(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188499
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】ベルト高さ調節装置の固定および解除装置並びに車両シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/42 20060101AFI20170821BHJP
B60N 2/68 20060101ALI20170821BHJP
B60R 22/20 20060101ALN20170821BHJP
B60R 22/26 20060101ALN20170821BHJP
【FI】
B60N2/42
B60N2/68
!B60R22/20
!B60R22/26
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-183734(P2013-183734)
(22)【出願日】2013年9月5日
(65)【公開番号】特開2014-54977(P2014-54977A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2016年6月9日
(31)【優先権主張番号】10 2012 017 954.5
(32)【優先日】2012年9月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509057497
【氏名又は名称】イスリングハウゼン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】ライナー・クロンケ
(72)【発明者】
【氏名】オースチン・イエニング
【審査官】
森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】
独国実用新案第202010012472(DE,U1)
【文献】
米国特許第08020934(US,B2)
【文献】
米国特許第05839786(US,A)
【文献】
特開昭62−106715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/72
B60R 22/20
B60R 22/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シートの支持構造体(1)に固定連結されるベルト高さ調節装置であって、
レバー(2)と、前記レバー(2)と相対的に回転移動可能なベルト偏向式連結具(3)を有し、
前記レバー(2)は回転軸を有し、前記回転軸により前記支持構造体(1)と枢動可能に連結されており、
前記レバー(2)は更に固定装置を有し、前記固定装置により、前記支持構造体(1)と相対的な枢動移動に対して固定されることが可能であり、
前記固定装置は、
前記レバー(2)の上方向への移動に際して、所定のレバー角度位置で自動的に係合し、前記支持構造体(1)と相対的な下方向への前記レバー(2)の枢動を阻止するように構成されたラッチ(4)および歯状部(5)を有し、
前記ラッチ(4)が、前記ラッチ(4)の係止突起(11)により、ばね力負荷を伴い前記歯状部(5)の割り当てられた係止凹部に係入することにより、前記自動的に係合する作用が有効にされるとともに、
前記レバー(2)を最上の固定位置を超えて更に上方へ移動した時、前記ラッチ(4)の外周に形成された曲面(18)が、前記歯状部(5)の内周に形成された曲面(20)に沿って、ばね負荷がかけられた状態で移動することにより、前記自動的に係合する作用が無効とされ、且つ、前記レバー(2)は固定位置に留まることなく、所定の低い位置にもたらされることが可能であり、
前記レバー(2)を前記所定の低い位置にもたらした後、前記レバー(2)を上方へ移動した時、前記自動的に係合する作用が再度作動させられ、前記レバー(2)の下方への移動を阻止し、
揺動レバー(10)が前記ラッチ(4)と、ねじれを防止するように連結され、前記ラッチ(4)および前記揺動レバー(10)は、前記レバー(2)の割り当てられた穴の中で、連結状態で揺動可能であるように据付けられる、
ベルト高さ調節装置。
【請求項2】
前記レバー(2)は、前記支持構造体(1)と強固に連結されると共に、止めねじ(8)用保持要素として機能する連結具(7)を介して連結され、前記レバー(2)は前記止めねじ(8)により、前記連結具(7)に対して所定位置に取付けられると共に、そこに回転可能に取付けられる、請求項1に係るベルト高さ調節装置。
【請求項3】
前記止めねじ(8)の中心軸によって定められる前記レバー(2)の揺動軸は、前記レバー(2)の第1端部で具体化され、前記ベルト偏向式連結具(3)は、前記レバー(2)の第2端部で具体化される、請求項2に係るベルト高さ調節装置。
【請求項4】
案内板(9)は前記レバー(2)の固定位置に配置され、前記案内板は、適当な手段を用いて前記歯状部(5)を部分的に取り囲み、それにより前記支持構造体(1)の主広がり方向面に対して垂直方向への前記レバー(2)の移動を制限する、請求項1乃至3のいずれか一項に係るベルト高さ調節装置。
【請求項5】
前記ラッチ(4)には、前記係止突起(11)の両側に案内突起(12)が設けられており、前記歯状部(5)の係止輪郭(13)と係合した時に、前記ラッチ(4)の係止突起(11)を前記支持構造体(1)の主広がり方向面に対して垂直方向への係止突起(11)の移動を制限するように案内する、請求項1乃至4のいずれか一項に係るベルト高さ調節装置。
【請求項6】
前記揺動レバー(10)は、引張ばね(16)の第1アイレット(14)を受け入れる手段(27)を有し、且つ、前記レバー(2)は、前記揺動レバー(10)と対向する側面に、前記引張ばね(16)の第2アイレット(15)を受け入れる手段を有しており、前記引張ばね(16)は上記手段によって、前記2個のアイレットによりプレテンション状態で受け入れられる、請求項1乃至5のいずれか一項に係るベルト高さ調節装置。
【請求項7】
支持構造体(1)を備えた車両シートであって、前記支持構造体(1)には、請求項1乃至6のいずれか一項に係るベルト高さ調節装置が配置される、車両シート。
【請求項8】
前記ベルト高さ調節装置は、前記レバー(2)の揺動軸が、前記支持構造体(1)の主広がり方向面と垂直であるように、前記支持構造体(1)の背面領域に配置される、請求項7に係る車両シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバーと、レバーと相対的に回転移動可能であるベルト偏向式連結具を有し、市販車両シート用の車両シート支持構造体に固定連結されるベルト高さ調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一体式ベルトを有する車両シートでの安全ベルトの装着感を高めるために、この種のシートでは、ベルト上部の位置を独立して調節または変化させる装置を有することが知られている。ここで、ベルト紐の上側取出口位置は、乗員の体格や他の身体的特徴に合わせて調節することができる。従って大柄な乗員の場合には、小柄な乗員の場合よりも上側取出口位置が高いことが望ましい。また、取出口溝の水平方向に対する角度を、夫々の乗員に合うように個々に調節可能であると有利である。市販の車両は通常、空気圧式または機械式弾性振動システムを装備しているので、上記の問題は、このような車両シートの場合に一層深刻である。上側ベルト偏向装置のBピラーへの固定取付けは、快適性の理由から好ましくなく、この種の車両シートでは特に、考えられる唯一のベルトシステムは、車両シートに取付けられるものである。
【0003】
この種の周知の装置では、調節や操作のための取り扱い性を向上させる必要がある。
【0004】
車両シートの支持構造体に固定連結されるベルト高さ調節装置は、特許文献1から周知である。この装置は、レバーと、レバーと相対的に移動可能なベルト取出口部分を有する。
【0005】
特許文献1の装置の欠点としては、高さ調節操作である。調節工程を開始するために、使用者は最初に、係止機構を能動的に無効にしなければならない。これを行うために、係止ピンを割り当てられた係止凹部から外すように移動させるために、対応するレバーをばね力に抗して引っ張る必要がある。そうすることによって初めて実際の調節工程が行われ、レバー、ひいてはその自由端に配置される上側ベルト位置が、車両シートの上側背もたれ部分に位置する枢軸点周りを回転させられる。また、レバーへの引っ張り力は、調節工程全体で維持されなければならない。特に、上側ベルト点位置が一つの係止工程よりも多くの工程によって変化させられる時には、これは、快適性の基準に関して最適ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ国実用新案登録公開第20 2010 012 742 U1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、操作が単純であると共に、単純な機械構成や少数の部品をも特徴とするベルト高さ調節装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は、車両シートの支持構造体に固定連結されるベルト高さ調節装置によって達成され、本装置は、レバーと、レバーと相対的に回転移動可能なベルト偏向式連結具を有する。レバーは回転軸を有し、この回転軸により支持構造体に枢動可能に連結される。レバーは更に固定装置を有し、この固定装置により、支持構造体と相対的な枢動移動に対して固定される。固定装置は、
レバーの上方向への移動に際して、所定のレバー角度位置で自動的に係合し、支持構造体と相対的なレバーの下方向への枢動を阻止するように構成され
たラッチおよび歯状部を有し、ラッチが、ラッチの係止突起により、ばね力負荷を伴い歯状部の割り当てられた係止凹部に係入することにより、自動的に係合する作用が有効にされる。 レバーを最上の固定位置を超えて更に上方へ移動した時、ラッチの外周に形成された曲面が、歯状部の内周に形成された曲面に沿って、ばね負荷がかけられた状態で移動することにより、自動的に係合する作用が無効とされ、レバーは、固定位置に留まることなく、
所定の低い位置にもたらされる。
レバーを所定の低い位置にもたらした後、レバーを上方へ移動した時、自動的に係合する作用が再度作動させられ、レバーの下方への移動を阻止する。
揺動レバーがラッチと、ねじれを防止するように連結され、ラッチおよび揺動レバーは、レバーの割り当てられた穴の中で、連結状態で揺動可能であるように据付けられる。
【0009】
当初、ベルト偏向式連結具の高さ位置が下方へ変化することは不可能である。しかし、ベルト偏向式連結具は、レバーを回転させることにより、より高い位置にすることができる。上方への移動により、レバーは、所定のレバー角度位置に沿って係止させられる。
【0010】
レバー角度位置は、レバーが夫々の係合に際して回転軸の周りを回転する間に選択し得る規定角度をいう。
【0011】
最も高い係止位置に到達した後、レバーは同じ方向に更に回転し、ベルト偏向式連結具の高さ位置が低下、即ち下方へ変化させられる。この間、レバーは、固定位置に留まることなく、構造的に予め定められたより下側の開始位置へもたらされ、これは同時に、より下側の使用位置を表わす。
【0012】
この場合、車両シートの支持構造体は、車両シートの後部フレームに対応する。この後部フレームは、
図1に示すように、下側ベース部分およびベース部分に回転可能に連結される上側部分から構成され、従って、所謂ショルダーアジャスタを含んでもよい。しかし後部フレームは、一片として、即ちショルダーアジャスト機能を有することなく具体化されてもよい。
【0013】
使用される全ての構成要素は、好適には、例えば金属、合金などの耐久性があり、硬く、ねじれ難い材料から作られる。
【0014】
単純な機構により、確実で操作が容易なベルト調節を可能にするベルト高さ調節装置が提供される。
【0015】
本発明
においては、ラッチおよび歯状部から形成される固定装置により、
ラッチの係止突起によってばね力負荷がかけられた状態で、ラッチは歯状部の割り当てられた係止凹部に係入するように構想される。この種の実施形態によれば、ラッチを歯状部に沿って最適に案内することが可能となり、係止突起は、乗員によって所望される位置に従って、歯状部の割り当てられた係止凹部に係止すると共に、ばね力負荷によってそこで係止され続ける。
本発明
においては、揺動レバーは、ねじれから保護されるようにラッチと連結されるように構想され、ラッチおよび揺動レバーは、レバーの割り当てられた穴の中で、結合回転するように据付けられる。これにより、構造的に単純に、ねじれを防ぐことができる。
【0016】
本発明の別の有利な発展形としては、レバーは支持構造体に強固に連結されると共に、止めねじ用保持要素として機能する連結具を介して連結されるように構想される。レバーは、止めねじにより連結具に対して所定位置に取付けられると共に、そこに回転可能に取付けられる。止めねじの使用は、連結具のノントルク連結を極めて単純に可能にする。
【0017】
連結具自体は好適には、溶接、リベットまたはねじ接合により、支持構造体に連結される。
【0018】
本発明の別の有利な発展形としては、レバーが自己支持構造として構成されると共に、3つの側面で取り囲まれ成形された範囲を備える略C字形輪郭からなり、包囲された輪郭を形成するためにカバーが補われるように構想される。ここで、輪郭の成形範囲はとりわけ、頭部衝撃テストに対する適用要件を満たすように位置および寸法が決められる。これらの要件は、当該技術分野に属する者には周知のものであり、従って、詳細には説明しない。輪郭およびカバーは好適には、溶接接合により連結されるが、最先端から当該技術分野に属する者に周知の他の連結方法、例えばねじ接合であっても可能である。
【0019】
本発明の別の有利な発展形としては、レバーのカバーを移動方向と対向するレバー側面に位置決めする一方で、略C字形状の輪郭が移動方向に閉じられることが構想される。
【0020】
本発明の別の有利な発展形としては、止めねじ中心軸によって定められるレバーの揺動軸は、レバーの第1端部で具体化され、ベルト偏向式連結具はレバーの第2端部で具体化されることが構想される。レバーは、第1端部が回転可能であるように支持構造体に取付けられる。ベルト偏向式連結具は第2端部に取付けられる。レバーの第2端部は、ベルトを都合よく案内するために、背もたれフレームの支持構造を超えて突出する。
【0021】
本発明の別の有利な発展形としては、レバーの案内板は固定位置に配置されるように構想されており、適当な手段を介して歯状部を部分的に取り囲み、ひいては、支持構造体
の主広がり方向面に対して垂直方向へのレバーの移動を制限する。案内板を使用することにより、支持構造体
の主広がり方向面に対して垂直方向へのレバーの移動を制限することが、極めて単純に可能となる。レバーに案内板を使用することにより、装置を歯状部に沿って移動させる。これにより、レバー、ひいてはベルト偏向式連結具の上方および下方への所定の移動を設定することができる。
【0022】
案内板自体は好適には、溶接、リベットまたはねじ接合により、レバーと連結される。
【0024】
揺動レバーは好適には、ラッチの連続部分に挿入されるようにラッチと連結され、ねじれを防ぐように受け入れられると共に、ねじで捕えられるように締め付けられる。
【0025】
本発明の別の有利な発展形としては、ラッチには、係止突起の
両側に案内突起が設けられており、歯状部の係止輪郭と係合した時に、ラッチの係止突起を
支持構造体の主広がり方向面に対して垂直方向への係止突起の移動を制限するように案内するように構想される。取付け状態において、この案内突起は、歯状部を互いの間で受け入れ、ラッチの係止突起が歯状部の係止輪郭から滑り落ちることがないようにする。
【0026】
本発明の別の有利な発展形としては、揺動レバーは、引張ばねの第1アイレットの受入れ手段を有し、また、レバーは揺動レバーと対向する側に、引張ばねの第2アイレットの受入れ手段を有しており、引張ばねは上記手段により、2個のアイレットによってプレテンション状態で受け入れられるように構想される。据付けられた揺動レバーを介して、揺動レバーの枢動により、引張ばねの長さが変化し、引張ばねはその端部により、一方で揺動レバーに吊るされ、他方で割り当てられた受入れ装置に吊るされる。
【0027】
本発明の目的はまた、請求項
7の特徴を備えたベルト高さ調節装置が配置される支持構造体を有する車両シートにより達成される。
【0028】
本発明の有利な発展形の一つとしては、ベルト高さ調節装置は、レバー揺動軸が支持構造体
の主広がり方向面と垂直に位置するように、支持構造体の後側領域に配置される。これにより、支持構造体の後側領域において、ベルト高さ調節装置の直接的で単純、且つ摩擦のない移動が確実となる。上述したように、ベルト高さ調節装置は、レバー、ひいてはベルト偏向式連結具の上方および下方への所定の移動をもたらすことを目的とする。
【0029】
本発明の更なる効果および詳細を、図面に示す実施例を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明に係るベルト高さ調節装置を備えた車両シートの後部フレームの支持構造体全体を示す図。
【
図2】
図1からの本発明に係るベルト高さ調節装置を備えた車両シートの後部フレームの上側支持構造体を示す図。
【
図3】
図2からの本発明に係るベルト高さ調節装置を備えた車両シートの後部フレームの上側支持構造体を示す背面図。
【
図4】
図2からの本発明に係るベルト高さ調節装置のラッチを示す拡大図。
【
図5】
図3からの本発明に係るベルト高さ調節装置の揺動レバーを示す拡大図。
【
図6】
図2からの本発明に係るベルト高さ調節装置の細部Aを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、車両シートの後部フレームの支持構造体全体図を示しており、本発明に係る装置を示すと共に、本発明には必須ではないショルダアジャスタを有する。本発明に係る装置は、ショルダアジャスタを有する後部フレームに使用することができる。同様に、本発明はショルダアジャスタを有さない後部フレームで使用してもよい。支持構造体は、上側支持構造体1と下側支持構造体31に分けられる。
【0032】
図2は、本発明に必須の要素を備えた車両シートの後部フレームの上側支持構造体図を示す。
【0033】
ベルト高さ調節装置は、極めて単純な構成であると共に、実質的に以下の構成要素、即ち後部フレーム(支持構造体、例えば、ベアリング等)1、レバー2、ベルト偏向式連結具3、ラッチ4、歯状部5、なべネジ6、連結具7、止めねじ8および案内板9からなる。
【0034】
支持構造体1は、車両シートの背もたれの一部である。連結具7は支持構造体1に取付けられる。ここで、取付けは溶接接合によってもたらされる。当該技術分野に属する者に周知の他の種類の連結、例えばねじ接合も可能である。
【0035】
レバー2は、止めねじ8によって、連結具7と回転可能に連結される。更に案内板9が溶接接合により、レバー2に強固に連結される。当該技術分野に属する者に周知の他の種類の連結、例えばねじ接合も可能である。
【0036】
レバー2はその第1端部が、止めねじ8により支持構造体1に回転可能に取付けられる。ベルト偏向式連結具3は、レバー2の第2端部に取付けられる。レバー2の第2端部は、背もたれの支持構造体1を超えて突出しており、これにより、ベルトを都合よく案内することができる。
【0037】
ここで、偏向式連結具3は、長穴内にベルト紐を受け入れる。偏向式連結具3は、なべねじ6により、レバー2に回転可能に据付けられる。
【0038】
案内板9は、レバー2の止めねじ8の周りでの枢動の間に、支持構造体
1の主広がり方向面に対して垂直方向へのレバー2の自由度を制限するように、歯状部5を取り囲む。
【0039】
連結具7と同様に、歯状部5は支持構造体1と連結される。取付けは溶接接合によって行われる。当該技術分野に属する者に周知の他の種類の連結も考えられる。歯状部5は、連結具7と反対側に位置する支持構造体1の内側面に配置される。
【0040】
ラッチ4は、一片に成形された支持面により、レバー2に回転可能に据付けられる。ラッチ4は歯状部5と作動的に連結される。これら2個の構成要素は、係止装置のベースを形成しており、ここに揺動レバー10と引張ばね16も属する(
図2を参照)。
【0041】
図3は、
図2からの車両シートの後部フレームの上側支持構造体の背面図を示す。
【0042】
揺動レバー10および引張ばね16は、レバー2の背面、即ち、揺動レバー10と対向する側に配置される。揺動レバー10はラッチ4と連結される。(引張ばね16は、簡素化された形態でのみ示す。)
【0043】
揺動レバー10は、引張ばね16の第1アイレット14を受け入れる手段を有し、レバー2は、揺動レバー10と対向する側に、引張ばね16の第2アイレット15を受け入れる手段を有しており、引張ばね16はこれらの手段により、上記2個のアイレットでプレテンション状態で受け入れられる。
【0044】
揺動レバー10はラッチ4の連結部分に挿入され、ねじれを防止するように受け入れられると共に、ねじ6で捕えられるように締め付けられる。
【0045】
図4に示すように、係止突起11の領域に、ラッチ4は2個の横方向連結部分、即ち案内突起12を有する。取付け状態において、案内突起12は歯状部5を互いの間で受入れ、ラッチ4の係止突起11が歯状部5の係止輪郭13から滑り落ちることがないようにする。
【0046】
取付けられた揺動レバー10を介して、揺動レバー10の枢動により、ばね16の長さが変化させられ、ばね16は一方で端部により揺動レバー10に吊るされ、また他方でレバー2の背面上で、割り当てられた受入れ装置に吊るされる。
【0047】
図5は、
図3からの本発明に係るベルト高さ調節装置の揺動レバー10の拡大図を示す。揺動レバー10は、一端にばねアイレット14用の差し込み口27を有し、他端に取付け穴28を有し、ねじれを防止する。
【0048】
揺動レバー10は、ねじれを防止するようにラッチ4に連結されており、ラッチ4および揺動レバー10は、レバー2の割り当てられた穴(図示なし)内において、連結した状態で揺動可能であるように取付けられる。ここで、取付け穴28はねじれを防止するようにされており、揺動レバー差し込み口26と適合し、差し込み口26は固定ねじ25の支持面24上に配置される。
【0049】
以下に、
図6を特に参照して、ベルト高さ調節装置の作動モードをより詳細に説明する。
【0050】
図6は、
図2からの本発明に係るベルト高さ調節装置の細部Aを示す。
【0051】
係止状態において、ラッチ4の係止突起11は、歯状部5の一つの係止面23上でばね負荷がかけられた状態にある。係止輪郭13は、全係止面数から形成される。ベルト偏向式連結具3の高さ位置が下方に変更することは不可能である。しかし、ベルト偏向式連結具3は、レバー3を左回りに回転させることにより、より高い位置となる。
【0052】
係止位置が変化する時は常に、解除される際に、ラッチ4は当初右回りに僅かに枢動し、再係止した際に、左回りに僅かに枢動する。
【0053】
最も高い係止位置に到達した後、レバー2が左回りに更に回転すると、ラッチ4の制御突起22が歯状部5の割り当てられた制御コーナ21と係合して、ラッチ4を右回りにより大きく揺動させる。揺動レバー10は反転点を超えて回転させられる。
【0054】
その結果生じるばね力により、ラッチ4の
外周に形成された第1曲面18は当初、歯状部5の
内周に形成された曲面20上にばね負荷がかけられた状態にされ、レバー2が止めねじ8の周りを右回りに回転する際に、このカーブに沿って移動する。(
曲面20は、歯状部5の内部輪郭29の一部である。)
【0055】
上記は、ラッチ4の
外周に形成された第2曲面19が歯状部5の
曲面20上に位置するようになるまで行われる。その時点で、ラッチ4の第1
曲面18は、歯状部5の
曲面20とはもはや接触していない。
【0056】
ラッチ4の第2
曲面19は、レバー2の背面にある協働して揺動する揺動レバー10が第2反転点に達するまで、歯状部5の
曲面20に沿って摺動する。
【0057】
これにより、ラッチ4の係止突起11で、歯状部5の係止輪郭をばね力で再度押圧する。ベルト偏向式連結具3の可能な最低位置に到達し、ここから、レバー2は所望位置へ戻され且つ係止面上で係止する。
【0058】
本発明に係るベルト高さ調節装置によれば、小型のユニットがもたらされ、これは単純な技術的構成や部品点数の少なさも特徴とし、更に、極めて単純且つ人間工学的に操作することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 上側支持構造体
2 レバー
3 ベルト偏向式連結具
4 ラッチ
5 歯状部
6 なべねじ
7 連結具
8 止めねじ
9 案内板
10 揺動レバー
11 係止突起
12 案内突起
13 係止輪郭
14 第1アイレット
15 第2アイレット
16 引張ばね
17 なべねじ
18 第1
曲面
19 第2
曲面
20
曲面
21 制御コーナ
22 制御突起
23 係止面
24 支持面
25 固定ねじ
26 抗ねじれ保護を備えた揺動レバー差し込み口
27 ばねアイレット差し込み口
28 抗ねじれ保護を備えた取付け穴
29 歯状部の内側輪郭
30 カバー
31 下側支持構造体