(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行機体と、オペレータが搭乗する運転部と、エンジンの排気ガス中の粒子状物質を除去する第1ケースと、前記エンジンの排気ガス中の窒素酸化物質を除去する第2ケースと、前記第1ケースに第2ケースを接続する尿素混合管と、前記尿素混合管に尿素水を供給する尿素水タンクと、を備えるトラクタにおいて、
前記走行機体は、左右の車体フレームを備えて構成され、
前記尿素水タンクは、前記エンジンの出力軸に交叉する方向に延びて前記左右の車体フレームに亘って設けられるタンク支持体を介して設けられ、
ミッションケースに向けて前記エンジンの動力を取出す主伝動軸と、前記ミッションケースから前車輪に向けて前記エンジンの動力を取出す前輪駆動軸を、前記左右の車体フレームの間に配置する構造であって、前記主伝動軸と前輪駆動軸の間に形成されるスペースに前記尿素水タンクを配置し、かつ、前記運転部下方で前記エンジン側から排出されるエンジン冷却風の吹き出し下手側に前記尿素水タンクを設置したことを特徴とするトラクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2では、エンジンから触媒ケースに排気ガスを供給する排気管が、走行機体に触媒ケースを取付けるケース支持部材にて形成されているから、走行機体構造などに対応した特別な構造にケース支持部材を形成する必要があり、製造コストを容易に低減できないと共に、エンジンから触媒ケースが離間する構造では、排気ガスの浄化に必要な排気ガス温度を容易に確保しにくく、排気ガス中の窒素酸化物質を除去する排気ガス浄化機能を向上できない等の問題がある。また、寒冷地での作業などでは、排気ガス浄化に必要な尿素水溶液の温度を保持しにくく、アンモニアが形成される前に尿素水が結晶化しやすい等の問題もある。
【0005】
そこで、本願発明は、これらの現状を検討して改善を施した作業車両を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明の
トラクタは、走行機体と、オペレータが搭乗する運転部と、エンジンの排気ガス中の粒子状物質を除去する第1ケースと、前記エンジンの排気ガス中の窒素酸化物質を除去する第2ケースと、前記第1ケースに第2ケースを接続する尿素混合管と、前記尿素混合管に尿素水を供給する尿素水タンクと、を備える作業車両において、前記走行機体は、左右の車体フレームを備えて構成され、前記尿素水タンクは、前記エンジンの出力軸に交叉する方向に延びて前記左右の車体フレームに亘って設けられるタンク支持体を介し
て設けられ、
ミッションケースに向けて前記エンジンの動力を取出す主伝動軸と、前記ミッションケースから前車輪に向けて前記エンジンの動力を取出す前輪駆動軸を、前記左右の車体フレームの間に配置する構造であって、前記主伝動軸と前輪駆動軸の間に形成されるスペースに前記尿素水タンクを配置し、かつ、前記運転部下方で前記エンジン側から排出されるエンジン冷却風の吹き出し下手側に前記尿素水タンクを設置したものである。請求項1に記載の
トラクタにおいて、前記タンク支持体は、前記尿素水タンクの前端下方及び後端下方を支持する夫々支持する前後のタンク支持体により構成されるようにしてもよい。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の
トラクタにおいて、前記エンジンに前端側を連結する前記左右の車体フレームと、前記左右の車体フレームの後端側に連結するミッションケースにて、前記走行機体を構成する構造であって、前記運転部のステップ下面側に尿素水タンクを配置し、前記左右の車体フレームの間に尿素水タンクを取付けると共に、前記ステップの上面側に前記尿素水タンクの注水口を配置したものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、オペレータが搭乗する運転部と、エンジンの排気ガス中の粒子状物質を除去する第1ケースと、前記エンジンの排気ガス中の窒素酸化物質を除去する第2ケースと、前記第1ケースに第2ケースを接続する尿素混合管と、前記尿素混合管に尿素水を供給する尿素水タンクを備える作業車両において、前記運転部下方の走行機体にタンク支持体を介して前記尿素水タンクを取付け、前記エンジン側から排出されるエンジン冷却風の吹き出し下手側に前記尿素水タンクを設置したものであるから、前記エンジンからミッションケースに動力を伝達させるための主伝動軸などが設置されるスペースを有効利用して、前記尿素水タンクをコンパクトに設置でき、前記尿素水タンクの支持剛性などを簡単に向上できると共に、前記尿素水タンクの加温または保護などを簡単に図ることができる。前記エンジンの冷却風にて前記尿素水タンクが加温され、寒冷地での作業であっても、前記尿素水タンク内の尿素水溶液の温度を容易に保持でき、尿素水の結晶化を低減できる。
【0011】
請求項
3に記載の発明によれば、前記エンジンに前端側を連結する左右の車体フレームと、前記左右の車体フレームの後端側に連結するミッションケースにて、前記走行機体を構成する構造であって、前記運転部のステップ下面側に尿素水タンクを配置し、前記左右の車体フレームの間に尿素水タンクを取付けると共に、前記ステップの上面側に前記尿素水タンクの注水口を配置したものであるから、前記左右の車体フレームを活用して尿素水タンクを組付けることができ、前記尿素水タンクの支持剛性などを簡単に向上できると共に、前記ステップと左右の車体フレームにて前記尿素水タンクの上面側と左右両側を囲むことができ、前記尿素水タンクの加温または保護などを簡単に図ることができる。また、作業中にオペレータが尿素水の不足などを検知して、尿素水を補充する必要がある場合、前記ステップ上面側に尿素水補充タンクを載置して、前記注水口から前記尿素水タンクに尿素水補充タンク内の尿素水を容易に補充できる。
【0012】
請求項
1に記載の発明によれば、ミッションケースに向けて前記エンジンの動力を取出す主伝動軸と、前記ミッションケースから前車輪に向けて前記エンジンの動力を取出す前輪駆動軸を、左右の車体フレームの間に配置する構造であって、前記主伝動軸と前輪駆動軸の間に形成されるスペースに前記尿素水タンクを配置したものであるから、前記エンジンからミッションケースに動力を伝達させるための主伝動軸などが設置されるスペースを有効利用して、前記尿素水タンクをコンパクトに設置できると共に、前記尿素水タンクの下面側に配置される前輪駆動軸などを前記尿素水タンクの下面側保護部材として利用でき、前記尿素水タンクの損傷などを提言できる。
【0013】
本発明に
おいて、前記エンジンの上面側をボンネットにて覆う構造であって、前記ボンネットにて形成するエンジンルーム内部のうち、前記エンジンの上部または後部に近接させて前記第1ケースと第2ケースと尿素混合管を配置したものである
ようにすれば、前記エンジンの上面側または後側に、前記第1ケースと第2ケースと尿素混合管を左右方向に向けて横長姿勢に配置でき、前記エンジンの排気ガス移動径路を機能的に形成でき、かつ前記ボンネット内部に前記第1ケース及び第2ケースをコンパクトに配置できると共に、前記運転部下方の尿素水タンクに尿素混合管を短尺配管にて接続できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を具体化した第1実施形態を図面(
図1〜
図6)に基づいて説明する。先ず、
図1〜
図3を参照して、ディーゼルエンジンを搭載した農作業用トラクタ1について説明する。
図1〜
図3に示す作業車両としての農作業用トラクタ1は、図示しない耕耘作業機などを装着して、圃場を耕す耕耘作業などを行うように構成されている。
図1はトラクタ1の左側面図、
図2は同平面図、
図3は同右側面図である。なお、以下の説明では、トラクタ1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。
【0016】
図1〜
図3に示す如く、作業車両としての農作業用トラクタ1は、走行機体2を左右一対の前車輪3と左右一対の後車輪4とで支持し、走行機体2の前部にディーゼルエンジン5を搭載し、ディーゼルエンジン5にて後車輪4及び前車輪3を駆動することにより、前後進走行するように構成されている。ディーゼルエンジン5の上面側及び左右側面側は、開閉可能なボンネット6にて覆われている。
【0017】
また、走行機体2の上面のうち、ボンネット6の後方には、オペレータが搭乗する運転部としての運転キャビン7が設置されている。該キャビン7の内部には、オペレータが着座する操縦座席8と、操向手段としての操縦ハンドル9などを備えるフロントコラム10が設けられている。また、キャビン7底部の搭乗ステップ11外側方には左右の乗降ステップ12が設けられている。なお、フロントコラム10には、操縦機器として、左右のブレーキペダル13、クラッチペダル14、変速ペダル15、前後進切換レバー16などが配置されている。
【0018】
また、走行機体2は、ディーゼルエンジン5からの出力を変速して後車輪4(前車輪3)に伝達するためのミッションケース17を備える。ミッションケース17の後部には、左右のロワーリンク18、及びトップリンク19、及び左右のリフトアーム20などの牽引機構21を介して、図示しない耕耘作業機などが昇降動可能に連結され、ミッションケース17の後側面に設けるPTO軸22にて、前記耕耘作業機などを駆動するように構成する。さらに、トラクタ1の走行機体2は、ディーゼルエンジン5と、ミッションケース17と、それらを連結する車体フレーム23と、ディーゼルエンジン5から前方に向けて延設するフロントシャーシ24などにて構成される。なお、キャビン7の左右外側部には、オペレータが乗降するための左右1対の乗降ステップ12を配置している。
【0019】
次に、
図4〜
図6を参照しながら、ディーゼルエンジン5と排気ガス排出構造について説明する。
図3〜
図5に示す如く、ディーゼルエンジン5のシリンダヘッド32の一側面には吸気マニホールド33が配置されている。シリンダヘッド32は、エンジン出力軸34(クランク軸)とピストンが内蔵されたシリンダブロック35に上載されている。シリンダヘッド32の他側面に排気マニホールド36を配置すると共に、シリンダブロック35の前面と後面からエンジン出力軸34の前端と後端を突出させている。
【0020】
図4〜
図6に示す如く、エンジン出力軸34の後端にフライホイール38を固着している。シリンダブロック35の左右側面に鉄鋼板製の左右の車体フレーム23前端部を連結させている。さらに、シリンダブロック35の下面にオイルパン39を配置すると共に、シリンダブロック35の前面側に冷却ファン40を配置し、冷却ファン40に対向させてラジエータ41を設置する。ラジエータ41前方のフロントシャーシ23上に、オイルクーラ42、エアクリーナ43、バッテリ44などを配置している。また、フライホイール38が軸支されたエンジン出力軸34の後端側からミッションケース17に向けてディーゼルエンジン5の動力を取出す主伝動軸45と、ミッションケース17から前車輪3に向けてディーゼルエンジン5の動力を取出す前輪駆動軸46が、左右の車体フレーム23の間に配置されている。
【0021】
図4〜
図6に示すように、吸気マニホールド33には、再循環用の排気ガスを取込む排気ガス再循環装置(EGR)47を配置する。排気ガス再循環装置47を介してエアクリーナ43が吸気マニホールド33に接続される。エアクリーナ43にて除塵・浄化された外部空気は、吸気マニホールド33に送られ、ディーゼルエンジン5の各気筒に供給されるように構成している。
【0022】
上記の構成により、ディーゼルエンジン5から排気マニホールド36に排出された排気ガスの一部が、排気ガス再循環装置47を介して、吸気マニホールド33からディーゼルエンジン5の各気筒に還流されることによって、ディーゼルエンジン5の燃焼温度が下がり、ディーゼルエンジン5からの窒素酸化物(NOx)の排出量が低減され、かつディーゼルエンジン5の燃費が向上される。
【0023】
なお、冷却ファン40風にてディーゼルエンジン5を冷却するように構成している。また、
図6に示す如く、ディーゼルエンジン5の4気筒分の各インジェクタ(図示省略)に、図示しない燃料タンクを接続する燃料ポンプ52とコモンレール53を備える。シリンダヘッド32の吸気マニホールド33設置側にコモンレール53と燃料フィルタ54を配置し、吸気マニホールド33下方のシリンダブロック35に燃料ポンプ52を配置している。
【0024】
なお、高圧の燃料がコモンレール53内に一時貯留され、コモンレール53内の高圧燃料がディーゼルエンジン5の各気筒(シリンダ)内部に供給されるものであり、前記各インジェクタの燃料噴射バルブがそれぞれ開閉制御されることによって、コモンレール53内の高圧の燃料がディーゼルエンジン5の各気筒に噴射される。即ち、前記各インジェクタの燃料噴射バルブを電子制御することによって、燃料の噴射圧力、噴射時期、噴射期間(噴射量)を高精度にコントロールできる。したがって、ディーゼルエンジン5から排出される窒素酸化物(NOx)を低減できる。
【0025】
図4〜
図6に示す如く、前記ディーゼルエンジン5の各気筒から排出された排気ガスを浄化するための排気ガス浄化装置61として、ディーゼルエンジン5の排気ガス中の粒子状物質を除去するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)としての第1ケース62と、ディーゼルエンジン5の排気ガス中の窒素酸化物質を除去する尿素選択触媒還元(SCR)システムとしての第2ケース63を備える。
図5に示すように、第1ケース62には、酸化触媒64、スートフィルタ65が内設される。第2ケース63には、尿素選択触媒還元用のSCR触媒66、酸化触媒67が内設される。
【0026】
ディーゼルエンジン5の各気筒から排気マニホールド36に排出された排気ガスは、排気ガス浄化装置61等を経由して、外部に放出される。排気ガス浄化装置61によって、ディーゼルエンジン5の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や、炭化水素(HC)や、粒子状物質(PM)や、窒素酸化物質(NOx)を低減するように構成している。
【0027】
第1ケース62は、平面視でディーゼルエンジン5の出力軸(クランク軸)と交叉する方向に長く延びた横長の長尺円筒形状に構成している。第1ケース62の筒形状一端側に、排気ガスを取入れるDPF入口管68を設けている。ディーゼルエンジン5のシリンダヘッド32に、前支脚体69及び後支脚体70を介して、第1ケース62の排気ガス移動方向一端側と同他端側を着脱可能に支持している。即ち、前支脚体69及び後支脚体70を介して、ディーゼルエンジン5上面側の後部に第1ケース62を取付けている。ディーゼルエンジン5の左右方向に、円筒状の第1ケース62の長手方向を向けて、排気マニホールド36と交叉する方向に第1ケース62を支持させる。
【0028】
また、排気マニホールド36の排気ガス出口にDPF入口管68を連通させ、DPF入口管68から第1ケース62内にディーゼルエンジン5の排気ガスを導入する。一方、第1ケース62の筒形状他端側に、排気ガスを排出するDPF出口管72を設ける。第1ケース62のDPF出口管72に尿素混合管73の入口側を接続させ、尿素混合管73内に第1ケース28の排気ガスを導入するように構成している。
【0029】
一方、第2ケース63は、左右方向に長く延びた横長の長尺円筒形状に構成している。第2ケース63の筒形状左端側には、排気ガスを取入れるSCR入口管74を設け、尿素混合管73の出口側にSCR入口管74を接続させている。一方、第2ケース63の筒形状右端側にSCR出口管76を設け、折曲げ及び伸縮可能な蛇腹状連結パイプ75を介して、SCR出口管76に排気管77を接続させ、SCR出口管76に排気管77を介してテールパイプ81の下端側を連結する。テールパイプ81は、運転キャビン7の右側角隅部に沿わせて略垂直に立設させる。運転キャビン7の右側角隅部にテールパイプ81及びパイプカバー82を固着する。ディーゼルエンジン5側の機械振動が、蛇腹状連結パイプ75にて遮断され、排気管77側に伝達されない。
【0030】
また、後支脚体70にケース取付けブラケット83を固着し、ケース取付けブラケット83に第2ケース63を着脱可能に取付けるものであり、ディーゼルエンジン5の背面側(フライホイール38上面側)に、左右方向に長尺な円筒形の第1ケース28と、左右方向に長尺な円筒形の尿素混合管73と、左右方向に長尺な円筒形の第2ケース63を並列状に配置している。第1ケース28の後方側に尿素混合管73が配置され、尿素混合管73の下方側に第2ケース63が配置され、ディーゼルエンジン5後面と運転キャビン7前面の間のスペースに、尿素混合管73と第2ケース63が支持される。
【0031】
したがって、第1ケース62が、ディーゼルエンジン5の上面側に左右方向に水平(横長姿勢)に配置される一方、ディーゼルエンジン5後側に尿素混合管73と第2ケース63が左右方向に水平(横長姿勢)に配置され、ディーゼルエンジン5の排気ガス移動径路を機能的に形成できるものでありながら、ボンネット6内部に、第1ケース62及び第2ケース63をコンパクトに配置できる。
【0032】
さらに、運転キャビン7下側の走行機体2にタンク架台90を介して尿素水タンク91を搭載する。運転キャビン7の搭乗ステップ11上面側に尿素水タンク91の注水口92を設ける。ディーゼルエンジン5後方に排出される冷却風の吹き出し下手側に尿素水タンク91を設置するから、ディーゼルエンジン5の冷却風にて尿素水タンク91が加温され、寒冷地での作業であっても、尿素水タンク91内の尿素水溶液の温度を容易に保持でき、尿素水の結晶化を低減できる。しかも、ディーゼルエンジン5とミッションケース17間に、主伝動軸45と前輪駆動軸46と尿素水タンク91を配置している。したがって、主伝動軸45と前輪駆動軸46が設置されるスペースに尿素水タンク91をコンパクトに支持できる。
【0033】
また、尿素水タンク91内の尿素水溶液を圧送する尿素水噴射ポンプ94と、尿素水噴射ポンプ94を駆動する電動モータ95と、尿素水噴射ポンプ94に尿素水噴射管96を介して接続させる尿素水噴射ノズル97を備える。尿素混合管73に尿素水噴射ノズル97を取付け、尿素混合管73の内部に尿素水噴射ノズル97から尿素水溶液を噴霧する。尿素混合管73内に供給される尿素水が、第1ケース62から第2ケース63に至る排気ガス中にアンモニアとして混合されるように構成している。
【0034】
上記の構成により、第1ケース62内の酸化触媒64及びスートフィルタ65にて、ディーゼルエンジン5の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や、炭化水素(HC)が低減される。次いで、尿素混合管73の内部で、ディーゼルエンジン5からの排気ガスに、尿素水噴射ノズル97からの尿素水が混合される。そして、第2ケース63内のSCR触媒66、酸化触媒67にて、尿素水がアンモニアとして混合された排気ガス中の窒素酸化物質(NOx)を低減させる。即ち、一酸化炭素(CO)や、炭化水素(HC)や、窒素酸化物質(NOx)が低減した排気ガスを、テールパイプ81から機外に放出させる。
【0035】
図1、
図4〜
図6に示す如く、オペレータが搭乗する運転部としての運転キャビン7と、ディーゼルエンジン5の排気ガス中の粒子状物質を除去する第1ケース62と、ディーゼルエンジン5の排気ガス中の窒素酸化物質を除去する第2ケース63と、第1ケース62に第2ケース63を接続する尿素混合管73と、尿素混合管73に尿素水を供給する尿素水タンク91を備える作業車両において、運転キャビン7下方の走行機体2にタンク支持体としてのタンク架台90を介して尿素水タンク91を取付け、ディーゼルエンジン5側から排出されるエンジン冷却風の吹き出し下手側に尿素水タンク91を設置している。したがって、ディーゼルエンジン5からミッションケース17に動力を伝達させるための主伝動軸45などが設置されるスペースを有効利用して、尿素水タンク91をコンパクトに設置でき、尿素水タンク91の支持剛性などを簡単に向上できると共に、尿素水タンク91の加温または保護などを簡単に図ることができる。ディーゼルエンジン5の冷却風にて尿素水タンク91が加温され、寒冷地での作業であっても、尿素水タンク91内の尿素水溶液の温度を容易に保持でき、尿素水の結晶化を低減できる。
【0036】
図4〜
図6に示す如く、ディーゼルエンジン5に前端側を連結する左右の車体フレームと、左右の車体フレーム23の後端側に連結するミッションケース17にて、走行機体2を構成する構造であって、運転キャビン7の搭乗ステップ11下面側に尿素水タンク91を配置し、左右の車体フレーム23の間に尿素水タンク91を取付けると共に、搭乗ステップ11の上面側に尿素水タンク91の注水口92を配置している。したがって、左右の車体フレーム23を活用して尿素水タンク91を組付けることができ、尿素水タンク91の支持剛性などを簡単に向上できると共に、搭乗ステップ11と左右の車体フレーム23にて尿素水タンク91の上面側と左右両側を囲むことができ、尿素水タンク91の加温または保護などを簡単に図ることができる。また、作業中にオペレータが尿素水の不足などを検知して、尿素水を補充する必要がある場合、搭乗ステップ11上面側に尿素水補充タンク(図示省略)を載置して、注水口92から前記尿素水タンク91に前記尿素水補充タンク内の尿素水を容易に補充できる。
【0037】
図4〜
図6に示す如く、ミッションケース17に向けてディーゼルエンジン5の動力を取出す主伝動軸45と、ミッションケースから前車輪3に向けてディーゼルエンジン5の動力を取出す前輪駆動軸46を、左右の車体フレーム23の間に配置する構造であって、主伝動軸45と前輪駆動軸46の間に形成されるスペースに尿素水タンク91を配置している。したがって、ディーゼルエンジン5からミッションケース17に動力を伝達させるための主伝動軸45などが設置されるスペースを有効利用して、尿素水タンク91をコンパクトに設置できると共に、尿素水タンク91の下面側に配置される前輪駆動軸45などを尿素水タンク91の下面側保護部材として利用でき、尿素水タンク91の損傷などを提言できる。
【0038】
図4〜
図6に示す如く、ディーゼルエンジン5の上面側をボンネット6にて覆う構造であって、ボンネット6にて形成するエンジンルーム内部のうち、ディーゼルエンジン5の上部または後部に近接させて第1ケース62と第2ケース63と尿素混合管73を配置している。したがって、ディーゼルエンジン5の上面側または後側に、第1ケース62と第2ケース63と尿素混合管73を左右方向に向けて横長姿勢に配置でき、ディーゼルエンジン5の排気ガス移動径路を機能的に形成でき、かつボンネット6内部に第1ケース62及び第2ケース63をコンパクトに配置できると共に、運転キャビン7下方の尿素水タンク91に尿素混合管73を短尺配管にて接続できる。