特許第6188262号(P6188262)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6188262
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】ウェットシート収納容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/08 20060101AFI20170821BHJP
   B65D 83/08 20060101ALI20170821BHJP
   A47K 10/42 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   B65D43/08 100
   B65D83/08 B
   A47K10/42 B
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-192477(P2016-192477)
(22)【出願日】2016年9月30日
【審査請求日】2017年5月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】三浦 昭晃
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−131913(JP,A)
【文献】 特開2012−096817(JP,A)
【文献】 特開2010−241464(JP,A)
【文献】 実開平06−003852(JP,U)
【文献】 特開2008−007130(JP,A)
【文献】 特開2015−160654(JP,A)
【文献】 特開2012−250763(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/108134(WO,A1)
【文献】 特開2011−051640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/08
A47K 10/42
B65D 83/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有し、ロール状に巻回された状態のウェットシートを前記開口部から収納する容器本体と、前記開口部を開閉するように前記容器本体に取り付けられ、上面に前記ウェットシートを外側に取り出すための取出部を有する蓋体と、を備えるウェットシート収納容器であって、
前記容器本体の上端部の外周面には、周方向に沿って前記蓋体を螺着するための雄ネジ部が複数本形成され、
前記蓋体の内周面には、前記雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が前記複数本形成され、
前記雄ネジ部は、
前記蓋体装着時の前記蓋体の回転方向の上流側に形成された基端部と、
前記蓋体の回転方向の下流側に形成された先端部と、を備え、
前記先端部の高さは、前記基端部の高さよりも高くなるように形成され、
前記雄ネジ部は、前記先端部の長さが前記基端部の長さよりも短くなるように形成されていることを特徴とするウェットシート収納容器。
【請求項2】
開口部を有し、ロール状に巻回された状態のウェットシートを前記開口部から収納する容器本体と、前記開口部を開閉するように前記容器本体に取り付けられ、上面に前記ウェットシートを外側に取り出すための取出部を有する蓋体と、を備えるウェットシート収納容器であって、
前記容器本体の上端部の外周面には、周方向に沿って前記蓋体を螺着するための雄ネジ部が複数本形成され、
前記蓋体の内周面には、前記雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が前記複数本形成され、
前記雄ネジ部は、
前記蓋体装着時の前記蓋体の回転方向の上流側に形成された基端部と、
前記蓋体の回転方向の下流側に形成された先端部と、を備え、
前記先端部の高さは、前記基端部の高さよりも高くなるように形成され、
前記雄ネジ部は、前記先端部の高さをa、前記基端部の高さをbとしたとき、前記先端部の高さと前記基端部の高さの比が0.7<b/a<1.0の範囲内となるように形成されていることを特徴とするウェットシート収納容器。
【請求項3】
開口部を有し、ロール状に巻回された状態のウェットシートを前記開口部から収納する容器本体と、前記開口部を開閉するように前記容器本体に取り付けられ、上面に前記ウェットシートを外側に取り出すための取出部を有する蓋体と、を備えるウェットシート収納容器であって、
前記容器本体の上端部の外周面には、周方向に沿って前記蓋体を螺着するための雄ネジ部が複数本形成され、
前記蓋体の内周面には、前記雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が前記複数本形成され、
前記雄ネジ部は、
前記蓋体装着時の前記蓋体の回転方向の上流側に形成された基端部と、
前記蓋体の回転方向の下流側に形成された先端部と、を備え、
前記先端部の高さは、前記基端部の高さよりも高くなるように形成され、
前記雄ネジ部は、前記先端部の長さをc、前記基端部の長さをdとしたとき、前記先端部の長さと前記基端部の長さの比が1.0<d/c<5.0の範囲内となるように形成されていることを特徴とするウェットシート収納容器。
【請求項4】
開口部を有し、ロール状に巻回された状態のウェットシートを前記開口部から収納する容器本体と、前記開口部を開閉するように前記容器本体に取り付けられ、上面に前記ウェットシートを外側に取り出すための取出部を有する蓋体と、を備えるウェットシート収納容器であって、
前記容器本体の上端部の外周面には、周方向に沿って前記蓋体を螺着するための雄ネジ部が複数本形成され、
前記蓋体の内周面には、前記雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が前記複数本形成され、
前記雄ネジ部は、
前記蓋体装着時の前記蓋体の回転方向の上流側に形成された基端部と、
前記蓋体の回転方向の下流側に形成された先端部と、を備え、
前記先端部の高さは、前記基端部の高さよりも高くなるように形成され、
前記先端部の前記基端部側の端部には、前記基端部に向かうにつれて内側に傾斜する傾斜部が設けられていることを特徴とするウェットシート収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットシートを収納するウェットシート収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、清拭や化粧などに使用される衛生用品として、不織布製のシートに水やアルコールなどの液体成分を含浸させたウェットシートが知られている。ロール状に巻回された状態のウェットシートを収納するウェットシート収納容器は、例えば、容器本体が上下に分離可能に構成され、上側の容器本体(以下、蓋体)の上面にはスリットや小孔からなるウェットシートの取出部が形成されているものが広く知られている。
【0003】
上記従来のウェットシート収納容器は、下側の容器本体(以下、容器本体)の上端部の外周面に雄ネジ部が形成されるとともに、蓋体の内周面に容器本体の雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3621920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のウェットシート収納容器は、蓋体を容器本体に回しながら装着する際に空回りしないようにネジ部の高さが設計されているため、製造時に蓋体を容器本体に上方から押し込んで嵌め合わせようとした場合に嵌めにくく装着性が悪いという課題がある。
一方、製造時の装着性を重視してネジ部の高さを一定に低く設計した場合、蓋体を容器本体に回しながら装着する際に空回りしやすくなるという課題がある。
【0006】
本発明は、蓋体を回しながら装着する時の蓋体の空回りを抑制しつつ、製造時の蓋体の上方からの装着性を向上させることが可能なウェットシート収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項に記載の発明は
開口部を有し、ロール状に巻回された状態のウェットシートを前記開口部から収納する容器本体と、前記開口部を開閉するように前記容器本体に取り付けられ、上面に前記ウェットシートを外側に取り出すための取出部を有する蓋体と、を備えるウェットシート収納容器であって、
前記容器本体の上端部の外周面には、周方向に沿って前記蓋体を螺着するための雄ネジ部が複数本形成され、
前記蓋体の内周面には、前記雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が前記複数本形成され、
前記雄ネジ部は、
前記蓋体装着時の前記蓋体の回転方向の上流側に形成された基端部と、
前記蓋体の回転方向の下流側に形成された先端部と、を備え、
前記先端部の高さは、前記基端部の高さよりも高くなるように形成され、
前記雄ネジ部は、前記先端部の長さが前記基端部の長さよりも短くなるように形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項に記載の発明は
開口部を有し、ロール状に巻回された状態のウェットシートを前記開口部から収納する容器本体と、前記開口部を開閉するように前記容器本体に取り付けられ、上面に前記ウェットシートを外側に取り出すための取出部を有する蓋体と、を備えるウェットシート収納容器であって、
前記容器本体の上端部の外周面には、周方向に沿って前記蓋体を螺着するための雄ネジ部が複数本形成され、
前記蓋体の内周面には、前記雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が前記複数本形成され、
前記雄ネジ部は、
前記蓋体装着時の前記蓋体の回転方向の上流側に形成された基端部と、
前記蓋体の回転方向の下流側に形成された先端部と、を備え、
前記先端部の高さは、前記基端部の高さよりも高くなるように形成され、
前記雄ネジ部は、前記先端部の高さをa、前記基端部の高さをbとしたとき、前記先端部の高さと前記基端部の高さの比が0.7<b/a<1.0の範囲内となるように形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項に記載の発明は
開口部を有し、ロール状に巻回された状態のウェットシートを前記開口部から収納する容器本体と、前記開口部を開閉するように前記容器本体に取り付けられ、上面に前記ウェットシートを外側に取り出すための取出部を有する蓋体と、を備えるウェットシート収納容器であって、
前記容器本体の上端部の外周面には、周方向に沿って前記蓋体を螺着するための雄ネジ部が複数本形成され、
前記蓋体の内周面には、前記雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が前記複数本形成され、
前記雄ネジ部は、
前記蓋体装着時の前記蓋体の回転方向の上流側に形成された基端部と、
前記蓋体の回転方向の下流側に形成された先端部と、を備え、
前記先端部の高さは、前記基端部の高さよりも高くなるように形成され、
前記雄ネジ部は、前記先端部の長さをc、前記基端部の長さをdとしたとき、前記先端部の長さと前記基端部の長さの比が1.0<d/c<5.0の範囲内となるように形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明は
開口部を有し、ロール状に巻回された状態のウェットシートを前記開口部から収納する容器本体と、前記開口部を開閉するように前記容器本体に取り付けられ、上面に前記ウェットシートを外側に取り出すための取出部を有する蓋体と、を備えるウェットシート収納容器であって、
前記容器本体の上端部の外周面には、周方向に沿って前記蓋体を螺着するための雄ネジ部が複数本形成され、
前記蓋体の内周面には、前記雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が前記複数本形成され、
前記雄ネジ部は、
前記蓋体装着時の前記蓋体の回転方向の上流側に形成された基端部と、
前記蓋体の回転方向の下流側に形成された先端部と、を備え、
前記先端部の高さは、前記基端部の高さよりも高くなるように形成され、
前記先端部の前記基端部側の端部には、前記基端部に向かうにつれて内側に傾斜する傾斜部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、蓋体を回しながら装着する時の蓋体の空回りを抑制しつつ、製造時の蓋体の上方からの装着性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態のウェットシート収納容器を正面から見た断面図である。
図2】本実施形態のウェットシート収納容器を正面上方から見た外観斜視図である。
図3】容器本体を正面上方から見た外観斜視図である。
図4】容器本体を正面から見た外観正面図である。
図5図4のV−V線における雄ネジ部の断面図である。
図6】雄ネジ部の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
先ず、構成について説明する。
本実施形態に係るウェットシート収納容器(以下、収納容器)100は、図1及び図2に示すように、例えば、開口部11を有し、ロール状に巻回された状態のウェットシートPを開口部11から収納するボトル状の容器本体10と、開口部11を開閉するように容器本体10に着脱可能に取り付けられ、上面にウェットシートPを外側に取り出すための取出部21を有する蓋体20と、を備えて構成されている。
この収納容器100に収納するロール状に巻かれたウェットシートPには、長さ方向に一定間隔をおいてミシン目が施されており、そのミシン目に沿って切り離したサイズのウェットシートPをユーザーが使用するようになっている。
なお、以下の説明では、収納容器100の前後方向をX軸方向として、小蓋25が蓋体20に支持されている側を後側とし、その反対側を手前側とする。また、正面視にて左右方向(幅方向)をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。
【0016】
容器本体10は、底部から上端部近傍までほぼ一定の略円筒状であり、上面には大きく開口した開口部11を有している。また、この容器本体10の上端部の外周面には、図3及び図4に示すように、周方向に沿って雄ネジ部12が間欠的に複数本(図中では3本)形成されている。
容器本体10は、円筒状であることから、ロール状のウェットシートPをほぼ同心位置に配置して収納することを可能としている。また、ウェットシートPは、ロールの中心側から紙片を繰り出すようになっている。
この容器本体10は、例えば、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)、或いはPET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂等を用いて、射出成形、二色成形、ブロー成形等により一体的に形成されている。
【0017】
蓋体20は、容器本体10に比べて丈の短い円筒状であって、その上端側は天面部22により閉塞され、下端部は開口している。また、蓋体20は、外径が容器本体10の外径とほぼ等しく、その内周面には容器本体10の雄ネジ部12に螺合する雌ネジ部26が間欠的に雄ネジ部12と同数本形成されている。雄ネジ部12と雌ネジ部26とが、間欠的に複数本形成されることで、製造時に蓋体20を容器本体10に上方から押し込んで嵌め合わせることができる。蓋体20は、この雌ネジ部26により、容器本体10の上端部に対して着脱可能となっている。
従って、蓋体20を容器本体10から取り外した状態では容器本体10の内部にウェットシートPを充填することを可能とし、蓋体20を容器本体10に取り付けた状態では内部のウェットシートPのロールが外に出ないように保持することを可能とする。
この蓋体20は、例えば、PEやPP、或いはPET、ABS樹脂等を用いて、射出成形、二色成形、ブロー成形等により一体的に形成されている。
【0018】
蓋体20の天面部22の中央部には、凹部23が形成されており、当該凹部23に嵌合するように小蓋25が天面部22に取り付けられている。
また、凹部23の中央部には、円筒部24が立設されており、その内側が上下に貫通して取出部21となっている。この円筒部24の上端には、周外に向かって突出したフランジ状の係止部241が形成され、小蓋25を閉じたときに係止することを可能としている。
【0019】
ここで、取出部21は、容器本体10に蓋体20を取り付けたままの状態で、内側のウェットシートPを取り出すためのものである。
取出部21は、例えば、平面視で十字状の切り込みにより形成され、ウェットシートPがその中心を上方に向かって通過する際に、当該ウェットシートPに適度に摺動抵抗を付与するようになっている。これにより、ウェットシートPの使用時にその摺動抵抗がウェットシートPに作用し、ミシン目からの分離が促されるとともに、次のウェットシートPの先端部が取出部21に挟まれた状態で保持されるので、容器本体10に戻ることが防止され、次のウェットシートPをすぐに使用することが可能となる。
この取出部21は、小蓋25のY軸回りの回動により開閉が行われる。小蓋25は、その後端部近傍に当該小蓋25をY軸方向に沿って折曲可能とするヒンジ部(図示省略)を備えており、凹部23に嵌合して取出部21を閉じた状態から起立して取出部21を開いた状態まで回動することが可能となっている。なお、この小蓋25は、ウェットシートPを取り出す際に開状態とされる以外は、通常閉状態に維持されている。
【0020】
次に、図3図5を参照して、容器本体10に形成された雄ネジ部12の構成を説明する。なお、図3中の矢印Mは、蓋体20を回しながら装着する時の蓋体20の回転方向を示している。
雄ネジ部12は、図5に示すように、蓋体20の回転方向の上流側に形成された基端部121と、蓋体20の回転方向の下流側に形成された先端部122と、を備えて構成されている。
【0021】
基端部121及び先端部122は、それぞれ一定の高さを有している。先端部122の高さaは、基端部121の高さbよりも高くなるように形成されている。このように、先端部122の高さaを相対的に高くすることで、蓋体20を回しながら装着する時の蓋体20の回転を規制することができるので、蓋体20の空回りを抑制することができる。
また、先端部122の長さcは、基端部121の長さdよりも短くなるように形成されている。このように、先端部122の長さcを相対的に短くすることで、製造時に蓋体20を上方から装着する時の先端部122との接触による摩擦抵抗を低減することができるので、蓋体20の装着性を向上させることができる。
【0022】
また、先端部122の基端部121側の端部には、基端部121に向かうにつれて内側(容器本体10側)に傾斜する傾斜部123が設けられている。このように、先端部122に傾斜部123を設けることで、製造時に蓋体20を上方から装着する時の先端部122との接触による摩擦抵抗を低減することができるので、蓋体20の装着性を向上させることができる。
【実施例】
【0023】
次に、雄ネジ部12の構成と蓋体20装着時の装着性(装着しやすさ)及び嵌合性(空回りしにくさ)との相関を評価した結果を、表1及び表2を用いて説明する。表1は、雄ネジ部12の先端部122の高さが基端部121の高さと同じ比較例(比較例1)の評価結果、及び雄ネジ部12の先端部122の高さが基端部121の高さと異なる各実施例(実施例1〜4)の評価結果を、表2は、雄ネジ部12の先端部122及び基端部121の長さ(比)が異なる各実施例(実施例5〜9)の評価結果を、をそれぞれ示している。
なお、表1及び表2は、雌ネジ部26の高さが1.0mmの蓋体20と、雄ネジ部12の基端部121の高さが1.5mmの容器本体10と、を使用した結果を示している。
まず、表1の評価結果を示す。なお、表1は、雄ネジ部12の先端部122の長さが4.0mm、基端部121の長さが8.0mmのものを使用した結果を示している。
【表1】
【0024】
[装着性に対する評価]
◎;理想的に装着可能
○;問題なく装着可能
△;若干の問題はあるが装着に支障なし
×;装着に支障あり
の四段階で評価した。
【0025】
表1に示すように、雄ネジ部12の先端部122の高さが2.225mm(実施例4)の場合、若干の問題はあるが装着に支障は生じなかった。これは、雄ネジ部12の先端部122の高さを2.1mmとした場合、製造時に蓋体20を上方から装着する時に先端部122と接触しやすくはなるものの、先端部122との接触による摩擦抵抗が許容される範囲内であるからである。
また、雄ネジ部12の先端部122の高さが1.5mm〜2.1mm(比較例1、実施例1〜3)の場合、問題なく装着可能であった。特に、雄ネジ部12の先端部122の高さが1.5mm〜1.8mm(比較例1、実施例1、2)の場合、理想的に装着可能であった。これは、雄ネジ部12の先端部122の高さを1.5mm〜2.1mmとした場合、製造時に蓋体20を上方から装着する時に先端部122との接触を低減することができるので、先端部122との接触による摩擦抵抗を許容範囲内に十分抑えることができるからである。
【0026】
[嵌合性に対する評価]
◎;理想的に空回りを抑制可能
○;問題なく空回りを抑制可能
△;若干の問題はあるが空回りを抑制可能
×;空回りの抑制に支障あり
の四段階で評価した。
【0027】
表1に示すように、雄ネジ部12の先端部122の高さが1.5mm(比較例1)の場合、空回りの抑制に支障が生じた。これは、雄ネジ部12の先端部122の高さを1.5mmとした場合、先端部122の高さが不十分であり雌ネジ部26を係止することができないため、蓋体20を回しながら装着する時の蓋体20の回転を規制することができないからである。
一方、雄ネジ部12の先端部122の高さが1.7mm〜2.225mm(実施例1〜4)の場合、問題なく空回りを抑制可能であった。特に、雄ネジ部12の先端部122の高さが2.225mm(実施例4)の場合、理想的に空回りを抑制可能であった。これは、雄ネジ部12の先端部122の高さを1.7mm〜2.225mmとした場合、先端部122の高さが十分あり雌ネジ部26を係止することができるため、蓋体20を回しながら装着する時の蓋体20の回転を規制することができるからである。
【0028】
[総合評価]
雄ネジ部12の先端部122の高さが1.5mm、即ち、先端部122の高さaと基端部121の高さbの比(b/a)が1.000(比較例1)の場合、装着性には問題がないものの、嵌合性に問題が生じた。
雄ネジ部12の先端部122の高さが2.225mm、即ち、先端部122の高さaと基端部121の高さbの比(b/a)が0.674(実施例4)の場合、嵌合性には問題がないものの、装着性に若干の問題が生じた。
一方、雄ネジ部12の先端部122の高さが1.7mm、即ち、先端部122の高さaと基端部121の高さbの比(b/a)が0.882(実施例1)の場合、先端部122の高さが1.8mm、即ち、先端部122の高さaと基端部121の高さbの比(b/a)が0.833(実施例2)の場合及び先端部122の高さが2.1mm、即ち、先端部122の高さaと基端部121の高さbの比(b/a)が0.714(実施例3)の場合、装着性、嵌合性とも問題が生じなかった。
以上より、先端部122の高さaと基端部121の高さbの比(b/a)が0.7<b/a<1.0の範囲内であれば、装着性、嵌合性ともおおよそ満足できる結果が得られることがわかった。
次に、表2の評価結果を示す。なお、表2は、雄ネジ部12の先端部122の高さが1.7mm、基端部121の高さが1.5mmのものを使用した結果を示している。
【表2】
【0029】
[装着性に対する評価]
◎;理想的に装着可能
○;問題なく装着可能
△;若干の問題はあるが装着に支障なし
×;装着に支障あり
の四段階で評価した。
【0030】
表2に示すように、雄ネジ部12の先端部122の長さが6.0mm、基端部121の長さが6.0mm(実施例7)の場合、雄ネジ部12の先端部122の長さが8.0mm、基端部121の長さが4.0mm(実施例8)の場合及び雄ネジ部12の先端部122の長さが10.0mm、基端部121の長さが2.0mm(実施例9)の場合、若干の問題はあるが装着に支障は生じなかった。これは、雄ネジ部12の先端部122の長さを6.0mm〜10.0mm(基端部121の長さを6.0mm〜2.0mm)とした場合、製造時に蓋体20を上方から装着する時に先端部122との接触面積が広くなるものの、先端部122との接触による摩擦抵抗が許容される範囲内であるからである。
一方、雄ネジ部12の先端部122の長さが2.0mm、基端部121の長さが10.0mm(実施例5)の場合、雄ネジ部12の先端部122の長さが4.0mm、基端部121の長さが8.0mm(実施例6)の場合、問題なく装着可能であった。特に、先端部122の長さが2.0mm(実施例5)の場合、理想的に装着可能であった。これは、雄ネジ部12の先端部122の長さを2.0mm〜4.0mm(基端部121の長さを10.0mm〜8.0mm)とした場合、製造時に蓋体20を上方から装着する時に先端部122との接触面積を狭くすることができるので、先端部122との接触による摩擦抵抗を許容範囲内に十分抑えることができるからである。
【0031】
[嵌合性に対する評価]
◎;理想的に空回りを抑制可能
○;問題なく空回りを抑制可能
△;若干の問題はあるが空回りを抑制可能
×;空回りの抑制に支障あり
の四段階で評価した。
【0032】
表2に示すように、雄ネジ部12の先端部122の長さが2.0mm、基端部121の長さが10.0mm(実施例5)の場合、若干の問題はあるが空回りの抑制に支障が生じなかった。これは、雄ネジ部12の先端部122の長さを2.0mm(基端部121の長さを10.0mm)とした場合、先端部122の長さが十分とはいえないまでも雌ネジ部26を係止することができるため、蓋体20を回しながら装着する時の蓋体20の回転を規制することができるからである。
また、雄ネジ部12の先端部122の長さが4.0mm〜10.0mm、基端部121の長さが8.0mm〜2.0mm(実施例6〜9)の場合、問題なく空回りを抑制可能であった。これは、雄ネジ部12の先端部122の長さを4.0mm〜10.0mm(基端部121の長さを8.0mm〜2.0mm)とした場合、先端部122の長さが十分あり雌ネジ部26を係止することができるため、蓋体20を回しながら装着する時の蓋体20の回転を規制することができるからである。
【0033】
[総合評価]
雄ネジ部12の先端部122の長さが2.0mm、基端部121の長さが10.0mm、即ち、先端部122の長さcと基端部121の長さdの比(d/c)が5.0(実施例5)の場合、装着性には問題がないものの、嵌合性に若干の問題が生じた。
雄ネジ部12の先端部122の長さが6.0mm、基端部121の長さが6.0mm、即ち、先端部122の長さcと基端部121の長さdの比(d/c)が1.0(実施例7)の場合、先端部122の長さが8.0mm、基端部121の長さが4.0mm、即ち、先端部122の長さcと基端部121の長さdの比(d/c)が0.5(実施例8)の場合及び先端部122の長さが10.0mm、基端部121の長さが2.0mm、即ち、先端部122の長さcと基端部121の長さdの比(d/c)が0.2(実施例9)の場合、嵌合性には問題がないものの、装着性に若干の問題が生じた。
一方、雄ネジ部12の先端部122の長さが4.0mm、基端部121の長さが8.0mm、即ち、先端部122の長さcと基端部121の長さdの比(d/c)が2.0(実施例6)の場合、装着性、嵌合性とも問題が生じなかった。
以上より、先端部122の長さcと基端部121の長さdの比(d/c)が1.0<d/c<5.0の範囲内であれば、装着性、嵌合性ともおおよそ満足できる結果が得られることがわかった。
【0034】
以上のように、本実施形態に係る収納容器100によれば、容器本体10の上端部の外周面には、周方向に沿って蓋体20を螺着するための雄ネジ部12が複数本形成され、蓋体20の内周面には、雄ネジ部12に螺合する雌ネジ部26が複数本形成されている。また、雄ネジ部12は、蓋体20装着時の蓋体20の回転方向の上流側に形成された基端部121と、蓋体20の回転方向の下流側に形成された先端部122と、を備え、先端部122の高さは、基端部121の高さよりも高くなるように形成されている。
従って、本実施形態に係る収納容器100によれば、先端部122の高さが相対的に高くなって蓋体20を回しながら装着する時の蓋体20の回転を規制することができるので、蓋体20の空回りを抑制することができる。また、基端部121の高さが相対的に低くなって製造時に蓋体20を上方から装着する時の先端部122との接触による摩擦抵抗を低減することができるので、蓋体20の装着性を向上させることができる。よって、蓋体20を回しながら装着する時の蓋体20の空回りを抑制しつつ、製造時の蓋体20の上方からの装着性を向上させることができる。
【0035】
また、本実施形態に係る収納容器100によれば、雄ネジ部12は、先端部122の長さが基端部121の長さよりも短くなるように形成されている。
従って、本実施形態に係る収納容器100によれば、先端部122の長さが相対的に短くなって製造時に蓋体20を上方から装着する時の先端部122との接触による摩擦抵抗を低減することができるので、蓋体20の装着性を向上させることができる。
【0036】
また、本実施形態に係る収納容器100によれば、雄ネジ部12は、先端部122の高さをa、基端部121の高さをbとしたとき、先端部122の高さと基端部121の高さの比が0.7<b/a<1.0の範囲内となるように形成されている。
従って、本実施形態に係る収納容器100によれば、製造時に蓋体20を上方から装着する時の先端部122との接触による摩擦抵抗を許容範囲内に十分抑えつつ蓋体20を回しながら装着する時の蓋体20の回転を規制することができるので、蓋体20の装着性及び嵌合性の双方を十分に確保することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る収納容器100によれば、雄ネジ部12は、先端部122の長さをc、基端部121の長さをdとしたとき、先端部122の長さと基端部121の長さの比が1.0<d/c<5.0の範囲内となるように形成されている。
従って、本実施形態に係る収納容器100によれば、製造時に蓋体20を上方から装着する時の先端部122との接触による摩擦抵抗を許容範囲内に十分抑えつつ蓋体20を回しながら装着する時の蓋体20の回転を規制することができるので、蓋体20の装着性及び嵌合性の双方を十分に確保することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る収納容器100によれば、先端部122の基端部121側の端部には、基端部121に向かうにつれて内側に傾斜する傾斜部123が設けられている。
従って、本実施形態に係る収納容器100によれば、製造時に蓋体20を上方から装着する時の先端部122との接触による摩擦抵抗を低減することができるので、蓋体20の装着性を向上させることができる。
【0039】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態では、図5に示すように、雄ネジ部12の先端部122に傾斜部123を設けることで、先端部122を平面視略台形状に形成するようにしているが、これに限定されるものではない。
例えば、図6(A)に示すように、雄ネジ部12Aの先端部122Aに傾斜部123を設けない構成としてもよい。
また、図6(B)に示すように、雄ネジ部12Bの先端部122Bの基端部121側の端部に、基端部121に向かうにつれて階段状に傾斜する傾斜部123Bを設けるようにしてもよい。
また、図6(C)に示すように、雄ネジ部12Cの先端部122Cの基端部121側の端部に、基端部121に向かうにつれて凹面状に傾斜する傾斜部123Cを設けるようにしてもよい。
また、図6(D)に示すように、雄ネジ部12Dの先端部122Dの基端部121側の端部に、基端部121に向かうにつれて凸面状に傾斜する傾斜部123Dを設けるようにしてもよい。
【0041】
その他、収納容器100の細部構成に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0042】
100 収納容器(ウェットシート収納容器)
10 容器本体
11 開口部
12、12A〜12D 雄ネジ部
121 基端部
122、122A〜122D 先端部
123、123B〜123D 傾斜部
20 蓋体
21 取出部
22 天面部
23 凹部
24 円筒部
241 係止部
25 小蓋
26 雌ネジ部
P ウェットシート
【要約】
【課題】蓋体を回しながら装着する時の蓋体の空回りを抑制しつつ、製造時の蓋体の上方からの装着性を向上させることが可能なウェットシート収納容器を提供する。
【解決手段】容器本体の上端部の外周面には、周方向に沿って蓋体を螺着するための雄ネジ部12が複数本形成され、蓋体の内周面には、雄ネジ部12に螺合する雌ネジ部が複数本形成されている。また、雄ネジ部12は、蓋体装着時の蓋体の回転方向の上流側に形成された基端部121と、蓋体の回転方向の下流側に形成された先端部122と、を備え、先端部122の高さは、基端部121の高さよりも高くなるように形成されている。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6