特許第6188342号(P6188342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メディカルシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6188342-携帯型表示装置 図000002
  • 特許6188342-携帯型表示装置 図000003
  • 特許6188342-携帯型表示装置 図000004
  • 特許6188342-携帯型表示装置 図000005
  • 特許6188342-携帯型表示装置 図000006
  • 特許6188342-携帯型表示装置 図000007
  • 特許6188342-携帯型表示装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188342
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】携帯型表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/24 20120101AFI20170821BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   G06Q50/24
   A61B5/00 D
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-25419(P2013-25419)
(22)【出願日】2013年2月13日
(65)【公開番号】特開2014-154078(P2014-154078A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】森 啓
【審査官】 毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−000312(JP,A)
【文献】 特開2008−090715(JP,A)
【文献】 特開2007−094686(JP,A)
【文献】 特開2012−147878(JP,A)
【文献】 特開2009−232980(JP,A)
【文献】 特開2009−207817(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0087651(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリジナルの医用情報を記憶した医用画像保管装置にアクセス可能な携帯型表示装置であって、
複数の撮影画像を記憶する記憶部であって、前記複数の撮影画像各々は医用カンファレンスにおいてスクリーンに付された複数の資料を被写体として撮影され、前記複数の資料各々はオリジナルの医用情報と当該オリジナルの医用情報の識別情報とが描出された印刷物である、記憶部と、
前記記憶部に記憶されている複数の撮影画像の一覧の中からユーザ指定の撮影画像を選択する撮影画像選択部と、
前記選択された撮影画像を表示する表示部と、
前記表示された撮影画像の中に含まれている複数の資料領域を画像処理により分割し、前記分割後の複数の資料領域の中から読取対象の資料領域に含まれる識別情報領域を画像処理により特定する特定部と、
前記特定された識別情報領域に基づいて、前記読取対象の資料領域に対応するオリジナルの医用情報を前記医用画像保管装置から取得する取得部と、
を具備する携帯型表示装置。
【請求項2】
記一覧は、患者名、カンファレンス名、カンファレンスの日の少なくとも一つの情報を含む一覧である、請求項1記載の携帯型表示装置。
【請求項3】
前記識別情報は、前記医用情報のリンク情報を表現する符号であり、
前記特定部は、前記表示された撮影画像に描出された、前記符号に関する画像領域である前記読取対象の資料領域に含まれる識別情報領域を画像処理により認識し、
前記取得部は、前記認識された識別情報領域に対応するリンク情報を復元し、前記リンク情報に紐付けられたオリジナルの医用情報を前記医用画像保管装置から取得する、
請求項記載の携帯型表示装置。
【請求項4】
前記符号は、1次元コードまたは2次元コードである、請求項記載の携帯型表示装置。
【請求項5】
前記識別情報は、前記撮影画像を特定するための文字列であり、
前記特定部は、前記表示された撮影画像に描出された前記文字列に関する画像領域である前記読取対象の資料領域に含まれる識別情報領域を画像処理により特定し、
前記取得部は、前記特定された識別情報領域に関連付けられているオリジナルの医用情報を前記医用画像保管装置から取得する、
請求項記載の携帯型表示装置。
【請求項6】
前記文字列は、前記資料が用いられた医用カンファレンスを特定するための文字列または前記医用カンファレンスにおける議論対象の患者を特定するための文字列である、請求項記載の携帯型表示装置。
【請求項7】
前記撮影画像を撮影する撮影部、をさらに備える請求項記載の携帯型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、携帯型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナなど印刷物(ハードコピー)をコンピュータ装置に画像データとして取り込む技術がある。また、手書きのメモ等をスマートフォン(smart phone)などの携帯端末などで手軽にデータ化する技術が普及している。例えば、手書きのメモ等を携帯端末に内蔵されたカメラで撮影する方法がある。これらの技術を利用して、医用情報に関しても同様に、医師が所有する携帯端末に医用情報の印刷物をカメラ機能によりデータ化して取り込んで利用するケースが発生すると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−90715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
目的は、医用情報の印刷物を用いた医療行為の効率化を可能とする携帯型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る携帯型表示装置は、オリジナルの医用情報を記憶した医用画像保管装置にアクセス可能な携帯型表示装置であって、複数の撮影画像を記憶する記憶部であって、前記複数の撮影画像各々は医用カンファレンスにおいてスクリーンに付された複数の資料を被写体として撮影され、前記複数の資料各々はオリジナルの医用情報と当該オリジナルの医用情報の識別情報とが描出された印刷物である、記憶部と、前記記憶部に記憶されている複数の撮影画像の一覧の中からユーザ指定の撮影画像を選択する撮影画像選択部と、前記選択された撮影画像を表示する表示部と、前記表示された撮影画像の中に含まれている複数の資料領域を画像処理により分割し、前記分割後の複数の資料領域の中から読取対象の資料領域に含まれる識別情報領域を画像処理により特定する特定部と、前記特定された識別情報領域に基づいて、前記読取対象の資料領域に対応するオリジナルの医用情報を前記医用画像保管装置から取得する取得部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】医療に係るカンファレンスにおけるスクリーンの一例を示す図。
図2】第1実施形態に係る携帯型表示装置を含むカンファレンス時データ取込みシステムの構成を示す図。
図3】第1実施形態に係るスクリーンの一例を示す図。
図4図3のスクリーンを被写体とする撮影画像データの一例を示す図。
図5】第2実施形態に係る携帯型表示装置を含むカンファレンス時データ取込みシステムの構成を示す図。
図6】第2実施形態に係るスクリーンの一例を示す図。
図7図6のスクリーンを被写体とする撮影画像データの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる携帯型表示装置を説明する。
【0008】
本実施形態に係る携帯型表示装置は、カンファレンス(conference)等において使用されるものとする。カンファレンスは、複数の資料を用いて、特定の議題について複数の医療従事者で議論する場である。資料としては、医用情報の印刷物やユーザ従事者等による手書きのコメント、写真等が適当である。例えば、複数の印刷画像を参照しながら、特定の患者についての治療方針や治療計画を議論するのがカンファレンスである。チーム医療の重要性が増している中、カンファレンスの実施頻度が向上することが予想されている。
【0009】
カンファレンスにおいては、通常、複数の医療従事者(参加者)等に視認可能なように、複数の資料がスクリーンに取り付けられている。図1は、カンファレンスにおけるスクリーンの一例を示す図である。スクリーンとしては、シャウカステン(schaukasten)やホワイトボード、黒板等が挙げられる。しかし、スクリーンは、これらに限定されず、印刷物を取り付け可能なものであれば何でも良い。カンファレンスに用いられる医用情報としては、例えば、医用画像データや計測レポートデータ等の電子データ化されたあらゆる医用情報が該当する。印刷物としては、例えば、医用画像データの印刷物(以下、印刷画像と呼ぶ)や計測レポートデータの印刷物(以下、印刷計測レポートと呼ぶ)等が該当する。なお、医用情報は、これらに限定されず、診療録(電子カルテ)データや各種計測結果等であっても良い。これに伴い、医用情報の印刷物は、診療録の印刷物データや計測結果の印刷物であっても良い。また、スクリーンには、図1に示すように、医療従事者等による手書きのコメントが書き込まれたり、取り付けられたりしても良い。
【0010】
複数の医療従事者(参加者)は、スクリーンに取り付けられた複数の印刷物やコメントを参照しながら議論する。カンファレンス時、複数の医療従事者は、スクリーンに取り付けられた印刷画像を選び直したり、並べ替えたりしながら議論する。医療従事者は、本実施形態に係る携帯型表示装置のカメラ機能を用いてスクリーンの画像(以下、撮影画像と呼ぶ)を撮影する。カンファレンス後における診断や治療計画等の医療行為において、医療従事者は、カンファレンス時のスクリーンの撮影画像を見直すことで、カンファレンスの内容や流れを思い出すことができる。
【0011】
この際、撮影画像に描出されている印刷画像等を見直すことが考えられる。撮影画像を画像処理により拡大することにより当該撮影画像内の印刷物に関する画素領域(以下、印刷物領域)を視認することはできる。しかし、撮影画像内の印刷物領域は、オリジナルの医用情報に比して画質や解像度が劣化してしまう。
【0012】
本実施形態に係る携帯型表示装置は、医用情報の印刷物を被写体とする撮影画像から、自動的に医用情報を取得することができる。以下、第1実施形態と第2実施形態とに分けて本実施形態に係る携帯型表示装置について説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態に係る携帯型表示装置100を含むカンファレンス時データ取込みシステム1の構成を示す図である。図2に示すように、第1実施形態に係るカンファレンス時データ取込みシステム1は、携帯型表示装置100、医用装置200、及び医用画像保管装置(PACS:Picture archiving and communication system)300を有する。携帯型表示装置100と医用画像保管装置300とは、ネットワークを介して接続されている。医用装置200と携帯型表示装置100との間、あるいは、医用装置200と医用画像保管装置300との間は、必ずしもネットワークを介して接続されている必要はなく、ネットワークを介して接続されても良いし、接続されていなくても良い。
【0014】
携帯型表示装置100は、カメラ機能と通信機能とを有する携帯型の表示端末である。携帯型表示装置100としては、携帯電話装置やPDA(personal digital assistance)装置、携帯型タブレットPC(personal computer)装置などが挙げられる。携帯型表示装置100は、制御部101を中枢として、撮影部103、画像データ記憶部105、リンク情報特定部107、医用情報取得部109、表示部111、及び操作部113を有している。撮影部103は、カメラ機能を用いて被写体を撮影し、被写体に関する撮影画像データを発生する。画像データ記憶部105は、撮影画像データ等の画像データを記憶する。リンク情報特定部107は、撮影画像データを画像処理して、医用情報に関するリンク情報を特定する。医用情報取得部109は、リンク情報に従って医用情報を医用画像保管装置300から取得する。表示部111は、撮影画像データや医用情報等の種々の情報を表示する。表示部111としては、例えばCRTディスプレイや、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等が適宜利用可能である。操作部113は、医療従事者等のユーザによる入力機器を介した各種指令や情報入力を受け付ける。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が適宜利用可能である。制御部101は、CPU(central processing unit)とRAM(random success memory)とを有している。制御部101は、本実施形態のためのプログラムを展開し、当該プログラムに従って各部を制御する。
【0015】
医用装置200は、医用情報を印刷可能な装置である。医用装置としては、例えば、医用画像診断装置や医用画像観察装置(ビューワ)、医用画像処理装置(ワークステーション)等が挙げられる。医用画像診断装置としては、X線診断装置、X線コンピュータ断層撮影装置、磁気共鳴診断装置、超音波診断装置、SPECT装置、及びPET装置等のモダリティが適用可能である。医用装置200は、リンク情報埋め込み部201と印刷部203とを有している。リンク情報埋め込み部201は、医用情報にリンク情報を埋め込む。印刷部203は、医用情報を印刷出力する。
【0016】
医用画像保管装置300は、複数の医用情報を記憶するコンピュータ装置である。医用画像保管装置300は、複数の医用情報の各々をリンク情報や患者情報、検査情報等に関連付けて記憶している。リンク情報は、医用情報を一意に特定するための識別情報である。リンク情報としては、医用情報の記憶場所を示すURL等のアドレス情報、DICOM_Instance_UID、医用情報ID、医用情報の生成日等が挙げられる。患者情報としては、患者IDや患者名が挙げられる。検査情報としては、検査IDや検査日が挙げられる。医用画像保管装置300は、上記のように、携帯型表示装置100との間でネットワークを介して接続されている。医用画像保管装置300は、携帯型表示装置100からの送信要求に呼応して、医用情報を当該要求先の携帯型表示装置100にネットワークを介して送信する。
【0017】
次に、図2を参照しながら、第1実施形態に係るカンファレンス時データ取込みシステム1の動作例について説明する。
【0018】
医用装置200のリンク情報埋め込み部201は、印刷対象の医用情報にリンク情報を埋め込む。より詳細には、リンク情報埋め込み部201は、印刷対象の医用情報に関するリンク情報を符号(コード)に変換し、当該符号を医用情報に付加する。符号としては、例えば、1次元コードまたは2次元コードが挙げられる。2次元コードとしては、QRコード(登録商標)が挙げられる。以下、説明を具体的に行うため、符号は2次元コードであるとする。印刷対象の医用情報は、ユーザにより医用装置200に設けられた入力機器等を介して指定される。印刷対象の医用情報は、予め医用装置200に記憶されていても良いし、ネットワークを介して画像保管装置300から医用装置200に取り込まれても良い。印刷対象の医用情報に関するリンク情報は、当該印刷対象の医用情報に関連付けられている付帯情報から抽出されても良いし、ユーザにより医用装置200に設けられた入力機器等を介して入力されても良い。2次元コードが埋め込まれた印刷対象の医用情報は、印刷部203に供給される。
【0019】
印刷部203は、2次元コードが埋め込まれた印刷対象の医用情報を被印刷物に印刷する。被印刷物は、医用情報を描画可能であれば如何なる物体でも良い。例えば、被印刷物は、紙やフィルムが採用される。印刷出力された医用情報を印刷物と呼ぶことにする。印刷物には2次元コードが描出されている。
【0020】
カンファレンス時において複数の医療従事者は、スクリーンに2次元コードが描出された印刷物を取り付ける。典型的には、複数の印刷物がスクリーンに取り付けられ、カンファレンスにおける議論対象について議論がなされる。カンファレンスにおける議論対象としては、例えば、特定の疾患や特定の患者などが挙げられる。
【0021】
図3は、第1実施形態に係るスクリーンの一例を示す図である。図3に示すように、スクリーンには、複数の印刷物が取り付けられている。印刷物として、例えば、医用画像データの印刷出力である印刷画像や計測レポートデータの印刷出力である印刷計測レポートが取り付けられている。印刷画像や印刷計測レポートには2次元コードが付加されている。また、スクリーンには、コメントAやコメントB等の医療従事者によるコメントが貼り付けられても良い。なお、上述のように、印刷物としては、診療録データの印刷出力である印刷診療録等であっても良い。また、図3において、スクリーンには複数の印刷物が取り付けられるとしたが、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、スクリーンには単一の印刷物が取り付けられていても良い。
【0022】
ユーザは、カンファレンスの内容を保存したいと判断した場合、操作部113を介して撮影開始指示を入力する。この時、ユーザは、携帯型表示装置100に内蔵されたレンズを被写体であるスクリーンに向ける。撮影開始指示が入力されたことを契機として撮影部103は、撮影を行う。これにより撮影部103は、スクリーンに取り付けられた複数の印刷物を被写体とする撮影画像データを撮影することができる。撮影画像データは、画像データ記憶部105に供給する。
【0023】
図4は、図3のスクリーンを被写体とする撮影画像データIPの一例を示す図である。図4に示すように、撮影画像データIPは、スクリーンに関する画素領域(以下、スクリーン領域と呼ぶ)RSを含んでいる。スクリーン領域RSは、印刷画像に関する画素領域(以下、印刷画像領域と呼ぶ)RI、印刷計測レポートに関する画素領域(以下、印刷計測レポート領域と呼ぶ)RR、コメントに関する画素領域(以下、コメント領域と呼ぶ)RZを含んでいる。印刷画像領域RIと印刷計測レポート領域RRとの各々は、2次元コードに関する画素領域(以下、コード領域と呼ぶ)RCを含んでいる。以下、印刷画像や印刷計測レポート等の印刷物を特に区別しない場合、当該印刷物に関する画素領域を印刷物領域と呼ぶことにする。
【0024】
画像データ記憶部105は、撮影部103から供給された撮影画像データを記憶する。撮影画像データは、カンファレンス識別情報や患者情報等に関連付けて記憶される。カンファレンス識別情報は、例えば、カンファレンス名、カンファレンス日時、カンファレンスの実施場所などのカンファレンスを特定可能な情報を含む。カンファレンス情報は、操作部113を介してユーザにより入力可能である。なお、図示しない音声録音機能を用いて、カンファレンス時において発生せられた音声が録音された場合、画像データ記憶部105は、当該音声データを撮影画像データに関連付けて記憶しても良い。
【0025】
カンファレンスの終了後等において撮影画像データを観察したい場合、ユーザは、画像データ記憶部105に記憶されている撮影画像データの中から、操作部113を介して観察対象の撮影画像データを指定する。例えば、制御部101は、ユーザによる観察対象の指定を支援するため、画像データ記憶部105に記憶されている撮影画像データの一覧を表示する。一覧は、画像データ記憶部105に記憶されている撮影画像データに関するレコードを含んでいる。各レコードは、各撮影画像データに関する患者情報やカンファレンス情報等の少なくとも一つの項目を含んでいる。ユーザは、操作部113を介して、一覧の中から観察対象の撮影画像データに関するレコードを選択する。制御部101は、操作部113を介して選択されたレコードに対応する撮影画像を観察対象の撮影画像データに設定する。制御部101は、画像データ記憶部105から、観察対象の撮影画像データを読み出して表示部111に表示する。ユーザは、撮影画像データを観察しながら、カンファレンス時の内容を確認したりする。撮影画像データの観察中において撮影画像データの被写体である印刷物のオリジナルの医用情報を携帯型表示装置100で観察したい場合、ユーザは、操作部113を介して取得指示を入力する。取得指示が入力された場合、制御部101は、リンク情報特定部107に特定処理を行わせる。
【0026】
特定処理においてリンク情報特定部107は、医用情報に埋め込まれたリンク情報を撮影画像データから画像処理により特定する。具体的には、まず、リンク情報特定部107は、既存の画像処理技術を利用して、撮影画像データの中からコードの読取対象の印刷物領域を特定する。撮影画像データに単一の印刷物領域のみが含まれている場合、当該印刷物領域が読取対象に自動的に設定される。リンク情報特定部107は、撮影画像データに既存の2次元コード認識技術を施して、印刷物領域の中からコード領域を特定する。
【0027】
撮影画像データに複数の印刷物領域が含まれている場合、ユーザは、操作部113を介して、複数の印刷物領域の中から表示対象の印刷物領域を特定する。具体的には、まず、リンク情報特定部107は、撮影画像データに画像処理を施して、当該撮影画像に含まれる複数の印刷物領域の各々を画像データファイルに個別に分割する。各分割後の印刷物領域の画像データを、印刷物画像データと呼ぶことにする。印刷物画像データは、由来する印刷物領域に含まれるコード領域と同一の形態を有するコード領域を含んでいる。印刷物画像は、カンファレンス情報や患者情報に関連付けて画像データ記憶部105に記憶される。ユーザは、操作部113を介して、画像データ記憶部105に記憶されている印刷物画像データから表示対象の印刷物画像データを選択する。リンク情報特定部107は、選択された印刷物画像データを読取対象に設定する。リンク情報特定部107は、読取対象の印刷物画像データに既存の2次元コード認識技術を施して、印刷物画像データの中からコード領域を特定する。
【0028】
コード領域が特定されるとリンク情報特定部107は、読取対象のコード領域に画像処理を施して当該コード領域が示すリンク情報を復元する。復元されたリンク情報は、当該コード領域の撮影対象である2次元コードが表現するリンク情報に対応する。リンク情報は、医用情報取得部109に供給される。
【0029】
医用情報取得部109は、供給されたリンク情報に従って、表示対象の医用情報を医用画像保管装置300からネットワークを介して取得する。具体的には、取得部109は、リンク情報とともに医用情報の送信要求をネットワークを介して医用画像保管装置300に送信する。医用画像保管装置300は、リンク情報に紐付けられた医用情報を読み出し、読み出さされた医用情報をネットワークを介して携帯型表示装置100に送信する。医用情報取得部109は、送信された医用情報を受信する。
【0030】
医用情報が取得されると制御部101は、取得された医用情報を表示部111に表示する。表示された医用情報は、撮影画像データ内の印刷物領域に比して高解像度且つ高画質である。これによりユーザは、より詳細に医用情報を確認することができる。
【0031】
以上で第1実施形態に係るカンファレンス時データ取込みシステム1の動作例の説明を終了する。
【0032】
上記説明の通り、第1実施形態に係る携帯型表示装置100は、複数の医用情報が記憶された医用画像保管装置300にアクセス可能に構成されている。携帯型表示装置100は、画像データ記憶部105、リンク情報特定部107、及び医用情報取得部109を有している。画像データ記憶部105は、医用情報に関する印刷物を被写体とする撮影画像データを記憶する。リンク情報特定部は、医用情報を特定するためのリンク情報を撮影画像データから画像処理により特定する。医用情報取得部109は、リンク情報に従って、撮影画像データに含まれる印刷物に対応する医用情報を医用画像保管装置300から取得する。
【0033】
上記構成により、携帯型表示装置100は、リンク情報を示すコードが付加された医用情報が描出された撮影画像データから、リンク情報を用いて自動的に当該観察対象の医用情報を取得することができる。従って、ユーザは、カンファレンス時においてスクリーンに取り付けられていた印刷物に関するオリジナルの医用情報を携帯型表示装置100で観察することができる。ユーザは、医用情報と撮影画像データとを観察することにより容易にカンファレンス時の内容や流れを鮮明に思い出すことができる。また、撮影画像データに描出されている印刷物に比して高画質・高解像度の医用情報を観察することにより、携帯型表示装置100を用いて詳細な検討を行うことができる。
【0034】
かくして、第1実施形態によれば、医用情報の印刷物を用いた医療行為の効率化が実現する。
【0035】
(第2実施形態)
第1実施形態においては印刷物に、リンク情報に紐付けられたコードが描出されているとした。第2実施形態においては、印刷物にコードが描出されていないものとする。以下、第2実施形態に係る携帯型表示装置について説明する。なお以下の説明において、第1実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0036】
図5は、第2実施形態に係る携帯型表示装置400を含むカンファレンス時データ取込みシステム2の構成を示す図である。図5に示すように、カンファレンス時データ取込みシステム2は、携帯型表示装置400、医用装置500、及び医用画像保管装置(PACS)300を有している。携帯型表示装置400は、制御部101を中枢として、撮影部103、画像データ記憶部105、表示部111、操作部113、文字情報特定部115、及び医用情報取得部117を有している。文字情報特定部115は、撮影画像データを画像処理して、撮影画像データを特定するための文字情報を特定する。医用情報取得部は、文字情報に従って医用情報を医用画像保管装置300から取得する。医用装置500は、リンク情報埋め込み部201を有しておらず、印刷部203を有している。
【0037】
次に、図5を参照しながら、第2実施形態に係るカンファレンス時データ取込みシステム2の動作例について説明する。
【0038】
印刷部203は、印刷対象の医用情報を被印刷物に印刷し、印刷対象の医用情報に関する印刷物を出力する。第2実施形態において医用情報にはリンク情報が埋め込められず、従って、印刷物にコードが描出されていない。
【0039】
図6は、第2実施形態に係るスクリーンの一例を示す図である。図6に示すように、スクリーンには複数の印刷物が取り付けられている。印刷物にはコードが描出されていない。図6に示すように、スクリーンには印刷画像や印刷計測レポートの他にコメントが取り付けられている。また、スクリーンには、撮影画像データを特定するための文字列が記入されたり、当該文字列が記載された紙等が取り付けられたりしている。当該文字列としては、カンファレンス特定情報を示す文字列(以下、カンファレンス特定文字列と呼ぶ)やカンファレンスにおいて議論の対象となっている患者に関する患者情報を示す文字(以下、患者特定文字列と呼ぶ)が採用される。カンファレンス特定文字列は、例えば、カンファレンス名やカンファレンスID等のカンファレンス特定情報を示す文字列である。患者特定文字列は、患者名や患者ID等の患者情報を示す文字列である。カンファレンス特定文字列や患者特定文字列は、ユーザによりスクリーンに記入されたり、取り付けられたりする。
【0040】
ユーザは、カンファレンスの内容を保存したいと判断した場合、操作部113を介して撮影開始指示を入力する。撮影開始指示が入力されたことを契機として撮影部103は、撮影を行う。これにより撮影部103は、スクリーンに取り付けられた複数の印刷物を被写体とする撮影画像を撮影することができる。撮影画像データは、画像データ記憶部105に供給する。
【0041】
図7は、図6のスクリーンを被写体とする撮影画像データIP2の一例を示す図である。図7に示すように、撮影画像データIP2は、スクリーンに関する画素領域であるスクリーン領域RS2を含んでいる。スクリーン領域RSは、印刷画像に関する画素領域である印刷画像領域RI2、印刷計測レポートに関する画素領域である印刷計測レポート領域RR2、コメントに関する画素領域であるコメント領域RZ2を含んでいる。印刷画像領域RI2と印刷計測レポート領域RR2との各々は、コードに関する画素領域であるコード領域は含まれていない。また、スクリーン領域RS2には、カンファレンス特定文字列または患者特定文字列に関する画素領域である文字列領域RMを含んでいる。
【0042】
画像データ記憶部105は、撮影部103から供給された撮影画像データを記憶する。撮影画像データは、カンファレンス識別情報や患者情報等に関連付けて記憶される。
【0043】
カンファレンスの終了後等において撮影画像データを観察したい場合、ユーザは、画像データ記憶部105に記憶されている撮影画像データの中から、操作部113を介して観察対象の撮影画像データを指定する。観察対象の撮影画像データが指定された場合、制御部101は、画像データ記憶部105から、観察対象の撮影画像データを読み出して表示部111に表示する。ユーザは、撮影画像データを観察しながら、カンファレンス時の内容を確認したりする。撮影画像データの観察中において撮影画像データの被写体である印刷物のオリジナルの医用情報を携帯型表示装置400で観察したい場合、ユーザは、操作部113を介して取得指示を入力する。取得指示が入力された場合、制御部101は、文字情報特定部115に特定処理を行わせる。
【0044】
特定処理において文字情報特定部115は、カンファレンス文字列または患者文字列を撮影画像データから画像処理により特定する。具体的には、文字情報特定部115は、OCR(optical character reader)機能を用いて撮影画像データからカンファレンス文字列または患者文字列を特定する。カンファレンス文字列または患者文字列のデータは、医用情報取得部117に供給される。
【0045】
医用情報取得部117は、供給されたカンファレンス文字列または患者文字列のデータに従って、撮影画像データに含まれる印刷物に対応する医用情報を医用画像保管装置300からネットワークを介して取得する。例えば、医用情報取得部117は、カンファレンス文字列のデータとともに医用情報の送信要求をネットワークを介して医用画像保管装置300に送信する。医用画像保管装置300は、カンファレンス文字列に紐付けられた医用情報を読み出し、読み出された医用情報をネットワークを介して携帯型表示装置100に送信する。また、医用情報取得部117は、患者文字列のデータとともに医用情報の送信要求をネットワークを介して医用画像保管装置300に送信する。医用画像保管装置300は、患者文字列に紐付けられた医用情報を読み出し、読み出さされた医用情報をネットワークを介して携帯型表示装置100に送信する。医用情報取得部117は、送信された医用情報を受信する。
【0046】
なお、スクリーンに複数の印刷物が取り付けられている場合、医用画像保管装置300において、当該複数の印刷物にそれぞれ対応する複数の医用情報に、同一のカンファレンス文字列または患者文字列が関連付けられていることとなる。この場合、医用情報取得部117は、同一のカンファレンス文字列または患者文字列が関連付けられている全ての医用情報を医用画像保管装置300から取得する。
【0047】
医用情報が取得されると制御部101は、取得された医用情報を表示部111に表示する。表示された医用情報は、撮影画像データ内の印刷物領域に比して高解像度且つ高画質である。これによりユーザは、より詳細に医用情報を確認することができる。
【0048】
以上で第2実施形態に係るカンファレンス時データ取込みシステム2の動作例の説明を終了する。
【0049】
上記説明の通り、第2実施形態に係る携帯型表示装置400は、複数の医用情報が記憶された医用画像保管装置300にアクセス可能に構成されている。携帯型表示装置100は、画像データ記憶部105、文字情報特定部115、及び医用情報取得部117を有している。画像データ記憶部105は、医用情報に関する印刷物を被写体とする撮影画像データを記憶する。文字情報特定部115は、撮影画像データを特定するための、カンファレンス特定情報に関する文字列(カンファレンス特定文字列)または患者情報に関する文字列(患者特定文字列)を撮影画像データから画像処理により特定する。医用情報取得部109は、カンファレンス特定文字列または患者特定文字列に従って、撮影画像データに含まれる印刷物に対応する医用情報を医用画像保管装置300から取得する。
【0050】
上記構成により、携帯型表示装置100は、カンファレンス特定文字列または患者特定文字列が描出された撮影画像データから、当該カンファレンス特定文字列または患者特定文字列を用いて自動的に当該観察対象の医用情報を取得することができる。従って、ユーザは、カンファレンス時においてスクリーンに取り付けられていた印刷物に関するオリジナルの医用情報を携帯型表示装置100で観察することができる。ユーザは、医用情報と撮影画像データとを観察することにより容易にカンファレンス時の内容や流れを鮮明に思い出すことができる。また、撮影画像データに描出されている印刷物に比して高画質・高解像度の医用情報を観察することにより、携帯型表示装置100を用いて詳細な検討を行うことができる。
【0051】
かくして、第2実施形態によれば、医用情報の印刷物を用いた医療行為の効率化が実現する。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0053】
1…カンファレンス時データ取込みシステム、100…携帯型表示装置、101…制御部、103…撮影部、105…画像データ記憶部、107…リンク情報特定部、109…医用情報取得部、111…表示部、113…操作部、200…医用装置、201…リンク情報埋め込み部、203…印刷部、300…医用画像保管装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7