特許第6188651号(P6188651)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188651
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】画像処理装置および画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/413 20060101AFI20170821BHJP
   H04N 1/40 20060101ALI20170821BHJP
   H04N 1/41 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   H04N1/413 D
   H04N1/40 F
   H04N1/41 B
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-152409(P2014-152409)
(22)【出願日】2014年7月25日
(65)【公開番号】特開2016-32135(P2016-32135A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2016年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】原田 博之
(72)【発明者】
【氏名】南部 惣太
【審査官】 松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−121175(JP,A)
【文献】 特開2010−010819(JP,A)
【文献】 特開2011−019289(JP,A)
【文献】 特開2009−017392(JP,A)
【文献】 特開2000−295468(JP,A)
【文献】 特開2002−223347(JP,A)
【文献】 特開2012−60262(JP,A)
【文献】 特開2002−262103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/413
H04N 1/40
H04N 1/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像から網点領域を抽出する領域抽出部と、
前記領域抽出部により抽出された前記網点領域のうち、文字を含み、かつ輝度および色相の分布の変動幅が所定範囲未満であるものを特定網点領域として検出する特定網点領域検出部と、
前記特定網点領域以外の前記網点領域に対する形式より符号化後の画質が高い形式で前記特定網点領域を符号化する符号化部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記符号化部は、前記特定網点領域以外の前記網点領域の解像度より高い解像度で前記特定網点領域を符号化することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記符号化部は、前記特定網点領域以外の前記網点領域とは異なる符号化方式で前記特定網点領域を符号化することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記特定網点領域検出部は、前記特定網点領域内の文字の文字サイズが所定の閾値未満である場合、前記文字を前記特定網点領域から分離し、
前記符号化部は、前記文字を取り除いた前記特定網点領域と、分離後の前記文字とを互いに異なる符号化方式で別々に符号化すること、
を特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記領域抽出部は、前記画像から表領域を抽出し、
前記特定網点領域検出部は、前記表領域に重なっている前記網点領域から、前記特定網点領域を検出し、
前記符号化部は、前記特定網点領域を含まない前記表領域に対する形式より符号化後の画質が高い形式で、前記特定網点領域を含む前記表領域を符号化すること、
を特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項6】
コンピューターを、
画像から網点領域を抽出する領域抽出部、
前記領域抽出部により抽出された前記網点領域のうち、文字を含み、かつ輝度および色相の分布の変動幅が所定範囲未満であるものを特定網点領域として検出する特定網点領域検出部、および
前記特定網点領域以外の前記網点領域に対する形式より符号化後の画質が高い形式で前記特定網点領域を符号化する符号化部
として機能させる画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および画像処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある画像処理装置は、画像内の文字、写真、図、表、網点などの領域を検出している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、あるシステムは、画像内の黒画素連結成分の外接矩形を抽出し、外接矩形の形状および内部のデータに基づいて矩形の属性を文字、罫線、表、図、グラフなどに分類している(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−295468号公報
【特許文献2】特開平7−37036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば高圧縮PDF(Portable Document Format)ファイルの作成時などにおいて、画像内の領域を所定の複数の属性に分類し、属性に対応する形式(解像度、符号化方式など)で各領域の画像データを圧縮符号化している。
【0006】
そのように画像内の各領域の画像データを圧縮符号化する場合、グラフが網点領域や表領域として抽出されるため、網点領域や表領域に適した形式でグラフが圧縮符号化される。そのため、グラフ内に小さい文字が存在する場合、そのような形式の圧縮符号化によって、グラフ内の小さい文字の画質が低下してしまい、文字の視認性が低下することがある。図4は、小さい文字を有するグラフの例を示す図である。図4(A)に示すように、棒グラフや円グラフなどのグラフの網点領域101〜103内に文字111〜113が存在する場合、図4(B)に示すように、棒グラフや円グラフなどのグラフの網点領域101〜103の周辺に文字111〜113が存在する場合などがある。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、画像を領域種別ごとに圧縮符号化する際に、グラフ内の小さい文字の視認性を低下しにくくする画像処理装置および画像処理プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像処理装置は、画像から網点領域を抽出する領域抽出部と、前記領域抽出部により抽出された前記網点領域のうち、文字を含み、かつ輝度および色相の分布の変動幅が所定範囲未満であるものを特定網点領域として検出する特定網点領域検出部と、前記特定網点領域以外の前記網点領域に対する形式より符号化後の画質が高い形式で前記特定網点領域を符号化する符号化部とを備える。
【0009】
本発明に係る画像処理プログラムは、コンピューターを、画像から網点領域を抽出する領域抽出部、前記領域抽出部により抽出された前記網点領域のうち、文字を含み、かつ輝度および色相の分布の変動幅が所定範囲未満であるものを特定網点領域として検出する特定網点領域検出部、および前記特定網点領域以外の前記網点領域に対する形式より符号化後の画質が高い形式で前記特定網点領域を符号化する符号化部として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像を領域種別ごとに圧縮符号化する際に、グラフ内の小さい文字の視認性が低下しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置を含む画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態1における画像処理装置13の、網点領域に対する分類処理を説明するフローチャートである。
図3図3は、実施の形態1における画像処理装置13の、表領域に対する分類処理を説明するフローチャートである。
図4図4は、小さい文字を有するグラフの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
実施の形態1.
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置を含む画像形成装置の構成を示すブロック図である。図1に示す画像形成装置1は、複写機であるが、スキャナー、複合機などでもよい。
【0015】
この画像形成装置1は、印刷装置11と、画像読取装置12と、画像処理装置13と、記憶装置14と、表示装置15と、入力装置16とを備える。
【0016】
印刷装置11は、出力デバイスの一例であって、画像処理装置13による各種画像処理後の画像データに基づいて原稿画像を、CMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)色のトナーを使用して電子写真プロセスで印刷する内部装置である。
【0017】
また、画像読取装置12は、原稿から原稿画像を光学的に読み取り、原稿画像の画像データをRGBデータとして生成する内部装置である。
【0018】
また、画像処理装置13は、画像読取装置12などで生成された画像データに対して、色調整、色変換などの画像処理を行う。
【0019】
また、記憶装置14は、フラッシュメモリーなどの、書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、各種データやプログラムを記憶している。
【0020】
画像処理装置13は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やコンピューターで実現され、領域抽出部21、特定網点領域検出部22、符号化部23、およびファイル生成部24を有する。
【0021】
領域抽出部21は、ラスター画像データに基づく画像から、網点領域、表領域、文字領域などを抽出する。
【0022】
領域抽出部21は、網点領域については、例えば、周期的な網点パターンを検出し、網点パターンのエッジを検出し、そのエッジ内部の領域を網点領域として抽出する。
【0023】
領域抽出部21は、表領域については、例えば、罫線を検出し、検出された罫線の集合に外接する矩形領域を表領域として抽出する。
【0024】
特定網点領域検出部22は、領域抽出部21により抽出された網点領域のうち、特定網点領域を検出する。特定網点領域は、文字を含み、かつ輝度(つまり網点のドット密度および網点のドットサイズ)および色相の分布の変動幅が所定範囲未満である網点領域である。つまり、特定網点領域は、文字を含み、かつ輝度および色相が略一定な網点領域である。
【0025】
符号化部23は、特定網点領域以外の網点領域に対する形式(解像度、符号化方式など)より符号化後の画質が高い形式で特定網点領域を符号化する。
【0026】
例えば、符号化部23は、特定網点領域以外の網点領域の解像度(例えば300dpi)より高い解像度(例えば600dpi)で特定網点領域を符号化する。
【0027】
また、符号化部23は、特定網点領域以外の網点領域とは異なる符号化方式で特定網点領域を符号化するようにしてもよい。
【0028】
例えば、通常の網点領域がJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式で符号化される場合、特定網点領域については、解像度の高い画像が符号化されたり、符号化方式自体がGIF(Graphics Interchange Format)方式、PNG(Portable Network Graphics)方式などのロスレス方式に変更されたり、量子化パラメーターの値が低くされたりする。
【0029】
また、この実施の形態1では、特定網点領域検出部22は、特定網点領域内の文字の文字サイズが所定の閾値未満である場合、その文字を特定網点領域から分離する。符号化部23は、その文字を取り除いた特定網点領域と、分離後の文字とを互いに異なる符号化方式で別々に符号化する。つまり、文字を取り除いた特定網点領域については、網点領域用の解像度および符号化方式が使用され、分離後の文字については、文字サイズに応じた解像度および文字領域用の符号化方式が使用される。
【0030】
さらに、この実施の形態1では、特定網点領域検出部22は、抽出された表領域に重なっている網点領域から、特定網点領域を検出し、符号化部23は、特定網点領域を含まない表領域に対する形式(解像度、符号化方式など)より符号化後の画質が高い形式で、特定網点領域を含む表領域を符号化する。
【0031】
そして、ファイル生成部24は、符号化部23によって複数の領域種別にそれぞれ適した形式で符号化された画像データを複数のレイヤーとして、高圧縮PDFファイルを生成する。
【0032】
次に、上記画像処理装置の動作について説明する。
【0033】
符号化部23は、領域抽出部21により抽出された領域の種別に応じた形式で、その領域の画像データを符号化する。
【0034】
ただし、特定網点領域検出部22によって、網点領域は、特定網点領域とそれ以外の通常の網点領域とに分類され、符号化部23によって、特定網点領域とそれ以外の通常の網点領域は、互いに異なる形式で符号化される。なお、このとき、網点領域のうち、表領域に重なっている部分については、表領域として処理され、この網点領域に対する分類処理からは除外される。
【0035】
また、特定網点領域検出部22によって、表領域は、特定網点領域を含む表領域とそれ以外の通常の表領域とに分類され、符号化部23によって、特定網点領域を含む表領域とそれ以外の通常の表領域は、互いに異なる形式で符号化される。
【0036】
そして、ファイル生成部24は、複数の領域種別にそれぞれ適した形式で符号化された画像データを複数のレイヤーとして、高圧縮PDFファイルを生成する。
【0037】
ここで、網点領域に対する分類処理について説明する。図2は、実施の形態1における画像処理装置13の、網点領域に対する分類処理を説明するフローチャートである。
【0038】
特定網点領域検出部22は、画像から抽出された網点領域のうち、未処理の網点領域(つまり後述の処理を行っていない網点領域)があるか否かを判定する(ステップS1)。
【0039】
未処理の網点領域がある場合、特定網点領域検出部22は、未処理の網点領域の1つを選択し(ステップS2)、選択した網点領域に文字が含まれており、かつ、選択した網点領域が略一定の輝度および色相を有するか否かを判定する(ステップS3,S4)。
【0040】
選択した網点領域に文字が含まれていない場合、または選択した網点領域が略一定の輝度および色相を有していない場合には、特定網点領域検出部22は、この網点領域に対して、網点領域用のデフォルトの解像度およびデフォルトの符号化方式を、符号化部23に使用させる(ステップS5)。
【0041】
一方、選択した網点領域に文字が含まれており、かつ、選択した網点領域が略一定の輝度および色相を有する場合、特定網点領域検出部22は、この網点領域が特定網点領域であると判定し、この網点領域に含まれている文字の文字サイズを特定する(ステップS6)。
【0042】
そして、特定網点領域検出部22は、特定した文字サイズが閾値未満であるか否かを判定し(ステップS7)、特定した文字サイズが閾値未満ではない場合には、この網点領域に対して、特定網点領域用の解像度および符号化方式を符号化部23に使用させる(ステップS8)。なお、このとき、この網点領域の所定範囲の周辺領域に文字領域が含まれている場合には、特定網点領域検出部22は、その文字領域も特定網点領域用の解像度および符号化方式を符号化部23に使用させるようにしてもよい。
【0043】
一方、特定した文字サイズが閾値未満である場合、特定網点領域検出部22は、この網点領域から、特定した文字を分離し、分離後の網点領域と文字に対して、互いに異なる符号化方式を符号化部23に使用させる(ステップS9)。
【0044】
ステップS5,S8,S9のいずれかの処理が完了すると、ステップS1に戻り、画像内で抽出されたすべての網点領域に対して同様の処理が実行されるまで、次の網点領域が選択され、同様の処理が実行される。
【0045】
このようにすることで、網点領域として検出される画像内のグラフのうち、文字を有するものが特定網点領域として抽出され、グラフ内のその文字の画質低下を抑えるように符号化が行われる。例えば図4(A)に示すようなグラフの場合、グラフ内の網点領域101〜103が特定網点領域として抽出され、文字111〜113の画質低下が抑えられる。なお、図4(B)に示すようなグラフの場合、網点領域101〜103の外側の文字111〜113は文字領域として抽出され処理される。
【0046】
ここで、表領域に対する分類処理について説明する。図3は、実施の形態1における画像処理装置13の、表領域に対する分類処理を説明するフローチャートである。
【0047】
特定網点領域検出部22は、画像から抽出された表領域のうち、未処理の表領域(つまり後述の処理を行っていない表領域)があるか否かを判定する(ステップS21)。
【0048】
未処理の表領域がある場合、特定網点領域検出部22は、未処理の表領域の1つを選択し(ステップS22)、選択した表領域に、画像から抽出された網点領域が重なっているか否かを判定する(ステップS23)。
【0049】
選択した表領域に、画像から抽出された網点領域が重なっていない場合、特定網点領域検出部22は、この表領域には特定網点領域が含まれていないと判定し、この表領域の符号化時の形式として、表領域用のデフォルトの解像度およびデフォルトの符号化方式を、符号化部23に使用させる(ステップS24)。
【0050】
一方、選択した表領域に、画像から抽出された網点領域が重なっている場合、特定網点領域検出部22は、検出された罫線に基づいて表領域内のセル(同一形状の矩形領域)を予測し、表領域内のセルのうち、網点を有するセル(つまり、網点領域が少なくとも一部に重なっているセル、以下、網点セルという)を特定する(ステップS25)。
【0051】
そして、特定網点領域検出部22は、特定したすべての網点セルにおいて、セル内すべてが網点領域になっているか否かを判定する(ステップS26)。
【0052】
すべての網点セルにおいて、セル内すべてが網点領域になっている場合、特定網点領域検出部22は、この表領域には特定網点領域が含まれていないと判定し、この表領域の符号化時の形式として、表領域用のデフォルトの解像度およびデフォルトの符号化方式を、符号化部23に使用させる(ステップS24)。
【0053】
一方、少なくとも1つの網点セルにおいて、セル内が部分的に網点領域になっている場合(つまり、セル内の一部が網点領域になっていない網点セルが少なくとも1つ存在する場合)、特定網点領域検出部22は、少なくとも1つの網点セルに文字が含まれているか否かを判定する(ステップS27)。
【0054】
すべての網点セルに文字が含まれていない場合には、特定網点領域検出部22は、この表領域には特定網点領域が含まれていないと判定し、この表領域の符号化時の形式として、表領域用のデフォルトの解像度およびデフォルトの符号化方式を、符号化部23に使用させる(ステップS24)。
【0055】
一方、少なくとも1つの網点セルに文字が含まれているとステップS27において判定された場合、特定網点領域検出部22は、特定網点領域検出部22は、文字が含まれているすべての網点セルにおいて、セル内での文字領域と網点領域との面積比が所定の範囲内であるか否かを判定する(ステップS28)。
【0056】
このとき、文字領域と網点領域との面積比は、文字領域の外接矩形と網点領域との面積比としてもよい。また、上述の所定の範囲は、通常の表におけるセルの面積と文字の面責との比が通常取り得る範囲とされる。なお、文字領域およびその外接矩形は、ラベリング処理などで特定すればよい。
【0057】
文字が含まれている少なくとも1つの網点セルにおいて、セル内での文字領域と網点領域との面積比が所定の範囲内ではないとステップS28において判定した場合、特定網点領域検出部22は、文字が含まれているすべての網点セルにおいて、セル内で網点が略一定の輝度および色相を有するか否かを判定する(ステップS29)。
【0058】
そして、(a)文字が含まれている少なくとも1つの網点セルにおいて、文字の外側がすべて網点領域となっておらず(ステップS27)、かつ(b)文字が含まれている少なくとも1つの網点セルにおいて、セル内での文字領域と網点領域との面積比が所定の範囲内ではなく(ステップS28)、かつ、(c)文字が含まれているすべての網点セルにおいて、セル内で網点が略一定の輝度および色相である場合(ステップS29)、特定網点領域検出部22は、この表領域が特定網点領域を含んでいると判定する。
【0059】
つまり、これらの条件によって、グラフではなく、背景が網点となっておりかつ文字を有するセルを含む通常の表を除外している。
【0060】
そして、特定網点領域検出部22は、この表領域が特定網点領域を含んでいると判定すると、そのようなセルに含まれている文字の文字サイズを特定する(ステップS30)。
【0061】
特定網点領域検出部22は、特定した文字サイズが閾値未満であるか否かを判定し(ステップS31)、特定した文字サイズが閾値未満ではない場合には、この表領域に対して、特定網点領域用の解像度および符号化方式を符号化部23に使用させる(ステップS32)。なお、このとき、この表領域の所定範囲の周辺領域に文字領域が含まれている場合には、特定網点領域検出部22は、その文字領域も特定網点領域用の解像度および符号化方式を符号化部23に使用させるようにしてもよい。
【0062】
一方、特定した文字サイズが閾値未満である場合、特定網点領域検出部22は、そのようなセルから、特定した文字を分離し、分離後の表領域と文字に対して、互いに異なる符号化方式を符号化部23に使用させる(ステップS33)。
【0063】
なお、ステップS28において、文字が含まれているすべての網点セルにおいて、セル内での文字領域と網点領域との面積比が所定の範囲内である場合には、この表領域の符号化時の形式として、表領域用のデフォルトの解像度およびデフォルトの符号化方式が使用される(ステップS24)。
【0064】
また、ステップS29において、文字が含まれている少なくとも1つの網点セルにおいて、セル内の網点の輝度または色相が略一定ではない場合、この表領域に対して、網点領域用のデフォルトの解像度およびデフォルトの符号化方式が使用される(ステップS34)。
【0065】
ステップS24,S32,S33,S34のいずれかの処理が完了すると、ステップS21に戻り、画像内で抽出されたすべての表領域に対して同様の処理が実行されるまで、次の表領域が選択され、同様の処理が実行される。
【0066】
このようにすることで、表領域として検出される画像内のグラフのうち、文字を有するものが特定網点領域として抽出され、グラフ内のその文字の画質低下を抑えるように符号化が行われる。
【0067】
以上のように、上記実施の形態1によれば、領域抽出部21は、画像から網点領域を抽出し、特定網点領域検出部22は、領域抽出部21により抽出された網点領域のうち、文字を含み、かつ輝度および色相の分布の変動幅が所定範囲未満であるものを特定網点領域として検出し、符号化部23は、特定網点領域以外の網点領域に対する形式より符号化後の画質が高い形式で特定網点領域を符号化する。
【0068】
これにより、グラフ内の小さい文字が文字領域として抽出されずに、小さい文字を含むグラフが網点領域などとして抽出されても、その小さい文字に合わせた方式で符号化されるため、画像を領域種別ごとに圧縮符号化する際に、グラフ内の小さい文字の視認性が低下しにくくなる。
【0069】
実施の形態2.
【0070】
実施の形態2では、実施の形態1の画像処理装置の機能(つまり、領域抽出部21、特定網点領域検出部22、符号化部23、およびファイル生成部24の機能)を、コンピューターに実行させるための画像処理プログラムが、上述の画像形成装置、端末装置などの記憶装置や記録媒体に格納されている。そして、上述の画像形成装置、端末装置などに内蔵されるコンピューターによって、画像処理プログラムが読み出され、実行される。
【0071】
これにより、上述の画像形成装置、端末装置などにおいて、上述の領域抽出部21、特定網点領域検出部22、符号化部23、およびファイル生成部24が実現される。
【0072】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0073】
例えば、上記実施の形態1において、図3におけるステップS28の処理は、条件に応じて、無くしてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態1,2では、ステップS5,S34において、デフォルトの解像度および符号化方式を使用しているが、画像内の写真領域(階調領域)についての解像度および符号化方式とは異なる解像度および符号化方式としてもよい。例えば、写真領域(階調領域)についての符号化方式には非可逆方式を使用し、上述のステップS5,S34では可逆方式を使用するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、例えば、画像形成装置内の画像処理装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
13 画像処理装置
21 領域抽出部
22 領域検出部
23 符号化部
図1
図2
図3
図4