(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、スイッチ装置1に設けられたプッシュスイッチ2を例に挙げて説明する。
図1は、スイッチ装置1の構成を説明する図であり、(A)は、スイッチ装置1の斜視図であり、(B)は、スイッチ装置1におけるプッシュスイッチ2の部分を分解して示す斜視図である。
図2は、
図1の(A)における面Aで、プッシュスイッチ2を切断した断面図である。
図3は、プッシュスイッチ2の断面図であり、(A)は、
図2におけるA−A断面図であり、(B)は、
図2におけるB−B断面図であり、(C)は、
図3の(A)におけるA−A断面図である。
図4は、プッシュスイッチ2の断面図であり、(A)は、
図2におけるC−C断面図であり、(B)は、
図4の(A)におけるA−A断面図であり、(C)は、極盤7の上面に露出する固定接点7a、7aを説明する図であり、(D)は、
図4の(C)におけるB−B断面図である。
なお、
図4の(C)は、
図4の(A)において可動盤9とスプリングSp2の図示を省略した図に相当し、極盤7の上面に露出する固定接点7a、7aにハッチングを付して表している。
ここで、以下の説明では、説明の便宜上、
図1の(A)におけるカバー6側を「上方」、極盤7側を「下方」、プッシュスイッチ2側を「前方」、揺動スイッチ4側を「後方」と、必要に応じて表記する。
【0014】
図1に示すように、スイッチ装置1は、カバー6と極盤7とを組み付けて構成されるケース5に、複数のスイッチ2、3、4を備えて構成される。
スイッチ2は、ノブ8の押圧操作によりオン/オフされるプッシュスイッチ(以下、プッシュスイッチ2と表記する)であり、プッシュスイッチ2は、ノブ8と、ノブ8により操作される可動盤9と、可動盤9に設けられた可動接点9aと、極盤7に設けられた固定接点7aと、を備えている。
【0015】
ノブ8は、カバー6の上面から上方に突出する筒状の支持壁部61で、上下方向に移動可能に支持されている。
プッシュスイッチ2では、ノブ8が押圧操作されると、可動盤9が、ノブ8から延びる脚部83により、ノブ8の操作方向(軸線X方向)に対して直交する方向(軸線Y方向)に移動させられるようになっており、この際に、可動盤9に設けられた可動接点9aが、固定接点7aの上面を摺動することで、プッシュスイッチ2がオン/オフされるようになっている。
【0016】
図2に示すように、ノブ8は、プッシュスイッチ2をオン/オフする際に押圧される押圧部81を有しており、この押圧部81は、平面視において略矩形形状の上壁部810と、上壁部810の周縁を全周に亘って囲む周壁部811とを有している。
周壁部811の内側には、ノブ8の上下方向の移動をガイドするガイド壁82と、ノブ8の操作を可動盤9に伝達する脚部83とが、設けられており、ノブ8は、ガイド壁82と周壁部811の間に、カバー6側の支持壁部61を挿入させた状態で、支持壁部61で支持されている。
【0017】
図2および
図3に示すように、支持壁部61は、カバー6に設けた開口62を囲むように、カバー6から上方に突出して設けられており、開口62の側縁に沿ってスイッチ装置1の前後方向に延びる側壁部612、613と、開口62の側縁に沿ってスイッチ装置1の左右方向(幅方向)に延びる側壁部614、615と、を有している。
【0018】
側壁部612、613は、互いに平行に設けられており、これら側壁部612、613の後方側の端部同士が、側壁部615により接続されている。
側壁部613の前端には、後記するハートカム25の板ばね26が取り付けられる取付壁616が、側壁部613よりも内側にオフセットした位置に設けられており、この取付壁616を介して、側壁部613と側壁部614とが接続されている。
取付壁616は、側壁部612、613に対して平行に設けられており、側壁部612との間に、後記する脚部83を挿通可能な空間S1を確保すると共に、ノブ8の周壁部811との間に、ハートカム25のロックピン27および板ばね26を収容可能な空間S2を形成している。
【0019】
図3の(A)に示すように、ノブ8が備えるガイド壁82は、支持壁部61の後方側の側壁部615に沿って配置される壁部821と、この壁部821の両端から、壁部821に対して直交する方向に延びる壁部822、823とを有しており、断面視においてコ字形状を成している。
壁部821の長手方向における途中位置には、側壁部615側の後方に突出して突起821aが設けられており、この突起821aは、ノブ8がカバー6に組み付けられた状態において、側壁部615の内側面に設けられたガイド溝615aに係合している。
ノブ8側の突起821aと、側壁部615側のガイド溝615aは、それぞれ上下方向に沿って設けられており、ノブ8が押圧されて極盤7側の下方に移動する際に、ガイド溝615aに沿って突起821aが移動することで、ノブ8の後方側の上下方向の移動がガイドされるようになっている。
【0020】
壁部822、823は、支持壁部61の側壁部612、613の内側を、これら側壁部612、613に沿って延びており、長手方向における中央部には、壁部822、823を厚み方向に貫通して開口部822a、823aが設けられている。
これら開口部822a、823aは、側壁部612、613の上下方向に沿って所定長さh(
図3の(C)参照)で形成されており、これら開口部822a、823aには、ノブ8がカバー6に組み付けられた状態において、支持壁部61の側壁部612、613の内側面に設けた係合部612b、613bが位置するようになっている。
【0021】
図2に示すように、実施の形態では、スプリングSp1、Sp2の付勢力が、ノブ8に作用しており、ノブ8は、支持壁部61から脱落する方向(図中上方向)に常時付勢されている。
そのため、ノブ8に、当該ノブ8を極盤7側の下方に押圧する力が作用していない時には、支持壁部61側の係合部612b、613bが、開口部822a、823aの下縁(
図2の場合には、開口部822aの下縁822a1)に係合することで、ノブ8の支持壁部61からの脱落が阻止されるようになっている。
【0022】
なお、側壁部612、613において開口部822a、823aは、上下方向に所定長さh(
図3の(C)参照)を持って形成されているので、ノブ8が操作されて、極盤7側の下方に移動しても、係合部612b、613bが、開口部822aの上縁822a2と干渉しないようになっている。そのため、ノブ8が極盤7側の下方に移動した際に、当該ノブ8の移動が、支持壁部61側の係合部612b、613bにより阻害されないようになっている。
【0023】
図3の(A)に示すように、壁部822の前端には、断面視において略矩形形状の脚部83が一体に形成されている。
図2に示すように、この脚部83は、極盤7側の下方に向けて直線状に延びており、ノブ8が支持壁部61で支持された状態において、その先端部831を、ケース5内で可動盤9に当接させている。
【0024】
図3の(A)に示すように、この脚部83の側壁部612との対向面には、当該側壁部612のガイド溝612aに係合するガイド突起83aが設けられており、脚部83の側壁部614との対向面には、当該側壁部614のガイド突起614aが係合するガイド溝83bが設けられている。
脚部83側のガイド突起83aおよびガイド溝83bと、支持壁部61側のガイド溝612aおよびガイド突起614aは、それぞれ上下方向に沿って設けられており、ノブ8が押圧されて極盤7側の下方に移動する際に、脚部83側のガイド突起83aと支持壁部61側のガイド突起614aが、それぞれガイド溝612a、83bに沿って移動することで、脚部83(ノブ8の前方側)の上下方向の移動がガイドされるようになっている。
【0025】
ここで、スイッチ装置1では、ノブ8から極盤7側の下方に延びる脚部83が、ノブ8の操作に連動して、軸線X1(
図2参照)の軸方向に進退移動するようになっており、ノブ8が極盤7側の下方に押し下げられると、脚部83が、ノブ8と同方向(極盤7側の下方)に移動して、可動盤9に当接させた先端部831で、可動盤9を軸線X1の直交方向(軸線Y方向)に移動させるようになっている。
そのため、この際に脚部83が軸線X1に対して傾いた状態で移動すると、その先端部831と後記する可動盤9との当接点Pが軸線X1の径方向(軸線Y方向)にずれてしまうので、軸線Y方向における可動盤9の位置が、本来あるべき位置から外れてしまう。
実施の形態では、ガイド突起(83a、614a)およびガイド溝(612a、83b)から構成されるガイド機構を2つ設けて、ノブ8の押圧操作時に、脚部83が、軸線X1に対して傾いた状態で極盤7側の下方に移動することを防止している。
【0026】
図2に示すように、スイッチ装置1の前後方向におけるノブ8の後方側では、ガイド壁82の内側に、極盤7側の下方に突出してスプリング支持部24が設けられている。
スプリング支持部24には、スプリングSp1の一端が外挿して取り付けられており、このスプリングSp1の他端は、カバー6と一体に形成されたスプリング支持部64に外挿して取り付けられている。
スプリングSp1は、ノブ8の押圧方向(軸線X方向)に沿って設けられており、ノブ8を支持壁部61から脱落させる方向(図中上方向)の付勢力を、ノブ8に作用させている。
【0027】
ノブ8から極盤7側の下方に延びる脚部83は、スイッチ装置1の前後方向におけるノブ8の前方側に位置している。
この脚部83は、ノブ8の押圧方向(軸線X1方向)に沿って設けられており、軸線Xに沿って設けられたスプリングSP1に対して平行に設けられている。
【0028】
脚部83は、周壁部811よりも極盤7側の下方に突出しており、カバー6の開口62を貫通させた先端部831には、可動盤9の当接部92に当接させる傾斜面831aが設けられている。
脚部83において傾斜面831aは、スイッチ装置1の前後方向における後側に設けられており、この傾斜面831aは、ノブ8の操作方向(軸線X1)に対して所定角度θ傾斜している。
そのため、脚部83の先端部831側は、極盤7側の下方に向かうにつれてスイッチ装置1の前後方向の幅Wが狭くなっており、脚部83は、その先端部831に設けた傾斜面831aを、スイッチ装置1の上下方向における上側から、可動盤9の当接部92に当接させている。
【0029】
可動盤9は、極盤7に設けた端子保持部71で、ノブ8の操作方向(軸線X、X1方向)の直交方向(軸線Y方向)に進退移動可能に設けられており、脚部83がノブ8の操作方向(軸線X、X1方向)に移動すると、脚部83の傾斜面831aと可動盤9の当接部92との当接点Pの位置が軸線Y方向で変化することで、軸線Y方向における可動盤9の位置が、ノブ8の操作に連動して変化するようになっている。
【0030】
図1に示すように可動盤9は、平面視において矩形形状の本体部91を有しており、この本体部91の長手方向における前方側の一側91aには、前記した脚部83が当接する当接部92が設けられている。
当接部92は、本体部91の一側91aから前方側に突出して形成されており、本体部91の幅W1よりも狭い幅W2を有している。
図2に示すように、当接部92の先端側の上面は、断面視において弧状の外周を成す当接面92aとなっており、この当接面92aに、脚部83の傾斜面831aが上方側から当接している。
【0031】
図1の(B)および
図4の(A)に示すように、当接部92の両側には、本体部91の一側91aから当接部92と同方向に延びる腕部93、93が設けられている。
腕部93、93は、本体部91の長手方向に直線状に延びる柱状の部材であり、その先端部には、本体部91の幅方向における外側に突出して、係合部93a、93aが設けられている。
【0032】
本体部91における当接部92とは反対側の他側91bには、円柱形状の突起94が設けられている。この突起94は、本体部91の幅方向における中央部から、スイッチ装置1の後方側に突出しており、その外周には、スプリングSp2の一端側が外嵌して取り付けられている。
【0033】
このスプリングSp2の他端側は、極盤7側の保持部77に設けた突起78に外嵌しており、スプリングSp2は、可動盤9を極盤7に組み付けた際に、本体部91と保持部77との間で、圧縮状態で設けられるようになっている。
【0034】
この際に、可動盤9は、スプリングSp2から作用する付勢力により、スイッチ装置1の前方側に押圧されており、前記した腕部93、93の係合部93a、93aを、ガイド板75、75の係合溝75a、75aに係合させて、ガイド板75、75からの可動盤9の脱落が阻止されている。
【0035】
ここで、可動盤9の当接部92は、スプリングSp2から作用する付勢力で、軸線Y方向から、脚部83の傾斜面831aに当接しており、スプリングSp2は、ノブ8を図中上側に移動させながら、傾斜面831aと当接部92との当接点Pの位置をスイッチ装置1の前方側(図中左側)に移動させる方向の付勢力を作用させている。
そのため、ノブ8の脚部83が設けられた前方側には、スプリングSp2の付勢力が、ノブ8を図中上方向(支持壁部61から脱落せせる方向)に移動させる方向に作用している。
【0036】
実施の形態では、脚部83の先端部831の前方側に、当該先端部831に沿って支持壁部614bが設けられている。この支持壁部614bは、支持壁部61の側壁部614の延長上をケース5内に延びており、脚部83の先端部831側が、傾斜面831aに可動盤9の当接部92を圧接させるスプリングSp2の付勢力で、軸線X1に対して傾くことを防止している。さらに、この支持壁部614bは、脚部83が軸線X1方向に進退移動する際のガイドとしても機能するようになっている。
【0037】
図2に示すように、本体部91の極盤7側の下部は中空に形成されており、本体部91の長手方向における中央部に、スプリング保持部95が設けられている。スプリング保持部95の中央部には、本体部91の幅方向に沿って収容溝95aが形成されており、この収容溝95a内に、可動接点9aが収容されている。
【0038】
可動接点9aは、一枚の金属板を折り曲げて形成されており、断面視において略U字形状を有しており、
図4の(B)に示すように、可動接点9aの幅方向における中央部には、スプリングSp3を係合させる凹部9a1が形成されている。
この凹部9a1の幅方向における中央部には、スプリング保持部95から下方に突出したスプリングSp3の一端が当接しており、このスプリングSp3の他端側は、スプリング保持部95に設けた円筒形状のスプリング保持穴95bに挿入されている。
【0039】
可動接点9aは、スプリング保持穴95bに収容されたスプリングSp3により、上下方向に移動可能とされており、このスプリングSp3から作用する付勢力により、その下面を、極盤7側に設けた固定接点7a、7aに圧接させている。
【0040】
図4の(C)に示すように、極盤7において固定接点7a、7aは、スイッチ装置1の幅方向に間隔を空けて、互いに平行に設けられており、これら固定接点7a、7aは、可動盤9の移動方向(軸線Y方向)に直線状に延びている。
固定接点7a、7aは、インサート成型により、極盤7の端子保持部71と一体に形成されており、端子保持部71において固定接点7a、7aは、端子保持部71の上面71aから上方に突出した突出部73の上面に露出している。
【0041】
端子保持部71は、下カバー部72の上面に載置されており、端子保持部71にインサート成型された固定接点7a、7aは、端子保持部71内に設けた他の配線部材と同様に、下カバー部72の上面に載置された図示しないプリント基板に接続されている。
【0042】
図4の(C)に示すように、固定接点7a、7aが設けられた突出部73は、平面視において矩形形状を有しており、これら固定接点7a、7aと同方向(図中右方向)に直線状に延びている。
この突出部73の後方側(
図4の(C)において右側)の延長上には、前記したスプリングSp3の他端側を保持する保持部77が、突出部73と同方向に突出して設けられている。
【0043】
突出部73における保持部77側には、突出部73よりもノブ8側の上方に突出した段部74が設けられている。段部74は、固定接点7a、7aの間を、これら固定接点7a、7aと同方向に延びており、平面視において矩形形状を成している。
この段部74の前方側(図中左側)の端部には、前方側に向かうにつれて突出部73からの高さが低くなる傾斜面74aが設けられており、ノブ8の操作により可動盤9(可動接点9a)が保持部77側(図中右側)に移動した際に、可動接点9aが、傾斜面74aを通って段部74に乗り上げることで、可動接点9aが、固定接点7aから上方側に所定高さhaだけ離間した位置に配置されるようになっている(
図4の(D)参照)。
【0044】
図4の(C)に示すように、スイッチ装置1の幅方向における固定接点7aの両側には、可動盤9の軸線Y方向の移動をガイドする一対のガイド板75、75が設けられている。
ガイド板75、75は、可動盤9の移動方向(軸線Y方向)に沿って互いに平行に設けられており、端子保持部71の前方側(図中左側)の端部71bから、保持部77の近傍までの範囲に、直線状に設けられている。
【0045】
ガイド板75、75は、極盤7の端子保持部71から上方に突出して設けられており、その上端部には、ガイド板75、75の間に配置された可動盤9の図中上側への脱落を阻止するためのストッパ76、76が設けられている。
【0046】
ガイド板75、75においてストッパ76、76は、保持部77側の後方に設けられており、このガイド板75、75のストッパ76、76に隣接する前方側には、前記した可動盤9の腕部93、93に設けた係合部93a、93aが係合する係合溝75a、75aが設けられている。
【0047】
以下、プッシュスイッチ2の動作を説明する。
図5は、プッシュスイッチ2の動作を説明する図であり、(A)は、ノブ8が基準位置に配置された状態を示す断面図であり、(B)は、ノブ8が極盤7側の下方に押し込まれた操作位置に配置された状態を示す断面図であり、(C)は、(A)におけるA−A断面図であり、(D)は、(B)におけるB−B断面図である。
【0048】
図5の(A)、(C)に示すように、ノブ8が基準位置に配置されている状態では、軸線Y方向においてノブ8の脚部83に設けた傾斜面831aは、保持部77から最も離れた位置で、可動盤9の当接部92に当接している。
【0049】
この状態から、ノブ8の押圧操作により、ノブ8が極盤7側の下方に移動すると(図中矢印A1参照)、ノブの脚部83もまた、極盤7側の下方に移動する(図中矢印A2参照)。
そうすると、脚部83の先端部831の幅Wは、図中上側に向かうにつれて広くなっているので、脚部83が極盤7側の下方に移動するにつれて、可動盤9の移動方向(軸線Y方向)における傾斜面831aと可動盤9の当接部92との当接点Pが、図中右方向に移動することになる。
これにより、可動盤9は、脚部83(傾斜面831a)により押されて、保持部77側(図中矢印A3方向)に移動するので、この可動盤9に設けられた可動接点9aが、固定接点7aの上面を摺動しながら、図中右方向(図中矢印A4方向)に移動することになる。
【0050】
極盤7(端子保持部71)には、固定接点7aよりもノブ8側の上方に突出して段部74が設けられており、この段部は、固定接点7a、7aの間の保持部77寄りの位置に設けられている。そのため、ノブ8の押圧操作により図中右側に移動した可動接点9aは、最終的に、段部74に設けた傾斜面74aを登って、段部74に乗り上げるようになっており、可動接点9aが段部74に乗り上げることで、可動接点9aが固定接点7aから離間した位置に配置されるようになっている(
図4の(D)、
図5の(D)参照)。
【0051】
ここで、実施の形態のプッシュスイッチ2では、脚部83の長手方向における略中央部に、ハートカム25が設けられている。このハートカム25は、脚部83に設けられたカム溝28と、カム溝28に係合するロックピン27と、を有しており、ロックピン27は、取付壁616(
図3の(A)、(B)参照)を貫通して設けられていると共に、取付壁616に設けた板ばね26から作用する付勢力により、その一端側をカム溝28に圧接させられて設けられている。
【0052】
実施の形態では、ノブ8が押圧操作されて極盤7側の下方に押し下げられると、取付壁616に設けられたロックピン27と、カム溝28とが上下方向(軸線X1方向)で相対的に移動して、ロックピン27のカム溝28との当接位置が、
図5の(A)において矢印aで示す軌跡に沿って変化するようになっている。
そして、ノブ8を図中下方に移動させたのち、ノブ8の押圧操作を解消すると、ノブ8は、スプリングSp1、Sp2から作用する付勢力で図中上側に付勢されているので、ハートカム25の係合部29が、図中下方向からロックピン27に係合して、ノブ8の上側の移動が規制されるようになっている(
図5の(B)参照)。
そのため、基準位置(
図5の(A)参照)にあるプッシュスイッチ2のノブ8を、一回押し下げると、ロックピン27が係合部29に係合して、ノブ8が基準位置よりも極盤7側の下方に配置された操作位置(
図5の(B)参照)に保持されるようになっている。
【0053】
ここで、ノブ8の脚部83は、ガイド突起(83a、614a)およびガイド溝(612a、83b)から構成されるガイド機構(
図3の(A)参照)を2つ備えており、これらガイド機構により、軸線X1方向移動がガイドされるようになっているので、ノブ8の押圧操作時に、脚部83が軸線X1に対して傾いた状態で、極盤7側の下方に移動しないようになっている。
【0054】
そして、この
図5の(B)に示す操作位置にあるノブ8を、極盤7の下方に押し下げると(
図5の(B)、図中矢印B1参照)、ロックピン27とカム溝28とが上下方向(軸線X1方向)で相対的に移動して、ロックピン27と係合部29の係合が解除される。
この際に、カム溝28に設けた傾斜により、軸線Yの軸方向で、ロックピン27と係合部29との位置がずれるので、ノブ8を押し下げたのちに、ノブ8の押圧操作を解除すると、ロックピン27のカム溝28との当接位置が、
図5の(B)において矢印bで示す軌跡に沿って変化するようになっている。
これにより、ノブ8が支持壁部61から脱落する方向(図中上方向)に移動して、
図5の(A)に示す基準位置に復帰することになる。
【0055】
この際、ノブ8の脚部83が図中上側に移動するので、この脚部83の移動に伴って、スプリングSp2で付勢された可動盤9と脚部83との当接点Pが、可動盤9の移動方向(軸線Y)方向における左側に移動する。
そうすると、可動盤9に設けられた可動接点9aが、段部74の上面を摺動しながら図中左側に移動する(図中矢印B2参照)。そして、段部74が設けられていない位置に達すると、スプリングSp3の付勢力で、固定接点7aに圧接させられた状態で、固定接点7aの上面を摺動することになる。
そして、可動接点9aが固定接点7aに接触した時点で、固定接点7a、7aが、可動接点9aを介して連通されるので、プッシュスイッチ2がオフされた状態になる。
【0056】
なお、ノブ8が、
図5の(B)に示す操作位置から、
図5の(A)に示す基準位置に移動する際に、スイッチ装置1の前後方向におけるノブ8の後方側には、カバー6と一体に形成されたスプリング支持部64と、カバー6側のスプリング支持部24の間に介在させたスプリングSp1からの付勢力が作用し、ノブ8の前方側には、脚部83が当接した可動盤9に作用するスプリングSp2からの付勢力が作用する。
実施の形態では、ノブ8の後方側に作用するスプリングSp1の付勢力と、前方側に作用するスプリングSp2の付勢力とが、略同じになるように設定されている。そのため、ノブ8は、軸線X1に対して傾くことなく、図中上側に移動できるようになっている。
【0057】
以上の通り、実施の形態では、ノブ8の押圧操作により、固定接点7aに当接させた可動接点9aを摺動させて、可動接点9aと固定接点7aとの接離を行う構成のプッシュスイッチ2において、
可動接点9aの摺動方向を、ノブ8の押圧方向(軸線X、X1方向)の径方向(軸線Y方向)に設定した構成とした。
【0058】
このように構成すると、固定接点7aに当接させた可動接点9aの摺動方向が、ノブ8の押圧方向(軸線X、X1方向)の径方向(軸線Y方向)であるので、可動接点9aが摺動するための空間をノブ8の押圧方向(軸線X、X1方向)に確保する必要がない。
よって、可動接点がノブの押圧方向に摺動する従来のプッシュスイッチよりも、ノブ8の押圧方向(軸線X、X1方向)におけるプッシュスイッチ2の厚みを薄くすることができる。
【0059】
可動接点9aは、ノブ8の押圧方向(軸線X、X1方向)の径方向(軸線Y方向)に移動可能とされた可動盤9に設けられており、
ノブ8は、押圧方向(軸線X、X1方向)に延びる脚部83を有すると共に、脚部83の先端部831では、可動盤9の移動方向(軸線Y方向)における一方側に、先端に向かうにつれて、軸線Y方向の幅Wが狭くなる向きの傾斜面831a(傾斜部)が設けられており、ノブ8は、傾斜面831aを可動盤9に当接させて設けられている構成とした。
【0060】
このように構成すると、ノブ8の押圧操作により、ノブ8の脚部83がノブ8の押圧方向(軸線X、X1方向)側に移動すると、脚部83に設けた傾斜面831aと可動盤9との当接点Pが、可動盤9の移動方向(軸線Y方向)における一方側に変位して、可動盤9が一方側に移動させられることになる。
よって、脚部83に設けた傾斜面831aを可動盤9に当接させて設けるという簡単な構成で、ノブ8の押圧方向(軸線X1方向)の移動を、可動盤9の押圧方向に対する径方向(軸線Y方向)の移動に変換して、固定接点7aに当接させた可動接点9aを、径方向に摺動させることができる。
【0061】
ここで、可動盤9は、傾斜面831aが外周に当接する当接部92を有しており、当該当接部92の外周面(当接面92a)は、軸線Y方向の断面視において弧状を成しており、傾斜面831aが、当接部92の外周面に点接触するように構成した。
これにより、ノブ8の押圧操作によりノブ8の操作方向側に移動した脚部83(当接面831a)で可動盤9を移動させる際の摩擦抵抗を低減できるので、プッシュスイッチ2のノブ8の押圧操作を滑らかに行うことができる。
【0062】
ノブ8を、押圧方向とは反対側に付勢するスプリングSp1(第1の付勢手段)と、
可動盤9を、押圧方向の径方向(軸線Y方向)における他方側に付勢するスプリングSp2(第2の付勢手段)と、を備え、
スプリングSp1を、ノブ8の径方向における一方側に設けて、ノブ8の一方側にスプリングSp1からの付勢力が作用し、
ノブ8の他方側に脚部83を設けて、ノブ8の他方側にスプリングSp2からの付勢力が作用するように構成した。
【0063】
このように構成すると、スプリングSp1とスプリングSp2の付勢力を調整して、ノブ8の径方向における一方側に作用する付勢力と、他方側に作用する付勢力とを同じにすることで、ノブ8が押圧方向に移動する際に、ノブ8が押圧方向に対して傾いた状態で移動することを好適に防止できる。
ノブ8が押圧方向に対して傾いてノブ8の移動に支障が生じることを好適に防止できるので、ノブの移動に支障が生じたことに起因するプッシュスイッチの動作不良の発生を好適に抑えることが得きる。
【0064】
さらに、ノブ8が、スプリングSp1とスプリングSp2の付勢力で、
図5の(B)に示す操作位置から
図5の(A)に示す基準位置に復帰する際にも、スイッチ装置1の前後方向におけるノブ8の前方側と後方に作用する付勢力を同じにできるので、ノブ8を、水平状態を保持したままで、基準位置まで戻すことができる。
【0065】
さらに、可動接点104aを有する可動盤104をノブ107の押圧方向に移動させて、固定接点103aに当接させた可動接点104aを摺動させる構成の従来のプッシュスイッチ(
図6参照)の場合、可動盤104を均等に押圧して移動するために、ノブ107の長手方向における一側と他側とに、それぞれ脚部108A、108Bを設けていた。
そのため、脚部108A,108Bから作用する押圧力に対する強度を確保するために、可動盤104の大きさが必然的に大きくなっていた。
上記のように構成すると、脚部83が可動盤9を押圧する箇所は、当接部92の一箇所のみとなるので、従来例のプッシュスイッチの場合に比べて、可動盤9の大きさを小さくすることができる。これにより、プッシュスイッチ2の大きさを、従来のものよりも小型化できる。
そして、可動盤9が小型化した分だけ、ケース5内のレイアウトの自由度が向上すると共に、可動盤9の小型化に伴うケース5の小型化により、プッシュスイッチ2の作成に必要な材料を少なくできるので、作製コストの低減が可能となる。