(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レセプタクル端子は、被保持部が基板側へ向かうにつれてコネクタ幅方向で受入U字状部に近づくように延びており、接続部が上記被保持部の基板側端部からコネクタ幅方向で受入U字状部から離れるように延びていることとする請求項1に記載のレセプタクルコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のような回路基板上に実装されるレセプタクルコネクタ及びプラグコネクタは、コネクタ幅方向での小型化が要求される傾向があり、ハウジングが限られた幅寸法となっている。また、ハウジングに保持されるレセプタクル端子そしてプラグ端子も、通常は、該ハウジングの幅寸法に近い寸法で作られる。
【0008】
プラグコネクタは、レセプタクルコネクタへの挿抜過程にて、回路基板に直角な正規の挿抜方向に対してコネクタ幅方向で傾斜した姿勢で挿抜されることがあり、その際、傾斜姿勢にあるプラグコネクタの側壁はレセプタクルコネクタの側壁や突壁にコネクタ幅方向で強く当接して、該側壁や突壁から大きい反力を受けることとなる。したがって、プラグコネクタの側壁は、上記反力に対して対抗可能な程度に十分大きい壁厚寸法(コネクタ幅寸法)で形成されることが多い。したがって、プラグコネクタの側壁に保持されるプラグ端子の突入U字状部も、該側壁の壁厚寸法に合わせてコネクタ幅方向で大きく形成される。上述したようにプラグ端子がコネクタ幅方向にてハウジングの寸法に合わせて限定された寸法のもとで作られる関係上、コネクタ幅方向での突入U字状部の寸法が大きくなると、その分、回路基板に半田接続される接続部の寸法が小さくなる。
【0009】
また、レセプタクルコネクタのレセプタクル端子は、上述したように上記受入U字状部でプラグ端子の突入U字状部を受け入れるようになっているので、上記受入U字状部は、上記突入U字状部を受け入れるための受入間隔、換言するとコネクタ幅方向での上記弾性腕部と上記内側脚部との距離が大きく形成される。上述したようにレセプタクル端子がコネクタ幅方向にてハウジングの寸法に合わせて限定された寸法のもとで作られる関係上、コネクタ幅方向での受入U字状部の寸法が大きくなると、その分、接続部のために残された寸法が小さくなり、その結果、接続部自体の寸法が小さくなる。
【0010】
このようにレセプタクル端子そしてプラグ端子のそれぞれの接続部の寸法が小さいと、回路基板の対応回路部に対する実装面積が十分に確保されず、該対応回路部との固定強度(以下、「接続固定強度」という)が不十分となってしまう。
【0011】
一方、ハウジングの幅寸法を大きくすることなく、レセプタクル端子そしてプラグ端子のそれぞれの接続部のみをコネクタ幅方向外方へ向けて長く形成すれば、コネクタ幅方向での小型化の要求を満足しつつ、上記接続部の実装面積を増大して接続固定強度が向上させることができる。しかし、上記接続部がハウジングの側壁から大きく延出することとなるので、回路基板へのコネクタ実装前において、上記接続部の延出部分に対して不用意な外力が作用したとき、該延出部分が端子配列方向や上下方向の成分をもった方向で容易に屈曲変形してしまうおそれがある。このような接続部の屈曲変形は、接続部自体の破損や回路基板との接続不良の発生につながる。
【0012】
また、コネクタ挿抜過程にてプラグコネクタが傾斜姿勢となったとき、レセプタクル端子の受入U字状部とプラグ端子の突入U字状部は、コネクタ幅方向で当接して該コネクタ幅方向で互いに反力を生じ合うこととなる。したがって、レセプタクル端子及びプラグ端子では、それぞれ上記受入U字状部そして上記突入U字状部よりもコネクタ幅方向での外側に位置する接続部に上記反力に起因する曲げ応力が作用することとなり、該曲げ応力に対して上記接続部で耐えなければならない。
【0013】
しかし、特許文献1では、レセプタクル端子そしてプラグ端子のそれぞれの接続部は、コネクタ幅方向での寸法が小さいのに加え、受入U字状部あるいは突入U字状部の近傍にしか存在していないので、上記曲げ応力に対して耐えることができずに上記接続部が対応回路部から剥離してしまうおそれがある。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑み、回路基板の対応回路部との接続固定強度を大きくしつつ、上記傾斜姿勢のもとでのコネクタ挿抜時に端子の接続部に作用する曲げ応力に対して該接続部で十分に耐えることにより、回路基板からの端子の接続部の剥離を防止するとともに、上記接続部に対して直接作用する外力による該接続部の損傷を防止できるレセプタクルコネクタ及びプラグコネクタ、そして回路基板付レセプタクルコネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、上述の課題は、次の第一発明に係るレセプタクルコネクタ、第二発明に係る回路基板付レセプタクルコネクタ及び第三発明に係るプラグコネクタにより解決される。
【0016】
<第一発明>
第一発明に係るレセプタクルコネクタは、回路基板上に配され該回路基板の面に対して直角な方向でプラグコネクタが嵌合接続されるレセプタクルコネクタであって、回路基板の面に対して平行な底面をもつ底壁及び該底壁から起立し回路基板の面に対して平行な一方向に延びる少なくとも二つの起立壁を有するハウジングと、少なくとも一つの起立壁に配列保持される複数のレセプタクル端子とを備え、ハウジングは、起立壁同士の対面方向であるコネクタ幅方向での起立壁の対向内側面と底壁の嵌合側の面とで形成されるU字状の内壁面で、プラグコネクタに形成された嵌合部を受け入れるための受入部が形成されており、レセプタクル端子は、上記受入部の上記内壁面に沿って延び端子配列方向に見て嵌合側へ開口したU字状をなす受入U字状部と、上記起立壁の内側面に沿う上記受入U字状部のいずれかの腕部の嵌合側端部から移行部を経て基板側へ向けた成分をもって延び起立壁に保持される被保持部と、該被保持部の基板側端部から上記底壁の底面に沿ってコネクタ幅方向に延び回路基板の対応回路部に接続される接続部とを有する。
【0017】
かかるレセプタクルコネクタにおいて、本発明では、
レセプタクル端子の受入U字状部は、プラグコネクタのプラグ端子と接触する接触部を一方の腕部の内側面に有しており、レセプタクル端子の接続部は、コネクタ幅方向にて、
受入U字状部の他方の腕部に対して上記一方の腕部とは反対側に向けて延びており、ハウジングの底壁の範囲内で
上記他方の腕部よりも上記反対側に位置する部分の寸法が
、上記接触部の位置から上記他方の腕部の内側面までのコネクタ幅方向での距離よりも大きくなって
おり、ハウジングは、コネクタ幅方向での両端に位置する起立壁対の端子配列方向での端部同士を連結する端壁対をも有しており、上記起立壁対および上記端壁対のうち少なくとも一方の対の嵌合側端面が回路基板に対して平行な平坦面を有し、該平坦面が、回路基板へのコネクタ実装時に嵌合側からの押圧力を受ける被圧面として形成されていることを特徴としている。
【0018】
本発明では、レセプタクル端子の接続部は、コネクタ幅方向にて、ハウジングの底壁の範囲内で受入U字状部よりも外側に位置する部分の寸法が受入U字状部の寸法よりも大きくなっている。このように接続部のコネクタ幅方向寸法を大きくすることにより、該接続部における回路基板の対応回路部との実装面積を大きくすることができ、接続固定強度を向上させることができる。
【0019】
また、レセプタクル端子の接続部は、ハウジングの底壁の範囲内に位置する部分によってコネクタ幅方向での十分な寸法を確保しているので、接続固定強度を向上させるために接続部をハウジングから外方へ延出させる必要がなくなる、あるいは延出する寸法を最小限に留めることができる。したがって、回路基板へのコネクタ実装前において、不用意な外力が接続部に作用しにくくなるので、接続部の損傷を防止できる。
【0020】
また、レセプタクル端子の接続部は、受入U字状部よりも外側に位置する部分の寸法が大きく確保されており、上記接続部が受入U字状部から上記寸法分だけ離れた範囲にまで及んで存在している。したがって、コネクタ挿抜過程にてプラグコネクタが傾斜姿勢となった場合、レセプタクル端子の受入U字状部がプラグ端子の突入U字状部からコネクタ幅方向に受ける反力に起因して上記接続部に曲げ応力が生じても、該曲げ応力に対して上記接続部で十分に耐えることができ、対応回路部からの接続部の剥離を良好に防止できる。
また、回路基板上へのコネクタの実装時に該コネクタを嵌合側から押圧する必要がある場合、例えば、異方性導電膜(ACF)や異方性導電ペースト(ACP)等で形成された導電層を介して回路基板にコネクタを実装する場合、上述のように回路基板に対して平行な平坦面をなす被圧面を形成しておくことにより、押圧部材等で嵌合側から押圧して、全ての端子の接続部を、それぞれ対応する対応回路部に対して均等に接続させることができる。
【0021】
本発明において、レセプタクル端子は、被保持部が基板側へ向かうにつれてコネクタ幅方向で受入U字状部に近づくように延びており、接続部が上記被保持部の基板側端部からコネクタ幅方向で受入U字状部から離れるように延びていてもよい。レセプタクル端子をこのような形状とすると、被保持部が傾斜することなく基板側へ延びる場合と比べて、接続部におけるハウジングの底壁の範囲内に位置する部分の寸法を大きくすることができる。この結果、接続部における回路基板の対応回路部との実装面積をさらに大きくすることができ、接続固定強度を向上させることができる。
【0024】
本発明において、ハウジングは、レセプタクル端子の被保持部を保持する起立壁の嵌合側端面に被圧面が形成されており、レセプタクル端子は、上記被圧面と相俟って一つの平面を形成するように該レセプタクル端子の一部が上記被圧面から露呈する露呈部を有しており、回路基板へのコネクタ実装時に上記露呈部が外部から熱が加えられることにより、該熱が接続部へ伝播するようになっていてもよい。
【0025】
回路基板上へのコネクタの実装時に該コネクタを嵌合側から押圧するとともに接続部を加熱する必要がある場合、例えば、ACFやACP等で形成された導電層を介して回路基板にコネクタを実装する場合、上述のようにレセプタクル端子に露呈部を設けておくことにより、加熱機能をもつ押圧部材等でコネクタの被圧面を押圧するとともに、端子の露呈部を加熱することができる。金属部材である端子は良伝熱性であるので、露呈部に加えられた熱は接続部へ伝播して、該接続部が対応回路部に対して接続される。
【0026】
本発明において、レセプタクル端子の露呈部は、移行部に形成されており、被保持部を介して接続部と連結されていてもよい。また、本発明において、レセプタクル端子は、接続部の端部のうち被保持部から離反する側の端部より嵌合側へ向けた成分をもって起立壁の被圧面まで延びる延長部を有し、レセプタクル端子の露呈部は、上記延長部の嵌合側端部から延びて形成されており、該延長部を介して上記接続部と連結されていてもよい。
【0027】
<第二発明>
第二発明に係る回路基板付レセプタクルコネクタは、第一発明に係るレセプタクルコネクタが導電層を介して回路基板上に配された回路基板付
レセプタクルコネクタであって、ハウジングは、
接触部が形成された受入U字状部の
一方の腕部を収容可能な端子溝が上記起立壁の内側面に没して形成されているとともに、底壁に、コネクタ幅方向で上記起立壁と対応する位置で上記端子溝と連通する孔部が貫通形成されており、レセプタクル端子の接続部と回路基板の対応回路部とが上記導電層を介して電気的に導通しているとともに、ハウジングの上記孔部の基板側開口が上記導電層によって閉塞されていることを特徴としている。
【0028】
回路基板ヘのコネクタの実装時に、接続部にコーティング剤が塗布されることがある。本発明では、ハウジングの孔部の下部開口が導電層によって閉塞されているので、上記コーティング剤が上記孔部を経て接触腕部の接触部まで達することがない。したがって、レセプタクル端子の接触部にコーティング剤が付着することによるプラグ端子との接触不良の発生を確実に防止できる。
【0029】
<第三発明>
第三発明に係るプラグコネクタは、回路基板上に配され該回路基板の面に対して直角な方向でレセプタクルコネクタへ嵌合接続されるプラグコネクタであって、回路基板の面に対して平行な底面をもつ底壁及び該底壁から起立し回路基板の面に対して平行な一方向に延びる少なくとも二つの起立壁を有するハウジングと、少なくとも一つの起立壁に配列保持される複数のプラグ端子とを備え、ハウジングは、少なくとも一つの起立壁が、レセプタクルコネクタに設けられた受入部へ突入するための嵌合部として形成されており、プラグ端子は、上記嵌合部としての起立壁の両側面及び嵌合側端面に沿って延び端子配列方向に見て嵌合側に頂部をもつU字状をなす突入U字状部と、上記起立壁の両側面に沿う上記突入U字状部のいずれかの腕部の基板側端部から上記底壁の底面に沿ってコネクタ幅方向に延び回路基板の対応回路部に接続される接続部とを有する。
【0030】
かかるプラグコネクタにおいて、本発明では、
プラグ端子の突入U字状部は、レセプタクルコネクタのレセプタクル端子と接触する接触部を一方の腕部の外側面に有しており、プラグ端子の接続部は、起立壁同士の対面方向であるコネクタ幅方向にて、
突入U字状部の他方の腕部に対して上記一方の腕部とは反対側に向けて延びており、ハウジングの底壁の範囲内で
上記他方の腕部よりも上記反対側に位置する部分の寸法が、
上記接触部の位置から上記他方の腕部の外側面までのコネクタ幅方向での距離よりも大きくなって
おり、ハウジングは、コネクタ幅方向での両端に位置する起立壁対の端子配列方向での端部同士を連結する端壁対をも有しており、上記起立壁対および上記端壁対のうち少なくとも一方の対の嵌合側端面が回路基板に対して平行な平坦面を有し、該平坦面が、回路基板へのコネクタ実装時に嵌合側からの押圧力を受ける被圧面として形成されていることを特徴としている。
【0031】
本発明では、プラグ端子の接続部は、コネクタ幅方向にて、ハウジングの底壁の範囲内で突入U字状部よりも外側に位置する部分の寸法が突入U字状部の寸法よりも大きくなっている。したがって、既述の第一発明に係るレセプタクルコネクタの場合と同様に、回路基板の対応回路部との実装面積を大きくして該回路基板への接続固定強度を大きくできるとともに、コネクタ実装前において不用意な外力が接続部に作用しにくくして接続部の損傷を防止できる。さらにはコネクタ挿抜過程においてプラグコネクタの傾斜姿勢のもとで接続部に対して生じる曲げ応力に対して該接続部で十分に耐えることにより、対応回路部からの接続部の剥離を良好に防止できる。
また、回路基板上へのコネクタの実装時に該コネクタを嵌合側から押圧する必要がある場合、例えば、異方性導電膜(ACF)や異方性導電ペースト(ACP)等で形成された導電層を介して回路基板にコネクタを実装する場合、上述のように回路基板に対して平行な平坦面をなす被圧面を形成しておくことにより、既述の第一発明に係るレセプタクルコネクタの場合と同様に、押圧部材等で嵌合側から押圧して、全ての端子の接続部を、それぞれ対応する対応回路部に対して均等に接続させることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、レセプタクル端子そしてプラグ端子のそれぞれの接続部は、コネクタ幅方向にて、ハウジングの底壁の範囲内で受入U字状部あるいは突入U字状部よりも外側に位置する部分の寸法が該受入U字状部あるいは突入U字状部の寸法よりも大きくなっており、該接続部における回路基板の対応回路部との実装面積を十分に確保して、接続固定強度を向上させることができる。また、接続固定強度を向上させるために接続部をハウジングから外方へ延出させる必要がなくなる、あるいは延出する寸法を最小限に留めることができ、接続部に対して不用意な外力が作用しにくくなるので、該接続部の損傷を防止できる。さらには、プラグコネクタが傾斜姿勢のもとで挿抜された場合であっても、レセプタクル端子そしてプラグ端子のそれぞれの接続部に対して生じる曲げ応力に対して該接続部で十分に耐えることにより、対応回路部からの接続部の剥離を良好に防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施形態について説明する。
【0037】
<第一実施形態>
図1は、本実施形態に係るコネクタ組立体の嵌合接続前の状態を示した斜視図である。
図2は、
図1のコネクタ組立体の端子配列方向に対して直角な面での断面斜視図であり、端子配列方向での端子の位置における断面を示している。
図3は、
図1のコネクタ組立体のレセプタクルコネクタ及びプラグコネクタを、両コネクタの受入部が上方へ開口した姿勢で示した斜視図である。
図4は、
図3のレセプタクルコネクタ及びプラグコネクタを上下反転させた姿勢で示した斜視図である。
【0038】
図1ないし
図4に示される本実施形態に係るコネクタ組立体は、回路基板(
図5及び
図6に示される回路基板P1)上に配されるレセプタクルコネクタ1と、他の回路基板(
図6に示される回路基板P2)上に配され該他の回路基板の面に対して直角な方向をコネクタ挿抜方向としてレセプタクルコネクタ1へ嵌合接続されるプラグコネクタ2とを有している。
【0039】
本実施形態では、
図1及び
図2に見られるように、レセプタクルコネクタ1及びプラグコネクタ2(以下、必要に応じて「コネクタ1,2」と総称する。)は、例えば、異方性導電膜(ACF)や異方性導電ペースト(ACP)等で形成された導電層を介して回路基板に実装されるようになっている。具体的には、コネクタ1,2は、回路基板への実装時において、後述するように導電層を介して回路基板上に配された後、それぞれハウジングの嵌合側の面(
図3での上面)に形成された被圧面で、加熱機能を有する押圧部材(図示せず)からの回路基板側へ向けた押圧力を受ける。また、コネクタ1,2は、上記押圧力を受けている間、端子20,50がハウジング10,40の嵌合側の面に露呈した部分で、上記押圧部材からの熱も受ける。この結果、該熱が端子20,50の接続部24,52へ伝播し、上記押圧力のもとでの加熱により該接続部24,52と回路基板の対応回路部とが導電層を介して電気的に接続される。
【0040】
本発明において、押圧部材により加熱することは必須ではなく、例えば、コネクタが押圧部材からの押圧力を受けた状態で紫外線(UV)を照射されることにより、該コネクタが導電層を介して回路基板に実装される形態であっても、本発明は適用可能である。このような形態では、押圧部材からコネクタに加えられる押圧力は、該コネクタの不用意な移動を阻止する程度の力でよく、コネクタを加熱しながら実装する形態と比べて小さくて済む。また、本発明において、コネクタが押圧部材によって導電層を介して実装されることは必須ではなく、例えば、コネクタが押圧部材による加圧を受けることなく半田接続により回路基板に直接実装される形態であっても、本発明は適用可能である。
【0041】
また、以下に説明する実施形態では、金属板部材を板厚方向に屈曲して作られた、いわゆる曲げ端子がハウジングに一体モールド成形により保持されている形態について説明するが、端子の形態は、曲げ端子に限られず、例えば、金属板部材の平坦面を維持したまま該金属板部材を打ち抜いて作られた端子であってもよい。また、端子の保持形態も一体モールド成形に限られず、例えば、端子がハウジングへ圧入されて保持されていてもよい。
【0042】
[レセプタクルコネクタの構成]
まず、レセプタクルコネクタ1の構成について説明する。レセプタクルコネクタ1は、略直方体外形をなす電気絶縁材製のハウジング10と、該ハウジング10の長手方向で該ハウジング10に一体モールド成形により配列保持される複数の金属製のレセプタクル端子20と、該ハウジング10の長手方向、すなわち端子配列方向で端子20の配列範囲に対して両方の外側位置で該ハウジング10に一体モールド成形により保持される固定金具30とを有している。
【0043】
図1に見られるように、ハウジング10は、取付対象面である回路基板(図示せず)の面に対して平行な底面をもち端子配列方向を長手方向として延びる底壁11(
図4参照)と、端子配列方向に延びるとともに底壁11から上方、すなわち嵌合側へ起立する起立壁としての突壁12と、底壁11から起立し突壁12を囲む周壁とを有している。該周壁は、互いに対向して端子配列方向に延びる起立壁としての二つの側壁13と、該二つの側壁13の端部同士を連結し端子配列方向に対して直角なコネクタ幅方向(ハウジング10の短手方向)に延びる二つの端壁14とを有している。上記周壁と突壁12との間で上方に開口した四角環状の空間は、プラグコネクタ2の嵌合部を受け入れるための受入部15を形成している。
【0044】
突壁12は、端子配列方向にて隣接するレセプタクル端子20同士間に対応する位置で規制突部12Aを有している。該規制突部12Aは、側壁13の内側面と対面する突壁12の側面からコネクタ幅方向に突出し上下方向に延びている。該規制突部12Aは、コネクタ嵌合過程そしてコネクタ嵌合状態にて、コネクタ幅方向端に位置する突出頂部が、コネクタ幅方向で、プラグコネクタ2の嵌合部と当接することにより、コネクタ幅方向でのプラグコネクタ2の位置を規制するようになっている。その結果、レセプタクル端子20の後述の接触腕部21Bがプラグ端子50に過度に押圧されて変位することに起因して該接触腕部21Bが損傷する、いわゆる「へたり」を防止することができる。
【0045】
突壁12は、端子配列方向で隣接する規制突部12A同士間の位置で側面がコネクタ幅方向で没していて、後述のレセプタクル端子20の接触腕部21Bの弾性変位を許容する変位許容溝部12Bが形成されている。該変位許容溝部12Bは、
図2によく見られるように、突壁12の両側面にそれぞれ形成されていて、該両側面の変位許容溝部12Bは、該突壁12の上部では、上端から下方に向け延びる隔壁部12Cによってコネクタ幅方向で隔てられていて、それぞれ上下方向に延びる溝部をなしており、下部では、両方の変位許容溝部12Bがコネクタ幅方向で互いに連通しており、全体として一つのスリット状の端子溝を形成している。突壁12の上面は、突壁上部平坦面をなしており、該突壁上部平坦面が、回路基板へのレセプタクルコネクタ1の実装時に押圧部材からの押圧力を受けるための被圧面12Dとして形成されている。
【0046】
底壁11は、
図2に見られるように、端子配列方向のレセプタクル端子20に対応する位置に、コネクタ幅方向での突壁12に対応する範囲で上下方向に窓状に貫通する孔部11Aが形成されており(
図4をも参照)、該孔部11Aが外部空間と変位許容溝部12Bとを連通せしめている。また、底壁11は、端子配列方向でのレセプタクル端子20及び固定金具30の位置にて、レセプタクル端子20の後述の接続部24そして固定金具30の後述の固定部34をそれぞれ収容するための浅溝部11Bが、下方(回路基板側)へ向けて開口しコネクタ幅方向で側壁13の範囲にわたって延びて形成されている。該浅溝部11Bの深さ寸法(上下方向寸法)は、接続部24の板厚寸法と同じあるいは若干小さい寸法で形成されている。また、
図2や
図4によく見られるように、端子配列方向での各浅溝部11Bの両側位置には、該浅溝部11Bよりも深い深溝部11Cが、該浅溝部11Bに連通するとともにコネクタ幅方向で側壁13の範囲にわたって延びて形成されている。該深溝部11Cは、後述するように、コネクタ実装時にコーティング剤の流入を許容するようになっている。また、端子配列方向にて互いに隣接する深溝部11C同士間の位置には、該深溝部11C同士を仕切る仕切壁11Dが形成されている。
【0047】
側壁13は、
図2によく見られるように、コネクタ幅方向でレセプタクル端子20の接続部24の大部分に対応するコネクタ幅寸法(壁厚寸法)で形成されている。該側壁13の上面には、コネクタ幅方向(壁厚方向)での中間位置で、端子配列範囲にわたって没入した没入部13Aが形成されている。また、側壁13の上面は、端子配列範囲の外側でコネクタ幅方向全域にわたって没した溝部13Bが形成されている。
【0048】
また、側壁13は、コネクタ幅方向で没入部13Aより内側にて端子配列範囲にわたって延びる部分の上部(没入部13Aの底面よりも上方に位置する部分)が、上方へ向けた凸湾曲部13Cとして形成されている。側壁13の上面は、没入部13A、溝部13Bそして凸湾曲部13Cを除いた領域で側壁上部平坦面をなし、該側壁上部平坦面が後述の被圧面13Dとして形成されている。本実施形態では、該被圧面13D及び凸湾曲部13Cの稜線部は、突壁12の被圧面12Dと同じ高さに位置しており、回路基板へのレセプタクルコネクタ1の実装時に押圧部材からの押圧力を両者で受けるようになっている。
【0049】
端壁14の上面には、コネクタ幅方向での中央位置に端子配列方向全域にわたって没した溝部14Aが形成されているとともに、該溝部14A除いた領域で端壁上部平坦面をなしている。該端壁上部平坦面は、突壁12の被圧面12Dと同じ高さに位置しており、回路基板へのレセプタクルコネクタ1の実装時に押圧部材からの押圧力を受けるための被圧面14Bとして形成されている。つまり、突壁12の被圧面12D、側壁13の被圧面13D、側壁13の凸湾曲部13Cの稜線部そして端壁14の被圧面14Bは、同じ高さに位置しており、コネクタ実装時に押圧部材から均等な押圧力を受けて同時に押圧されるようになっている。本実施形態では、被圧面が突壁12、一対の側壁13そして一対の端壁14に形成されているが、これら全てに被圧面が形成されることは必須ではなく、一対の側壁13あるいは一対の端壁14に被圧面が形成されていれば、均等な押圧力を受けることができる。
【0050】
レセプタクル端子20は、帯状の金属板条片を板厚方向で屈曲して作られていて、突壁12に対して対称をなし二列に配列された状態でハウジング10に保持されている。
図2に見られるように、レセプタクル端子20は、ハウジング10の突壁12と側壁13との間に形成された受入部15の内壁面に沿ってU字状に延びる受入U字状部21と、該U字状部21の後述のロック腕部21Cの上端(嵌合側の端部)からコネクタ幅方向外方へ向けて延びる移行部22と、該移行部22から下方へ向けた成分をもって延びる被保持部23と、該被保持部23の下端から底壁11の底面に沿ってコネクタ幅方向外方へ向けて延びる接続部24とを有している。
【0051】
受入U字状部21は、ハウジング10の突壁12の側面、該側面に対面する側壁13の内側面そして底壁11の上面とで形成される、端子配列方向に見てU字状をなす受入部15の内壁面に沿って設けられている。受入U字状部21は、底壁11の上面に沿って延びる基部21Aと、コネクタ幅方向で突壁12側に位置する基部21Aの一端から突壁12の側面に沿って上方へ延びる接触腕部21Bと、基部21Aの他端から側壁13の内面に沿って上方へ延びるロック腕部21Cとを有している。
【0052】
接触腕部21Bは、その板厚方向(コネクタ幅方向)で弾性変位可能となっており、自由状態にて、突壁12の規制突部12A同士間の空間、突壁12の変位許容溝部12B外に位置している。該接触腕部21Bは、その自由端側たる上端側部分が側壁13に向けて凸湾曲して、後述するプラグコネクタ2のプラグ端子50と接触するための接触部21B−1として形成されている。接触部21B−1の湾曲頂部は、コネクタ幅方向でハウジング10の規制突部12Aの突出頂部よりも突出している。
【0053】
ロック腕部21Cは、受入部15内に向けて露呈して、その上端寄り位置にて接触部21B−1と対向するように受入部15内に突出する突起状のロック部21C−1が形成されている。該ロック部21C−1は、例えば、プレス加工等により形成されており、その幅寸法(端子配列方向での寸法)はロック腕部21Cの幅寸法より小さくなっている(
図1参照)。該ロック部21C−1は、後述するプラグコネクタ2のプラグ端子50の被ロック部51B−1に係止することにより、コネクタ嵌合状態を維持してコネクタの抜けを防止するとともに、該被ロック部51B−1との係止時に接触して電気的に導通することにより、上記接触部21B−1を補助する役割も果たす。
【0054】
移行部22は、
図2によく見られるように、側壁13の凸湾曲部13Cに沿って上方へ向けて凸湾曲しており、該凸湾曲部13Cの上面から露呈している。該移行部22の上面は凸湾曲部13Cの上面と相俟って一つの凸湾曲面を形成しており、コネクタ実装時にて押圧部材からの押圧力を該移行部22の稜線部で受けるとともに、接続部24へ伝播させるべき熱を該押圧部材からの受けるようになっている。
【0055】
上述の「一つの凸湾曲面を形成」とは、移行部22と凸湾曲部13Cとが互いに全く同じ高さ(レベル)をもって滑らかな一つの凸湾曲面を形成する場合のみならず、両者の高さが若干異なっていて凹凸面が形成されている場合も含まれる。このように両者の高さが若干異なっていても、押圧部材による押圧加熱時にて、弾性をもつシート部材等を押圧部材とコネクタとの間に介在させることにより、上記凹凸面の存在により生じ得る押圧や加熱への影響を小さくすることができる。
【0056】
被保持部23は、コネクタ幅方向で受入部15に寄った位置で、側壁13から露呈することなく該側壁13に埋設保持されている。
図2に見られるように、被保持部23は、下方へ向かうにつれてコネクタ幅方向内方へ傾斜するように延びている。該被保持部23は、底壁11の底面の位置、換言すると、受入U字状部21の基部21Aよりも下方にまで延びており、被保持部23の下部がコネクタ幅方向にてU字状部21のロック腕部21Cと重複範囲をもって位置している(
図6をも参照)。
【0057】
接続部24は、コネクタ幅方向で受入U字状部21よりも外側に位置しており、底壁11の浅溝部11B内で被保持部23の下端から底壁11の底面に沿ってコネクタ幅方向外方へ向けて直状に延びているとともに、ハウジング10外へ若干延出している。該接続部24は、コネクタ幅方向全域にわたって下面が露呈しており(
図4をも参照)、導電層を介して回路基板の対応回路部に接続可能となっている。
図2によく見られるように、接続部24は、コネクタ幅方向にて、底壁11の範囲内に位置する部分の寸法が受入U字状部21の寸法(外形寸法)よりも大きくなっている。また、本実施形態では、接続部24のハウジング10からの延出部分はコネクタ幅方向外方へ向けて直状に延びているが、これに代えて、例えば、上記延出部分が上方へ向けて直角に屈曲されていてもよい。このように接続部24の上記延出部分を屈曲しておくことにより、コネクタ実装時にてレセプタクルコネクタ1が押圧部材からの押圧力を受けた際に、上記延出部分の先端の縁部が回路基板や導電層を傷つけることを防止できる。
【0058】
固定金具30は、レセプタクル端子20と全く同じ形状で作られていて、レセプタクルコネクタ1の平面形状における四隅に位置して設けられている。固定金具30は、一体モールド成形により側壁13に埋設保持される被保持部(図示せず)と、該被保持部の下端で屈曲されコネクタ幅方向外方へ延びる固定部34とを有している。固定部34は、端子配列方向での両端位置にて端子配列範囲外に形成された浅溝部11B内で底壁11に沿って延びており、導電層を介して回路基板の対応部に固定接続されるようになっている。
【0059】
[プラグコネクタの構成]
次に、プラグコネクタ2の構成について説明する。
図1ないし
図4に示されるプラグコネクタ2は、他の回路基板(
図6に示される回路基板P2)に取り付けられるコネクタであって、レセプタクルコネクタ1の受入部15に適合した枠状の嵌合部(
図3参照)を有しており、該嵌合部が受入部15内に嵌入することにより、コネクタ1,2同士が嵌合接続されるようになっている。プラグコネクタ2は、略直方体外形の電気絶縁体製のハウジング40と、該ハウジング40の長手方向で該ハウジング40に一体モールド成形により配列保持される複数の金属製のプラグ端子50とを有している。
【0060】
ハウジング40は、
図3に見られるように、上記他の回路基板の面に対して平行な底面をもつ底壁41(
図1,2,4では上壁として表れている)と該底壁41から起立する嵌合部としての周壁とを有しており、該底壁41と周壁によって囲まれ嵌合側(
図1,2,4での下方であり
図3での上方)に開口する空間が、コネクタ嵌合状態でレセプタクルコネクタ1のハウジング10の突壁12を受け入れる受入部45(
図2,3参照)として形成されている。また、上記周壁は、コネクタ嵌合状態にてレセプタクルコネクタ1の受入部15に嵌入する嵌合部として機能する。
図3に見られるように、上記周壁は、互いに対向して端子配列方向に延びる起立壁としての二つの側壁43と、該二つの側壁43の端部同士を連結し端子配列方向に対して直角なコネクタ幅方向(ハウジング40の短手方向)に延びる二つの端壁44とを有している。
【0061】
図2に見られるように、底壁41の底面は、コネクタ幅方向での両端域にて、端子配列範囲にわたって、後述のプラグ端子50の接続部54の板厚分だけ没入しており、この没入により、互いに隣接するプラグ端子50同士間に凹部41Aが形成されている。該凹部41Aは、後述するように、コネクタ実装時にコーティング剤の流入を許容するようになっている。また、底壁41は、
図3によく見られるように、各プラグ端子50に対応する位置にて、底壁41の側面からコネクタ幅方向外方へ向けて延出しプラグ端子50の後述の接続部54の上面を覆う被覆部41Bが形成されている。該被覆部41Bは、各接続部54のハウジング40からの延出部分のうち根元側部分の上面を覆っている。
【0062】
側壁43は、
図3によく見られるように、端子配列方向全域にわたって上部(
図1,2,4では下部)が上方(
図1,2,4では下方)へ向けた凸湾曲部43Cとして形成されている。また、
図3よく見られるように、端壁44の上面(
図1,2,4では下面)には、回路基板に対して平行な端壁上部平坦面をなす、被圧面44Bが形成されている。本実施形態では、凸湾曲部43Cの稜線部及び被圧面44Bは、互いに同じ高さに位置しており、回路基板へのプラグコネクタ2の実装時に押圧部材からの押圧力を両者で受けるようになっている。また、さらに両側壁43の上面に平坦な被圧面を形成してもよく、このように側壁43に被圧面を形成した場合には、端壁44の被圧面44Bや凸湾曲部43Cを省略してもよい。
【0063】
プラグ端子50は、帯状の金属板条片を板厚方向に屈曲して作られており、コネクタ幅方向で対称な二列をなして該ハウジング40の長手方向に配列された状態で該ハウジング40に保持されている。該プラグ端子50は、
図2によく見られるように、側壁43に保持されるU字状の突入U字状部51と、該突入U字状部51の二つの腕部のうち受入部45側に位置する一方の腕部(後述の内側腕部51A)の上端(
図3での下端)から、コネクタ幅方向外方へ向けて延び回路基板の対応回路部に接続される接続部54とを有している。
図2によく見られるように、プラグ端子50は、突入U字状部51で、ハウジング40との一体モールド成形により保持されている。
【0064】
突入U字状部51は、コネクタ嵌合状態にて、レセプタクルコネクタ1のレセプタクル端子20の受入U字状部21内に突入する部分であり(
図6参照)、
図2に見られるように、側壁43を下方(
図3での上方)から跨ぐようにして該側壁43に埋設されている。該突入U字状部51は、上下方向に延びる内側腕部51A及び外側腕部51Bの下端部(
図3での上端部)同士を連結部51Cで連結して形成されている。
【0065】
突入U字状部51は、その内側板面および側縁で側壁43により保持されていて、該側壁43から露呈した内側腕部51A、外側腕部51Bそして連結部51Cのそれぞれの外側板面が、側壁43の内側面(受入部45側の面)、外側面(受入部45から離反した側の面)そして下面(
図3での上面)と同一の面をなすように位置している。コネクタ幅方向での突入U字状部51の寸法は、レセプタクル端子20の接触部21B−1とロック部21C−1との間隔よりも若干大きくなっている(
図6参照)。
【0066】
突入U字状部51の内側腕部51Aは、側壁43の内側面から露呈する板面の底壁41寄り位置(
図2での上側位置)の部分が、コネクタ嵌合状態にてレセプタクルコネクタ1のレセプタクル端子20の接触部21B−1と接圧をもって接触する対応接触部51A−1として形成されている。また、突入U字状部51の外側腕部51Bは、側壁43の外側面から露呈する板面は、底壁41寄り位置(
図2での上側位置)の部分が没して凹部を形成していて、該凹部がレセプタクル端子20のロック部21C−1と係止する被ロック部51B−1として機能する。
【0067】
また、
図3によく見られるように、連結部51Cの上面は、凸湾曲部43Cの上面から露呈して該上面と相俟って同レベル面をなす一つの凸湾曲面を形成している。該連結部51Cは、コネクタ実装時にて押圧部材からの押圧力を該連結部51Cの頂部となる稜線部で受けるとともに、接続部54へ伝播させるべき熱を該押圧部材から受けるようになっている。
【0068】
レセプタクルコネクタ1について既述したのと同様に、上述の「一つの凸湾曲面を形成」には、移行部22と凸湾曲部13Cとが互いに全く同じ高さ(レベル)をもって滑らかな一つの凸湾曲面を形成する場合のみならず、両者の高さが若干異なっていて凹凸面が形成されている場合も含まれている。
【0069】
接続部54は、
図2に見られるように、底壁41の底面に沿ってコネクタ幅方向外方へ向けて直状に延び、ハウジング40外へ延出している。該接続部54は、該接続部54のコネクタ幅方向全域にわたって上面(
図3での下面)が露呈しており、回路基板の対応回路部に接続可能となっている。また、
図6によく見られるように、接続部54は、コネクタ幅方向にて、底壁41の範囲内で突入U字状部51よりも外側に位置する部分の寸法が突入U字状部51の寸法(外形寸法)よりも大きくなっている。
【0070】
[回路基板へのコネクタの実装]
次に、回路基板へのレセプタクルコネクタ1及びプラグコネクタ2の実装について説明する。レセプタクルコネクタ1及びプラグコネクタ2はいずれも導電層を介して回路基板上に配され、加熱機能をもつ押圧部材(図示せず)によって加熱されるとともに回路基板側へ向けて押圧されることにより上記導電層を介して回路基板に実装されるようになっている。以下、
図5に基づいてレセプタクルコネクタ1の実装要領について説明し、プラグコネクタ2の実装要領については、レセプタクルコネクタ1と異なる点のみを説明し、共通する点については説明を省略する。
【0071】
レセプタクルコネクタ1の実装時には、まず、
図5に見られるように、回路基板P1の実装面上に例えばACFで形成される導電層Lを配し、さらに該導電層L上にレセプタクルコネクタ1を配する。このとき、ハウジング10の底壁11に形成された孔部11Aの下部開口が導電層Lによって閉塞される。次に、
図5に見られるように、コネクタ幅方向でハウジング10の側壁13の外面に接する領域に、端子配列方向でハウジング10の全長にわたり、溶融されて流動性を有する樹脂製のコーティング剤Cを塗布する。該コーティング剤Cは、レセプタクル端子20の接続部24、固定金具30の固定部34及び導電層Lにおけるハウジング10外に延出している部分を密封するとともに、ハウジング10の深溝部11C(
図2参照)内へ流入して、該深溝部11Cに充填される。その後、コーティング剤Cが固化する。
【0072】
本実施形態では、上述したようにハウジング10の孔部11Aの下部開口が導電層Lによって閉塞されているので、流動性を有するコーティング剤Cが孔部11Aを経てレセプタクル端子20の接触腕部21Bの接触部21B−1にまで上がってくることがない。したがって、接触部21B−1に上記コーティング剤Cが付着することによるプラグ端子50との接触不良の発生を確実に防止できる。
【0073】
コーティング剤Cが固化することにより、以下の効果が得られる。まず、レセプタクル端子20の接続部24及び固定金具30の固定部34がコーティング剤によって密封されることにより、マイグレーションに起因した接続部24及び固定部34の腐食が防止される。また、接続部24及び固定部34のハウジング10からの延出部分がコーティング剤Cにより上方から抑えられるので、レセプタクルコネクタ1が押圧部材からの押圧力を上方から受けたときに上記延出部分が導電層Lから上方に浮き上がるように屈曲変形することが防止される。この結果、上記導電層を介して上記延出部分を回路基板の対応部に確実に接続できる。
【0074】
また、
図5に見られるように、コーティング剤Cが接続部24及び固定部34以外の領域で導電層Lの上面そして回路基板P1の上面に直接接触しているので、該レセプタクルコネクタ1自体を導電層Lそして回路基板P1に対して強固に固着させることができる。また、本実施形態では、ハウジング10の深溝部11C内に充填されているので、その分、導電層Lとの接触面積が大きくなり、レセプタクルコネクタ1をより確実に固着させることができる。
【0075】
次に、レセプタクルコネクタ1のハウジング10の被圧面13D(側壁上部平坦面)、被圧面14B(端壁上部平坦面)、凸湾曲部13Cの稜線部及びレセプタクル端子20の移行部22の稜線部を押圧部材(図示せず)によって
図5の上方から押圧する。また、これと同時に、上記押圧部材によってレセプタクル端子20の移行部22の稜線部を加熱する。移行部22の稜線部が押圧部材からの熱を受けると、その熱は被保持部23を経て接続部24へ伝播する。この結果、接続部24は、加熱された状態のもとで、導電層Lを介して回路基板P1の対応回路部に対して押し付けられ、該対応回路部に接続されて電気的に導通する。また、固定金具30もハウジング10を介して押圧部材からの熱を受け、固定部34が加熱された状態の下で、導電層Lを介して回路基板の対応部に接続固定される。
【0076】
プラグコネクタ2の実装要領も、既述のレセプタクルコネクタ1の実装要領と同様に、導電層を介して他の回路基板(
図6の回路基板P2)上に配し、コーティング剤Cを塗布した後、押圧部材により加熱されながら該他の回路基板へ向けて押圧されることにより該回路基板に実装される。このとき、押圧部材によって、ハウジング40の被圧面44B(端壁上部平坦面)、凸湾曲部43Cの稜線部及びプラグ端子50の連結部51Cの稜線部が押圧され、該連結部51Cの稜線部が押圧部材からの熱を受ける。また、コーティング剤Cは、ハウジング40の凹部41A(
図2参照)内へ流入して、該凹部41Aに充填される。
【0077】
本実施形態では、コネクタ幅方向にて、レセプタクル端子20の接続部24が受入U字状部21よりも大きく形成され、また、プラグ端子50の接続部54が突入U字状部51よりも大きく形成されているので、接続部24,54における回路基板の対応回路部との実装面積を大きくすることができ、接続固定強度を向上させることができる。
【0078】
また、接続部24,54は、それぞれハウジング10,40の底壁11,41の範囲内に位置する部分によってコネクタ幅方向での十分な寸法を確保しているので、接続固定強度を向上させるために接続部24,54をハウジング10から延出させる寸法を最小限に留めることができる。したがって、回路基板へのコネクタ実装前において、接続部24,54におけるハウジング10から延出している部分に不用意な外力が作用しにくくなるので、該接続部24,54の損傷を防止できる。また、接続部24,54をハウジング外に延出させることは必須ではなく、例えば、接続部24,54の全長をハウジング10,40の範囲内に収めることにより、接続部24,54をハウジング10,40外へ延出させないこととしてもよい。これによって、上記外力が接続部24,54に作用しにくくなり、該接続部24,54の損傷をより確実に防止できる。
【0079】
また、本実施形態では、既述したようにレセプタクル端子20の被保持部23がコネクタ幅方向内方へ向けて傾斜しているので、被保持部が傾斜することなく下方へ延びる場合と比べて、接続部24における底壁11の範囲内に位置する部分の寸法を大きくすることができる。この結果、接続部24における回路基板の対応回路部との実装面積をさらに大きくすることができ、接続固定強度を向上させることができる。
【0080】
[コネクタの嵌合動作]
次に、コネクタ1,2の嵌合動作について説明する。まず、既述した要領でコネクタ1,2をそれぞれ対応する回路基板に実装する。次に、
図1及び
図2に見られるように、レセプタクルコネクタ1を受入部15が上方へ開口した姿勢とするとともに、プラグコネクタ2を受入部45が下方へ開口した姿勢として該レセプタクルコネクタ1の上方位置へもたらす。そして、
図1及び
図2にて矢印で示されるように、プラグコネクタ2を下方へ移動させ、該プラグコネクタ2の嵌合部をレセプタクルコネクタ1の受入部15内へ嵌入させる。
【0081】
この結果、
図6に示されるように、プラグコネクタ2のプラグ端子50の突入U字状部51は、レセプタクルコネクタ1のレセプタクル端子20の受入U字状部21に形成された接触部21B−1およびロック部21C−1との間を押し拡げて突入する。そして、接触部21B−1が変位許容溝部12B内へ向けて押圧されることにより、接触腕部21Bが該変位許容溝部12B内へ進入するように弾性変位する。さらに、突入U字状部51の突入が進行すると、上記接触部21B−1が突入U字状部51の対応接触部51A−1と接圧をもって接触するとともに、ロック部21C−1が該突入U字状部51の被ロック部51B−1と上下方向で係止する。この結果、コネクタの端子同士が電気的に導通するとともに互いにロックされ、コネクタ同士の嵌合接続が完了する。
【0082】
本実施形態では、端子20,50の接続部24,54は、それぞれコネクタ幅方向でU字状部21,51よりも外側に位置する部分の寸法が大きく確保されており、接続部24,54がU字状部21,51から上記寸法分だけ離れた範囲にまで及んで存在している。したがって、例えばプラグコネクタがこじられながら挿抜されて、コネクタ挿抜過程にてコネクタ幅方向(
図6での左右方向)で傾斜姿勢となることにより、端子20,50のU字状部21,51が互いにコネクタ幅方向で受ける反力に起因して接続部24,54に曲げ応力が生じても、該曲げ応力に対して接続部24,54で十分に耐えることができ、対応回路部からの接続部の剥離を良好に防止できる。
【0083】
また、本実施形態では、
図6によく見られるように、コネクタ嵌合状態において、レセプタクルコネクタ1の側壁13は、プラグコネクタ2が実装されている回路基板P2の下面に側壁13の被圧面13Dが近接して対面するような高さで形成されている。したがって、プラグコネクタ2の挿抜過程で該プラグコネクタ2がコネクタ幅方向で傾斜姿勢となったとき、回路基板P2の下面がレセプタクルコネクタ1の側壁13の角部に当接して、該回路基板P2ひいてはプラグコネクタ2のそれ以上の傾斜が規制される。この結果、プラグコネクタ2が大きく傾斜して該プラグ端子50の外側腕部51Bがレセプタクル端子のロック部21C−1にコネクタ幅方向で強く当接することがなくなるので、該ロック部21C−1の損傷を確実に防止できる。
【0084】
<第二実施形態>
第一実施形態では、レセプタクルコネクタ1のレセプタクル端子20が、移行部22の稜線部で押圧部材と接触して該押圧部材から熱を受けることとしたが、本実施形態では、レセプタクル端子120が、該レセプタクル端子120に形成された平坦面で押圧部材と接触して受熱するようになっており、この点で第一実施形態と異なっている。本実施形態に係るレセプタクルコネクタ101に嵌合接続されるプラグコネクタについては、第一実施形態のプラグコネクタ2と全く同じ構成であるので、説明を省略する。以下、本実施形態のレセプタクルコネクタ101について、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0085】
図7(A)は、第二実施形態に係るレセプタクルコネクタ101の端子配列方向に対して直角な面での断面斜視図であり、端子配列方向でのレセプタクル端子120の位置における断面を示している。この
図7(A)では、第一実施形態と対応する部分については、第一実施形態での符号に「100」を加えた符号で示している。
【0086】
図7(A)に示されるレセプタクルコネクタ101のハウジング110は、互いに高さの異なる二つの平坦面(上下方向に対して直角な面)から成る段状をなしている。具体的には、側壁113の上面は、第一実施形態のハウジング10の側壁13から凸湾曲部13Cを省略したような形状をなしており、コネクタ幅方向での内半部の平坦な上面が外半部の平坦な上面よりも低くなっている。本実施形態では、側壁113の上面のうち上記外半部の上面が、コネクタ実装時に押圧部材からの押圧力を受けるための被圧面113Dとして形成されている。
【0087】
レセプタクル端子120は、受入U字状部121と、該受入U字状部121のロック腕部121Cの上端からコネクタ幅方向外方へクランク状に延びる移行部122と、移行部122の端部(コネクタ幅方向外側に位置する端部)から下方へ向かうにつれてコネクタ幅方向内方へ傾斜して延びる被保持部123と、該被保持部123の下端からコネクタ幅方向外方へ延びる接続部124とを有している。
【0088】
受入U字状部121は、第一実施形態のレセプタクル端子20の受入U字状部21と同じ形状である。移行部122は、側壁113の上面に沿ってクランク状に延びコネクタ幅方向での外半部が内半部よりも上方に位置している。該移行部122は、側壁113の上面から露呈した露呈部をなしており、該移行部122の上面が側壁113の上面と相俟って一つの面を形成している。本実施形態では、該移行部122の外半部の上面が側壁113の被圧面113Dと相俟って同一レベルの一つの平面を形成しており、コネクタ実装時に押圧部材(図示せず)からの押圧力を受けるのと同時に、上記移行部122の外半部の上面で上記押圧部材の押圧加熱面に接面して受熱するようになっている。
【0089】
上述の「一つの平面を形成」には、移行部122の外半部の上面と側壁113の被圧面113Dとが互いに全く同じ高さ(レベル)をもって滑らかな一つの平面を形成する場合のみならず、両者の高さが若干異なっていて凹凸面が形成されている場合も含まれている。このように両者の高さが若干異なっていても、第一実施形態で既述したのと同様に、押圧部材による押圧加熱時にて、弾性をもつシート部材等を押圧部材とコネクタとの間に介在させることにより、上記凹凸面の存在により生じ得る押圧や加熱への影響を小さくすることができる。これは、後述する
図7(B),(C)の形態においても同様である。
【0090】
図7(A)に見られるように、被保持部123は、第一実施形態の被保持部23と比べて大きく傾斜していて、ハウジング110外から露呈することなく側壁113内に埋設されている。接続部124は、コネクタ幅方向での受入U字状部121よりも外側で、底壁111の底面に沿って直状に延びハウジング110外に若干延出している。本実施形態においても、接続部124は、コネクタ幅方向で底壁111の範囲内で受入U字状部121よりも外側に位置する部分が受入U字状部121よりも大きい寸法で形成されており、これによって、第一実施形態にて既述した効果が得られる。
【0091】
また、固定金具130は、既述のレセプタクル端子120と同じ形状で作られており、
図7(A)に見られるように、該レセプタクル端子120の移行部122の外半部に対応する部分の平坦な上面がハウジング110の上面(被圧面113D)から露呈しており、この上面(露呈面)で押圧部材の押圧加熱面に接面して受熱するようになっている。
【0092】
このように本実施形態では、レセプタクル端子120そして固定金具130が押圧部材の押圧加熱面に対して平坦な板面で接触可能となっているので、第一実施形態と比べて上記押圧加熱面との接触面積を大きくでき、効率よく確実に受熱できる。
【0093】
図7(B)は、本実施形態における変形例を示す図であり、
図7(A)の各部に対応する部分には、
図7(A)での符号に「100」を加えた符号を付して示している。
図7(A)の形態では、押圧加熱面に接面可能な露呈部はレセプタクル端子120の移行部122に形成されることとしたが、これに代えて、
図7(B)のように、レセプタクル端子220の自由端側部分に形成することもできる。
図7(B)に示されるレセプタクルコネクタ201のハウジング210は、
図7(A)のレセプタクルコネクタ101のハウジング110と同じ形状であるので説明を省略する。
【0094】
図7(B)のレセプタクルコネクタ201のレセプタクル端子220は、第一実施形態におけるレセプタクル端子20に後述の延長部225及び露呈部226を追加したような形状をなしている。具体的には、
図7(B)に見られるように、接続部224の外端部(コネクタ幅方向で外側に位置する端部)から上方へ向かうにつれてコネクタ幅方向で内方へ傾斜するように延長部225が延びており、該延長部225の上端から露呈部226がコネクタ幅方向外方へ向けて側壁213の上面の外半部(被圧面213D)に沿って直状に延びている。延長部225は、ハウジング210から露呈することなく全体がハウジング210内に埋設されて保持されている。露呈部226は、上面が側壁213の被圧面213Dから露呈して、この上面(露呈面)で押圧部材の押圧加熱面に接面して受熱するようになっている。上記露呈面で押圧部材の押圧加熱面から受けた熱は、延長部225を経て接続部124に伝播する。
【0095】
また、固定金具230は、レセプタクル端子220と同じ形状で作られており、レセプタクル端子220と同様に、ハウジング210の上面から露呈した面で押圧部材からの熱を受けるようになっている。
【0096】
このように
図7(B)の形態においても、レセプタクル端子220そして固定金具230は、平坦な板面で押圧部材の押圧加熱面に接触可能となっているので、
図7(A)の形態と同様に、上記押圧加熱面との接触面積を大きくでき、効率よく確実に受熱できる。
【0097】
図7(C)は、本実施形態における他の変形例を示す図であり、
図7(B)の各部に対応する部分には、
図7(B)での符号に「100」を加えた符号を付して示している。
図7(B)の形態では、ハウジング210の側壁213の内半部そしてレセプタクル端子220の移行部222の上端が、それぞれ側壁213の被圧面213Dそしてレセプタクル端子220の露呈部226よりも低く位置していた。これに対して
図7(C)のレセプタクルコネクタ301では、第一実施形態のレセプタクルコネクタ1と同様に、ハウジング310の側壁313の内半部に、該側壁313の被圧面313Dと同じ高さの凸湾曲部313Cが設けられている点、そしてレセプタクル端子320の移行部322が凸湾曲部313Cに沿って延びている点で、
図7(B)のレセプタクルコネクタ201と構成が相違している。
【0098】
図7(C)のレセプタクルコネクタ301によれば、側壁313の凸湾曲部313Cそしてレセプタクル端子320の移行部322の稜線部においても押圧部材からの押圧力を受けることができるとともに、該移行部322の稜線部においても該押圧加熱面から受熱することができる。
【0099】
図7(C)のようなハウジングの側壁の内半部そしてレセプタクル端子の移行部をそれぞれハウジングの外半部そしてレセプタクル端子の露呈面と同じ高さにする形態は、
図7(A)に示したレセプタクルコネクタ101にも適用可能である。
【0100】
また、固定金具330は、レセプタクル端子320と同じ形状で作られており、レセプタクル端子320と同様に、ハウジング310の上面から露呈した面、すなわち移行部332及び露呈部336で押圧部材からの押圧力そして熱を受けるようになっている。
【0101】
<第三実施形態>
第一実施形態では、レセプタクル端子20の移行部22、被保持部23そして接続部24は、受入U字状部21の二つの腕部のうちコネクタ幅方向で外側に位置するロック腕部21Cの上端から延びていた。一方、本実施形態では、レセプタクル端子の移行部、被保持部そして接続部が受入U字状部の二つの腕部のうちコネクタ幅方向で内側に位置する接触腕部の上端から延びており、主にこの点で第一実施形態と異なっている。以下、本実施形態について、
図8ないし
図10に基づき、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0102】
図8は、第三実施形態に係るコネクタ組立体のコネクタ組立体の嵌合接続前の状態を示した断面斜視図であり、端子配列方向での端子の位置における断面を示している。
図9は、
図8のコネクタ組立体のレセプタクルコネクタ及びプラグコネクタを、両コネクタの受入部の開口が上方へ向いた姿勢で示している。
図10は、
図8のコネクタ組立体のコネクタ嵌合状態における断面図である。
図8ないし
図10では、第一実施形態と対応する部分については、第一実施形態での符号に「400」を加えた符号で示している。
【0103】
[レセプタクルコネクタの構成]
本実施形態に係るレセプタクルコネクタ401は、ハウジング410及び該ハウジング410に配列保持される複数のレセプタクル端子420を有しているが、第一実施形態のレセプタクルコネクタ1に設けられていたような固定金具は有していない。
【0104】
ハウジング410の底壁411は、
図8に見られるように、第一実施形態の孔部11Aや深溝部11Cに対応する孔部や溝部が形成されておらず、該底壁411の底面が、後述するレセプタクル端子420の接続部424を保持する溝部を除き、全体として平坦な面をなしている。
【0105】
ハウジング410の突壁412は、
図8に見られるように、第一実施形態の変位許容溝部12Bに対応する溝部が形成されておらず、後述するレセプタクル端子420の内側接触腕部421B、移行部422、被保持部423を一体モールド成形により保持している。該突壁412の突壁上部平坦面は、回路基板(図示せず)へのコネクタ実装時に押圧部材(図示せず)からの押圧力を受ける被圧面412Dとして形成されている。
【0106】
図8に見られるように、各側壁413は、端子配列方向で互いに並行して延びる内側側壁413−1及び外側側壁413−2と、コネクタ幅方向に延びて該内側側壁413−1及び外側側壁413−2の端子配列方向端部同士を連結する連結壁413−3とを有している。該内側側壁413−1、外側側壁413−2そして二つの連結壁413−3によって囲まれ上方(嵌合側)に開口する空間は、コネクタ嵌合状態でプラグコネクタ402の内側側壁443−1を受け入れるための側壁凹部413−4を形成している(
図10をも参照)。
【0107】
外側側壁413−2は、
図8に見られるように、コネクタ幅方向で外側に位置する外半部413−2Bが内半部413−2Aよりも低くなっており、該外側側壁413−2の上面が段状をなしている。内側側壁413−1、外側側壁413−2の内半部413−2Aそして連結壁413−3のそれぞれの上面が相俟って形成する一つの平坦面は、突壁412の被圧面412Dと同じ高さに位置し被圧面413Dをなしている。
【0108】
端壁414は、端子配列方向での内半部に、コネクタ幅方向中央位置で突壁412側へ向け突出して上記外半部を該突壁412と連結している突部(図示せず)が設けられている。上記内半部は、上記突部を除き、外半部よりも低くなっており、コネクタ幅方向で上記突部によって隔てられた二つの端壁凹部414−4が形成されている。また、該端壁414の外半部及び上記突部は、側壁413−2の外半部413−2Bと同じ高さで形成されている。
【0109】
レセプタクル端子420は、第一実施形態のレセプタクル端子20と同様に、受入U字状部421、移行部422、被保持部423及び接続部424を有しているが、後述するように各部の形状がレセプタクル端子20の対応部分と異なっている。
【0110】
受入U字状部421は、
図8に見られるように、底壁411の上面に沿ってコネクタ幅方向に延びる基部421Aと、該基部421Aの一端から突壁412の側面に沿って上方へ延びる内側接触腕部421Bと、基部421Aの他端から内側側壁413−1の内側面に沿って上方へ延びる外側接触腕部421Cとを有している。
【0111】
内側接触腕部421Bは、その平坦な板面が突壁412の側面から露呈した状態で一体モールド成形により突壁412に埋設保持されていて、その露呈した板面で、後述のプラグ端子450の内側腕部451Aと接触可能となっている。該内側接触腕部421Bは、その接触部がコネクタ幅方向外方(受入部415側)へ向けて突出しておらず、また、該コネクタ幅方向(板厚方向)で弾性変位することもなく、この点で、第一実施形態のレセプタクル端子20の接触腕部21Aと異なっている。ただし、内側接触腕部421Bの接触部が突出していないことは必須ではなく、若干突出していてもよい。
【0112】
外側接触腕部421Cは、その平坦な板面が内側側壁413−1の内側面から露呈した状態で一体モールド成形により埋設保持されていて、その露呈した板面でプラグ端子450の外側腕部451Bと接触可能となっている。該外側接触腕部421Cは、コネクタ幅方向内方(受入部415側)へ向けて突出するロック部を有しておらず、この点で、第一実施形態のレセプタクル端子20のロック腕部21Cと異なっている。また、外側接触腕部421Cは、上端部がコネクタ幅方向外方へ向けて屈曲されており、内側側壁413−1の上面(被圧面413D)から露呈した板面で、コネクタ実装時に押圧部材の押圧加熱面に接面して熱を受けるようになっている。
【0113】
移行部422は、内側接触腕部421Bの上端からコネクタ幅方向内方へ向けて延びその一部の板面が突壁412から露呈した状態で該突壁412に埋設保持されていて、該突壁412の上面(被圧面412D)から露呈した板面で、コネクタ実装時に押圧部材の押圧加熱面に接面して熱を受けるようになっている。また、被保持部423は、該移行部422から下方へ向けて底壁411の底面の高さ位置に至るまで、傾斜することなく直状に延びており、突壁412から露呈することなく該突壁412に埋設保持されている。
【0114】
接続部424は、被保持部423の下端から底壁411の底面に沿ってコネクタ幅方向外方へ向けて直状に延び、ハウジング410外へ若干延出している。
図8に見られるように、接続部424は、コネクタ幅方向にて、底壁11の範囲内で受入U字状部421よりも外側に位置する部分の寸法が受入U字状部421の寸法(外形寸法)よりも大きくなっている。したがって、本実施形態においても、第一実施形態にて既述した効果が得られる。また、本実施形態では、接続部424のハウジング410からの延出部分はコネクタ幅方向外方へ向けて直状に延びているが、これに代えて、例えば、上記延出部分が上方へ向けて直角に屈曲されていてもよい。このように接続部424の上記延出部分を屈曲しておくことにより、第一実施形態で既述したのと同様に、コネクタ実装時に上記延出部分の先端の縁部が回路基板や導電層を傷つけることを防止できる。
【0115】
[プラグコネクタの構成]
プラグコネクタ402のハウジング440は、
図9によく見られるように、底壁441から起立し二つの側壁443同士間で端子配列方向に延びる起立壁としての二つの突壁442を有しており、この点で、突壁を有していない第一実施形態のプラグコネクタ2のハウジング40と大きく異なっている。該突壁442は、端子配列方向での両端部が端壁444と連結されており、また、上端部に上方へ向けた凸湾曲部442Cが形成している。凸湾曲部442Cの頂部となる稜線部は、後述する側壁443の被圧面443D及び端壁444の被圧面444Bと同じ高さに位置しており、コネクタ実装時にて押圧部材からの押圧力を受けるようになっている。また、二つの突壁442同士間で端子配列方向に延びる空間は、コネクタ嵌合状態でレセプタクルコネクタ401の突壁412を受け入れるための受入部445を形成している。
【0116】
図9に見られるように、各側壁443は、端子配列方向で互いに並行して延びる内側側壁443−1と外側側壁443−2とを有している。内側側壁443−1は、突壁442、外側側壁443−2そして端壁444によって囲まれており、該内側側壁443−1を囲む四角環状の空間は、コネクタ嵌合状態でレセプタクルコネクタ401の側壁413を受け入れるための側壁凹部443−4を形成している。また、外側側壁443−2は、
図9に見られるように、内側側壁443−1よりも低くなっている。内側側壁443−1の平坦な上面は、コネクタ実装時に押圧部材からの押圧力を受けるための被圧面443Dをなしている。
【0117】
端壁444は、
図9に見られるように、外側側壁443−2同士を連結している。該端壁444は、端子配列方向での外半部444−2が内半部444−1よりも低くなっており、該端壁444の上面が段状をなしている。端壁444の内半部444−1は、コネクタ幅方向での中央位置で端壁没入部444−1Aが没入形成されており、端壁没入部444−1Aがコネクタ嵌合状態にてレセプタクルコネクタ401の端壁414の突部を受け入れるようになっている。端壁444の内半部444−1の平坦な上面は、コネクタ実装時に押圧部材からの押圧力を受けるための被圧面444Bをなしている。
【0118】
プラグ端子450は、
図8に見られるように、第一実施形態のプラグ端子50と同様に、突入U字状部451と、該突入U字状部451の二つの腕部のうちの内側腕部451Aの上端(
図9での下端)からコネクタ幅方向外方へ向けて直状に延びる接続部454を有している。しかし、プラグ端子450は、突入U字状部451が突壁442の外面に沿って延びており、この点で、突入U字状部51が側壁43の外面に沿って延びている第一実施形態のプラグ端子50と異なっている。また、プラグ端子450の突入U字状部451の外側腕部451Bは、突壁442の側面から露呈している板面、すなわちレセプタクル端子420の外側接触腕部421Cと接触する板面全体が平坦な面をなしており、この点で、凹状の被ロック部51B−1が形成されている第一実施形態のプラグ端子50と異なる。
【0119】
図8に見られるように、プラグ端子450の接続部454は、コネクタ幅方向にて、底壁411の範囲内で突入U字状部451よりも外側に位置する部分の寸法が突入U字状部451の寸法(外形寸法)よりも大きくなっている。したがって、本実施形態においても、第一実施形態にて既述した効果が得られる。また、本実施形態では、接続部454のハウジング440からの延出部分はコネクタ幅方向外方へ向けて直状に延びているが、これに代えて、例えば、上記延出部分が上方へ向けて直角に屈曲されていてもよい。このように接続部454の上記延出部分を屈曲しておくことにより、レセプタクルコネクタ401について既述したのと同様に、コネクタ実装時に上記延出部分の先端の縁部が回路基板や導電層を傷つけることを防止できる。
【0120】
[回路基板へのコネクタの実装]
本実施形態のレセプタクルコネクタ401そしてプラグコネクタ402は、第一実施形態と同じ要領で、コーティング剤を塗布された後、押圧部材で押圧そして加熱されることにより、導電層を介して回路基板に実装される。本実施形態では、レセプタクルコネクタ401は、突壁412の被圧面412D及び側壁413の被圧面413Dで押圧部材からの押圧力を受け、レセプタクル端子20の外側接触腕部421Cの上端部および移行部422のそれぞれの露呈面で押圧部材からの熱を受ける。また、プラグコネクタ402は、内側側壁443−1の被圧面443D、端壁444の内半部444−1の被圧面444Bそして突壁442の凸湾曲部の稜線部で押圧部材からの押圧力を受け、プラグ端子450の連結部451Cの稜線部で押圧部材からの熱を受ける。
【0121】
[コネクタの嵌合動作]
レセプタクルコネクタ401とプラグコネクタ402は、それぞれ回路基板に実装された後、以下の要領で嵌合接続される。まず、
図8に見られるように、レセプタクルコネクタ401を受入部415及び側壁凹部413−4が上方へ開口した姿勢とするとともに、プラグコネクタ402を受入部445及び側壁凹部443−4が下方へ開口した姿勢として該レセプタクルコネクタ1の上方位置へもたらす。そして、
図8にて矢印で示されるように、プラグコネクタ402を下方へ移動させ、該プラグコネクタ402の突壁412をレセプタクルコネクタ401の受入部415内へ上方から嵌入させる。このとき、レセプタクルコネクタ401の側壁413(外側側壁413−2の外半部を除いた部分)がプラグコネクタ402の側壁凹部443−4に下方から嵌入する。また、プラグコネクタ402の端壁444の内半部444−1がレセプタクルコネクタ401の端壁凹部414−4内へ上方から嵌入するとともに、レセプタクルコネクタ401の突部がプラグコネクタ402の端壁444の端壁没入部444−1A内に下方から嵌入する。
【0122】
この結果、
図10に示されるように、プラグコネクタ402のプラグ端子450の突入U字状部451が、レセプタクルコネクタ401のレセプタクル端子420の受入U字状部421の接触腕部421B,421C同士間に突入する。そして、突入U字状部451の内側腕部451Aそして外側腕部451Bが、受入U字状部421の内側接触腕部421Bそして外側接触腕部421Cにそれぞれ接圧をもって接触する。この結果、コネクタの端子同士が電気的に導通し、コネクタ同士の嵌合接続が完了する。
【0123】
また、
図10に見られるように、コネクタ嵌合状態において、レセプタクルコネクタ401の外側側壁413−2の外半部の上面と、プラグコネクタ402の外側側壁443−2の下面(
図9での上面)とは、上下方向(高さ方向)でのほぼ中央位置で互いに接面している。つまり、
図10に見られるように、コネクタ嵌合状態において、コネクタ401,402の外側側壁413−2,443−2の最も外側の側面は、コネクタ幅方向で互いに同位置にある。このように本実施形態では、プラグコネクタ402の外側側壁443−2が、レセプタクルコネクタ401の側壁413よりも内側に形成された凹部内に嵌入しない構成としたので、プラグコネクタ402の側壁443の外面に塗布されて固化したコーティング剤がレセプタクルコネクタ401の側壁413と干渉することが防止されている。