特許第6188547号(P6188547)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188547
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】フィラーパイプ
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/04 20060101AFI20170821BHJP
   B60K 15/035 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   B60K15/04 E
   B60K15/04 F
   B60K15/035 B
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-231719(P2013-231719)
(22)【出願日】2013年11月8日
(65)【公開番号】特開2015-91679(P2015-91679A)
(43)【公開日】2015年5月14日
【審査請求日】2016年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】小崎 智彰
(72)【発明者】
【氏名】梅崎 健治
(72)【発明者】
【氏名】中村 康司
(72)【発明者】
【氏名】川村 修弘
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−180587(JP,A)
【文献】 特開2012−116380(JP,A)
【文献】 特開2008−094270(JP,A)
【文献】 特開2011−020646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/035,15/04
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体外面に形成された車体給油口から燃料タンクへ燃料を注入するフィラーパイプにおいて、
該フィラーパイプの入口部の内部に、給油ガンの先端部を保持するリテーナを取付けるとともに、上記フィラーパイプの入口部にブリーザチューブの開口部を接続し、
上記リテーナは、上記フィラーパイプの入口部に取付けられるリテーナ取付部と、上記リテーナの先端に位置して、上記給油ガンの先端部を保持して、フィラーパイプに燃料を送入するリテーナ開口部を有し、
該リテーナ開口部の先端から上記ブリーザチューブの開口部と対向する部分に、リテーナ延設壁を設け、該リテーナ延設壁の外側の両側部と上部に溝部を形成し、上記リテーナ延設壁の外側の両側部のリテーナ延設壁側部補助壁は、上記リテーナ延設壁の両側の側端を断面略U字形に折り曲げて形成し、上記リテーナ延設壁側部補助壁と上記リテーナ延設壁とで溝部を形成し、上記リテーナ延設壁の外側の上部のリテーナ延設壁上部補助壁は、上記リテーナ延設壁と平行に隙間を設けて形成し、上記リテーナ延設壁上部補助壁と上記リテーナ延設壁とで溝部を形成したことを特徴とするフィラーパイプ。
【請求項2】
上記リテーナ延設壁の外側の両側部のリテーナ延設壁側部補助壁は、長さが5〜10mmであり、上記リテーナ延設壁の外側の上部のリテーナ延設壁上部補助壁は、長さが10〜20mmである請求項1に記載のフィラーパイプ。
【請求項3】
上記フィラーパイプと上記リテーナとの間に、上記ブリーザチューブの開口部から流入する空気抜き通路を設けた請求項1又は請求項2に記載のフィラーパイプ。
【請求項4】
上記リテーナは、上記リテーナ取付部よりも注入口側に上記フィラーパイプの内面に当接するリテーナ先端部を有する請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のフィラーパイプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油口から自動車用燃料タンクへ燃料を注入するフィラーパイプの入口部にリテーナ取付けたフィラーパイプに関する。
【背景技術】
【0002】
図10に示すように、車体に設けられた車体給油口から自動車用燃料タンクへ燃料を注入するためにフィラーパイプ110が取付けられている。
フィラーパイプ110には、注入口111に給油ガン130の先端部131を挿入して燃料を注入している。
【0003】
このとき、給油ガン130を保持するとともに、燃料の流れを安定させるために、フィラーパイプ110の入口部112の内部にリテーナ120を設けて、リテーナ120の先端部分をパイプ状に長く伸ばして形成するものがある(例えば、特許文献1参照。)。この場合は、リテーナ120の先端部分で、給油ガン130の先端部131を保持するために、リテーナ120の先端部分を長く伸ばしている。リテーナ120の先端部分で、給油ガン130の先端部131に取付けられたオートストップセンサーにブリーザパイプ130から流入した液滴が当たらないようにしている。
【0004】
しかしながら、この場合には、リテーナ120を別部品で形成し、リテーナ120の先端部分をパイプ状に長く伸ばすため、リテーナ120の全体の重量が増加して、車体の軽量化の要請に反することとなる。また、リテーナ120をフィラーパイプ110の内部に取付けるために、溶接等を必要として、手間が掛っていた。
【0005】
そのため、図11に示すように、フィラーパイプ210の注入口211の部分で、フィラーパイプ210を折り返して、入口部212を形成し、入口部212に合成樹脂製のリテーナを取付けるものがある(例えば、特許文献2参照。)。
この場合において、フィラーパイプ210の先端付近にはブリーザチューブ230の開口部232が形成されており、給油時にブリーザチューブ230の開口部232から燃料の液滴が吹き出すことがある。
【0006】
ブリーザチューブ230の開口部232から燃料の液滴や気体が吹き出すときに、給油ガンの先端部分に取付けられたオートストップセンサーに液滴が当たると、オートストップセンサーが働き、燃料の注入が完了していないのに、給油がストップしてしまう問題が生じる。
【0007】
そのため、図12に示すように、合成樹脂製のフィラーネック310にフィラーパイプ取付部311とブリーザチューブ取付部312を設け、ブリーザチューブ取付部312のブリーザチューブ開口部313と対向する部分に邪魔板314を設けるものがある(例えば、特許文献3参照。)。
【0008】
この邪魔板314の上にリテーナ320を設けて、リテーナ320に通気孔321を設け、ブリーザチューブ開口部313からの燃料の液滴の吹き出しを防止している。
この場合は、フィラーパイプの先端にフィラーネック310を取付けるとともに、フィラーネック310に邪魔板314を設けて、リテーナ320も取付ける必要あり、構造も複雑となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−18755号公報
【特許文献2】特開平9−39591号公報
【特許文献3】特開2008−247110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、構造も簡単で、給油ガンの誤作動を防止できる、フィラーパイプを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、車体外面に形成された車体給油口から燃料タンクへ燃料を注入するフィラーパイプにおいて、
フィラーパイプの入口部の内部に、給油ガンの先端部を保持するリテーナを取付けるとともに、フィラーパイプの入口部にブリーザチューブの開口部を接続し、
リテーナは、フィラーパイプの入口部に取付けられるリテーナ取付部と、リテーナの先端に位置して、給油ガンの先端部を保持して、フィラーパイプに燃料を送入するリテーナ開口部を有し、
リテーナ開口部の先端からブリーザチューブの開口部と対向する部分に、リテーナ延設壁を設け、リテーナ延設壁の外側の両側部と上部に溝部を形成し、リテーナ延設壁の外側の両側部のリテーナ延設壁側部補助壁は、リテーナ延設壁の両側の側端を断面略U字形に折り曲げて形成し、リテーナ延設壁側部補助壁とリテーナ延設壁とで溝部を形成し、リテーナ延設壁の外側の上部のリテーナ延設壁上部補助壁は、リテーナ延設壁と平行に隙間を設けて形成し、リテーナ延設壁上部補助壁と上記リテーナ延設壁とで溝部を形成したことを特徴とするフィラーパイプである。
【0012】
請求項1の本発明では、車体外面に形成された車体給油口から燃料タンクへ燃料を注入するフィラーパイプにおいて、フィラーパイプの入口部に、給油ガンの先端部を保持するリテーナを取付けた。このため、給油ガンをフィラーパイプの入口部に挿入するときに、給油ガンの先端部をリテーナが案内して、所定の位置に保持することができ、燃料の注入を確実にすることができる。
フィラーパイプの入口部にブリーザチューブの開口部を接続したため、ブリーザチューブから流入した燃料と気体をフィラーパイプに還流させることができる。
【0013】
リテーナは、フィラーパイプの入口部に取付けられるリテーナ取付部と、リテーナの先端に位置して、給油ガンの先端部を保持して、フィラーパイプに燃料を送入するリテーナ開口部を有する。このため、リテーナ取付部をフィラーパイプの入口部の内部に取付けると、リテーナ開口部をフィラーパイプの所定の位置に保持して、リテーナ開口部の部分で給油ガンの先端部を保持して、燃料の噴出方向を一定にすることができる。
【0014】
リテーナ開口部の先端からブリーザチューブの開口部と対向する部分に、リテーナ延設壁を設け、リテーナ延設壁の外側の両側部と上部に溝部を形成した。このため、給油時にブリーザチューブから流入した燃料の液滴と気体をリテーナ延設壁に当てて、液滴を下方に流下させて、液滴が給油ガンのオートストップセンサーに当たらないようにすることができる。
更に、リテーナ延設壁の外側の両側部と上部に溝部により、リテーナ延設壁に液滴が強く当たっても、リテーナ延設壁の外側の両側部と上部に溝部により、液滴がリテーナ延設壁からはみ出すことがなく、確実に液滴の飛散を防止できる。
【0016】
リテーナ延設壁の外側の両側部のリテーナ延設壁側部補助壁は、リテーナ延設壁の両側の側端を断面略U字形に折り曲げて形成し、リテーナ延設壁側部補助壁とリテーナ延設壁とで溝部を形成した。このため、リテーナ延設壁の側面から液滴が飛散することを、両側のリテーナ延設壁側部補助壁により確実に防止できる。
リテーナ延設壁の外側の上部のリテーナ延設壁上部補助壁は、リテーナ延設壁と平行に隙間を設けて形成し、リテーナ延設壁上部補助壁とリテーナ延設壁とで溝部を形成した。このため、リテーナ延設壁の上部から液滴が飛散することを、上部のリテーナ延設壁上部補助壁により確実に防止できる。
【0017】
請求項2の本発明は、リテーナ延設壁の外側の両側部のリテーナ延設壁側部補助壁は、長さが5〜10mmであり、リテーナ延設壁の外側の上部のリテーナ延設壁上部補助壁は、長さが10〜20mmであるフィラーパイプである。
【0018】
請求項2の本発明では、リテーナ延設壁の外側の両側部のリテーナ延設壁側部補助壁は、長さが5〜10mmであるため、液滴が強く、又は多量にリテーナ延設壁に当たっても、リテーナ延設壁の外側の両側部の溝部で液滴を捕集して、リテーナ延設壁から横方向に液滴が飛散することを確実に防止できる。
リテーナ延設壁の外側の上部のリテーナ延設壁側部補助壁は、長さが10〜20mmであるため、液滴が強く、又は多量にリテーナ延設壁に当たって、ブリーザチューブから気体とともに吹き上げても、溝部の幅が広く、リテーナ延設壁の上側の溝部で液滴を捕集して、リテーナ延設壁から上方向に液滴が飛散することを確実に防止できる。
【0019】
請求項3の本発明は、フィラーパイプとリテーナとの間に、ブリーザチューブの開口部から流入する空気抜き通路を設けたフィラーパイプである。
【0020】
請求項3の本発明では、フィラーパイプとリテーナとの間に、ブリーザチューブの開口部から流入する空気抜き通路を設けたため、ブリーザチューブから吹き込んだ気体を、液滴と分離して、フィラーパイプの開口部に送ることができ、給油時にフィラーパイプの開口部から燃料が吹き出ることがない。
【0021】
請求項4の本発明は、リテーナは、リテーナ取付部よりも注入口側にフィラーパイプの内面に当接するリテーナ先端部を有するフィラーパイプである。
【0022】
請求項4の本発明では、リテーナは、リテーナ取付部よりも注入口側にフィラーパイプの内面に当接するリテーナ先端部を有するため、リテーナをフィラーパイプの内面に取付けたときに、リテーナ取付部とリテーナ先端部の両方がフィラーパイプの内部で保持されて、リテーナを安定してフィラーパイプの内面に保持することができる。
【発明の効果】
【0023】
リテーナ開口部の先端からブリーザチューブの開口部と対向する部分に、リテーナ延設壁を設け、リテーナ延設壁の外側の両側部と上部に溝部を形成したため、給油時にブリーザチューブから流入した燃料の液滴と気体をリテーナ延設壁に当てて、液滴が給油ガンのオートストップセンサーに当たらないようにすることができる。
リテーナ延設壁の外側の両側部と上部に溝部により、リテーナ延設壁に液滴が強く当たっても、リテーナ延設壁の外側の両側部と上部に溝部により、液滴がリテーナ延設壁からはみ出すことがなく、確実に液滴の飛散を防止できる。
リテーナ延設壁の外側の両側部のリテーナ延設壁側部補助壁は、リテーナ延設壁の両側の側端を断面略U字形に折り曲げて形成し、リテーナ延設壁側部補助壁とリテーナ延設壁とで溝部を形成した。このため、リテーナ延設壁の側面から液滴が飛散することを、両側のリテーナ延設壁側部補助壁により確実に防止できる。
リテーナ延設壁の外側の上部のリテーナ延設壁上部補助壁は、リテーナ延設壁と平行に隙間を設けて形成し、リテーナ延設壁上部補助壁とリテーナ延設壁とで溝部を形成した。このため、リテーナ延設壁の上部から液滴が飛散することを、上部のリテーナ延設壁上部補助壁により確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態を示すもので、フィラーパイプの入口部にリテーナを取付けた部分の断面図である。
図2】本発明の実施の形態を示すもので、リテーナのリテーナ延設壁側から見た斜視図である。
図3】本発明の実施の形態を示すもので、リテーナのリテーナ開口部側から見た斜視図である。
図4】本発明の実施の形態を示すもので、リテーナの正面図である。
図5】本発明の実施の形態を示すもので、リテーナの左側面図である。
図6】本発明の実施の形態を示すもので、リテーナの底面図である。
図7】(a)は、本発明の実施の形態を示すもので、リテーナのリテーナ延設壁の断面図であり、図6のA−A線に沿った断面図である。 (b)は、本発明の実施の形態を示すもので、リテーナのリテーナ延設壁の断面図であり、図6のB−B線に沿った断面図である。
図8】本発明の実施の形態を示すもので、リテーナの正面図であり、ブリーザチューブから流入した液滴と気体の流れを示す図である。
図9】本発明の実施の形態を示すもので、リテーナのリテーナ延設壁の断面図であり、ブリーザチューブから流入した液滴の流れを示す図である。
図10】従来のフィラーパイプの入口部にリテーナを取付けた部分の断面図である。
図11】従来の他のフィラーパイプの入口部の断面図である。
図12】従来の他のフィラーネックの断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、自動車の車体に設けられた車体給油口から自動車用燃料タンクへ燃料を注入するフィラーパイプ10に、リテーナ20を取付けたフィラーパイプ10に関するものである。フィラーパイプ10は、合成樹脂又は金属で形成することができる。そのフィラーパイプ10の注入口11にリテーナ20が取付けられている。
【0026】
図1に示すように、フィラーパイプ10の先端部分は、車体外面に形成された車体給油口(図示せず)に取付けられている注入口11と、注入口11から円筒状に形成される入口部12から形成される。フィラーパイプ10は、入口部12の先端から徐々にその直径を小さく形成され、フィラーパイプ本体(図示せず)に連続している。
【0027】
フィラーパイプ10の入口部12には、内側にフランジ状に突出して形成されるフィラーパイプ突部13が形成されている。フィラーパイプ突部13は、フィラーパイプ10の本体が注入口11で内側に折り返して形成された部分の先端が、内側に直角状に折り曲げて形成されている。フィラーパイプ突部13に、後述するリテーナ20のリテーナ取付部22が取付けられる。
更に、フィラーパイプ突部13よりも注入口11側の入口部には、内側に円弧状に凹んで形成されたフィラーパイプ湾曲部14が形成されている。
【0028】
フィラーパイプ10の入口部12には、ブリーザチューブ30の先端が取付けられて、ブリーザチューブ接続部31がフィラーパイプ10の外壁に溶接等で取付けられている。ブリーザチューブ30の先端は、ブリーザチューブ開口部32を形成し、ブリーザチューブ開口部32は、フィラーパイプ10の内部に開口している。
【0029】
次に、リテーナ20について図1図9に基づき説明する。
図1に示すように、リテーナ20は、フィラーパイプ10の入口部12の内部に取付けられている。フィラーパイプ10の入口部12から給油ガン40が挿入され、給油ガンの先端部41の筒部43がリテーナ20に保持される。
【0030】
リテーナ20は、フィラーパイプ10の注入口11側の先端に形成され、入口部12の内面に当接するリテーナ先端部21と、リテーナ先端部21と連続して形成され、フィラーパイプ10の入口部12の内部に取付けられるリテーナ取付部22と、リテーナ取付部22のフィラーパイプ10本体側の先端に形成されたリテーナ開口部23と、リテーナ開口部23の一部から延設されたリテーナ延設壁24から構成される。
【0031】
リテーナ先端部21は、図3に示すように、先端が外側に湾曲して開くように形成され、複数箇所が切欠かれたリテーナ先端部切欠き部21aが形成されている。このため、リテーナ20をフィラーパイプ10の入口部12の内部に取付けるときに、リテーナ先端部21は、内側方向に撓むことができ、入口部12の内面に弾力的に当接して、リテーナ20を取付けることが容易である。
【0032】
また、取付け後は、図1に示すように、フィラーパイプ10の入口部12のフィラーパイプ10の内面とフィラーパイプ湾曲部14に、リテーナ先端部21の外面が弾性的に当接して、後述するリテーナ取付部フランジ22aがフィラーパイプ突部13に当接することと併せて、安定してリテーナ20がフィラーパイプ10の内部に保持されることができる。
また、後述するように、リテーナ先端部切欠き部21aから、ブリーザチューブ30から流入した気体を排出することができる。
【0033】
図3図4に示すように、リテーナ取付部22は、フィラーパイプ10の入口部12の内部に形成されたフィラーパイプ突部13に当接するリング状のリテーナ取付部フランジ22aと、リテーナ取付部フランジ22aの一部が切欠かれたリテーナ取付部切欠き部22bと、リテーナ取付部フランジ22aのリテーナ先端部21側に外面に形成されたリテーナ取付部リブ22cが形成されている。
【0034】
リテーナ取付部フランジ22aは、フィラーパイプ突部13に取付けられて、リテーナ20をフィラーパイプ10の入口部12に固定する。
リテーナ取付部切欠き部22bは、フィラーパイプ突部13とリテーナ取付部フランジ22aの間に隙間を設けることができ、ブリーザチューブ30から流入した気体を、リテーナ取付部切欠き部22bを通って、フィラーパイプ10の注入口11に流出させることができる。
リテーナ取付部リブ22cは、リテーナ先端部21の根元を保持して、リテーナ先端部21の強度を向上させることができる。
【0035】
リテーナ開口部23は、図1図6に示すように、給油ガン40の先端部分が通過可能な大きさに円形状に形成され、給油ガン40の先端部41の筒部43を保持することができる。このため、給油ガン先端部41をフィラーパイプ10の所定の位置に保持して、燃料をフィラーパイプ10内にスムースに注入することができる。
【0036】
リテーナ開口部23の先端からブリーザチューブ30のブリーザチューブ開口部32と対向する部分に、リテーナ延設壁24を設けている。リテーナ延設壁24は、図5図6に示すように、リテーナ開口部23の一部から延設されている。このため、図1の矢印に示すように、給油時にブリーザチューブ30を通り、ブリーザチューブ開口部32からフィラーパイプ10の入口部12に流入した燃料の液滴と気体をリテーナ延設壁24に当てて、液滴を下方に流下させることができる。
【0037】
これにより、液滴が給油ガン先端部41に取付けられたオートストップセンサー42に当たらないようにして、給油中に給油ガン40が異常停止するのを防止できる。
図2図4に示すように、リテーナ延設壁24の外面の上部に、リテーナ延設壁リブ24eが形成されている。リテーナ延設壁リブ24eによりリテーナ延設壁24の強度を向上させることができる。
【0038】
リテーナ延設壁24の外側の両側部にリテーナ延設壁側溝部24cが形成されている。また、リテーナ延設壁24の外側の上部にリテーナ延設壁上溝部24dが形成されている。
リテーナ延設壁側溝部24cとリテーナ延設壁上溝部24dは、リテーナ延設壁24の外側で連続して形成されている。
【0039】
図2図3に示すように、リテーナ延設壁24の両側の側端を断面略U字形に折り曲げてリテーナ延設壁側部補助壁24aを形成し、リテーナ延設壁側溝部24cを形成している。これにより、図7(a)に示すように、リテーナ延設壁24の側部の全長に亘り、リテーナ延設壁24とリテーナ延設壁側部補助壁24aによりリテーナ延設壁側溝部24cを形成することができる。
【0040】
リテーナ取付部フランジ22aから、リテーナ延設壁24と平行に外側に隙間を設けてリテーナ延設壁上部補助壁24bを形成して、リテーナ延設壁24の上部とリテーナ延設壁上部補助壁24bの間にリテーナ延設壁上溝部24dを形成した。図7(b)に示すように、リテーナ延設壁上部補助壁24bの長さは、10〜20mm程度である。
【0041】
このリテーナ延設壁側溝部24cとリテーナ延設壁上溝部24dにより、図8図9の矢印で示すように、リテーナ延設壁24にブリーザチューブ開口部32から流入した液滴が強く当たっても、リテーナ延設壁24のリテーナ延設壁上溝部24dとリテーナ延設壁側溝部24cとに沿って流れて、液滴がリテーナ延設壁24からはみ出すことがなく流下する。このため、リテーナ延設壁上溝部24dとリテーナ延設壁側溝部24cとにより、確実に液滴の飛散を防止して、オートストップセンサー42に液滴が当たらないようにすることができる。
【0042】
リテーナ延設壁側部補助壁24aは、U字形に折り曲げた壁の長さが5〜10mmにすることが好ましい。長さとは、図9におけるリテーナ延設壁側部補助壁24aの折り曲げた部分の幅方向の長さを言う。この場合には、リテーナ延設壁24に当たった液滴が横方向に流れたときに、リテーナ延設壁側部補助壁24aで、液滴を捕集して、リテーナ延設壁24から液滴が飛散することを確実に防止できる。長さが5mm未満では、液滴がはみ出す場合があり、10mmを超える場合には、フィラーパイプ10の内部に取付けるときにリテーナ延設壁側部補助壁24aが邪魔になる場合があるからである。
【0043】
リテーナ延設壁上部補助壁24bは、長さが10〜20mmにすることが好ましい。長さとは、図7(b)におけるリテーナ延設壁上部補助壁24bの上下方向に長さを言う。この場合には、リテーナ延設壁24に当たった液滴が上方向に流れたときに、リテーナ延設壁上溝部24dで、液滴を捕集して、リテーナ延設壁24から液滴が飛散することを確実に防止できる。長さが10mm未満では、液滴がはみ出す場合があり、20mmを超える場合には、フィラーパイプ10の内部に取付けるときにリテーナ延設壁上部補助壁24bが邪魔になる場合があるからである。
【0044】
図1に示すように、ブリーザチューブ開口部32から流入した燃料の液滴と気体は、リテーナ延設壁24に当たり、液滴はリテーナ延設壁24に沿って実線に示すように下方に流下し、気体は図1の点線に示すように上方に排出される。気体は、リテーナ取付部切欠き部22bとリテーナ先端部切欠き部21aを通りフィラーパイプ10の注入口11まで達することができる。これにより、給油ガン40によりフィラーパイプ10内にスムースに燃料の注入ができる。
【符号の説明】
【0045】
10 フィラーパイプ
11 注入口
20 リテーナ
21 リテーナ先端部
22 リテーナ取付部
23 リテーナ開口部
24 リテーナ延設壁
24c リテーナ延設壁側溝部
24d リテーナ延設壁上溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12