(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、前記複合スピーカよりも効率に優れ、製造コストを低くしたハイブリッドスピーカが要求されるようになってきた。
【0006】
本発明は、特許文献1に記載の複合スピーカよりも更に迫力のある高音と中低音とが得られ、且つ価格競争力のあるハイブリッドスピーカの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明はハイブリッドスピーカに関し、S極またはN極が同一側を向くように、所定の間隔で配列された第1の磁石と、前記第1の磁石よりも小さな体積を有すると共に、前記第1の磁石の間に、前記第1の磁石とは磁極が反対になるように1個または複数個接触配列された第2の磁石と、前記第1および第2の磁石が収容されると共に、前記第1の磁石との間に磁気回路を形成するヨークと、前記第1の磁石と前記第2の磁石との間、および前記第1の磁石と前記ヨークとの間の磁気回路と錯交するように配設されたボイスコイルと、前記ボイスコイルが一方の面に固定された振動板と、前記振動板におけるボイスコイルが固定された側の面の周縁部において前記振動板が固定されたフレームと、前記フレームにおける前記振動板が固定された側とは反対側の面において前記ヨークを前記フレームに対して弾性的に支持するヨーク支持部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
前記ハイブリッドスピーカにおいては、第1の磁石と、第1の磁石よりも体積の小さな第2の磁石とを磁極が反対になるように一列に配列した構成とすることにより、第1の磁石と第2の磁石とが同一の体積を有し、間隔をおいて配置した場合と比較して、第1の磁石と第2の磁石との間に生じる磁場が強くなる。
【0009】
したがって、同じ強さの音声電流をボイスコイルに流した場合には、振動板を駆動させる力がより大きくなる。
【0010】
また、ヨークは、フレームの振動板が固定された側とは反対側の面に弾性的に支持されているから、ボイスコイルに音声電流を流すと、振動板が振動するだけでなく、磁石とヨークも振動し、振動板とヨークとが逆位相の振動となる。振動板は、フレームの開口部に、ボイスコイルが収まるように配置され、フレームの開口部の外側でフレームに固定されている。したがって、フレーム開口部に相当する開口部を有するスピーカ基板にこのフレームを固定すると、振動板のフレーム開口部の内側部分は、フレーム開口部に相当する大きさの振動版として機能する。振動板におけるフレーム開口部よりも外側の部分は、スピーカ基板を振動させるアクチュエータとして機能する。したがって、高音は振動板から直接放射され、中低音は、振動板の振動に加えてヨークの振動がヨーク支持部材によって位相が反転され、フレーム、振動板を介して基板に伝達されるから、迫力のある高音と中低音とが得られる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のハイブリッドスピーカにおいて前記ヨーク支持部材が、一端がヨークに、他端がフレームに固定された板ばねであることを特徴とする。
【0012】
前記ハイブリッドスピーカにおいては、ヨーク支持部材が板ばねであるから、ヨーク支持部材のばね定数の設定が容易であり、性能も安定する。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のハイブリッドスピーカにおいて、前記板ばねが、一端において板ばね押え部材と前記ヨークの端部とで挟持されることによってヨークに固定されると共に、前記板ばね押え部材が、前記ヨークの端部から前記板ばねの他端部に向かって突出するように形成されていることを特徴とする。
【0014】
前記ハイブリッドスピーカにおいては、板ばね押え部材が、ヨークの端部から板ばねの他端部に向かって突出するように形成されているから、ヨークが振動板に近接する方向に動く場合と、振動板から離れる方向に動く場合とで板ばねの有効長さが変化し、ヨークが振動版に近接する方向に動く場合には、板バネの有効長さが短くなり、板バネの変形が抑制される。
【0015】
これにより、大きな音声信号がボイスコイルに入力された場合においても、磁石がボイスコイルに当って異音が発生することが防止される。また、ボイスコイルと第1および第2の磁石との間のエアギャップをより小さくできるから、同一の大きさの音声信号が入力された場合においてより大きな音圧が得られる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載のハイブリッドスピーカにおいて、前記振動板が 中心点を原点とするxy座標上において下記の式:
r
i=|x|
i+|y|
i
(rは半径、iは5〜7の整数である。)
で表される高次数曲線形の平面形状を有することを特徴とする。
【0017】
前記ハイブリッドスピーカにおいては、振動板は、5〜7次曲線状の輪郭を有するセミスタジアム状の平面形状を有するから、振動板および磁石によって加振されるとカオス性の強い不規則な振動をするので、縮退が存在せず、固有周波数分布はウィグナー分布に従う。
【0018】
したがって、振動板が上記平面形状以外の平面形状を有する場合と比較して中低音だけでなく高音も忠実に再生できるハイブリッドスピーカが提供される。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、ばねの性能が安定し、振動版側の面を基板に載置することによって、特許文献1に記載の複合スピーカよりも更に迫力のある高音と中低音とが得られるとともに、磁石の体積を減らせるので製造コストが安価なハイブリッドスピーカが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施形態1のハイブリッドスピーカの構成を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1のハイブリッドスピーカをヨークの側から見た平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1のハイブリッドスピーカを
図2における平面A−Aに沿って切断した断面を示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1のハイブリッドスピーカを振動板の側から見た平面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1のハイブリッドスピーカにおいて第1および第2の磁石のヨーク内部における配列の一例について下方から見た平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態1のハイブリッドスピーカにおいて第1および第2の磁石がヨーク内部における配列の他の例について下方から見た平面図である。
【
図7】
図7は、実施形態2のハイブリッドスピーカの構成を示す分解斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態2のハイブリッドスピーカをヨークの側から見た平面図である。
【
図9】
図9は、実施形態2のハイブリッドスピーカを
図2における平面A−Aに沿って切断した断面を示す断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態2のハイブリッドスピーカを振動板の側から見た平面図である。
【
図11】
図11は、実施形態2のハイブリッドスピーカにおいて第1および第2の磁石のヨーク内部における配列の一例について下方から見た平面図である。
【
図12】
図12は、実施形態2のハイブリッドスピーカにおいて第1および第2の磁石がヨーク内部における配列の他の例について下方から見た平面図である。
【
図13】
図13は、実施形態3のハイブリッドスピーカを長手方向に沿った平面で切断した断面を示す断面図である。
【
図14】
図14は、実施形態3のハイブリッドスピーカの別の例を示す断面図である。
【
図15】
図15は、第1の磁石の間に、第1の磁石と同一の体積(同一の厚みおよび面積)を有する第2の磁石を配列したA方式の磁石配列を示す説明図である。
【
図16】
図16は、第1の磁石の間に、第1の磁石よりも体積の小さな第2の磁石を1個配列したB方式の磁石配列を示す説明図である。
【
図17】
図17は、第1の磁石の間に、第1の磁石よりも体積の小さな第2の磁石を2個配列したC方式の磁石配列を示す説明図である。
【
図18】
図18は、A方式、B方式、およびC方式の磁石配列の夫々における
図15〜
図17におけるX部分の水平磁力を示すグラフである。
【
図19】
図19は、A方式、B方式、およびC方式の磁石配列の夫々における
図15〜
図17におけるY部分の水平磁力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.実施形態1
以下、本発明のハイブリッドスピーカの一例について図面を参照して詳細に説明する。
<構成>
実施形態1のハイブリッドスピーカ100は、
図1〜
図5に示すように、等間隔で一直線上に配列された4個の第1の磁石1と、第1の磁石1よりも小さな体積を有し、第1の磁石1の間に一直線上に2個ずつ配列された第2の磁石2とを有する。第1の磁石1および第2の磁石2は、樋状のヨーク4の内部に収容されているとともに、第1の磁石1と第2の磁石2との間、および第1の磁石1とヨーク4との間に磁気回路を形成する。また、前記磁気回路と錯交するように4個のボイスコイル3が配設されているとともに、この4個のボイスコイル3は、振動板6の一方の面に固定されている。振動板6は、ボイスコイル3が固定された側の面の周縁部においてフレーム5に固定されているとともに、ヨーク4は、フレーム5における振動板6が固定された側とは反対側の面において、ヨーク支持部材としての板ばね7によって、フレーム5に対して弾性的に支持されている。
【0022】
図1〜
図3、および
図5、
図6に示すように、ヨーク4は、強磁性体で形成されているとともに、第1の磁石1および第2の磁石2の配列方向に沿って延在する樋状の部材である。そして、ヨーク4は、開口部が
図1における下方を向くように、言い換えれば開口部が振動板6に対向するように、更に言い換えれば底面が
図1における上方を向くようにフレーム5に支持されている。
【0023】
図5に示すように、ヨーク4内部においては、第1の磁石1と第2の磁石2とは、第2の磁石2が第1の磁石1を間に挟むように、1個の第1の磁石1に対して2個ずつ配列されているとともに、第1の磁石1はS極が下方を向き、第2の磁石2はN極が下方を向くように配列されている。したがって、ヨーク4がフレーム5に支持された状態において、第1の磁石1のS極がボイスコイル3に相対向する。なお、第2の磁石2を、第1の磁石1を挟むように2個配列する代わりに、
図6に示すように第1の磁石1の間に第2の磁石2を1個ずつ配列してもよい。
【0024】
また、第1の磁石1の体積と第2の磁石2の体積とは、第1の磁石1の体積をVとし、第2の磁石2の体積をvとすると、1/2≧v/V≧1/5の関係にあることが好ましい。したがって、たとえば、第1の磁石1の縦×横×厚さが10mm×10mm×3mmの場合、第2の磁石2の縦×横×厚さは5mm×5mm×3mm程度が好ましい。なお、
図6に示すように、第1の磁石1の間に第2の磁石2を1個ずつ配列する場合は、第2の磁石2の縦×横×厚さは5mm×10mm×3mm程度が好ましい。
【0025】
図1〜
図3に示すように、フレーム5には、ヨーク4を収容するための長方形状の開口部5Aが第1の磁石1および第1の磁石2の配列方向に沿って形成されている。開口部5Aの両側縁部は上方に屈曲されて屈曲部5Bとされている。屈曲部5Bは、フレーム5の剛性を高める機能を有する。一方、振動板6は、フレーム5の下側の面に、ボイスコイル3がフレーム5の開口部5Aの内側に位置するように固定されている。なお、振動板6のフレーム5の下面への固定は接着によってもよく、また、両面粘着テープによってもよい。
【0026】
フレーム5の上側の面における短辺中央部にはサスペンションブロック16が螺子14によって固定されている。板ばね7は、一端部においてヨーク4の端部に固定され、他端部においてサスペンションブロック16に固定されている。板ばね7の他端部は、スペーサ11と板ばね押え部材10とで挟持された状態で、螺子12によってサスペンションブロック16の上面に固定されている。なお
図2において、15は、ボイスコイル3に音声信号を入力するためのリード線である。
【0027】
振動板6は、
図4に示すようにフレーム5の平面形状とほぼ同一の平面形状とされ、フレーム5の下面全体を覆う形態とする方がよい。この場合、振動板6およびフレーム5の平面形状は、中心点を原点とするxy座標上において下記の式:
r
i=|x|
i+|y|
i
(rは半径、iは5〜7の整数である。)
で表される高次数曲線形であれば、振動板6およびフレーム5の平面形状が5〜7次の高次数曲線形でない場合と比較して中低音と同様に高音も忠実に再生できるから好ましい。
【0028】
<作用>
以下、ハイブリッドスピーカ100の作用について説明する。
前述のように、ヨーク4の内部には、第1の磁石1のS極と第2の磁石2のN極とが振動板6に相対向するように配列されているから、第1の磁石1から第2の磁石2に向かって磁力線が発生する。また、第1の磁石1とヨーク4との間にも磁力線が発生する。
【0029】
ここで、ボイスコイル3は第1の磁石1に相対向するように振動板6における上側の面に固定されているから、ボイスコイル3の巻線は、第1の磁石1と第2の磁石2との間の磁力線、および第1の磁石1とヨーク4との間の磁力線と錯交する。
【0030】
したがって、ボイスコイル3に音声信号を入力すると、ボイスコイル3に変動磁界が発生し、この変動磁界が、第1の磁石1から第2の磁石2に向かう磁力線、および第1の磁石1とヨーク4との間の磁力線と相互作用して振動板6が振動する。
【0031】
ここで、第1の磁石1と第1の磁石1よりも体積の小さな第2の磁石2とが一直線上に配列されているとともに、第2の磁石2は第1の磁石1の間に1個または2個配列されているから、第1の磁石1と第2の磁石2との間には、第1の磁石1と第2の磁石2とが同一の体積で間隔をあけて配置される場合と比較してより強い磁力線が発生する。
【0032】
ヨーク4の内部に、第1の磁石の間に、第1の磁石1と同一の厚みおよび面積、即ち同一の体積を有する第2の磁石2を配列した
図15に示すA方式の磁石配列、ヨーク4の内部に、第1の磁石1の間に、第1の磁石1よりも体積の小さな第2の磁石2を1個配列した
図16に示すB方式の磁石配列、およびヨーク4の内部に、第1の磁石1の間に、第1の磁石1よりも体積の小さな第2の磁石2を2個配列した
図17に示すC方式の磁石配列の夫々について、第1の磁石1とヨーク4との間(x部分)および第1の磁石1と第2の磁石2との間(y部分)の水平磁力を測定した結果を
図18および
図19に示す。ここで、
図18および
図19において、縦軸はx部分およびy部分の水平磁力を、横軸は第1の磁石1の中心からの距離(mm)を示す。
【0033】
図18および
図19から、第1の磁石1とヨーク4との間の水平磁力、および第1の磁石1と第2の磁石2との間の水平磁力の何れも、B方式およびC方式の磁石配列が、A方式の磁石配列よりも高い値を示すことが判る。また、第1の磁石1の端部の磁力の低下も見られない。特に、
図19に示すように、第1の磁石1と第2の磁石2との間の水平磁力(y部分)は、B方式およびC方式の磁石配列においては、A方式の磁石配列の1.5倍に達する。
【0034】
したがって、ハイブリッドスピーカ100においては、同一の大きさの音声信号をボイスコイル3に入力した場合においては、第1の磁石1と第2の磁石2とが同一の体積を有する場合と比較して、磁石の体積を大幅に減じたにも拘らず、振動板6がより大きな振幅で振動する。
【0035】
なお、
図18および
図19において、B方式の磁石配列とC方式の磁石配列とを比較すると、X方向およびY方向の何れの水平磁力もB方式の磁石配列の方が高い。また、B方式の磁石配列の方が、C方式の磁石配列と比較して第1の磁石1および第2の磁石2の配列をより簡略化できる。
【0036】
ボイスコイル3に音声信号を入力すると、振動板6が振動するだけでなく、磁石とヨーク4も振動板6とは逆の位相で振動する。一方、ヨーク4は両端に固定された板ばね7およびサスペンションブロック16を介してフレーム5に弾性的に支持されているから、ヨーク4の振動の位相は回転され、振動板6の振動の位相と同相でフレーム5を振動させる。
【0037】
したがって、フレーム5における振動板6を固定した側の面を、フレーム5の開口部5Aに対応した開口部を有する基板上に載置すると、高音は振動板6から直接に、中低音は振動板6の振動とフレーム5を介して基板に伝達された振動との相乗効果で基板に伝達されるから、より迫力のある高音および中低音が得られる。
【0038】
なお、基板としては、繊維質の材料を板状に成形した繊維質成形板、木材の板、金属板、プラスチック板、発泡プラスチック板、およびそれらの複合材料などが使用できる。
【0039】
2.実施形態2
以下、本発明のハイブリッドスピーカの他の例について説明する。
<構成>
図7〜
図11に示すように、実施形態2のハイブリッドスピーカ102は、交互に配置された第1の磁石1と第2の磁石とを内部に収容する樋状のヨーク4と、ボイスコイル3が一方の面に固定された振動板6と、振動版6が、ボイスコイル3の固定された側の面における周縁部において固定されているとともに、ヨーク4が板ばね7を介して弾性的に支持されているフレーム5、とを備える点で実施形態1のハイブリッドスピーカと共通である。
【0040】
図7に示すように、ヨーク4は、強磁性体から形成された樋状の部材であって、開口部が
図7における下方を向くように、言い換えれば開口部が振動板6に対向するように、両端部において、板ばね7を介して板ばね取付部5Cおよび板ばね取付部5Dにおいてフレーム5に取り付けられている。
【0041】
図7および
図11に示すように、ヨーク4内部には、第1の磁石1と第2の磁石2とが互に密着するように、且つ交互に配列されている。第1の磁石1と第2の磁石とが交互に配列された磁石列の両端には、非磁性体からなる位置決め部材9が配置されている。したがって、
図7〜
図11に示す例では、第1の磁石1はS極が下方を向き、言い換えればヨーク4の開口部側を向き、第2の磁石2はN極が下方を向き、言い換えればヨーク4の開口部側を向くように配列されている。したがって、ヨーク4がフレーム5に支持された状態において、第1の磁石1のS極がボイスコイル3に相対向する。なお、
図7〜
図11に示す例では、第1の磁石1が4個、第2の磁石が3個配列されているが、第1の磁石1および第2の磁石2の個数は、
図7〜
図11に示す個数には限定されない。また、第2の磁石2を第1の磁石1の間に1個ずつ配列する代わりに、
図12に示すように第1の磁石1の間に第2の磁石2を2個ずつ配列してもよい。但し、
図12に示すように、第1の磁石1の間に第2の磁石2を2個ずつ配列する場合には、第1の磁石1の両側に第2の磁石2を密着させて配置することが好ましい。
【0042】
第1の磁石1の体積と第2の磁石2の体積とは、第1の磁石1の体積をVとし、第2の磁石2の体積をvとすると、1/2≧v/V≧1/5の関係にあることが好ましい。したがって、
図7及び
図11に示すように、2個の第1の磁石1の間に1個の第2の磁石2が挟まれるような配列の場合には、第2の磁石2は、磁石列の長手方向に沿った寸法および厚さが第1の磁石1と等しく、幅方向、即ち磁石列の長手方向に直交する方向の寸法が第1の磁石よりも小さな寸法とされていることが好ましい。したがって、たとえば、第1の磁石1の縦×横×厚さが10mm×10mm×3mmの場合、第2の磁石2の縦×横×厚さは5mm×10mm×3mm程度が好ましい。
【0043】
なお、
図12に示すように、第1の磁石1の間に第2の磁石2を2個ずつ配列する場合は、たとえば、第1の磁石1の縦×横×厚さが10mm×10mm×3mmの場合、第2の磁石2の縦×横×厚さは5mm×5mm×3mm程度が好ましい。
【0044】
図7〜
図9に示すように、フレーム5は全体として各頂点が丸められた略長方形状の平面形状を有し、中心部には、ヨーク4を収容するための長方形状の開口部5Aが形成されているとともに、開口部5Aの両側縁部は上方に屈曲されて屈曲部5Bとされている。一方、フレーム5の上側の面における短辺中央部には、板ばね取付部5C、板ばね取付部5Dが形成されている。なお、フレーム5の各辺は直線状である必要は必ずしもなく、外側に向かって膨出した曲線状であってもよい。
【0045】
振動板6は、フレーム5における屈曲部5B、板ばね取付部5C、および板ばね取付部5Dが形成された側とは反対側の面、即ち下側の面に、ボイスコイル3がフレーム5の開口部5Aの内側に位置するように固定されている。なお、振動板6のフレーム5の下面への固定は接着によってもよく、また、両面粘着テープによってもよい。
【0046】
図7〜
図9に示すように、板ばね7の一端部は、ヨーク4の端部と板ばね押え部材8とによって挟持された状態でリベット17によって固定されている。一方、板ばね7の他端部は、板ばね取付部5C、5Dと板ばね押え部材10とで挟持された状態でリベット12によって板ばね取付部5C、5Dの上面に固定されている。なお、板ばね取付部5Dには、ボイスコイル3に音声信号を入力するためのリード線15が引っ張りによって抜け落ちるのを防止するケーブルブッシュ19が嵌合、固定されている。ケーブルブッシュ19はプラスチックや合成ゴムなどの非磁性体からなる。また、フレーム5の上面には、リード線15とボイスコイル3とを接続するフレキシブル基板18が設けられている。
【0047】
振動版6については、実施形態1のところで説明したとおりである。
【0048】
<作用>
ヨークの内部に第1の磁石1および第2の磁石2を配置したことによる磁力増強効果については実施形態1の「<作用>」の欄で説明したとおりである。
【0049】
ハイブリッドスピーカ102において、ボイスコイル3に音声信号を入力すると、振動板6が振動するだけでなく、磁石とヨーク4も振動板6とは逆の位相で振動する。一方、ヨーク4は両端に固定された板ばね7を介してフレーム5の板ばね取付部5Cおよび板ばね取付部5Dに弾性的に支持されているから、ヨーク4の振動の位相は回転され、振動板6の振動の位相と同相でフレーム5を振動させる。
【0050】
したがって、フレーム5における振動板6を固定した側の面を、フレーム5の開口部5Aに対応した開口部を有する基板上に載置すると、高音は振動板6から直接に、中低音は振動板6の振動とフレーム5を介して基板に伝達された振動との相乗効果で基板に伝達されるから、より迫力のある高音および中低音が得られる。
【0051】
基板としては、実施形態1のハイブリッドスピーカ100と同様、繊維質の材料を板状に成形した繊維質成形板、木材の板、金属板、プラスチック板、発泡プラスチック板、およびそれらの複合材料などが使用できる。
【0052】
また、実施形態2のハイブリッドスピーカ102においては、板ばね7の一端部のヨーク4への固定をねじ13ではなく、リベット17で行っている。また、板ばね7の他端部の固定もねじ12による代わりに、フレーム5に形成した板ばね取付部5C,5Dにリベット17で固定することにより行っている。したがって、長期間にわたる使用後においても板ばね7とヨーク4およびフレーム5との間に弛みが生じることが防止される。
【0053】
3.実施形態3
以下、本発明のハイブリッドスピーカの更に別の例について
図13を参照して説明する。
図13における符号のうち、
図1〜
図6と同一のものは、特に断らない限り、前記符号が
図1〜
図6において示すのと同様の構成要素を示す。
【0054】
図13に示すように、実施形態3に係るハイブリッドスピーカ104においては、板ばね7の一端をヨーク4との間で挟持する側の板ばね押え部材8が、ヨーク4の端部から、板ばね7の他端側、言い換えればサスペンションブロック16を介してフレーム5に固定される側の端部に向かって突出した構成とされている。
【0055】
なお、
図13に示すように、板ばね7の他端部を、サスペンションブロック16と板ばね押え部材10とで挟持された状態でねじ12で固定した構成とする代わりに、
図14に示すように、フレーム5の上面に板ばね固定部5Cおよび板ばね固定部5Dを形成し、板ばね7の他端部を、板ばね抑え部材10と板ばね固定部5C、板ばね固定部5Dとで挟持された状態でリベット17で固定した構成としてもよい。
【0056】
図13及び
図14に示すように、実施形態3に係るハイブリッドスピーカ104においては、板ばね抑え部材8がヨーク4の端部から板ばね7の他端部に向かって突出した構成とされている。したがって、ヨーク4が
図13および
図14における上方へ移動する方向の板ばねの変形は板ばね押え部材8で妨げられることはないが、ヨーク4が振動板6に近接する方向においては板ばね7の変形は、板ばね押え部材8によって抑制される。
【0057】
これにより、大きな音声信号がボイスコイル3に入力された場合においても、磁石がボイスコイル3に当って異音が発生することが防止される。また、ボイスコイル3と第1の磁石1および第2の磁石2との間のエアギャップをより小さくできるから、同一の大きさの音声信号が入力された場合においてより大きな音圧が得られる。