(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
蒸気を熱源として作動媒体を蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器で蒸発した気体の作動媒体を膨張させて回転駆動力を発生する膨張機と、前記膨張機で膨張した気体の作動媒体を液体に凝縮する凝縮器と、前記凝縮器から蒸発器に向って作動媒体を循環させる循環ポンプとを備えるバイナリー発電装置の運転方法であって、
前記蒸発器にて熱交換された後のドレインを排出するドレイン排出手段と、前記ドレイン排出手段で排出されたドレインを冷却するドレイン冷却熱交換器とを設けておき、
前記蒸発器で熱交換する前の作動媒体を前記ドレイン冷却熱交換器に導入して前記ドレインを冷却し、
前記循環ポンプで加圧された作動媒体を前記蒸発器の入側で分岐し、分岐された作動媒体をドレイン冷却熱交換器に導入し、
前記ドレイン冷却熱交換器を通過した後の作動媒体を、前記作動媒体を分岐させた位置と蒸発器の入側との間に返送し、
前記ドレイン冷却熱交換器から排出されたドレインの排出温度を計測する排出温度計と、前記ドレイン冷却熱交換器から排出された作動媒体を前記蒸発器側に返送する際の返送量を調整する第1流量調整バルブとを設けておき、
前記排出温度計で計測した前記排出温度に基づいて前記第1流量調整バルブの開度を調整し、
前記排出温度が予め定められた第1目標温度T1未満である場合には前記排出温度を測定した時の前記第1流量調整バルブの開度よりも当該バルブの開度を小さくし、排出温度が予め定められた第1目標温度T1より高く且つ第2目標温度T2より低い場合には第1流量調整バルブの開度を維持し、前記排出温度が第2目標温度T2を超える場合には前記排出温度を測定した時の前記第1流量調整バルブの開度よりも当該バルブの開度を大きくする
ことを特徴とするバイナリー発電装置の運転方法。
前記ドレイン冷却熱交換器から前記蒸発器側へ返送される作動媒体の圧力を計測する第1圧力計と、前記蒸発器側の入側における作動媒体の圧力を計測する第2圧力計とを設けておき、
前記第1圧力計で計測された作動媒体の圧力と、前記第2圧力計で計測された作動媒体の圧力とに基づいて第1流量調整バルブの開度を調整することを特徴とする請求項1に記載のバイナリー発電装置の運転方法。
前記第1圧力計で計測された作動媒体の圧力P4が、前記第2圧力計で計測された作動媒体の圧力P3より高い場合には、当該作動媒体を凝縮器側に返送することを特徴とする請求項2に記載のバイナリー発電装置の運転方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1や特許文献2に開示された装置は、蒸発器から導出されたドレインを外部等に排出する構成を有するものとなっているが、その際にドレインの温度は管理されておらず、そのまま外部へ排出するものとなっていた。即ち、特許文献1及び特許文献2を用いたとしてもドレインの温度管理することができないため新たな技術の開発が必要であった。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、発電に用いた蒸気のドレインの温度管理(温度調整)を行うことができるバイナリー発電装置の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のバイナリー発電装置の運転方法は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明のバイナリー発電装置の運転方法は、蒸気を熱源として作動媒体を蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器で蒸発した気体の作動媒体を膨張させて回転駆動力を発生する膨張機と、前記膨張機で膨張した気体の作動媒体を液体に凝縮する凝縮器と、前記凝縮器から蒸発器に向って作動媒体を循環させる循環ポンプとを備えるバイナリー発電装置の運転方法であって、前記蒸発器にて熱交換された後のドレインを排出するドレイン排出手段と、前記ドレイン排出手段で排出されたドレインを冷却するドレイン冷却熱交換器とを設けておき、 前記蒸発器で熱交換する前の作動媒体を前記ドレイン冷却熱交換器に導入して前記ドレインを冷却することを特徴とする。
【0008】
なお、好ましくは、前記循環ポンプで加圧された作動媒体を前記蒸発器の入側で分岐し、分岐された作動媒体をドレイン冷却熱交換器に導入し、前記ドレイン冷却熱交換器を通過した後の作動媒体を、前記作動媒体を分岐させた位置と蒸発器の入側との間に返送するとよい。
なお、好ましくは、前記ドレイン冷却熱交換器から排出されたドレインの排出温度を計測する排出温度計と、前記ドレイン冷却熱交換器から排出された作動媒体を前記蒸発器側に返送する際の返送量を調整する第1流量調整バルブとを設けておき、前記排出温度計で計測した前記排出温度に基づいて前記第1流量調整バルブの開度を調整するとよい。
【0009】
なお、好ましくは、前記排出温度が予め定められた第1目標温度T1未満である場合には前記排出温度を測定した時の前記第1流量調整バルブの開度よりも当該バルブの開度を小さくし、排出温度が予め定められた第1目標温度T1より高く且つ第2目標温度T2より低い場合には第1流量調整バルブの開度を維持し、前記排出温度が第2目標温度T2を超える場合は前記排出温度を測定した時の前記第1流量調整バルブの開度よりも当該バルブの開度を大きくするとよい。
【0010】
なお、好ましくは、前記ドレイン冷却熱交換器から前記蒸発器側へ返送される作動媒体の圧力を計測する第1圧力計と、前記蒸発器側の入側における作動媒体の圧力を計測する第2圧力計とを設けておき、前記第1圧力計で計測された作動媒体の圧力と、前記第2圧力計で計測された作動媒体の圧力とに基づいて第1流量調整バルブの開度を調整するとよい。
【0011】
なお、好ましくは、前記第1圧力計で計測された作動媒体の圧力P4が、前記第2圧力計で計測された作動媒体の圧力P3より高い場合には、当該作動媒体を凝縮器側に返送するとよい。
なお、好ましくは、前記ドレイン排出手段で排出された前記ドレインを前記ドレイン冷却熱交換器の入側で分岐し、分岐されたドレインを前記ドレイン冷却熱交換器に導入し、前記ドレイン冷却熱交換器を通過した後のドレインを、前記ドレイン分岐位置より下流側に返送するとよい。
【0012】
なお、好ましくは、前記ドレイン排出手段で排出された前記ドレインを前記ドレイン冷却熱交換器を経由せずに下流側に送るドレイン主流配管と、前記ドレイン主流配管から分岐されたドレインを前記ドレイン冷却熱交換器に送ると共に前記ドレイン冷却熱交換器から排出されたドレインを再び前記ドレイン主流配管に合流させるドレイン分岐配管と、前記ドレイン主流配管と前記ドレイン分岐配管とが合流した後のドレインの温度を計測する排出温度計と、前記ドレイン主流配管および前記ドレイン分岐配管のうち少なくとも一方に設けられて、前記ドレイン冷却熱交換器に供給されるドレインの流量を調節する第2流量調整バルブと、を設けておき、前記排出温度計で計測した前記排出温度に基づいて前記第2流量調整バルブの開度を調整するとよい。
【0013】
なお、好ましくは、前記第2流量調整バルブが、前記ドレイン分岐配管上に設けられていて、前記排出温度計で計測された前記排出温度が予め定められた第1目標温度T1未満である場合には、前記排出温度を測定した時の前記第2流量調整バルブの開度よりも当該バルブの開度を小さくし、前記排出温度が予め定められた第1目標温度T1より高く且つ第2目標温度T2より低い場合には、前記第2流量調整バルブの開度を維持し、前記排出温度が第2目標温度T2を超える場合には、前記排出温度を測定した時の前記第2流量調整バルブの開度よりも当該バルブの開度を大きくするとよい。
【0014】
なお、好ましくは、前記第2流量調整バルブが、前記ドレイン主流配管上に設けられていて、前記排出温度計で計測された前記排出温度が予め定められた第1目標温度T1未満である場合には、前記排出温度を測定した時の前記第2流量調整バルブの開度よりも当該バルブの開度を大きくし、前記排出温度が予め定められた第1目標温度T1より高く且つ第2目標温度T2より低い場合には、前記第2流量調整バルブの開度を維持し、前記排出温度が第2目標温度T2を超える場合には、前記排出温度を測定した時の前記第2流量調整バルブの開度よりも当該バルブの開度を小さくするとよい。
【0015】
なお、好ましくは、前記第2流量調整バルブが、前記ドレイン主流配管上と前記分岐配管上とのそれぞれに設けられていて、前記排出温度計で計測された前記排出温度が予め定められた第1目標温度T1未満である場合には、前記分岐配管側の前記第2流量調整バルブの開度を前記排出温度を測定した時よりも小さくすると共に、前記ドレイン主流配管側の前記第2流量調整バルブの開度を前記排出温度を測定した時よりもを大きくし、前記排出温度が予め定められた第1目標温度T1より高く且つ第2目標温度T2より低い場合には、前記分岐配管側及び前記ドレイン主流配管側の前記第2流量調整バルブの開度をいずれも維持し、前記排出温度が第2目標温度T2を超える場合には、前記分岐配管側の前記第2流量調整バルブの開度を前記排出温度を測定した時よりも大きくすると共に、前記ドレイン主流配管側の前記第2流量調整バルブの開度を前記排出温度を測定した時よりも小さくするとよい。
また、本発明にかかるバイナリー発電装置の運転方法の最も好ましい形態は、蒸気を熱源として作動媒体を蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器で蒸発した気体の作動媒体を膨張させて回転駆動力を発生する膨張機と、前記膨張機で膨張した気体の作動媒体を液体に凝縮する凝縮器と、前記凝縮器から蒸発器に向って作動媒体を循環させる循環ポンプとを備えるバイナリー発電装置の運転方法であって、前記蒸発器にて熱交換された後のドレインを排出するドレイン排出手段と、前記ドレイン排出手段で排出されたドレインを冷却するドレイン冷却熱交換器とを設けておき、前記蒸発器で熱交換する前の作動媒体を前記ドレイン冷却熱交換器に導入して前記ドレインを冷却し、前記循環ポンプで加圧された作動媒体を前記蒸発器の入側で分岐し、分岐された作動媒体をドレイン冷却熱交換器に導入し、前記ドレイン冷却熱交換器を通過した後の作動媒体を、前記作動媒体を分岐させた位置と蒸発器の入側との間に返送し、前記ドレイン冷却熱交換器から排出されたドレインの排出温度を計測する排出温度計と、前記ドレイン冷却熱交換器から排出された作動媒体を前記蒸発器側に返送する際の返送量を調整する第1流量調整バルブとを設けておき、前記排出温度計で計測した前記排出温度に基づいて前記第1流量調整バルブの開度を調整し、前記排出温度が予め定められた第1目標温度T1未満である場合には前記排出温度を測定した時の前記第1流量調整バルブの開度よりも当該バルブの開度を小さくし、排出温度が予め定められた第1目標温度T1より高く且つ第2目標温度T2より低い場合には第1流量調整バルブの開度を維持し、前記排出温度が第2目標温度T2を超える場合には前記排出温度を測定した時の前記第1流量調整バルブの開度よりも当該バルブの開度を大きくすることを特徴とする。
さらに、本発明にかかるバイナリー発電装置の運転方法の最も好ましい形態は、蒸気を熱源として作動媒体を蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器で蒸発した気体の作動媒体を膨張させて回転駆動力を発生する膨張機と、前記膨張機で膨張した気体の作動媒体を液体に凝縮する凝縮器と、前記凝縮器から蒸発器に向って作動媒体を循環させる循環ポンプとを備えるバイナリー発電装置の運転方法であって、前記蒸発器にて熱交換された後のドレインを排出するドレイン排出手段と、前記ドレイン排出手段で排出されたドレインを冷却するドレイン冷却熱交換器とを設けておき、前記蒸発器で熱交換する前の作動媒体を前記ドレイン冷却熱交換器に導入して前記ドレインを冷却し、前記ドレイン排出手段で排出された前記ドレインを前記ドレイン冷却熱交換器の入側で分岐し、分岐されたドレインを前記ドレイン冷却熱交換器に導入し、前記ドレイン冷却熱交換器を通過した後のドレインを、前記ドレイン分岐位置より下流側に返送し、前記ドレイン排出手段で排出された前記ドレインを前記ドレイン冷却熱交換器を経由せずに下流側に送るドレイン主流配管と、前記ドレイン主流配管から分岐されたドレインを前記ドレイン冷却熱交換器に送ると共に前記ドレイン冷却熱交換器から排出されたドレインを再び前記ドレイン主流配管に合流させるドレイン分岐配管と、前記ドレイン主流配管と前記ドレイン分岐配管とが合流した後のドレインの温度を計測する排出温度計と、前記ドレイン主流配管および前記ドレイン分岐配管のうち少なくとも一方に設けられて、前記ドレイン冷却熱交換器に供給されるドレインの流量を調節する第2流量調整バルブと、を設けておき、前記排出温度計で計測した前記排出温度に基づいて前記第2流量調整バルブの開度を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のバイナリー発電装置の運転方法によれば、発電に用いた蒸気のドレインの温度管理(温度調整)を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明のバイナリー発電装置1及びこのバイナリー発電装置1の運転方法の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
図1は、第1実施形態のバイナリー発電装置1を模式的に示したものである。
図1に示すように、バイナリー発電装置1は、蒸気を熱源として液体の作動媒体を蒸発させる蒸発器2と、蒸発器2で蒸発した気体の作動媒体を膨張させて回転駆動力を発生する膨張機3と、膨張機3で膨張した気体の作動媒体を液体に凝縮する凝縮器4と、凝縮器4から蒸発器2に向って作動媒体を循環させる循環ポンプ5とを備えている。これらの蒸発器2、膨張機3、凝縮器4及び循環ポンプ5は作動媒体を循環させる閉ループ状の循環配管6により接続されていて、作動媒体を循環配管6の一方向(蒸発器2→膨張機3→凝縮器4→循環ポンプ5の順番に循環して蒸発器2に帰還する方向)に沿って流通できるようになっている。
【0019】
次に、バイナリー発電装置1を構成する蒸発器2、膨張機3、凝縮器4及び循環ポンプ5について説明する。
蒸発器2は、1次側に供給された蒸気と、2次側に供給された作動媒体との熱交換を行う熱交換器であり、蒸気の熱を利用して液体の作動媒体を気化させるものである。蒸発器2の1次側には、この蒸発器2内に蒸気を供給する蒸気配管7が設けられており、この蒸気配管7を介して、例えば温泉やボイラなどで発生した蒸気が蒸発器2の内部に供給されている。また、蒸発器2の2次側には、上述した循環配管6を介して液体の作動媒体が供給され、1次側の蒸気との間で熱交換がなされる。1次側の蒸気との熱交換で加熱された作動媒体は、循環配管6を介して凝縮器4に向かって移送される。
【0020】
蒸発器2の一次側の入側における蒸気配管7aには蒸発器2に供給される蒸気圧力を減圧可能な減圧弁8が設けられている。蒸発器2の出側には、蒸発器2にて熱交換された後の蒸気(ドレイン)を排出する蒸気配管(ドレイン排出手段)7bが設けられている。この蒸気配管7bにはスチームトラップ9が設けられている。説明の便宜上、蒸発器2の出側に接続された蒸気配管7bのことを「ドレイン配管7b」という。
【0021】
膨張機3は、蒸発器2で気化した作動媒体を用いて回転駆動力を発生させるものであり、タービンなどで構成されている。膨張機3には、膨張機3で得られた回転駆動力を伝達する駆動軸18と、駆動軸18を介して伝達された回転駆動力を用いて発電を行う発電機13とが設けられている。膨張機3を通過した気体の作動媒体は、循環配管6を通じて凝縮器4に送られる。
【0022】
凝縮器4は、1次側に供給された冷却水と、2次側に供給された気体の作動媒体との間に熱交換を行って、気体の作動媒体を凝縮(液化)させるものである。凝縮器4の1次側には、冷却塔10(チラ−)で冷却された冷却水を供給する冷却水配管11と、冷却水配管11に沿って冷却水を流通させる冷却水ポンプ12とが設けられている。また、凝縮器4の2次側には、膨張機3から送られてきた気体の作動媒体が循環配管6を経由して供給されており、凝縮器4の内部で凝縮した液体の作動媒体を循環ポンプ5に移送できるようになっている。
【0023】
循環ポンプ5は、凝縮器4で凝縮された液体の作動媒体を循環配管6に沿って蒸発器2に圧送するものである。なお、上述したバイナリー発電装置1に用いられる作動媒体には、代替フロンやペンタンなど水より低沸点の有機化合物が用いられており、熱源である蒸気から供給される熱を用いて発電を行うことが可能となっている。
図1に示すバイナリー発電装置1で発電を行う際には、まず蒸発器2の1次側に蒸気を供給すると共に蒸発器2の2次側に液体の作動媒体を導いて、蒸発器2内で両者の間に熱交換を行って、作動媒体を気化させる。
【0024】
このようにして蒸発器2で作動媒体が気化したら、気化した作動媒体を膨張機3に送って、膨張機3を駆動させる。膨張機3で発生した回転駆動力は駆動軸18を経由して発電機13に送り、発電機13で発電を行う。一方、膨張機3の駆動に用いられた気体の作動媒体は凝縮器4に送られ、凝縮器4において冷却水との間に熱交換が行われて、気体の作動媒体は液体に戻る(凝縮される)。凝縮器4で凝縮された液体の作動媒体は循環ポンプ5で圧送され、再び蒸発器2に帰還する。
【0025】
さて、上述したバイナリー発電装置1では、蒸気を熱源として用いているが、上述したように、蒸発器2において熱交換後の蒸気(ドレイン)はドレイン配管7bを介して排出される。排出されたドレインは、様々な用途に使用されたり、排出先の様々な制約に適合するために、ドレインの温度(排出温度)を適正にすることが望ましい。
そこで、本発明では、ドレイン配管7bにドレイン冷却熱交換器20を設け、このドレイン冷却熱交換器20に作動媒体を導入することによって、ドレイン冷却熱交換器20内を通過するドレインを冷却することとしている。つまり、ドレインよりも低温であって且つ発電に用いる作動媒体を循環配管6から取り出し、取り出した低温の作動媒体をドレイン冷却熱交換器20に導入して熱交換を行うことによりドレインを冷却する。
【0026】
以下、ドレインを冷却する構成及び方法について説明する。
図1に示すように、蒸発器2と循環ポンプ(作動媒体ポンプ)5との間の循環配管6には、作動媒体を分岐する分岐部21が設けられている。この分岐部21と、ドレイン冷却熱交換器20の一次側の入側との間には、循環配管6から分岐した作動媒体を当該ドレイン冷却熱交換器20に導入する導入管23が接続されている。
【0027】
また、蒸発器2と循環ポンプ5との間の循環配管6であって分岐部21よりも蒸発器一次側には、分岐した作動媒体を戻すための合流部22が設けられている。この合流部22と、ドレイン冷却熱交換器20の一次側の出側には、ドレインの冷却に用いた作動媒体を循環配管6に戻す戻り配管24が接続されている。戻り配管24であって作動媒体を戻す側は、作動媒体を取り出すための分岐部21よりも蒸発器2の入側に近い位置に接続されている。
【0028】
このように、ドレイン冷却熱交換器20によってドレインの冷却を行う際には、まず蒸発器2に入る前の作動媒体を分岐部21を介して分岐し、分岐した作動媒体を導入管23を介してドレイン冷却熱交換器20に導入する。そして、作動媒体とドレイン冷却熱交換器20を通過するドレインとの間で熱交換をすることによって、ドレインを冷却する。冷却に使用した作動媒体(ドレイン冷却熱交換器20を通過した後の作動媒体)は、戻り配管24を介して、作動媒体を分岐させた位置(分岐部21)と蒸発器2の入側との間に返送する。
【0029】
このように、作動媒体をドレイン冷却熱交換器20の一次側に導入し、ドレインをドレイン冷却熱交換器20の二次側に導入することによって、発電に用いる作動媒体を用いてドレインを冷却することができる。この点、逆の見方をすれば、ドレイン冷却熱交換器20を用いることで、ドレインが有する熱量を利用して発電に用いる作動媒体を予熱(加熱)することになる。
【0030】
さて、ドレインを冷却するにあたって、ドレインの排出温度TDは予め定められた目標温度に近づけることが望ましい。そこで、本発明では、ドレイン冷却熱交換器20から排出された排出温度TDを計測しつつ排出温度TDに対応してドレイン冷却熱交換器20に導入する作動媒体の量を可変とすることにより、ドレインの排出温度TDの調整を行っている。
【0031】
詳しくは、
図1に示す如く、ドレイン冷却熱交換器20の二次側の出側には、ドレイン冷却熱交換器20から排出されたドレインの排出温度TDを計測する排出温度計25が設けられている。また、戻り配管24の中途部には、ドレイン冷却熱交換器20から排出された作動媒体を蒸発器2側に返送する際の返送量を調整する第1流量調整バルブ26(流量調整バルブ)が設けられている。この第1流量調整バルブ26は、例えば、電流値等によって開度を調整することができる電磁比例弁で構成されている。
【0032】
また、排出温度計25で計測した排出温度TDに基づいて第1流量調整バルブ26の開度を調整する制御部(コントローラ)27が設けられている。制御部27は、パソコンやシーケンサで構成されている。この制御部27は、計測した排出温度TDに基づいて第1流量調整バルブ26に出力する電流値等を変化させることで当該第1流量調整バルブ26の開度を調整する。第1流量調整バルブ26の開度を調整すれば、冷却熱交換器20に導入する作動媒体の流量(返送量)が変化して、ドレイン冷却熱交換器20における熱交換量が増減するため、排出温度TDの調整を行うことができる。なお、制御部27における第1流量調整バルブ26の開閉制御はON−OFF制御、PID制御であってもよい。
【0033】
次に、制御部27で行われる信号処理、言い換えれば本発明のバイナリー発電装置1の運転方法について説明する。
バイナリー発電装置1が作動し、ドレイン冷却熱交換器20からドレインが排出されると、排出温度計25によって排出温度TDを計測する。計測された排出温度TDは制御部27に入力される。ここで、計測した排出温度TDが予め定められた第1目標温度T1未満である場合、制御部27は、排出温度TDを測定した時の第1流量調整バルブ26の開度よりも、第1流量調整バルブ26の開度を排出温度TDに応じて小さくする。即ち、戻り配管24(導入管23)に流れる作動媒体の流量を少なくして、排出温度を第1目標温度T1よりも高くする。
【0034】
また、排出温度TDが予め定められた第1目標温度T1より高く且つ第2目標温度T2(>T1)より低い場合には、制御部27は、第1流量調整バルブ26の開度を維持する。即ち、戻り配管24(導入管23)に流れる作動媒体の流量は変えずに、排出温度TDを第1目標温度T1と第2目標温度T2との間に維持する。一方、排出温度TDが第2目標温度T2を超える場合には、排出温度TDを測定した時の第1流量調整バルブ26の開度よりも、第1流量調整バルブ26の開度を大きくする。即ち、戻り配管24(導入管23)に流れる作動媒体の流量を多くして、排出温度TDを第1目標温度T2よりも低くする。
【0035】
以上によれば、制御部27によって排出温度に応じて戻り配管24(導入管23)に流れる作動媒体を調整することにより当該排出温度を目標温度の範囲に維持することができると共に、作動媒体の流量を安定化させることができる。
[第2実施形態]
さて、排出温度TDを測定した時の第1流量調整バルブ26の開度よりも、第1流量調整バルブ26の開度を小さくすることによって、戻り配管24(導入管23)に流れる作動媒体の流量を少なくした場合、圧力損失等によって分岐後の作動媒体の圧力が下がり、再び循環配管6に戻すことが難しくなる可能性がある。そこで、第2実施形態では、排出温度TDを測定した時の第1流量調整バルブ26の開度より、第1流量調整バルブ26の開度を小さくする場合でも、戻り配管24(導入管23)に流れる作動媒体が分岐前の循環配管6に容易に戻すことができるようにしたものである。
【0036】
図2は、第2実施形態におけるバイナリー発電装置1を示している。第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成について説明する。第1実施形態と同じ構成は同符号を付して説明を省略する。
図2に示すように、バイナリー発電装置1は、ドレイン冷却熱交換器20から蒸発器側5へ返送される作動媒体の圧力を計測する第1圧力計30と、蒸発器2側の入側における作動媒体の圧力を計測する第2圧力計31とを備えている。
【0037】
詳しくは、第1圧力計30は、戻り配管24に接続されて循環配管6へと戻る作動媒体の圧力を測定するもので、第2圧力計31は、循環配管6において蒸発器2の入側(合流部22よりも蒸発器2側)に接続されて合流部22から蒸発器2へ流れる作動媒体の圧力を測定するものである。
バイナリー発電装置1を作動させている状況下において、排出温度TDが予め定められた第1目標温度T1未満である場合、制御部27は、第1圧力計30によって計測された作動媒体の圧力(分岐圧力)P4が、第2圧力計31によって計測された作動媒体の圧力(主用圧力)P3を下回らない程度(P3<P4)に、排出温度TDを測定した時の第1流量調整バルブ26の開度よりも、第1流量調整バルブ26の開度を小さくする。即ち、分岐圧力P4>主用圧力P3を満たす範囲で、戻り配管24(導入管23)に流れる作動媒体の流量を少なくして、排出温度を第1目標温度T1よりも高くする。
【0038】
一方、排出温度TDが予め定められた第1目標温度T1より高く且つ第2目標温度T2(>T1)より低い場合には、制御部27は、第1実施形態と同様に第1流量調整バルブ26の開度を維持する。また、排出温度TDが第2目標温度T2を超える場合には、第1実施形態と同様に排出温度TDを測定した時の第1流量調整バルブ26の開度よりも、第1流量調整バルブ26の開度を大きくする。
【0039】
以上によれば、排出温度が目標温度よりも下がり過ぎた場合に第1流量調整バルブ26を絞る場合であっても、分岐圧力P4>主用圧力P3を維持して、分岐後の作動媒体が循環配管6へと戻り易くしている。
[第3実施形態]
さて、排出温度TDを測定した時の第1流量調整バルブ26の開度よりも、第1流量調整バルブ26の開度を小さくして戻り配管24(導入管23)に流れる作動媒体の流量を少なくすると、分岐圧力P4が主用圧力P3を上回らなくなってしまう場合がある。そこで、第3実施形態では、ドレインの冷却に用いた作動媒体を圧力が比較的高い蒸発器2の入側に戻すのではなく、膨張機3と凝縮器4との間の圧力が低い循環配管6へ戻すこととしている。
【0040】
図3は、第3実施形態におけるバイナリー発電装置1を示している。第3実施形態では、第2実施形態と異なる構成について説明する。第2実施形態と同じ構成は同符号を付して説明を省略する。
図3に示すように、戻り配管24の中途部には、当該戻り配管24内の作動媒体を、膨張機3と凝縮器4との間の循環配管6へ戻す分岐配管33が設けられている。また、分岐配管33には、分岐配管33を開閉する開閉弁34が設けられている。この開閉弁34は、制御部27のON−OFF制御によって開閉する電磁弁で構成されている。
【0041】
バイナリー発電装置1を作動させている状況下において、排出温度TDが予め定められた第1目標温度T1未満である場合、制御部27は第2実施形態と同様に排出温度TDを測定した時の第1流量調整バルブ26の開度よりも、第1流量調整バルブ26の開度を小さくする。その際、第1圧力計30によって計測された作動媒体の分岐圧力P4が、第2圧力計31によって計測された作動媒体の主用圧力P3を超えない(P3>P4)としたら、開閉弁34を開状態にする。即ち、主用圧力P3>分岐圧力P4の状況下において、排出温度TDを測定した時の第1流量調整バルブ26の開度よりも、第1流量調整バルブ26の開度を小さくしつつ開閉弁34を開状態にして、作動媒体を膨張機3と凝縮器4との間の循環配管6へ戻す。
【0042】
排出温度TDが予め定められた第1目標温度T1より高く且つ第2目標温度T2(>T1)より低い場合には、制御部27は、第1実施形態と同様に第1流量調整バルブ26の開度を維持する。また、排出温度TDが第2目標温度T2を超える場合には、第1実施形態と同様に排出温度TDを測定した時の第1流量調整バルブ26の開度よりも、第1流量調整バルブ26の開度を大きくする。なお、主用圧力P3>分岐圧力P4である場合には、開閉弁34を開状態にしてもよい。
【0043】
以上述べたように、蒸発器2にて熱交換された後のドレインを排出するドレイン排出手段7bと、ドレイン排出手段7bで排出されたドレインを冷却するドレイン冷却熱交換器20とを設けておき、蒸発器2で熱交換する前の作動媒体をドレイン冷却熱交換器20に導入してドレインを冷却するバイナリー発電装置1の運転方法を採用することで、発電に用いた蒸気のドレインの温度管理を確実に行うことができるようになる。
[第4実施形態]
次に、本発明のバイナリー発電装置の第4実施形態について説明する。
【0044】
図4に示すように、第4実施形態のバイナリー発電装置1は、第1〜第3実施形態に対して、ドレイン冷却熱交換器20に導入されるドレインや作動媒体の経路が異なっている。
つまり、第1〜第3実施形態のバイナリー発電装置は、循環配管6を流れる作動媒体を蒸発器2の入側(上流側)で2つに分岐し、分岐した作動媒体の一方をドレイン冷却熱交換器20に導いて熱交換を行う構成となっていた。これに対し、第4実施形態のバイナリー発電装置1は、循環配管6を流れる作動媒体ではなく、蒸気配管7を流れるドレインを蒸発器2の出側(下流側)で2つに分岐し、分岐したドレインの一方をドレイン冷却熱交換器20に導いて熱交換を行っている。
【0045】
つまり、第4実施形態のバイナリー発電装置は、第1〜第3実施形態と同様な蒸発器2、膨張機3、凝縮器4、循環ポンプ5を備えており、循環配管6に沿って作動媒体を循環させる構成となっている。また、蒸発器2に供給された蒸気はドレインとなり、生成したドレインを外部に排出する経路上にドレイン冷却熱交換器20が設けられている。
このドレイン冷却熱交換器20は、1次側にドレインを供給し、2次側に循環配管6を流れる作動媒体を供給して両者の間で熱交換を行う熱交換器である。ドレイン冷却熱交換器20の2次側には、循環配管6を流れる作動媒体のすべてが導入される構成となっている。
【0046】
一方、上述したドレイン冷却熱交換器20の1次側においては、蒸発器2より下流側の蒸気配管7は、スチームトラップ9(ドレイン排出手段)より下流側の分岐部35から、分岐部35のさらに下流側の合流部36までの間が、ドレイン主流配管38とドレイン分岐配管37とに2つのラインに分岐している。これら2つの配管のうち、ドレイン主流配管38はドレイン冷却熱交換器20を通過させることなくドレインを下流側に送る配管(バイパス配管)となっている。また、ドレイン分岐配管37はドレインをドレイン冷却熱交換器20の1次側に導いて熱交換させる配管である。
【0047】
このドレイン冷却熱交換器20では、蒸発器2にて熱交換された後のドレインと、蒸発器2の入側に位置する循環配管6の作動媒体とが熱交換されており、ドレインの温度を循環配管6の作動媒体を用いて調整できるようになっている。
ドレイン冷却熱交換器20で熱交換されたドレインは、上述した合流部36でドレイン主流配管38と合流しており、合流部36より下流側の蒸気配管7にはこの蒸気配管7を流れる合流後のドレインの温度を計測する排出温度計25が設けられている。また、ドレイン冷却熱交換器20から合流部36までのドレイン分岐配管37には、このドレイン分岐配管37を流通するドレインの流量を調整する分岐側調整バルブ39(第2流量調整バルブ)が設けられている。
【0048】
そして、この分岐側調整バルブ39の開度は、排出温度計25で計測した排出温度TDに基づいて調整可能とされている。この分岐側調整バルブ39の開度の調整は、実際には制御部(コントローラ)27で制御されている。
具体的には、制御部27では、排出温度計25で計測された排出温度が予め定められた第1目標温度T1未満である場合には、排出温度を測定した時の分岐側調整バルブ39の開度よりも、分岐側調整バルブ39の開度を小さくする。このようにすれば、ドレイン冷却熱交換器20で熱交換されるドレインの流量が少なくなり、排出温度計25が設けられた位置の蒸気配管7を流れるドレインの温度を高くすることが可能となる。
【0049】
また、排出温度計25で計測された排出温度が予め定められた第1目標温度T1より高く且つ第2目標温度T2より低い場合には、分岐側調整バルブ39の開度を維持する。このようにすれば、ドレイン冷却熱交換器20での熱交換状態が保持され、排出温度計25が設けられた位置の蒸気配管7を流れるドレインの温度を維持することが可能となる。
さらに、排出温度計25で計測された排出温度が第2目標温度T2を超える場合には、排出温度を測定した時の分岐側調整バルブ39の開度よりも、分岐側調整バルブ39の開度を大きくする。このようにすれば、ドレイン冷却熱交換器20で熱交換されるドレインの流量が多くなり、排出温度計25が設けられた位置の蒸気配管7を流れるドレインの温度を低くすることが可能となる。
【0050】
このように分岐側調整バルブ39の開度を調整すれば、蒸気配管7を通じて外部に排出されるドレインの温度を、第1目標温度T1から第2目標温度T2までの間に保持することが可能となる。その結果、作動媒体の流量を安定化させつつも、ドレインの排出温度を、このドレインを利用する施設の仕様に対応した目標温度の範囲に維持することができる。
【0051】
なお、第4実施形態における上述以外の構成並びに作用効果については、第1〜第3実施形態と同様である。それゆれ、これらの実施形態と同様な部分については説明を省略する。
[第5実施形態]
次に、本発明のバイナリー発電装置の第5実施形態について説明する。
【0052】
さて、上述した第4実施形態は、分岐側調整バルブ39の開度を調整することによって、ドレイン分岐配管37に流れる作動媒体の流量を調整するものであったが、設置スペースなどの関係でドレイン分岐配管37にバルブなどを設置しにくい場合は、ドレイン主流配管38に主流側調整バルブ40(第2流量調整バルブ)を設けることもできる。
すなわち、第5実施形態のバイナリー発電装置1では、分岐部35〜合流部36までの間のドレイン主流配管38に、第4実施形態の分岐側調整バルブ39と同様な主流側調整バルブ40(第2流量調整バルブ)が設けられており、この主流側調整バルブ40に制御部(コントローラ)27から制御信号が入力されている。そして、主流側調整バルブ40は、ドレイン主流配管38およびドレイン分岐配管37のうち、ドレイン主流配管38側に設けられている。
【0053】
それゆえ、ドレインの排出温度を調整する際には、排出温度計25で計測された排出温度が予め定められた第1目標温度T1未満である場合には、排出温度を測定した時の主流側調整バルブ40の開度よりも、主流側調整バルブ40の開度を大きくする。このようにすれば、ドレイン冷却熱交換器20で熱交換されるドレインの流量が少なくなり、排出温度計25が設けられた位置の蒸気配管7を流れるドレインの温度を高くすることが可能となる。
【0054】
また、排出温度が予め定められた第1目標温度T1より高く且つ第2目標温度T2より低い場合には、主流側調整バルブ40の開度を維持する。このようにすれば、ドレイン冷却熱交換器20での熱交換状態が保持され、排出温度計25が設けられた位置の蒸気配管7を流れるドレインの温度を維持することが可能となる。
さらに、排出温度が第2目標温度T2を超える場合は、排出温度を測定した時の主流側調整バルブ40の開度よりも、主流側調整バルブ40の開度を小さくする。このようにすれば、ドレイン冷却熱交換器20で熱交換されるドレインの流量が多くなり、排出温度計25が設けられた位置の蒸気配管7を流れるドレインの温度を低くすることが可能となる。
【0055】
このように主流側調整バルブ40の開度を調整すれば、蒸気配管7を通じて外部に排出されるドレインの温度を、第1目標温度T1から第2目標温度T2までの間に保持することが可能となる。その結果、作動媒体の流量を安定化させつつも、ドレインの排出温度を、このドレインを利用する施設の仕様に対応した目標温度の範囲に維持することができる。
【0056】
なお、第5実施形態における上述以外の構成並びに作用効果については、第4実施形態と同様である。それゆれ、第4実施形態と同様な部分については説明を省略する。
[第6実施形態]
次に、本発明のバイナリー発電装置の第6実施形態について説明する。
上述した第6実施形態のバイナリー発電装置1は、ドレイン分岐配管37に流れるドレインの流量を調整する分岐側調整バルブ39と、ドレイン主流配管38に流れるドレインの流量を調整する主流側調整バルブ40とをいずれも有したものとなっている。
【0057】
すなわち、第6次実施形態のバイナリー発電装置1では、分岐部35〜合流部36までの間のドレイン分岐配管37に、第4実施形態と同様な分岐側調整バルブ39が設けられて、さらに、分岐部35〜合流部36までの間のドレイン主流配管38に、第5実施形態と同様な主流側調整バルブ40が設けられている。
これらの分岐側調整バルブ39及び主流側調整バルブ40のそれぞれに制御部(コントローラ)27から制御信号が入力されている。
【0058】
それゆえ、制御部27では、排出温度計25で計測された排出温度が予め定められた第1目標温度T1未満である場合には、排出温度を測定した時のドレイン分岐配管37側の分岐側調整バルブ39の開度よりも、分岐側調整バルブ39の開度を小さくすると共に、排出温度を測定した時のドレイン主流配管38側の主流側調整バルブ40の開度よりも、主流側調整バルブ40の開度を大きくする。このようにすれば、ドレイン冷却熱交換器20で熱交換されるドレインの流量が少なくなり、排出温度計25が設けられた位置の蒸気配管7を流れるドレインの温度を高くすることが可能となる。
【0059】
また、排出温度計25で計測された排出温度が、予め定められた第1目標温度T1より高く且つ第2目標温度T2より低い場合には、ドレイン分岐配管37の分岐側調整バルブ39及びドレイン主流配管38の主流側調整バルブ40の開度をいずれも維持する。このようにすれば、ドレイン冷却熱交換器20での熱交換状態が保持され、排出温度計25が設けられた位置の蒸気配管7を流れるドレインの温度を維持することが可能となる。
【0060】
さらに、排出温度が第2目標温度T2を超える場合には、排出温度を測定した時のドレイン分岐配管37側の分岐側調整バルブ39の開度よりも、分岐側調整バルブ39の開度を大きくすると共に、排出温度を測定した時のドレイン主流配管38側の主流側調整バルブ40の開度よりも、主流側調整バルブ40の開度を小さくする制御が行われる。このようにすれば、ドレイン冷却熱交換器20で熱交換されるドレインの流量が多くなり、排出温度計25が設けられた位置の蒸気配管7を流れるドレインの温度を低くすることが可能となる。
【0061】
このように分岐側調整バルブ39及び主流側調整バルブ40の開度の調整を行えば、蒸気配管7を通じて外部に排出されるドレインの温度を、第1目標温度T1から第2目標温度T2までの間に保持することが可能となる。その結果、作動媒体の流量を安定化させつつも、ドレインの排出温度を、このドレインを利用する施設の仕様に対応した目標温度の範囲に維持することができる。
【0062】
特に、2つに分岐したドレイン分岐配管37とドレイン主流配管38との片方だけに第2流量調整バルブを設けた構成(分岐側調整バルブ39または主流側調整バルブ40のいずれか一方を設けた構成)では、第2流量調整バルブが設けられていない配管を流れる流量の調整が十分でなくなる場合が想定される。そのため、上述した第6実施形態のバイナリー発電装置1では、2つに分岐したドレイン分岐配管37とドレイン主流配管38とにそれぞれ分岐側調整バルブ39及び主流側調整バルブ40を設けて、各配管の流量をいずれも調整している。このようにすればそれぞれの配管を流れる流量を精度良く調整することができ、ドレインの温度をより正確に調整することが可能となる。
【0063】
なお、第6実施形態における上述以外の構成並びに作用効果については、第4及び第5実施形態と同様である。それゆれ、第4及び第5実施形態と同様な部分については説明を省略する。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
【0064】
例えば、第1〜第3実施形態では、循環配管6を流れる作動媒体を2つに分岐した例を挙げ、また第4〜第6実施形態では、蒸気配管7を流れるドレインを2つに分岐した例を挙げた。しかし、本発明のバイナリー発電装置は、循環配管6を流れる作動媒体と、蒸気配管7を流れるドレインとを、いずれも2つに分岐したものであっても良い。すなわち、第1〜第3実施形態のいずれか1つと、第4〜第6実施形態のいずれか1つとを組み合わせたものとしてもよい。