特許第6188418号(P6188418)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6188418偶発イベント削減方法、偶発イベント削減装置及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188418
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】偶発イベント削減方法、偶発イベント削減装置及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   G01T1/161 A
   G01T1/161 C
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-103728(P2013-103728)
(22)【出願日】2013年5月16日
(65)【公開番号】特開2013-238603(P2013-238603A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2016年2月22日
(31)【優先権主張番号】13/472,533
(32)【優先日】2012年5月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェンリー・ワン
(72)【発明者】
【氏名】シャオフォン ニュウ
【審査官】 原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0106154(US,A1)
【文献】 特表2009−519437(JP,A)
【文献】 特開2001−356172(JP,A)
【文献】 特表2009−522582(JP,A)
【文献】 米国特許第07737405(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/161−1/166
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)で得られるリストモードデータ内の偶発イベントを削減する偶発イベント削減方法であって、
所与の再構成用の有効視野(Field-Of-View:FOV)を有するPETスキャナについて、複数のエントリを含み、各エントリが飛行時間(Time-Of-Flight:TOF)の情報を含むプロンプトリストモード計数データをPETスキャナが取得する取得ステップと、
前記再構成用のFOVに対するTOFマスクであって、前記再構成用のFOVを接線方向に伸ばすことで設定される接線方向のTOFマスクの外側に存在する放射点を表すエントリを、前記取得ステップにより取得された前記プロンプトリストモード計数データから削除することで、当該プロンプトリストモード計数データをPETスキャナがフィルタ処理するフィルタステップと、
を含む、偶発イベント削減方法。
【請求項2】
前記接線方向のTOFマスクは、前記エントリにより表される応答線上で放射点が存在する位置の確率分布であり、前記PETスキャナの時間分解能により定まる確率分布と、に基づいて前記再構成用のFOVを接線方向に伸ばすことで設定される、請求項1に記載の偶発イベント削減方法。
【請求項3】
前記フィルタステップは、「t」及び「t」それぞれを、前記エントリに含まれる「イベントa」及び「イベントb」それぞれの到達時間とし、「c/2」を、時間を距離に変換するための変換係数とし、「θ」を、前記エントリにより表される応答線の横断面に対する軸方向の傾斜角とし、「d」を、前記再構成用のFOVの直径とし、「s」を、前記エントリにより表される前記応答線の径方向の値とし、「σTOF」を、空間領域に変換した前記PETスキャナの時間分解能の標準偏差とし、「n」を、予め設定された値とした場合、前記接線方向のTOFマスクを表す以下の式(1)の不等式を満たさないエントリを削除する、請求項1に記載の偶発イベント削減方法。
【数1】
【請求項4】
PETスキャナが前記フィルタ処理されたリストモード計数データで再構成を実行する再構成ステップ
を更に含む、請求項1に記載の偶発イベント削減方法。
【請求項5】
前記取得ステップは、更に、複数のエントリを含み、各エントリが飛行時間の情報を含む遅延リストモード計数データを取得し、
前記フィルタステップは、更に、前記接線方向のTOFマスクの外側に存在する放射点を表すエントリを、前記取得ステップにより取得された前記遅延リストモード計数データから削除することで、当該遅延リストモード計数データをフィルタ処理する、請求項1に記載の偶発イベント削減方法。
【請求項6】
ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)で得られるリストモードデータの偶発イベントを削減する偶発イベント削減方法であって、
所与の再構成用の有効視野(Field-Of-View:FOV)を有するPETスキャナについて、複数のエントリを含み、各エントリが飛行時間(Time-Of-Flight:TOF)の情報を含む遅延リストモード計数データをPETスキャナが取得する取得ステップと、
前記再構成用のFOVに対するTOFマスクであって、前記再構成用のFOVを接線方向に伸ばすことで設定される接線方向のTOFマスクの外側に存在する放射点を表すエントリを、前記取得ステップにより取得された前記遅延リストモード計数データから削除することで、当該遅延リストモード計数データをPETスキャナがフィルタ処理するフィルタステップと、
を含む、偶発イベント削減方法。
【請求項7】
ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)で得られるリストモードデータ内の偶発イベントを削減する偶発イベント削減装置であって、
所与の再構成用の有効視野(Field-Of-View:FOV)を有するPETスキャナについて、複数のエントリを含み、各エントリが飛行時間(Time-Of-Flight:TOF)の情報を含むプロンプトリストモード計数データを記憶するメモリと、
前記再構成用のFOVに対するTOFマスクであって、前記再構成用のFOVを接線方向に伸ばすことで設定される接線方向のTOFマスクの外側に存在する放射点を表すエントリを、前記プロンプトリストモード計数データから削除することで、当該プロンプトリストモード計数データをフィルタ処理するプロセッサと、
を備える、偶発イベント削減装置。
【請求項8】
前記接線方向のTOFマスクは、前記エントリにより表される応答線上で放射点が存在する位置の確率分布であり、前記PETスキャナの時間分解能により定まる確率分布と、に基づいて設定される、請求項7に記載の偶発イベント削減装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、「t」及び「t」それぞれを、前記エントリに含まれる「イベントa」及び「イベントb」それぞれの到達時間とし、「c/2」を、時間を距離に変換するための変換係数とし、「θ」を、前記エントリにより表される応答線の横断面に対する軸方向の傾斜角とし、「d」を、前記再構成用のFOVの直径とし、「s」を、前記エントリにより表される前記応答線の径方向の値とし、「σTOF」を、空間領域に変換した前記PETスキャナの時間分解能の標準偏差とし、「n」を、予め設定された値とした場合、前記接線方向のTOFマスクを表す以下の式(2)の不等式を満たさないエントリを削除する、請求項7に記載の偶発イベント削減装置。
【数2】
【請求項10】
前記プロセッサは、前記フィルタ処理されたリストモード計数データで再構成を実行する、請求項7に記載の偶発イベント削減装置。
【請求項11】
前記メモリは、更に、複数のエントリを含み、各エントリが飛行時間の情報を含む遅延リストモード計数データを記憶し、
前記プロセッサは、更に、前記接線方向のTOFマスクの外側に存在する放射点を表すエントリを、取得された前記遅延リストモード計数データから削除することで、当該遅延リストモード計数データをフィルタ処理する、請求項7に記載の偶発イベント削減装置。
【請求項12】
ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)で得られるリストモードデータ内の偶発イベントを削減する偶発イベント削減装置であって、
所与の再構成用の有効視野(Field-Of-View:FOV)を有するPETスキャナについて、複数のエントリを含み、各エントリが飛行時間(Time-Of-Flight:TOF)の情報を含む遅延リストモード計数データを記憶するメモリと、
前記再構成用のFOVに対するTOFマスクであって、前記再構成用のFOVを接線方向に伸ばすことで設定される接線方向のTOFマスクの外側に存在する放射点を表すエントリを、前記遅延リストモード計数データから削除することで、当該遅延リストモード計数データをフィルタ処理するプロセッサと、
を備える、偶発イベント削減装置。
【請求項13】
プログラムを格納する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、
前記プログラムがプロセッサにより実行された場合、前記プロセッサは、
所与の再構成用の有効視野(Field-Of-View:FOV)を有するPETスキャナについて、複数のエントリを含み、各エントリが飛行時間(Time-Of-Flight:TOF)の情報を含むプロンプトリストモード計数データを取得する取得ステップと、
前記再構成用のFOVに対するTOFマスクであって、前記再構成用のFOVを接線方向に伸ばすことで設定される接線方向のTOFマスクの外側に存在する放射点を表すエントリを、前記取得ステップにより取得された前記プロンプトリストモード計数データから削除することで、当該プロンプトリストモード計数データをフィルタ処理するフィルタステップと、
を含む方法を実行する、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、偶発イベント削減方法、偶発イベント削減装置及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)は、ポジトロン(Positron)を放出する放射性医薬品が患者の身体に導入される核医学イメージングの1部門である。放射性医薬品が崩壊するにつれて、ポジトロンが発生する。具体的には、複数のポジトロンのそれぞれは、電子と反応し、対消滅イベント(annihilation event)として知られているイベントによって、ガンマ光子(gamma photon)のペア(pair)が同時に発生する。このガンマ光子は、同時計数線(line of coincidence)に沿って、略反対方向に進む。同時計数時間内に検出されたガンマ線のペアは、通常、PETスキャナにより、対消滅イベントとして記録される。
【0003】
飛行時間(Time-Of-Flight:TOF)を用いたTOFイメージングでは、同時計数対(coincident pair)の各ガンマ光子が検出される同時計数間隔(coincidence interval)の時間も測定される。飛行時間情報は、同時計数線に沿って検出されたイベントの対消滅位置を示す情報を提供する。複数の対消滅イベントから得られるデータは、一般的には、統計的(反復的)、又は、解析的な再構成アルゴリズムを用いて、スキャンされる被検体又は物体の画像の再構成や生成のために使用される。
【0004】
図1は、PETイメージング装置の幾何学的配置の一例を示す図である。図1は、放出されたポジトロンの横断座標(transaxial coordinate)及び軸座標(axial coordinate)と、3D検出器(3D detector)で測定された応答線(Line-Of-Response:LOR)とを示した図である。なお、応答線(LOR)は、上記の同時計数線と同義である。横断座標は、例えば、スキャナの軸方向や被検体の体軸方向に垂直な断面内で設定される座標であり、軸座標は、例えば、スキャナの軸方向や被検体の体軸方向に沿った断面内で設定される座標である。座標(x,y,z)又は(s,t,z)は、放出されたポジトロン「e」の画像座標を示す。また、座標(x,y,z)は、LORとして測定された一方のガンマ線を検出した検出器結晶「a」の位置を示し、座標(x,y,z)は、LORとして測定された他方のガンマ線を検出した検出器結晶「b」の位置を示す。測定されたLORの投影座標は、非TOFでは、「(s,φ,z、θ)、ここでz=(z+z)/2」で表すことができる。「φ」は、横断座標における線分abの傾斜角に対応し、「θ」は、軸座標における線分abの傾斜角に対応する。或いは、測定されたLORの投影座標は、TOF−LOR用のさらなる次元「t」を含んでもよい。「t」は、時間に対応する値であり、例えば、「t」は、同時計数時間内に「a」がガンマ光子を検出した時間に対応し、「t」は、同時計数時間内に「b」がガンマ光子を検出した時間に対応し、「t」は、同時計数時間内に「a」がガンマ光子を検出した時間と「b」がガンマ光子を検出した時間との時間差に対応する。「t」の情報を用いることで、測定されたLOR上における「e」の座標、すなわち、対消滅点の位置を推定することができる。
【0005】
PETでは、偶発同時計数(random coincidence)は、真の同時計数(true coincidence)の検出に使用される同時計数窓(coincidence window)の有限幅によって発生する。2つの無相関な単一イベント(single event)が、偶発的に同時計数窓内で検出された場合、それらは、誤って真の同時計数イベントとして識別されて、記録される可能性がある。偶発イベントの率は、以下の式(1)に示すように、各検出器の単一イベントの率と、同時計数窓のサイズとに比例する。なお、式(1)では、「Cij」は、i番目の検出器とj番目の検出器とを結ぶLORにおける偶発同時計数率(random coincidences count rate)を示し、「r」は、i番目の検出器における単一イベントの計数率を示し、「r」は、j番目の検出器における単一イベントの計数率を示し、「τ」は、同時計数窓のサイズ(coincidence window size)を示す。
【0006】
【数1】
【0007】
特に、3次元PET(3DPET)スキャナを用いる撮影や、高放射能濃度での撮影では、偶発同時計数は、記録されたプロンプト同時計数イベント(prompt coincidence event)の大部分を含む可能性がある。プロンプト同時計数イベントは、真の同時計数イベント、散乱(scatter)の同時計数イベント及び偶発同時計数イベントを含む。適切に補正されない場合、偶発同時計数イベントは、再構成画像に相当な量の誤差を導入する可能性がある。
【0008】
プロンプト同時計数イベント内の偶発イベントの量は、同時計数時間窓(coincidence timing window)と、同時計数を検出する2つの対向する結晶における単一イベントの計数率とによって決定される。同時計数時間窓は、収集される(再構成される)有効視野(Field-Of-View:FOV)のサイズと、スキャナの時間分解能(timing resolution)とによって設定される。PETスキャナの一般的なFOVは、3次元円筒形である。この3次元円筒形は、スキャナの横断面方向に中心をおく円形領域を底面とし、軸方向における長さがスキャナの軸方向における長さと同じである。従って、デフォルトでは、収集されるFOVは、横断面方向の円形領域における直径を引用する。PET全身イメージングの場合、FOVは、通常、576mm〜700mmである。時間分解能は、データ収集システムの結晶のタイプ、光学的光子検出器及びフロントエンド(front-end)のエレクトロニクス(electronics)に依存する。LYSO結晶の場合、典型的な時間分解能は、500ps〜650psである。関連する同時計数時間窓は、この場合、全身イメージングの場合4ns〜6nsである。FDG(Fluorodeoxyglucose:フルオロデオキシグルコース)を用いた全身撮影における偶発分画(偶発/プロンプト)は、被検体の軸方向部分の放射能濃度により、約30%〜50%となる。
【0009】
しかし、固定した同時計数窓方法では、プロンプト同時計数データに必然的に大量の偶発イベントが導入される。例えば、単一イベントの計数率が全ての結晶で同じとなる固定したファントム/被検体の場合、偶発の総量は、収集されるFOVの円形領域と、同時計数窓FOVのサイズとに正比例する。なお、同時計数窓FOVは、「2×150(mm/ns)×coinWin(ns)」として計算される。ただし、「coinWin」は、単位が「ns(ナノ秒)」の同時計数窓の長さである。
【0010】
偶発イベント数を減らすためにさまざまな方法が、提案されている。
【0011】
1つのアプローチでは、PETスキャナの最大の同時計数時間窓より小さい短時間窓を用いて、利用可能な全てのTOFビン(bin)より少ないTOFビンの中央サブセット(subset)だけに投影データの収集を制限する。短時間窓FOVは、画像化される対象物の関心領域が、実際の対象物より小さくなることを表わす。換言すると、このアプローチは、TOF情報から推定される対消滅点の位置が、再構成用のFOVの中央部となる同時計数情報のみを採用する方法である。また、短時間窓FOVは、例えば、高計数率なRb−82(Rubidium:ルビジウム−82)によるPET心臓イメージングに適用される場合、リストモードデータの転送速度を下げる可能性がある。この短時間窓を用いる方法は、短時間窓を極端に小さく設定した場合、偶発イベントの数を減らすだけでなく、真のイベントの数も減らしてしまう。
【0012】
もう一つのアプローチでは、個々の被検体のCT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)の形態学的情報を用いて同時計数時間窓を調整する。換言すると、このアプローチは、TOF情報とCT情報とを用いて、推定対消滅点が被検体の輪郭内に位置する同時計数情報のみを採用する方法である。ある応答線(Line-Of-Response:LOR)について、TOFビンの下界および上界は、被検体の身体と交差するLORの入口点及び出口点を探索することで、決定される。TOFマスキング(masking)の効果は、主に偶発である被検体の外側のイベントを排除する、被検体の境界線に沿ったサイノグラムのトリミングにある。しかし、タイミングの統計学的不確実性(すなわち、完璧でない時間分解能)が、考慮に入れられていないので、真の同時計数の約10〜15%が、このTOFマスキング手法で除去されてしまう。
【0013】
第3のアプローチでは、異なるリング差の関数としての可変同時計数窓を用いて偶発イベントを減らす。この方法は、軸方向に長いFOVとなるPETスキャナ、例えば、20cmを上回る軸方向FOVを有するPETスキャナに対してより適用可能である。
【0014】
他の偶発削減方法は、異なる対になった検出器モジュール間で調整可能な同時計数窓を用いる方法、サイノグラム径方向のビン位置を用いる方法との両方又は一方を含み、FOVの外側に位置するLORを除去する。これらの方法は、時間分解能を考慮に入れていないので、やはり真の同時計数イベントを減らすことも避けられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第7737405号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明が解決しようとする課題は、偶発イベントを削除することができる偶発イベント削減方法、偶発イベント削減装置及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
実施形態の偶発イベント削減方法は、ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)で得られるリストモードデータ内の偶発イベントを削減する方法であり、取得ステップと、フィルタステップとを含む。取得ステップは、所与の再構成用の有効視野(Field-Of-View:FOV)を有するPETスキャナについて、複数のエントリを含み、各エントリが飛行時間(Time-Of-Flight:TOF)の情報を含むプロンプトリストモード計数データをPETスキャナが取得する。フィルタステップは、前記再構成用のFOVに対するTOFマスクであって、前記再構成用のFOVを接線方向に伸ばすことで設定される接線方向のTOFマスクの外側に存在する放射点を表すエントリを、前記取得ステップにより取得された前記プロンプトリストモード計数データから削除することで、当該プロンプトリストモード計数データをPETスキャナがフィルタ処理する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、PETイメージング装置の幾何学的配置の一例を示す図である。
図2図2は、円筒における接線方向のTOFマスクを横断面及び矢状面で示す図である。
図3図3は、楕円筒における接線方向のTOFマスクを横断面及び矢状面で示す図である。
図4図4は、一実施形態に係るPETにおいて、偶発イベントをフィルタ処理する方法のフローチャートである。
図5図5は、一実施形態に係るPETシステムのハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、偶発イベント削減方法、偶発イベント削減装置及び非一時的コンピュータ可読記憶媒体の実施形態を詳細に説明する。本明細書に記載する実施形態とこれに付随する多くの利点は、以下の詳細な説明を参照し添付図面と関連付けて考えれば、より完全に理解できる。
【0020】
本明細書で開示する実施形態は、TOF分解能及び収集されるFOVの情報を利用するだけで、汎用的に、偶発イベントを削減する技術を対象としている。本実施形態では、収集されるFOV(再構成用のFOV)に貢献しない偶発同時計数イベントは、全て削除されるが、削除される偶発同時計数イベントは、真の同時計数イベントに影響を及ぼさない。
【0021】
一実施形態では、ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)で得られるリストモードデータ内の偶発イベントを削減する偶発イベント削減方法が提供される。該方法は、(1)所与の再構成用の有効視野(Field-Of-View:FOV)を有するPETスキャナについて、複数のエントリを含み、各エントリが飛行時間(Time-Of-Flight:TOF)の情報を含むプロンプトリストモード計数データ(又は、遅延リストモード計数データ)を取得する取得ステップと、(2)再構成用のFOVに対する接線方向のTOFマスクの外側に存在する放射点を表すエントリを、取得ステップにより取得されたプロンプトリストモード計数データ(又は、遅延リストモード計数データ)から削除することで、当該プロンプトリストモード計数データ(又は、遅延リストモード計数データ)をフィルタ処理するフィルタステップと、を含む。なお、プロンプトリストモード計数データは、同時計数用の時間窓を用いて同時計数された2つの計数情報(結晶位置、時間、エネルギー等)を1つのエントリとするリストである。プロンプトリストモード計数データには、真の同時計数情報とともに、散乱に由来する同時計数情報及び偶発同時計数情報が含まれる。また、遅延リストモード計数データは、一方のイベントの計数情報が含む時間に、同時計数用の時間窓より大きい時間を加算したうえで、同時計数用の時間窓を用いて同時計数とされた2つの計数情報を1つのエントリとするリストである。遅延リストモード計数データは、プロンプトリストモード計数データに含まれる偶発イベントを推定するために用いられる。
【0022】
一実施形態では、接線方向のTOFマスクは、PETスキャナの時間分解能により定まる「推定放射点が存在する位置の確率分布」に基づいて設定される。一実施形態では、フィルタステップは、接線方向のTOFマスクを表す以下の式(2)の不等式を満たさないエントリを削除する。
【0023】
【数2】
【0024】
ただし、「t」及び「t」それぞれは、エントリに含まれる「イベントa」及び「イベントb」それぞれの到達時間である。「c/2」は、時間を距離に変換するための変換係数(cは、光速)である。「θ」は、エントリにより表される応答線の横断面に対する軸方向の傾斜角である。「d」は、再構成用のFOVの直径である。「s」は、エントリにより表される応答線の径方向の値である。「σTOF」は、空間領域に変換したPETスキャナの時間分解能の標準偏差である。「n」は、予め設定された値であり、望ましくは、範囲「2、3」内の所定値であり、真のLORがマスクによって削除されない信頼区間を示す。
【0025】
更に、一実施形態では、上記の方法は、フィルタ処理されたリストモード計数データで再構成を実行する再構成ステップを更に含む。
【0026】
さて、図を参照すると、再構成FOVは、通常、横断面に一定の直径を有し、軸方向の長さが「スキャナの軸方向のFOVを網羅する」長さを有する円筒として設定される。従って、横断面では、円形のFOVは、2次元空間の座標系、例えば、図1に示すように、半径方向「s」と接線方向「t」との投影座標により定義することができる。
【0027】
空間的分解能は、投影の半径方向及び接線方向で劇的に異なる。半径方向の分解能は、スキャナの横断面の結晶サイズによって、決定される。半径方向の分解能のFWHM(Full Width at Half Maximum:半値全幅)は、通常、2〜4mmである(例えば、4mmの結晶ピッチが与えられる)。接線方向の分解能は、システムの時間分解能によって決定される。接線方向の分解能のFWHMは、空間領域に変換された場合、60〜90mmである(例えば、400〜600ps時間分解能が与えられる)。
【0028】
図2は、円筒における接線方向のTOFマスクを横断面及び矢状面で示す図である。一実施形態では、図2の陰影領域として示された接線方向のTOFマスクは、プロンプトデータにおける偶発イベントと、起こり得る散乱イベントの量を低減するために使用される。特に、上記の式(2)の不等式が満たされるとき、所与のLORb(図2に示す線AB)に対する真のデータは、フィルタによって保持されて削除されない。以下、上記の式(2)を再度記載する。
【0029】
【数2】
【0030】
ただし、「t」及び「t」それぞれは、エントリに含まれる「イベントa」及び「イベントb」それぞれの到達時間(ps:picosecond:ピコ秒)である。「c/2=0.15mm/ps」は、psをmmに変換するための変換係数である。「θ」は、応答線の横断面に対する軸方向の傾斜角である。「d」は、再構成FOVの直径である。「s」は、応答線と、再構成FOVの横断面における中心との径方向における距離である。「σTOF」は、空間領域に変換したPETスキャナの時間分解能の標準偏差である。「n」は、予め設定された値であり、望ましくは、範囲「2、3」内の所定値である。TOFマスクは、本質的に、再構成FOVシリンダーを±t次元に沿ってσTOFだけ伸ばしている。TOFマスクは、再構成FOVシリンダーを、LORに平行なFOVの接線方向に沿って、「±nσTOF」だけ伸ばすこととなる。式(2)に示す項「{(d/4)−s1/2」は、直径dの円FOVと交差する線A’ B’の弦長の半分である。式(2)に示す項「(c/2)×|t−t|」は、放射点(対消滅点)からLORの中間点Oまでの距離、すなわち、セグメントOEの長さを表わす。
【0031】
なお、放射点は、LOR(線AB)上のどこでも良い。図2では、放射点が、TOFマスクの端にある場合を例示している。項「(c/2)×|t−t|×cosθ」は、単に横断面内のOEの投影である。
【0032】
ガウス分布の時間分解能の場合、「3σTOF=3*FWHMTOF/2.355」であり、450psのFWHMTOFに対して「3σTOF=86mm」となる。なお、「±3σTOF」は、99.7%の信頼区間を達成するのに用いられる。信頼区間を95.4%に減らした場合、「±2σTOF」が必要となり、より多くの偶発イベントと起こり得る散乱イベントとは、削除される。
【0033】
偶発分布は、(s、t)次元で均一であると仮定すると、任意のTOFマスクを使う前では、(s、t)次元の偶発イベントの数は、「d×2×150(mm/ns)×coinWin(ns)」に比例している。接線方向のTOFマスクを使った後では、(s、t)次元の偶発イベントの数は、「2nσTOFd+πd/4」に比例する。
【0034】
IEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)のファントムを用いた場合、偶発イベントの数は、接線方向のTOFマスクを用いることで、50%まで減らすことができ、同様に、TOF再構成を用いない場合でも、雑音等価計数率(noise-equivalent-count rate)は、12%まで増えたことが分かった。
【0035】
なお、TOFマスクは、更に、別の形状の再構成FOV、例えば、被検体の横断面により共形な再構成FOVに対しても、使用できる。
【0036】
図3は、楕円筒における接線方向のTOFマスクを横断面及び矢状面で示す図である。図3は、軸方向に均一に分布する楕円形状の横断面FOV、すなわち、3次元の楕円形円筒を示した図である。図3の(a)は、横断図であり、図3の(b)は、矢状図である。陰影のついたエリア(area)は、x軸に対して横断面回転角φを有するLORに対する楕円FOVのためのTOFマスクである。マスクは、楕円を±t次元に沿って3σTOFだけ伸ばすことによって生成される。なお、楕円等の非円形の再構成FOVの場合、TOFマスクの形状は、LORの横断面角φに依存する。
【0037】
図4は、一実施形態に係るPETにおいて、偶発イベントをフィルタ処理する方法のフローチャートである。図4は、本実施形態に係る方法を示したフローチャートである。ステップ400では、所与の再構成用の有効視野(FOV)を有するPETスキャナについて、複数のエントリを含み、TOF情報(飛行時間情報)を含むTOFプロンプトリストモード計数データ(プロンプトリストモード計数データ)を取得する。或いは、ステップ400では、所与の再構成用のFOVを有するPETスキャナについて、複数のエントリを含み、TOF情報を含むTOF遅延リストモード計数データ(遅延リストモード計数データ)を取得する。
【0038】
Non−TOFリストモードデータには、一般的に、同時計数イベントごとに以下のフォーマット、{x、z、x、z、e、e}がある。ここで、x及びxは、それぞれイベントa及びbが入射した結晶の横断面での番号であり、z及びzは、それぞれイベントa及びbが入射した結晶の軸方向での番号であり、e及びeは、それぞれイベントa及びbのエネルギレベルである。同様に、TOFリストモードデータには、フォーマット{x、z、x、z、e、e、tof}がある。ここで、tofは、イベントa及びbの到着時間差、すなわち、tof=t−tである。
【0039】
なお、遅延同時計数窓方法は、TOF遅延リストモードデータの生成に使用でき、また、本明細書で開示する偶発イベントフィルタ処理方法にも使用できる。このように、ステップ400では、遅延リストモードデータを得ることができる。
【0040】
ステップ410では、リストモードデータのエントリごとに径方向の距離s及び軸方向の傾斜角θを算出する。
【0041】
ステップ420では、フィルタ処理されたリストモード計数データを得るために、接線方向のTOFマスク(例えば、図2に示されたマスク)の外側に存在する放射点を表すエントリを、得られたプロンプトリストモード計数データから削除することで、得られたプロンプトリストモード計数データをフィルタ処理する。或いは、ステップ420では、フィルタ処理されたリストモード計数データを得るために、接線方向のTOFマスクの外側に存在する放射点を表すエントリを、得られた遅延リストモード計数データから削除することで、得られた遅延リストモード計数データをフィルタ処理する。
【0042】
すなわち、ステップ420では、フィルタ処理は、図4に示す不等式が満たされないエントリを削除することによって実行される。
【0043】
なお、上述したように、図4に示す不等式においても、「t」及び「t」それぞれは、エントリに含まれる「イベントa」及び「イベントb」それぞれの到達時間である。「c/2」は、時間を距離に変換するための変換係数である。「θ」は、エントリにより表される応答線の横断面に対する軸方向の傾斜角である。「d」は、再構成用のFOVの直径である。「s」は、エントリにより表される応答線の径方向の値である。「σTOF」は、空間領域に変換したPETスキャナの時間分解能の標準偏差である。「n」は、望ましくは、範囲「2、3」内の所定値である。
【0044】
ステップ430では、PET画像再構成が、フィルタ処理されたリストモード計数データで実行される。具体的には、プロンプトリストモード計数データを接線方向のTOFマスクによりフィルタ処理した場合、フィルタ処理後のプロンプトリストモード計数データを用いてPET画像が再構成される。フィルタ処理後のプロンプトリストモード計数データには、偶発イベントの同時計数情報が削除されていることから、かかるPET画像は、偶発イベントに起因するアーチファクトが低減された画像となる。
【0045】
或いは、遅延リストモード計数データを接線方向のTOFマスクによりフィルタ処理した場合、例えば、プロンプトリストモード計数データを用いて再構成された画像から、フィルタ処理後の遅延リストモード計数データを用いて再構成された画像を差分することで、最終的なPET画像を得る。すなわち、フィルタ処理前の遅延リストモード計数データは、フィルタ処理前の遅延リストモード計数データから、接線方向のTOFマスク以外の領域に推定対消滅点が位置するLORのエントリを削除したデータである。遅延リストモード計数データから削除されるエントリを「削除エントリ」と呼ぶと、削除エントリ以外のエントリは、偶発イベントに起因するアーチファクトを低減するために有効である。しかし、削除エントリを用いた場合、補正する必要の無い領域においても補正処理が行なわれるため、PET画像に他のアーチファクトが発生する場合がある。このように、遅延リストモード計数データを接線方向のTOFマスクによりフィルタ処理することで、偶発イベントを低減することができる。
【0046】
なお、本実施形態は、プロンプトリストモード計数データ及び遅延リストモード計数データの双方に対して、接線方向のTOFマスクを用いたフィルタ処理が行なわれても良い。フィルタ処理後のプロンプトリストモード計数データには、偶発イベントの同時計数情報が完全に削除されていない場合がある。そこで、例えば、フィルタ処理後のプロンプトリストモード計数データを用いて再構成された画像から、フィルタ処理後の遅延リストモード計数データを用いて再構成された画像を差分することで、偶発イベントに起因するアーチファクトが更に低減されたPET画像を得ることができる。
【0047】
図5は、一実施形態に係るPETシステムのハードウェア構成を示す図である。図5は、本実施形態で使用できるPETのハードウェア構成例を示す図である。図5では、光電子増倍管135及び140が、ライトガイド130の上に配列され、シンチレーション結晶105のアレイが、ライトガイド130の下に配列される。シンチレーション結晶125の第2のアレイは、シンチレーション結晶105に対向して配置され、その上にライトガイド115と光電子増倍管195及び110とが配列される。
【0048】
図5では、2つのガンマ線が、検査下の身体から放出されると、2つのガンマ線は、互いに略180°の反対方向に進む。個々のガンマ線の検出は、シンチレーション結晶100及び120において同時に起こる。ガンマ線が、所定の制限時間内にシンチレーション結晶100及び120において検出されたとき、シンチレーションイベントは、確定される。このように、ガンマ線タイミング検出システムは、2つのガンマ線をシンチレーション結晶100及び120において同時に検出する。しかし、以下では、簡単のために、シンチレーション結晶100におけるガンマ線検出について記述する。しかし、当業者には自明であるが、本明細書においてシンチレーション結晶100に対して与えられる説明は、シンチレーション結晶120におけるガンマ線検出にも同様に適用できる。
【0049】
各光電子増倍管110、135、140、195は、データ取得ユニット150にそれぞれ接続されている。データ取得ユニット150は、光電子増倍管からの信号を処理するように構成されたハードウェアを含む。データ取得ユニット150は、ガンマ線の到達時間を測定する。データ取得ユニット150は、システムクロック(図示せず)に対する識別パルスの時間を符号化する2つの出力(PMT(Photomultiplier Tube:光電子増倍管)135/140の組合せのための1つ、及び、PMT110/195の組合せのための1つ)を生成する。TOF−PETシステムの場合、データ取得ユニット150は、一般的に15〜25psの精度でタイムスタンプを生成する。データ取得ユニット150は、PMTごとの信号(データ取得ユニット150からの出力のうちの4つ)の振幅を測定する。
【0050】
データ取得ユニット150の出力は、中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)170に供給され処理される。処理工程には、データ取得ユニット150の出力からのエネルギ及び位置と、各イベントに対するタイムスタンプ出力からの到着時間との推定工程が含まれる。処理工程は、エネルギ、位置及び時間の推定の精度を改善するために、従来技術の較正に基づく多くの較正ステップを適用して含んでも良い。
【0051】
さらに、CPU170は、上述の図4に示したフローチャートに従って偶発イベントを推定するための方法を実行するように構成される。
【0052】
当業者には自明であるが、CPU170は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array:FPGA)、又は、他の複合プログラマブル論理回路(Complex Programmable Logic Device:CPLD)のような個別論理ゲートとして実装できる。FPGA又はCPLDの実装は、VHDL(VHSIC Hardware Description Language)、Verilog、又は、他の任意のハードウェア記述言語でコード化されると良い。コードは、直接、FPGA又はCPLD内に、或いは、個別の電子メモリとして電子メモリに格納されるとよい。更に、電子メモリは、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Electrically Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically erasable Programmable Read only Memory)、又は、フラッシュ(FLASH)メモリ等の不揮発性でも良い。電子メモリは、また、静的または動的のRAMなどの揮発性であっても良い。また、FPGA又はCPLDと電子メモリの間の対話のみならず電子メモリを管理するためにマイクロコントローラやマイクロプロセッサー等の処理装置を備えても良い。
【0053】
或いは、CPU170は、上記の電子メモリとハードディスク、CD、DVD、フラッシュドライブ等の既知の記憶媒体の両方または一方のいずれかに格納されている一連のコンピュータ可読命令として実装してもよい。更に、コンピュータ可読命令は、ユーティリティアプリケーション、バックグラウンドデーモン、またはオペレーティングシステムの構成要素、あるいはこれらの組み合わせとして提供され、米国Intel社製のXeonプロセッサ(登録商標)、又は、米国AMD社製のOpteronプロセッサ(登録商標)等の処理装置、及び、Microsoft VISTA(登録商標)、UNIX(登録商標)、Solaris(登録商標)、LINUX(登録商標)、及びApple MAC−OS(登録商標)等の当業者に知られているオペレーティングシステムと連動して実行される。
【0054】
一旦、CPU170で処理されると、処理された信号は、電子格納部180への格納、及び、表示部145での表示の両方または一方が行われる。当業者には自明であるが、電子格納部180は、ハードディスクドライブ、CD−ROMドライブ、DVDドライブ、フラッシュドライブ、RAM、ROM、又は、技術的に周知の任意の他の電子格納部(electronic storage)でも良い。表示部145は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)、ブラウン管ディスプレイ(cathod ray tube:CRT)、プラズマディスプレイ、有機発光ダイオード(organic light emitting diode:OLED)、発光ダイオード(LED)等の当技術分野で知られているディスプレイとして実装してもよい。このように、ここで説明した電子格納部180および表示部145の記載は例示にすぎず、決して本実施形態の進歩の範囲を制限するものではない。
【0055】
また、図5は、ガンマ線検出システムが、他の外部デバイス及びユーザーの両方又は一方と接続するためのインターフェース175も含む。例えば、インターフェース175は、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus:USB)インターフェース、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会(Personal Computer Memory Card International Association:PCMCIA)インターフェース、イーサネット(登録商標)インターフェース等の当技術分野で知られているインターフェースであって良い。また、インターフェース175は、有線又は無線であっても良く、キーボードとマウスの両方又は一方、等のユーザーと対話するためのヒューマンインターフェースデバイスを含んでよい。
【0056】
以上、説明したとおり本実施形態によれば、偶発イベントを削除することができる。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
110、135、140、195 光電子増倍管
145 表示部
150 データ取得ユニット
170 中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)
175 インターフェース
180 電子格納部
図1
図2
図3
図4
図5