【実施例1】
【0012】
以下、本発明を図面に示す一実施形態により具体的に説明する。
【0013】
図1乃至
図4は、本発明の一実施形態としての自動車用座席1を示し、この自動車用座席1は、シートクッション2と、シートバック3とよりなる。
【0014】
前記シートクッション2は、上面から見下ろして方形の閉ループ状に形成されてなる鉄製中空パイプ状のクッションフレーム4と、このクッションフレーム4の左側、即ち、
図1の室外側OSの前側FRから後側RRを覆い且つ前記クッションフレーム4に溶接支持してなるベースフレーム5と、前記クッションフレーム4の前側FRから後側RRに張設されてなるS字状スプリング6と、前記クッションフレーム4、ベースフレーム5、S字状スプリング6などの骨格部分を覆うポリウレタンフォームなどよりなる所謂緩衝材(図示省略)をカバーする布や合成皮革などよりなる所謂表皮(図示省略)とよりなる。
【0015】
前記クッションフレーム4の右側、即ち、
図1の室内側ISでの下側DWには、「保持手段」であるベース部材9が、
図1に示すクッションフレーム4に直角な位置から、
図3に示すクッションフレーム4に沿う位置との間を回転軸8により回転自在に軸支されてなると共に図示しないロック手段によりそれぞれの位置で固持可能とされている。前記ベース部材9の下端部には、床10に前後FR、RRに離間して設けたストライカ10a、10bにそれぞれ係合自在であり且つ後述する連結ワイヤ20内にインナワイヤ20aの移動により離脱可能なるラッチ21、21が配されてなる。
【0016】
符号13、14は、図示しない周知のホイールハウスに沿って上側UPから下側DWにかけて略弓状とした縦長状をなし且つ該ホイールハウスに固定されてなる「支持部材」である前側ブラケット及び後側ブラケットであり、前側ブラケット13及び後側ブラケット14は、前後FR、RRに離間して配されている。
【0017】
前記ベースフレーム5は、クッションフレーム4の左側、即ち、
図1の室外側OSの前側FRから後側RRを覆い且つ前記クッションフレーム4に溶接支持してなる本体部5aと、この本体部5aの前端部及び後端部に後述する前、後シート側ブラケット16、16を溶接支持してなると共に剛性を上げるように迫り出し形成されてなる取付部5b、5bとよりなる。
【0018】
前記連結ワイヤ20は、後述するガイドブラケット11に溶接支持されてなるブラケット24に取付部材25が支持されてなり、該連結ワイヤ20内を挿通されてなるインナワイヤ20aが進退自在である。該インナワイヤ20aの取付部20bが前記ガイドピン12に固設された係止具27により支持されてなる。前記インナワイヤ20aの取付部20bと反対側は、前記ラッチ21に連結されている。
【0019】
符号31は、シートクッション2の跳ね上げ手段であって、該跳ね上げ手段31は、前記前側ブラケット13及び後側ブラケット14と、リンク部材41、42及び43、44と、運動変換駆動装置15とより構成されてなる。
【0020】
前記リンク部材41、42及び43、44は、長さの異なる2本づつであると共に前側FR、後側RRの合計4本の不均等な部材であり、前記前側ブラケット13及び後側ブラケット14の貫通孔を介して挿通してなる第1ピン26及び第4ピン29により、前記各リンク部材41、42及び43、44の一端部41a、42a及び43a、44aを回転自在に軸支されてなる。前記各リンク部材41、42及び43、44の他端部41b、42b及び43b、44bは、第2ピン30と前、後シート側ブラケット16、16とが回転自在に軸支され且つ第3ピン28により回転自在に軸支されてなる。
【0021】
前記運動変換駆動装置15は、前記前側ブラケット13に締結具48に固設されてなるブラケット47に支持されていて、モータMの出力軸(図示省略)の回転運動を上下方向の往復直進運動に変換して出力可能なるリードスクリュウ15aを有する。該リードスクリュウ15aの先端部であるリンク結合部15bには、ガイドピン12が設けられ、前記ベースフレーム5に支持したガイドブラケット11に形成されてなる長孔状のガイド部11aをスライド自在に係合している。
【0022】
前記自動車の前後FR、RR方向で対となる一組のリンク部材41、43は、正面視で略くの字状をなし、その凹状部分を室外側OSの側方に向けた状態で、前側ブラケット13及び後側ブラケット14の貫通孔に挿通された第1ピン26、26により、一端側41a、43aが、上下回転自在に軸支されてなる。
【0023】
前記自動車の前後FR、RR方向で対となる他の一組のリンク部材42、44では、前側ブラケット13及び後側ブラケット14の貫通孔に挿通された第4ピン29、29により、一端側42a、44aが、上下回転自在に軸支されてなる。
【0024】
また、前記シート側ブラケット16、16には、各々上下回転自在に取り付けられた各リンク部材41、43及び42、44の他端部41b、43b及び42b、44bが、第2ピン30及び第3ピン28、28により連結されている。
【0025】
そして、前記一方の各リンク部材41、43が、前記他方の各リンク部材42、44よりも、車幅方向外側位置となるように取り付けられることによって、相互に干渉することなく、前記第2ピン30が車幅方向に沿って振り子状に揺動可能となるように連結されている。
【0026】
この実施の形態では、前記前側ブラケット13、後側ブラケット14で、前記各リンク部材41、43の一端側41a、43aを軸支する第1ピン26、26と、前記各リンク部材42、44の一端側42a、44aを軸支する第4ピン29、29との間の寸法は、前記各リンク部材41、43の他端側41b、43bを軸支する第2ピン30と、前記各リンク部材42、44の他端側42b、44bを軸支する第3ピン28との間の寸法よりも大きくなるように設定されている。
【0027】
また、この跳ね上げ手段31では、前記各リンク部材42、44の他端側42b、44b及び前記各リンク部材41、43の他端側41b、43bが、各々上下回転自在に連結された前記前後シート側ブラケット16、16には、自動車の前後FR、RR方向へ長手方向を延設する第2ピン30が、一体に連結されている。
【0028】
そして、この第2ピン30によって、着座可能状態である跳ね上げ前の状態では、前記シートクッション2のうち、車幅方向外側に位置する側端部近傍の下面側が、下側DWから支持されるように構成されている。
【0029】
また、この跳ね上げ手段31では、前記シートクッション2が跳ね上げられた格納状態では、前記各リンク部材42、44の他端側42b、44b及び前記各リンク部材41、43の他端側41b、43bが、各々室内RM方向へ移動する。
【0030】
この実施の形態では、前記跳ね上げ手段31のリンク部材41、43の軸間寸法が、リンク部材42、44の軸間寸法に比して、小さく設定されている為、第2ピン30によって支持される前記シートクッション2の側端部が、上側UPを凹状とする湾曲する軌跡を描きながら、車幅方向へ側面視略振り子状に揺動可能となるように連結されている。
【0031】
このようにして、前記シートクッション2の車幅方向外側に位置する側端面を、着座可能状態の場合よりも、ホイールハウスに近接するように移動させる構成とされている。
【0032】
また、ベースフレーム5の下面側のガイドブラケット11と、前記ホイールハウス側の前側ブラケット13との間には、運動変換駆動装置15が介在されてなることにより「車体側壁」であるホイールハウス側へシートクッション2が跳ね上げられて格納可能となれている。
【0033】
前側ブラケット13と後側ブラケット14とは、ホイールハウスに沿って上側UPから下側DWに延在して形成され且つプレート49により配され、ベースフレーム5が第1ピン26により上下回転自在に軸支されてなる。前記ベースフレーム5には、前、後シート側ブラケット16が第2ピン30により上下回転自在に軸支されてなる。前、後シート側ブラケット16、16の第2ピン30と反対側、即ち室内IS側は、前記ベースフレーム5を介してクッションフレーム4が着座可能位置から格納位置に移動可能に支持されてなる。前記前側ブラケット13、後側ブラケット14には、リンク部材42,44が第4ピン29により上下回転自在に軸支されてなる。符号50は連結ロッドである。
【0034】
前記シートバック3は、前側FRから後側RRを見て、閉ループ状に形成されてなる鉄製パイプ材よりなるバックフレーム17と、このバックフレーム17の上側UPに配され且つヘッドレスト(図示省略)のスティが上下UP、DWに昇降可能に支持してなるヘッドレストホルダー18、18と、上下UP、DWに離間した位置に配され且つバックフレーム17の室外側OSから室内側ISの端部に溶接支持されてなるワイヤ19、19とよりなる。シートクッション2とシートバック3とは、接続部4a、17aを介して第5ピン22により回転自在に支持されてなる。符号23は、リクライニング装置である。
【0035】
上記構成によれば、シートクッション2の一方側である乗り物の室内IS側に支持され且つ前記シートクッション2の着座可能位置で保持されると共に離脱可能なるベース部材9と、前記シートクッション2の他方側である乗り物の側壁側に支持され且つ前記シートクッション2の格納位置に跳ね上げ移動可能なる跳ね上げ手段31とより少なくとも構成されてなる乗り物用座席であって、前記跳ね上げ手段31は、前記側壁側に前後に離間して固定されてなる前側ブラケット13及び後側ブラケット14と、前側ブラケット13及び後側ブラケット14に一方が回転自在に軸支され且つ前記シートクッション2のクッションフレーム4に他方が固持されてなるリンク部材41、42、43、44と、前記側壁側に固定され且つモータMの出力軸の回転運動を往復直線運動に変換して出没可能なるリードスクリュウ15aを有する運動変換駆動装置15とより構成されてなり、前記シートクッション2には、長孔状のガイド部11aを有するガイドブラケット11が突設支持されてなり、前記リードスクリュウ15aの先端部に支持したガイドピン12が前記ガイド部11aをスライドすることで、前記シートクッション2が移動可能なため、モータMのロックを解除するためのアクチュエータと、その制御装置とを配しなくて良い分、軽量化が図れ、製造原価を低減できる、という効果を奏する。
【0036】
また、前記ベース部材9は、前記運動変換駆動装置15のリードスクリュウ15aの移動により連結ワイヤ20を介して保持位置をロックオフ可能なるため、ロックオフ手段がなくても、ロックを解除でき、軽量化が図れ、製造原価を低減できる、という効果を奏する。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。乗り物として自動車の例を持って説明したが、これに限らず、航空機、船舶、車両などの座席でも良い。