特許第6188220号(P6188220)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188220
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】パンツ型着用物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   A61F13/15 355C
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-260279(P2013-260279)
(22)【出願日】2013年12月17日
(65)【公開番号】特開2015-116250(P2015-116250A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100112818
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 昭久
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 周平
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 淳
【審査官】 田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−126527(JP,A)
【文献】 特開2006−087564(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0068246(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15−13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のサイドシール部を有する外包材を備えたパンツ型着用物品を連続的に製造するパンツ型着用物品の製造方法であって、
帯状シート間に複数本の弾性部材が伸長状態で配された前記外包材の連続体を、該外包材の連続体の搬送方向の両側部が重なるように重ね合わせた後に、
重ね合わされた前記外包材の連続体を、搬送方向に所定間隔を置いて、前記弾性部材を伸長させた状態で、該外包材の前記帯状シートの構成繊維を溶融させヒートシールしてヒートシール領域に一対のシール部を形成するシール工程と、
前記一対のシール部を切り離して前記サイドシール部を有する前記パンツ型着用物品を形成する切り離し工程とを備え、
前記シール工程の前に、前記ヒートシール領域における、前記外包材の前記帯状シート及び/又は前記弾性部材に接着剤を塗布しておき、
前記切り離し工程を、前記外包材の連続体を、該外包材の帯状シートの構成繊維が溶融する温度に加熱したアンビルブロックに当接させ、前記一対のシール部が溶融又は軟化した状態で行うパンツ型着用物品の製造方法。
【請求項2】
前記切り離し工程は、前記シール工程において形成したシール部に、該シール部の形成に用いた前記アンビルブロックを当接させた状態で行う、請求項1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
【請求項3】
前記シール工程から前記切り離し工程への搬送を、
前記シール部を、該シールの形成に用いた前記アンビルブロックに当接した状態を維持して行う、請求項1又は2に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
【請求項4】
重ね合された前記外包材の連続体を、前記接着剤が完全に固化している状態で、前記シール工程に供給する、請求項1〜3の何れか1項に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
【請求項5】
前記接着剤を、前記ヒートシール領域における一対のシール部間の領域に存在するように塗布する、請求項1〜4の何れか1項に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型使い捨ておむつ等のパンツ型着用物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばパンツ型使い捨ておむつ等のパンツ型着用物品は、外包材に吸収性本体が取り付けられた後に、背側部と腹側部とを重ね合わせるように二つ折りにすると共に、背側部の両側縁部と腹側部の両側縁部を接合することによってパンツ型に形成されることになる。ここで、これらの両側縁部の接合には、装着時に剥がれることがなく、脱衣時に引き剥がして使用する観点から、適正な接合強度が求められ、このような接合強度が得られる接合方法として、例えば熱融着繊維を含む複合繊維から構成される外包材の基材シートを溶融接着する、ヒートシールによる接合方法が一般的に提案されている。
【0003】
ところで、パンツ型着用物品の両側部に形成される接合部であるサイドシール部の接合強度を左右する因子としては、熱量、圧力、シール時間が挙げられる。
しかし、シール時間の短縮と十分な熱量や圧力を加えることとは両立が難しく、例えば、シール加工を施す対象である外包材の連続体の搬送速度を高速にすると十分なシール時間を確保することが難しくなって、接合強度不足が生じ易い。他方、一回のシール加工で加える熱量や圧力を上げると、設備に加わる負荷が大きくなり、設備の大型化(例えば、モーターやヒーターの容量増加等)や、シールブロック、軸受等の部品の交換頻度の増加等の不都合が生じる。
【0004】
本出願人は、先に、直径の大きなアンビルロールの周囲に複数のシールロールを配置し、複数のシールロールにより、外包材の連続体の同一の部位を複数回、加圧及び加熱して、シール部を形成したのち、個々のおむつに分断する方法を提案した(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−131833号公報
【特許文献2】特開2013−126528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、ヒートシールにより形成されるサイドシール部の接合強度を向上させる方法について鋭意検討したところ、隣り合うおむつのサイドシール部となる一対のシール部を形成した後、当該シール部を十分に軟化させた状態でシール部間を切断すると、収縮して接合強度が高まったサイドシール部が得られることを知見した。本発明は、斯かる知見に基づき完成されたものである。
この点、特許文献1の方法は、個々のおむつに分断する切り離し工程の前に、シール部を強制的に冷却する方法であり、シール部を収縮させてサイドシール部の接合強度を向上させる発想はない。また、特許文献2にも、シール部を収縮させてサイドシール部の接合強度を向上させる発想はない。
【0007】
本発明は、接合強度の高いサイドシール部を容易に形成可能なパンツ型着用物品の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一対のサイドシール部を有する外包材を備えたパンツ型着用物品を連続的に製造するパンツ型着用物品の製造方法であって、帯状シート間に複数本の弾性部材が伸長状態で配された前記外包材の連続体を、該外包材の連続体の搬送方向の両側部が重なるように重ね合わせた後に、重ね合わされた前記外包材の連続体を、搬送方向に所定間隔を置いて、前記弾性部材を伸長させた状態で、該外包材の前記帯状シートの構成繊維を溶融させヒートシールしてヒートシール領域に一対のシール部を形成するシール工程と、前記一対のシール部を切り離して前記サイドシール部を有する前記パンツ型着用物品を形成する切り離し工程とを備え、前記シール工程の前に、前記ヒートシール領域における、前記外包材の前記帯状シート及び/又は前記弾性部材に接着剤を塗布しておき、前記切り離し工程を、前記外包材の連続体を、該外包材の帯状シートの構成繊維が溶融する温度に加熱したアンビルブロックに当接させ、前記一対のシール部が溶融又は軟化した状態で行うパンツ型着用物品の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパンツ型着用物品の製造方法によれば、接合強度の高いサイドシール部を容易に形成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施態様により得られるパンツ型使い捨ておむつを示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すパンツ型使い捨ておむつを展開して伸長した状態を示す展開平面図である。
図3図3(a)は、図1に示すパンツ型使い捨ておむつのサイドシール部を示す拡大平面図であり、図3(b)は、従来のパンツ型使い捨ておむつのサイドシール部を示す拡大平面図である。
図4図4は、本発明の第1実施態様の製造方法の実施に好適に用いられる加工装置を示す概略図である。
図5図5は、図4に示す加工装置の備えるシールロールのシールブロックとアンビルロールのアンビルブロックとでシール工程を行う様子を示す模式断面図である。
図6図6は、図4に示す加工装置の備えるアンビルロールのアンビルブロックとカットロールとで切り離し工程を行う様子を示す模式断面図である。
図7図7は、本発明の実施態様によりパンツ型使い捨ておむつを製造する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
図8図8は、図4の加工装置を用いてシール工程及び切り離し工程が行われる外包材連続体を示す模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明のパンツ型着用物品の製造方法を、その好ましい第1実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。
先ず、第1実施態様の製造方法により製造されるパンツ型使い捨ておむつについて図1図3を参照しながら説明する。
図1及び図2に示すパンツ型使い捨ておむつ1は、液透過性の表面シート2、液不透過性又は撥水性の裏面シート3及び両シート2、3間に介在配置された液保持性の吸収性コア4を有する実質的に縦長の吸収性本体10と、該吸収性本体10の裏面シート3側に配され該吸収性本体10を固定している外包材11とを備えている。尚、本明細書において、「ヒートシール」とは、熱シールだけでなく、高周波シール、超音波シールを含んでいる。
【0012】
吸収性本体10は、図2に示すように、長手方向中央部において内方に括れた砂時計形状の吸収性コア4を備え、吸収性コア4、矩形状の表面シート2及び矩形状の裏面シート3を一体化して縦長に形成されている。表面シート2、裏面シート3及び吸収性コア4としては、それぞれ、従来この種のおむつに用いられているものと同様のものを用いることができる。例えば、表面シート2としては、親水化処理が施された各種不織布や開孔フィルム等の液透過性のシートを用いることができ、裏面シート3としては、ポリエチレンフィルム等の熱可塑性樹脂製フィルムや、該フィルムと不織布とのラミネート等の液不透過性又は撥水性のシートを用いることができ、吸収性コア4としては、高吸収性ポリマーの粒子及び繊維材料から構成され、ティッシュペーパ(図示せず)によって被覆されているもの等を用いることができる。尚、吸収性本体10の長手方向の左右両側には、液抵抗性ないし撥水性で且つ通気性の素材から構成された側方カフス5,5が配され、各側方カフス5の自由端部の近傍には、側方カフス弾性部材51が伸張状態で配されており、おむつ着用時には、弾性部材51が縮むことにより側方カフス5が起立する立体ギャザーが形成される。
【0013】
外包材11は、図2に示すように、その両側縁が、長手方向中央部において内方に括れた砂時計形の形状をしており、おむつの輪郭を画成している(図1参照)。おむつ1は、図2に示すように、展開状態におけるその長手方向において、着用時に着用者の腹側に配される腹側部Aと背側に配される背側部Bとその間に位置する股下部Cとに区分される。外包材11は、腹側部Aにおける両側縁部A1,A2と背側部Bにおける両側縁部B1,B2とが互いに接合されており、その接合によって、図1に示すように、おむつ1に、一対のサイドシール部S,S、ウエスト開口部WO及び一対のレッグ開口部LOが形成される。このように、第1実施態様の製造方法により製造されるパンツ型使い捨ておむつ1は、一対のサイドシール部S,Sを有する外包材11を備えている。
【0014】
外包材11は、図2図3に示すように、外層シート12と該外層シート12の内面側(吸収性本体10側)に配された内層シート13とが積層された構造を有している。外層シート12はおむつ1の外面をなし、内層シート13は外層シート12の内面側に配され部分的に接合されている。外層シート12は、おむつ1においては、図2に示すように、外層シート12と内層シート13とによって後述する複数本のウエスト部弾性部材14を挟持固定する領域よりも更に長手方向に延出する長さを有しており、この延出した延出領域は、吸収性本体10側に折り返されて、吸収性本体10の長手方向の端部を覆っており、接着剤(図示せず)を介して固定されている。外包材11の外層シート12及び内層シート13としては、この種の物品に従来使用されている各種のシート材を特に制限なく用いることができる。シート材が不織布である場合には、柔軟性等の観点から、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等からなる単層シート又は積層シートであることが好ましい。
【0015】
外包材11は、図2図3に示すように、外層シート12と内層シート13との間に弾性部材14,15,16を備えている。外包材11は、おむつ1の腹側部A及び背側部Bそれぞれに、幅方向に沿って配された複数本のウエスト部弾性部材14及び複数本の胴回り部弾性部材15を有している。また、外包材11は、レッグ開口部LOの周縁部に、複数本のレッグ部弾性部材16を有している。弾性部材14,15,16としては、それぞれ、天然ゴム、ポリウレタン系樹脂、発泡ウレタン系樹脂等の伸縮性素材を糸状(糸ゴム)又は帯状(平ゴム)に形成したものが好ましく用いられる。
【0016】
ウエスト部弾性部材14は、展開状態のおむつ1の長手方向において、吸収性本体10の長手方向の両端それぞれより外方に位置するウエスト部に伸長状態で配され固定されており、これらが収縮することにより、ウエスト部に、ウエストギャザーが形成される。胴回り部弾性部材15は、展開状態のおむつ1の長手方向において、吸収性本体10の長手方向の両端それぞれより内方(股下部C側)に位置する胴回り部に伸長状態で配され固定されており、これらが収縮することにより、胴回り部に、胴回りギャザーが形成される。尚、おむつ1Aにおいては、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける胴回り部弾性部材15は、吸収性本体10と重なる部分において切断されている。レッグ部弾性部材16は、腹側部Aから股下部Cに亘って伸長状態で配され固定されており、更に別のレッグ部弾性部材16が、背側部Bから股下部Cに亘って伸長状態で配され固定されており、これらが収縮することにより、レッグ開口部LOの周縁部に、レッグギャザーが形成される。尚、おむつ1においては、レッグ部弾性部材16,16は、それぞれ、股下部Cの幅方向中央部において切断され、左右に分割されている。
【0017】
腹側部Aの両側縁部A1,A2と背側部Bの両側縁部B1,B2との接合においては、外層シート12、内層シート13及びこれらシート12,13の間の弾性部材14,15,16は、ホットメルト型接着剤等の接着剤と、高周波シール、超音波シールを含むヒートシールとによって、互いに接合されており、おむつ1のサイドシール部S,Sが形成されている(図1参照)。サイドシール部Sにおいては、複数本のウエスト部弾性部材14、複数本の胴回り部弾性部材15及び複数本のレッグ部弾性部材16が、それぞれ、外層シート12と内層シート13の間に固定されており、これらの弾性部材14,15,16の収縮力によってサイドシール部Sも幅方向に収縮している(図3(a)参照)。
【0018】
次に、本発明のパンツ型着用物品の製造方法の好ましい実施態様を、上述したパンツ型使い捨ておむつ1を製造する場合を例にとり図4図7を参照しながら説明する。
図4は、第1実施態様のおむつ1の製造方法に好適に用いられる加工装置7を模式的に示したものである。
【0019】
加工装置7は、図4に示すように、第1〜第3のシールロール71,72,73、製品カットロール74、これらのロール71〜74に対向配置されたアンビルロール75とを備えている。即ち、加工装置7には、同一のアンビルロール75の周面75aの周囲に、第1〜第3のシールロール71,72,73、及び製品カットロール74が順次配されている。このように、加工装置7は、シールロールを複数用いている。各ロール71〜75は、加工装置7の備える制御部(不図示)によって回転速度や加熱温度等を制御されつつ、図4中の矢印で示す方向にそれぞれ回転駆動される。
【0020】
第1〜第3のシールロール71,72,73には、図4に示すように、シールブロック710,720,730をそれぞれ備えている。第1のシールロール71のシールブロック710は、図4に示すように、ロール周方向を2等分する位置に2個取り付けられている。各シールブロック710は、第1のシールロール71の軸長方向に長い形状を有している。各シールブロック710の先端には、軸長方向に沿って2条の凸状部711が形成されている。第2〜第3のシールロール72,73のシールブロック720,730も、第1のシールロール71のシールブロック710と同様である。シールブロック710,720,730は、加工装置7の備える制御部(不図示)によって加熱温度が制御されている。
2個のシールブロック710,720,730と後述するアンビルロール75のアンビルブロック750とによりシールされ形成された一対のシール部S',S'は、後述するように切り離され、おむつのサイドシール部Sとなる。シールブロック710,720,730のシール面には、多数の細かな凸部が設けられており、おむつのサイドシール部Sにシールパターンの模様を形成する。尚、シールブロック710,720,730は、加工装置7においては、シールロール71〜73に対しそれぞれ2個取り付けられているが、2個に限定されるものではない。
【0021】
アンビルロール75には、図4に示すように、アンビルブロック750が取り付けられている。アンビルロール75のアンビルブロック750は、加工装置7においては、図4に示すように、ロール周方向を6等分する位置に6個取り付けられている。各アンビルブロック750は、アンビルロール75の軸長方向に長い形状を有している。アンビルブロック750の先端にも、軸長方向に沿って2条の凸状部751が形成されている
各アンビルブロック750の先端750aは、図4に示すように、アンビルロール75の周面75aと面一(アンビルブロック750の先端750aとアンビルロール75の周面75aとの間に段差が無くフラットな状態)であってもよいし、アンビルロール75の周面75aから若干内側に配されていても良い。また、加工装置7においては、アンビルブロック750がアンビルロール75の周面75aから内側へ又は内側から周面75aへ昇降可能なようになっていてもよい。その場合、アンビルブロック750に昇降具(不図示)が接続されており、該昇降具(不図示)の昇降のタイミングが、加工装置7の備える前記制御部(不図示)によって制御されている。
アンビルブロック750は、加工装置7の備える前記制御部(不図示)によって加熱温度が制御されている。尚、アンビルブロック750は、加工装置7においては、6個取り付けられているが、6個に限定されるものではない。
【0022】
製品カットロール74には、図6に示すように、カッター刃740が取り付けられている。製品カットロール74のカッター刃740は、加工装置7においては、図4に示すように、ロール周方向を2等分する位置に2個取り付けられている。各カッター刃740は、製品カットロール74の軸長方向に亘って配されており、おむつ連続体100をカットして、個々のおむつ1に分断するようになっている。カッター刃740は、温度制御されていないが、必要に応じて加工装置7の備える前記制御部(不図示)によって温度制御してもよい。尚、カッター刃740は、加工装置7においては、製品カットロール74に対し2個取り付けられているが、2個に限定されるものではない。
【0023】
第1〜第3のシールロール71,72,73のシールブロック710,720,730の先端に配された2条の凸状部711及びアンビルロール75のアンビルブロック750の2条の凸状部751は、加工装置7の備える前記制御部によって、ロール71〜74の回転に伴い、図4及び図5に示すように周期的に相対向するようになっている。
また、製品カットロール74のカッター刃740と、アンビルロール75のアンビルブロック750の2条の凸状部751間の凹部とが、加工装置7の備える前記制御部によって、ロール74,75の回転に伴い、図6に示すように周期的に相対向するようになっている。
それにより、第1のシールロール71の2条の凸状部711及びアンビルブロック750の2条の凸状部751によってヒートシールが施されたヒートシール領域HTに、第2のシールロール72の2条の凸状部711及びアンビルブロック750の2条の凸状部751によってヒートシールが重ねて施され、更に、第3のシールロール73の2条の凸状部711及びアンビルブロック750の1条の凸状部751によって、該シール領域HTにヒートシールが重ねて施され、次いで、製品カットロール74のカッター刃740及びアンビルブロック750によって一対のシール部S',S'を切り離すようにカットされる。
【0024】
また、加工装置7は、図4に示すように、おむつ1の連続体100をアンビルロール75上に導入する導入ロール76を備えている。加工装置7においては、アンビルロール75上に導入されたおむつ1の連続体100の搬送方向のテンションを一定にして搬送できるように、アンビルロール75の周面75aには、おむつ1の連続体100をアンビルロール75の周面75aに吸着する多数の吸引孔(不図示)が設けられている。多数の吸引孔(不図示)は、アンビルロール75外に配された吸引機(不図示)に接続されており、吸引機(不図示)は、加工装置7の備える前記制御手段(不図示)によって吸引力が制御されている。また、加工装置7においては、おむつ1の連続体100の搬送方向のテンションを一定にして搬送できるように、吸引孔(不図示)と共に、おむつ1の連続体100をアンビルロール75の周面75a上に保持する別手段が設けられている。別手段としては、アンビルロール75の周面75aから内側又は外側へ昇降可能な一対の鉤の手状の保持具78が挙げられる。このような鉤の手状の保持具78を設けることにより、一対の鉤の手状の先端とアンビルロール75の周面75aとで、おむつ1の連続体100の搬送方向の両側部を把持し、おむつ1の連続体100をアンビルロール75の周面75a上に保持でき、おむつ1の連続体100の搬送方向のテンションを一定にして搬送できる。鉤の手状の保持具78は、加工装置7の備える前記制御手段(不図示)によって昇降のタイミングが制御されている。
【0025】
更に、加工装置7は、図4に示すように、アンビルロール75の周面75aの回転方向における製品カットロール74の後に、製品反転機77を備えている。製品反転機77は、製品カットロール74のカッター刃740でカットされたおむつ1を個々に吸着する吸着ヘッド(不図示)を、その周面に複数個備えている。加工装置7で行うシール及び切り離し工程の後工程として包装工程を有している場合には、各吸着ヘッド(不図示)は、包装工程の搬送方向に合うように、製品反転機77の回転と共に、吸着ヘッド(不図示)の吸着面に垂直な軸周りに、吸着したおむつ1を90°反転できるようになっていてもよい。
【0026】
加工装置7の備える前記制御部(不図示)は、上述したように、第1〜第3のシールロール71,72,73、製品カットロール74及びアンビルロール75の回転速度や、シールブロック710,720,730、カッター刃740及びアンビルブロック750の加熱温度を制御すると共に、吸引孔(不図示)の接続された吸引機(不図示)の吸引力、及び/又は鉤の手状の保持具(不図示)の昇降のタイミングを制御するものである。また、加工装置7の備える前記制御部(不図示)は、上述したように、昇降機構を有する場合には、アンビルロール75のアンビルブロック750の昇降のタイミングを制御するものである。前記制御部(不図示)は、加工装置7全体を実質的に制御するマイクロコンピュータ等のCPUと、該CPUにより実行される制御プログラムや各種データ等の必要な固定情報を格納したROMと、該CPUによる処理の実行時におけるワークエリアとして使用されるRAMと、該数値制御装置のオペレーター用入力装置などを備えている。従って、第1〜第3のシールロール71,72,73を用いる後述するシール工程における加工条件と、製品カットロール74を用いる後述する切り離し工程における加工条件とは、独立に加工条件を調整できるようになっている。尚、各ロールの同期のタイミングや鉤の手状の保持具(不図示)の昇降のタイミングは、サーボモーター、カム機構、歯車及びタイミングベルト等を使用した機構によって構成されていてもよい。
【0027】
上述した加工装置7を用いてパンツ型使い捨ておむつ1を製造する製造方法について説明する。
【0028】
第1実施態様のパンツ型使い捨ておむつ1の製造方法は、図7及び図8に示すように、いわゆる横流れ方式のパンツ型使い捨ておむつの製造方法であり、加工装置7を用いて、2つ折りされた外包材11の連続体を、搬送方向に所定間隔を置いて、弾性部材14,15,16を伸長させた状態で、外包材11の帯状シートの構成繊維を溶融させヒートシールしてヒートシール領域HTに一対のシール部S'を形成した後、一対のシール部S',S’を切り離してサイドシール部Sを有するおむつ1を形成する。以下、具体的に説明する。
【0029】
先ず、図7に示すように、原反ロール(不図示)から連続的に供給される帯状の外層シート12と、原反ロール(不図示)から連続的に供給される帯状の内層シート13との間に、ウエストギャザーを形成するウエスト部弾性部材14、胴回りギャザーを形成する胴回り部弾性部材15及びレッグギャザーを形成するレッグ部弾性部材16を、所定の伸長率に伸長させた伸長状態で各々複数本配する。このとき、ウエスト部弾性部材14及び胴回り部弾性部材15には、接着剤塗工機(不図示)を介してホットメルト型接着剤が連続的あるいは間欠的に塗工され、レッグ部弾性部材16は、シートの流れ方向とは直交して往復運動する公知の揺動ガイド(不図示)を介して、所定の脚周りパターンを形成しながら配される。また、帯状の外層シート12及び帯状の内層シート13には、それらを重ね合わせる前に、両シートの何れか一方又は双方の相対向する面の所定の部位、具体的には、ヒートシール領域HTに対応する部位を含む領域R8(図5及び図8参照)及び後述する吸収性本体10を配する部位に対応する領域に、接着剤塗工機(図示略)によりホットメルト型接着剤8が間欠的に塗工される。
【0030】
そして、図7に示すように、一対のニップロール9,9の間に、ウエスト部弾性部材14、胴回り部弾性部材15及びレッグ部弾性部材16を伸長状態で挟み込んだ帯状の外層シート12及び帯状の内層シート13を送り込んで加圧することにより、帯状シート12,13間に複数本の弾性部材14,15,16が伸長状態で配された外包材11の連続体を形成する(外包材11の連続体の形成工程)。その後、第1実施態様においては、弾性部材プレカット手段(不図示)を用いて、後述する吸収性本体10を配する位置に対応させて、複数本の胴回り部弾性部材15及び複数本のレッグ部弾性部材16を押圧して、収縮機能が発現されないように個々複数個に分断する。弾性部材プレカット手段(不図示)としては、例えば、特開2002−253605号公報に記載の複合伸縮部材の製造方法に用いる弾性部材分断部等が挙げられる。
【0031】
次いで、図7に示すように、別工程で製造された吸収性本体10に予めホットメルト接着剤等の接着剤を塗布し、90度回転させ、外包材11の連続体の内層シート13上に間欠的に供給して固定し、おむつ1の連続体(着用物品の連続体)100を形成する(吸収性本体の配置工程)。以下、外包材11の連続体に吸収性本体10が固定された連続体を、おむつ1の連続体100ともいう。なお、固定用の接着剤は吸収性本体10ではなく、内層シート13上に塗布しておいてもよい。
【0032】
次いで、図7に示すように、吸収性本体10が配置された外包材11の連続体におけるレッグ部弾性部材16で環状に囲まれた環状部の内側にレッグホールLO'を形成する(レッグホール形成工程)。レッグホール形成工程は、ロータリーカッター、レーザーカッター等の従来からこの種の物品の製造方法における手法と同様の手法を用いて行う。尚、第1実施態様においては、吸収性本体の配置工程の後にレッグホール形成工程を設けているが、吸収性本体10の配置工程の直前にレッグホール形成工程を設けてもよい。
【0033】
次いで、図7に示すように、外包材11の連続体の搬送方向の両側部が重なるように重ね合わせる(重ね合わせ工程)。第1実施態様の重ね合わせ工程においては、吸収性本体10の長さ方向の両端部同士が折り重なるように、外包材11の連続体の両側部が折り込まれた後、外包材11の連続体と吸収性本体10とを二つ折りする。なお、吸収性本体10がパンツ型使い捨ておむつ1において腹側部Aに偏倚している場合など、吸収性本体10の長さ方向の両端部同士は重ならなくてもよい。また、帯状の外層シート12と帯状の内層シート13との幅を同じにして、外包材11の連続体の両側部は折り込まなくてもよい。
【0034】
その後、加工装置7を用いて、2つ折りされた外包材11の連続体(おむつ1の連続体100)を、搬送方向に所定間隔を置いて、弾性部材14,15,16を伸長させた状態で、外包材11の帯状シート12,13の構成繊維を溶融させヒートシールして、ヒートシール領域HTにシール部S',S'を形成する(シール工程)。シール工程について以下具体的に説明する。図4に示すように、2つ折りされたおむつ1の連続体100を、導入ロール76を介してアンビルロール75上に導入する。アンビルロール75上に導入されたおむつ1の連続体100は、アンビルロール75の周面の吸引孔(不図示)及び/又は一対の鉤の手状の保持具78(図6参照)により、アンビルロール75の周面上に保持される。そしてアンビルロール75が回転することにより、おむつ1の連続体100の搬送方向のテンションを一定にして、おむつ1の連続体100を搬送する。
【0035】
そして、図4に示すように、アンビルロール75を回転させて、おむつ1の連続体100を、第1のシールロール71のシールブロック710とアンビルロール75のアンビルブロック750との間に搬送する。そして、弾性部材14,15,16を伸長させた状態で、シールブロック710とアンビルブロック750により、重なり合う2枚の外層シート12及び2枚の内層シート13をヒートシールし、外層シート12及び内層シート13それぞれの構成繊維を溶融させて、ヒートシール領域HTに第1のシール部S',S'を形成する。
【0036】
次いで、第1実施態様においては、図4に示すように、ヒートシール領域HTに第1のシール部S',S'が形成されたおむつ1の連続体100をアンビルロール75の周面上に保持し弾性部材14,15,16を伸長させた状態で、アンビルロール75を回転させて、第2のシールロール72のシールブロック720とアンビルロール75のアンビルブロック750との間に搬送する。そして、弾性部材14,15,16を伸長させた状態で、シールブロック720とアンビルブロック750により、ヒートシール領域HTにおいて重なり合う2枚の外層シート12及び2枚の内層シート13を更にヒートシールし、ヒートシール領域HTに第2のシール部S',S'を形成する。ヒートシール領域HTに形成する第1のシール部S',S'と第2のシール部S',S'との大きさは略同一であることが好ましい。このように、おむつ1の連続体100が、アンビルロール75の周面上に保持された状態を維持し、おむつ1の連続体100の搬送方向のテンションを一定にしているので、第1のシール部S',S'と第2のシール部S',S'とを一致させ易く、ヒートシールによる充分なシール強度が更に得られ易い。
【0037】
更に、第1実施態様においては、図4に示すように、第2のシール部S’,S’が形成されたおむつ1の連続体100をアンビルロール75の周面上に保持し弾性部材14,15,16を伸長させた状態で、アンビルロール75を回転させて、第3のシールロール73のシールブロック730とアンビルロール75のアンビルブロック750との間に搬送する。そして、弾性部材14,15,16を伸長させた状態で、シールブロック730とアンビルブロック750により、ヒートシール領域HTにおいて重なり合う2枚の外層シート12及び2枚の内層シート13を更にヒートシールし、ヒートシール領域HTに第3のシール部S',S'を形成する。ヒートシール領域HTの第1のシール部S',S'、第2のシール部S',S'及び第3のシール部S',S'それぞれの大きさは略同一であることが好ましい。このように、第1のシール部S',S'及び第2のシール部S',S'の形成されたおむつ1の連続体100が、アンビルロール75の周面上に保持された状態を維持し、おむつ1の連続体100の搬送方向のテンションを一定にしているので、第1のシール部S',S'、第2のシール部S',S'及び第3のシール部S',S'を一致させ易く、ヒートシールによる充分なシール強度が更に得られ易い。なお、第1〜第3のシール部S',S'を形成する間、アンビルブロック750の先端750aは、アンビルロールの周面75aより外側に出ていることが、シール部S’,S’を効率よく溶融又は軟化させる観点から好ましい。
【0038】
本実施態様の方法においては、ヒートシール領域HTに、一対のシール部S’,S’(第1のシール部)を形成するシール工程の前に、ヒートシール領域における、外包材の帯状シート及び/又は弾性部材に接着剤8を塗布しておく。ヒートシール領域HTは、シール工程において、ヒートシールが施される領域であり、図5に示すように、切り離し工程において切断される切断位置Pcを含む領域であって、ヒートシールにより一対のシール部S’,S’とされる領域及びそれらの間に位置する領域Gである。
ヒートシール領域HTに位置することになる外包材の帯状シート及び弾性部材の一方又は双方に接着剤8を塗布しておくことで、後述する切り離し工程において、一対のシール部S’,S’を溶融ないし軟化させた状態でシール部間を切断したときに、弾性部材が、該弾性部材を挟むシートを収縮させずに単独で収縮することを防止することができ、シール部S’を弾性部材の収縮力により収縮させることが容易となる。それにより、収縮により接合強度が向上したサイドシール部Sを形成することができる。
シール部を弾性部材により一層確実に収縮させる観点から、外包材の帯状シート及び/又は弾性部材に塗布する接着剤8は、ヒートシール領域HTにおける一対のシール部間の領域Gに存在するように塗布しておくことがより好ましく、該領域Gにおける切断位置Pcを挟む両側それぞれに存在するように塗布することが更に好ましい。接着剤8の塗布は、例えば、弾性部材を介在させて、互いに接合される2枚の帯状シートの相対向面の何れか一方又は双方に塗布する。
【0039】
次いで、個々のヒートシール領域HTにおける、シール部S',S'を順次切り離してサイドシール部Sを有するパンツ型使い捨ておむつ1を形成する(切り離し工程)。切り離されるシール部S',S'は、ヒートシール領域HTに、第1〜第3のシール部を重ねて形成することで形成されたシール部S’,S’である。
切り離し工程について以下具体的に説明する。図4に示すように、シール部S',S'が形成されたおむつ1の連続体100をアンビルロール75の周面上に保持した状態で、アンビルロール75を回転させて、製品カットロール74のカッター刃740とアンビルロール75のアンビルブロック750との間に搬送する。第1実施態様において昇降具(不図示)を有する場合には、アンビルロール75を回転させて、おむつ1の連続体100を製品カットロール74のカッター刃740とアンビルロール75のアンビルブロック750との間に搬送するタイミングで、昇降具(不図示)を介してアンビルブロック750を上昇させ、アンビルブロック750の先端750aが、アンビルロールの周面75aより外側に出るようにすることが好ましい。そして、カッター刃740及びアンビルブロック750により、ヒートシール領域HTの搬送方向略中央位置にて一対のシール部S',S'を二分するように切り離して、一対のサイドシール部S,Sを有する外包材11を備えたパンツ型使い捨ておむつ1を連続的に形成する。
【0040】
この切り離し工程は、図6(a)に示すように、おむつ1の連続体100(外包材の連続体)を、該外包材の帯状シートの構成繊維が溶融する温度に加熱したアンビルブロック750に当接させ、一対のシール部S’,S’が溶融又は軟化した状態で行う。
より具体的には、シール工程で形成した一対のシール部S',S'のそれぞれに、加熱されたアンビルブロック750の先端の2条の凸状部751のそれぞれを当接させて、一対のシール部S',S'のそれぞれを溶融した状態とし、その状態において、2条の凸状部751間に、製品カットロール74のカッター刃740を押し当て、一対のシール部S',S'同士を切り離す。
外包材の帯状シートの構成繊維が溶融する温度は、シール部S’において一体化している帯状シートの少なくとも一枚の帯状シートの構成繊維が溶融する温度であることが好ましく、2枚以上の帯状シートの構成繊維が溶融する温度であることが好ましく、総ての帯状シートの構成繊維が溶融する温度であることが好ましい。
個々の帯状シートについて構成繊維が溶融する温度は、当該帯状シートに質量基準で最も多く含まれる熱可塑性繊維の融点を基準として判断する。その熱可塑性繊維が単一成分からなる単繊維である場合は、当該成分の融点以上の温度が、その帯状シートの構成繊維が溶融する温度であり、その熱可塑性繊維が、低融点成分と高融点成分とからなる芯鞘型やサイドバイサイド型の複合繊維である場合、低融点成分の融点以上の温度が、その帯状シートの構成繊維が溶融する温度である。また、その場合、アンビルブロック750の加熱温度は、高融点成分の融点未満であることが好ましい。
【0041】
このように、アンビルブロック750に当接させ、一対のシール部S’,S’が溶融又は軟化した状態で、一対のシール部S’,S’間を切断することにより、図6(b)に示すように、切断位置の前後に位置していた、溶融又は軟化したシール部S’が、弾性部材の収縮力によって収縮し、それによって、収縮したサイドシール部を有するおむつ1が得られる。
切り離し工程後のおむつ1は、前述した製品反転機77等の任意の搬送手段により下流に搬送されるが、その搬送中に、サイドシール部が自然又は強制的に冷却され、収縮して接合強度が向上したサイドシール部Sを有する使い捨ておむつ1として完成する。
【0042】
図3(a)は、本実施形態の方法により製造されたおむつ1の収縮したサイドシール部を示す拡大平面図であり、図3(b)は、特許文献1に記載の、シール部の形成直後に強制冷却する方法により、シール部が収縮しないようにして製造した比較例のおむつのサイドシール部を示す拡大平面図である。
本実施形態の方法により製造した使い捨ておむつの収縮したサイドシール部は、比較例のおむつの収縮していないサイドシール部に比して接合強度が高い。収縮したサイドシール部の接合強度が高い理由は、サイドシール部が収縮していることによってシートの構成繊維同士の接着面積が増大したためと推定される。
このように、本実施形態の製造方法によれば、収縮したサイドシール部を有し、サイドシール部の接合強度が高いパンツ型使い捨ておむつを効率よく製造することができる。
【0043】
上述した実施形態においては、切り離し工程を、シール工程において形成したシール部S’,S’に、それらのシール部S’,S’の形成に用いたアンビルブロックを当接させた状態で行っている。そのため、シール部S’の形成のために加えた熱量を、切り離し工程におけるシール部S’の溶融又は軟化に有効に活用できる。また、切り離し位置の精度を向上させることができる。
ここでいう、シール部S’の形成に用いたアンビルブロックを当接させる態様には、シール部の形成後にアンビルブロックをアンビルロールの周面に対して下降させて、アンビルブロックの凸状部751とシール部S’との接触を一旦断絶させた後、再びをアンビルブロックを上昇させて凸状部751をシール部S’に当接させる場合も含まれるが、シール工程から切り離し工程への搬送を、シール部を、シールの形成に用いたアンビルブロックに当接した状態を維持して行い、シール工程後、切り離し工程で切り離すまで、凸状部751を継続してシール部S’に当接させておくことが、切り離し工程におけるシール部S’の溶融又は軟化の観点から一層好ましい。
【0044】
また、重ね合された外包材の連続体(おむつの連続体100)は、ヒートシール領域における外包材の前記帯状シート及び/又は弾性部材に塗布した接着剤が完全に固化している状態で、シール工程に供給することが、切り離し工程で、シール部S’,S’を切り離したときに、切断された弾性部材が確実にそれを挟むシートとともに収縮するようにする観点から好ましい。なお、その場合、シール工程において、シール部S’に存在する接着剤を再溶融させることが、シール部S’の柔軟性を高め、切り離し工程においてシール部S’,S’間を切断したときに、シール部S’が確実に収縮するようにする観点から好ましい。
【0045】
本発明のパンツ型吸収性物品の製造方法は、上した実施態様に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
【0046】
例えば、上述した実施態様により製造されるパンツ型使い捨ておむつ1は、その外包材11が、長手方向中央部において内方に括れており、腹側部A、背側部B、股下部Cに亘って連続しているものであるが、本発明のパンツ型吸収性物品の製造方法により製造されるパンツ型吸収性物品は、腹側部Aに配される腹側シート部材と背側部Bに配される背側シート部材とに分割された分割外包材を有するパンツ型使い捨ておむつであってもよい。
【0047】
また、上述した実施態様においては、シールブロック710,アンビルブロック750により第1のシール部を形成し、シールブロック720,アンビルブロック750により第2のシール部を形成し、更に、シールブロック730,アンビルブロック750により第3のシール部を形成し、第1〜第3のシール部を重ねて形成することで形成される一対のシール部S’,S’間を切断したが、一回のヒートシールのみで、切り離し工程で切り離される一対のシール部S’,S’を形成しても良いし、2回又は4回以上のヒートシールにより、切り離し工程で切り離される一対のシール部S’,S’を形成しても良い。
また、上述した実施態様においては、シールロールを、3つ用いたが、これに制限されず、1つでもよく、2つでも良く、4つ以上でもよい。
【0048】
また、本発明のパンツ型吸収性物品の製造方法は、パンツ型使い捨ておむつ以外に、パンツ型生理用ナプキン、パンツ型失禁パッド、更には、吸収性本体ないし吸収性コアを具備しない、サニタリーショーツ、使い捨て下着などのその他のパンツ型の着用物品の製造にも好適である。
【実施例】
【0049】
〔実施例〕
シール強度を測定する積層サンプルシートを作製した。坪量20g/m2のエアースルー不織布と接着剤を塗布した坪量17g/m2のスパンボンド不織布の間に糸ゴムを挟み込み、スパンボンド不織布が内側となるように折り合わせた後、アンビルブロックに当接させた状態でヒートシール,製品カットを行った。エアースルー不織布,スパンボンド不織布は、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンが芯と鞘の構造からなる芯鞘複合繊維で形成されたものを用いた。ヒートシールには図4の装置を用い、シールブロックを150℃,アンビルブロックを180℃の条件でヒートシールを行った。ヒートシールによって形成された接合部は矩形の形状をしていた。接着剤は、ホットメルト型の接着剤(スチレン系)をシール部(接合部)が形成される領域よりも広い領域(MD方向,CD方向に連続)に、坪量8g/m2でコーターを用いて塗布し、塗布された領域にシール部(接合部)を形成した。
ヒートシール,製品カットを行った積層体を、MD方向下流側,MD方向上流側に分け、それぞれCD方向に30mmの長さで切断し、MD方向50mm、CD方向30mmの大きさの積層サンプルシートを得た。
尚、CD方向,MD方向は図8のCD方向,MD方向と一致している。操作を別に作製した積層体10枚についても行い、合計でMD方向下流側,MD方向上流側それぞれ10個ずつの積層サンプルシートを用意した。
〔比較例〕
比較例には、糸ゴムを挟み込んでいない以外は実施例と同様にして積層サンプルシートを作製した。
【0050】
〔評価〕
これらの積層サンプルシートについて、以下に示すシール強度の測定を行い、得られた値の平均値を算出した。その結果を以下の表1に示す。
〔シール強度の測定〕
得られたサンプルシートについて、接合されていない端部(短辺)において、不織布を2枚ずつに2つに分けた。2つに分けられた端部をテンシロン引っ張り試験機(オリエンテック社製、商品名「RTC−1150A」)に把持(チャック)した。把持する際は、チャック間(チャック間距離20mm)に、積層サンプルシートの接合部が位置するようにした。次いで、積層サンプルシートにおける各端部が反対方向に移動するように引張速度300mm/minで引っ張った。引っ張りによって積層サンプルシートが破断したときの最大荷重を測定し、これをシール強度とした。
【0051】
【表1】
【0052】
表1に示す結果から明らかなように、実施例の積層サンプルシートは、比較例の積層サンプルシートに比して、シール強度が大幅に向上しており、パンツ型着用物品のサイドシール部に適用した場合には、充分な強度が得られることが判る。
【符号の説明】
【0053】
1 パンツ型使い捨ておむつ(パンツ型着用物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収性コア
5 側方カフス
7 加工装置
10 吸収性本体
11 外包材
12,13 帯状シート
14 ウエスト部弾性部材
15 胴回り部弾性部材
16 レッグ部弾性部材
71〜73 シールロール
710,720,730 シールブロック
74 製品カットロール
740 カッター刃
75 アンビルロール
750 アンビルブロック
76 導入ロール
78 保持具
77 製品反転機
100 おむつの連続体(外包材の連続体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8