特許第6188237号(P6188237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188237
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】圧力検出装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/00 20060101AFI20170821BHJP
   G01L 19/14 20060101ALI20170821BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   G01L9/00 303M
   G01L9/00 303P
   G01L19/14
   H01L29/84 A
   H01L29/84 B
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-123392(P2014-123392)
(22)【出願日】2014年6月16日
(65)【公開番号】特開2016-3910(P2016-3910A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2016年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプス電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大川 尚信
(72)【発明者】
【氏名】臼井 学
(72)【発明者】
【氏名】石田 弘
(72)【発明者】
【氏名】中山 一英
(72)【発明者】
【氏名】上村 秀樹
【審査官】 濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−192447(JP,A)
【文献】 実開平03−061354(JP,U)
【文献】 国際公開第2010/016439(WO,A1)
【文献】 実開昭60−071146(JP,U)
【文献】 実開昭62−051242(JP,U)
【文献】 米国特許第06313729(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00−23/32
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティが形成されたハウジングと、前記キャビティに設置された圧力センサと、前記ハウジングに埋設されたリードフレームとを有し、前記リードフレームは、前記キャビティ内部に露出して前記圧力センサと電気的に接続される上部リードフレームと、前記ハウジングの厚み方向に延出する接続部と、前記ハウジングの底面から露出する露出部とを有し、前記露出部は、前記ハウジングの前記底面と同一平面を構成するとともに前記底面の中央から外周に向かい延出しており、前記露出部の延出端部は前記ハウジングの側面よりも内側に形成されており、 前記底面の外周において前記ハウジングの厚み方向に凹んだ逃げ部が形成されており、前記露出部の前記延出端部は前記逃げ部内に位置していることを特徴とする圧力検出装置。
【請求項2】
前記延出端部には、前記底面に対して傾斜する傾斜面が形成されており、前記傾斜面に前記ハウジングが密着していることを特徴とする請求項1に記載の圧力検出装置。
【請求項3】
前記ハウジングの前記底面の外周は、外部の支持部材に当接される当接面であり、前記当接面において、前記底面と前記露出部とが同一平面を構成するとともに、前記延出端部が前記当接面に位置していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧力検出装置。
【請求項4】
前記露出部は、前記底面から突出する突出部と、前記突出部よりも前記底面の外周側において、前記底面と同一平面を構成する平坦部とを有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の圧力検出装置。
【請求項5】
キャビティが形成されたハウジングと、前記キャビティに設置された圧力センサと、前記ハウジングに埋設されたリードフレームとを有し、
前記リードフレームは、前記キャビティ内部に露出して前記圧力センサと電気的に接続される上部リードフレームと、前記ハウジングの厚み方向に延出する接続部と、前記ハウジングの底面から露出する露出部とを有する圧力検出装置の製造方法であって、
(a)前記ハウジングの側面よりも外側に延出する前記露出部を有するリードフレームを用意して、前記ハウジングと前記リードフレームとを一体に成形して、前記露出部と、前記ハウジングの前記底面とを同一平面に形成する工程と、
(b)前記(a)の工程の後に、前記露出部を前記底面と重なる位置で切断する工程と
前記(a)の工程において、前記底面の外周に逃げ部を形成し、前記露出部は前記逃げ部を通って前記ハウジングの側面よりも外側に延出しており、前記(b)の工程において、前記逃げ部が形成された箇所で前記露出部を切断することを特徴とする圧力検出装置の製造方法。
【請求項6】
前記露出部に溝が形成されており、前記(b)の工程において、前記溝が形成された箇所において前記露出部を切断することを特徴とする請求項5に記載の圧力検出装置の製造方法。
【請求項7】
前記溝は、断面V字状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の圧力検出装置の製造方法。
【請求項8】
前記ハウジングは熱可塑性樹脂を用いて成形されていることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の圧力検出装置の製造方法。
【請求項9】
キャビティが形成されたハウジングと、前記キャビティに設置された圧力センサと、前記ハウジングに埋設されたリードフレームとを有し、前記リードフレームは、前記キャビティ内部に露出して前記圧力センサと電気的に接続される上部リードフレームと、前記ハウジングの厚み方向に延出する接続部と、前記ハウジングの底面から露出する露出部とを有し、前記露出部は、前記ハウジングの前記底面と同一平面を構成するとともに前記底面の中央から外周に向かい延出しており、前記露出部の延出端部は前記ハウジングの側面よりも内側に形成されており、 前記ハウジングの前記底面の外周は、外部の支持部材に当接される当接面であり、前記当接面において、前記底面と前記露出部とが同一平面を構成するとともに、前記延出端部が前記当接面に位置していることを特徴とする圧力検出装置。
【請求項10】
キャビティが形成されたハウジングと、前記キャビティに設置された圧力センサと、前記ハウジングに埋設されたリードフレームとを有し、前記リードフレームは、前記キャビティ内部に露出して前記圧力センサと電気的に接続される上部リードフレームと、前記ハウジングの厚み方向に延出する接続部と、前記ハウジングの底面から露出する露出部とを有し、前記露出部は、前記ハウジングの前記底面と同一平面を構成するとともに前記底面の中央から外周に向かい延出しており、前記露出部の延出端部は前記ハウジングの側面よりも内側に形成されており、 前記露出部は、前記底面から突出する突出部と、前記突出部よりも前記底面の外周側において、前記底面と同一平面を構成する平坦部とを有することを特徴とする圧力検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力検出装置に関し、特に、ハウジング内に設置された圧力センサと、圧力センサに接続されたリードフレームとを有する圧力検出装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、リードフレームの位置精度及び防水性能の高い圧力検出装置(特許文献1では、圧力センサパッケージと記載されている)に関する発明が開示されている。図13(a)は、特許文献1に記載されている従来例の圧力検出装置の底面図であり、図13(b)は、図13(a)のXIII−XIII線で切断して矢印方向から見たときの圧力検出装置の断面図である。
【0003】
図13(b)に示すように、従来例の圧力検出装置110は、圧力を検出する圧力センサ115と、圧力センサ115を収納するハウジング121と、圧力センサ115に電気的に接続されたリードフレーム131とを有する。ハウジング121にはキャビティ123が形成されており、キャビティ123に圧力センサ115が設置されている。
【0004】
リードフレーム131は、内端部131aがキャビティ123に露出して、ボンディングワイヤ117を介して圧力センサ115と電気的に接続される。リードフレーム131は、内端部131aからハウジング121の底面121b側に曲げられて、底面121bから突出して設けられている。図13(a)に示すように、底面121bから突出するリードフレーム131の外端部131bは、底面121bの外周方向に曲げられて延出部131cが形成される。
【0005】
従来例の圧力検出装置110において、ハウジング121は、樹脂材料を用いてリードフレーム131と一体に成形される。その後、ハウジング121の延出部131cは、ハウジング121の側面121aよりも外側で切断され、図13(a)及び(b)に示すように、延出部131cがハウジング121の側面121aよりも外側に延びて形成される。
【0006】
従来例の圧力検出装置110は、スマートフォン、カメラ、腕時計等の電子機器に組み込まれて使用され、ハウジング121の底面121bに支持部材や筐体(図示しない)が当接されて、圧力検出装置110が固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】再公表特許WO2010/016439号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図13(a)及び(b)に示すように、延出部131cがハウジング121の側面121aよりも外側に延びているため、圧力検出装置110を電子機器等に組み込む際、延出部131cの分だけハウジング121と支持部材や筐体等との間隔を大きく設ける必要がある。このように、延出部131cがハウジング121の側面121aよりも外側に延びて形成されることにより、圧力検出装置110の小型化が困難であるという課題が生じる。
【0009】
さらに、図13(a)及び(b)に示すように、従来例の圧力検出装置110は、ハウジング121とリードフレーム131との境界135が、ハウジング121の側面121aに露出する構成となっている。このため、ハウジング121とリードフレーム131とを一体に成形する際、金型とリードフレーム131とのわずかな隙間に樹脂が入り込み、ハウジング121の側面から外側にバリが発生する。このバリは、圧力検出装置110の小型化を阻害し、また、外観上の不具合となるため、バリを取り除く工程が必要となる。
【0010】
特許文献1には、従来例の圧力検出装置110について、切削加工によりバリを除去する方法が開示されている。図14は、切削加工後の圧力検出装置110を底面121b側から見たときの斜視図である。図14に示すように、従来例の圧力検出装置110は、リュータ等の切削工具を用いて、バリとともにリードフレーム131の延出部131cを切削している。この際、底面121bには切削凹部210が形成される。
【0011】
圧力検出装置110が電子機器に組み込まれる際に、底面121bに支持部材や筐体等が当接されて、圧力検出装置110が気密性を確保して固定される。しかしながら、切削凹部210は底面121bよりも凹んでいるため、切削凹部210には支持部材や筐体が当接されない構造となっている。このため、ハウジング121に応力分布が発生し、切削凹部121が設けられた箇所でハウジング121の変形が発生し易くなるため、気密性を確保することが困難となる場合が生じる。
【0012】
本発明は、上記課題を解決して、良好な気密性を確保するとともに小型化を実現することが可能な圧力検出装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の圧力検出装置は、キャビティが形成されたハウジングと、前記キャビティに設
置された圧力センサと、前記ハウジングに埋設されたリードフレームとを有し、前記リー
ドフレームは、前記キャビティ内部に露出して前記圧力センサと電気的に接続される上部
リードフレームと、前記ハウジングの厚み方向に延出する接続部と、前記ハウジングの底
面から露出する露出部とを有し、前記露出部は、前記ハウジングの前記底面と同一平面を
構成するとともに前記底面の中央から外周に向かい延出しており、前記露出部の延出端部
は前記ハウジングの側面よりも内側に形成され、前記底面の外周において前記ハウジングの厚み方向に凹んだ逃げ部が形成されており、前記露出部の前記延出端部は前記逃げ部内に位置していることを特徴とする。
【0014】
これによれば、リードフレームがハウジングの底面と同一平面を構成しているため、圧力検出装置を外部の電子機器に組み込む際に、同一平面を構成するハウジングの底面及びリードフレームに支持部材を当接させて支持することができる。よって、ハウジングに発生する応力分布の不均一を抑制して、ハウジングの歪みの発生を抑制できるため、外部の電子機器の筐体とハウジングとの間の気密性を確保することができる。また、リードフレームの露出部の延出端部がハウジングの側面よりも内側に形成されているため、露出部が側面よりも外側まで延出する場合に比べて、圧力検出装置の小型化が可能である。したがって、本発明の圧力検出装置によれば、良好な気密性を確保するとともに小型化を実現することが可能である。
【0015】
また、リードフレームの延出端部が逃げ部内に配置されているため、リードフレームとハウジングとの境界がハウジングの側面よりも内側に設けられる。このため、ハウジングとリードフレームとを一体成形する際にバリが発生した場合であっても、バリは逃げ部内に形成され、ハウジング外周よりも外側にバリが形成されることを防止できる。したがって、圧力検出装置の小型化を実現することができ、また、バリを除去する工程を追加する必要がないため製造コストの増大を抑制することができる。
【0016】
前記延出端部には、前記底面に対して傾斜する傾斜面が形成されており、前記傾斜面に前記ハウジングが密着していることが好ましい。これによれば、傾斜面が形成された箇所でリードフレームが薄く形成されるため、小さい荷重でリードフレームを切断することができる。したがって、ハウジングの変形を抑制して、確実に気密性を確保することが可能となる。
【0017】
前記ハウジングの前記底面の外周は、外部の支持部材に当接される当接面であり、前記当接面において、前記底面と前記露出部とが同一平面を構成するとともに、前記延出端部が前記当接面に位置していることが好ましい。これによれば、当接面において底面と露出部とが同一平面を構成するため、圧力検出装置を外部の電子機器に組み込む際に、同一平面を構成するハウジングの底面及び露出部に支持部材を当接させて支持することができる。よって、ハウジングに発生する応力分布の不均一を確実に抑制して、ハウジングの歪みの発生を抑制できるため、外部の電子機器の筐体とハウジングとの間の気密性を確保することができる。
【0018】
前記露出部は、前記底面から突出する突出部と、前記突出部よりも前記底面の外周側において、前記底面と同一平面を構成する平坦部とを有することが好ましい。これによれば、ハウジングの底面とリードフレームの平坦部とが同一平面を構成して外部の支持部材に当接されるため、ハウジングの応力分布の不均一が抑制される。また、リードフレームと外部の配線基板とをはんだ接合する際に、突出部の側面にかけてはんだフィレットが形成されやすく接合強度が高められる。
【0019】
本発明の圧力検出装置の製造方法は、キャビティが形成されたハウジングと、前記キャ
ビティに設置された圧力センサと、前記ハウジングに埋設されたリードフレームとを有し

前記リードフレームは、前記キャビティ内部に露出して前記圧力センサと電気的に接続さ
れる上部リードフレームと、前記ハウジングの厚み方向に延出する接続部と、前記ハウジ
ングの底面から露出する露出部とを有する圧力検出装置の製造方法であって、(a)前記
ハウジングの側面よりも外側に延出する前記露出部を有するリードフレームを用意して、
前記ハウジングと前記リードフレームとを一体に成形して、前記露出部と、前記ハウジン
グの前記底面とを同一平面に形成する工程と、(b)前記(a)の工程の後に、前記露出
部を前記底面と重なる位置で切断する工程と、
前記(a)の工程において、前記底面の外周に逃げ部を形成し、前記露出部は前記逃げ部を通って前記ハウジングの側面よりも外側に延出しており、前記(b)の工程において、前記逃げ部が形成された箇所で前記露出部を切断することを特徴とする。
【0020】
これによれば、(a)の工程でリードフレームの露出部とハウジングの底面とが同一平面を構成して形成されるため、圧力検出装置を外部の電子機器に組み込む際に、同一平面を構成するハウジングの底面及びリードフレームに支持部材を当接させて支持することができる。よって、ハウジングに発生する応力分布の不均一を抑制して、ハウジングの歪みの発生を抑制できるため、外部の電子機器の筐体とハウジングとの間の気密性を確保することができる。また、(b)の工程で、リードフレームの露出部が底面と重なる位置で切断されるため、露出部の延出端部がハウジングの側面よりも内側に形成される。よって、露出部がハウジングの側面よりも外側まで延出する場合に比べて、圧力検出装置の小型化が可能である。したがって、本発明の圧力検出装置の製造方法によれば、良好な気密性を確保するとともに小型化を実現することが可能である。
【0021】
また、逃げ部が形成された箇所で露出部が切断されるため、ハウジングに加えられる荷重を小さく抑制して、容易に露出部を切断することが可能である。また、リードフレームとハウジングとの境界が逃げ部に形成されるため、(a)の工程で、ハウジングとリードフレームとを一体成形する際にリードフレームとハウジングとの境界にバリが発生した場合であっても、バリは逃げ部内に形成され、ハウジングの側面よりも外側にバリが形成されることを防止できる。したがって、バリを除去する工程を省略して、製造コストを低減することができる。

以上
【0022】
前記露出部に溝が形成されており、前記(b)の工程において、前記溝が形成された箇所において前記露出部を切断することが好ましい。これによれば、溝が形成された箇所でリードフレームが薄く形成されるため、小さい荷重でリードフレームを切断することができる。したがって、ハウジングの変形を抑制して、確実に気密性を確保することが可能となる。
【0023】
前記溝は、断面V字状に形成されていることが好ましい。これによれば、断面V字状の溝の頂部に応力が集中するため、より小さい荷重でリードフレームを切断することができる。
【0024】
前記ハウジングは熱可塑性樹脂を用いて成形されていることが好ましい。これによれば、リードフレームを成形金型内に配置して樹脂成形することにより、リードフレームとハウジングの底面とで確実に同一平面を構成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の圧力検出装置及びその製造方法によれば、良好な気密性を確保するとともに小型化を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の実施形態における圧力検出装置の斜視図である。
図2】本実施形態の圧力検出装置の上面図である。
図3】本実施形態の圧力検出装置の底面図である。
図4図3のIV−IV線で切断して矢印方向から見たときの圧力検出装置の断面図である。
図5図3のV−V線で切断して矢印方向から見たときの圧力検出装置の断面図である。
図6】本実施形態の圧力検出装置を底面側から見たときの部分拡大斜視図である。
図7】本実施形態の圧力検出装置を電子機器に組み込んだときの断面図である。
図8】圧力検出装置に配線基板を接続したときの部分拡大断面図である。
図9】第2の実施形態における圧力検出装置を示し、(a)図3のIV−IV線と同じ箇所で切断したときの断面図であり、(b)図3のV−V線と同じ箇所で切断したときの断面図である。
図10】第3の実施形態における圧力検出装置の断面図である。
図11】本発明の圧力検出装置の製造方法を説明するための工程図であり、(a)リードフレームを成形金型内に設置する工程、及び(b)リードフレームと一体にハウジングを樹脂成形する工程を示す。
図12図11の続きを示す工程図であり、(a)リードフレームを切断する工程、及び(b)ハウジング内に圧力センサを設置する工程を示す。
図13】(a)従来例の圧力検出装置の底面図、及び(b)図13(a)のXIII−XIII線で切断して矢印方向から見たときの断面図である。
図14】切削加工後の従来例の圧力検出装置を底面側から見たときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、具体的な実施形態の圧力検出装置及びその製造方法について説明をする。なお、各図面の寸法は適宜変更して示している。
【0028】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態における圧力検出装置の斜視図である。図2は、圧力検出装置の上面図であり、図3は、圧力検出装置の底面図である。また、図4は、図3のIV−IV線で切断して矢印方向から見たときの圧力検出装置の断面図である。図5は、図4と異なる方向から見た断面図であり、図3のV−V線で切断して矢印方向から見たときの圧力検出装置の断面図である。
【0029】
図1に示すように、本実施形態の圧力検出装置10は、キャビティ23が形成されたハウジング21と、キャビティ23に設置された圧力センサ15と、ハウジング21に埋設され、キャビティ23内に露出するリードフレーム31とを有する。
【0030】
本実施形態において、ハウジング21は熱可塑性樹脂を用いて樹脂成形により形成される。熱可塑性樹脂として、例えば液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer、LCP)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネイト(PC)等を用いることができる。
【0031】
図4及び図5に示すように、ハウジング21に形成されたキャビティ23は、深さ方向に順に、圧力導入凹部24と、圧力センサ収納凹部25とを有して構成される。圧力センサ収納凹部25の底面に圧力センサ15が設置され、圧力導入凹部24には圧力センサ15を覆ってポッティング樹脂16が設けられている。ポッティング樹脂16は、ゲル状の粘弾性体であり、例えばシリコーン樹脂やフッ素樹脂が用いられる。
【0032】
図2に示すように、圧力センサ収納凹部25は、圧力センサ15の外形に対応する平面略矩形状である。また、圧力導入凹部24は、圧力センサ収納凹部25の対角線の長さを1辺とする大きさの平面略矩形状である。圧力導入凹部24と圧力センサ収納凹部25とは位相が45°異ならせて形成されている。これにより、圧力導入凹部24から外部の圧力を導入することができ、また、圧力センサ収納凹部25の空間を圧力導入凹部24よりも小さくすることで、ボンディングワイヤ17と圧力センサ15をポッティング樹脂16により確実に覆うことができる。
【0033】
圧力センサ15は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)構造であり、圧力を受けるダイヤフラム部と、ダイヤフラム部の変形を検知する歪み検知素子とを有している。歪み検知素子として例えばピエゾ抵抗素子を用いることができ、歪み検知素子はダイヤフラム部の周辺に設けられる。圧力導入凹部24のポッティング樹脂16に加えられた圧力に応じてダイヤフラム部が変形し、ピエゾ抵抗素子の抵抗が変化する。この抵抗変化に基づいて圧力検出装置10に印加される圧力を検出することができる。
【0034】
図4に示すように、リードフレーム31は、キャビティ23内部に露出して圧力センサ15と電気的に接続される上部リードフレーム31aと、ハウジング21の厚み方向に延出する接続部31dと、ハウジング21の底面21bから露出する露出部31eとを有して構成される。圧力センサ15の検出信号はリードフレーム31を介して外部回路に伝達される。
【0035】
図4に示すように、上部リードフレーム31aは、ハウジング21の外周側から圧力センサ収納凹部25に向かって曲げられている。上部リードフレーム31aは圧力導入凹部24に露出して設けられており、露出する上部リードフレーム31aと圧力センサ15とがボンディングワイヤ17によって接続されている。なお、図2に示すように、上部リードフレーム31aは圧力導入凹部24のコーナーにそれぞれ露出している。
【0036】
また、図4に示すように、第1の屈曲部31pで上部リードフレーム31aから曲げられた接続部31dが、ハウジング21の厚さ方向に延出し、ハウジング21の底面21bから露出している。底面21bに露出するリードフレーム31は、第2の屈曲部31qで上部リードフレーム31aと同じ方向に曲げられて、ハウジング21の底面21bから突出する突出部31bが形成される。本実施形態において、リードフレーム31はハウジング21と一体に樹脂成形されており、上部リードフレーム31aと突出部31bとの間、及び上部リードフレーム31aと突出部31bとを繋ぐ接続部31dの周囲は、ハウジング21を構成する樹脂材料により埋められている。これにより、キャビティ23内部と、ハウジング21の外部とを繋ぐリーク経路を長くして、気密性を向上させることができる。
【0037】
なお、図5に示すように、リードフレーム31の接続部31dは、第5の屈曲部31tでハウジング21の厚み方向に対して交差する方向に曲げられている。これにより、リーク経路がさらに長くなり気密性が向上する。
【0038】
また、図4に示すように、突出部31bは上部リードフレーム31aと同じ方向に設けられているため、樹脂成形の際に上下方向に挟んで固定することができ、リードフレーム31の位置精度を向上させることができる。
【0039】
図3に示すように、ハウジング21を底面21b側から見たときに、突出部31bは、第3の屈曲部31rで底面21bの中央側から外周方向に約90°曲げられている。底面21bには、複数のリードフレーム31が設けられており、それぞれ異なる方向に底面21bの中央側から外周側に延びて設けられている。
【0040】
本実施形態の圧力検出装置10において、図5に示すように、底面21bに露出する露出部31eは、底面21bから突出する突出部31bと、突出部31bよりも底面21bの外周側において、底面21bと同一平面を構成する平坦部31cとを有している。平坦部31cは、突出部31bと連続して形成され、第4の屈曲部31sで突出部31bよりもハウジング21の厚み方向に凹むように突出部31bと段差を形成して曲げられて、底面21bの中央から外周方向に延出する。そして、露出部31eの延出端部31fは、ハウジング21の側面21eよりも内側に形成されている。これにより、例えば、圧力検出装置10の周囲に外部の支持部材や筐体等が設けられる際に、露出部31eが側面21eよりも外側まで延出する場合に比べて、外部の支持部材や筐体等(図示しない)とハウジング21の側面21eとの間隔を小さくすることができ、圧力検出装置10の小型化が可能である。
【0041】
また、図3に示すように、それぞれのリードフレーム31において、底面21bの中央部側で突出部31bが形成されるとともに、突出部31bよりも外周側において、平坦部31cと底面21bとが同一平面を構成している。これにより、ハウジング21の底面21bにおいて、外周を一巡して底面21bよりも突出する部分がない平坦な面が形成される。よって、圧力検出装置10を電子機器に組み込む際、ハウジング21の底面21bの外周を当接面21cとして外部の支持部材に当接させることができる。これにより、ハウジング21に発生する応力分布の不均一を抑制して、ハウジング21の歪みの発生を抑制できるため、外部の電子機器の筐体とハウジング21との間の気密性を確保することができる。
【0042】
以上のように、本実施形態の圧力検出装置10によれば、良好な気密性を確保するとともに小型化を実現することが可能である。
【0043】
図6は、本実施形態の圧力検出装置を底面側から見たときの部分拡大斜視図である。図6に示すように、底面21bの外周においてハウジング21の厚み方向に凹んだ逃げ部22が形成されている。逃げ部22の凹面22aは、ハウジング21の底面21bから厚み方向に凹んで形成され、逃げ部22の側面22bは、ハウジング21の側面21eから内方に凹んで形成されている。
【0044】
図6に示すように、露出部31eは、ハウジング21の底面21bの中央から外周に向かい延出しており、底面21bの外周に位置する当接面21cにおいて、平坦部31cと底面21bとが同一面を構成している。露出部31eの延出端部31fは、逃げ部22の側面22bから突出して逃げ部22内に位置している。すなわち、露出部31eの端面31jは、ハウジング21の側面21eよりも内側に形成されている。
【0045】
本実施形態の圧力検出装置10は、ハウジング21をリードフレーム31と一体に樹脂成形したものであり、樹脂成形の際に成形金型とリードフレームとのわずかな隙間(クリアランス)に樹脂材料が入り込み、成形後にバリとなって残る場合がある。
【0046】
本実施形態において、図6に示すようにリードフレーム31の延出端部31fが逃げ部22内に位置しているため、リードフレーム31とハウジング21との境界35が、ハウジング21の側面21eよりも内側に設けられる。このため、ハウジング21とリードフレーム31とを一体成形する際に、例えば延出端部31fの側面31iにバリが発生した場合であっても、バリは逃げ部22内に形成され、ハウジング21の側面21eよりも外側にバリが形成されることを防止できる。したがって、バリが発生しても、圧力検出装置10の小型化に影響せず、また、外観上の不具合とならないため、バリを除去する工程を追加する必要がなく、製造コストの増大を防止できる。
【0047】
また、逃げ部22は、当接面21cの幅方向の一部に形成されているため、逃げ部22を形成した場合であっても、底面21bの外周を一巡して底面21bよりも突出する部分がない平坦な面が形成される。よって、圧力検出装置10が電子機器に組み込まれる際に、同一平面を構成する平坦部31cと底面21bからなる当接面21cが、支持部材や筐体に当接することになるため、ハウジング21に発生する応力分布の不均一を抑制して、ハウジング21の歪みの発生を抑制でき、外部の電子機器の筐体とハウジング21との間の気密性を確保することができる。なお、図6に示すように、露出部31eの延出端部31fが、逃げ部22の側面22bから突出して形成されているため、平坦な部分の面積を大きくして、逃げ部22近傍における応力分布の不均一を抑制できる。
【0048】
本実施形態において、露出部31eの端面31jは、圧力検出装置10の製造工程において、ハウジング21の側面21eよりも外側に延びて連続するリードフレーム31を切断して形成された切断面である。図5及び図6に示すように、延出端部31fには、底面21bに対して傾斜する傾斜面31hが形成されている。傾斜面31hは、端面31jと連続して、延出端部31fの上面(ハウジング21と密着する面)側に形成されている。
【0049】
図6に示すように、逃げ部22には、逃げ部22の凹面22aと段差を有して突出する載置部22cが形成されており、露出部31eの延出端部31fは載置部22cの上に形成されている。そして、載置部22cに形成された係合部22dは、傾斜面31hと係合して形成されており、傾斜面31hにハウジング21の係合部22dが密着している。
【0050】
図5及び図6に示すように、傾斜面31hが形成された箇所でリードフレーム31が薄く形成されるため、リードフレーム31を切断する工程において、小さい荷重でリードフレーム31を切断することができる。したがって、ハウジング21に加えられる荷重を低減できるため、ハウジング21の変形を抑制して確実に気密性を確保することが可能となる。また、リードフレーム31の上面側に傾斜面31hを形成することにより、切断工程において、逃げ部22の凹面22a及び載置部22cから離れた位置でリードフレーム31に切り込みが形成される。したがって、切断工程におけるハウジング21の変形を確実に防止できる。
【0051】
本実施形態において、図6に示すように、2つの露出部31e、31eが平行に形成されており、露出部31e、31eのそれぞれの延出端部31f、31fが、1つの逃げ部22内に位置している。こうすれば、リードフレーム31を切断する工程において、2つのリードフレーム31、31を同時に切断することができる。
【0052】
なお、図6に示す態様に限定されず、複数のリードフレーム31のそれぞれに逃げ部22を形成してもよい。また、延出端部31fの端面31j、傾斜面31h、及び係合部22d等の形状についても適宜変形することができる。
【0053】
図7は、本実施形態の圧力検出装置を電子機器に組み込んだときの断面図である。図7に示すように電子機器の筐体45に向かいあって圧力検出装置10が配置されており、ハウジング21の上面21aに設けられた壁部21dと筐体45とが当接している。上面21aと筐体45との間にOリング46が設けられており、Oリング46に荷重を加えて押圧するように、圧力検出装置10が固定される。これにより、圧力検出装置10と電子機器との間の気密性を確保することができ、良好に圧力を検出することができる。
【0054】
また、図7に示すように、圧力検出装置10を支持する支持部材41が、ハウジング21の底面21b及び周囲を囲んで設けられている。支持部材41は中空円筒状に形成されており、支持部材41の内周面から突出して載置面41aが設けられている。ハウジング21の底面21bとリードフレーム31の平坦部31cとで構成される当接面21cが載置面41aに当接されており、また、リードフレーム31の突出部31bは支持部材41で囲まれた空間内に位置する。
【0055】
本実施形態の圧力検出装置10によれば、露出部31eの延出端部31fはハウジング21の側面21eよりも内側に形成されている。このため、図13に示す従来例の圧力検出装置110のように、リードフレーム131が側面21eよりも外側に延出している場合に比べて、圧力検出装置10の小型化が可能である。また、図7に示すように、ハウジング21の側面21eと支持部材41との隙間を小さくすることができ、電子機器の小型化が可能である。
【0056】
本実施形態の圧力検出装置10によれば、リードフレーム31がハウジング21の底面21bと同一平面を構成して設けられているため、圧力検出装置10を外部の電子機器に組み込む際に、同一平面を構成するハウジング21の底面21b及びリードフレーム31に支持部材41を隙間なく当接させて支持することができる。したがって、ハウジング21に発生する応力分布の不均一を抑制することができ、ハウジング21の歪みの発生を抑制して圧力センサ15の出力変動を低減できる。
【0057】
また、ハウジング21に発生する応力分布の不均一を抑制することができるため、ハウジング21の上面21aの全周に亘って歪みが低減されて、外部の電子機器の筐体45とハウジング21との間の気密性を確保することができる。
【0058】
したがって、本実施形態の圧力検出装置10によれば、良好な気密性を確保するとともに小型化を実現することが可能である。
【0059】
また、図6に示すように、支持部材41は、Oリング46と重なる位置において底面21bの外周の当接面21cに当接される。よって、圧力センサ15と重ならない位置でOリング46及び支持部材41の載置面41aが設けられるため、外部の電子機器に組み込む際の応力が圧力センサ15に直接加えられることを防止して、圧力センサ15の出力変動を低減できる。
【0060】
なお、本実施形態において、「同一平面を構成する」とは、リードフレーム31とハウジング21の底面21bとが、段差なく平坦な状態で連続していることが望ましいが、これに限定されない。例えば、リードフレーム31とハウジング21とを一体に樹脂成形する際のリードフレーム31の設置誤差や、ハウジング21を構成する樹脂材料の収縮、変形等によって、リードフレーム31とハウジング21の底面21bとにわずかな段差が形成されていても、同様の効果を得ることができる。
【0061】
図8は、圧力検出装置に配線基板を接続したときの部分拡大断面図である。本実施形態において、フレキシブルプリント基板等の配線基板51が用いられる。図8に示すように、配線基板51は、基板52と、基板52に形成された配線53と、配線53を保護する保護層54を有して構成される。基板52は、例えばポリイミド樹脂やガラスエポキシ樹脂等を用いて形成され、配線53は、Cu等の金属材料やCuNi等の合金材料等、またはこれらを複数層積層して形成される。また、保護層54はソルダーレジストやカバーフィルムであり、接続箇所以外の配線53の上に形成される。
【0062】
本実施形態において、配線基板51の配線53とリードフレーム31の突出部31bとが、はんだ56を用いて接合される。これにより、図8に示すように突出部31bの側面にかけてはんだフィレットが形成されやすくなり、接合強度が高められる。
【0063】
また、図8に示すように、ハウジング21の底面21bには凹部28が設けられており、凹部28内に突出部31bの側面が露出している。凹部28は、リードフレーム31とハウジング21とを一体に樹脂成形する際に、リードフレーム31を成形金型内に保持することで形成されたものであり、これにより、リードフレーム31を確実に位置決めすることができる。また、図8に示すように、凹部28内に突出部31bの側面が露出しており、凹部28内にかけてはんだフィレットを形成することができるため、配線基板51と接続する際のはんだ接合面積が大きくなり、接合強度を向上させることができる。
【0064】
<第2の実施形態>
図9は第2の実施形態における圧力検出装置を示し、図9(a)は、図3のIV−IV線と同じ箇所で切断したときの断面図であり、図9(b)は、図3のV−V線と同じ箇所で切断したときの断面図である。
【0065】
本実施形態の圧力検出装置11は、図9に示すように、ハウジング21の底面21bから露出するリードフレーム31の構造が異なっており、その他の構成は第1の実施形態と同様である。本実施形態において底面21bから露出するリードフレーム31は、突出部31bが設けられておらず、ハウジング21の底面21bの全面において、リードフレーム31の平坦部31cと底面21bとが同一平面を構成している。
【0066】
このような態様であっても、圧力検出装置11を電子機器に組み込む際に、同一平面を構成するハウジング21の底面21b及びリードフレーム31に支持部材41を当接させて支持することができる。よって、ハウジング21に発生する応力分布の不均一を抑制することができ、ハウジング21の歪みの発生を抑制して圧力センサ15の出力変動を低減できる。また、ハウジング21の歪みを低減できるため、外部の電子機器の筐体45とハウジング21との間の気密性を確保することができる。
【0067】
また、図9(b)に示すように、リードフレーム31の延出端部31fは、ハウジング21の側面21eよりも内側に形成されているため、圧力検出装置11の小型化が可能である。
【0068】
<第3の実施形態>
第1の実施形態の及び第2の実施形態の圧力検出装置10、11において、キャビティ23に露出する上部リードフレーム31aと、底面21bから突出する突出部31bとは、同じ方向に曲げられて、断面U字状に形成されているが、これに限定されない。図10は、第3の実施形態の圧力検出装置の断面図である。図10に示すように、ハウジング21の内部から底面21bに露出するリードフレーム31は、それぞれハウジング21の外周方向に曲げられて突出部31bを形成する。さらに、突出部31bよりも外周側において、突出部31bと段差を形成するように曲げられて、底面21bと同一平面を構成する平坦部31cが形成される。
【0069】
このような態様においても、突出部31bを配線基板51(図示しない)と接続することができ、突出部31bの側面にかけてはんだフィレットが形成されやすく接合強度が高められる。また、ハウジング21の底面21bの外周において、底面21bと同一平面を構成して平坦部31cが設けられているため、ハウジング21の底面21bの外周に亘って支持部材41(図示しない)を当接させることができる。したがって、ハウジング21に発生する応力分布の不均一を抑制することができ、ハウジング21の歪みの発生を抑制して圧力センサ15の出力変動を低減できる。
【0070】
本実施形態においても、図9(b)に示すように、リードフレーム31の延出端部31fは、ハウジング21の側面21eよりも内側に形成されているため、圧力検出装置11の小型化が可能である。
【0071】
また、突出部31bが圧力センサ収納凹部25よりもハウジング21の外周側に形成されている。このため、はんだ接続の際の応力が、直接圧力センサ収納凹部25に加えられることを緩和して、圧力センサ15の出力変動を低減できる。また、第1の実施形態と比べて、リードフレーム31の屈曲部の箇所(第3の屈曲部31r)が少なくなり、簡便に製造することができる。
【0072】
<圧力検出装置の製造方法>
図11及び図12は、第1の実施形態の圧力検出装置の製造方法を説明するための工程図である。図11(a)はリードフレームを成形金型内に設置する工程を示し、図11(b)はリードフレームと一体にハウジングを樹脂成形する工程を示す。また、図12(a)は、図11(b)の続きを示す工程であり、リードフレームを切断する工程を示し、図12(b)はハウジング内に圧力センサを設置する工程を示す。
【0073】
図11(a)の工程では、上金型60と下金型62を用意し、上金型60と下金型62との間にリードフレーム31を固定する。図4に示すように、リードフレーム31は、あらかじめ上部リードフレーム31aと突出部31bとが同じ方向に曲げられており、図11(a)に示すように、上金型60と下金型62とで上部リードフレーム31a及び突出部31bを挟んで、リードフレーム31が金型内に固定される。また、リードフレーム31には、平坦部31cと連続して上金型60と下金型62の外側に延出する延出部31kが設けられている。また、平坦部31cと延出部31kとの境界には、上面側に溝部31gが形成されている。図11(a)に示すように、溝部31gは上金型60と下金型62との空間内に位置して形成されている。なお、溝部31gは、断面V字状に形成されている。
【0074】
図11及び図12には、1つの圧力検出装置10についての製造工程を示しているが、これに限定されない。上部リードフレーム31a、接続部31d、突出部31b等の折り曲げ構造を複数個形成したリードフレームを用いて、複数の圧力検出装置を同時に製造することも可能である。
【0075】
次に図11(b)の工程では、上金型60と下金型62との間の空間に、熱可塑性樹脂を注入し、リードフレーム31と一体にハウジング21を樹脂成形する。熱可塑性樹脂として、例えば液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer、LCP)等、上述の材料を用いることができる。この工程により、下金型62の上面に平坦部31cの下面が密着した状態で樹脂成形されるため、平坦部31cとハウジング21の底面21bとが同一平面に形成される。また、ハウジング21を樹脂成形する際に、溝部31gも樹脂材料により充填して成形される。その後、熱可塑性樹脂を冷却して固化し、上金型60及び下金型62を離型する。
【0076】
図12(a)の工程では、切断治具64を用いてリードフレーム31を切断する。切断治具64には、リードフレーム31の溝部31gと対向する位置に刃65が設けられており、リードフレーム31の溝部31gと重なる位置に刃65が押し当てられる。これにより、溝部31gが形成された面の反対側の面からリードフレーム31に切り込みが形成され、その後、リードフレーム31の延出部31kを固定した状態でハウジング21及びリードフレーム31を上方に軽く押し上げることで、延出部31kが分離される。
【0077】
図12(a)の工程において、溝部31gが形成された箇所ではリードフレーム31が薄く形成されるため、より小さい荷重でリードフレーム31の延出部31kを切断することができる。また、溝部31gがリードフレーム31の上面側に形成されているため、リードフレーム31を切断する際に、刃65がハウジング21の本体部分に達することを防止して、ハウジング21の破損、変形を防止することができる。また、図11(b)の工程で樹脂成形する際に、図6に示す逃げ部22を形成することにより(図11図12では省略して示す)、ハウジング21に刃65が接触することを防止して、容易にリードフレーム31の延出部31kを切断できる。
【0078】
その後、図12(b)の工程で、キャビティ23内に圧力センサ15を設置し、圧力センサ15と上部リードフレーム31aとをボンディングワイヤ17により電気的に接続する。そして、ポッティング樹脂16により、圧力センサ15、ボンディングワイヤ17等を覆って保護する。以上の工程により、圧力検出装置10を製造することができ、図12(b)に示すように、溝部31gの一部が傾斜面31hとして延出端部31fに残っており、また、溝部31gを充填して形成された係合部22dが傾斜面31hに密着している。
【0079】
本実施形態の圧力検出装置10の製造方法によれば、図11(a)、(b)の工程でリードフレーム31の露出部31eとハウジング21の底面21bとが同一平面を構成して形成されるため、圧力検出装置10を外部の電子機器に組み込む際に、同一平面を構成するハウジング21の底面21b及びリードフレーム31に支持部材を当接させて支持することができる。よって、ハウジングに発生する応力分布の不均一を抑制して、ハウジングの歪みの発生を抑制できるため、外部の電子機器の筐体とハウジング21との間の気密性を確保することができる。
【0080】
また、図12(a)の工程で、リードフレーム31の露出部31eが底面21bと重なる位置で切断されるため、露出部31eの延出端部31fがハウジング21の側面21eよりも内側に形成される。よって、露出部31eがハウジング21の側面21eよりも外側まで延出する場合に比べて、圧力検出装置10の小型化が可能である。したがって、本実施形態の圧力検出装置10の製造方法によれば、良好な気密性を確保するとともに小型化を実現することが可能である。
【符号の説明】
【0081】
10、11、12 圧力検出装置
15 圧力センサ
21 ハウジング
21a 上面、21b 底面、21c 当接面,21d 壁部、21e 側面
22 逃げ部
22a 凹面、22b 側面、22c 載置部、22d 係合部
23 キャビティ
24 圧力導入凹部
25 圧力センサ収納凹部
28 凹部
31 リードフレーム
31a 上部リードフレーム、31b 突出部、31c 平坦部、31d 接続部、
31e 露出部、31f 延出端部、31g 溝部、31h 傾斜面、31i 側面、
31j 端面、31k 延出部、31p 第1の屈曲部、31q 第2の屈曲部、
31r 第3の屈曲部、31s 第4の屈曲部、31t 第5の屈曲部
41 支持部材
45 筐体
51 配線基板
60 上金型
62 下金型
64 切断治具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14