(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検索部は、被検体に設けられたRFタグからの識別信号に基づいて、前記特定された部屋に対応付けられた医用情報から当該識別信号に対応する医用情報を検索することを特徴とする請求項5記載の医用情報表示システム。
前記検索部は、入力された患者IDに基づいて、前記特定された部屋に対応付けられた医用情報から当該患者IDに対応する医用情報を検索することを特徴とする請求項5記載の医用情報表示システム。
病院内の部屋に対応付けられ、表示装置に表示するための医用情報の種類を設定する複数のアプリケーション、及び前記アプリケーションによって表示する医用情報の表示態様を設定する設定情報を記憶する記憶部と、
可搬型端末の現在地を示す位置情報を受けて、前記可搬型端末が位置する前記部屋を特定する特定部と、
特定された前記部屋に対応付けられた前記アプリケーションを前記記憶部から検索する検索部と、
検索された前記アプリケーションを実行し、前記設定情報に基づく所定の表示態様で前記医用情報を前記表示装置に表示させる表示制御部と、
を有することを特徴とするサーバ装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
図1から
図5を参照して、第1実施形態に係る医用情報表示システム1の構成について述べる。本実施形態では、可搬型端末10がサーバ装置20にアクセスし、サーバ装置20側で様々な処理を行うシンクライアント方式を例に説明する。
【0015】
[医用情報表示システムの全体構成]
図1は、本実施形態に係る医用情報表示システム1を含む病院H全体を示す概略図である。
【0016】
病院Hには、診察や検査等、目的に応じた複数の部屋がある。一例として、
図1には病室R
1、検査室R
2、手術室R
3、診察室R
4、医局R
5を示している。
【0017】
ここで、部屋によっては、外部表示装置が配置されている。たとえば、手術室R
3には大型モニタM1が配置されている。大型モニタM1には、手術の際に参照すべき画像や、実際の手術画像が表示される。また、医局R
5には高精細モニタM2が配置されている。高精細モニタM2には、検査室R
2で得られた画像等が読影用として表示される。なお、外部表示装置が配置される部屋はこれらの部屋に限られない。本実施形態における外部表示装置(大型モニタM1及び高精細モニタM2)は、「表示装置」の一例である。また、外部表示装置の「外部」とは、可搬型端末10の他に設けられている機器であることを示している。
【0018】
可搬型端末10は、操作者Sが携帯するタブレットPC等(携帯端末)である。操作者Sは、可搬型端末10を使用する医師等である(以下、操作者Sとして医師を例に説明する)。病院H内を移動する際、医師は常に可搬型端末10を携帯し、各部屋で利用する。可搬型端末10の詳細については後述する。
【0019】
サーバ装置20は、シンクライアント環境下において、複数のアプリケーションや医用情報を管理している。サーバ装置20の詳細については後述する。なお、サーバ装置20は、病院Hの外部に設けられていてもよい。
【0020】
可搬型端末10及びサーバ装置20間はLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して通信可能に接続されている。通信は、医用画像の標準規格であるDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)に準拠することが望ましいが、適宜、他の標準規格を適用してもよい。情報通信は、業界標準規格のTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)通信で、データはネットワークを介してパケット(転送する情報の基本単位)でやり取りされる。本実施形態における可搬型端末10及びサーバ装置20は、「医用情報表示システム」の一例である。
【0021】
[可搬型端末10の構成]
図2に示すように、本実施形態における可搬型端末10は、位置情報算出部10aと、送受信部10bと、表示部10cと、操作部10dとを有する。
【0022】
位置情報算出部10aは、可搬型端末10の現在地を示す位置情報を算出する。現在地とは、病院H内における可搬型端末10の位置(可搬型端末10を携帯する医師がいる場所)である。本実施形態において、位置情報算出部10aは、GPS(Global Positioning System)を利用して位置情報を三次元の座標値として算出する。具体的には、位置情報算出部10aは、複数の衛星(図示無し)からの信号を受信し、その信号に基づいて、各衛星との距離を割り出すことにより、可搬型端末10の三次元座標値を算出する。位置情報の算出は、連続的に行われてもよいし、予め設定された所定時間毎に行われてもよい。なお、位置情報の算出は、GPSを利用することに限られない。たとえば、位置情報算出部10aは、無線基地局からの信号に基づいて位置情報を算出してもよい。或いは、位置情報算出部10aは、部屋毎に設けられたRFタグからの識別信号に基づいて位置情報を算出してもよい。この場合、RFタグは、予め部屋の位置情報(三次元座標値)を記憶している。
【0023】
送受信部10bは、可搬型端末10及びサーバ装置20間において、信号やデータの送受信を行う。たとえば、送受信部10bは、位置情報算出部10aで算出された位置情報をサーバ装置20に送信する。また、サーバ装置20から送信された医用情報を受信する。医用情報は、電子カルテ、検査情報、医用画像等、患者に関するデータを示す情報である。位置情報の送信は、位置情報の取得タイミングに応じて行われてもよいし、一旦、メモリ(図示無し)に記憶したものを所定のタイミングで送信することでもよい。なお、サーバ装置20が、メモリ(図示無し)に記憶された位置情報を所定のタイミングで取りにくる構成も可能である。
【0024】
表示部10cは、サーバ装置20から送信された医用情報等を表示するディスプレイである。本実施形態における表示部10cは、「表示装置」の一例である。
【0025】
操作部10dは、可搬型端末10に対する指示入力を行う入力デバイスとして用いられる。操作部10dは、たとえばキーボード、マウス、トラックボール、ジョイスティック等により構成される。或いは、操作部10dとして、表示部10cに表示されたGUI(Graphical User Interface)を用いることも可能である。
【0026】
[サーバ装置20の構成]
図3に示すように、本実施形態におけるサーバ装置20は、記憶部20aと、特定部20bと、検索部20cと、表示制御部20dと、送受信部20eとを有する。
【0027】
記憶部20aは、RAMやROM等の半導体記憶装置によって構成される。記憶部20aは、病院H内の部屋に対応付けられ、表示装置に表示するための医用情報の種類を設定する複数のアプリケーション、及びアプリケーションによって表示する医用情報の表示態様を設定する設定情報を記憶する。
【0028】
アプリケーションは、表示装置に表示するための医用情報の種類(どのような医用情報を表示装置に表示するか)を設定するソフトウエアである。記憶部20aは、病院H内の部屋に対応付けられたアプリケーションを複数記憶している。たとえば、記憶部20aは、電子カルテ及び医用画像を表示装置に表示可能とするソフトウエアを病室R
1用のアプリケーションとして、病室R
1の座標値と関連付けて記憶している。また、記憶部20aは、検査情報及び医用画像を表示装置に表示可能とするソフトウエアを手術室R
3用のアプリケーションとして、手術室R
3の座標値と関連付けて記憶している。
【0029】
設定情報は、アプリケーションによって表示する医用情報の表示態様(医用情報をどのように表示するか)を設定するための情報である。たとえば、記憶部20aは、表示部10cに検査情報を表示させ、大型モニタM1に医用画像を表示させる設定情報を記憶している。記憶部20aは、異なる表示態様を設定する複数パターンの設定情報を記憶している。医師は、操作部10d等を介して、複数パターンから所定の表示態様を設定する設定情報を選択することが可能である。或いは、部屋毎に予め特定の設定情報が設定されていてもよい。
【0030】
更に、本実施形態において、記憶部20aは、病院H内の部屋における外部表示装置の設置の有無を示す設置情報を記憶する。また、記憶部20aは、複数の患者の医用情報や、病院H内の各部屋の位置(座標値)等も記憶している。
【0031】
特定部20bは、位置情報を受けて、可搬型端末10が位置する部屋を特定する。具体的には、特定部20bは、位置情報算出部10aで算出された位置情報(三次元の座標値)と記憶部20aに記憶されている病院Hの各部屋の位置(所定の領域を有する三次元の座標値)とを比較し、位置情報が含まれる領域に対応する部屋を可搬型端末10が位置する部屋として特定する。すなわち、可搬型端末10が位置する部屋とは、その部屋近傍の領域も含む概念である。
【0032】
検索部20cは、特定された部屋に対応付けられたアプリケーションを記憶部20aから検索する。具体的には、検索部20cは、特定部20bで特定された部屋の座標値と同じ座標値を有する専用のアプリケーションを記憶部20aの複数のアプリケーションから選択する。
【0033】
また、本実施形態において、検索部20cは、設置情報に基づき、特定された部屋における外部表示装置の設置の有無を検索する。具体的には、検索部20cは、特定部20bで特定された部屋に対応する設置情報を記憶部20aから読み出し、特定された部屋における外部表示装置の有無を判別する。
【0034】
表示制御部20dは、検索されたアプリケーションを実行し、設定情報に基づく所定の表示態様で医用情報を表示装置に表示させる。より具体的には、表示制御部20dは、特定された部屋に外部表示装置が設置されている場合、医用情報を外部表示装置及び表示部10cに表示させ、特定された部屋に外部表示装置が設置されていない場合、医用情報を表示部10cに表示させる。
【0035】
たとえば、可搬型端末10が位置する部屋として、大型モニタM1が設置されている手術室R
3が特定された場合について述べる。この場合、表示制御部20dは、検索部20cで検索された手術室R
3用のアプリケーション(検査情報及び医用画像を表示させるアプリケーション)を記憶部20aから読み出す。また、表示制御部20dは、特定された部屋における外部表示装置の有無の検索結果を検索部20cから受け取り、医用情報を表示させる表示装置として大型モニタM1及び可搬型端末10の表示部10cを特定する。そして、表示制御部20dは、大型モニタM1及び可搬型端末10の表示部10cに対し、読み出されたアプリケーションを実行し、操作部10d等を介して選択された設定情報に基づく所定の表示態様で検査情報及び医用画像を表示させる。たとえば、表示制御部20dは、所定の表示態様として、大型モニタM1には医用画像Iを表示させ、表示部10cには検査情報Eを表示させる(
図4A参照)。なお、表示制御部20dは、外部表示装置が設置されている場合であっても、所定の表示態様を選択することにより、いずれか一方の表示装置にのみ医用情報を表示させることも可能である。また、表示制御部20dは、上記動作を行う前に大型モニタM1が実際に使える状態にあるか(手術室R
3から大型モニタM1が移動されていないか、大型モニタM1が故障していないか等)を確認することが好ましい。この場合、表示制御部20dは、特定された部屋にある外部表示装置に確認信号を送り、確認がとれた時点で上記動作を実行する。或いは、表示制御部20dは、設置情報を利用せず、上記動作を実行する度に特定された部屋に外部表示装置があるかないかを確認することも可能である。
【0036】
一方、可搬型端末10が位置する部屋として、外部表示装置が設置されていない病室R
1が特定された場合について述べる。この場合、表示制御部20dは、検索部20cで検索された病室R
1用のアプリケーション(医用画像及び電子カルテを表示させるアプリケーション)を記憶部20aから読み出す。また、表示制御部20dは、特定された部屋における外部表示装置の有無の検索結果を検索部20cから受け取り、医用情報を表示させる表示装置として可搬型端末10の表示部10cのみを特定する。そして、表示制御部20dは、可搬型端末10の表示部10cに対し、読み出されたアプリケーションを実行し、操作部10d等を介して選択された設定情報に基づく所定の表示態様で医用画像及び電子カルテを表示させる。たとえば、表示制御部20dは、所定の表示態様として、表示部10cに電子カルテCを表示させる。そして、表示制御部20dは、操作部10dからの指示入力等に基づいて、電子カルテCを医用画像Iに切り換えて表示させる(
図4B参照)。
【0037】
なお、位置情報算出部10aからの位置情報(座標値)が特定された部屋(座標値)から外れた場合(医師が部屋を移動した場合)、表示制御部20dは、実行しているアプリケーションを終了させる。そして、表示制御部20dは、新たな位置情報に基づいて特定された部屋に対応付けられたアプリケーションを実行する。
【0038】
また、ある設定情報に基づいて表示装置に医用情報を表示させた後、表示制御部20dは、操作部10dからの指示入力に基づいて別の設定情報に切り換え、当該設定情報に基づく表示態様で医用画像を表示させる(先に表示された医用情報の表示態様を変更する)ことも可能である。すなわち、操作部10dは、複数の設定情報から任意の設定情報を選択するために用いることができる。
【0039】
送受信部20eは、可搬型端末10及びサーバ装置20間において、信号やデータの送受信を行う。たとえば、医師が操作部10d等により、特定された部屋に居る患者の患者IDを入力した場合、表示制御部20dは、入力された患者IDに対応する医用情報を記憶部20aから読み出す。送受信部20eは、読み出された医用情報を可搬型端末10に送信する。送信された医用情報は、表示制御部20dの制御に基づいて、表示部10cに表示される。
【0040】
[動作]
次に、
図5を参照して、本実施形態に係る医用情報表示システム1の動作について説明する。
【0041】
医師は、可搬型端末10を携帯し、予め計画されたスケジュールに沿って病院H内を移動する。
【0042】
位置情報算出部10aは、GPSを利用して可搬型端末10の現在地を示す位置情報を算出する(S10)。送受信部10bは、算出された位置情報をサーバ装置20に送信する。
【0043】
特定部20bは、S10で算出された位置情報受けて、当該位置情報に対応する病院H内の部屋を特定する(S11)。
【0044】
検索部20cは、S11で特定された部屋に対応づけられたアプリケーションを記憶部20aから検索する(S12)。
【0045】
また、検索部20cは、S11で特定された部屋に外部表示装置が設置されているか否か(設置の有無)を記憶部20aに記憶された設置情報に基づいて検索する(S13)。なお、S12とS13は、同時に行われてもよいし、逆の順番で行われてもよい。
【0046】
外部表示装置が設置されている場合(たとえば、特定された部屋が手術室R
3の場合。S14でYの場合)、表示制御部20dは、大型モニタM1及び表示部10cに対し、S12で検索されたアプリケーションを実行し、設定情報に基づく所定の表示態様で医用情報(たとえば、検査情報及び医用画像)を表示させる(S15)。
【0047】
逆に、外部表示装置が設置されていない場合(たとえば、特定された部屋が病室R
1の場合。S14でNの場合)、表示制御部20dは、表示部10cに対し、S12で検索されたアプリケーションを実行し、設定情報に基づく所定の表示態様で医用情報(たとえば、医用画像及び電子カルテ)を表示させる(S16)。
【0048】
ここで、操作部10d等により、特定された部屋に居る患者の患者IDが入力されると、表示制御部20dは、入力された患者IDに対応する医用情報を記憶部20aから読み出し、大型モニタM1及び表示部10c(或いは、表示部10cのみ)に表示させる。
【0049】
なお、可搬型端末10及びサーバ装置20の構成は、上記に限られない。たとえば、アプリケーションを起動する表示制御部20dを可搬型端末10側に設けることも可能である。すなわち、本実施形態における医用情報表示システム1は、シンクライアント方式のシステムに限られない。
【0050】
[作用・効果]
第1実施形態に係る医用情報表示システム1の作用及び効果について説明する。
【0051】
本実施形態に係る医用情報表示システム1は、位置情報算出部10aと、記憶部20aと、特定部20bと、検索部20cと、表示制御部20dとを有する。位置情報算出部10aは、可搬型端末10の現在地を示す位置情報を算出する。記憶部20aは、病院H内の部屋に対応付けられ、表示装置に表示するための医用情報の種類を設定する複数のアプリケーション、及びアプリケーションによって表示する医用情報の表示態様を設定する設定情報を記憶する。特定部20bは、位置情報を受けて、可搬型端末10が位置する部屋を特定する。検索部20cは、特定された部屋に対応付けられたアプリケーションを記憶部20aから検索する。表示制御部20dは、検索されたアプリケーションを実行し、設定情報に基づく所定の表示態様で医用情報を表示装置に表示させる。
【0052】
このように、本実施形態による医用情報表示システム1によれば、可搬型端末10の位置情報により可搬型端末10が位置する部屋に対応付けられたアプリケーションを自動で実行し、表示装置に医用情報を表示することができる。よって、医師等が移動先の部屋で都度、必要なアプリケーションを実行する必要がない。すなわち、本実施形態に係る医療情報表示システム1によれば、可搬型端末10が位置する場所に応じた表示制御を容易に行うことが可能となる。
【0053】
また、本実施形態に係る医用情報表示システム1は、可搬型端末10と、可搬型端末10と通信可能に接続されるサーバ装置20とを有する。可搬型端末10は、位置情報算出部10aを有する。位置情報算出部10aは、可搬型端末10の現在地を示す位置情報を算出する。サーバ装置20は、記憶部20aと、特定部20bと、検索部20cと、表示制御部20dとを有する。記憶部20aは、病院H内の部屋に対応付けられ、表示装置に表示するための医用情報の種類を設定する複数のアプリケーション、及びアプリケーションによって表示する医用情報の表示態様を設定する設定情報を記憶する。特定部20bは、位置情報を受けて、可搬型端末10が位置する部屋を特定する。検索部20cは、特定された部屋に対応付けられたアプリケーションを記憶部20aから検索する。表示制御部20dは、検索されたアプリケーションを実行し、設定情報に基づく所定の表示態様で医用情報を表示装置に表示させる。
【0054】
このように、医師等が使用する可搬型端末10に必要最小限の処理をさせ、その他の処理をサーバ装置20で行う、所謂シンクライアント方式の医用情報表示システム1であっても可搬型端末10が位置する場所に応じた表示制御を容易に行うことが可能となる。
【0055】
また、本実施形態に係る医用情報表示システム1において、表示装置は、病院H内の部屋に設けられた外部表示装置(大型モニタM1、高精細モニタM2等)及び可搬型端末10の表示部10cである。また、記憶部20aは、部屋における外部表示装置の設置の有無を示す設置情報を記憶する。検索部20cは、設置情報に基づき、特定された部屋における外部表示装置の設置の有無を検索する。そして、表示制御部20dは、特定された部屋に外部表示装置が設置されている場合、医用情報を外部表示装置及び表示部10cに表示させ、特定された部屋に外部表示装置が設置されていない場合、医用情報を表示部10cに表示させる。
【0056】
このように、本実施形態による医用情報表示システム1によれば、外部表示装置の有無に応じて、検索されたアプリケーションを実行し、表示装置に医用情報を表示することができる。よって、移動先の部屋に大型モニタ等の外部表示装置がある場合にも新たな専用端末にログインし直す必要がない。すなわち、本実施形態に係る医療情報表示システム1によれば、可搬型端末10が位置する場所に応じた表示制御を容易に行うことが可能となる。
【0057】
<第2実施形態>
次に、
図6を参照して、第2実施形態に係る医用情報表示システム1の構成について説明する。本実施形態では、特定された部屋に対応付けられた医用情報を表示することができる医用情報表示システム1について説明を行う。第1実施形態と同様の構成については、詳細な説明を省略する場合がある。
【0058】
[サーバ装置20の構成]
サーバ装置20は、第1実施形態と同様、記憶部20aと、特定部20bと、検索部20cと、表示制御部20dと、送受信部20eとを有する。
【0059】
本実施形態における記憶部20aは、病院H内の部屋に対応付けられた医用情報を記憶する。たとえば、記憶部20aは、病室R
1に入院している患者に関する医用情報を病室R
1の座標値に関連付けて記憶している。
【0060】
検索部20cは、特定された部屋に対応付けられた医用情報を記憶部20aから検索する。具体的には、検索部20cは、特定された部屋の座標値と同じ座標値を有する医用情報を記憶部20aに記憶された複数の医用情報から選択する。
【0061】
表示制御部20dは、検索されたアプリケーションに設定された医用情報の種類に基づき、検索された医用情報を表示装置に表示させる。たとえば、外部表示装置が設置されていない病室R
1に、患者甲が入院している場合について述べる。この場合、可搬型端末10が位置する部屋として病室R
1が特定されると、表示制御部20dは、可搬型端末10の表示部10cに対し、病室R
1におけるアプリケーション(医用画像及び電子カルテを表示させるアプリケーション)を実行する。そして、表示制御部20dは、実行されたアプリケーションに基づいて、検索された患者甲の医用情報(電子カルテ又は医用画像)を表示部10cに表示させる。
【0062】
ここで、回診を行う医師は複数の病室を回る場合がある。一般に病室では、必要とされる医用情報の種類は決まっている。つまり、各病室で使用するアプリケーションは同じであるため、そのまま実行させておくことが望ましい。一方、医用情報を可搬型端末10の表示部10cに表示したままにしておくことは、個人情報保護の観点から望ましくない。よって、位置情報算出部10aからの位置情報(座標値)が特定された部屋の範囲から外れた場合(医師が部屋を移動した場合)、表示制御部20dは、表示部10cに表示された医用情報のみを消去することも可能である。この場合、表示制御部20dは、新たな位置情報に基づいて特定された部屋に対応付けられた医用情報を表示部10cに表示させる。これにより、前の病室の患者の医用情報が移動した先の病室の患者の目に触れるという不都合を防止することができる。
【0063】
[動作]
次に、
図6を参照して、本実施形態に係る医用情報表示システム1の動作について説明する。以下では、各病室には、一人の入院患者しか居ないものとして述べる。
【0064】
医師は、可搬型端末10を携帯し、予め計画されたスケジュールに沿って複数の病室を回診する。
【0065】
位置情報算出部10aは、GPSを利用して可搬型端末10の現在地を示す位置情報を算出する(S20)。送受信部10bは、算出された位置情報をサーバ装置20に送信する。
【0066】
特定部20bは、S20で算出された位置情報受け取ると、当該位置情報に対応する病室R
1を特定する(S21)。
【0067】
検索部20cは、S21で特定された病室R
1に対応づけられたアプリケーション(医用画像及び電子カルテを表示させるアプリケーション)を記憶部20aから検索する(S22)。
【0068】
また、検索部20cは、S21で特定された部屋に外部表示装置が設置されているか否か(設置の有無)を記憶部20aに記憶された設置情報に基づいて検索する(S23)。ここでは、病室に外部表示装置が設置されていないものとして説明する。
【0069】
更に、検索部20cは、S21で特定された病室R
1に対応付けられた医用情報(即ち、病室R
1に入院している患者の電子カルテ及び医用画像)を検索する(S24)。なお、S22〜S24は、同時に行われてもよいし、任意の順番で行われてもよい。
【0070】
表示制御部20dは、S22で検索されたアプリケーションを実行し、アプリケーションに設定された医用情報の種類に基づき、S24で検索された医用情報を表示部10cに表示させる(S25)。
【0071】
病室R
1での回診が終わり、医師が病室R
1から退室すると(可搬型端末10の位置情報が病室R
1の座標値に含まれなくなると)、表示制御部20dは、S25で表示されている医用情報を消去する(S26)。
【0072】
そして、特定部20bにより、新たな病室R
1´が特定された場合、検索部20cは、特定された新たな病室R
1´対応付けられた新たな医用情報を検索する(S27)。表示制御部20dは、S22で検索されたアプリケーションに設定された医用情報の種類に基づき、S27で検索された医用情報を表示部10cに表示させる(S28)。
【0073】
[作用・効果]
第2実施形態に係る医用情報表示システム1の作用及び効果について説明する。
【0074】
本実施形態に係る医用情報表示システム1において、記憶部20aは、病院H内の部屋に対応付けられた医用情報を記憶する。検索部20cは、特定された部屋に対応付けられた医用情報を検索する。表示制御部20dは、検索されたアプリケーションに設定された医用情報の種類に基づき、検索された医用情報を表示装置に表示させる。
【0075】
このように、本実施形態による医用情報表示システム1によれば、可搬型端末10の位置情報により可搬型端末10が位置する部屋に対応付けられた医用情報を自動で表示させることができる。よって、医師が移動先の部屋で都度、必要な医用情報を表示させる必要がない。すなわち、本実施形態に係る医療情報表示システムによれば、可搬型端末10が位置する場所に応じた表示制御を容易に行うことが可能となる。
【0076】
<変形例>
たとえば、一つの病室に複数人の患者が入院している場合、第2実施形態の構成では、一人一人の医用情報まで特定することができない。
【0077】
この場合、医師は、操作部10dを用いて対象となる患者を指定する患者IDを入力する。検索部20cは、特定された部屋に対応付けられた医用情報から入力された患者IDに対応する医用情報を検索する。表示制御部20dは、検索された医用情報(対象となる患者のみの医用情報)を表示装置に表示させる。
【0078】
また、入院患者は、患者識別用のために名札や腕にRFタグを付けている場合がある。そこで、検索部20cは、患者(被検体)に設けられたRFタグからの識別信号に基づいて、特定された部屋に対応付けられた複数の患者の医用情報から当該識別信号に対応する医用情報を検索することも可能である。具体的には、可搬型端末10を携帯する医師がRFタグを付けた患者に近づくと、可搬型端末10の検出部(図示無し)で識別信号を受信する。送受信部10bは、受信した識別信号をサーバ装置20に送る。サーバ装置20に送られた識別信号は、検索部20cに送られる。検索部20cは、特定された部屋に対応付けられた医用情報の中から、識別信号に対応する患者の医用情報を探し出す。表示制御部20dは、識別信号に対応する患者の医用情報のみを表示装置に表示させる。なお、ある患者の医用情報を表示させた状態において、可搬型端末10の検出部(図示無し)が異なる識別信号を受信した場合(或いは、識別信号を受信できなくなった場合)、その患者への回診は終了し、新たな患者の回診が始まるものと判断できる。そこで、送受信部10bは、検出部(図示無し)で検出された新たな患者の識別信号をサーバ装置20へ送信する。表示制御部20dは、新たな患者の識別信号を受け取った場合には、現在表示している医用情報を消去し、検索部20cで検索された新たな患者の医用情報を表示装置に表示させる。このように、RFタグの識別信号を使用することで、可搬型端末10の位置情報が同じ場合であっても、その位置に関連付けられた複数の医用情報から特定の医用情報のみを容易に取り出すことが可能となる。また、異なる識別信号を受信した場合に、先に表示された医用情報を自動で消去することで、ある患者の医用情報が他の患者の目に触れるという不都合も解消することができる。
【0079】
或いは、病院で作成されるワークリストを使用する例も可能である。ワークリストとは、医師(操作者)が行う作業を管理するために、その作業内容を時系列に示すものである。ワークリストに記された各作業には、その作業を行う予定時刻が設定されている。作成されたワークリストは、たとえば、サーバ装置20の記憶部20aに記憶されている。医師は、可搬型端末10からサーバ装置20にアクセスすることで、いつでも自分のワークリストを参照することができる。
【0080】
この場合、検索部20cは、ワークリストに示された時刻に基づいて、特定された部屋に対応づけられた医用情報から当該時刻に対応する医用情報を検索することができる。たとえば、ワークリストに、病室R
1における患者甲の回診時刻が14:30、患者乙の回診時刻が14:45、患者丙の回診時刻が15:00と設定されているとする。そして現在時刻が14:45であるとすると、検索部20cは、特定された部屋に関連付けられた医用情報の中から特定の患者の医用情報を検索する場合に、現在時刻(14:45)に基づいて、患者乙の医用情報を検索する。表示制御部20dは、検索された患者乙の医用情報のみを表示装置に表示させる。
【0081】
<実施形態に共通の効果>
以上述べた少なくともひとつの実施形態の構成によれば、可搬型端末の位置情報により可搬型端末が位置する部屋に対応付けられたアプリケーションを自動で実行し、表示装置に医用情報を表示することができる。よって、医師が移動先の部屋で都度、必要なアプリケーションを実行する必要がない。すなわち、本実施形態に係る医療情報表示システムによれば、可搬型端末が位置する場所に応じた表示制御を容易に行うことが可能となる。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。