、トーションスプリング5、及び中間プレート6などの耐久性を向上させることができる。
【0057】
(5)入力プレート3の外周側壁部331の内周側の面と、出力プレート4の外周側壁部441の内周側の面と、中間プレート6の外周環状部61の内周面とは、軸方向においてトーションスプリング5の外周面に沿う円弧を画定する。このため、遠心力によってトーションスプリング5から外周側に加えられる押圧力を、各外周側壁部331,441と、中間プレート6の外周環状部61とによって分散することができる。
【0058】
(6)出力プレート4は、リベット7の頭部7cによって、入力プレート3から離れないように軸方向への移動を規制されている。
【0059】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0060】
変形例1
突出部42は出力プレート4に形成されているが、入力プレート3に形成されていてもよい。具体的には、図8に示すように、入力プレート3の円板部31の内周端部の一部を中間プレート6側に折り曲げることによって複数の突出部31cを形成してもよい。なお、図8は、変形例1に係るダンパー機構の側面断面図である。この各突出部31cは、円周方向に所定間隔をおいて形成されている。この突出部31cは、軸方向において中間プレート6まで延びており、突出部31cの外周側の面が中間プレート6の内周環状部62の内周面と当接している。
【0061】
変形例2
図9は、変形例2に係るダンパー機構の側面断面図である。図9に示すように、入力プレート3の円板部31は、中間プレート6の外周側において、中間プレート6の外周環状部61の外周面と当接するための突出部31bが形成されていてもよい。また、出力プレート4の円板部41も、同様に、中間プレート6の外周環状部61の外周面と当接するための突出部41bが形成されていてもよい。この場合は、入力プレート3の突出部31bと、出力プレート4の突出部41bとによって中間プレート6の径方向への移動を防止することができる。なお、変形例2では、出力プレート4の突出部42は形成しているが、出力プレート4の突出部42を省略することもできる。
【0062】
変形例3
図10は、変形例3に係る中間プレートの正面図である。図10に示すように、中間プレート6の内周環状部62は、内周部において、外周側へと凹む複数(例えば3つの)凹部621が形成されていてもよい。各凹部621は、円周方向において所定間隔で配置されており、円周方向側面621aを有している。この凹部621内に、出力プレート4の突出部42が収容されている。入力プレート3と出力プレート4とが相対的に回転する際に、トーションスプリング5が完全に圧縮して密着する前に、突出部42が凹部621の円周方向側面621aに当接する。
【0063】
変形例4
上記実施形態では、中間プレート6の連結部63に形成されている貫通孔631は、円周方向において連結部63の中央に形成されているが、この貫通孔631の位置を円周方向にずらしてもよい。これにより、この貫通孔631を利用して中間プレート6を治具に固定する場合に、中間プレート6の表裏が逆の状態でダンパー機構が組まれることを防止できる。これは、中間プレート6の一方面側だけに面取り加工をしている場合などに有効である。
【0064】
変形例5
中間プレート6は、入力プレート3又は出力プレート4との干渉を防止するために、面取り加工することができる。この場合、面取り加工を中間プレート6の両面に施すことにより、中間プレート6を表裏が逆の状態であってもダンパー機構を組むことができる。
【0065】
変形例6
上記実施形態では、入力プレート3の外周側壁部331の内周側の面と、出力プレート4の外周側壁部441の内周側の面と、中間プレート6の外周環状部61の内周面とは、軸方向においてトーションスプリング5の外周面に沿う円弧を画定するが、特にこれに限定されない。例えば、この円弧よりも中間プレート6の外周環状部61の内周面を内周側に位置させることによって、各外周側壁部331,441に対してトーションスプリング5から加えられる外周側への押圧力を低減することができる。
【0066】
変形例7
図11は、変形例7に係るダンパー機構の正面図である、図11に示すように、各リベット7を、円周方向において等間隔に配置してもよい。これにより、出力プレート4をより均一な力で抑えることができ、出力プレート4の軸方向への変形を防ぐことができる。
【0067】
変形例8
入力プレート3及び出力プレート4の具体的な形状は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の形状が可能である。また、各部材の数は、特に限定されるものではない。
【0068】
変形例9
上記実施形態では、ピストン2と摩擦部材16とによってクラッチ部を構成したが、クラッチ部は上述した構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0069】
1 ロックアップ装置
2 ピストン
3 入力プレート(入力回転部材)
4 出力プレート(出力回転部材)
5 トーションスプリング(弾性部材)
6 中間プレート(中間部材)
61 外周環状部
62 内周環状部
63 連結部
64 収容孔
11 フロントカバー
16 摩擦部材
120 タービン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11