(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188426
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】ホームコントロールシステム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-112943(P2013-112943)
(22)【出願日】2013年5月29日
(65)【公開番号】特開2014-232983(P2014-232983A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2016年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】橋本 直美
【審査官】
望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−225823(JP,A)
【文献】
特開2001−251312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所有者固有の識別情報を記録した電子鍵と、
建物の所定の領域に設けられ、前記電子鍵との通信により前記電子鍵から前記識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記建物内に設けられ、前記建物内の他の装置から制御が可能な設備機器と、
前記所有者の識別情報に前記所有者による前記設備機器の操作の許可又は禁止を対応付けた操作許可情報が記憶された記憶手段と、
前記識別情報取得手段が取得した前記識別情報を前記操作許可情報と照合し、前記識別情報に係る所有者による前記設備機器の操作の許可又は禁止をする制御手段と、
を備えたホームコントロールシステムであって、
前記制御手段は、前記識別情報取得手段が前記所定の領域で複数の識別情報を取得し、該取得した複数の識別情報を前記操作許可情報と照合した結果、少なくとも1の所有者に対して前記設備機器の操作を許可する場合には、前記所定の領域に存在する全所有者の前記設備機器の操作を可能にするホームコントロールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅に設けられている設備機器の動作を制御するホームコントロールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
子供又は高齢者による設備機器の操作を禁止することにより、設備機器の誤操作による事故等のトラブルを防止する技術がある。
【0003】
特許文献1では、家庭内ローカルエリアネットワーク(LAN)に接続され、相互に通信可能な通信機能を有した家電製品に対し、携帯電話機からの指示により動作ロックが可能なネットワーク家電が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−005267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、動作ロックされた家電製品を使用可能にするには手動で動作ロックを解除する必要があり、煩雑な操作を要するという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、個人を識別した結果に基づいて、当該個人による設備機器の操作を許可又は禁止するホームコントロールシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、所有者固有の識別情報を記録した電子鍵と、建物の所定の領域に設けられ、前記電子鍵との通信により前記電子鍵から前記識別情報を取得する識別情報取得手段と、前記建物内に設けられ、前記建物内の他の装置から制御が可能な設備機器と、前記所有者の識別情報に前記所有者による前記設備機器の操作の許可又は禁止を対応付けた操作許可情報が記憶された記憶手段と、前記識別情報取得手段が取得した前記識別情報を前記操作許可情報と照合し、前記識別情報に係る所有者による前記設備機器の操作の許可又は禁止をする制御手段と、を備えたホームコントロールシステム
であって、前記制御手段は、前記識別情報取得手段が前記所定の領域で複数の識別情報を取得し、該取得した複数の識別情報を前記操作許可情報と照合した結果、少なくとも1の所有者に対して前記設備機器の操作を許可する場合には、前記所定の領域に存在する全所有者の前記設備機器の操作を可能にする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、識別情報取得手段が受信した電子鍵の所有者の識別情報を操作許可情報に照合して電子鍵の所有者による設備機器の操作の許可又は禁止をすることができる。
【0010】
また、請求項
1に記載の発明によれば、所定の領域に複数存在する電子鍵の所有者のうち、少なくとも1人に設備機器の操作が許可される場合には、所定の領域に存在する他の電子鍵の
全所有者も設備機器が操作可能なように設備機器を制御する。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、請求項1に記載の発明は、識別情報取得手段が受信した電子鍵の所有者の識別情報を操作許可情報に照合して電子鍵の所有者による設備機器の操作の許可又は禁止をする。これにより、個人を識別した結果に基づいて、当該個人による設備機器の操作を許可又は禁止できるという効果を有する。
【0012】
また、請求項
1に記載の発明によれば、所定の領域に複数存在する電子鍵の所有者のうち、少なくとも1人に設備機器の操作が許可される場合には、所定の領域に存在する他の電子鍵の
全所有者も設備機器が操作可能なように設備機器を制御する。これにより、設備機器の操作が許可される者が少なくとも1人含まれる場合には、他の者
全員が設備機器の操作ができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係るホームコントロールシステムの一例を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るホームコントロールシステム制御部の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係るホームコントロールシステムにおける個人の特定に基づく設備機器の操作の許可又は禁止の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施の形態に係るホームコントロールシステムにおける操作許可情報の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るホームコントロールシステムにおける母と子供が同じ室内にいる場合の操作許可情報の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るホームコントロールシステムにおける子供と高齢者が同じ室内にいる場合の操作許可情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係るホームコントロールシステム10の一例を示す概略図である。
【0015】
図1に示したように、本実施の形態では、系統電力22からの電力が、主幹ブレーカー100を介して住宅20等の建物の分電盤24に供給されている。また、主幹ブレーカー100の系統電力側には、系統電力22から供給される電力の電流値を検知する主幹ブレーカー電流センサ120が設けられている。
【0016】
系統電力22から分電盤24に供給された電力は、分岐回路30A〜30Eを介して設備機器に供給される。分岐回路30Aにはテレビ62が、分岐回路30Bにはエアコン64が、分岐回路30Cには炊飯器66が、分岐回路30DにはIHヒーター68が、分岐回路30Eには洗濯機70が各々接続されている。テレビ62、エアコン64、炊飯器66、IHヒーター68及び洗濯機70の各設備機器にはホームコントロールシステム制御部40に各々の稼働状況を通知する情報線が接続されている。また、各設備機器は、接続されている情報線を介して建物内のエネルギーの管理や制御を行うホームコントロールシステム制御部40によって制御される。
【0017】
分岐回路30A〜30Eには分岐回路30A〜30Eの電流値を計測する電流センサ32A〜32Eが各々設けられている。電流センサ32A〜32Eからの情報線は、ホームコントロールシステム制御部40が分電盤24を制御するための情報線と共にホームコントロールシステム制御部40に接続されている。なお、
図1において破線は計測データ又は制御情報が流れる情報線であるとする。
【0018】
分電盤24の分岐回路30A〜30Eには、分岐回路30A〜30Eをオン状態又はオフ状態に切り替えるための分岐ブレーカー34A〜34Eが各々設けられ、分岐ブレーカー34A〜34Eは、ホームコントロールシステム制御部40によって制御される。
【0019】
なお、
図1では、記載の簡略化のために分岐回路は5系統のみ記載しているが、本実施の形態では5系統以上でも5系統以下でもよく、分岐回路の本数に特段の限定はない。
【0020】
また、本実施の形態では、住宅20の居住者72A、72B、72C、72Dは、ドア等の施錠及び解錠が可能であると共に居住者72A〜72Dに固有の識別情報を記録したスマートキー74A、74B、74C、74Dを各々所有している。スマートキー74A〜74Dは、一例としてカード型のキーであり、記録した識別情報を送信可能に構成されている。また、スマートキー74A〜74Dは、前述の識別情報を送信可能に構成したスマートホン等の携帯情報端末であってもよい。
【0021】
また、テレビ62及びエアコン64を備えた所定の領域であるリビング80にはセンサ86Aが、炊飯器66及びIHヒーター68を備えた所定の領域であるキッチン82にはセンサ86Bが備えられている。さらに、洗濯機70を備えた所定の領域である洗面所84にはセンサ86Cが設けられている。センサ86A〜86Cは、スマートキー74A〜74Dを検知してスマートキー74A〜74Dの識別情報を取得し、取得した識別情報をホームコントロールシステム制御部40に送信する。ホームコントロールシステム制御部40は、センサ86A〜86Cからの識別情報に基づいて、居住者72A〜72Dを識別すると共に、識別した居住者72A〜72Dに対して設備機器の操作の許可又は禁止をする。なお、センサ86A〜86Cとスマートキー74A〜74Dとの通信は以下の2種類が考えられる。一つは、センサ86A〜86Cから発信される電磁波でスマートキー74A〜74Dに電力がチャージされ、識別情報の送信が可能になるパッシブ型。もう一つは、スマートキー74A〜74Dが備える電池等の電力を用いて識別情報をセンサ86A〜86Cに送信するアクティブ型である。本実施の形態では、パッシブ型、アクティブ型のいずれの方式でもよい。
【0022】
図2は、本実施の形態に係るホームコントロールシステム10に係るホームコントロールシステム制御部40の概略構成を示すブロック図である。ホームコントロールシステム制御部40は、CPU(Central Processing Unit)42と、HDD(Hard Disk Drive)44と、RAM(Random Access Memory)46と、ネットワークI/F部48と、ROM(Read Only Memory)50と、表示部52と、操作入力部54と、バス56とを含む。
【0023】
CPU42は、ホームコントロールシステム制御部40の全体の動作を司るものであり、後述する個人の特定に基づく設備機器の操作の許可又は禁止の判定は、CPU42により実行される。HDD44は、後述する個人の特定に基づく設備機器の操作の許可又は禁止の判定に係るプログラム、後述する操作許可情報及びOS(Operating System)などが記録される不揮発性の記憶装置である。RAM46は、OSやプログラムやデータが展開される揮発性の記憶装置である。ネットワークI/F部48は、ネットワークに接続するためのものであり、NIC(Network Interface Card)やそのドライバで構成される。ROM50は、ホームコントロールシステム制御部40の起動時に動作するブートプログラムなどが記憶されている不揮発性の記憶装置である。表示部52は、ホームコントロールシステム制御部40に関する情報を操作者に表示するものである。操作入力部54は、操作者がホームコントロールシステム制御部40の操作や情報を入力する際に用いられるものであり、一例としてタッチパネル、キーボード等の入力装置及びマウス等のポインティングデバイスが含まれる。バス56は、情報のやりとりが行われる際に使用される。
【0024】
図3は、本実施の形態に係るホームコントロールシステム10における個人の特定に基づく設備機器の操作の許可又は禁止の処理の一例を示すフローチャートである。ステップ300では、スマートキーからの識別情報に基づいて、在室中の人物を特定する。ステップ302では、在室中の人物とHDD44に記憶された操作許可情報とを照合する。
【0025】
図4は、本実施の形態に係るホームコントロールシステム10における操作許可情報の一例を示す図である。操作許可情報は、スマートキーの所有者の氏名等の識別情報に所有者による設備機器の操作の許可又は禁止を対応付けたもので、操作入力部54の操作によって設定される。
【0026】
図4で、「○」は操作を許可、「×」は操作を禁止である。
図4では、エアコン、テレビ等の高熱を発しない又は作動している部分が原則として人の手に直接触れないものは、子供又は高齢者でも操作できるように規定されている。また、IHヒーター、トースター、ポット、炊飯器、電子レンジ及び給湯リモコンのように、発熱する機器に係る操作は原則として子供又は高齢者には許可されない。ミキサー及び洗濯機のように作動している部分に人の手が触れ得るような機器の操作も子供又は高齢者には許可されない。
【0027】
本実施の形態では、発熱する機器等の操作を子供又は高齢者に許可しない等の制御により、火傷、火災、怪我等の事故を防止する。ただし、室内に、これらの機器の操作が許可されない者以外に、これらの機器の操作が許可される居住者が同伴している場合には、子供又は高齢者等に対してもこれらの機器の操作を許可する。
【0028】
すなわち、室内にIHヒーター等の機器の操作が許可される者と当該機器の操作が許可されない者とが混在している場合には、その室内の設備機器をオン制御することにより、その室内にいる者全員の操作を許可する。室内に操作が許可されない者のみが居る場合には、その室内の設備機器をオフ制御することにより、その室内にいる者全員の操作を禁止する。なお、その室内にいる者全員の操作を許可する場合には、設備機器の電源をオン制御し、かつ操作を許可する制御をしてもよい。また、その室内にいる者全員の操作を禁止する場合には、設備機器の電源はオン制御であっても、操作を禁止する制御をしてもよい。
【0029】
当該機器の操作を許可される者がそうでない者を見守る状況であれば、室内にいる者全員の操作を許可しても火災等の事故のおそれは低くなると考えられるからである。
【0030】
ステップ304では、ステップ302での照合結果に基づいて、設備機器のオン又はオフを制御して処理を終了する。
【0031】
図5は、本実施の形態に係るホームコントロールシステム10における母と子供が同じ室内にいる場合の操作許可情報の一例を示す図である。子供だけが室内にいる時は、IHヒーター等の発熱する機器等は子供は操作できないが、すべての機器を操作できる母が同伴しているので、
図5の場合は、子供でも操作できるように室内の設備機器をオン制御する。
【0032】
図5は、本実施の形態に係るホームコントロールシステム10における子供と高齢者が同じ室内にいる場合の操作許可情報の一例を示す図である。子供は電子レンジを操作できないが高齢者aは操作が許可されるので、高齢者aと同室内にいる子供も電子レンジの操作が可能なように電子レンジをオン制御する。しかしながら、IHヒーター、トースター、ポット、ミキサー炊飯器、給湯リモコン及び洗濯機は、高齢者a及び子供には操作が許可されていないので、これらの機器をオフ制御することにより、高齢者a及び子供の操作を禁止する。
【0033】
以上、説明したように、本実施の形態では、個人を識別した結果に基づいて、当該個人による設備機器の操作を許可又は禁止することができる。なお。本実施の形態では、ホームコントロールシステム制御部40は各電力負荷に接続されている情報線を介して各電力負荷のオン又はオフを制御したが、操作を許可しない場合には分電盤24から各電力負荷に供給する電力をオフにしてもよい。具体的には、操作を許可しない設備機器に電力を供給している分岐回路の分岐ブレーカーをオフにすることで、電力の供給を遮断する。
【符号の説明】
【0034】
10 ホームコントロールシステム
20 住宅
22 系統電力
24 分電盤
30A、30B、30C、30D、30E 分岐回路
32A、32B、32C、32D、32E 電流センサ
34A、34B、34C、34D、34E 分岐ブレーカー
40 ホームコントロールシステム制御部
42 CPU
44 HDD
46 RAM
48 ネットワークI/F部
50 ROM
52 表示部
54 操作入力部
56 バス
62 テレビ
64 エアコン
66 炊飯器
70 洗濯機
72A、72B、72C、72D 居住者
74A、74B、74C、74D スマートキー
80 リビング
82 キッチン
84 洗面所
86A、86B、86C センサ