(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
二以上の前記屈曲溝は、前記分割穿孔片における角状縁部の先端側よりも後端側の方がより深い溝に形成されており、前記分割穿孔片の各溝底部の厚さがほぼ等しい寸法となるように構成されている、請求項1に記載の石膏ボード用アンカー。
前記軸部外周の雄ねじには、複数の鋭角溝状の壁紙カット溝が形成されており、石膏ボードに押し込んでねじ込み下穴をあける際に石膏ボード表面の壁紙を切断しうるように構成されている、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の石膏ボード用アンカー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、現在、日本国内で流通・使用されている石膏ボードは、厚さが9.5mm、12.5mm、15.0mmのものであるところ、アンカー部材として先端側の穿孔部を拡開させて適切な耐力を発揮させるためには、前記穿孔部が石膏ボードを貫通した状態でねじ込まれなければならない。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された発明を含めて従来の製品では、石膏ボードの厚さの違いに応じて穿孔部や軸部の長さの異なるボード用アンカーを使用しなければならないという煩雑さがある。このような煩雑さから現実的には、主流製品である9.5mm対応のボード用アンカーを12.5mmや15.0mmの石膏ボードにも使用しているため、施工上、充分な耐力が得られていないという問題が存在している。
【0007】
また、GL工法等では、石膏ボードの裏面とコンクリート壁面との間に接着材の厚さに応じた壁裏スペースが存在している。この壁裏スペースの寸法は接着材の厚さやコンクリート壁面の凹凸状態等の施工状況によって異なっており、一般的には5mm〜15.5mm程度の差異が存在している。このような差異は、石膏ボードの厚さの差異とも相まって、ボード用アンカーにとってその機能を発揮する上で大きな影響がある。したがって、壁裏寸法に応じて適切な長さのボード用アンカーを選択・使用しなければならないが、石膏ボードの壁裏状況を確認することはできないという問題がある。よって、適切なボード用アンカーを使用していない場合には、必要な耐力を備えていないおそれがある。
【0008】
さらに、石膏ボードはボード用アンカーを押し込み、ねじ込む際に粉砕しやすいところ、従来の製品では、必要以上に粉砕し、あるいは粉砕した状態で無理矢理組み込まれるため充分な耐力がないものが多い。このため接着材と組み合わせてセット販売されている製品も存在する。
【0009】
さらにまた、石膏ボードの表面に貼付されている壁紙は、ボード用アンカーをねじ込む際にバリ状に残りやすく、当該ボード用アンカーのフランジ部が表面において部分的に浮いてしまい、見映えが悪くなるという問題もある。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、石膏ボード厚の違いやGL工法等における壁裏スペースの壁面寸法の違いに関わらず兼用可能であって、前記壁裏スペースにあわせて穿孔部を適宜折り曲げて拡開することにより充分な耐力を発揮しうるボード用アンカーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る石膏ボード用アンカーは、石膏ボード厚の違いやGL工法等における壁裏スペースの壁面寸法の違いに合わせて長さや形状の異なるアンカーを選択・使用しなければならない煩雑さと、適切なアンカーを使用していないことにより充分な耐力を発揮し得ないという課題を解決するために、先端に穿孔部を有するとともに後端にフランジ部を有する軸部の外周に雄ねじが設けられており、前記フランジ部の端面に回転工具の係合穴と、これに連続する雌ねじ形成孔とが設けられており、前記雌ねじ形成孔に取付用ビスをねじ込んで装着するように構成されている石膏ボード用アンカーであって、前記穿孔部が先細の四角錐状に形成されているとともに、当該四角錐状穿孔部の対角線方向または対辺の中心位置を通る方向に沿って先端面から前記軸部の途中まで延びる拡開スリットが設けられて分割軸部が形成されているとともに、当該分割軸部の先端部分に前記四角錐状穿孔部を分割して形成された分割穿孔片が連設されており、かつ、これら各分割穿孔片の角状縁部に先端から所定間隔を隔てて二以上の屈曲溝が設けられており、前記分割穿孔片の先端面を石膏ボードに押し込んでねじ込み下穴をあける際、相対向する前記各分割穿孔片が屈曲溝で折れ曲がりつつ反対方向に拡開変位するように構成されている。
【0012】
また、本発明の一態様として、石膏ボード用アンカーを壁裏のコンクリート壁面に当接させながらねじ込む場合に、穿孔部が破損しない強度を保持しつつ、同レベルの当接力によってねじ込む段階に応じて段階的に折れ曲がって拡開させるという課題を解決するために、二以上の前記屈曲溝は、前記分割穿孔片における角状縁部の先端側よりも後端側の方がより深い溝に形成されており、前記分割穿孔片の各溝底部の厚さがほぼ等しい寸法となるように構成されていてもよい。
【0013】
さらに、本発明の一態様として、穿孔の際に石膏の粉砕を少なくしてねじ込みをスムーズにするという課題を解決するために、前記分割穿孔片における各外表面が、R溝状に形成されていてもよい。
【0014】
さらに、本発明の一態様として、ねじ込みの際に石膏ボードの表面の壁紙がバリ状に残ってフランジ部が部分的に浮いてしまうという課題を解決するために、前記軸部外周の雄ねじには、複数の鋭角溝状の壁紙カット溝が形成されており、石膏ボードに押し込んでねじ込み下穴をあける際に石膏ボード表面の壁紙を切断しうるように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、石膏ボード厚の違いやGL工法等における壁裏スペースの壁面寸法の違いに関わらず兼用可能であって、前記壁裏スペースにあわせて穿孔部を適宜折り曲げて拡開することにより充分な耐力を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る石膏ボード用アンカーの一実施形態について図面を参考にしつつ説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の石膏ボード用アンカー1は、先端に穿孔部2を有するとともに、後端にフランジ部3を有する軸部4の外周に雄ねじ5が設けられている。また、
図1(d)および
図2に示すように、前記フランジ部3の端面には、回転工具の係合穴6と、これに連続する雌ねじ形成孔7とが設けられており、この雌ねじ形成孔7にタッピングスクリュー等の取付用ビス8をねじ込んで装着するように構成されている。
【0019】
穿孔部2は、先細の四角錐状に形成されているとともに、当該四角錐状穿孔部2の対角線方向または対辺の中心位置を通る方向に沿って先端面から軸部4の途中まで延びる拡開スリット21が設けられている。本実施形態の穿孔部2は、
図1に示すように、1つの対角線方向に沿って前記拡開スリット21が設けられており、この拡開スリット21によって軸部4は2つの分割軸部41,41として形成されるとともに、当該分割軸部41,41の先端部分に前記四角錐状穿孔部2を分割して形成された2つの三角錐状の分割穿孔片22,22が連設されている。
【0020】
また、前記各三角錐状分割穿孔片22,22のそれぞれには、対角線方向にある角状縁部に先端から所定間隔を隔てて二以上の屈曲溝23が設けられている。本実施形態では4つの屈曲溝23が形成されており、
図3に示すように、先端から3つの溝は約5mm間隔で形成され、4つ目の溝は約3mmの間隔を隔てて形成されている。また、全体の長手方向の寸法は、約35mmに形成されており、このような寸法で形成されていることにより、石膏ボード厚が9.5mm〜15.0mmのものに兼用することができ、かつ壁裏寸法が5mm〜15.5mmの壁裏スペースの施工面に対して適切な耐力を得ることが可能となる。
【0021】
また、前記各屈曲溝23は、三角錐状分割穿孔片22の角状縁部において先端側よりも後端側の方がより深い溝に形成されており、
図3に示すように、各溝底部の厚さがほぼ等しい寸法となるように形成されている。これは、三角錐状分割穿孔片22としての強度を確保するとともに、壁裏のコンクリート壁面10に当接してねじ込まれる際に適度な当接力によって屈曲溝23の位置で屈曲しうるようにするためである。
【0022】
以上のような構成により、三角錐状分割穿孔片22の先端面を石膏ボード9に押し込み、ねじ込んでコンクリート壁面10に当接させながら下穴をあける際に、相対向する各三角錐状分割穿孔片22,22が屈曲溝23において折れ曲がりつつ反対方向に大きく拡開変位するようになっている。
【0023】
また、各三角錐状分割穿孔片22,22の先端は、角状縁部から拡開スリット21に向けて斜めにカットされており、鋭角状に傾斜された三角形状の先端面として形成されている。本実施形態における先端は、
図1(e)に示すように、約30度の角度にカットされているとともに、その先端がさらに約30度の角度にカットされており、2段の先端面が形成されている。このため、石膏ボード9にねじ込まれる際には、拡開スリット21を閉じるように狭め、鋭角状の先端を互いに当接させて穿孔し易くし、石膏ボード9を貫通した後、コンクリート壁面10に当接して拡開されると、前記コンクリート壁面10を三角形状の先端面で当接し、その反力を確実に受けられるようになっている。なお、分割穿孔片22の先端の角度は、30度に限定されるものではなく、先端面がコンクリート壁面10と当接し易い角度から適宜選択してもよい。
【0024】
さらに、本実施形態における各三角錐状分割穿孔片22,22の外表面24は、
図1(c)に示すように、R溝状に形成されている。このように三角錐状分割穿孔片22の外表面24を平坦面ではなく、R溝状に形成することにより、石膏ボード9を穿孔する際に石膏の粉砕を少なくするとともに、石膏屑をR溝外表面24に収容させ、石膏ボード用アンカー1のねじ込みをスムーズにさせる機能を発揮し得るものである。
【0025】
また、
図1の(a)ないし(c)に示すように、本実施形態における軸部4の外周に形成された雄ねじ5には、複数の鋭角溝状の壁紙カット溝51が形成されている。これら壁紙カット溝51は、石膏ボード用アンカー1を石膏ボード9に押し込んでねじ込み下穴をあける際に石膏ボード9の表面の壁紙を切断しうるようになっている。これは、従来のアンカーのように雄ねじ5のみで下穴をあけると、石膏ボード9の表面の壁紙がバリ状に残ってしまうことがあり、石膏ボード用アンカー1のフランジ部3が部分的に浮いてしまうことから、これを防止するために前記壁紙カット溝51が形成されている。本実施形態における壁紙カット溝51は、40度の傾斜面にカットされており、平面視では略菱形に形成されているとともに
図1(c)の左側面図でみれば約60度の角度をなすように形成されている。また、前記壁紙カット溝51は、雄ねじ5の対角位置にそれぞれ2箇所形成されている。
【0026】
つぎに、本発明に係る石膏ボード用アンカー1の各構成の作用について説明する。
【0027】
図4は、石膏ボード厚が9.5mmであって壁裏寸法が10.5mmであるGL工法に本実施形態の石膏ボード用アンカー1を使用する例を示したものである。この場合の仕上げ寸法は20mmである。
【0028】
まず、係合穴6に係合させた回転工具により本実施形態の石膏ボード用アンカー1を石膏ボード9に押し込んでねじ込む。このとき、穿孔部2は、斜めにカットされた先端が閉じて鋭角状になり、穿孔しやすい先端形状になる。
【0029】
また、三角錐状分割穿孔片22の角状縁部で削り取られた石膏屑はR溝状に形成された三角錐状分割穿孔片22の外表面24に収容される。このため、石膏ボード用アンカー1をねじ込む際に、前記角状縁部と下穴との間に石膏屑が入り込みにくくなり、石膏ボード9の粉砕量が少なくなる。よって、摩擦抵抗が低減しスムーズにねじ込むことができる。
【0030】
石膏ボード用アンカー1をさらにねじ込んでいくと、前記石膏ボード用アンカー1の先端は、
図4(a)に示すように、石膏ボード9を貫通してコンクリート壁面10に当接する。このとき、壁裏寸法が10.5mmなのに対し穿孔部2は約18mmの長さ寸法に形成されているため、穿孔部2の後方部分が石膏ボード9内に残っている。
【0031】
この状態からさらにねじ込むと、本実施形態では、相対向する前記三角錐状分割穿孔片22が、コンクリート壁面10から反力を受けて、壁裏スペースに貫通しているいずれか適切な屈曲溝23の位置で折れ曲がりつつ拡開変位する。例えば、
図4(b)に示すように、壁裏寸法が10.5mmであることから、まず先端から約10mmの位置にある2つ目の屈曲溝23が折れ曲がる。つまり、従来のボード用アンカーでは穿孔部2が壁裏スペースに完全に貫通していなければ拡開できなかったのに対し、本実施形態の石膏ボード用アンカー1では穿孔部2の貫通が不完全であっても、その壁裏寸法に応じて貫通している部分の屈曲溝23から順に折れ曲がることが可能となり、様々な壁裏寸法に応じて拡開変位することができる。
【0032】
また、それぞれの屈曲溝23における溝底部の厚さがほぼ等しい寸法に形成されており、コンクリート壁面10に対して同レベルの当接力により一または二以上の屈曲溝23の位置で適宜折れ曲がることから、
図4(c)に示すように、壁裏寸法が狭い場合であっても、穿孔部2を石膏ボード9に対して完全に貫通させることができ、かつ、三角錐状分割穿孔片22を完全に拡開することが可能となる。なお、各三角錐状分割穿孔片22の先端が斜めにカットされていることから、拡開するときには三角形状の先端面で平坦ではないコンクリート壁面10を確実にキャッチすることができる。
【0033】
さらに、軸部4の外周における雄ねじ5では、壁紙カット溝51が、壁紙をねじ込み方向に引き込みながら切断するため、壁紙と石膏とが剥離せず、下穴の表面に壁紙のバリが残らない。よって、
図4(c)に示すように、フランジ部3が石膏ボード9に対して部分的に浮くことがない。
【0034】
最後に、
図4(d)に示すように、雌ねじ形成孔7に取付用ビス8をねじ込んで締結物を固定する。本実施形態では、上述のとおり、穿孔部2が石膏ボード9を完全に貫通して穿孔部2が大きく拡開しているのに加え、前記取付用ビス8のねじ込みによって軸部4がさらに膨らむ。よって、本実施形態の石膏ボード用アンカー1は、充分に大きな耐力を得ることができる。
【0035】
次に、本実施形態の石膏ボード用アンカー1が、実用されている種々の石膏ボード厚に対応することができ、またGL工法等により壁裏寸法が異なる場合であっても適用可能であることの説明をする。
【0036】
図5は、石膏ボード厚が9.5mmであって壁裏寸法が15.5mmであるGL工法に本実施形態の石膏ボード用アンカー1を使用する例を示したものである。この場合、壁裏寸法が比較的広いため、
図5に示すように、例えば先端から3つ目の屈曲溝23で拡開変位することにより、穿孔部2は拡開しながら石膏ボード9を貫通することができる。
【0037】
図6は、石膏ボード厚が12.5mmであって壁裏寸法が7.5mmであるGL工法に本実施形態の石膏ボード用アンカー1を使用する例を示したものである。この場合、先ほどの使用例に比べて石膏ボード9が厚くなっており、かつ壁裏寸法が7.5mmと狭いが、穿孔部2がコンクリート壁面10に当接したときには先端から1つ目の屈曲溝23は壁裏スペースに貫通している。よって、三角錐状分割穿孔片22は、1つ目の屈曲溝23から4つ目の屈曲溝23までねじ込みレベルに応じて適宜順番に屈曲され、穿孔部2は石膏ボード9を貫通することができる。
【0038】
図7は、石膏ボード厚が12.5mmであって壁裏寸法が12.5mmであるGL工法に本実施形態の石膏ボード用アンカー1を使用する例を示したものである。この場合、石膏ボード厚は比較的厚いが、壁裏寸法も比較的大きいため、穿孔部2がコンクリート壁面10に当接したときには1つ目および2つ目の屈曲溝23は壁裏スペースに貫通している。よって、三角錐状分割穿孔片22は、1つ目または2つ目の屈曲溝23から屈曲することができる。また、軸部4の長手方向の寸法は、石膏ボード厚よりも長いため、穿孔部2は石膏ボード9を完全に貫通することができる。
【0039】
図8は、石膏ボード厚が15.0mmであって壁裏寸法が5mmであるGL工法に本実施形態の石膏ボード用アンカー1を使用する例を示したものである。この場合、壁裏寸法が5mmと非常に狭いが、三角錐状分割穿孔片22は、壁裏スペースに貫通している1つ目の屈曲溝23から屈曲される。また、石膏ボード厚が15.0mmと非常に厚いが、屈曲溝23は先端から約18mmの位置にも形成されているため、全ての屈曲溝23が折れ曲がることによって穿孔部2は石膏ボード9を貫通することができる。
【0040】
図9は、石膏ボード厚が15.0mmであって壁裏寸法が10mmであるGL工法に本実施形態の石膏ボード用アンカー1を使用する例を示したものである。この場合、壁裏寸法が10mmであるため、上述のとおり屈曲溝23において折れ曲がるのに充分な余裕がある。また、石膏ボード厚も15.0mmと厚いが、軸部4の長さも充分に大きいので軸部4全体で石膏ボード9にねじ込まれているため、充分に大きな耐力を得ることができる。
【0041】
以上のような本実施形態の石膏ボード用アンカー1によれば、以下の効果を奏することができる。
1.下穴をあける際に相対向する三角錐状分割穿孔片22を反対方向に拡開変位させることができるため、穿孔部2を石膏ボード9に対して完全に貫通させることができる。
2.全体の長手方向の寸法を約35mmとするとともに先端から約5mm間隔で3つの屈曲溝23とそこから約3mmの間隔を隔てた1つの屈曲溝23を形成することで、石膏ボード厚が9.5mm〜15.0mmのものに兼用することができ、かつ壁裏寸法が5mm〜15.5mmの壁裏スペースの施工面に対して適切な耐力を得ることができる。
3.石膏ボード9が必要以上に粉砕されたり、あるいは粉砕した状態で無理矢理組み込まれることもなく、充分な耐荷重性を備え、接着材等の余計な補強コストが必要がない。
4.壁紙にバリを残さないため、石膏ボード9に対してフランジ部3が浮くことなく、見映えをよくすることができる。
【0042】
つぎに、本発明に係る石膏ボード用アンカーの他の実施形態について
図10を参照しつつ説明する。なお、前述した本実施形態で説明した構成と同一または相当する構成については同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0043】
図10に示すように、本実施形態では、2つの拡開スリット21が形成されており、四角錐状の穿孔部2を4分割している。つまり、四角錐状の穿孔部2の2つの対辺の中心位置を通る方向に沿って2つの拡開スリット21,21が形成されており、前記穿孔部2が4つの四角錐状の分割穿孔片22,22として構成されている。
【0044】
また、各四角錐状の分割穿孔片22,22には、その角状縁部に二以上の屈曲溝が、先の実施形態と同様、所定の間隔を隔てて形成されている。よって、分割穿孔片22,22の先端面を石膏ボードの裏面にあるコンクリート壁面に当接させてねじ込んだ際には、相対向する4つの四角錐状分割穿孔片22,22がそれぞれ、屈曲溝で折れ曲がりつつ、反対方向に拡開変位するようになっている。
【0045】
なお、本発明に係る石膏ボード用アンカーは、分割穿孔片22,22の強度や屈曲のし易さ、分割穿孔片22,22を拡開させた際の耐力等のバランスを考慮すると、先の実施形態のように、2つの分割穿孔片22,22とする構成がより好ましいが、他の実施形態のように、4つの分割穿孔片22,22に構成することを権利範囲から排除するものではない。
【0046】
その他、例えば図示しないが、先の実施形態では、四角錐状の穿孔部2の1つの対角線方向に沿って1つの拡開スリット21を形成したが、これに限らず、2つの対角線方向に沿って2つの拡開スリット21,21を形成して4つの三角錐状の分割穿孔片22,22を構成するようにしてもよい。
【0047】
あるいは、他の実施形態では、四角錐状の穿孔部2の2つの対辺の中心位置を通る方向に沿って2つの拡開スリット21,21を形成したが、これに限らず、対辺の中心位置を通る方向に沿って1つの拡開スリット21のみを形成して2つの四角錐状の分割穿孔片22,22を構成するようにしてもよい。
【0048】
なお、本発明に係る石膏ボード用アンカーは、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【課題】 石膏ボード厚の違いやGL工法等における壁裏スペースの壁面寸法の違いに関わらず兼用可能であって、前記壁裏スペースにあわせて穿孔部を適宜折り曲げて拡開することにより充分な耐力を発揮しうるボード用アンカーを提供する。
【解決手段】 四角錐状穿孔部2の一の対角方向に沿って先端面から軸部4の途中まで延びる拡開スリット21が設けられて分割軸部41が形成されているとともに、分割軸部41の先端部分に四角錐状穿孔部2を分割して形成された分割穿孔片22が連設されており、かつ、これら各分割穿孔片22の角状縁部に先端から所定間隔を隔てて二以上の屈曲溝23が設けられており、分割穿孔片22の先端面を石膏ボード9に押し込んでねじ込み下穴をあける際、相対向する各分割穿孔片22が屈曲溝23で折れ曲がりつつ反対方向に拡開変位するように構成されている。