特許第6188507号(P6188507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188507
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】電線分岐コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/06 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   H02G3/06
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-187411(P2013-187411)
(22)【出願日】2013年9月10日
(65)【公開番号】特開2015-56923(P2015-56923A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】591028773
【氏名又は名称】株式会社ニチフ端子工業
(74)【代理人】
【識別番号】100114030
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿島 義雄
(72)【発明者】
【氏名】森 良夫
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 裕二
【審査官】 石坂 知樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭49−050478(JP,A)
【文献】 実開平03−094768(JP,U)
【文献】 実開昭57−188265(JP,U)
【文献】 特開平11−341666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/06
H02G 1/14
H02G 15/08
H01R 4/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電性に富んだ金属板製のコンタクト(1)と、絶縁性に富んだ合成樹脂製のハウジング(2)とからなり、
前記コンタクト(1)が、側面視形状をU字形とした二つの平行片(11,11)を備え、これらの平行片(11,11)のそれぞれに所定間隔(D)を隔てて上縁(12)から底壁(13)に向かって切り込まれた二つ宛の切り込み溝(14,14)が形成され、
前記ハウジング(2)が、横長方向の中間部(21)に、所定間隔(D)を隔てて平行に形成された幹線ケーブル用受容溝(3)と分岐ケーブル用受容溝(4)と、これら両溝(3,4)と交差状に形成されたコンタクト装着用凹入部(20)とが形成され、
該中間部(21)の外側に、連結帯(5,5)を介して中間部(21)の上方に折り返し自在とした左側遊端部(22)と右側遊端部(23)とが連結形成され、これらの何れか一方の遊端部に、幹線ケーブル用受容溝(3)の上部を覆う上面溝(31)が形成され、何れか他方の遊端部に、分岐ケーブル用受容溝(4)の上部を覆う上面溝(41)が形成され、
前記コンタクト装着用凹入部(20)に、コンタクト(1)の底壁(13)が位置固定状態に装着され、当該コンタクト(1)の切り込み溝(14,14)が幹線ケーブル用受容溝(3)と分岐ケーブル用受容溝(4)との上方に位置するように配置され、
かつ、前記分岐ケーブル用受容溝(4)か、該溝(4)の上部を覆う上面溝(41)かの長手方向の一端部かまたは両端部に、ケーブル先端位置決め用電線蓋(6)が形成され
当該ケーブル先端位置決め用電線蓋(6)が、極小の連結部(61)によって分離除去可能状態に連結されている電線分岐コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在既に配線されているか、これから配線される絶縁被覆を備えた幹線ケーブルの任意の箇所から、絶縁被覆を剥離することなく分岐ケーブルを分岐させることができる電線分岐コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、このような既設の電線ケーブルまたは特定のケーブルを親ケーブルとして分岐ケーブルを分岐させる作業は数多行われている。このケーブル分岐作業において、既設ケーブルや分岐ケーブルの絶縁被覆を剥離して通電線を露出させる作業は、多大な時間と手数を要し、作業者に負担を強いる作業となっていた。
【0003】
殊に、分岐線を接続する既設ケーブルが活線である場合には、不測の事態の発生を回避するために感電防止のための作業態勢を整えたり、一時的に通電停止を行う必要性が生じる場合もあり、工事時間が長くなると共に作業効率が悪くなるという課題を有していた。
【0004】
そこで出願人は、このような課題を解決する手段として、既設ケーブルが活線である場合でも、絶縁被覆の剥離作業を必要とすることなく、同時に分岐ケーブル先端の絶縁被覆の剥離作業をも必要とすることなく、安全かつ迅速に分岐線の取り出し作業を行うことができるようにしたコネクタを先に開発し提案している。このことは、次に記載の特許文献1及び2に記載の通りである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−098676号公報
【特許文献2】特開平11−341666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの特許文献1,2に記載の電線分岐コネクタは、幹線側のケーブルも分岐線側のケーブルも絶縁被覆を剥離する作業を必要とせず、絶縁被覆されたままの幹線側ケーブルの任意の箇所から分岐ケーブルを分岐させることができるという顕著な利点を有しているものである。
【0007】
しかしながら、これらの何れの先行技術も、幹線ケーブルに対して通電性に優れたコンタクト金具(何れのものも符号1)の底面を押圧して幹線ケーブルの被覆を破壊させながら通電させる構造となっている。そのため、幹線ケーブルが活線の場合には、コンタクト金具の底面を押圧する工具に漏電する危険性を回避させる手段が必要なため、分岐電線の引き出し作業には、細心の注意を必要とするという課題を有するものとなっていた。
【0008】
そこで、本発明は、先行開発した電線分岐コネクタが備えている、幹線側ケーブルの任意の箇所から被覆剥離作業を必要とせずに分岐線側ケーブルの分岐ができるという利点を引き継ぎながら、幹線側ケーブルが活線の場合でも、作業者に危険を及ぼすことなく、安全かつ迅速に分岐作業を終えることができる電線分岐コネクタの提供を目的として開発したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
該目的を達成するために講じた本発明にいう電線分岐コネクタの構成を、実施例において使用した符号を用いて説明すると、通電性に富んだ金属板製のコンタクト1と、絶縁性に富んだ合成樹脂製のハウジング2とからなり、前記コンタクト1が、側面視形状をU字形とした二つの平行片11,11を備え、これらの平行片11,11のそれぞれに所定間隔Dを隔てて上縁12から底壁13に向かって切り込まれた二つ宛の切り込み溝14,14が形成され、前記ハウジング2が、横長方向の中間部21に、所定間隔Dを隔てて平行に形成された幹線ケーブル用受容溝3と分岐ケーブル用受容溝4と、これら両溝3,4と交差状に形成されたコンタクト装着用凹入部20とが形成され、該中間部21の外側に、連結帯5,5を介して中間部21の上方に折り返し自在とした左側遊端部22と右側遊端部23とが連結形成され、これらの何れか一方の遊端部に、幹線ケーブル用受容溝3の上部を覆う上面溝31が形成され、何れか他方の遊端部に、分岐ケーブル用受容溝4の上部を覆う上面溝41が形成され、前記コンタクト装着用凹入部20に、コンタクト1の底壁13が位置固定状態に装着され、当該コンタクト1の切り込み溝14,14が幹線ケーブル用受容溝3と分岐ケーブル用受容溝4との上方に位置するように配置され、かつ、前記分岐ケーブル用受容溝4か、該溝4の上部を覆う上面溝41かの長手方向の一端部かまたは両端部に、ケーブル先端位置決め用電線蓋6が形成されている構成としたものである。
【0010】
そして、このケーブル先端位置決め用電線蓋6が、極小の連結部61により分離除去可能状態に連結されている構成としたものである。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から既に明らかなように、本発明にいう電線分岐コネクタは、ハウジングの中間部に、所定間隔Dを隔てて幹線ケーブル用受容溝と分岐ケーブル用受容溝とを平行に形成し、これらの溝と交差状にコンタクト装着用凹入部を形成してあるものとし、該中間部の外側に、連結帯を介して中間部の上方に折り返し自在とした左側遊端部と右側遊端部とを連結形成し、これらに、幹線ケーブル用受容溝の上部を覆う上面溝と分岐ケーブル用受容溝の上部を覆う上面溝とが形成されているものとし、かつ、コンタクト装着用凹入部に、コンタクトの底壁が位置固定状態に装着され、その切り込み溝が幹線ケーブル用受容溝と分岐ケーブル用受容溝との上方に位置するように形成してあるので、幹線ケーブル用受容溝上に幹線ケーブルを配置し、分岐ケーブル用受容溝上に分岐線ケーブルを配置した状態で、折り返し自在とした連結帯を介してこれらの上方に左右の遊端部を折り返し、折り返した遊端部上を左右同時または個別に押圧工具等で押圧し、それぞれのケーブルの絶縁被覆を破壊しつつ内部の通電線をコンタクトの電線接続溝と接触させて通電させる。このとき、ハウジングの遊端部上を押圧することになるので、幹線ケーブルが活線であっても非活線の場合と同様に分岐線を安全に取り出すことができる。したがって、幹線ケーブルの任意の箇所から安全かつ迅速に分岐線を分岐させることができるという顕著な効果を有する。
【0012】
また、本発明にいう電線分岐コネクタは、分岐ケーブル用受容溝か、該溝の上部を覆う上面溝かの長手方向の一端部か両端部にケーブル先端位置決め用電線蓋を形成してあるものとし、このケーブル先端位置決め用電線蓋を、請求項2に記載のように、極小の連結部によって分離除去可能状態に連結されているものとしておくことにより、所望箇所の位置決め用電線蓋の一つを除去し、残余の電線蓋(突起)に分岐ケーブルの先端を接当させて一本の分岐ケーブルを引き出したり、位置決め用電線蓋の両端の二つを除去し、一本の分岐線ケーブルをケーブル受容溝の両端から引き出して2本の分岐ケーブルを取り出すこともできる。この場合の位置決め用電線蓋の除去が容易にできるので、分岐線ケーブルの分岐取り出しを容易迅速にできるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施例を示す平面図。
図2】同正面図。
図3】同右側面図。
図4】組み立て状態を示す平面図。
図5】同正面図。
図6】同右側面図。
図7】ハウジングを示す平面図。
図8】同正面図。
図9】同右側面図。
図10図7に示したA−A線断面図。
図11】同B−B線断面図。
図12】同C−C線断面図。
図13】同D−D線断面図。
図14】同E−E線断面図。
図15】ケーブル先端位置決め用電線蓋の拡大平面図。
図16】同拡大正面図。
図17】コンタクトを示す平面図。
図18】同正面図。
図19】同右側面図。
図20】同底面図。
図21】第2実施例を示す平面図。
図22】同正面図。
図23】同ケーブル先端位置決め用電線蓋の拡大正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するに当たっては、使用素材を特に限定する意図はないが、コンタクトの素材としては、例えば、黄銅やリン青銅のスズメッキ品が、良好な導電性と電線被覆の切断硬度を備えていて防錆性維持の点でも好ましい。また、ハウジングの素材としては、ポリアミド系合成高分子、殊に、6−6ナイロンが適度の柔軟性・屈曲性を備え、靱性に富みクラックが入りにくい点で好ましい。
【実施例1】
【0015】
以下本発明の実施例について図面に基づいて説明する。図中、図1〜20は、本発明に係る電線分岐コネクタの主たる実施例を第1実施例として示した図であって、後述するコンタクト1を装着し、その外周面を覆って絶縁被覆するハウジング2の全体形状は、図1の平面図にみられるように、全体として横長の長方形状に形成されている。
【0016】
このハウジング2は、図1に示したように、長手方向(図1における左右方向)全体の中間所定間隔部分に中間部21が形成されていて、この中間部21に所定の間隔Dを隔てて、図2のように正面視形状を半円弧状とした左右二つの溝が、幹線ケーブル用受容溝3と分岐ケーブル用受容溝4として平行に形成してある。また、幅方向(図1における上下方向)の中程には、これらの両溝3,4上を越えて横長に形成されたコンタクト装着用凹入部20を形成してある。
【0017】
該中間部21の左右方向には、前記幅方向の両側に沿って形成された折り曲げ自在の柔軟性を持つ連結帯5,5を介して連結された左側遊端部22と右側遊端部23とを形成してある。これらの両遊端部22,23のうち、該実施例のものにあっては、左側の遊端部22に、前記幹線ケーブル用受容溝3の上部を覆う上面溝31が形成され、右側の遊端部23には、前記分岐ケーブル用受容溝4の上部を覆う上面溝41が形成されている。
【0018】
前記コンタクト1は、成形前もしくは成形後に、黄銅板やリン青銅板にスズメッキを施したもので、打ち抜き加工と曲げ加工によって、図17及び19のように、側面視U字形に形成された二つの平行片11,11を備えている。これらの平行片11,11のそれぞれには、前記ハウジング2の幹線ケーブル用受容溝3と分岐ケーブル用受容溝4との所定間隔Dと同じ所定間隔Dを隔てて、図18のように、上縁12から底壁13に向かって切り込まれた二つ宛の切り込み溝14,14を形成したものとしてある。
【0019】
而して、ハウジング2には、その中間部21に形成してある前記コンタクト装着用凹入部20に、コンタクト1の底壁13を嵌め込んで位置固定させてある。この位置固定状態において、前記コンタクト1の平行片11,11に形成してある切り込み溝14,14が幹線ケーブル用受容溝3と分岐ケーブル用受容溝4との中心線上に位置するように配置してある。
【0020】
また、該第1実施例に示したハウジング2にあっては、分岐ケーブル用受容溝4の一端部(図1,7において上端)に符号6として示した分岐ケーブルの先端部を位置決めするストッパーとしてのケーブル先端位置決め用電線蓋6を形成したものとしてある。
【0021】
而して、該実施例に示したケーブル先端位置決め用電線蓋6は、図15及び16に拡大して示したように、ケーブル用受容溝41の周面との下端部分と両側部分との3箇所で極小の連結部61によって連結してあるものとし、これらの極小の連結部61によって、分離除去可能状態に連結してある。
【0022】
図21〜23は第2実施例の電線分岐コネクタを示す図である。該第2実施例に示したものは、前記実施例にいうところのケーブル先端位置決め用電線蓋6を分岐ケーブル用上面溝41の先端側部分のみならず手前側の端部にも形成してある構造としたものである。このように任意の一方向のみではなく、分岐ケーブルの引き出し方向を前後方向何れにでもできるようにして実施してもよい。更に、該第2実施例に示したコネクタでは、幹線ケーブル用上面溝31の一端側、図21では先端側の端部にもケーブル先端位置決め用電線蓋6を形成してあるものとして示している。
【0023】
該実施例に示したケーブル先端位置決め用電線蓋6は、該蓋6部分を図23に拡大して示したように、例えば溝31とケーブル先端位置決め用電線蓋6との対面部を、略等間隔にミシン目状穴62で貫通された残余部分で連結されている形状としたものである。
【0024】
以上のように、ケーブル先端位置決め用電線蓋6は、左右の上面溝31,41に形成されているもののみならず、幹線ケーブル用受容溝3や分岐ケーブル用受容溝4に形成してあるものとしてもよいことはいうまでもない。
【0025】
また、ここにいうケーブル先端位置決め用電線蓋6は、ケーブル受容溝3,4または上面溝31,41の前後両側に形成してある形態のものの場合には、幹線ケーブルのみならず分岐ケーブルの取り出し方向によって、必要な位置決め用電線蓋6と不必要な位置決め用電線蓋6とが生じ、分岐ケーブルを受容溝の両方から取り出して分岐線を2本取り出す場合等には、不用な位置決め用電線蓋6を除去しなければならないが、この場合、電線蓋形成溝と電線蓋とは極小の連結部により連結してあるので、不用箇所の位置決め用電線蓋は、容易に除去して使用することができる。
【0026】
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施例に示した構造のみに限定されるものではなく、本発明にいう前記の構成要件を備えていて、本発明にいう目的を達成し、前記の発明の効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明いうところの電線分岐コネクタは、電気的な危険性がなく、容易迅速に分岐ケーブルの取り出しができるので、電気関連工事業者間において広く受け入れられ重宝に使用されると思われる。
【符号の説明】
【0028】
1 コンタクト
11 平行片
12 上縁
13 底壁
14 切り込み溝
2 ハウジング
20 コンタクト装着用凹入部
21 中間部
22 左側遊端部
23 右側遊端部
3 幹線ケーブル用受容溝
31 上面溝
4 分岐ケーブル用受容溝
41 上面溝
5 連結帯
6 ケーブル先端位置決め用電線蓋
61 連結部
D 所定間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12
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図17
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図20
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図23