(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
(有機無機ハイブリッド粒子)
本発明に係る有機無機ハイブリッド粒子は、有機コア粒子と、該有機コア粒子の表面上に配置された無機シェルとを備える。本発明に係る有機無機ハイブリッド粒子の無機シェルの比重が1.8g/cm
3以上、2.3g/cm
3以下である。本発明に係る有機無機ハイブリッド粒子の無機シェルの厚みの、上記有機コア粒子の半径に対する比が0.05以上、0.70以下である。
【0024】
本発明に係る有機無機ハイブリッド粒子では、上述した構成が備えられているので、薄くて硬い無機シェルができ、初期硬く後期柔らかく、圧縮時の歪に対する圧縮変形特性が高いため、電極間を電気的に接続した接続構造体において、良好に導電性粒子を電極間の表面に貫入させることができる。また、上記有機無機ハイブリッド粒子が初期硬く後期柔らかく、圧縮時の歪に対する圧縮変形特性が高いため、無機シェルの割れた破片が有機コア粒子に突き刺さらないため、有機コア粒子の歪に対する圧縮変形特性を高く保つことができ、有機無機ハイブリッド粒子が十分に変形するために接触面積が十分に大きくなる。このため、電極間を電気的に接続した接続構造体において接続抵抗を低くすることができる。
【0025】
有機無機ハイブリッド粒子を液晶表示素子用スペーサとして用いる場合に、例えば、湿式散布するために、液晶表示素子用スペーサはバインダー樹脂中に添加される。本発明に係る有機無機ハイブリッド粒子では、有機コア粒子の表面上に無機シェルが配置されており、更に無機シェルの比重が1.8g/cm
3以上、2.3g/cm
3以下であり、無機シェルの厚みの、上記有機コア粒子の半径に対する比が0.05以上、0.70以下であるので、バインダー樹脂中に有機無機ハイブリッド粒子(液晶表示素子用スペーサなど)を分散させ、接続構造体を得たときに、有機無機ハイブリッド粒子の圧縮変形特性が損なわれない。すなわち、バインダー樹脂中で、有機無機ハイブリッド粒子の圧縮変形特性を高く保つことができ、初期硬くて、後期柔らかい性質を発現させることができる。従って、有機無機ハイブリッド粒子を液晶表示素子用スペーサとして用いた場合に、基板の間隔(ギャップ)を一定に保つことができ、また有機無機ハイブリッド粒子の歪に対する圧縮変形特性が高く、基板に傷がつきにくく、有機無機ハイブリッド粒子を基板の表面に配置することができる。このため、液晶表示装置において表示品質が低下し難くなる。
【0026】
また、有機無機ハイブリッド粒子を導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料として用いる場合に、例えば、導電性粒子は、バインダー樹脂中に添加され、導電ペースト又は導電フィルムの形態で用いられることが多い。
【0027】
上記有機無機ハイブリッド粒子は、有機コア粒子の表面上に無機シェルが配置されており、更に無機シェルの比重が1.8g/cm
3以上、2.3g/cm
3以下であり、無機シェルの厚みの、上記有機コア粒子の半径に対する比が0.05以上、0.70以下であるので、バインダー樹脂中に、導電性粒子を分散させ、接続構造体としたときに、導電性粒子の圧縮変形特性を損なわず、初期硬くて、後期柔らかい性質を発現させることができる。従って、導電性粒子は、電極間の表面に貫入しながら、良好に変形し、接触面積を広く保ちながら、導電性粒子を電極間の表面に配置することができる。このため、導電材料が電極間を電気的に接続した接続構造体において接続抵抗が低くなる。更に、電極間を電気的に接続した接続構造体において、接続信頼性を高めることもできる。また、上記有機無機ハイブリッド粒子の初期圧縮時の圧縮弾性率を高くし、歪に対する圧縮変形特性を高くする観点からは、上記有機無機ハイブリッド粒子が孔を含まないか又は含み、かつ上記有機無機ハイブリッド粒子の細孔容積は0.01cm
3/g以下であることが好ましい。上記有機無機ハイブリッド粒子の細孔容積が0.01cm
3/g以下であると、圧縮変形時の応力歪がかからず、無機シェルとして、硬さがより一層良好になる。
【0028】
また上記有機無機ハイブリッド粒子が孔を含まないか又は含み、かつ上記有機無機ハイブリッド粒子の細孔径は10nm以下であることが好ましい。上記有機無機ハイブリッド粒子の細孔径が10nm以下であると、圧縮変形時の応力歪がかからず、無機シェルとして、硬さがより一層良好になる。
【0029】
上記無機シェルの比重が上記範囲であること、かつ上記無機シェルの厚みの、上記有機コア粒子の半径に対する比が上記範囲であることで、接続構造体での有機無機ハイブリッド粒子(液晶表示素子用スペーサなど)又は導電性微粒子の好ましい圧縮変形特性として、上記有機無機ハイブリッド粒子の10%圧縮時の圧縮弾性率が2000mN/mm
2以上、15000mN/mm
2以下であることが好ましく、10%圧縮したときの圧縮弾性率の30%圧縮したときの圧縮弾性率に対する比が1.0以上であることが好ましく、有機無機ハイブリッド粒子が65%歪んだときに要する荷重が2.5mN以上であることが好ましい。
【0030】
また、上記有機無機ハイブリッド粒子の初期圧縮時の圧縮弾性率を高くし、歪に対する圧縮変形特性を高くする観点から、上記有機無機ハイブリッド粒子は、ゾルゲル反応途中、ゾルゲル反応終了後、又は上記ゾルゲル法により得られた有機無機ハイブリッド粒子を乾燥した後に、酸処理、アルカリ処理、紫外線処理、マイクロ波加熱処理、ミリ波処理、又は乾燥を低温長時間処理すること等の後処理をすることが好ましい。上記酸処理に用いる酸としては、特に限定されないが、塩酸、酢酸、硝酸等が挙げられる。上記酸処理に用いるアルカリとして、特に限定されないが、水酸化ナトリウム及びアンモニア水等が挙げられる。上記紫外線処理に用いる光源としては、特に限定されないが、低圧水銀UVランプ、高圧水銀UVランプ、メタルハライドUVランプ及びエキシマランプ等が挙げられ、波長としては、185nm以上、400nm以下で処理することが好ましい。上記マイクロ波加熱処理としては、特に限定されないが、上記有機コア粒子の分解温度より低い温度で加熱することが好ましく、加熱時間としては、0.5時間以上、24時間以下で処理することが好ましい。上記乾燥を低温長時間処理する条件として、乾燥温度が常温から100℃以下で、乾燥時間が12時間以上、48時間以下で乾燥することが好ましい。上記後処理を行うことで、有機無機ハイブリッド粒子の無機シェルがより緻密化し、比重がより一層高い無機シェルが得られる。
【0031】
上記有機無機ハイブリッド粒子の用途は特に限定されない。上記有機無機ハイブリッド粒子は、バインダー樹脂中に添加されて用いられる様々な用途に好適に用いられる。上記有機無機ハイブリッド粒子は、表面上に導電層が形成され、上記導電層を有する導電性粒子を得るために用いられるか、又は液晶表示素子用スペーサとして用いられることが好ましい。本発明に係る有機無機ハイブリッド粒子の無機シェル層は比重が高いため、上記有機無機ハイブリッド粒子が初期硬く、後期柔らかい性質を有し、かつ有機コア粒子が高荷重でも破壊されないので、上記有機無機ハイブリッド粒子を液晶表示素子用スペーサとして用いて基板間に配置したり、表面に導電層を形成して導電性粒子として用いて電極間を電気的に接続したりした場合に、液晶表示素子用スペーサ又は導電性粒子が、基板間又は電極間の表面に貫入しながら、良好に変形し、接触面積を広く保ちながら、導電性粒子を電極間の表面に配置することができる。さらに、上記液晶表示素子用スペーサを用いた液晶表示素子及び上記導電性粒子を用いた接続構造体に衝撃が加わったときに、基板又は電極の間隔の変動に対応して、液晶表示素子用スペーサ又は導電性粒子が十分に追従して変形しやすい。このため、基板間又は電極間の間隔のばらつきが生じ難く、電極間の接続不良が生じ難くなる。
【0032】
さらに、上記有機無機ハイブリッド粒子は、無機充填材、衝撃吸収剤又は振動吸収剤としても好適に用いられる。例えば、ゴム又はバネ等の代替品として、上記有機無機ハイブリッド粒子を用いることができる。
【0033】
上記有機無機ハイブリッド粒子における上記圧縮弾性率(10%K値及び30%K値)は、以下のようにして測定できる。
【0034】
微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径100μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、圧縮速度0.3mN/秒、及び最大試験荷重20mNの条件下で有機無機ハイブリッド粒子を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(μm)を測定する。得られた測定値から、上記圧縮弾性率を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
【0035】
K値(mN/mm
2)=(3/2
1/2)・F・S
−3/2・R
−1/2
F:有機無機ハイブリッド粒子が10%又は30%圧縮変形したときの荷重値(mN)
S:有機無機ハイブリッド粒子が10%又は30%圧縮変形したときの圧縮変位(μm)
R:有機無機ハイブリッド粒子の半径(μm)
【0036】
上記圧縮弾性率は、有機無機ハイブリッド粒子の硬さを普遍的かつ定量的に表す。上記圧縮弾性率の使用により、有機無機ハイブリッド粒子の硬さを定量的かつ一義的に表すことができる。
【0037】
例えば、上記有機無機ハイブリッド粒子の粒子径が4.6μmの場合の圧縮変形曲線を示す。また、上記有機無機ハイブリッド粒子の粒子径が4.6μmの場合に、65%歪んだとき(有機無機ハイブリッド粒子の粒子径:4.6μm×65%=2.99μm)に要する荷重は7.5mNとなる。
【0038】
図6に、本発明に係る有機無機ハイブリッド粒子の圧縮変形曲線の一例を示した。
【0039】
上記有機無機ハイブリッド粒子では、窒素ガス吸脱着によるBET法で細孔分布(細孔容積、細孔径)や比表面積を求めることができ、JIS Z 8831−2及びJIS Z 8831−3(粉体(固体)の細孔径分布及び細孔特性)に準拠して、細孔分布(細孔容積、細孔径)や比表面積を測定することができる。なお、BET法とは、粉体粒子の表面に吸着占有面積のわかったガス分子を吸着させ、その量から試料の比表面積を求めたり、ガス分子の凝縮から細孔分布を測定したりする方法である。例えば、日本ベル社製「BELSORP−mini」を用いて、前処理条件を80℃で真空脱気とし、ガスの種類を窒素とし、解析方法として、BET多点法(全細孔容積P/P0=0.98)による窒素ガス吸脱着によるBET法などを用いて測定できる。
【0040】
(有機コア粒子)
上記有機コア粒子の材料としては、種々の有機物が好適に用いられる。上記有機コア粒子を形成するための材料として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が用いられる。エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させることにより、導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する有機無機ハイブリッド粒子を設計及び合成することが容易である。
【0041】
上記有機コア粒子をエチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合には、上記エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
【0042】
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
【0043】
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
【0044】
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記有機コア粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
【0045】
上記有機コア粒子の分解温度は、無機シェルの形成時及び有機無機ハイブリッド粒子の使用時に有機コア粒子の変形を抑制する観点から、好ましくは200℃を超え、より好ましくは250℃を超え、より一層好ましくは300℃を超える。上記有機コア粒子の分解温度は、400℃を超えていてもよく、500℃を超えていてもよく、600℃を超えていてもよく、800℃を超えていてもよい。
【0046】
上記有機コア粒子の粒径は、好ましくは0.5μm以上、好ましくは500μm以下である。上記有機コア粒子の粒径が0.5μmを下回ると、上記導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が小さくなりすぎて、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成しやすくなる。上記有機コア粒子の粒径が500μmを超えると、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎて、かつ導電層が有機無機ハイブリッド粒子の表面から剥離しやすくなる。
【0047】
上記有機コア粒子の粒径は、上記有機コア粒子が真球状である場合には直径を意味し、上記有機コア粒子が真球状以外の形状である場合には最大径を意味する。
【0048】
上記有機コア粒子の10%圧縮時の圧縮弾性率は、好ましくは1000mN/mm
2以上、好ましくは10000mN/mm
2以下を有する有機コア粒子を用いることが好ましい。上記有機コア粒子の30%圧縮時の圧縮弾性率は、好ましくは150mN/mm
2以上、好ましくは500mN/mm
2以下を有する有機コア粒子を用いることが好ましい。
【0049】
上記有機コア粒子の10%圧縮時の圧縮弾性率が1000mN/mm
2以上であると、上記無機シェルを該有機コア粒子に被覆させた有機無機ハイブリッド粒子を圧縮変形させたときに、有機無機ハイブリッド粒子の10%圧縮時の圧縮弾性率がより一層良好になる。上記有機コア粒子の30%圧縮時の圧縮弾性率が150mN/mm
2以上であると、上記無機シェルを該有機コア粒子に被覆させた有機無機ハイブリッド粒子を圧縮変形させたときに、有機無機ハイブリッド粒子の反発力が高くなり、電極間のギャップ追従性が高まり、接続信頼性がより一層良好になる。
【0050】
(無機シェル)
上記有機無機ハイブリッド粒子の無機シェルの具体的な作製方法としては、有機コア粒子、水やアルコール系、非プロトン系等の溶媒、界面活性剤、及びアンモニア水溶液等の触媒を含む分散液に、テトラエトキシシラン等の無機モノマーを共存させて界面ゾルゲル反応を行う方法、並びに水やアルコール系、非プロトン系等の溶媒、及びアンモニア水溶液と共存させたテトラエトキシシラン等の無機モノマーによりゾルゲル反応を行った後、有機コア粒子にゾルゲル反応物をヘテロ凝集させる方法等が挙げられる。上記ゾルゲル法において、上記金属アルコキシドは、加水分解及び重縮合することが好ましい。
【0051】
上記ゾルゲル法では、界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤の存在下で、上記金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物にすることが好ましい。上記界面活性剤は特に限定されない。上記界面活性剤は、良好なシェル状物を形成するように適宜選択して用いられる。上記界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤等が挙げられる。なかでも、良好な無機シェルを形成できることから、カチオン性界面活性剤が好ましい。
【0052】
上記カチオン性界面活性剤としては、4級アンモニウム塩及び4級ホスホニウム塩等が挙げられる。上記カチオン性界面活性剤の具体例としては、ヘキサデシルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
【0053】
上記ゾルゲル法では、アルコール系、非プロトン系等の溶媒を用いることが好ましい。
【0054】
良好な無機シェルを形成する観点からは、上記ゾルゲル法に用いるアルコール系、非プロトン系等の溶媒の溶解度パラメーター(SP値)が9〜14の範囲であることが好ましい。上記アルコール系溶媒としては、特に限定されないが、エタノール(SP値12.7)、イソプロピルアルコール(SP値11.4)、1ープロピルアルコール(SP値11.9)、及び1ーブタノール(SP値10.5)等が挙げられる。上記非プロトン系溶媒としては、特に限定されないが、テトラヒドロフラン(SP値9.1)、アセトン(SP値9.9)、アセトニトリル(SP値11.9)、及びN,Nージメチルホルムアルデヒド(SP値12.1)等が挙げられる。上記ゾルゲル法に用いるアルコール系、非プロトン系等の溶媒は、適宜併用してもよい。
【0055】
上記溶媒のなかでも、特に溶解度パラメーター(SP値)が9〜14の範囲である非プロトン系溶媒が好ましい。なかでも、アセトン(SP値9.9)、アセトニトリル(11.9)、N,Nージメチルホルムアルデヒド(SP値12.1)が特に好ましい。
【0056】
なお、溶解性パラメーター(SP値ともいう)とは、沖津俊直、「接着」、高分子刊行会、40巻8号(1996)p342−350に記載された、沖津による各種原子団のΔF、Δv値を用い、下記式(X)により算出された溶解性パラメーターδを意味する。また、混合物、共重合体の場合は、下記式(Y)により算出した溶解性パラメーターδ
mixを意味する。
【0057】
δ=ΣΔF/ΣΔv …(X)
δ
mix=φ
1δ
1+φ
2δ
2+・・・φ
nδ
n …(Y)
【0058】
上記式(X),(Y)中、ΔF、Δvは、それぞれ、沖津による各種原子団のΔF、モル容積Δvを表す。φは、容積分率又はモル分率を表し、φ
1+φ
2+・・・φ
n=1である。
【0059】
上記無機モノマーとしては、シランアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及びアルミニウムアルコキシド等の金属アルコキシド、酢酸塩及びその他カルボン酸塩、アセチルアセトナートなどのβ−ジケトナート、硝酸塩などの一般無機塩等が挙げられる。良好な無機シェルを形成する観点からは、上記金属アルコキシドは、シランアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド又はアルミニウムアルコキシドであることが好ましく、シランアルコキシド、チタンアルコキシド又はジルコニウムアルコキシドであることがより好ましく、シランアルコキシドであることが更に好ましい。良好な無機シェルを形成する観点からは、上記金属アルコキシドにおける金属原子は、ケイ素原子、チタン原子、ジルコニウム原子又はアルミニウム原子であることが好ましく、ケイ素原子、チタン原子又はジルコニウム原子であることがより好ましく、ケイ素原子であることが更に好ましい。なお、良好な無機シェルを形成する観点からは、上記金属アルコキシドはシランアルコキシドであり、上記金属アルコキシドにおける金属原子はケイ素原子である。上記金属アルコキシドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0060】
良好な無機シェルを形成する観点からは、上記金属アルコキシドは、下記式(1)で表される金属アルコキシドであることが好ましい。
【0061】
M(R1)
n(OR2)
4−n ・・・式(1)
【0062】
上記式(1)中、Mはケイ素原子、チタン原子又はジルコニウム原子であり、R1はフェニル基、炭素数1〜30のアルキル基、重合性二重結合を有する炭素数1〜30の有機基又はエポキシ基を有する炭素数1〜30の有機基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは0〜2の整数を表す。nが2であるとき、複数のR1は同一であってもよく、異なっていてもよい。複数のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0063】
良好な無機シェルを形成する観点からは、上記金属アルコキシドは、下記式(1A)で表されるシランアルコキシドであることが好ましい。
【0064】
Si(R1)
n(OR2)
4−n ・・・式(1A)
【0065】
上記式(1A)中、R1はフェニル基、炭素数1〜30のアルキル基、重合性二重結合を有する炭素数1〜30の有機基又はエポキシ基を有する炭素数1〜30の有機基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは0〜2の整数を表す。nが2であるとき、複数のR1は同一であってもよく、異なっていてもよい。複数のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0066】
上記R1が炭素数1〜30のアルキル基である場合、R1の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、及びn−デシル基等が挙げられる。このアルキル基の炭素数は好ましくは10以下、より好ましくは6以下である。なお、アルキル基には、シクロアルキル基が含まれる。
【0067】
上記重合性二重結合としては、炭素−炭素二重結合が挙げられる。上記R1が重合性二重結合を有する炭素数1〜30の有機基である場合に、R1の具体例としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、及び(メタ)アクリロキシアルキル基等が挙げられる。上記(メタ)アクリロキシアルキル基としては、(メタ)アクリロキシメチル基、(メタ)アクリロキシエチル基及び(メタ)アクリロキシプロピル基等が挙げられる。上記重合性二重結合を有する炭素数1〜30の有機基の炭素数は好ましくは2以上、好ましくは30以下、より好ましくは10以下である。上記「(メタ)アクリロキシ」は、メタクリロキシ又はアクリロキシを意味する。
【0068】
上記R1がエポキシ基を有する炭素数1〜30の有機基である場合、R1の具体例としては、1,2−エポキシエチル基、1,2−エポキシプロピル基、2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、3−グリシドキシプロピル基、及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基等が挙げられる。上記エポキシ基を有する炭素数1〜30の有機基の炭素数は好ましくは8以下、より好ましくは6以下である。なお、上記エポキシ基を有する炭素数1〜30の有機基は、炭素原子及び水素原子に加えて、エポキシ基に由来する酸素原子を含む基である。
【0069】
上記R2の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、及びイソブチル基等が挙げられる。
【0070】
上記シランアルコキシドの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、及びジイソプロピルジメトキシシラン等が挙げられる。これら以外のシランアルコキシドを用いてもよい。
【0071】
上記チタンアルコキシドの具体例としては、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、及びチタンテトラブトキシド等が挙げられる。これら以外のチタンアルコキシドを用いてもよい。
【0072】
上記ジルコニウムアルコキシドの具体例としては、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、及びジルコニウムテトラブトキシド等が挙げられる。これら以外のジルコニウムアルコキシドを用いてもよい。
【0073】
上記金属アルコキシドは、金属原子に4つの酸素原子が直接結合した構造を有する金属アルコキシドを含むことが好ましい。上記金属アルコキシドは、下記式(1a)で表される金属アルコキシドを含むことが好ましい。
【0075】
上記式(1a)中、Mはケイ素原子、チタン原子又はジルコニウム原子であり、R2は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは0〜2の整数を表す。複数のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0076】
上記金属アルコキシドは、ケイ素原子に4つの酸素原子が直接結合した構造を有するシランアルコキシドを含むことが好ましい。上記金属アルコキシドは、下記式(1Aa)で表されるシランアルコキシドを含むことが好ましい。
【0077】
Si(OR2)
4 ・・・式(1Aa)
【0078】
上記式(1Aa)中、R2は炭素数1〜6のアルキル基を表す。複数のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0079】
上記有機無機ハイブリッド粒子の初期圧縮時の圧縮弾性率を高くし、歪に対する圧縮変形特性を高くする観点からは、上記無機シェルを形成するために用いる金属アルコキシド100モル%中、上記金属原子に4つの酸素原子が直接結合した構造を有する金属アルコキシド、上記式(1a)で表される金属アルコキシド、上記ケイ素原子に4つの酸素原子が直接結合した構造を有するシランアルコキシド、又は上記式(1Aa)で表されるシランアルコキシドの各含有量は、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上、更に好ましくは50モル%以上、特に好ましくは60モル%以上、100モル%以下である。上記無機シェルを形成するために用いる金属アルコキシドの全量が、上記金属原子に4つの酸素原子が直接結合した構造を有する金属アルコキシド、上記式(1a)で表される金属アルコキシド、上記ケイ素原子に4つの酸素原子が直接結合した構造を有するシランアルコキシド、又は上記式(1Aa)で表されるシランアルコキシドであってもよい。
【0080】
また、上記有機無機ハイブリッド粒子の初期圧縮時の圧縮弾性率を高くし、歪に対する圧縮変形特性を高くする観点からは、上記無機シェルに含まれる上記金属アルコキシドに由来する金属原子の全個数100%中、4つの酸素原子が直接結合した金属原子の個数の割合、4つの酸素原子が直接結合したケイ素原子の個数の割合はそれぞれ、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上である。
【0081】
また、上記有機無機ハイブリッド粒子の初期圧縮時の圧縮弾性率を高くし、歪に対する圧縮変形特性を高くする観点からは、上記無機シェルに含まれている金属原子の全個数100%中、4つの酸素原子が直接結合した金属原子の個数の割合は、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上である。10%K値を効果的に高くし、かつ30%K値を効果的に低くする観点からは、上記金属アルコキシドがシランアルコキシドであり、かつ上記無機シェルに含まれているケイ素原子の全個数100%中、4つの酸素原子が直接結合したケイ素原子の個数の割合は、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上、特に好ましくは60%以上である。
【0082】
なお、4つのケイ素原子が直接結合したケイ素原子は、例えば、下記式(11)で表される構造におけるケイ素原子である。
【0084】
なお、上記式(11)における酸素原子は、一般に隣接するケイ素原子とシロキサン結合を形成している。
【0085】
上記無機シェルの比重は、1.8g/cm
3以上、2.3g/cm
3以下である。上記無機シェルの比重が1.8g/cm
3を下回ると、無機シェルが柔らかくなって、導電性粒子が電極間の表面に貫入されないことがある。上記無機シェルの比重が2.3g/cm
3を超えると、無機シェルが硬くなりすぎて、有機コア粒子の圧縮変形特性が発現しないことがある。
【0086】
上記無機シェルの厚みの、上記有機コア粒子の半径に対する比(無機シェルの厚み/有機コア粒子の半径)は0.05以上、0.70以下である。上記比が0.05を下回ると、無機シェルの強度が保てなくなり、導電性粒子が電極間の表面に貫入されないことがある。上記比が0.70を超えると、無機シェルの割れた破片が、有機コア粒子に突き刺さり、有機コア粒子の破壊荷重が低下してしまうことがある。
【0087】
上記無機シェルの比重が上記範囲内であること、かつ上記無機シェルの厚みの、上記有機コア粒子の半径に対する比が上記範囲内であることで、接続構造体での有機無機ハイブリッド粒子(液晶表示素子用スペーサなど)又は導電性微粒子の好ましい圧縮変形特性として、上記有機無機ハイブリッド粒子の10%圧縮時の圧縮弾性率が2000mN/mm
2以上、15000mN/mm
2以下であり、10%圧縮したときの圧縮弾性率の30%圧縮したときの圧縮弾性率に対する比が1.0以上であり、有機無機ハイブリッド粒子が65%歪んだときに要する荷重が2.5mN以上を有する有機無機ハイブリッド粒子が得られやすい。
【0088】
上記無機シェルの比重は、有機コア粒子を島津製作所社製「Accupyc 1330」等の比重瓶法密度測定装置を用いて、15〜25℃及びHeガスの条件で測定し、25℃で測定した値を無機シェルの比重とする。次いで、有機無機ハイブリッド粒子の比重を上記同様に測定し、上記有機無機ハイブリッド粒子の比重から、上記有機コア粒子の比重を差し引いた値を無機シェルの比重とする。下記に算出方法を示す。
【0090】
上記式(21)中、rは有機コア粒子の半径(μm)を表し、Tは無機シェルの厚みを表し、Hは有機無機ハイブリッド粒子の比重(g/cm
3)を表し、Cは有機コア粒子の比重(g/cm
3)を表す。
【0091】
上記有機コア粒子の半径は、上記有機コア粒子が真球状である場合には直径の半分を意味し、上記有機コア粒子が真球状以外の形状である場合には最大径の半分を意味する。また、本発明において、有機コア粒子の半径とは、有機コア粒子を走査型電子顕微鏡を用いて観察し、任意に選択した50個の有機コア粒子の粒径をノギスで測定した平均値を意味し、有機コア粒子の平均値の直径の半分とする。
【0092】
上記無機シェルの厚みは、有機無機ハイブリッド粒子を、走査型電子顕微鏡を用いて観察し、任意に選択した50個の有機無機ハイブリッド粒子の粒径をノギスで測定した平均値と、有機コア粒子の粒径の平均値との差の半分とする。
【0093】
上記無機シェルの厚みの、上記有機コア粒子の半径に対する比(無機シェルの厚み/有機コア粒子の半径)は、上記有機コア粒子の半径及び上記無機シェルの厚みの平均値とする。
【0094】
(導電性粒子)
上記導電性粒子は、上述した有機無機ハイブリッド粒子と、該有機無機ハイブリッド粒子の表面上に配置された導電層とを備える。
【0095】
図1に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
【0096】
図1に示す導電性粒子1は、有機無機ハイブリッド粒子11と、有機無機ハイブリッド粒子11の表面上に配置された導電層2とを有する。導電層2は、有機無機ハイブリッド粒子11の表面を被覆している。導電性粒子1は、有機無機ハイブリッド粒子11の表面が導電層2により被覆された被覆粒子である。
【0097】
有機無機ハイブリッド粒子11は、有機コア粒子12と、有機コア粒子12の表面上に配置された無機シェル13とを備える。無機シェル13は、有機コア粒子12の表面を被覆している。導電層2は、無機シェル13の表面上に配置されている。導電層2は、無機シェル13の表面を被覆している。
【0098】
図2に、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
【0099】
図2に示す導電性粒子21は、有機無機ハイブリッド粒子11と、有機無機ハイブリッド粒子11の表面上に配置された導電層22とを有する。導電層22は、内層である第1の導電層22Aと外層である第2の導電層22Bとを有する。有機無機ハイブリッド粒子11の表面上に、第1の導電層22Aが配置されている。無機シェル13の表面上に、第1の導電層22Aが配置されている。第1の導電層22Aの表面上に、第2の導電層22Bが配置されている。
【0100】
図3に、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
【0101】
図3に示す導電性粒子31は、有機無機ハイブリッド粒子11と、導電層32と、複数の芯物質33と、複数の絶縁性物質34とを有する。
【0102】
導電層32は、有機無機ハイブリッド粒子11の表面上に配置されている。無機シェル13の表面上に導電層32が配置されている。
【0103】
導電性粒子31は表面に、複数の突起31aを有する。導電層32は外表面に、複数の突起32aを有する。このように、上記導電性粒子は、導電性粒子の表面に突起を有していてもよく、導電層の外表面に突起を有していてもよい。複数の芯物質33が、有機無機ハイブリッド粒子11の表面上に配置されている。無機シェル13の表面上に、複数の芯物質33が配置されている。複数の芯物質33は導電層32内に埋め込まれている。芯物質33は、突起31a,32aの内側に配置されている。導電層32は、複数の芯物質33を被覆している。複数の芯物質33により導電層32の外表面が隆起されており、突起31a,32aが形成されている。
【0104】
導電性粒子31は、導電層32の外表面上に配置された絶縁性物質34を有する。導電層32の外表面の少なくとも一部の領域が、絶縁性物質34により被覆されている。絶縁性物質34は絶縁性を有する材料により形成されており、絶縁性粒子である。このように、上記導電性粒子は、導電層の外表面上に配置された絶縁性物質を有していてもよい。
【0105】
上記導電層を形成するための金属は特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。なかでも、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができるので、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銅又は金が好ましく、ニッケル又はパラジウムが好ましい。
【0106】
導電性粒子1,31のように、上記導電層は、1つの層により形成されていてもよい。導電性粒子21のように、導電層は、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、導電層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。導電層が複数の層により形成されている場合には、最外層は、金層、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は錫と銀とを含む合金層であることが好ましく、金層であることがより好ましい。最外層がこれらの好ましい導電層である場合には、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、最外層が金層である場合には、耐腐食性がより一層高くなる。
【0107】
上記有機無機ハイブリッド粒子の表面に導電層を形成する方法は特に限定されない。導電層を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを有機無機ハイブリッド粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、導電層の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
【0108】
上記導電性粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは520μm以下、より好ましくは500μm以下、より一層好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下である。導電性粒子の粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が十分に大きくなり、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層が有機無機ハイブリッド粒子の表面から剥離し難くなる。また、導電性粒子の粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を導電材料の用途に好適に使用可能である。
【0109】
上記導電性粒子の粒子径は、導電性粒子が真球状である場合には直径を意味し、導電性粒子が真球状以外の形状である場合には最大径を意味する。
【0110】
上記導電層の厚み(導電層が多層である場合には導電層全体の厚み)は、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.3μm以下である。導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、十分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子が十分に変形する。
【0111】
上記導電層が複数の層により形成されている場合に、最外層の導電層の厚みは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。上記最外層の導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電層による被覆が均一になり、耐腐食性が十分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、上記最外層が金層である場合の金層の厚みが薄いほど、コストが低くなる。
【0112】
上記導電層の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。
【0113】
上記導電性粒子は、上記導電層の外表面に突起を有していてもよい。該突起は複数であることが好ましい。導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。突起を有する導電性粒子を用いた場合には、電極間に導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子の導電層とをより一層確実に接触させることができ、電極間の接続抵抗を低くすることができる。さらに、導電性粒子が表面に絶縁性物質を備える場合に、又は導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されて導電材料として用いられる場合に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁性物質又はバインダー樹脂を効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。
【0114】
上記導電性粒子の表面に突起を形成する方法としては、有機無機ハイブリッド粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電層を形成する方法、並びに有機無機ハイブリッド粒子の表面に無電解めっきにより導電層を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電層を形成する方法等が挙げられる。また、突起を形成するために、上記芯物質を用いなくてもよい。
【0115】
上記導電性粒子は、上記導電層の外表面上に配置された絶縁性物質を備えていてもよい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電層と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。導電性粒子が上記導電層の表面に突起を有する場合には、導電性粒子の導電層と電極との間の絶縁性物質をより一層容易に排除できる。上記絶縁性物質は、絶縁性樹脂層又は絶縁性粒子であることが好ましく、絶縁性粒子であることがより好ましい。上記絶縁性粒子は、絶縁性樹脂粒子であることが好ましい。
【0116】
(導電材料)
上記導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散され、導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。
【0117】
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0118】
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
【0119】
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0120】
上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、上記導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、並びに上記バインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
【0121】
上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは異方性導電フィルムであることが好ましい。
【0122】
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層高くなる。
【0123】
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続信頼性がより一層高くなる。
【0124】
(接続構造体及び液晶表示素子)
上述した導電性粒子を用いて、又は上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
【0125】
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、該接続部が上述した導電性粒子により形成されているか、又は上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている接続構造体であることが好ましい。導電性粒子が単独で用いられた場合には、接続部自体が導電性粒子である。すなわち、第1,第2の接続対象部材が導電性粒子により接続される。上記接続構造体を得るために用いられる上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。
【0126】
上記第1の接続対象部材は、第1の電極を表面に有することが好ましい。上記第2の接続対象部材は、第2の電極を表面に有することが好ましい。上記第1の電極と上記第2の電極とが、上記導電性粒子により電気的に接続されていることが好ましい。
【0127】
図4は、
図1に示す導電性粒子1を用いた接続構造体を模式的に示す正面断面図である。
【0128】
図4に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1の接続対象部材52と第2の接続対象部材53とを接続している接続部54とを備える。接続部54は、導電性粒子1とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている。
図4では、図示の便宜上、導電性粒子1は略図的に示されている。導電性粒子1にかえて、導電性粒子21,31などの他の導電性粒子を用いてもよい。
【0129】
第1の接続対象部材52は表面(上面)に、複数の第1の電極52aを有する。第2の接続対象部材53は表面(下面)に、複数の第2の電極53aを有する。第1の電極52aと第2の電極53aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。
【0130】
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例として、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×10
4〜4.9×10
6Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。フレキシブルプリント基板の電極、樹脂フィルム上に配置された電極及びタッチパネルの電極を接続するための上記加圧の圧力は9.8×10
4〜1.0×10
6Pa程度である。
【0131】
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記導電材料は、電子部品を接続するための導電材料であることが好ましい。上記導電ペーストはペースト状の導電材料であり、ペースト状の状態で接続対象部材上に塗工されることが好ましい。
【0132】
上記導電性粒子及び上記導電材料は、タッチパネルにも好適に用いられる。従って、上記接続対象部材は、フレキシブルプリント基板であるか、又は樹脂フィルムの表面上に電極が配置された接続対象部材であることも好ましい。上記接続対象部材は、フレキシブルプリント基板であることが好ましく、樹脂フィルムの表面上に電極が配置された接続対象部材であることが好ましい。上記フレキシブルプリント基板は、一般に電極を表面に有する。
【0133】
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0134】
また、上記有機無機ハイブリッド粒子は、液晶表示素子用スペーサとして好適に用いられる。すなわち、上記有機無機ハイブリッド粒子は、液晶セルを構成する一対の基板と、該一対の基板間に封入された液晶と、上記一対の基板間に配置された液晶表示素子用スペーサとを備える液晶表示素子を得るために好適に用いられる。
【0135】
図5に、本発明の一実施形態に係る有機無機ハイブリッド粒子を液晶表示素子用スペーサとして用いた液晶表示素子を断面図で示す。
【0136】
図5に示す液晶表示素子81は、一対の透明ガラス基板82を有する。透明ガラス基板82は、対向する面に絶縁膜(図示せず)を有する。絶縁膜の材料としては、例えば、SiO
2等が挙げられる。透明ガラス基板82における絶縁膜上に透明電極83が形成されている。透明電極83の材料としては、ITO等が挙げられる。透明電極83は、例えば、フォトリソグラフィーによりパターニングして形成可能である。透明ガラス基板82の表面上の透明電極83上に、配向膜84が形成されている。配向膜84の材料としては、ポリイミド等が挙げられている。
【0137】
一対の透明ガラス基板82間には、液晶85が封入されている。一対の透明ガラス基板82間には、複数の有機無機ハイブリッド粒子11が配置されている。有機無機ハイブリッド粒子11は、液晶表示素子用スペーサとして用いられている。複数の有機無機ハイブリッド粒子11により、一対の透明ガラス基板82の間隔が規制されている。一対の透明ガラス基板82の縁部間には、シール剤86が配置されている。シール剤86によって、液晶85の外部への流出が防がれている。
【0138】
上記液晶表示素子において1mm
2あたりの液晶表示素子用スペーサの配置密度は、好ましくは10個/mm
2以上、好ましくは1000個/mm
2以下である。上記配置密度が10個/mm
2以上であると、セルギャップがより一層均一になる。上記配置密度が1000個/mm
2以下であると、液晶表示素子のコントラストがより一層良好になる。
【0139】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0140】
(実施例1)
(1)有機無機ハイブリッド粒子の作製
有機コア粒子として、積水化学工業社製「ミクロパールELP−00375」(スチレン・アクリル共重合ポリマー、平均粒径3.75μm)を用意した。この有機コア粒子100重量部と、界面活性剤であるヘキサデシルトリメチルアンミニウムブロミド40重量部とを、イソプロピルアルコール(SP値11.4)1800重量部と水200重量部との混合溶媒に分散させ、セパラブルフラスコ内に入れた。25重量%アンモニア水溶液80重量部を加え、超音波をかけながら攪拌した。テトラエトキシシラン600重量部をイソプロピルアルコール1200重量部に溶解した液を加え、超音波をかけながら25℃で24時間撹拌した。反応液を取り出し、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のメンブレンフィルターで吸引濾過し、イソプロピルアルコールを用いた洗浄を2回繰り返した後、50℃の真空乾燥機で24時間乾燥させ、有機無機ハイブリッド粒子Aを得た。
【0141】
得られた有機無機ハイブリッド粒子A100重量部と、塩酸1000重量部とをビーカー内に入れ、撹拌加熱式のホットスターラーを用いて60℃で9時間撹拌した。反応液を取り出し、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のメンブレンフィルターで吸引濾過し、イソプロピルアルコールを用いた洗浄を2回繰り返した後、50℃の真空乾燥機で24時間乾燥させ、有機無機ハイブリッド粒子Bを得た。
【0142】
(実施例2)
実施例1で得られた有機無機ハイブリッド粒子A10重量部と、超純水100重量部とを適宜混合した溶液を、アクタック社製「Speed wave2」(マイクロウェーブ高速分解システム)装置内に入れ、マイクロ波の周波数2.45MHz、かつ200℃で1時間加熱した。反応液を取り出し、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のメンブレンフィルターで吸引濾過し、イソプロピルアルコールを用いた洗浄を2回繰り返した後、50℃の真空乾燥機で24時間乾燥させ、有機無機ハイブリッド粒子Cを得た。
【0143】
(実施例3)
実施例1で得られた有機無機ハイブリッド粒子Aを、120Wの高圧水銀ランプを用いて、20cmの距離から紫外線を180秒照射することで、有機無機ハイブリッド粒子Dを得た。
【0144】
(実施例4)
有機コア粒子として、積水化学工業社製「ミクロパールELP−00375」(スチレン・アクリル共重合ポリマー、平均粒径3.75μm)を用意した。この有機コア粒子100重量部と、界面活性剤であるヘキサデシルトリメチルアンミニウムブロミド40重量部とを、アセトン(SP値9.9)1800重量部と水200重量部との混合溶媒に分散させ、セパラブルフラスコ内に入れた。25重量%アンモニア水溶液80重量部を加え、超音波をかけながら攪拌した。テトラエトキシシラン600重量部をアセトン1200重量部に溶解した液を加え、超音波をかけながら25℃で24時間撹拌した。反応液を取り出し、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のメンブレンフィルターで吸引濾過し、アセトンを用いた洗浄を2回繰り返した後、50℃の真空乾燥機で24時間乾燥させ、有機無機ハイブリッド粒子A1を得た。
【0145】
(実施例5)
有機コア粒子として、積水化学工業社製「ミクロパールELP−00375」(スチレン・アクリル共重合ポリマー、平均粒径3.75μm)を用意した。この有機コア粒子100重量部と、界面活性剤であるヘキサデシルトリメチルアンミニウムブロミド40重量部とを、アセトニトリル(SP値11.9)1800重量部と水1200重量部との混合溶媒に分散させ、セパラブルフラスコ内に入れた。25重量%アンモニア水溶液80重量部を加え、超音波をかけながら攪拌した。テトラエトキシシラン600重量部をアセトニトリル200重量部に溶解した液を加え、超音波をかけながら25℃で24時間撹拌した。反応液を取り出し、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のメンブレンフィルターで吸引濾過し、アセトニトリルを用いた洗浄を2回繰り返した後、50℃の真空乾燥機で24時間乾燥させ、有機無機ハイブリッド粒子A2を得た。
【0146】
(実施例6)
有機コア粒子として、積水化学工業社製「ミクロパールELP−00375」(スチレン・アクリル共重合ポリマー、平均粒径3.75μm)を用意した。この有機コア粒子100重量部と、界面活性剤であるヘキサデシルトリメチルアンミニウムブロミド40重量部とを、アセトニトリル(SP値11.9)900重量部とN,Nージメチルホルムアルデヒド(SP値12.1)900重量部と水200重量部との混合溶媒に分散させ、セパラブルフラスコ内に入れた。25重量%アンモニア水溶液80重量部を加え、超音波をかけながら攪拌した。テトラエトキシシラン600重量部をアセトニトリル600重量部とN,Nージメチルホルムアルデヒド600重量部に溶解した液を加え、超音波をかけながら25℃で24時間撹拌した。反応液を取り出し、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のメンブレンフィルターで吸引濾過し、アセトニトリルを用いた洗浄を2回繰り返した後、50℃の真空乾燥機で24時間乾燥させ、有機無機ハイブリッド粒子A3を得た。
【0147】
(実施例7)
有機コア粒子として、積水化学工業社製「ミクロパールELP−00375」(スチレン・アクリル共重合ポリマー、平均粒径3.75μm)を用意した。この有機コア粒子100重量部と、界面活性剤であるヘキサデシルトリメチルアンミニウムブロミド40重量部とを、イソプロピルアルコール(SP値11.4)1800重量部と水200重量部との混合溶媒に分散させ、セパラブルフラスコ内に入れた。25重量%アンモニア水溶液80重量部を加え、超音波をかけながら攪拌した。テトラエトキシシラン300重量部をイソプロピルアルコール1200重量部に溶解した液を加え、超音波をかけながら25℃で24時間撹拌した。反応液を取り出し、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のメンブレンフィルターで吸引濾過し、イソプロピルアルコールを用いた洗浄を2回繰り返した後、50℃の真空乾燥機で24時間乾燥させ、有機無機ハイブリッド粒子A4を得た。
【0148】
上記で得られた有機無機ハイブリッド粒子A4を100重量部と、塩酸1000重量部をビーカーに投入し、撹拌加熱式のホットスターラーを用いて60℃で9時間撹拌した。反応液を取り出し、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のメンブレンフィルターで吸引濾過し、イソプロピルアルコールを用いた洗浄を2回繰り返した後、50℃の真空乾燥機で24時間乾燥させ、有機無機ハイブリッド粒子Eを得た。
【0149】
(実施例8)
有機コア粒子として、積水化学工業社製「ミクロパールELP−00375」(スチレン・アクリル共重合ポリマー、平均粒径3.75μm)を用意した。この有機コア粒子100重量部と、界面活性剤であるヘキサデシルトリメチルアンミニウムブロミド40重量部とを、イソプロピルアルコール(SP値11.4)1800重量部と水200重量部との混合溶媒に分散させ、セパラブルフラスコ内に入れた。25重量%アンモニア水溶液80重量部を加え、超音波をかけながら攪拌した。テトラエトキシシラン900重量部をイソプロピルアルコール1200重量部に溶解した液を加え、超音波をかけながら25℃で24時間撹拌した。反応液を取り出し、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のメンブレンフィルターで吸引濾過し、イソプロピルアルコールを用いた洗浄を2回繰り返した後、50℃の真空乾燥機で24時間乾燥させ、有機無機ハイブリッド粒子A5を得た。
【0150】
上記で得られた有機無機ハイブリッド粒子A5を100重量部と、塩酸1000重量部をビーカーに投入し、撹拌加熱式のホットスターラーを用いて60℃で9時間撹拌した。反応液を取り出し、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のメンブレンフィルターで吸引濾過し、イソプロピルアルコールを用いた洗浄を2回繰り返した後、50℃の真空乾燥機で24時間乾燥させ、有機無機ハイブリッド粒子Fを得た。
【0151】
(比較例1)
積水化学工業社製「ミクロパールELP−00375」(スチレン・アクリル共重合ポリマー、平均粒径3.75μm)を、比較例1の粒子(有機コア粒子)とした。
【0152】
(比較例2)
ポリエチレンテレフタレート6.5重量部に、トルエン10重量部を添加し、更にジフェニルメタンジイソシアネート1.42重量部を添加し、トルエン還流下、120℃で5時間反応を行った。その後、室温に冷却し、エチレンジアミン0.35重量部と、アミノ系シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−9103」)0.1重量部とを添加し、60℃で5時間反応を行った。次に、トルエンを減圧下で留去し、両末端に水酸基を有し、かつウレタン結合及びウレア結合を有するポリウレタン樹脂を得た。
【0153】
得られたポリウレタン樹脂400重量部と、黄酸化鉄12重量部と、酢酸エチル380重量部とを混合し、混合物を得た。得られた混合物をポリビニルアルコール0.5重量%水溶液2000重量部に滴下しながら分散させ、樹脂を得た。得られた樹脂を濾紙により濾過して、水中より取り出し、50℃の真空乾燥機で24時間乾燥させ、シランカップリング剤が結合したポリウレタン微粒子1を得た。
【0154】
得られたポリウレタン微粒子1を100重量部を1Lのフラスコ内に入れ、メタノール(SP値14.5)75重量部と、水25重量部と、テトラエトキシシラン2重量部と、25重量%アンモニア水溶液10重量部とを含むテトラエトキシシラン液を加え、2時間、攪拌下で反応させた。濾過及び洗浄後に、得られた粒子をさらにもう一度、上記テトラエトキシシラン液と同様の処理液で同じ処理を行った。反応液を取り出し、PTFE製のメンブレンフィルターで吸引濾過し、エタノールを用いた洗浄を2回繰り返した後、50℃の真空乾燥機で24時間乾燥させ、有機無機ハイブリッド粒子1を得た。
【0155】
(比較例3)
テトラエトキシシランの添加量を600重量部に変更したこと以外は比較例2と同様にして、有機無機ハイブリッド粒子2を得た。
【0156】
(比較例4)
テトラエトキシシランの添加量を900重量部に変更したこと以外は比較例2と同様にして、有機無機ハイブリッド粒子3を得た。
【0157】
(比較例5)
テトラエトキシシランの添加量を1800重量部に変更したこと以外は比較例2と同様にして、有機無機ハイブリッド粒子4を得た。
【0158】
(導電性粒子の作製)
実施例及び比較例で得られた有機無機ハイブリッド粒子及びその他粒子を、無電解めっき法により、得られた有機無機ハイブリッド粒子及びその他粒子の表面に、ニッケル層を形成し、導電性粒子を作製した。なお、ニッケル層の厚さは0.1μmであった。
【0159】
(評価)
(1)有機無機ハイブリッド粒子及び有機コア粒子の無機シェル比重
得られた有機無機ハイブリッド粒子及び有機コア粒子を用いて、島津製作所社製「Accupyc 1330」等の比重瓶法密度測定装置を用いて、15〜25℃及びHeガスをキャリアガスとした条件で、有機無機ハイブリッド粒子の真比重を測定した。次いで、有機コア粒子の比重を差し引いた値を無機シェル層の比重とした。
【0160】
(2)有機無機ハイブリッド粒子及び有機コア粒子の粒径、及び無機シェルの厚みの有機コア粒子の半径に対する比
得られた有機無機ハイブリッド粒子及び有機コア粒子を、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社製「S−3500N」)にて3000倍の粒子画像を撮影し、得られた画像中の粒子50個の粒径をノギスで測定し、個数平均を求めて有機無機ハイブリッド粒子及び有機コア粒子の粒径を求めた。
【0161】
有機無機ハイブリッド粒子を作製する際に使用した有機コア粒子についても、上記と同様の方法により粒径を測定した。有機無機ハイブリッド粒子の粒径と有機コア粒子の粒径との差から、無機シェルの厚みを求めた。
【0162】
(3)細孔容積及び細孔径
得られた有機無機ハイブリッド粒子を日本ベル社製「BELSORP−mini」を用いて、前処理条件は80℃で真空脱気とし、ガスの種類は窒素とし、解析方法として、BET多点法(全細孔容積P/P0=0.98)を用いて測定した。そのときの細孔容積、細孔径を求めた。
【0163】
(4)有機無機ハイブリッド粒子及び有機コア粒子の上記圧縮弾性率(10%K値及び30%K値)
得られた有機無機ハイブリッド粒子及び有機コア粒子の上記圧縮弾性率(10%K値及び30%K値)を、上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」)を用いて測定した。
【0164】
(5)有機無機ハイブリッド粒子及び有機コア粒子の65%歪んだ時の荷重算出方法
得られた有機無機ハイブリッド粒子を上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」)を用いて測定し、粒子径に対して65%歪んだ時の圧縮荷重を読み取った。
【0165】
(6)導電材料
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製「エピコート1009」)10重量部と、アクリルゴム(重量平均分子量約80万)40重量部と、メチルエチルケトン200重量部と、マイクロカプセル型硬化剤(旭化成ケミカルズ社製「HX3941HP」)50重量部と、シランカップリング剤(東レダウコーニングシリコーン社製「SH6040」)2重量部とを混合し、得られた導電性粒子を含有量が3重量%となるように添加し、分散させ、導電材料(樹脂組成物)を得た。
【0166】
(7)接続抵抗
接続構造体の作製:
上記評価で得られた樹脂組成物(導電材料)(放置前)を用意した。この導電材料を25℃で1時間放置した。
【0167】
この放置後の導電材料を、片面が離型処理された厚さ50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに塗布し、70℃の熱風で5分間乾燥し、異方性導電フィルム
を作製した。得られた異方性導電フィルムの厚さは12μmであった。
【0168】
得られた異方性導電フィルムを5mm×5mmの大きさに切断した。切断された異方性導電フィルムを、一方に抵抗測定用の引き回し線を有するITO(高さ0.1μm、L/S=20μm/20μm)が設けられたPET基板(幅3cm、長さ3cm)のITO電極側のほぼ中央に貼り付けた。次いで、同じ金電極が設けられた2層フレキシブルプリント基板(幅2cm、長さ1cm)を、電極同士が重なるように位置合わせをしてから貼り合わせた。このPET基板と2層フレキシブルプリント基板との積層体を、10N、180℃、及び20秒間の圧着条件で熱圧着し、接続構造体を得た。なお、ポリイミドフィルムに銅電極が形成され、銅電極表面がAuめっきされている、2層フレキシブルプリント基板を用いた。
【0169】
得られた接続構造体の対向する電極間の接続抵抗を4端子法により測定した。接続抵抗を下記の基準で判定した。
【0170】
[接続抵抗の判定基準]
○○○:有機コア粒子が破壊されておらず、接続抵抗が2.0Ω以下
○○:有機コア粒子が破壊されておらず、接続抵抗が2.0Ωを超え、3.0Ω以下
○:有機コア粒子が破壊されておらず、接続抵抗が3.0Ωを超え、4.0Ω以下
△:有機コア粒子の一部が破壊されており、接続抵抗が4.0Ωを超え、5.0Ω以下
×:有機コア粒子の一部が破壊されており、接続抵抗が5.0Ωを超え、6.0Ω以下
××:有機コア粒子が破壊されており、接続抵抗が7.0Ωを超える
【0171】
(8)接続信頼性
接続信頼性を下記の基準で判定した。上記(5)接続抵抗の評価で得られた接続構造体を、85℃、85%の雰囲気中に100時間放置した。その後、隣接する電極間が絶縁状態か導通状態かを25か所で測定した。接続信頼性を下記の基準で判定した。
【0172】
[接続信頼性の判定基準]
○○○:導通状態の電極間が30か所以上
○○:導通状態の電極間が25か所以上、30か所未満
○:導通状態の電極間が20か所以上、25か所未満
△:導通状態の電極間が15か所以上、20か所未満
×:導通状態の電極間が15か所未満
【0173】
(9)液晶表示装置の表示品質(スペーサ特性)(液晶表示素子用スペーサとしての使用例)
STN型液晶表示素子の作製:
イソプロピルアルコール70重量部と水30重量部とを含む分散媒に、得られるスペーサ分散液100重量%中で実施例1〜8(有機無機ハイブリッド粒子)、比較例1〜5(有機コア粒子、SC剤を用いた有機無機ハイブリッド粒子)の液晶表示素子用スペーサを固形分濃度が2重量%となるように添加し、撹拌し、液晶表示素子用スペーサ分散液を得た。一対の透明ガラス板(縦50mm、横50mm、厚さ0.4mm)の一面に、CVD法によりSiO
2膜を蒸着した後、SiO
2膜の表面全体にスパッタリングによりITO膜を形成した。得られたITO膜付きガラス基板に、スピンコート法によりポリイミド配向膜組成物(日産化学社製、SE3510)を塗工し、280℃で90分間焼成することにより、ポリイミド配向膜を形成した。配向膜にラビング処理を施した後、一方の基板の配向膜側に、液晶表示素子用スペーサを1mm
2当たり100〜200個となるように湿式散布した。他方の基板の周辺にシール剤を形成した後、この基板とスペーサを散布した基板とをラビング方向が90°になるように対向配置させ、両者を貼り合わせた。その後、160℃で90分間処理してシール剤を硬化させて、空セル(液晶の入ってない画面)を得た。得られた空セルに、カイラル剤入りのSTN型液晶(DIC社製)を注入し、次に注入口を封止剤で塞いだ後、120℃で30分間熱処理してSTN型液晶表示素子を得た。液晶表示装置に所定の電圧を印加して、スペーサ粒子に起因する光抜け等の表示不良の有無を電子顕微鏡で観察し、下記判定基準により表示品質を評価した。
【0174】
[表示品質の判定基準]
○:画素領域(表示部)に対応する領域中にスペーサ粒子はほとんど存在せず、スペーサ粒子に起因する基板の間隔(ギャップ)ムラや基板の傷つきによる光抜け等の表示不良は全く認められず、優れた表示品質であった
△:画素領域(表示部)に対応する領域中にスペーサ粒子が若干存在しており、スペーサ粒子に起因する基板の間隔(ギャップ)ムラや基板の傷つきによる光抜け等の表示不良が若干認められた
×:画素領域(表示部)に対応する領域中にスペーサ粒子が多数存在しており、スペーサ粒子に起因する基板の間隔(ギャップ)ムラや基板の傷つきによる光抜け等の表示不良が著しく認められた