特許第6188546号(P6188546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188546
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20170821BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   H04M9/00 D
   A61G12/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-230410(P2013-230410)
(22)【出願日】2013年11月6日
(65)【公開番号】特開2014-179968(P2014-179968A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2016年8月25日
(31)【優先権主張番号】特願2013-29252(P2013-29252)
(32)【優先日】2013年2月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】楠 浩和
(72)【発明者】
【氏名】清水 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】保田 直人
【審査官】 石田 紀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−050447(JP,A)
【文献】 特開2005−348149(JP,A)
【文献】 特開2004−310277(JP,A)
【文献】 特開2004−302521(JP,A)
【文献】 特開2001−318871(JP,A)
【文献】 特開2010−079712(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0205061(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 9/00
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
看護師を呼び出すためにベッド毎に設置されたナースコール子機と、前記ナースコール子機による呼び出しに応答するためにナースステーションに設置されたナースコール親機と、前記ナースコール子機による呼び出しに応答するために看護師が携行する複数の携帯端末と、前記ナースコール子機、前記ナースコール親機、前記携帯端末の間の通信を制御する制御機とを有するナースコールシステムにおいて、
同一の前記制御機に制御される前記ナースコール親機を複数具備し、
前記ナースコール親機が看護師の勤務帯切替に合わせて関連する情報を切り替えるための勤務帯切替制御部を具備する一方、前記制御機が前記ナースコール親機の勤務帯設定を管理する勤務帯切替管理部を具備し、
任意の前記ナースコール親機において勤務帯切替操作が成されたら、当該ナースコール親機の前記勤務帯切替制御部が前記制御機に対して勤務帯切替を通知すると共に、前記勤務帯切替の通知を受けた前記勤務帯切替管理部は、所定の条件を満たしている他の前記ナースコール親機に対して勤務帯切替信号を送信し、
前記勤務帯切替信号を受信した前記勤務帯切替制御部は、勤務帯切替操作が成された前記ナースコール親機に連動して勤務帯切替を実施することを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
前記所定の条件が、前記勤務帯切替の通知を受けた時点で前記ナースコール親機及び当該ナースコール親機に関連付けられている前記携帯端末が待受状態にある場合であり、
前記勤務帯切替管理部は、前記勤務帯切替の通知を受けた時点で待受状態に無い前記ナースコール親機に対しては前記勤務帯切替信号の送信を保留し、待受状態への移行を受けて送信を実施することを特徴とする請求項1記載のナースコールシステム。
【請求項3】
前記所定の条件が、前記勤務帯切替の通知を受けた時点で前記ナースコール親機及び当該ナースコール親機に関連付けられている前記携帯端末が待受状態にある場合であり、
前記勤務帯切替管理部は、前記勤務帯切替の通知を受けた時点で待受状態に無い前記ナースコール親機に対して、勤務帯切替信号を送信しないことを特徴とする請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項4】
前記勤務帯切替管理部は、前記勤務帯切替信号を送信しなかった前記ナースコール親機に対して、勤務帯変更が未実施である旨を通知する所定のメッセージを表示させる制御を実施し、
前記メッセージ表示制御を受けた前記ナースコール親機は、表示部に前記所定のメッセージを表示することを特徴とする請求項3記載のナースコールシステム。
【請求項5】
前記勤務帯切替制御部或いは前記勤務帯切替管理部は、前記勤務帯変更未実施の表示後、所定時間が経過しても切替操作が行われなかったら、当該ナースコール親機において表示或いは報音により勤務帯切替を催促する動作を実施させることを特徴とする請求項4記載のナースコールシステム。
【請求項6】
前記ナースコール親機は複数のグループに分けられ、個々のナースコール親機は何れかの前記グループに所属すると共に、当該グループを前記制御機が記憶し、
前記所定の条件を満たし、且つ勤務帯切替操作が成された前記ナースコール親機が属しているグループの他の前記ナースコール親機に対して勤務帯切替信号を送信することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナースコールシステムに関し、特に複数のナースコール親機が共通の制御機により制御されるナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
看護師は通常、日勤、準夜勤、夜勤と1日を3分割した勤務帯で順次交代することで入院患者に対して24時間対応するのが一般的となっている。このような勤務形態の場合、看護に空白な時間ができないように勤務帯の切り替えが一斉に行われ、ナースコールシステムでは、勤務帯が切り替わる度にナースコール親機を操作して担当看護師データ等の内部データの変更が行われる。
特に、看護師が携帯端末を携行して、ナースステーションに居なくても患者からの呼び出しに応答できる構成においては、勤務帯が切り替わると変更された担当看護師に合わせて携帯端末の番号変更も必須であり、携帯端末データの切り替えを同時に実施しなければならなかった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−111754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、携帯端末を具備したナースコールシステムでは、看護師が入れ替わったにも関わらず、ナースコール親機において勤務帯切替が行われていなければ、患者からの呼び出しに対して、携帯端末の呼び出しが適切に行われない事態が発生した。
【0005】
一方で、従来のナースコールシステムでは、コストダウン等から1台の制御機が複数のナースコール親機を制御する形態がある。しかしながら、このような複数のナースコール親機が共通する制御機で制御される構成であっても、勤務帯切替はそれぞれのナースコール親機で行っており、全てのナースコール親機の切替操作を一斉に行うのは面倒であった。また、それぞれ操作する看護師が異なるため、切替忘れが発生する場合もあった。
そのため、タイマー制御で設定時刻になったら自動でシステムデータを切り替える変更形態も考えられるが、患者の処置中であったり緊急対応の患者が発生した場合等、時間で一律に勤務帯切替を実施するのは逆に混乱を招くこともあり、看護師により状況を見計らって切り替えるのが望まれている。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、複数のナースコール親機が共通する制御機で制御されている場合に、任意のナースコール親機において勤務帯切替操作が成されると、制御機を共通としている他のナースコール親機も同時に勤務帯切替を実施するナースコールシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、看護師を呼び出すためにベッド毎に設置されたナースコール子機と、ナースコール子機による呼び出しに応答するためにナースステーションに設置されたナースコール親機と、ナースコール子機による呼び出しに応答するために看護師が携行する複数の携帯端末と、ナースコール子機、ナースコール親機、携帯端末の間の通信を制御する制御機とを有するナースコールシステムにおいて、同一の制御機に制御されるナースコール親機を複数具備し、ナースコール親機が看護師の勤務帯切替に合わせて関連する情報を切り替えるための勤務帯切替制御部を具備する一方、制御機がナースコール親機の勤務帯設定を管理する勤務帯切替管理部を具備し、任意のナースコール親機において勤務帯切替操作が成されたら、当該ナースコール親機の勤務帯切替制御部が制御機に対して勤務帯切替を通知すると共に、勤務帯切替の通知を受けた勤務帯切替管理部は、所定の条件を満たしている他のナースコール親機に対して勤務帯切替信号を送信し、勤務帯切替信号を受信した勤務帯切替制御部は、勤務帯切替操作が成されたナースコール親機に連動して勤務帯切替を実施することを特徴とする。
この構成によれば、任意のナースコール親機において勤務帯切替操作を実施すると、他のナースコール親機も所定の条件を満たしていれば連動して勤務帯切替を実施するため、それぞれのナースコール親機において勤務帯切替を行う必要がなくなり、勤務帯切替忘れを防止できる。そして、切り替えは看護師の操作で行われるため、看護師の求めるタイミングで切り替えでき、現場が混乱することがない。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、所定の条件が、勤務帯切替の通知を受けた時点でナースコール親機及び当該ナースコール親機に関連付けられている携帯端末が待受状態にある場合であり、勤務帯切替管理部は、勤務帯切替の通知を受けた時点で待受状態に無いナースコール親機に対しては勤務帯切替信号の送信を保留し、待受状態への移行を受けて送信を実施することを特徴とする。
この構成によれば、勤務帯切替操作を行った時点で通話中等で待受状態にないナースコール親機があっても、待受状態への移行を待って切り替えが成されるため、通話終了を待って切替操作を行う必要が無く、看護師の負担を軽減できる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1に記載の構成において、所定の条件が、勤務帯切替の通知を受けた時点でナースコール親機及び当該ナースコール親機に関連付けられている携帯端末が待受状態にある場合であり、勤務帯切替管理部は、勤務帯切替の通知を受けた時点で待受状態に無いナースコール親機に対して、勤務帯切替信号を送信しないことを特徴とする。
この構成によれば、切替対象のナースコール親機が通話中或いは関連する携帯端末が通話中等で待受状態で無い場合は勤務帯切替を実施しないため、看護師が緊急の処置等で使用中にあるナースコール親機の通話路が突然切断されるような事態に至ることが無く、看護師の負担を軽減できる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3に記載の構成において、勤務帯切替管理部は、勤務帯切替信号を送信しなかったナースコール親機に対して、勤務帯変更が未実施である旨を通知する所定のメッセージを表示させる制御を実施し、ナースコール親機は表示部に所定のメッセージを表示することを特徴とする。
この構成によれば、ナースコール親機の表示から看護師は勤務帯切替が未実施であることを認識でき、切り替えずに放置される事態を防止できる。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載の構成において、勤務帯切替制御部或いは勤務帯切替管理部は、勤務帯変更未実施の表示後、所定時間が経過しても切替操作が行われなかったら、当該ナースコール親機において表示或いは報音により勤務帯切替を催促する動作を実施させることを特徴とする。
この構成によれば、勤務帯切替操作が成されてから、所定時間が経過しても勤務帯切り替えが実施されないナースコール親機に対しては、切り替えを催促する表示等を実施するため、勤務帯切替が忘れられるのを防止できる。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の構成において、ナースコール親機は複数のグループに分けられ、個々のナースコール親機は何れかのグループに所属すると共に、当該グループを制御機が記憶し、所定の条件を満たし、且つ勤務帯切替操作が成されたナースコール親機が属しているグループの他のナースコール親機に対して勤務帯切替信号を送信することを特徴とする。
この構成によれば、同一の制御機が制御する複数のナースコール親機のうち、切替操作したナースコール親機と同一グループであって且つ所定の条件を満たしていれば、連動して勤務帯切替を実施する。よって、看護師の勤務時間帯が異なる病棟を跨いでナースコール親機が複数設置されても、ナースコール親機を同一の勤務時間帯でグループ分けすれば、1台の制御機により複数病棟のナースコール親機を制御することができ、システム全体のコストを低減できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、任意のナースコール親機において勤務帯切替操作を実施すると、他のナースコール親機も所定の条件を満たしていれば連動して勤務帯切替を実施するため、それぞれのナースコール親機において勤務帯切替を行う必要がなくなり、勤務帯切替忘れを防止できる。そして、切り替えは看護師の操作で行われるため、看護師の求めるタイミングで切り替えでき、現場が混乱することがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るナースコールシステムの一例を示す構成図である。
図2】ナースコール親機の回路ブロック図である。
図3】制御機の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るナースコールシステムの構成図であり、1はベッド毎に設置されて患者が看護師を呼び出して通話するためのナースコール子機、2は各病室の出入口に設置されて患者からの呼出発生を報知する表示灯2aと液晶ディスプレイから成る患者名表示部2bとを備えた廊下灯、3はナースステーションに設置されて患者からの呼び出しを報知し、応答するためのナースコール親機、4は看護師が携行して患者からの呼び出しに応答するための携帯端末、5はナースコール子機1とナースコール親機3と携帯端末4の間の通信を制御する制御機、6は基地局7と携帯端末4との間の通信を管理する交換機である。
【0016】
廊下灯2、ナースコール親機3、制御機5等はそれぞれHUB10を介してLAN接続され、ナースコール子機1は病室毎に廊下灯2に伝送線L1を介して接続され、交換機6は伝送線L2を介して制御機5に接続されている。
【0017】
ナースコール子機1は、呼出ボタン1aと壁面に設置されて呼出ボタン1aの接続部及び患者が看護師と通話するための通話部を備えたプレート子機1bとを有している。
【0018】
ナースコール親機3は、患者と通話するためのハンドセットや報音部を備えた通話部31、各種情報を表示する表示部32、個々の患者の患者情報表示部Mが一覧表示されたボード部33等を有し、ここでは3台のナースコール親機3(第1ナースコール親機3a〜第3ナースコール親機3c)を1台の制御機5が制御する形態を示している。
図2はこのナースコール親機3の要部回路ブロック図を示している。図2に示すように、ナースコール親機3は表示部32の表示を制御する表示処理部35、表示部32に組み付けられた操作部としてのタッチパネル36、個々の患者の担当看護師情報等を記憶する担当看護師記憶部37、ナースコール親機3全体を制御する親機CPU38、通話部31で報音する報知音或いは通話部31から入力される音声信号を処理する音声処理部39、他のナースコール機器とHUB10を介してLAN接続するための通信IF40等を備えている。
【0019】
携帯端末4はスマートフォンが適用され、各種情報を表示するディスプレイ4aを有し、ディスプレイ4aには応答操作等を行うタッチパネル4bが組み込まれている。そして、携帯端末4はナースコール親機3毎にグループ分けされ、それぞれのナースコール親機3に対して携帯端末4のグループが関連付けられている。
【0020】
図3は制御機5の回路ブロック図を示している。図3に示すように、制御機5は、携帯端末4と看護師の対応関係を記憶する携帯端末/看護師関連テーブル記憶部51、ナースコール親機毎の看護師チーム、換言すれば病棟毎のそれぞれの勤務帯を担当する看護師チームを記憶するチーム記憶部52、患者とナースコール子機1との関係や担当医師や救護区分等の患者情報を記憶する患者情報記憶部53、勤務帯切替情報等を記憶する情報記憶部54、機器間の通信を制御すると共に制御機全体を制御する制御機CPU55、他のナースコール機器とHUB10を介してLAN接続する第1通信IF56、交換機7と通信する第2通信IF57等を備えている。
【0021】
上記の如く構成されたナースコールシステムの動作を次に説明する。最初に、基本動作である、ナースコール子機による呼び出し、及びその応答について簡単に説明する。
ナースコール子機1の呼出ボタン1aが呼出操作されると、廊下灯2がそれを検知して、表示灯2aを点灯して呼出発生を報知すると共に、患者名表示部2bに呼出元の患者情報を表示する。そして、病室番号及びベッド番号(子機番号)の呼出元情報が廊下灯2において呼出信号に添付されて制御機5に送信される。
【0022】
呼出信号を受信した制御機5は、患者情報記憶部53等から患者情報を入手し、呼出信号に添付してナースコール親機3へ送信する。このとき、患者情報記憶部53等から呼出信号送信先のナースコール親機3が選択され、特定したナースコール親機3に対して呼出信号が送信される。
また、選択したナースコール親機3の担当看護師記憶部37から担当看護師を読み取り、携帯端末/看護師関連テーブル記憶部51から携帯端末4を選択して呼出信号を送信する。呼出信号は、交換機6、基地局7を介して携帯端末4へ送信される。
制御機5から呼出信号を受信したナースコール親機3は、呼出発生を報音通知すると共に、呼出信号に添付されている呼出元情報及び患者情報に基づいて表示部32に患者氏名等の患者情報を表示する。また、呼出信号を受信した携帯端末4では、呼出音が鳴動すると共にディスプレイ4aに患者情報が表示される。
【0023】
こうして患者からの呼出発生を認識した看護師が応答操作すると、通話路が形成されて患者と通話が可能となる。具体的に、ナースコール親機3で応答操作すると、制御機5がナースコール親機3と呼出元のナースコール子機1との間の通話路を形成するし、携帯端末4で応答操作すると、同様に制御機5が、交換機6、基地局7を介して携帯端末4とナースコール子機1との間の通話路を形成する。
【0024】
次に、勤務帯切替動作について説明する。但し、ここでは日勤、準夜勤、深夜勤の3交代制とし、日勤から準夜勤へ変更する場合を一例として説明する。また、勤務帯切替制御には、切替操作した際に通話路形成中のナースコール親機がある場合はそのナースコール親機に対して勤務帯切替を行わない制御と、通話路形成中のナースコール親機がある場合は通話終了を待って切替制御を実施する制御があり、まず通話路形成中のナースコール親機がある場合はそのナースコール親機に対しては勤務帯切替を実施しない制御を説明する。この制御の場合、従来のシステム構成から大きく変更することなく実施できる。
【0025】
日勤と準夜勤の切り替わりが例えば16時であるとすると、この勤務帯切替操作は16時前後にいずれかのナースコール親機3において、担当看護師により実施される。例えば、第1ナースコール親機3aのタッチパネル36の所定の操作により、表示部32に日勤から準夜勤に切り替える切替画面を表示させて、タッチ操作等で切替操作が行われる。
【0026】
この操作を受けて、第1ナースコール親機3aの親機CPU38は、担当看護師記憶部37の情報を準夜勤のデータに切り替える。そして、制御機5に対して切替通知信号を送信する。
切替通知信号を受信した制御機5は、制御機CPU55が関連するデータを日勤のデータから準夜勤のデータに変更する。この切り替えにより、携帯端末/看護師関連テーブル記憶部51、チーム記憶部52の情報等が準夜勤のデータに切り替えられる。
【0027】
また制御機CPU55は、通信を制御している全てのナースコール親機3の勤務帯切替状況を記憶しており、ここでは第2ナースコール親機3b、及び第3ナースコール親機3cが勤務帯切替を実施していないため、この第2及び第3ナースコール親機3b,3cに対して、勤務帯切替信号を送信する。
この信号を受けた第2及び第3ナースコール親機3b,3cは、それぞれ親機CPU38が切替制御を実施して関連するデータを切り替えて、表示部32に「準夜勤に切り替えました」等のメッセージを表示させる。
【0028】
但し、制御機CPU55は、第1ナースコール親機3aから切替通知信号を受信した時点で、ナースコール子機1とナースコール親機3との間で通話路が形成されている、或いはナースコール親機3に関連付けられている携帯端末4とナースコール子機1との間で通話路が形成されている等で待受状態に無い場合は、勤務帯切替信号をそのナースコール親機3に対して送信せず、代わりに所定のメッセージを表示させる制御を実施する。この制御を受けたナースコール親機3は、親機CPU38の制御で表示部32に「勤務帯切替を保留しました」等のメッセージを表示させる。
【0029】
例えば、第1ナースコール親機3aにおいて勤務帯切替操作が成された際に、第2ナースコール親機3b、或いは第2ナースコール親機3bに関連付けられている携帯端末4が患者と通話中である場合、制御機5は第2ナースコール親機3bに対して勤務帯切替信号を送信せず、所定のメッセージ表示制御を実施する。この制御を受けて第2ナースコール親機3bでは「勤務帯切替を保留しました」等が表示される。尚、これらのメッセージはナースコール親機3に予め記憶されている。
【0030】
更に、制御機CPU55は、勤務帯切替信号を送信しなかったナースコール親機3を監視し、他のナースコール親機3を切り替えてから所定時間(例えば20分)が経過しても切り換えが成されなかった場合、切り換えを催促する勤務帯切替催促信号を送信する。
この信号を受けたナースコール親機3は、「勤務帯切替を実施してください」等のメッセージを表示すると共に、警告音を報音する。
そして、これらの制御は他の勤務帯切り替え、例えば深夜勤から日勤への切替時も同様に実施される。
【0031】
このように、任意のナースコール親機3において勤務帯切替操作を実施すると、他のナースコール親機3も所定の条件を満たしていれば連動して勤務帯切替を実施するため、それぞれのナースコール親機3において勤務帯切替を行う必要がなくなり、勤務帯切替忘れを防止できる。そして、切り替えは看護師の操作で行われるため、看護師の求めるタイミングで切り替えでき、現場が混乱することがない。
また、切替対象のナースコール親機3が通話中或いは関連する携帯端末が通話中等で待受状態でない場合は勤務帯切替を実施しないため、看護師が緊急の処置等で使用中にあるナースコール親機の通話路が突然切断されるような事態に至ることが無く、看護師の負担を軽減できる。
更に、制御機5により勤務帯切り替えを実施しなかったナースコール親機3は、表示部に勤務帯変更が未実施である旨が表示されるため、看護師は切り替えが未実施であることを認識でき、切り替えずに放置される事態を防止できる。
また、制御機5が勤務帯切替制御を実施後、所定時間が経過しても勤務帯切り替えが成されないナースコール親機3は、切り替えを催促する表示等を実施するため、勤務帯切替が忘れられるのを防止できる。
【0032】
また、上記実施形態では1台の制御機5が管理する全てのナースコール親機3に対して同時に勤務帯切替を実施する制御を説明したが、ナースコール親機3をグループ分けして、勤務帯切替操作が成されたナースコール親機3が所属するグループのナースコール親機3のみ連動させて、上述したように待受状態にあれば勤務帯切替を行うよう構成しても良い。この制御は、制御機5がグループを記憶して上記実施形態と同様の制御を行うことで実施できる。
その結果、看護師の勤務時間帯が異なる病棟を跨いでナースコール親機3が複数設置されても、ナースコール親機3を同一の勤務時間帯でグループ分けすれば、1台の制御機5により複数病棟のナースコール親機3を制御することができ、システム全体のコストを低減できる。
【0033】
次に、通話中等で待受状態に無い機器に対しては待受状態への移行を待って切替制御を実施する制御を説明する。ここでは、切替操作した段階で、第3ナースコール親機3cが通話中であるとして説明する。
上記切り替えと同様に、日勤と準夜勤の切り替わり等の勤務帯切替時刻になったら、いずれかのナースコール親機3において担当看護師により切替操作が実施される。例えば、第1ナースコール親機3aのタッチパネル36の所定の操作により、表示部32に日勤から準夜勤に切り替える切替画面を表示させて、タッチ操作等で切替操作が行われる。
【0034】
この操作を受けて、第1ナースコール親機3aの親機CPU38は、担当看護師記憶部37の情報を準夜勤のデータに切り替える。そして、制御機5に対して切替通知信号を送信する。
切替通知信号を受信した制御機5は、制御機CPU55が関連するデータを日勤のデータから準夜勤のデータに変更する。この切り替えにより、携帯端末/看護師関連テーブル記憶部51、チーム記憶部52の情報等が準夜勤のデータに切り替えられる。
【0035】
そして制御機CPU55は、勤務帯切替を実施していない第2ナースコール親機3b、第3ナースコール親機3cに対して勤務帯切替制御を開始するが、第3ナースコール親機3cが通話中(又は、第3ナースコール親機3cに関連付けられている携帯端末4が通話中)であって待受状態にないため、先ず第2ナースコール親機3bに対してのみ勤務帯切替信号を送信する。尚、制御機5により全ての機器の通話路の接続/切断の制御が実施されるため、制御機CPU55は、常時通話路形成中の機器を把握している。
【0036】
勤務帯切替信号を受信した第2ナースコール親機3bは、親機CPU38の制御により切り替えが実施されて関連するデータが切り替えられ、表示部32に「準夜勤に切り替えました」等のメッセージが表示される。
一方、勤務帯切替信号の送信が保留された第3ナースコール親機3cは、通話が終了して終話操作されると、制御機5が通話路切断制御を実施して待受状態に移行するため、制御機CPU55は待受状態への移行を受けて第3ナースコール親機3cに対して勤務帯切替信号を送信する。
こうして、第2ナースコール親機3bの場合と同様に切り替えが実施され、表示部32に「準夜勤に切り替えました」等のメッセージが表示される。
【0037】
このように、勤務帯切替操作を行った時点で通話中等で待受状態にないナースコール親機3があっても、待受状態への移行を待って切り替えが成されるため、通話終了等を待って切替操作を行う必要が無く、看護師の負担を軽減できる。
【0038】
尚、この待受状態への移行を待って自動で勤務帯切替制御を行う構成の場合も、上述したようにナースコール親機3をグループ分けしてグループ毎に勤務帯切替制御を行っても良い。
また、上記図1では、3台のナースコール親機3(3a〜3c)を同一の制御機5が制御する構成を示しているが、1台の制御機5が制御するナースコール親機3の数は3台に限定するものでなく、ナースステーションの数等により変更されるものである。
更に、3交代の場合を説明したが、勤務帯としては2交代制の病院もあるし、更に細分化された形態もある。何れの場合の上記形態を容易に適用できる。
また、担当看護師記憶部37をナースコール親機3に設け、携帯端末/看護師関連テーブル記憶部51等を制御機5に設けているが、これらの記憶部は個々のナースコール親機3に設けても良いし、制御機5に一括して設けても良い。
【符号の説明】
【0039】
1・・ナースコール子機、3・・ナースコール親機、4・・携帯端末、5・・制御機、32・・表示部、36・・タッチパネル(操作部)、38・・親機CPU(勤務帯切替制御部)、55・・制御機CPU(勤務帯切替管理部)。
図1
図2
図3