(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188585
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】燃焼制御装置
(51)【国際特許分類】
F23N 5/00 20060101AFI20170821BHJP
F23N 1/02 20060101ALI20170821BHJP
F23N 3/02 20060101ALI20170821BHJP
F23L 3/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
F23N5/00 N
F23N1/02 101
F23N3/02
F23L3/00
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-1639(P2014-1639)
(22)【出願日】2014年1月8日
(65)【公開番号】特開2015-129614(P2015-129614A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2016年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100173934
【弁理士】
【氏名又は名称】久米 輝代
(74)【代理人】
【識別番号】100156351
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 秀央
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 加代
(72)【発明者】
【氏名】山田 晃
(72)【発明者】
【氏名】山岸 覚
(72)【発明者】
【氏名】西山 武志
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 雄一
(72)【発明者】
【氏名】石井 重樹
【審査官】
渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】
実開平01−117451(JP,U)
【文献】
特開平09−210349(JP,A)
【文献】
特開平03−017418(JP,A)
【文献】
特開2013−002667(JP,A)
【文献】
特開平08−145343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/00
F23L 3/00
F23N 1/02
F23N 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室内に設けられ、ガス燃料が供給されるバーナと、
前記バーナに空気を供給する空気供給系の配管内に設けられ、位置が変化することで、前記バーナへの空気の供給量を制御するダンパと、
前記ダンパを駆動するダンパモータと、
前記ダンパモータの動作のON/OFFを切替えるリレー接点と、
前記ダンパが、前記燃焼室が低燃焼状態となる空気量を供給するための低燃焼位置であることを検知する低燃焼インターロックスイッチと、
外部の制御機器から燃焼停止要求を受けた場合に、前記ダンパが前記低燃焼位置になるように前記ダンパモータを制御して、前記低燃焼インターロックスイッチによって前記ダンパが前記低燃焼位置にあることを検知した時点で、前記バーナへのガス燃料の供給を停止して、当該バーナの燃焼を停止させる指示を発した後、前記バーナの燃焼停止後に、前記空気供給系による空気のみを前記バーナに供給して、ポストパージを実行する燃焼制御器とを備えた
ことを特徴とする燃焼制御装置。
【請求項2】
前記燃焼制御器は、前記ダンパが低燃焼位置になるよう前記ダンパモータを制御した後、一定期間、前記低燃焼インターロックスイッチによる検知がない場合においても、前記バーナの燃焼を停止させる指示を発する
ことを特徴とする請求項1記載の燃焼制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃焼室内の燃焼を制御する燃焼制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるような工場やビルに設置された燃焼室内の燃焼を制御する燃焼制御装置において、メインバーナに対し多くの空気量及び、当該空気量に応じた量の燃料を供給している状態、即ち高燃焼で運転しているときに急に燃焼停止を行うと、燃焼室内のガス圧が変動し、他の燃焼室の燃焼に影響を与える恐れがある。そこで、従来から、上記影響を回避するために、予め、メインバーナに対し供給する空気量(及び燃料の量)を高燃焼に比べ相対的に少なくした状態(低燃焼)に調整したうえで燃焼を停止させる低燃焼停止を行っている。低燃焼停止では、燃焼制御器が起動停止要求を受けた場合に、まず、メインバーナに空気を供給する空気供給系に設けられたダンパを低燃焼位置にするようダンパモータを制御する。そして、ダンパに設けられた低燃焼インターロックスイッチが当該ダンパが低燃焼位置となったことを検知した後に、燃焼停止を行う。
【0003】
ここで、従来の燃焼制御器では、ダンパモータのON/OFF制御しか行うことができない。そのため、従来では、上記のような低燃焼停止動作を行うために、ダンパモータにリレー接点を有する回路を外部計装することで、低燃焼運転を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−126475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、低燃焼停止動作を行う回路はダンパモータに外部計装で構成されている。しかしながら、外部計装では、低燃焼運転を行うためのリレー接点が入らないなどの故障が生じた場合に、燃焼が止まらない状況となり、延々燃焼を続けてしまう恐れがあり非効率である。また、場合によっては、装置が過熱して故障してしまう恐れがある。
また、上記低燃焼停止を行うためには、起動信号の他に、低燃焼運転を行うための指示信号も必要となり、制御が煩雑であるという課題もある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、簡易かつ確実に低燃焼停止を行うことができる燃焼制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る燃焼制御装置は、燃焼室内に設けられ、
ガス燃料が供給されるバーナと、バーナに空気を供給する空気供給系の配管内に設けられ、位置が変化することで、バーナへの空気の供給量を制御するダンパと、ダンパを駆動するダンパモータと、ダンパモータの動作のON/OFFを切替えるリレー接点と、ダンパが、燃焼室が低燃焼状態となる空気量を供給するための低燃焼位置であることを検知する低燃焼インターロックスイッチと、外部の制御機器から燃焼停止要求を受けた場合に、
ダンパが低燃焼位置になるようにダンパモータを制御して、低燃焼インターロックスイッチによってダンパが低燃焼位置にあることを検知した時点で、バーナへのガス燃料の供給を停止して、当該バーナの燃焼を停止させる指示を発
した後、バーナの燃焼停止後に、空気供給系による空気のみをバーナに供給して、ポストパージを実行する燃焼制御器とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、上記のように構成したので、簡易かつ確実に低燃焼停止を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る燃焼制御装置の構成を示す図である。
【
図2】この発明の実施の形態1におけるダンパモータの構成を示す図である。
【
図3】この発明の実施の形態1に係る燃焼制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る燃焼制御装置の全体構成を示す図である。
燃焼制御装置は、
図1に示すように、燃焼室1に組み込まれたメインバーナ2及びパイロットバーナ3と、パイロットバーナ3を点火する点火トランス4と、燃焼室1内でバーナ火炎の有無を検出可能な火炎検出器5と、送風機6によりメインバーナ2に空気を供給する空気供給系7と、メインバーナ2及びパイロットバーナ3にガス等の燃料を供給する第1,2の燃料供給系8,9と、空気供給系7に設けられた後述するダンパ12を駆動するダンパモータ10と、第1,2の燃料供給系8,9に設けられた後述するバルブ13〜16及びダンパモータ10、後述するリレー接点102を制御する燃焼制御器11とを備えている。
【0011】
この燃焼制御器11は、外部の制御機器から起動停止要求(燃焼停止要求)を受けた場合に、ダンパ12が低燃焼位置になるようダンパモータ10を制御した状態で燃焼を継続する。その後、当該ダンパモータ10の制御により、燃焼室1内が低燃焼状態になった旨を低燃焼インターロックスイッチ103により検知した時点で、燃焼を停止させる。また、ダンパ12が低燃焼位置になるようダンパモータ10を制御した後、一定期間、低燃焼インターロックスイッチ103による検知がない場合には、燃焼停止させる機能も有している。
【0012】
また、メインバーナ2に空気を供給する空気供給系7には、位置が変化することで、単一の配管内の流体流量を制御するダンパ12が接続されている。
また、メインバーナ2に燃料を供給する第1の燃料供給系8には、単一の配管内の流体流量を制御するとともに、燃焼制御装置の燃焼停止中に配管内の流体がメインバーナ2側に漏れることを防止するバルブ13,14が直列に接続されている。
同様に、パイロットバーナ3に燃料を供給する第2の燃料供給系9には、単一の配管内の流体流量を制御するとともに、燃焼制御装置の燃焼停止中に配管内の流体がパイロットバーナ3側に漏れることを防止するバルブ15,16が直列に接続されている。
当然のことながら、第1,2の燃料供給系8,9は上流側をより高圧にすることで下流側へ燃料を流す。
【0013】
次に、ダンパモータ10の構成について、
図2を参照しながら説明する。
ダンパモータには、
図2に示すように、電源101、リレー接点102及び低燃焼インターロックスイッチ103が接続されている。
ここで、リレー接点102は、ダンパモータ10の動作のON/OFFを切替えるものある。なお、リレー接点102は、燃焼制御器11で制御される。また、低燃焼インターロックスイッチ103は、ダンパ12が低燃焼位置であることを検知するものである。この低燃焼インターロックスイッチ103は、ダンパ12が低燃焼位置であることを検知した場合に、その旨を燃焼制御器11に通知する。
なお、ダンパ12、ダンパモータ10およびリレー接点102は、本発明の「燃焼室内に設けられたバーナへの空気の供給量を制御する空気量調整部」を構成する。
【0014】
次に、上記のように構成された燃焼制御装置の動作について、
図3を参照しながら説明する。なお
図3において、起動信号、エアフロー信号、閉信号及びフレーム信号は燃焼制御器11への入力を示している。ここで、エアフロー信号は、空気供給系7に取付けられたエアフロースイッチ(不図示)からの空気の流れの検知信号であり、閉信号は、バルブ13,14に取付けられた閉確認スイッチ(不図示)からのバルブ13,14の閉状態の確認信号であり、フレーム信号は、火炎検出器5からのバーナ火炎の検知信号である。また
図3において、ブロアモータ、点火トランス、パイロット弁及びメイン弁は燃焼制御器11からの出力(制御信号)を示している。
【0015】
図3に示すように、燃焼制御器11に起動信号が入力されると、燃焼制御器11は、プレパージを開始する。このプレパージでは、燃焼制御器11は、ブロアモータ(不図示)が駆動するよう制御して、送風機6を停止状態から駆動状態とし、ダンパ12の開度を最大に制御する。プレパージを予め設定した時間分実行した後、燃焼制御器11は、入力される各信号を監視して各処理(点火待ち、イグニッショントライアル、パイロットオンリー、メイントライアル、メイン安定)の制御を行い、定常の燃焼動作制御へと移行する。
【0016】
その後、起動信号の入力がなくなる(起動停止要求を受ける)と、燃焼制御器11は、低燃焼停止を開始する。この低燃焼停止では、まず、ダンパ12を低燃焼位置にするようにダンパモータ10を制御して、低燃焼運転を行う。その後、低燃焼インターロックスイッチ103によりダンパ12が低燃焼位置となったことが検知された場合に燃焼停止させる。
その後、ポストパージを開始する。すなわち、ブロアモータが駆動するよう制御して送風機6を駆動状態とする。ポストパージを予め設定した時間実行した後、燃焼制御器11はポストパージを終了する。
【0017】
以上のように、この実施の形態1によれば、燃焼制御器11に、起動停止要求を受けた場合に、低燃焼運転を行った後に燃焼停止を行う機能を追加するよう構成したので、従来構成のようなリレー接点を有する回路を外部計装で設ける必要がなくなり、
図2に示すようにダンパモータ10を簡易な構成とすることができる。その結果、従来構成のようなリレー接点の故障による不安全な状態又は燃焼が継続することによる非効率な状態を回避することができる。また、
図2のような構成とすることで、従来構成に対して、コストダウンを図れ、また、低燃焼停止を行う際には1つの信号(起動信号)を制御するのみでよいため簡易化を図れる。
【0018】
また、燃焼制御器11は、起動停止要求を受けて低燃焼モードに入り、一定時間が経っても低燃焼インターロックスイッチ103による検知がない場合には、強制的に燃焼停止させる機能を有している。これにより、故障による不安全な状態又は低燃焼運転が継続する状態が生じたとしても、非効率な状態からの回復を早急に行うことができる。
【0019】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0020】
1 燃焼室
2 メインバーナ
3 パイロットバーナ
4 点火トランス
5 火炎検出器
6 送風機
7 空気供給系
8,9 第1,2の燃料供給系
10 ダンパモータ
11 燃焼制御器
12 ダンパ
13〜16 バルブ
101 電源
102 リレー接点
103 低燃焼インターロックスイッチ