特許第6188545号(P6188545)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6188545-硫化物系ガス吸着用積層体 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188545
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】硫化物系ガス吸着用積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/18 20060101AFI20170821BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20170821BHJP
   B01D 53/02 20060101ALI20170821BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   B32B27/18 F
   B32B27/30 B
   B01D53/02
   B01J20/28 A
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-230246(P2013-230246)
(22)【出願日】2013年11月6日
(65)【公開番号】特開2015-89644(P2015-89644A)
(43)【公開日】2015年5月11日
【審査請求日】2016年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000162113
【氏名又は名称】共同印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】安田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】山中 香織
(72)【発明者】
【氏名】池田 雅史
【審査官】 岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−235494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/00−27/42
B01D 53/02−53/12
B01J 20/00−20/34
B01D 39/00−41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ビニルモノマー由来の繰返し単位及びジエンモノマー由来の繰返し単位を有する芳香族ビニル−ジエン系共重合体を含む第1のスキン層、並びに
硫化物を吸着する無機吸着剤及びバインダーを含む吸着層
を有する、硫化物系ガス吸着用積層体。
【請求項2】
前記第1のスキン層が、前記芳香族ビニル−ジエン系共重合体以外の熱可塑性樹脂をさらに含む、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物からなる群より選択される樹脂である、請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記芳香族ビニル−ジエン系共重合体が、前記第1のスキン層の重量に対して、10重量%以上60重量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項5】
前記無機吸着剤が、銅、鉄、亜鉛、マンガン、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、及びランタノイド元素から選ばれる少なくとも1種の金属の塩を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項6】
前記バインダーが、ポリオレフィン系樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物からなる群より選択される樹脂を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項7】
前記吸着層の前記第1のスキン層とは反対側に、熱可塑性樹脂を含む第2のスキン層を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項8】
前記第2のスキン層の熱可塑性樹脂が、芳香族ビニルモノマー由来の繰返し単位及びジエンモノマー由来の繰返し単位を有する芳香族ビニル−ジエン系共重合体を含む、請求項7に記載の積層体。
【請求項9】
前記芳香族ビニル−ジエン系共重合体が、前記第2のスキン層の重量に対して、10重量%以上60重量%以下である、請求項8に記載の積層体。
【請求項10】
前記第2のスキン層の熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物からなる群より選択される樹脂を含む、請求項7〜9のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項11】
前記第1及び/又は前記第2のスキン層の芳香族ビニル−ジエン系共重合体が、スチレン−ブタジエン共重合体である、請求項8又は9に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫化物系のガスを吸着する吸着剤を含む硫化物系ガス吸着用積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
硫化物系のガス、例えば硫化水素、メルカプタン等は、引火性及び毒性を有する有害なガスであり、また微量であっても刺激臭をもたらす。さらに、これらは高い腐食性を有するため、これらが発生する機器等では腐食等の問題が生じる場合がある。
【0003】
例えば、硫化物系固体電解質を用いる全固体型リチウム電池では、硫化物系固体電解質が水分と接触すると内部で硫化水素が発生し、その性能が著しく劣化するという問題がある。
【0004】
発光ダイオード(LED)機器においても、LED素子及び周辺部材(特に銀のリフレクタ部品)が腐食し、初期出力が長期にわたって低下し、かつ/又は色調が変化するという問題がある。また、硫化物系ガスの発生する工場内では、生産機械を制御するための回路基板等の金属部材、例えば銀又は銅の端子が腐食して、断線やショートが起こりやすくなるという問題がある。このような問題は、表示装置や通信機の内部でも発生することがあり、これらでは銅、銀等の金属部材が用いられているため、硫化物系ガスが存在する場所では腐食する。さらに、硫化物系ガスの濃度が高い下水道、排水処理施設等でも、金属部材やコンクリート材が腐食して劣化するという問題が起こりうる。
【0005】
このような問題に対処するために、特許文献1に記載のような硫化物系ガスを除去するための吸着剤を用いることできる。そしてその場合、硫化物系ガス用の無機吸着剤は、単体では通常は粒状又は粉状であるため、他の無機吸着剤又は無機吸収剤と同様に、これらを繊維等に担持させ、又は樹脂に混練して用いることが考えられる。
【0006】
樹脂に混練して用いる方法は、通気性の繊維等に担持させて用いる方法と比較して、一般的にガスの吸着性能が低くなることがある一方で、様々な形状の成形体に加工して様々な用途に用いることができるという利点がある。
【0007】
しかし、吸着剤含有樹脂組成物をフィルム化する場合には、吸着剤の量を増やすに従って、フィルム強度の低下、表面粗さの悪化、ヒートシール性の低下、吸着剤の脱離等といった問題が起こる場合がある。
【0008】
それに対して、特許文献2では、ゼオライト等の無機吸湿剤をLDPEに混練させて得た吸湿層に、補強フィルムを積層した積層体を開示している。この積層体は、上記のような問題は起こらず、様々な用途に使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−104274号公報
【特許文献2】特開2005−280188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
硫化物系ガス用の吸着剤を、上記の機器や部材の近くで用いようとする場合には、吸着剤の脱離等を防止するために、特許文献2に記載の発明のように、吸着剤を含む層と吸着剤を含まない層との積層体として用いればよいと考えられる。しかしながら、硫化物系ガス吸着剤を、そのような積層体で用いた場合には、吸着性能が不十分となることが分かった。
【0011】
そこで、本発明は、様々な用途に用いることができ、かつ硫化物系ガスの吸着性能が高い積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、以下の手段により、上記課題を解決できることを見出した。
[1] 芳香族ビニルモノマー由来の繰返し単位及びジエンモノマー由来の繰返し単位を有する芳香族ビニル−ジエン系共重合体を含む第1のスキン層、並びに
硫化物を吸着する無機吸着剤及びバインダーを含む吸着層
を有する、硫化物系ガス吸着用積層体。
[2] 前記第1のスキン層が、前記芳香族ビニル−ジエン系共重合体以外の熱可塑性樹脂をさらに含む、[1]に記載の積層体。
[3] 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物からなる群より選択される樹脂である、[2]に記載の積層体。
[4] 前記芳香族ビニル−ジエン系共重合体が、前記第1のスキン層の重量に対して、10重量%以上60重量%以下である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の積層体。
[5] 前記無機吸着剤が、銅、鉄、亜鉛、マンガン、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、及びランタノイド元素から選ばれる少なくとも1種の金属の塩を含む、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の積層体。
[6] 前記バインダーが、ポリオレフィン系樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物からなる群より選択される樹脂を含む、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の積層体。
[7] 前記吸着層の前記第1のスキン層とは反対側に、熱可塑性樹脂を含む第2のスキン層を有する、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の積層体。
[8] 前記第2のスキン層の熱可塑性樹脂が、芳香族ビニルモノマー由来の繰返し単位及びジエンモノマー由来の繰返し単位を有する芳香族ビニル−ジエン系共重合体を含む、[7]に記載の積層体。
[9] 前記芳香族ビニル−ジエン系共重合体が、前記第2のスキン層の重量に対して、10重量%以上60重量%以下である、[8]に記載の積層体。
[10] 前記第2のスキン層の熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物からなる群より選択される樹脂を含む、[7]〜[9]のいずれか一項に記載の積層体。
[11] 前記第1及び/又は前記第2のスキン層の芳香族ビニル−ジエン系共重合体が、スチレン−ブタジエン共重合体である、[10]に記載の積層体。
【発明の効果】
【0013】
本発明の積層体は、フィルム強度、表面粗さ、及びヒートシール性が良好であり、かつ吸着剤の脱落を防ぐことができ、さらに硫化物系ガスの吸着性能が高い。したがって、本発明の積層体は、様々な用途に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1(a)は、本発明の一実施態様である、第1のスキン層1及び吸着層3からなる2層の積層体10を示しており、図1(b)は、本発明の一実施態様である第1のスキン層1、第2のスキン層2、及び吸着層3からなる3層の積層体を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<硫化物系ガス吸着用積層体>
本発明の硫化物系ガス吸着用積層体は、芳香族ビニルモノマー由来の繰返し単位及びジエンモノマー由来の繰返し単位を有する芳香族ビニル−ジエン系共重合体を含む第1のスキン層、並びに硫化物を吸着する無機吸着剤及びバインダーを含む吸着層を有する。ここで、硫化物系ガスとは、硫化水素ガス、メルカプタン系ガス、例えばメタンチオール、エタンチオール等の硫黄を含む物質のガスをいう。
【0016】
本発明の積層体は、吸着層の少なくとも一方にスキン層を有することで、フィルム強度、表面粗さ、及びヒートシール性を向上させることができ、かつ吸着剤の脱落を防ぐことができる。また、このスキン層が、芳香族ビニル−ジエン系共重合体を含むことで、本発明の積層体は、高い硫化物系ガスの吸着性能を与えることができる。
【0017】
すなわち、上述の通り、特許文献2に記載の発明のような吸着層とスキン層との積層体中に、硫化物系の吸着剤を用いた場合には、吸着性能が不十分となる。これに対して、本発明者らは、スキン層に芳香族ビニル−ジエン系共重合体を含有させることで、予想外にも硫化物系ガスの吸着性能を向上できることを見出した。理論に拘束されるものではないが、これは、芳香族ビニル−ジエン系共重合体に対して硫化物系ガスの透過性が高いことに起因していると推測される。
【0018】
図1(a)は、本発明の一実施態様である、第1のスキン層1及び吸着層3からなる2層の積層体10を示している。図1(b)は、本発明の一実施態様である第1のスキン層1、第2のスキン層2、及び吸着層3からなる3層の積層体を示している。このような積層体は、スキン層同士をヒートシールすることによって、袋状に成形してもよい。
【0019】
(第1のスキン層)
第1のスキン層は、芳香族ビニル−ジエン系共重合体を含む。第1のスキン層が芳香族ビニル−ジエン系共重合体を含むことによって、硫化物系ガスが第1のスキン層を通して吸着層に容易に到達して、本発明の積層体が硫化物系ガスに対して高い吸着性能を有しているものと考えられる。
【0020】
また、第1のスキン層は、高いフィルム強度、低い表面粗さ、及び高いヒートシール性を積層体に与える。表面粗さに関しては、第1スキン層の算術平均粗さRaは、ISO4287に準拠して測定した場合に、好ましくは2.00μm以下、1.50μm以下、又は1.00μm以下である。
【0021】
ヒートシール性に関しては、第1のスキン層同士をヒートシールした場合に、その密着強度は、JIS K6854−1による90度剥離法に準拠して測定した値が、好ましくは4.0N/15mm以上、6.0N/15mm以上、又は8.0N/15mm以上である。ヒートシールする際の温度は、スキン層の材料に応じて、80〜150℃であることが好ましい。
【0022】
この芳香族ビニル−ジエン系共重合体には、芳香族ビニルモノマー由来の繰返し単位及びジエンモノマー由来の繰返し単位以外に、他の繰返し単位が含まれていてもよい。この芳香族ビニル−ジエン系共重合体は、イオン重合又はラジカル重合により調製することができ、また溶液重合又は乳化重合によって調製することができる。
【0023】
芳香族ビニルモノマー由来の繰返し単位のこの共重合体中に占める割合は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上であり、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。ジエンモノマー由来の繰返し単位のこの共重合体中に占める割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上であり、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。
【0024】
この共重合体を得るために用いられる芳香族ビニルモノマーとしては、例えばスチレン、α―メチルスチレン、o―メチルスチレン、p―メチルスチレン、m―メチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種単独又は2種以上併用して用いることができる。
【0025】
さらにジエンモノマーとしては、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数4〜10の脂肪族ジエン又は脂環族ジエン及びこれらの混合物を挙げることができる。具体的には、1,3−ブタジエン、1,2−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ペンタジエン、イソプレン、1,2−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3ブタジエン、2−エチル−1,3ブタジエン、1,2−ヘプタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−ヘプタジエン、2,3−ヘプタジエン、2,5−ヘプタジエン、3,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種単独又は2種以上を併用して用いることができる。この中でも、好ましくは1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンである。
【0026】
このような共重合体の例としては、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン共重合体(SIR)、スチレン−イソプレンスチレン−ブロック共重合体(SIS)、α−メチルスチレン−ブタジエン共重合体(MSBR)、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体(PSBR)、アクリル酸等を共重合したカルボキシル化SBR(XSBR)、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)又はこれらの誘導体、例えば水素化スチレンブタジエン共重合体が挙げられる。これらは、架橋されていてもよいが、成形性を考慮して、好ましくは未架橋の状態であることが好ましい。
【0027】
共重合体の重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は2,000以上、5,000以上、10,000以上、又は100,000以上であることが好ましく、2,000,000以下、1,500,000以下、1,200,000以下、1,000,000以下又は800,000以下であることが好ましい。共重合体のMwと数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比Mw/Mnは、1.0以上であることが好ましく、10.0以下、7.0以下、5.0以下、又は2.5以下であることが好ましい。なお、Mw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で以て標準サンプルとしてポリスチレンを用いて測定した値である。
【0028】
25℃のトルエン溶液粘度は、この共重合を25重量%含むトルエン溶液の粘度をキャノンフェンスケ型動粘度計を使用して測定した場合に、100mPa・s以上、500mPa・s以上、又は1,000mPa・s以上であることが好ましく、100,000mPa・s以下、50,000mPa・s以下、又は30,000mPa・s以下であることが好ましい。JIS K6300に準拠して測定した場合のムーニー粘度ML(1+4)は、30以上、40以上、45以上、又は50以上であることが好ましく、80以下、70以下、又は60以下であることが好ましい。
【0029】
第1のスキン層は、芳香族ビニル−ジエン系共重合体のみから構成されていてもよいが、インフレーション成形やTダイ成形における成形性を考慮する場合には、芳香族ビニル−ジエン系共重合体とそれ以外の熱可塑性樹脂とを配合して用いることが好ましい。
【0030】
すなわち、第1のスキン層が上記の芳香族ビニル−ジエン系共重合体のみからなる場合に、その軟化温度は、80℃以下となることがあるが、この軟化温度ではインフレーション成形やTダイ成形において不適切な場合がある。そこで、芳香族ビニル−ジエン系共重合体に他の熱可塑性樹脂を配合することによって、硫化物系ガスの吸着能力を一定程度維持しながら、軟化温度を好ましくは5℃以上、10℃以上、又は30℃以上向上させることができる。なお、ここで軟化温度とは、動的粘弾性測定装置TAインスツルメント製DMA Q−800により、3℃/minで昇温させながら測定した貯蔵弾性率の傾きが変化し始める温度である。
【0031】
芳香族ビニル−ジエン系共重合体は、第1のスキン層の重量に対して、成形性の観点から90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、又は60重量%以下で第1のスキン層に含まれることが好ましく、また硫化物系ガスの透過性の観点から10重量%、20重量%、25重量%、30重量%、又は40重量%以上で第1のスキン層に含まれることが好ましい。特に、20重量%超又は30重量%以上で第1のスキン層に含まれると、顕著にその効果を発揮する。
【0032】
第1のスキン層に含有されてもよい芳香族ビニル−ジエン系共重合体以外の熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0033】
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(例えば、線状低密度ポリエチレンなどの低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などが挙げられる。また、ポリオレフィンとして、エチレン又はプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと酸素含有エチレン性不飽和単量体との共重合体などが挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。酸素含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ビニルアルコールなどが挙げられる。また、ポリオレフィンが、共重合体である場合には、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体などが挙げられる。
【0034】
用いることができる熱可塑性樹脂の熱特性としては、例えば、そのメルトマスフローレートが、ポリエチレンの条件を用いてJIS K6922−1に準拠して測定した場合に、好ましくは0.1g/10min以上、0.5g/10min以上、1.0g以上、3.0g/10min以上、又は5.0g/10min以上であり、200g/10min以下、100g/10min以下、50g/10min以下、又は30g/10min以下である。また、例えばメルトマスフローレートは、ポリプロピレンの条件を用いてJIS K7210に準拠して測定した場合に、好ましくは0.1g/10min以上、0.5g/10min以上、1.0g以上、3.0g/10min以上、5.0g/10min以上、又は10g/10min以上であり、200g/10min以下、100g/10min以下、50g/10min以下、又は30g/10min以下である。
【0035】
第1のスキン層の厚みは、適度な成形性及び弾性を得る観点から、5μm以上、10μm以上、又は20μm以上であることが好ましく、100μm以下、70μm以下、50μm以下、又は40μm以下であることが好ましい。
【0036】
(第2のスキン層)
第2のスキン層は、熱可塑性樹脂を含む。第2のスキン層は、第1のスキン層と同じ材料で構成されていてもよく、又は異なる材料で構成されていてもよく、すなわち第2のスキン層は、熱可塑性樹脂として芳香族ビニル−ジエン系共重合体を含んでもよく、又は含まなくてもよい。
【0037】
第2のスキン層に用いることができる熱可塑性樹脂としては、第1のスキン層に用いることができる上記の芳香族ビニル−ジエン系共重合体及び熱可塑性樹脂を挙げることができる。第2のスキン層は、芳香族ビニル−ジエン系共重合体を含まずに例えばポリオレフィン系樹脂によって構成して、第2のスキン層を使用対象への接着面としてもよい。第2のスキン層が芳香族ビニル−ジエン系共重合体を含む場合、その含有量は、第1のスキン層で用いる場合と同じ範囲とすることができる。第2のスキン層の厚みも、第1のスキン層の厚みと同じ範囲とすることができる。
【0038】
(吸着層)
吸着層は、硫化物を吸着する無機吸着剤及びバインダーを含む。バインダーとしては、第2のスキン層に用いることができる熱可塑性樹脂と同じ樹脂を用いることができ、上記の芳香族ビニル−ジエン系共重合体を用いてもよい。
【0039】
本発明で用いる硫化物系ガス吸着剤は、硫化物系ガスを化学的にかつ/又は物理的に吸着する無機吸着剤である。好ましくは、本発明で用いる硫化物系ガス吸着剤は化学吸着剤であり、その表面で硫化物と反応して硫化物を形成することにより吸着する、硫化物を配位結合によって吸着する等の吸着機構を有する無機吸着剤である。硫化物系ガス吸着剤としては物理吸着剤を用いることもでき、例えば酸化アルミニウム、生石灰、シリカゲル、無機の分子篩等を挙げることができる。無機の分子篩の例としては、限定されないが、アルミノケイ酸塩鉱物、クレー、多孔質ガラス、微細孔性活性炭、ゼオライト、活性炭、又は水等の小分子を拡散させることが可能な開口構造をもつ化合物を挙げることができる。
【0040】
この無機吸着剤は、バインダー樹脂100質量部に対して、混練性及び吸着性能を考慮して、0.1質量部以上、1質量部以上、3質量部以上、5質量部以上又は10質量部以上含むことが好ましく、500質量部以下、300質量部以下、100質量部以下、50質量部以下、40質量部以下、又は30質量部以下で含むことが好ましい。
【0041】
そのような無機吸着剤の例としては、銅、鉄、亜鉛、マンガン、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、及びランタノイド元素から選ばれる少なくとも1種の金属を含む化合物又は塩が挙げられる。ジルコニウム及びランタノイド元素の化合物については、特にこれらの水酸化物又は含水酸化物を挙げることができ、例えば特開平1−223968号公報に記載の吸着剤を挙げることができる。また、亜鉛及びマンガンの化合物については、これらの金属イオンを担持させた4価金属リン酸塩を挙げることができ、例えば特開平10−155883号公報に記載の吸着剤を挙げることができる。
【0042】
特に好ましい無機吸着剤としては、銅、亜鉛、マンガン、コバルト、ニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属ケイ酸塩であり、さらに好ましくは金属とケイ素の元素組成(モル)比が、金属/ケイ素=0.60〜0.80の範囲となるものである。このような無機吸着剤は、金属塩とケイ酸アルカリ塩とを反応させて製造することができる。上記金属塩としては、銅、亜鉛、マンガン、コバルト、ニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属の、硫酸、塩酸、硝酸等の無機塩、及び/又はギ酸、酢酸、シュウ酸などの有機塩を用いることができる。これらの内で、金属として好ましいのは銅(I)、銅(II)、亜鉛(I)である。上記ケイ酸塩としては、MO・nSiO・xHO(ここで、式中Mは1価アルカリ金属を表し、nは1以上、かつxは0以上である。)の式のケイ酸アルカリ塩をあげることができる。最も好ましい金属ケイ酸塩は、硫酸銅(II)とケイ酸ナトリウムとの反応生成物である銅(II)ケイ酸塩であり、例えば特開2011−104274号公報に記載のものである。また、市販品では、東亞合成株式会社のケスモン(商標)NS−10C、NS−10N、及びNS−20C等が挙げられる。
【0043】
本発明で用いられる吸着剤の硫化物系ガスの吸着能力は、好ましくは25℃において吸着剤1gあたり、メチルメルカプタンに対して10ml/g以上、20ml/g以上、又は40ml/g以上であり、かつ/又は硫化水素に対して20ml/g以上、40ml/g以上、又は60ml/g以上である。
【0044】
本発明で用いられる吸着剤が粉体状である場合に、その好ましい粒径d50は、0.5〜10.0μmが好ましく、さらに好ましくは1.0〜8.0μmであり、より好ましくは2.0〜5.0μmである。また、d90粒径は、1〜50μmが好ましく、さらに好ましくは2〜30μmである。d50とd90の値の関係は、近いほど吸着剤の粒度が揃っていることになり、加工性などに優れるため、好ましくはd90の値がd50の2倍から15倍の間、さらに好ましくは3倍から12倍の間である。なお、この場合のd50及びd90の測定は、レーザー回折法により測定され、具体的にはマルバーン社製レーザー回折式粒度分布測定装置「MS2000」で測定される。また、好ましい比表面積は、50m/g以上、100m/g以上、200m/g以上、又は250m/g以上であり、この場合、JIS Z8830−2001に準拠して、堀場製作所製連続流動式表面積計「SA−6200」を用いて測定する。
【0045】
上記の吸着剤を、他の吸着剤、例えば活性炭、ゼオライト、シリカゲル、ケイ酸アルミニウム、含水酸化ジルコニウム、リン酸ジルコニウム、酸化亜鉛、及びセピオライト等とさらに組み合わせて用いることもできる。
【0046】
吸着層の厚みは、吸着性能、成形性、及び弾性の観点から、10μm以上、20μm以上、又は30μm以上であることが好ましく、300μm以下、200μm以下、100μm以下、80μm以下、又は50μm以下であることが好ましい。
【0047】
<硫化物系ガス吸着用積層体の製造方法>
本発明の硫化物系ガス吸着用積層体は、上記の各層の材料を各種の成形方法、例えばプレス成型、インフレーション法、Tダイ法、共押出等の押出成形等することにより製造することができる。これらの中でも特に、インフレーション法又はTダイ法による成形が特に好ましい。
【0048】
また、吸着層をインフレーション法、Tダイ法、溶媒キャスト法、プレス等によりフィルムに形成し、第1のスキン層及び随意に第2のスキン層を、これらの方法でフィルム化した後に、吸着層とラミネートすることによって、本発明の積層体を製造することもできる。この際には、使用する材料に応じて、100℃以上、120℃以上、又は140℃以上で、かつ220℃以下、200℃以下、又は180℃以下の温度で各層を成膜することができる。
【0049】
各層で用いられる材料の混練は、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ミキシングロールなどのバッチ式混練機、2軸混練機などの連続混練機などを用いることができる。この際には、使用する材料に応じて、100℃以上、120℃以上、又は140℃以上で、かつ220℃以下、200℃以下、又は180℃以下の温度で混練することができる。
【0050】
<硫化物系ガス吸着用積層体の使用方法>
本発明の硫化物系ガス吸着用積層体は、硫化物系固体電解質を用いる全固体型リチウム電池内で用いることで、内部で発生する硫化水素を吸着し、電池の性能を長期間維持させることができる。また、本発明の積層体をLED素子の付近、又はLEDパッケージ若しくはリードフレームの裏に配置することで、LED素子及び銀のリフレクタ部品等の周辺部材の腐食を防止することができる。硫化物系ガスの発生する場所で用いる機器、例えば工場内の生産機械を制御するための回路基板、並びに工場内で用いる表示装置及び通信機の付近に本発明の積層体を用いることで、それらが含む金属部材、例えば銀又は銅の端子の腐食を防止することができる。さらに、硫化物系ガスの濃度が高い下水道、排水処理施設等の金属部材やコンクリート材の付近に本発明の積層体を配置することで、それらの腐食を防止することができる。
【0051】
上記の場合、本発明の積層体のスキン層をヒートシールすることによって、積層体を使用対象物に付着させることができる。また、本発明の積層体を袋状に形成し、この袋に、例えば銀や銅を含む基板部品を入れて、それを保管又は輸送することで、基板部品等の腐食を防ぐことができる。
【0052】
さらに、本発明の積層体を特開昭62−64737号公報に記載の食品包装用のフィルムのように用いることができる。例えば、従来のレトルトパウチでは、生の魚介類等を加熱殺菌すると、硫化水素が発生し、この硫化水素によって内容食品特有の風味が失われ、硫化水素の異臭が残存し、商品価値を著しく低下させてしまう。このような場合、本発明の積層体を用いてレトルトパウチを構成する、又は本発明の積層体を内部に封入することにより、発生した硫化水素を吸着することが可能であるため、内容物の風味の劣化を抑制することができる。
【実施例】
【0053】
1.スキン層用フィルムの作製
芳香族ビニル−ジエン系共重合体としてSBR(アサプレン432、旭化成ケミカルズ株式会社製)と、ポリオレフィン系樹脂としてポリプロピレン(FL02A、日本ポリプロ株式会社製)とを、表1に記載の割合で配合させて、これをバンバリーミキサーで、回転数100rpm、シリンダー温度160℃で10分混練した。そして、その混練体を、160℃のTダイを用いて、Tダイ法によって50μmの膜厚のフィルムに成形した。
【0054】
2.吸着層用フィルムの作製
バインダーとして90質量部のポリプロピレン(FL02A、日本ポリプロ株式会社製)と、無機吸着剤として10質量部の銅(II)ケイ酸塩系吸着剤(ケスモンNS−20C、東亞合成社製)とをバンバリーミキサーで、回転数100rpm、シリンダー温度160℃で10分混練した。これを、160℃のTダイを用いて、Tダイ法によって50μmの膜厚のフィルムに成形した。
【0055】
3.積層体の作製
上記の吸着用フィルムの両面に、上記のスキン層フィルムを重ね合わせて熱プレスして3層のフィルムからなる積層体を作製した。プレス後の積層体の厚みは、80μmであり、スキン層がそれぞれ30μmずつで、吸着層が20μmであった。
【0056】
4.硫化水素吸着量の評価
上記積層体を10mm×10mmにカットし、これをアルミパックに入れた。そのアルミパックに100ppmの硫化水素標準ガス(残部:窒素)を200ml注入し、24時間後のアルミパック内の硫化水素量をガスクロマトグラフィーで測定することで、各積層体の硫化水素吸着量を評価した。
【0057】
5.シール強度の評価
上記積層体を15mm×70mmにカットした短冊状フィルムを作製し、これを2枚重ね合わせて、130℃かつ0.2MPaの条件で0.7秒間ヒートシールをして、シール強度測定用のサンプルを作製した。このサンプルを、引っ張り試験器(株式会社東洋精機製作所、ストログラフVE100)を用いて、JIS K 6854−1に準拠して、90°剥離試験を行った。ここでは、剥離時間は、300mm/minとして、チャック間距離は50mmとした。
【0058】
6.結果
これらの結果を以下の表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
表1から明らかなように、スキン層に含まれる芳香族ビニル−ジエン系共重合体の量を増やせば増やすほど、硫化物系ガスの吸着量を高めることができる。また、芳香族ビニル−ジエン系共重合体の量を一定以上含ませると、積層体のヒートシール強度も高められることが分かった。さらに、芳香族ビニル-ジエン系共重合体の含有量が20重量%超又は30重量%以上では、特に顕著に、硫化物系ガスの吸着量を高められることが分かった。
【0061】
上記の実施態様においては、SBRを70質量部としたところTダイ法ではスキン層を成形することができなかった。しかしながら、以下の参考例のようなプレス法によってスキン層を形成して、吸着層とラミネートすれば、スキン層をSBRのみで構成できることは明らかある。
【0062】
7.参考例
以下の参考例では、吸着層のバインダーに様々な樹脂を用いることで、吸着層による硫化物系ガスの吸着量がどのように変わるかを示す。この実験では、芳香族ビニル−ジエン系共重合体が、予想外にも高い硫化物系ガス透過率を有していることを示唆している。
【0063】
下記の表2に記載のバインダー樹脂90質量部と、硫化物系ガス吸着剤であるケスモンNS−20C(東亞合成社製)10質量部とをバンバリーミキサーで、回転数50rpm、温度140℃で10分混練し、吸着剤を含有する混練体を得た。これらの混練体をプレス機で温度140℃圧力20MPaで30秒間プレスし、厚み50μmの参考例1〜8の硫黄系ガス吸着用フィルムを得た。
【0064】
このフィルムを25mm×10mmにカットし、アルミパックに入れ100ppmの硫化水素標準ガス(残部:窒素)を一定量注入し、24時間後のアルミパック内の硫化水素量をガスクロマトグラフィーでアルミパック内の硫化水素量を測定することで吸着量を得た。
【0065】
【表2】
【0066】
なお、アサプレン411、432、及び437はスチレン比が30%の溶液重合SBRであり、分子量はこれら3つの中でアサプレン411が最も高く、次にアサプレン432であり、最も低いのはアサプレン437である。Nipol 1502は、スチレン比が23.5%の乳化重合SBRである。
【0067】
SBRに吸着剤を含む参考例1〜4においては、上記の測定方法による硫化水素吸着量が、全て10.0μL/mg・24h以上の高い値となっているが、ブタジエンゴム(BR)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、及びポリプロピレン(PP)に吸着剤を含む参考例5〜8は、硫化水素吸着量が非常に低くなっている。
【0068】
一般的にBRは、SBRよりも水素、窒素、酸素及び二酸化炭素の気体透過率が高いために(「新版 ゴム技術の基礎」、平成14年1月30日改訂版、社団法人日本ゴム協会、第115頁、表5.14を参照)、通常は、硫化水素についてもSBRよりBRの方が、透過率が低いもの考えるのが自然である。したがって、SBRとBRとに吸着剤を同じように含有させた樹脂組成物においては、BRの組成物の方が、SBRの組成物よりも高い吸着性能を発揮できると考えるのが通常である。しかしながら、上記の実験では、この推測とは正反対の結果が得られており、SBRの組成物が予想外にも高い吸着性能を示した。理論に拘束されないが、水素、窒素、酸素及び二酸化炭素の透過率に対してはBRの方が高いが、硫化水素に対しては、SBRの方が透過率が高いためと推測される。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の積層体は、フィルム強度、表面粗さ、及びヒートシール性が良好であり、かつ吸着剤の脱落を防ぐことができ、さらに硫化物系ガスの吸着性能が高いために、様々な用途に用いることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 第1のスキン層
2 第2のスキン層
3 吸着層
10 硫化物系ガス吸着用積層体
図1