【実施例】
【0023】
次に、雄ネジ部12の構成と蓋体20装着時の装着性(装着しやすさ)及び嵌合性(空回りしにくさ)との相関を評価した結果を、表1及び表2を用いて説明する。表1は、雄ネジ部12の先端部122の高さが基端部121の高さと同じ比較例(比較例1)の評価結果、及び雄ネジ部12の先端部122の高さが基端部121の高さと異なる各実施例(実施例1〜4)の評価結果を、表2は、雄ネジ部12の先端部122及び基端部121の長さ(比)が異なる各実施例(実施例5〜9)の評価結果を、をそれぞれ示している。
なお、表1及び表2は、雌ネジ部26の高さが1.0mmの蓋体20と、雄ネジ部12の基端部121の高さが1.5mmの容器本体10と、を使用した結果を示している。
まず、表1の評価結果を示す。なお、表1は、雄ネジ部12の先端部122の長さが4.0mm、基端部121の長さが8.0mmのものを使用した結果を示している。
【表1】
【0024】
[装着性に対する評価]
◎;理想的に装着可能
○;問題なく装着可能
△;若干の問題はあるが装着に支障なし
×;装着に支障あり
の四段階で評価した。
【0025】
表1に示すように、雄ネジ部12の先端部122の高さが2.225mm(実施例4)の場合、若干の問題はあるが装着に支障は生じなかった。これは、雄ネジ部12の先端部122の高さを2.1mmとした場合、製造時に蓋体20を上方から装着する時に先端部122と接触しやすくはなるものの、先端部122との接触による摩擦抵抗が許容される範囲内であるからである。
また、雄ネジ部12の先端部122の高さが1.5mm〜2.1mm(比較例1、実施例1〜3)の場合、問題なく装着可能であった。特に、雄ネジ部12の先端部122の高さが1.5mm〜1.8mm(比較例1、実施例1、2)の場合、理想的に装着可能であった。これは、雄ネジ部12の先端部122の高さを1.5mm〜2.1mmとした場合、製造時に蓋体20を上方から装着する時に先端部122との接触を低減することができるので、先端部122との接触による摩擦抵抗を許容範囲内に十分抑えることができるからである。
【0026】
[嵌合性に対する評価]
◎;理想的に空回りを抑制可能
○;問題なく空回りを抑制可能
△;若干の問題はあるが空回りを抑制可能
×;空回りの抑制に支障あり
の四段階で評価した。
【0027】
表1に示すように、雄ネジ部12の先端部122の高さが1.5mm(比較例1)の場合、空回りの抑制に支障が生じた。これは、雄ネジ部12の先端部122の高さを1.5mmとした場合、先端部122の高さが不十分であり雌ネジ部26を係止することができないため、蓋体20を回しながら装着する時の蓋体20の回転を規制することができないからである。
一方、雄ネジ部12の先端部122の高さが1.7mm〜2.225mm(実施例1〜4)の場合、問題なく空回りを抑制可能であった。特に、雄ネジ部12の先端部122の高さが2.225mm(実施例4)の場合、理想的に空回りを抑制可能であった。これは、雄ネジ部12の先端部122の高さを1.7mm〜2.225mmとした場合、先端部122の高さが十分あり雌ネジ部26を係止することができるため、蓋体20を回しながら装着する時の蓋体20の回転を規制することができるからである。
【0028】
[総合評価]
雄ネジ部12の先端部122の高さが1.5mm、即ち、先端部122の高さaと基端部121の高さbの比(b/a)が1.000(比較例1)の場合、装着性には問題がないものの、嵌合性に問題が生じた。
雄ネジ部12の先端部122の高さが2.225mm、即ち、先端部122の高さaと基端部121の高さbの比(b/a)が0.674(実施例4)の場合、嵌合性には問題がないものの、装着性に若干の問題が生じた。
一方、雄ネジ部12の先端部122の高さが1.7mm、即ち、先端部122の高さaと基端部121の高さbの比(b/a)が0.882(実施例1)の場合、先端部122の高さが1.8mm、即ち、先端部122の高さaと基端部121の高さbの比(b/a)が0.833(実施例2)の場合及び先端部122の高さが2.1mm、即ち、先端部122の高さaと基端部121の高さbの比(b/a)が0.714(実施例3)の場合、装着性、嵌合性とも問題が生じなかった。
以上より、先端部122の高さaと基端部121の高さbの比(b/a)が0.7<b/a<1.0の範囲内であれば、装着性、嵌合性ともおおよそ満足できる結果が得られることがわかった。
次に、表2の評価結果を示す。なお、表2は、雄ネジ部12の先端部122の高さが1.7mm、基端部121の高さが1.5mmのものを使用した結果を示している。
【表2】
【0029】
[装着性に対する評価]
◎;理想的に装着可能
○;問題なく装着可能
△;若干の問題はあるが装着に支障なし
×;装着に支障あり
の四段階で評価した。
【0030】
表2に示すように、雄ネジ部12の先端部122の長さが6.0mm、基端部121の長さが6.0mm(実施例7)の場合、雄ネジ部12の先端部122の長さが8.0mm、基端部121の長さが4.0mm(実施例8)の場合及び雄ネジ部12の先端部122の長さが10.0mm、基端部121の長さが2.0mm(実施例9)の場合、若干の問題はあるが装着に支障は生じなかった。これは、雄ネジ部12の先端部122の長さを6.0mm〜10.0mm(基端部121の長さを6.0mm〜2.0mm)とした場合、製造時に蓋体20を上方から装着する時に先端部122との接触面積が広くなるものの、先端部122との接触による摩擦抵抗が許容される範囲内であるからである。
一方、雄ネジ部12の先端部122の長さが2.0mm、基端部121の長さが10.0mm(実施例5)の場合、雄ネジ部12の先端部122の長さが4.0mm、基端部121の長さが8.0mm(実施例6)の場合、問題なく装着可能であった。特に、先端部122の長さが2.0mm(実施例5)の場合、理想的に装着可能であった。これは、雄ネジ部12の先端部122の長さを2.0mm〜4.0mm(基端部121の長さを10.0mm〜8.0mm)とした場合、製造時に蓋体20を上方から装着する時に先端部122との接触面積を狭くすることができるので、先端部122との接触による摩擦抵抗を許容範囲内に十分抑えることができるからである。
【0031】
[嵌合性に対する評価]
◎;理想的に空回りを抑制可能
○;問題なく空回りを抑制可能
△;若干の問題はあるが空回りを抑制可能
×;空回りの抑制に支障あり
の四段階で評価した。
【0032】
表2に示すように、雄ネジ部12の先端部122の長さが2.0mm、基端部121の長さが10.0mm(実施例5)の場合、若干の問題はあるが空回りの抑制に支障が生じなかった。これは、雄ネジ部12の先端部122の長さを2.0mm(基端部121の長さを10.0mm)とした場合、先端部122の長さが十分とはいえないまでも雌ネジ部26を係止することができるため、蓋体20を回しながら装着する時の蓋体20の回転を規制することができるからである。
また、雄ネジ部12の先端部122の長さが4.0mm〜10.0mm、基端部121の長さが8.0mm〜2.0mm(実施例6〜9)の場合、問題なく空回りを抑制可能であった。これは、雄ネジ部12の先端部122の長さを4.0mm〜10.0mm(基端部121の長さを8.0mm〜2.0mm)とした場合、先端部122の長さが十分あり雌ネジ部26を係止することができるため、蓋体20を回しながら装着する時の蓋体20の回転を規制することができるからである。
【0033】
[総合評価]
雄ネジ部12の先端部122の長さが2.0mm、基端部121の長さが10.0mm、即ち、先端部122の長さcと基端部121の長さdの比(d/c)が5.0(実施例5)の場合、装着性には問題がないものの、嵌合性に若干の問題が生じた。
雄ネジ部12の先端部122の長さが6.0mm、基端部121の長さが6.0mm、即ち、先端部122の長さcと基端部121の長さdの比(d/c)が1.0(実施例7)の場合、先端部122の長さが8.0mm、基端部121の長さが4.0mm、即ち、先端部122の長さcと基端部121の長さdの比(d/c)が0.5(実施例8)の場合及び先端部122の長さが10.0mm、基端部121の長さが2.0mm、即ち、先端部122の長さcと基端部121の長さdの比(d/c)が0.2(実施例9)の場合、嵌合性には問題がないものの、装着性に若干の問題が生じた。
一方、雄ネジ部12の先端部122の長さが4.0mm、基端部121の長さが8.0mm、即ち、先端部122の長さcと基端部121の長さdの比(d/c)が2.0(実施例6)の場合、装着性、嵌合性とも問題が生じなかった。
以上より、先端部122の長さcと基端部121の長さdの比(d/c)が1.0<d/c<5.0の範囲内であれば、装着性、嵌合性ともおおよそ満足できる結果が得られることがわかった。
【0034】
以上のように、本実施形態に係る収納容器100によれば、容器本体10の上端部の外周面には、周方向に沿って蓋体20を螺着するための雄ネジ部12が複数本形成され、蓋体20の内周面には、雄ネジ部12に螺合する雌ネジ部26が複数本形成されている。また、雄ネジ部12は、蓋体20装着時の蓋体20の回転方向の上流側に形成された基端部121と、蓋体20の回転方向の下流側に形成された先端部122と、を備え、先端部122の高さは、基端部121の高さよりも高くなるように形成されている。
従って、本実施形態に係る収納容器100によれば、先端部122の高さが相対的に高くなって蓋体20を回しながら装着する時の蓋体20の回転を規制することができるので、蓋体20の空回りを抑制することができる。また、基端部121の高さが相対的に低くなって製造時に蓋体20を上方から装着する時の先端部122との接触による摩擦抵抗を低減することができるので、蓋体20の装着性を向上させることができる。よって、蓋体20を回しながら装着する時の蓋体20の空回りを抑制しつつ、製造時の蓋体20の上方からの装着性を向上させることができる。
【0035】
また、本実施形態に係る収納容器100によれば、雄ネジ部12は、先端部122の長さが基端部121の長さよりも短くなるように形成されている。
従って、本実施形態に係る収納容器100によれば、先端部122の長さが相対的に短くなって製造時に蓋体20を上方から装着する時の先端部122との接触による摩擦抵抗を低減することができるので、蓋体20の装着性を向上させることができる。
【0036】
また、本実施形態に係る収納容器100によれば、雄ネジ部12は、先端部122の高さをa、基端部121の高さをbとしたとき、先端部122の高さと基端部121の高さの比が0.7<b/a<1.0の範囲内となるように形成されている。
従って、本実施形態に係る収納容器100によれば、製造時に蓋体20を上方から装着する時の先端部122との接触による摩擦抵抗を許容範囲内に十分抑えつつ蓋体20を回しながら装着する時の蓋体20の回転を規制することができるので、蓋体20の装着性及び嵌合性の双方を十分に確保することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る収納容器100によれば、雄ネジ部12は、先端部122の長さをc、基端部121の長さをdとしたとき、先端部122の長さと基端部121の長さの比が1.0<d/c<5.0の範囲内となるように形成されている。
従って、本実施形態に係る収納容器100によれば、製造時に蓋体20を上方から装着する時の先端部122との接触による摩擦抵抗を許容範囲内に十分抑えつつ蓋体20を回しながら装着する時の蓋体20の回転を規制することができるので、蓋体20の装着性及び嵌合性の双方を十分に確保することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る収納容器100によれば、先端部122の基端部121側の端部には、基端部121に向かうにつれて内側に傾斜する傾斜部123が設けられている。
従って、本実施形態に係る収納容器100によれば、製造時に蓋体20を上方から装着する時の先端部122との接触による摩擦抵抗を低減することができるので、蓋体20の装着性を向上させることができる。
【0039】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態では、
図5に示すように、雄ネジ部12の先端部122に傾斜部123を設けることで、先端部122を平面視略台形状に形成するようにしているが、これに限定されるものではない。
例えば、
図6(A)に示すように、雄ネジ部12Aの先端部122Aに傾斜部123を設けない構成としてもよい。
また、
図6(B)に示すように、雄ネジ部12Bの先端部122Bの基端部121側の端部に、基端部121に向かうにつれて階段状に傾斜する傾斜部123Bを設けるようにしてもよい。
また、
図6(C)に示すように、雄ネジ部12Cの先端部122Cの基端部121側の端部に、基端部121に向かうにつれて凹面状に傾斜する傾斜部123Cを設けるようにしてもよい。
また、
図6(D)に示すように、雄ネジ部12Dの先端部122Dの基端部121側の端部に、基端部121に向かうにつれて凸面状に傾斜する傾斜部123Dを設けるようにしてもよい。
【0041】
その他、収納容器100の細部構成に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。