(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、内視鏡装置を示す全体構成図である。
【
図2】
図2は、内視鏡の挿入部の内部を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、湾曲形状検出センサを構成している光ファイバの横断面図である。
【
図4】
図4(a)乃至(c)は、光ファイバの検出部付近を通る光を示す模式図である。
【
図5】
図5は、変位抑制部によりチャンネルチューブに固定された光ファイバを示す長手方向の断面図である。
【
図6】
図6は、変位抑制部によりチャンネルチューブに固定された光ファイバを示す径方向の横断面図である。
【
図7】
図7は、変位抑制部によりチャンネルチューブに固定された光ファイバを示す径方向の横断面図である。
【
図8】
図8は、光ファイバの長手方向における変位抑制部と検出部との位置関係を示す長手方向の断面図である。
【
図9】
図9は、複数の変位抑制部によりチャンネルチューブに固定された光ファイバを示す長手方向の断面図である。
【
図10】
図10は、クラッドの厚さ以下の検出部が設けられた光ファイバを示す長手方向の断面図である。
【
図11】
図11は、クラッドの厚さ以下の検出部が設けられた光ファイバを示す径方向の横断面図である。
【
図12】
図12(a)乃至(c)は、変位抑制部によりチャンネルチューブに固定された光ファイバを示す概略的な長手方向の断面図である。
【
図13】
図13は、変位抑制部によりチャンネルチューブに固定された光ファイバを示す長手方向の断面図である。
【
図14】
図14は、変位抑制部によりチャンネルチューブに固定された光ファイバを示す径方向の横断面図である。
【
図15】
図15は、変位抑制部によりチャンネルチューブに固定された光ファイバを示す長手方向の断面図である。
【
図16】
図16(a)並びに(b)は、変位抑制部によりチャンネルチューブに固定された光ファイバを示す長手方向の断面図である。
【
図17】
図17は、変位抑制部によりチャンネルチューブに固定された光ファイバを示す径方向の横断面図である。
【
図18】
図18は、変位抑制部によりチャンネルチューブに固定された光ファイバを示す長手方向の断面図である。
【
図19】
図19は、光ファイバの長手方向における2つの変位抑制部の位置関係を示す長手方向の断面図である。
【
図20】
図20は、複数の変位抑制部によりチャンネルチューブに固定された光ファイバを示す長手方向の断面図である。
【
図21】
図21は、検出部と変位抑制部とが一体の光ファイバを示す長手方向の断面図である。
【
図22】
図22は、検出部と変位抑制部とが一体の光ファイバを示す長手方向の断面図である。
【
図23】
図23は、検出部と変位抑制部とが一体の光ファイバを示す径方向の横断面図である。
【
図24】
図24は、光ファイバ先端側端部の変位抑制部によりチャンネルチューブに固定された光ファイバを示す長手方向の断面図である。
【
図25】
図25は、光ファイバ先端側端部の変位抑制部によりチャンネルチューブに固定された光ファイバを示す長手方向の断面図である。
【
図26】
図26は、光ファイバ先端側端部の変位抑制部によりチャンネルチューブに固定された光ファイバを示す長手方向の断面図である。
【
図27】
図27は、検出部と対応する変位抑制部との間が撓んでいる光ファイバを示す長手方向の側面図である。
【
図28】
図28は、ライナーチューブ及びコマによる変位抑制機構を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下では、挿入装置の一例として内視鏡を説明するが、挿入装置は内視鏡に限定されるものではなく、被挿入体に挿入されるカテーテル、鉗子、処置具等を含む。
【0012】
図1は、内視鏡装置1を示す全体構成図である。内視鏡装置1は、湾曲形状検出センサ100が組み込まれた内視鏡10と、内視鏡10に接続される装置本体20と、装置本体20に接続される表示部30とを有している。装置本体20は、湾曲形状検出センサ100に光を供給する発光部21と、湾曲形状検出センサ100から戻る光を受光する受光部22と、受光部22での受光量に基づいて内視鏡10の後述する湾曲部14の湾曲形状を演算する演算部23とを有している。また、図示しないが装置本体20は、内視鏡10を始めとして装置本体20に接続される周辺機器の所定の機能を制御する制御部等を有している。
【0013】
[内視鏡]
内視鏡10は、被挿入体200に挿入される可撓性の挿入部11と、挿入部11の基端側に連結された操作部本体12と、操作部本体12から延出し、後述する光ファイバ101、照明光用光ファイバ18及び撮像素子用配線19を含むコード部13とを有している。内視鏡10は、コード部13を介して装置本体20に着脱可能に接続され、装置本体20と通信する。
【0014】
挿入部11は、内視鏡先端側の細長い管状部分である。挿入部11は、先端側の湾曲部14と、基端側の長尺な可撓管部15とを有している。挿入部11の先端には、図示しないが、対物レンズを含む観察光学系、観察光学系から得られた光学像を結像して電気信号に変換する撮像素子、照明レンズを含む照明光学系等が内蔵されている。湾曲部14は、操作部本体12に設けられた操作ノブ16を操作者が手動で操作することにより所望の方向に湾曲する。可撓管部15は、被挿入体200の湾曲形状に沿って湾曲する。
【0015】
図2は、挿入部11の内部を示す斜視図である。挿入部11の内部には、超音波プローブや鉗子等の処置具を通す円筒状のチャンネルチューブ17、照明光学系に照明光を伝達する照明光用光ファイバ18、撮像素子用配線19等の内蔵物が組み込まれている。さらに、挿入部11の内部には、挿入部11の湾曲形状を検出するための湾曲形状検出センサ100が組み込まれている。湾曲形状検出センサ100は、複数の光ファイバ101を有し、これら光ファイバ101は、少なくとも、挿入部11に配置される。本実施形態では、これら光ファイバ101は、後述する変位抑制部106によってチャンネルチューブ17の外周面に固定されている。
【0016】
チャンネルチューブ17は、挿入部11の内蔵物において断面積が最も大きいため、他の内蔵物よりも捻れにくい。また、光ファイバ101を固定する内蔵物に捻れが発生すると光ファイバ101の後述する検出部105の位置がずれて湾曲形状の検出精度が低下してしまうため、挿入部11内において光ファイバ101を固定する内蔵物は捻れにくいことが望ましい。従って、本実施形態では、光ファイバ101がチャンネルチューブ17に固定される。しかしながら、光ファイバ101を固定する内蔵物はチャンネルチューブ17に限定されるものではなく、照明光用光ファイバ18、あるいは撮像素子用配線19等、挿入部11の湾曲に沿って変位するもの、即ち、挿入部11と一緒に湾曲するものであればよい。
【0017】
[湾曲形状検出センサ]
図3は、湾曲形状検出センサ100を構成している光ファイバ101の横断面図である。湾曲形状検出センサ100は、コア102と、クラッド103と、被覆104とを備えた光ファイバ101を有している。また、光ファイバ101は、
図2に示すように、1本の光ファイバ101につき1箇所の検出部105を有している。検出部105は、
図3に示すように、クラッド103の外周面を覆っている被覆104及びコア102の外周面を覆っているクラッド103の一部を除去してコア102を露出させて、露出したコア102上に光吸収体を塗布することにより形成されている。光吸収体は、光ファイバ101のコア102を導光する光の一部を吸収する。検出部105は、コア102と一体となるようにコア102に機械的に取り付けられていれば、光吸収体の塗布以外により形成されてもよい。
【0018】
なお、
図3では被覆104と検出部105との径方向の外周面が面一であるが、検出部105の径方向の厚さは被覆104の径方向の厚さ未満であってもよい(
図5並びに
図6等参照)。
【0019】
光ファイバ101の基端には、光ファイバ101を導光する光を出射する発光部21と、光ファイバ101を導光した光を受光する受光部22とが接続される。なお、本実施形態では、装置本体20に発光部21及び受光部22を配置しているが、装置本体20とは別体とする、あるいは内視鏡10に配置するなど、その他の配置であってもよい。また、光ファイバ101の先端には、ミラー107が配置されている(
図24乃至
図26参照)。
【0020】
再び
図2を参照すると、複数の光ファイバ101のうちの2本の光ファイバ101a、101bには、長手方向(挿入方向)に直交し、かつ、互いに垂直な2方向、即ち、
図2に示されるX軸方向及びY軸方向の湾曲形状を検出するために、それぞれ、X軸方向及びY軸方向に向いている1対の検出部105a、105bが形成されている。そして、1対の検出部105a、105bが挿入部11の長手方向において同じ位置となるように、複数の光ファイバ101が配置されている。
【0021】
図4(a)乃至(c)は、光ファイバ101の検出部105付近を通る光を示す模式図である。光ファイバ101が真っ直ぐの状態では、光ファイバ101を導光する光の一部が検出部105の光吸収体に吸収される(
図4(a))。検出部105が内側にくるように湾曲すると、検出部105に当たる光が減少するため、検出部105による光の吸収量が小さくなる(
図4(b))。即ち、光ファイバ101内を導光する光の伝達量が大きくなる。一方、検出部105が外側にくるように湾曲すると、検出部105に当たる光が増加するため、検出部105による光の吸収量が大きくなる(
図4(c))。即ち、光ファイバ101内を導光する光の伝達量が小さくなる。このように、検出部105は、光ファイバ101の湾曲に応じてファイバ内を導光する光の伝達量が変化することに基づいて湾曲量を検出する。
【0022】
検出部105を通過した光は、光ファイバ101の先端のミラー107で反射されて、光ファイバ101を逆向きに導光して受光部22で受光される。受光部22は、受光量を演算部23に出力する。
【0023】
[演算部]
演算部23は、受光部22から出力された受光量に基づいて、湾曲形状検出センサ100が組み込まれた内視鏡10の挿入部11の湾曲形状を演算する。例えば、光ファイバ101の光伝達量の変化(発光部21から出射された光量と受光部22で受光した光量との差)Δ1と、検出部105の湾曲量φとの関係式を予め求めておく。
φ=f(Δ1) ・・・式1
式1から、各検出部105における湾曲量が演算される。そして、各検出部105における湾曲量と既知である各検出部105の間隔のデータとから、挿入部11の湾曲形状を演算する。なお、式1から直接計算しなくても、演算部23に同等の変換テーブルを記憶させておき、変換テーブルから呼び出して湾曲量を求めてもよい。
【0024】
[表示部]
表示部30は、装置本体20に着脱可能に接続される。表示部30は、内視鏡10が撮像した被挿入体200内の画像や演算部23で演算した挿入部11の湾曲形状を表示する。
【0025】
次に、チャンネルチューブ17への光ファイバ101の固定について説明する。
図5並びに
図6は、チャンネルチューブ17に固定された光ファイバ101を示す長手方向の断面図並びに径方向の横断面図である。光ファイバ101において、コア102とクラッド103とは互いに動かないように密着しているが、クラッド103と被覆104との間の動きは許容するように構成されている場合がある。そのため、被覆104のみをチャンネルチューブ17に固定しても、コア102及びクラッド103がチャンネルチューブ17に対して動くことがある。従って、例えば、コア102が回転するとコア102と一体の検出部105も回転し、湾曲量の検出精度が低下しうる。
【0026】
そこで、検出部105と対向する側の被覆104及びクラッド103の一部を除去して開口を設け、コア102が露出したその開口に接着剤を充填することにより変位抑制部106を形成する。即ち、変位抑制部106は、チャンネルチューブ17への接着によりコア102の相対的な変位を抑制する。かくして、チャンネルチューブ17に対するコア102の変位が直接抑制される。
【0027】
コア102に接触する変位抑制部106を形成する接着剤は、コア102を導光する光を全反射するように、即ち、除去したクラッドの代替機能を果たすように、コア102よりも屈折率の低い材料を使用する。また、接着剤は、光ファイバ101の湾曲を阻害しないように、軟らかい材料が望ましい。
【0028】
光ファイバ101の長手方向における変位抑制部106の長さが長かったり広い範囲で複数箇所接着したりすると、挿入部11と共にチャンネルチューブ17が湾曲したときに光ファイバ101にテンションがかかり破損する虞がある。従って、変位抑制部106は、接着強度を保てる範囲内で、光ファイバ101の長手方向に狭く1箇所のみ形成されている。
【0029】
本実施形態によれば、変位抑制部106が、挿入部11の湾曲に沿って変位するチャンネルチューブ17に対して、コア102の変位を直接抑制する。即ち、変位抑制部106により、挿入部11に対して、コア102と一体の検出部105の相対的な変位が直接抑制される。従って、検出部105が挿入部11に対して長手方向に移動したり回転したりすることなく、挿入部11の湾曲に沿って変位し、挿入部11の湾曲形状の検出精度を向上させることができる。
【0030】
また、変位抑制部106が接着によりチャンネルチューブ17に対するコア102の変位を抑制することによって、被覆104及びクラッド103を除去して形成した開口が例えば幅100μm程度の比較的小さな開口であっても、コア102及びチャンネルチューブ17の変位を抑制することが可能となる。また、挿入部内部の限られた空間でも、省スペースでコア102及びチャンネルチューブ17の変位を抑制することが可能となる。
【0031】
また、変位抑制部106を構成する接着剤の材料をコア102よりも屈折率の低い材料とすることで、コア102を導光する光を全反射させることができる。これにより、コア102を導光する光の変位抑制部106による損失を防ぐことができる。
【0032】
なお、変位抑制部106は接着剤による接着に限定されるものではなく、2つの部材が化学的に結合するものであれば、コア102及びチャンネルチューブ17の材料に由来して形成される混合層による接着であってもよい。あるいは、接着以外であっても、押圧、吸着又は後述する融着等、コア102とチャンネルチューブ17とが機械的に固定されてコア102の変位が抑制されるものであればよい。また、
図5並びに
図6では、変位抑制部106が設けられた箇所以外ではチャンネルチューブ17と被覆104とは接触していないが、変位抑制部106によりコア102がチャンネルチューブ17に固定されてチャンネルチューブ17に対するコア102の変位が直接抑制されていればこれらが接触していてもよい。
【0033】
また、検出部105の位置に対する変位抑制部106の光ファイバ101の中心軸回りの位置は180°異なる位置に限定されるものではなく、光ファイバ101と挿入部11の内蔵物との位置関係により決定される。例えば、検出部105と変位抑制部106との位置関係は、
図7に示すように、対向位置からずれた配置であってもよい。
また、検出部105が変位抑制部106に対して光ファイバ101の長手方向において異なる位置にあってもよい。
【0034】
ただし、変位抑制部106の位置から光ファイバ101の長手方向に離れた位置に検出部105があると、光ファイバ101が捩れて、検出部105が変位抑制部106に対して回転する可能性がある。即ち、挿入部11に対して検出部105が回転する可能性があり、回転すると湾曲量の検出精度が悪くなる。そのため、変位抑制部106の位置は、光ファイバ101の長手方向において、検出部105と変位抑制部106とが同じ位置にあるか、捩れによる検出部105の回転が許容できる範囲内の検出部近傍にあることが望ましい。
【0035】
ここで、検出部近傍とは、
図8に示すように、変位抑制部106の検出部側の端部から検出部105の変位抑制部側とは異なる端部までの長さをL
1、クラッド103の外径をdとしたときに以下の式2を満たすL
1の範囲である。
L
1≦240×d [mm]・・・式2
このように、検出部105に対する変位抑制部106の位置を光ファイバ101の捩れによる検出部105の回転が許容できる範囲内にすることで湾曲量の検出精度を向上させることができる。
【0036】
以上の説明では、変位抑制部106は検出部105に対して1箇所のみ形成するとしたが、光ファイバ101にテンションがかかっても破損しなければ、
図9に示すように複数の変位抑制部106が設けられてもよい。
【0037】
図10並びに
図11に示すように、検出部105の光吸収体の厚さをクラッド103の厚さ以下にしてもよい。これにより、被覆104がコア102及びクラッド103に対して変位しても、検出部105が被覆104による外力を受けなくなる。従って、検出部105の位置がずれたり剥がれたりする可能性が低くなり、安定した湾曲量の検出が可能となる。
【0038】
図12(a)乃至(c)は、チャンネルチューブ17に固定された光ファイバ101を示す概略的な長手方向の断面図である。上述した構成では、
図12(a)に示すように、被覆104及びクラッド103の一部を除去して開口させ、コア102とチャンネルチューブ17とを変位抑制部106により直接接着し、チャンネルチューブ17に対するコア102の変位を抑制しているが、
図12(b)に示すように、クラッド103を残して被覆104の一部のみを除去して開口させ、その開口に接着剤を充填して変位抑制部106を形成することによりクラッド103とチャンネルチューブ17とを接着する構成であってもよい。
【0039】
このような構成であっても、コア102とクラッド103とが密着しているため、チャンネルチューブ17に対するコア102の変位をクラッド103を介して間接的に抑制することができる。また、このような構成にあっては、クラッド103が除去されていないため、変位抑制部106付近を通過することによる光の損失はない。従って、変位抑制部106となる接着剤の屈折率に対する制限をなくすことができる。
【0040】
クラッド103の材質によっては、
図12(b)のように被覆104のみを開口させる加工が困難な場合がある。そのような場合には、
図13並びに
図14に示すように、被覆104の一部を開口させ、さらにその開口から径方向にクラッド103の一部も削ることにより変位抑制部106を形成してもよい。これにより、変位抑制部106の作製の難易度が下がり、容易に作製可能となる。
【0041】
また、
図12(c)に示すように、被覆104を開口せずに被覆104とチューブ17との間に変位抑制部106aを形成し、さらに、例えば注射器で接着剤を注入することにより、長手方向において変位抑制部106aと略同一位置であってクラッド103と被覆104との間に変位抑制部106bを形成する構成としてもよい。
【0042】
このような構成であっても、コア102とクラッド103とは互いに動かないように密着しており、クラッド103と被覆104とが変位抑制部106bにより接着され、かつ、チャンネルチューブ17と被覆104とが変位抑制部106aにより接着されているので、チャンネルチューブ17に対するコア102の変位を、クラッド103及び被覆104を介して間接的に抑制することができる。被覆104やクラッド103に開口を形成すると光ファイバ101の強度が低下するが、このような構成にあっては開口を形成しないので、光ファイバ101の強度を低下させることなく変位抑制部106a、106bを形成することができる。
【0043】
なお、注射器等で接着剤を注入するとしたが、
図15に示すように、チャンネルチューブ17と被覆104とを接着する箇所とは異なる箇所の被覆104に開口を設け、その開口から粘度の低い接着剤を注入してクラッド103と被覆104との間に浸透させることによりクラッド103と被覆104とを接着してもよい。
【0044】
あるいは、
図16(a)に示すように、被覆104とクラッド103との間の変位抑制部108を形成するために、例えば、レーザや加熱による外部エネルギを与えて被覆104を開口させ、さらにクラッド103の一部を削り、被覆104とクラッド103とを融着する。かくして、融着による変位抑制部108が形成されて被覆104とクラッド103とが一体となる。そして、被覆104とチャンネルチューブ17とを変位抑制部106aにより接着する。これにより、変位抑制部106bとして接着剤を用いることなく、被覆104とクラッド103との接着を行うことができる。
【0045】
また、
図16(b)に示すように、例えばレーザの焦点を被覆104とクラッド103の接触面に合わせてレーザのエネルギ密度を高め、一方、他の箇所でのレーザのエネルギ密度を低くすることで、被覆104に開口を作ることなく被覆104とクラッド103を融着するようにしてもよい。
【0046】
なお、
図17並びに
図18に示すように、融着による変位抑制部108とチャンネルチューブ17とを直接接着してもよい。
【0047】
チャンネルチューブ17と被覆104との間の変位抑制部106a(変位抑制部106)と、クラッド103と被覆104との間の変位抑制部106b(変位抑制部108)とは、光ファイバ101の長手方向に対して同じ位置になくてもよく、光ファイバ101の捩れによる検出部105の回転が許容できる範囲内であれば、互いに異なる位置や一部重なるような位置であってもよい。
【0048】
ここで、光ファイバ101の捩れによる検出部105の回転が許容できる範囲内とは、
図19に示すように、変位抑制部106a、106bのそれぞれの内側の端部間の長さをL
2、被覆104の厚さをtとしたときに以下の式3を満たすL
2の範囲である。
L
2≦400×t [mm]・・・式3
このように、検出部105に対する変位抑制部106の位置を光ファイバ101の捩れによる検出部105の回転が許容できる範囲内にすることで湾曲量の検出精度を向上させることができる。
【0049】
また、
図20に示すように、チャンネルチューブ17と被覆104との間の変位抑制部106aは、光ファイバ101にテンションがかかることにより破損しなければ、複数あってもよい。クラッド103と被覆104との間の変位抑制部106bもまた、複数あってもよい。さらに、変位抑制部106a、106bの両方が複数あってもよい。
【0050】
検出部105とは別に変位抑制部106を設ける構成を説明してきたが、
図21に示すように、検出部105と変位抑制部106とが一体の構成、即ち検出部105が変位抑制部106を兼ねている構成であってもよい。このような構成にあっては、被覆104及びクラッド103の一部を除去して開口を設け、その開口に接着力を有する光吸収体を充填する。そして、開口のコア102とチャンネルチューブ17とを直接接着し、チャンネルチューブ17に対するコア102の変位を抑制する。これにより、1つの開口で検出部105と変位抑制部106との機能を持たせることが可能となり、構成をより簡素化することができる。
【0051】
検出部105と変位抑制部106とが一体である場合、
図22並びに
図23に示すように、被覆104及びクラッド103の一部を除去して開口させ、さらにその開口から径方向にコア102の一部を削り、検出部105及び変位抑制部106を形成してもよい。これにより、検出部105に吸収される光が多くなるため、湾曲量に対する検出感度を向上させることができる。
【0052】
以上の説明では、変位抑制部106は光ファイバ101の途中に形成するとしたが、変位抑制部106を形成する箇所はこれに限定されるものではなく、
図24に示すように、光ファイバ101の先端側端部にその一部又は全部を含むように形成してもよい。ここでの光ファイバ101の先端側端部とは、被覆104の先端側端部からクラッド103及びコア102の先端側端部までの範囲とする。なお、
図24では、変位抑制部106によりクラッド103とチャンネルチューブ17とを接着しているが、クラッド103を除去してコア102とチャンネルチューブ17とを低屈折率の接着剤等で接着してもよい。
【0053】
また、
図25に示すように、光ファイバ101の先端側端部にクラッド103と被覆104とを接着する変位抑制部106を形成し、さらに、これとは異なる位置に被覆104とチャンネルチューブ17とを接着する変位抑制部106を形成してもよい。
【0054】
光ファイバ101の先端側端部には、コア102を導光した光を反射させるためのミラー107が配置されている。ミラー107は外力などを受けて剥離したり破損したり易いため、樹脂などで保護することが望ましい。従って、
図26に示すように、ミラー107を覆うように接着剤を塗布して変位抑制部106を形成することによりクラッド103と被覆104とを接着し、さらに、これとは異なる位置に被覆104とチャンネルチューブ17とを接着する変位抑制部106を形成してもよい。これにより、変位抑制部106の接着による変位抑制機能とミラー保護機能とを同時に満たすことができる。
【0055】
1本の光ファイバ101につき1箇所の検出部105を設けた構成を説明してきたが、1本の光ファイバ101に複数の検出部105を設けてもよい。例えば、異なる波長特性を有する光吸収体を塗布することによって複数の検出部105を形成することにより、各検出部105の湾曲状態に基づいて異なる波長の光量が変化する。そして、各波長の光量変化を検出して、対応する検出部105の湾曲量を算出することができる。
【0056】
1本の光ファイバ101に複数の検出部105を設けた場合、各検出部105に対応させて変位抑制部106を複数設けると、光ファイバ101が複数箇所で固定されることとなる。そのため、挿入部11と共にチャンネルチューブ17が湾曲したときに光ファイバ101にテンションがかかり、破損する虞がある。そこで、
図27に示すように、複数の変位抑制部106に挟まれる範囲の光ファイバ101を、チャンネルチューブ17が湾曲しても光ファイバ101にテンションがかからない程度にたるませて両側の変位抑制部106により接着し、挿入部11の湾曲に沿って変位するチャンネルチューブ17に対するコア102の変位を抑制する。これにより、複数の変位抑制部106により光ファイバ101の位置を固定しても、湾曲により光ファイバ101にテンションがかかることがなく、破損しにくくすることができる。
【0057】
以上の説明では、挿入部11の内蔵物であるチャンネルチューブ17、照明光用光ファイバ18、撮像素子用配線19等に対して変位抑制部106によりコア等の変位を直接又は間接的に抑制するとしてきたが、
図28に示されるようなコマ111を使って抑制してもよい。
【0058】
図28は、ライナーチューブ110及びコマ111による変位抑制機構を概略的に示す図である。2つのコマ111が、検出部105の前後に1つずつ配置され、一方のコマ111のコア102に対する変位を変位抑制部106により直接又は間接的に抑制する。変位抑制部106は、
図12(a)乃至(c)のいずれの構造であってもよい。他方のコマ111には、湾曲により光ファイバ101にテンションをかけないように変位抑制部106は設けず、コマ111に対して光ファイバ101が摺動可能なようにしておく。コマ111は、螺旋形状をした金属製のチューブであるライナーチューブ110にネジ112でネジ止めされる。
【0059】
このような変位抑制機構を採用することにより、湾曲形状検出センサ100をユニット化することができ、取り扱いが容易になる。光ファイバ101を組み込んだライナーチューブ110は、例えば、湾曲部14内の構造物に取り付けられる。あるいは、チャンネルチューブ17の内部に挿入して組み込める構造にしてもよい。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内でさまざまな改良及び変更が可能であることが当業者に明らかである。