特許第6188416号(P6188416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188416
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】ドレイン排水処理装置
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/04 20060101AFI20170821BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20170821BHJP
   F24H 9/16 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   E04D13/04 J
   E03C1/12 A
   F24H9/16 A
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-103364(P2013-103364)
(22)【出願日】2013年5月15日
(65)【公開番号】特開2014-224368(P2014-224368A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2016年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000191397
【氏名又は名称】新和産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390009999
【氏名又は名称】日動電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126930
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】井川 一久
(72)【発明者】
【氏名】平林 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】藤井 健弘
(72)【発明者】
【氏名】倉田 敏男
(72)【発明者】
【氏名】木村 英生
【審査官】 多田 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−221898(JP,A)
【文献】 特開2010−127006(JP,A)
【文献】 特開2007−113355(JP,A)
【文献】 特開2010−286154(JP,A)
【文献】 特開2007−315121(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0223147(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/04
F24H 9/16−9/18
E03C 1/12−1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレイン用の排水溝を形成してある溝形成床材に、前記排水溝を幅方向で複数の排水溝部に区画形成する仕切り部を設けるとともに、前記溝形成床材に対して脱着可能な取付け基材には、ドレイン用の排水管からの排水を排出口を介して前記複数の排水溝部の一つに流入案内する流入案内具と、この流入案内具を前記排水溝の幅方向に移動させて前記排出口の位置を前記排水溝の幅方向に変更する排水位置変更手段とを設けてあるドレイン排水処理装置。
【請求項2】
前記排水溝部内の排水の水位が設定水位に到達したとき、この排水溝部内の排水を前記仕切り部の上部を通過して隣接する他の排水溝部にオーバーフローさせる構成にしてある請求項1記載のドレイン排水処理装置。
【請求項3】
前記排水位置変更手段を構成するに、前記取付け基材が、前記溝形成床材に対して溝長手方向での前後向きを変更可能な状態で装着されているとともに、この取付け基材の溝幅方向の一側方に偏位した部位において、前記流入案内具を溝長手方向での前後向きを変更可能な状態で脱着自在に保持する保持部が設けられている請求項1又は2記載のドレイン排水処理装置。
【請求項4】
前記取付け基材には、前記溝形成床材の幅方向両側の側壁部に形成された被嵌合部に対して脱着自在に嵌合する嵌合部と、当該嵌合部が前記被嵌合部に嵌合されたとき、前記溝形成床材の排水溝の内側面に接触して当該排水溝を幅方向で遮断する堰部とが形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のドレイン排水処理装置。
【請求項5】
前記保持部が、前記取付け基材の幅方向の一側方に偏位した部位に設けられた被係合部と、この被係合部に対して溝長手方向から係合可能な状態で前記流入案内具に設けた係合部とから構成されているとともに、前記被係合部に対して溝長手方向から係合操作された前記係合部を設定係合深さ位置に規制する位置規制部が設けられている請求項3記載のドレイン排水処理装置。
【請求項6】
ドレイン用の排水溝を形成してある溝形成床材に、前記排水溝を幅方向で複数の排水溝部に区画形成する仕切り部を設けるとともに、前記溝形成床材に対して脱着可能な取付け基材には、ドレイン用の排水管からの排水を前記複数の排水溝部の一つに流入案内する流入案内具と、この流入案内具の排水位置を前記排水溝の幅方向に変更する排水位置変更手段とを設けてあり、
前記排水位置変更手段を構成するに、前記取付け基材が、前記溝形成床材に対して溝長手方向での前後向きを変更可能な状態で装着されているとともに、この取付け基材の溝幅方向の一側方に偏位した部位において、前記流入案内具を溝長手方向での前後向きを変更可能な状態で脱着自在に保持する保持部が設けられているドレイン排水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷暖房用空調機や潜熱回収型給湯装置等のドレイン排水発生機器から排出されるドレイン排水を通路やベランダ等の床面に沿って所定排水箇所にまで排出案内するドレイン排水処理装置に関する。
詳しくは、ドレイン用の排水溝を形成してある溝形成床材と、ドレイン用の排水管からの排水を前記排水溝に流入案内する流入案内具とが備えられているドレイン排水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から種々の構造のドレイン排水処理装置が提案されており、例えば、特許文献1、2では、前記溝形成床材の幅方向両側の側壁部の内面に、排水溝の開口部を閉止する蓋部材を溝長手方向からスライド移動自在に嵌合保持する嵌合凹部又は嵌合凸部を形成するとともに、前記流入案内具を、溝形成床材の両側壁部の嵌合凹部又は凸部における上流側端部に対してスライド移動自在に嵌合保持する取付け板材と、当該取付け板材の溝幅方向中央部において溝形成床材の排水溝に向かって開口し、かつ、前記排水管と接続可能な流入案内筒とを一体形成し、排水管からの排水を排水溝の幅方向略全域に流入案内するように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−113355号公報
【特許文献2】特開2010−286154号公報
【特許文献3】特開2007−315121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のドレイン排水処理装置では、排水管から流入案内具を経由して溝形成床材の排水溝に流入案内された排水が排水溝の幅全体に拡散しながら流動するため、排水溝の幅方向での平均水位が浅くなり、排水の水圧低下によって排水性能が低下するとともに、排水中のゴミ等の夾雑物が溜まり易くなる。
【0005】
また、溝形成床材の排水溝に流入案内された排水が排水溝の幅全体に拡散しながら流動する関係上、冬季に排水が層状に凍結し易くなる。
【0006】
そのため、上述のように夾雑物の堆積又は排水の凍結によって排水溝が詰まると、排水が溝形成床材の外部に漏洩する不都合がある。
【0007】
また、このような不都合を解消する方法として、例えば、特許文献3に示すように、溝形成床材の排水溝の底面における幅方向の1箇所又は複数箇所に、当該排水溝よりも一段深い小幅溝を形成するか、或いは、溝形成床材の排水溝の底面を横断面視においてV字状に形成して、水量と水深による水圧を確保する方法が提案されている。
【0008】
これによる場合でも、排水溝の底面の小幅溝又はV字状の排水溝に夾雑物が堆積するか、或いは、排水が層状に凍結すると、排水が排水溝の幅全体に拡散しながら流動するため、上述と同様に、排水性能の低下や夾雑物の堆積による排水溝の詰まり等を招来する問題がある。
【0009】
また、溝形成床材は、一般に、接着剤等で床面に固定して使用されるため、この固定された溝形成床材の取付け位置とドレイン排水発生機器側から導出される排水管の取付け位置とが溝幅方向で位置ずれしている施工現場においては、排水管が例えば、硬質塩化ビニル管等のように撓み変形量が小さな管であると、排水管を溝形成床材に嵌合保持されている流入案内具の流入案内筒に接続することができない事態が発生する。この場合、排水管をステンレス製フレキシブル管等の撓み変形量の大きな管に付け替える必要があり、施工の煩雑化と施工コストの高騰化を将来し易い。
【0010】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、溝形成床材の排水溝と流入案内具との合理的な改良により、排水性能の向上と夾雑物の堆積抑制及び溝形成床材の溝掃除の容易化とを図ることができるとともに、溝形成床材の取付け位置と排水管の取付け位置とが溝幅方向で位置ずれしている場合の対応も容易に行うことのできるドレイン排水処理装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による第1の特徴構成は、ドレイン用の排水溝を形成してある溝形成床材に、前記排水溝を幅方向で複数の排水溝部に区画形成する仕切り部を設けるとともに、前記溝形成床材に対して脱着可能な取付け基材には、ドレイン用の排水管からの排水を前記複数の排水溝部の一つに流入案内する流入案内具と、この流入案内具の排水位置を前記排水溝の幅方向に変更する排水位置変更手段とを設けてある点にある。
【0012】
上記構成によれば、流入案内具の排水位置を複数の排水溝部中から一つ選定することにより、排水溝全体を使用する場合に比して、一つの排水溝部の幅方向での平均水位が深くなり、この排水溝部に流入した排水を水量及び水圧の増加によって円滑に排出することができるとともに、排水中の夾雑物が堆積することを抑制することができる。
【0013】
しかも、床面に接着剤等で固定された溝形成床材の取付け位置とドレイン排水発生機器側から導出される排水管の取付け位置とが溝幅方向で位置ずれした場合でも、排水位置変更手段によって流入案内具の排水位置を溝幅方向に変更することによって位置ずれを吸収することができる。
【0014】
また、溝形成床材の溝掃除を行う場合、排水位置変更手段によって流入案内具の排水位置を使用中の排水溝部から未使用の排水溝部に変更することにより、ドレイン排水の排出を継続しながら使用していた排水溝部の掃除を行うことができる。
【0015】
したがって、排水性能の向上と夾雑物の堆積抑制及び溝形成床材の溝掃除の容易化とを図ることができるとともに、溝形成床材の取付け位置と排水管の取付け位置とが溝幅方向で位置ずれしている場合の対応も容易に行うことができる。
【0016】
本発明による第2の特徴構成は、前記排水溝部内の排水の水位が設定水位に到達したとき、この排水溝部内の排水を前記仕切り部の上部を通過して隣接する他の排水溝部にオーバーフローさせる構成にしてある点にある。
【0017】
上記構成によれば、使用中の排水溝部の途中が夾雑物で詰まった場合や排水の凍結によって詰まりが発生した場合でも、この詰まり箇所の上流側において、使用中の排水溝部内の排水を仕切り部の上部を通過して隣接する他の排水溝部へスムーズにオーバーフローさせることができるから、排水が溝形成床材の外部に漏洩することを抑制することができる。
【0018】
さらに、使用中の排水溝部に流入案内される排水の水量が、当該排水溝部での排水能力以上に一時的に増加した場合でも、この排水溝部内の排水を仕切り部の上部を通過して隣接する他の排水溝部へスムーズにオーバーフローさせることができるから、一時的に増水した排水が溝形成床材の外部に漏洩することも抑制することができる。
【0019】
したがって、夾雑物の堆積又は凍結による排水溝部の詰まりが発生したとき及び排水が一時的に増加したときの対応も自動的に行うことができる。
【0020】
本発明による第3の特徴構成は、前記排水位置変更手段を構成するに、前記取付け基材が、前記溝形成床材に対して溝長手方向での前後向きを変更可能な状態で装着されているとともに、この取付け基材の溝幅方向の一側方に偏位した部位において、前記流入案内具を溝長手方向での前後向きを変更可能な状態で脱着自在に保持する保持部が設けられている点にある。
【0021】
上記構成によれば、流入案内具の排水位置を変更する必要が生じた場合、溝形成床材に対する取付け基材の前後向きの反転装着操作と、この取付け基材の溝幅方向の一側方に偏位した部位での保持部に対する流入案内具の前後向きの反転装着操作とを行うだけで済み、排水位置変更操作の容易化と排水位置変更手段の構造の簡素化を図ることができる。
【0022】
本発明による第4の特徴構成は、前記取付け基材には、前記溝形成床材の幅方向両側の側壁部に形成された被嵌合部に対して脱着自在に嵌合する嵌合部と、当該嵌合部が前記被嵌合部に嵌合されたとき、前記溝形成床材の内側面に接触して当該排水溝を幅方向で遮断する堰部とが形成されている点にある。
【0023】
上記構成によれば、取付け基材の嵌合部を溝形成床材の被嵌合部に嵌合操作すると、この取付け基材に形成されている堰部が溝形成床材の内側面に接触して排水溝を幅方向で遮断するから、流入案内具から一つの排水溝部に流入案内された排水が上流側に逆流することを防止することができる。
【0024】
本発明による第5の特徴構成は、前記保持部が、前記取付け基材の幅方向の一側方に偏位した部位に設けられた被係合部と、この被係合部に対して溝長手方向から係合可能な状態で前記流入案内具に設けた係合部とから構成されているとともに、前記被係合部に対して溝長手方向から係合操作された前記係合部を設定係合深さ位置に規制する位置規制部が設けられている点にある。
【0025】
上記構成によれば、取付け基材の保持部に対して流入案内具を反転装着操作する際、この保持部を構成する取付け基材側の被係合部に対して流入案内具側の係合部を、位置規制部にて規制される位置にまで溝長手方向から係合操作するだけで、流入案内具の係合部を設定係合深さ位置に確実に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態のドレイン排水処理装置の施工状態を示す斜視図
図2】流入案内具を取外し操作したときの斜視図
図3】取付け基材を前後反転操作したときの斜視図
図4】流入案内具を装着操作するときの斜視図
図5】流入案内具を装着操作するときの縦断面図
図6図1におけるVI−VI線での要部の断面図
図7】取付け基材及び流入案内具を溝形成床材から分離したときの横断面図
図8図1におけるVIII−VIII線断面図
図9】取付け基材及び流入案内具の平面図
図10】取付け基材に蓋部材を装着したときの横断面図
図11】本発明の第2実施形態のドレイン排水処理装置を示す取付け基材と流入案内具との分離状態での斜視図
図12】本発明の第2実施形態の取付け基材と流入案内具との係合状態での縦断面図
図13】本発明の第3実施形態のドレイン排水処理装置を示す取付け基材と流入案内具との分離状態での斜視図
図14】本発明の第4実施形態のドレイン排水処理装置を示す取付け基材と流入案内具との分離状態での斜視図
図15】本発明の第4実施形態の要部の一部切欠き側面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
図1は、冷暖房用空調機の冷房運転時に発生する結露水、或いは、燃焼排ガス中の水蒸気の潜熱によって水を加熱する潜熱回収型給湯装置の給湯運転時に発生する凝縮水等のドレイン排水を通路(共通廊下)やベランダ等の床面1の勾配に沿って所定排水箇所である側溝2にまで排出案内するドレイン排水処理装置を示す。
【0028】
このドレイン排水処理装置には、ドレイン用の一直線状の上方開口の排水溝3を形成してある合成樹脂製(例えば、ポリ塩化ビニル製)の溝形成床材4と、これの上流側端部に対して脱着可能な合成樹脂製(例えば、ポリ塩化ビニル製)の取付け基材5とを備え、この取付け基材5には、冷暖房用空調機や潜熱回収型給湯装置等のドレイン排水発生機器から導出されている樹脂製又は金属製のドレイン用の排水管6が接続可能な円筒状の接続部7Aを有し、且つ、排水管6からの排水を溝形成床材4の排水溝3に流入案内する合成樹脂製(例えばポリ塩化ビニル製)の流入案内具7が装備されている。
【0029】
溝形成床材4の排水溝3の底面(内底面)4aには、図7図8に示すように、当該排水溝3を幅方向で左右対称形の二つの排水溝部3A、3Bに区画形成する仕切り部8が一体形成され、この仕切り部8の上端の高さは、溝形成床材4における幅方向両側の側壁部4Aの上端の高さよりも少し低く構成され、一方の使用中の排水溝部3A内の排水の水位が設定水位に到達したとき、この使用中の排水溝部3Aから仕切り部8の上端である頂点(稜線)を通過して隣接する他方の排水溝部3Bへ排水をオーバーフローさせると共に、排水の一部が溝形成床材4の側壁部4Aを越えて外部に漏洩することを防止する。
【0030】
そして、図1図4に示すように、流入案内具7は、ドレイン用の排水管6からの排水を溝形成床材4の両排水溝部3A、3Bの一つに流入案内可能な状態で取付け基材5に対して脱着自在に構成されているとともに、溝形成床材4の両排水溝部3A、3Bに対する流入案内具7の排水位置を溝幅方向に変更する排水位置変更手段Aが設けられている。
【0031】
溝形成床材4の仕切り部8は、排水溝3の底面4aにおける両排水溝部3A、3Bの境界部位(当該実施形態では溝形成床材4の幅方向中央位置)での高さが両排水溝部3A、3Bでのオーバーフロー水位と同じ位置になる状態で当該排水溝3の底面4a全体を逆V字状の山形状に形成することにより構成されている。
【0032】
この排水溝3の底面4a全体を利用した仕切り部8の山形形成により、一方の排水溝部3Aの底面部4aa及び他方の排水溝部3Bの底面部4abが、排水溝3の幅方向一端側部位である外端側部位又はその近傍が最低位となる傾斜面に形成されている。
【0033】
そのため、一方の排水溝部3A及び他方の排水溝部3Bに流入した排水の各々は、各傾斜姿勢の底面部4aa,4abの最低位側に流れ込むから、各排水溝部3A、3Bの幅方向における最低位側での水量の増加によって水位が深くなり、排水を水量及び水圧の増加によって円滑に排出することができるとともに、排水中の夾雑物が堆積することも抑制することができる。
【0034】
また、長年月の使用に伴って一方の使用中の排水溝部3Aが夾雑物で詰まった場合でも、この詰まり箇所の上流側においてオーバーフローした排水を仕切り部8の頂点(稜線)を通過して隣接する未使用の他方の排水溝部3Bに流入させることができるから、排水が溝形成床材4の外部に漏洩することを抑制することができる。
【0035】
さらに、使用中の一方の排水溝部3Aに流入案内される排水の水量が、この排水溝部3Aでの排水能力以上に一時的に増加した場合でも、オーバーフローした排水を仕切り部8の頂点を通過して隣接する他方の未使用の排水溝部3Bに分散流入させることができるから、一時的に増水した排水が溝形成床材4の外部に漏洩することも抑制することができる。
【0036】
また、溝形成床材4の幅方向両側に設けられた側壁部4Aの上面には、図1図8に示すように、取付け基材5の内天井面5aの幅方向両側部に当接する平坦な受け面4bが形成され、この各受け面4bの幅寸法が、側壁部4Aの基部(下端側括れ部)4cにおける幅方向での厚みよりも大に構成されているとともに、各側壁部4Aの外側面には、幅方向外方側に突出する嵌合凸条部4dが形成されている。
【0037】
溝形成床材4の底壁部4Bの下面には、当該溝形成床材4の全長にわたる状態で多数の小突条4eが幅方向に所定間隔で一体形成されているとともに、溝形成床材4の底壁部4Bの底面4aと両側壁部4Aの内側面4fとで構成される入隅部4gが、当該両側壁部4Aの内側面4fよりも幅方向外方側に食い込む状態で弧状面に形成されている。
【0038】
流入案内具7は、図4図9に示すように、排水管6を上方側から差し込み接続可能な円筒状の縦向き姿勢の接続部7Aと、この接続部7Aの下端部に対して前下がり傾斜の横向き姿勢で連通する排出筒部7Bとを一体成形して構成されている。
【0039】
排出筒部7Bの内径は、接続部7Aの内径よりも小に構成され、接続部7Aと排出筒部7Bとの連通部には、接続部7Aの内周面の後端側に接する状態で排出筒部7Bの内径に相当する幅寸法の略長円形状の連通孔7aが形成され、接続部7Aの内周面の下端側には、連通孔7aに向かって排水を流動案内する略部分球状の弧状案内面7bが形成されている。
【0040】
排出筒部7Bの排出口7cの開口端面7dは、それの最下端部位が排水流動方向の下流側に最も突出し、且つ、最上端部位が排水流動方向の上流側に最も後退する傾斜面に形成されているとともに、排出筒部7Bの排出口7cにおける最下端部位には、排水の表面張力を抑えて落水性能を高めるための略三角形状の切欠き部7eが形成されている。
【0041】
この切欠き部7eの形状としては、排出筒部7Bの排出口7cでの排水の表面張力を抑えて落水性能を高めることのできる落水誘発形状であれば、如何なる形状に構成してもよい。
【0042】
取付け基材5の溝幅方向両側部には、溝形成床材4の両側壁部4Aの内側面4fから受け面4bを経由して嵌合凸条部4dの上側部位に至る被嵌合部4h対して脱着自在に嵌合する凹状の嵌合部5bが形成されているとともに、この取付け基材5の内天井面5aには、当該取付け基材5の嵌合部5bが溝形成床材4の被嵌合部4hに嵌合されたとき、溝形成床材4の排水溝3の内側面に接触して当該排水溝を溝幅方向で横断する状態で遮断する堰部9が一体形成されている。
【0043】
この堰部9により、流入案内具7から両排水溝部3A、3Bの一つに流入案内された排水が上流側に逆流することを防止することができる。
【0044】
また、取付け基材5は、溝形成床材4の排水溝3の内側面に接触する堰部9の存在によって上方側から嵌合操作することができないため、溝形成床材4に対して溝長手方向から摺動状態で嵌合操作するように構成されている。
【0045】
また、排水位置変更手段Aを構成するに、取付け基材5を、溝形成床材4に対して溝長手方向での前後向きを変更可能な状態で嵌合操作自在に構成するとともに、この取付け基材5の溝幅方向の一側方に偏位した部位において、流入案内具7を溝長手方向での前後向きを変更操作可能な状態で脱着自在に保持する保持部10を設けて構成されている。
【0046】
この保持部10は、流入案内具7の排出筒部7Bの外周面から外方に一体的に突出形成された板状の係合部10Aと、当該係合部10Aに対して溝長手方向から係合可能な係合溝10aを形成する状態で取付け基材5の溝幅方向一側方の偏位部位に設けられた被係合部10Bとから構成されているとともに、この被係合部10Bに対して溝長手方向から係合操作された流入案内具7の係合部10Aを設定係合深さ位置に規制する位置規制部11が設けられている。
【0047】
被係合部10Bは、取付け基材5の溝幅方向一側方の偏位部位において互いに溝幅方向で相手側に向かって弧状に湾曲する状態で一体形成された一対の被係合側壁部10Ba,10Bbから構成され、この一対の被係合側壁部10Ba,10Bbは、互いに溝幅方向で離間する側に撓み変形可能に構成されている。
【0048】
位置規制部11を構成するに、取付け基材5の係合溝10aの底面における幅方向中央位置に、流入案内具7の排出筒部7Bの外周面の最下端部位に突出形成された三角形状の係止突起11aが溝長手方向から係入自在な係止ガイド溝11bが形成されている。
【0049】
この係止ガイド溝11bの溝長手方向中央位置には、係止突起11aが設定係合深さ位置にまで係入したとき、当該係止突起11aの端面に当接してそれ以上の係入移動を阻止するストッパー部11cが形成されているとともに、係止突起11aに先行してストッパー部11cを無理越えし、係止突起11aの端面がストッパー部11cに当接又は近接したとき、位置保持突起11dがストッパー部11cの背面側に係止して流入案内具7の係合部10Aを設定係合深さ位置に保持する半球状の位置保持突起11dが一体形成されている。
【0050】
この位置保持突起11dの下端と係止ガイド溝11bの底面との上下方向での対向面間の寸法が、ストッパー部11cの高さ寸法よりも僅かに小に構成されていて、流入案内具7の係合部10A又は被係合部10Bの被係合側壁部10Ba,10Bb若しくはこれら両者の撓み変形で位置保持突起11dがストッパー部11cの上端を無理越え可能に構成されている。
【0051】
そして、図4に示すように、溝形成床材4の一方の排水溝部3Aを使用する場合には、取付け基材5を、それの被係合部10Bが一方の排水溝部3Aに位置する向き姿勢で溝形成床材4の上流側端部に嵌合装着し、この取付け基材5の被係合部10Bに、流入案内具7の係合部10Aを溝長手方向の下流側から係合装着する。
【0052】
この係合装着時に、図5図6に示すように、流入案内具7の排出筒部7Bの位置保持突起11dが、係止突起11aに先行してストッパー部11cを無理越えし、係止突起11aの端面がストッパー部11cに当接又は近接したとき、位置保持突起11dがストッパー部11cの背面側に係止し、ストッパー部11cを位置保持突起11dと係止突起11aの端面との間で挟み込むことにより、流入案内具7の係合部10Aが設定係合深さ位置で抜止め保持される。
【0053】
溝形成床材4の他方の排水溝部3Bを使用している状態から一方の排水溝部3Aを使用する状態に変更する場合には、例えば、図2図4に示すように、取付け基材5を、それの被係合部10Bが一方の排水溝部3Aに位置するように、溝形成床材4に対して溝長手方向での前後向きが逆になる状態に反転して嵌合装着し、この取付け基材5の被係合部10Bに、流入案内具7の係合部10Aを溝長手方向の下流側から係合装着する。
【0054】
このように溝形成床材4の両排水溝部3A、3Bに対する流入案内具7の排水位置を変更することによって、流入案内具7の接続部7Aと排水管6との接続位置も溝形成床材4の溝幅方向に変更されるから、床面1に接着剤等で固定された溝形成床材4の取付け位置とドレイン排水発生機器側から導出される排水管6の取付け位置とが溝幅方向で位置ずれした場合でも、排水位置変更手段Aによって両排水溝部3A,3Bに対する流入案内具7の排水位置を溝幅方向で変更することによって位置ずれを吸収することができる。
【0055】
尚、図10に示すように、溝形成床材4の両側壁部4Aに、取付け基材5及び流入案内具7の装着領域を除く排水溝3の開口部を閉止する蓋部材12を着脱自在に装着して実施してもよい。
【0056】
この蓋部材12の内天井面12aと溝形成床材4の仕切り部8の上端との間には、一方の使用中の排水溝部3A内の排水の水位が設定水位に到達したとき、当該排水溝部3Aから仕切り部8の上部を通過して隣接する他方の未使用の排水溝部3Bへ排水をオーバーフローさせるための空隙Sが排水溝長手方向の全域に形成されている。
【0057】
〔第2実施形態〕
図11図12は、取付け基材5の溝幅方向の一側方に偏位した部位において、流入案内具7を溝長手方向での前後向きを変更操作可能な状態で脱着自在に保持する保持部10の別実施形態を示す。
【0058】
この保持部10は、流入案内具7の排出筒部7Bの外周面から外方に一体的に突出形成された板状の係合部10Aと、当該係合部10Aに対して溝長手方向から係合操作可能な係合溝10aを形成する状態で取付け基材5の溝幅方向一側方の偏位部位に設けた被係合部10Bとから構成されているとともに、この被係合部10Bに対して溝長手方向から係合操作された流入案内具7の係合部10Aを設定係合深さ位置に係止保持する位置規制部11が設けられている。
【0059】
被係合部10Bは、取付け基材5の溝幅方向一側方の偏位部位において互いに溝幅方向で相手側に向かって弧状に湾曲する状態で一体形成された一対の被係合側壁部10Ba,10Bbから構成され、この一対の被係合側壁部10Ba,10Bbは、互いに溝幅方向で離間する側に撓み変形可能に構成されている。
【0060】
位置規制部11を構成するに、取付け基材5の係合溝10aの底面における溝長手方向両端部の中央位置に係合凹部11eを形成するとともに、流入案内具7の係合部10Aの底面には、当該係合部10Aが取付け基材5の係合溝10aの設定係合深さ位置にまで溝長手方向から係合操作されたとき、取付け基材5の両係合凹部11eに係合する係合凸部11fを突出形成してある。
【0061】
流入案内具7の係合部10Aを取付け基材5の係合溝10aに係合する際、この係合部10Aの底面に係合凸部11fが存在していても、流入案内具7の係合部10A又は被係合部10Bの被係合側壁部10Ba,10Bb若しくはこれら両者の撓み変形で係合操作することができる。
【0062】
〔第3実施形態〕
図13は、溝形成床材4の両排水溝部3A、3Bに対して流入案内具7の排水位置を溝幅方向に変更する排水位置変更手段Aの別実施形態を示し、これは、取付け基材5の上面における各排水溝部3A、3Bの幅方向中間位置に対応する部位に、流入案内具7の排出筒部7Bを前下がり傾斜の横向き姿勢で選択的に載置支持する半円筒状の装着凹部15が形成され、各装着凹部15には、流入案内具7の排出筒部7Bの外周面から下方に一体的に突出形成された係合突起(係合部の一例)16が選択的に係合可能な係合孔(被係合部の一例)17を形成して構成されている。
【0063】
この実施形態では、溝形成床材4の他方の排水溝部3Aに使用変更する場合でも、取付け基材5の向き姿勢を変更することなく、流入案内具7の係合突起16を取付け基材5の他方の装着凹部15に形成されている係合孔17に挿し替えるだけで済む。
【0064】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0065】
〔第4実施形態〕
図14図15は、溝形成床材4の両排水溝部3A、3Bに対して流入案内具7の排水位置を溝幅方向で変更する排水位置変更手段Aの別実施形態を示し、これは、取付け基材5の上面に溝幅方向に沿うガイドレール(係合部の一例)19を一体形成するとともに、流入案内具7の排出筒部7Bには、当該排出筒部7Bが前下がり傾斜の横向き姿勢にある状態でガイドレール19にスライド移動自在に嵌合する摺動嵌合溝部(被係合部の一例)20を形成して構成されている。
【0066】
流入案内具7を溝幅方向にスライド操作して排水位置を変更する際、取付け基材5のガイドレール19と流入案内具7の摺動嵌合溝部20との間に存在する隙間(融通)により、両排水溝部3A、3Bを区画形成する仕切り部8を乗り越え移動可能な後退姿勢に変更可能に構成されている。
【0067】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0068】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の実施形態では、溝形成床材4の両排水溝部3A、3Bを左右対称形に構成して、両排水溝部3A、3Bの排水能力を同一に構成したが、一方の排水溝部3Aの排水能力を他方の排水溝部3Bの排水能力よりも小又は大に構成してもよい。
【0069】
(2)上述の実施形態では、溝形成床材4の仕切り部8を、排水溝3の底面4aにおける両排水溝部3A、3Bの境界部位での高さがオーバーフロー水位と同じ位置になる状態で当該排水溝3の底面4a全体を山形状に形成することにより構成したが、この溝形成床材4の仕切り部8を、両排水溝部3A、3Bの水平な底面4aの境界相当部位から立設される仕切り板から構成してもよい。
【0070】
(3)上述の実施形態では、取付け基材5に、溝形成床材4の両排水溝部3A、3Bの一方に流入した排水が上流側から外部に漏洩することを阻止する堰部9を一体形成したが、この堰部を取付け基材5とは別体に構成してもよい。
【0071】
(4)上述の実施形態では、仕切り部8の上端の高さを溝形成床材4の両側壁部4Aの上端の高さよりも少し低く形成して、一方の使用中の排水溝部3A内の排水の水位が設定水位に到達したとき、この使用中の排水溝部3Aから仕切り部8の上端を通過して隣接する他方の排水溝部3Bへ排水をオーバーフローさせる構成にしたが、仕切り部8の上端の高さを溝形成床材4の両側壁部4Aの上端の高さと同一に形成してオーバーフローさせない構成にしてもよい。
【0072】
(5)上述の実施形態では、一方の排水溝部3Aの底面部と他方の排水溝部3Bの底面部とを幅方向一端側部位が最低位となる傾斜面に形成したが、両排水溝部3A,3Bの各底面部をそれの幅方向中間部位が最低位となるV字状の傾斜面に形成してもよい。
さらに、両排水溝部3A、3Bの底面部の一方だけを、幅方向一端側部位又は幅方向中間部位が最低位となる傾斜面に形成してもよい。
【0073】
(6)上述の第1実施形態では、溝形成床材4の排水溝3を上方に開口させる実施形態と、取付け基材5及び流入案内具7の装着領域を除く排水溝3の開口部を蓋部材12で閉止する実施形態について説明したが、この実施形態に限定されるものではなく、例えば、溝形成床材4のうち、取付け基材5及び流入案内具7の装着領域を除く部分を筒状に一体形成して実施してもよい。
【0074】
(7)上述の実施形態では、溝形成床材4の排水溝3を幅方向で二つの排水溝部3A,3Bに区画形成したが、この排水溝3を幅方向で三つ以上の排水溝部に区画形成してもよい。
【0075】
(8)排水位置変更手段Aとしては上述の実施形態のものに限定されるものではなく、例えば、溝形成床材4に対して流入案内具7の排水位置をネジ機構で溝幅方向に変更するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上説明したように、排水性能の向上と夾雑物の堆積抑制及び溝形成床材の溝掃除の容易化とを図ることができるとともに、溝形成床材の取付け位置と排水管の取付け位置とが溝幅方向で位置ずれしている場合の対応も容易に行うことのできるドレイン排水処理装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0077】
A 排水位置変更手段
3 排水溝
3A 排水溝部
3B 排水溝部
4 溝形成床材
4A 側壁部
4h 被嵌合部
5 取付け基材
5b 嵌合部
6 排水管
7 流入案内具
8 仕切り部
9 堰部
10 保持部
10A 嵌合部
10B 被嵌合部
11 位置規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図14
図15