(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188657
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】全自動開合可能のストレート傘構造
(51)【国際特許分類】
A45B 25/16 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
A45B25/16 A
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-182884(P2014-182884)
(22)【出願日】2014年9月9日
(65)【公開番号】特開2016-54875(P2016-54875A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2016年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】507027070
【氏名又は名称】廈門明和實業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(72)【発明者】
【氏名】陳添成
(72)【発明者】
【氏名】宋順鋒
【審査官】
柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭48−039405(JP,Y1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0166950(US,A1)
【文献】
実開平03−102918(JP,U)
【文献】
特開平06−133813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45B 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中棒セットや傘フレーム、上ろくろ、下ろくろ、傘開合駆動機構及び手元が備えられ、手元内に、正逆方向に駆動する動力源があり、上記中棒セットは、外管と、長さが外管よりも長い中管とがあり、上記中管は、下端が、手元に固定され、上端に、上ろくろが結合され、外管が、可動的に中管の外に貫設されて、中管の上ろくろと手元との間に、可動に制限され、下ろくろが、可動的に外管の上に、貫設され、上記傘フレームが、上記上ろくろと下ろくろに連接され、上記傘開合駆動機構に、螺条と、螺条に合わせた推し管とがある、全自動開合可能のストレート傘構造であって、
上記螺条の下端が、手元内の動力源に連接され、
上記推し管に、螺条に合わせて、駆動部が設けられ、上記駆動部に、雌ネジが形成され、上記雌ネジと螺条とが合わせることにより、動力源で、螺条を正逆方向回転に駆動する時、推し管が、螺条に対して上下に移動でき、また、推し管が、中管に設置され、上記中管の上部が、連接部材によって、中管側壁に貫通して外管と連接され、同時に、中管の側壁に、縦方向に、連接部材が上下に移動できるための活動槽が形成され、上記推し管は、下部にある螺条に合わせる駆動部と上部にある連接部及び駆動部と連接部を連接する弾性変形部と、があり、上記弾性変形部が、軸方向に支持する剛性やトーション方向の変形と回復特性を有する、
ことを特徴とする全自動開合可能のストレート傘構造。
【請求項2】
更に、中ろくろが備えられ、上記傘フレームが、複数の親骨と複数の短受け骨及び複数の長受け骨を有し、各親骨の一端が、上ろくろに枢着され、上記親骨のもう一端が、自由端になり、各短受け骨の一端が、中ろくろに枢着され、もう一端が、親骨に枢着され、各長受け骨の一端が、下ろくろに枢着され、もう一端が、親骨に枢着され、また、下ろくろと各親骨との間に、合傘スプリングが設けられることを特徴とする請求項1に記載の全自動開合可能のストレート傘構造。
【請求項3】
上記弾性変形部が、剛性シートであることを特徴とする請求項1に記載の全自動開合可能のストレート傘構造。
【請求項4】
上記弾性変形部が、少なくとも、二本の対称的に配列された剛性ワイヤであり、剛性ワイヤの両端に、駆動部と連接部とが連接されることを特徴とする請求項1に記載の全自動開合可能のストレート傘構造。
【請求項5】
上記弾性変形部が、駆動部と連接部との間に、均一に配置された多本の剛性ワイヤからなり、各剛性ワイヤの両端に、駆動部と連接部とが連接されることを特徴とする請求項1に記載の全自動開合可能のストレート傘構造。
【請求項6】
上記傘フレームは、複数の親骨と短受け骨が、備えられ、各親骨の一端が、上ろくろに枢着され、もう一端が、自由端になり、各短受け骨の一端が、中ろくろに枢着され、もう一端が、親骨に枢着されることを特徴とする請求項1に記載の全自動開合可能のストレート傘構造。
【請求項7】
上記外管の下部において、推し保護スリーブが嵌設され、上記下ろくろと中ろくろとの間に、緩衝パッドが設置されることを特徴とする請求項1に記載の全自動開合可能のストレート傘構造。
【請求項8】
上記外管において、上部に、位置制限構造があり、上記中ろくろが、位置制限構造のより上方において、活動できることを特徴とする請求項2に記載の全自動開合可能のストレート傘構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傘に関し、特に、完全的に開傘と合傘を制御できる全自動開合可能のストレート傘構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、気候の変化が速しため、人々が、傘を身元に持ち歩く慣習を養成し、これにより、突然の大雨に濡れられることを防止できる。しかし、従来の傘は、手で、傘フレームを上へ所定の位置まで押することにより、開傘されるが、急に大雨が降れてくる場合、開傘が間に合わなくて、濡れてしまうことが多発する。そのため、次のような傘が提案され、それは、手元に、ボタンが設置され、上記ボタンを押すと、自動的に開傘できるが、自動合傘の機能を有しなく、例えば、乗車する時、両手で、合傘してから、車の中に入ることができ、この短い間に、雨によってふれらることが多く、そのため、傘の実用便利性が不十分である。
【0003】
上記のように、従来の自動ストレート傘は、傘開合駆動機構によって、外管が中管に対して上へ移動し、傘が完全に展開する位置において、傘の中棒に、振動が発生し、これにより、手元を握るユーザーの手が、不快感を感じる。それは、駆動機構の螺条によって推し管が上へ最終位置まで推されることにより、振動が発生し、推し管の雌ネジが、螺条によって駆動され、その慣性力により、推し棒に固定された外管が、中管に対して、回転慣性があり、推し管が、一体の管部材で、その下部にある雌ネジに、回転慣性が印加され、上部から、外管に対して回転慣性が伝達されて、傘の中棒全体が振動し、長期使用の場合、上記のような振動により、傘の耐用寿命が悪くなる。そのため、本発明が考案される。
【0004】
本発明者は、上記欠点を解消するため、慎重に研究し、また、学理を活用して、有効に上記欠点を解消でき、設計が合理である本発明を提案する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、傘を展開する時の安定性が守られ、傘の中棒に、振動の発生を防止でき、傘の耐用寿命が向上されるだけでなく、使用快適性も向上される全自動開合可能のストレート傘構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明に係る全自動開合可能のストレート傘構造は、中棒セットや傘フレーム、傘フレームに固定された傘布、中棒セットの頂端に固定された上ろくろ、中棒セットに貫設された中ろくろ及び手元が備えられ、傘開合駆動機構は、螺条と、螺条によって上下に移動するように連動された推し管と、上記螺条の下端が、手元の正逆方向に駆動する動力源に連接され、中棒セットは、両端がそれぞれ、手元と上ろくろに連接された中管と、中管の外に貫設された可動外管とがあり、上記推し管が、中管に通して外管に連接され、また、中管の側壁に、推し管が上下に移動できる活動槽が形成され、外管は、上部に、中ろくろを上へ連動させる位置制限構造が設けられ、上記推し管は、下部に、螺条に合わせて駆動部があり、上部に、外管と連接するための連接部と、駆動部と連接部とを連接するための弾性変形部がある。
【0007】
上記弾性変形部は、剛性シートである。
【0008】
上記弾性変形部は、少なくとも、二本の対称した剛性ワイヤからなり、剛性ワイヤの両端に、駆動部と連接部とがに連接される。
【0009】
上記弾性変形部は、駆動部と連接部との間に、均一に配置された多本の剛性ワイヤからなり、各剛性ワイヤの両端に、駆動部と連接部とが連接される。
【0010】
上記駆動部は、雌ネジが設けられる。
【0011】
上記駆動部の内壁に、螺条に合わせて、雌ネジが形成される。
【0012】
上記動力源は、変速装置から構成された機械伝動や正逆回転モーター伝動である。
【0013】
上記傘フレームは、複数の親骨と短受け骨が備えられ、各親骨の一端が、上ろくろに枢着され、もう一端が、自由端になり、各短受け骨の一端が、中ろくろに枢着され、もう一端が、親骨に枢着される。
【0014】
上記全自動ストレート傘は、更に、外管に貫設された下ろくろがあり、上記傘フレームは、複数の親骨と、短受け骨と長受け骨を有し、各親骨の一端が、上ろくろに枢着され、もう一端が、自由端になり、各短受け骨の一端が、中ろくろに枢着されて、もう一端が、親骨に枢着され、各長受け骨の一端が、下ろくろに枢着されて、もう一端が、親骨に枢着され、また、下ろくろと各親骨との間に、更に、合傘スプリングが設置される。
【0015】
上記のように、本発明によれば、全自動ストレート傘の駆動機構のうちの推し棒全体が、三部分に分けられ、傘が、完全に展開された時、動力源が、螺条に作用して、駆動部に、回転慣性が生成し、駆動部のねじり慣性が、弾性変形部を介して、連接部へ伝達され、弾性変形部は、変形と回復能力を有するため、駆動部のねじり慣性が、弾性変形部による変形によって、解消され、連接部は、駆動部の回転慣性によって影響されず、連接部が外管に連接された状態下の作動安定性が向上され、傘の中棒が振動することを防止でき、傘の使用快適性や耐用寿命が向上される。
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の特徴や技術内容について、詳しく説明するが、それらの図面等は、参考や説明のためであり、本発明は、それによって制限されることが無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1乃至
図4のように、本発明に係る全自動開合可能のストレート傘構造は、中棒セット1や傘フレーム2、傘フレーム2に固定された傘布(図に未表示)、上ろくろ4、中ろくろ5、下ろくろ6、傘開合駆動機構7及び手元8が備えられ、手元8内に、正逆方向に駆動する動力源8Aがある。
【0018】
上記傘フレーム2は、複数の親骨21と複数の短受け骨22及び複数の長受け骨23が備えられ、各親骨21の的一端が、上ろくろ4に枢着され、上記親骨21のもう一端が、自由端211になり、各短受け骨22の一端が、中ろくろ5に枢着されて、もう一端が、親骨21に枢着され、各長受け骨23の一端が、下ろくろ6に枢着されて、もう一端が、親骨21に枢着され、また、下ろくろ6と各親骨21との間に、更に、合傘スプリング24が設けられる。
【0019】
図1のように、上記中棒セット1は、外管11と長さが外管11よりも長い中管12とがあり、上記中管12は、下端が、手元8に固定され、上端に、上ろくろ4が結合され、外管11が、可動的に中管12の外に貫設されて、中管12の上ろくろ4と手元8との間に、可動的に制限され、中ろくろ5と下ろくろ6は、可動的に、外管11に貫設され、外管11は、上部に、位置制限構造111が設置されて、中ろくろ5が、位置制限構造111より上方において、活動でき、ここの位置制限構造111は、外管11に成型された突縁であるが、外管11に合わせた嵌設リングやピン等の構造でもよく、また、中ろくろ5が外管11の上端から脱離することを防止するため、中ろくろを、外管11に実装した後、外管11の上端に、脱離防止構造112が設置され、その具体な構造は、位置制限構造111と同じでもよく、上記外管11に、連接穴113が形成される。
【0020】
上記傘開合駆動機構7は、螺条71と、螺条71に合わせた推し管72とが、備えられ、上記螺条71の下端が、手元8の動力源8Aに連接され、推し管72に、螺条71に合わせた駆動部720が設置され、上記駆動部720に、雌ネジ721が形成され、上記雌ネジ721と螺条71とを合わせて、動力源8Aで、螺条1を正逆方向回転に駆動すると、推し管72が連動されて、螺条1に対して上下に移動できる。上記推し管72が、中管12の中に設置され、その上部が、連接部材73を利用して、中管12側壁に通して外管11の連接穴113に結合され、また、中管12の側壁に、縦方向に、連接部材73が上下に移動可能の活動槽121が形成される。
【0021】
本発明によれば、上記推し管72は、下部にある螺条71に合わせて駆動部720と、上部にある連接部722と、駆動部720と連接部722とを連接する弾性変形部723と、があり、上記連接部722は、中管12の内壁に合わせて、連接部材73を中管12の側壁に通させて、外管11に連接され、上記弾性変形部723は、剛性シートであっても良く、少なくとも、対称的に配列された二本の剛性ワイヤからなってもいいし、駆動部720と連接部722との間に、均一に、配置されて、両端に、駆動部720と連接部722とが連接された多本の剛性ワイヤでもよい。ここの弾性変形部723は、軸方向X1に支持する剛性やトーション方向Y1の変形と回復が発揮でき、
図5の螺条71によって推し管72が回転するように連動されることや、
図6の螺条71がによって推し管72の弾性変形部72が緩衝変形を生成したことのように、推し管72全体が、安定的に、推すことができ、また、互いに衝撃することによって、構造の損害を防止できる。
【0022】
ここで、雌ネジ721が、螺条1に沿って上下に移動するストロークは、中ろくろ5が、中管12に対して上下に移動するストロークに相当する。
【0023】
上記手元8は、動力源8Aが収納されるケーシングであり、手元ケーシングに、動力源8Aの正回転力や逆回転力を駆動する制御ボタン81が設置される。上記動力源8Aは、変速装置から構成された機械伝動でもよく、正逆回転モーター伝動を利用しても良い。
【0024】
図3のように、本発明に係る傘が、合傘状態において、駆動部720が、螺条71の下部位置に位置し、即ち、推し管72が、中管12に対して、下部位置になる。
【0025】
図2を参照しながら、開傘する時、動力源8Aを駆動して、正回転力を入力させ、動力源8Aによって、螺条71が回転するように連動され、駆動部720が、螺条71に沿って上へ移動し、同時に、弾性変形部723によって連接部722が推され、外管11が、中管12に対して上へ移動するように、連動され、外管11が上へ移動すると同時に、その上部にある位置制限構造111が、同期に、中ろくろ5を上へ移動するように駆動し、短受け骨22で、親骨21を開いて開傘作動が実行され、親骨21が、開かれることと同時に、長受け骨23も、外へ展開するように駆動され、それとともに、傘が完全に開くまでに、下ろくろ6が、外管11の上部へ移動し、傘フレーム2は、主として、中ろくろ5によって、短受け骨22が連動され、親骨21に、力を印加することにより、開傘の機能が実現される。また、傘面が所定の位置に到達すると、合傘スプリング24によって、親骨21が引かれて、傘フレーム2が、傘布3の作用によって、長受け骨23が湾曲して角度が形成され、これにより、下ろくろ6が、更に下へ移動することができなくなる。
【0026】
中棒セット1の外観全体の美観を保持するため、外管11の下部に、外管11の下端に覆われる保護スリーブ116が設置され、また、下ろくろ6が、連動されて、上へ中ろくろ5までの位置に移動した時、両者の間において、過大の衝撃を防止するため、緩衝パッド9が設置されてもよく、また、合傘状態で、下ろくろ6の下端に位置した外管11に、外径が下ろくろ6の内径よりも大きいリング状突出114が形成され、これにより、開傘の時、上記リング状突出114によって、下ろくろ6に対して、補助として、より容易に開傘できる。また、更に、中管12の下部と手元8との間に、保護管115と嵌設スリーブ117が貫設され、嵌設スリーブ117により、保護管115が緊密に手元8に固定される。
【0027】
図4を参照しながら、傘が、完全に開傘された時、動力源8Aにより、螺条71が駆動部720に対して、回転慣性があるが、推し棒71全体が、三部分に分けられるため、駆動部720のねじり慣性が、弾性変形部723を通して連接部722へ伝達され、弾性変形部723に、変形能力を有するため、駆動部720のねじり慣性が、弾性変形部723の変形によって、トーション方向Y1に沿って解消され、連接部722に、駆動部720の回転慣性が影響しなく、推し管72の軸方向X1の作動が影響されず、連接部722に連接された外管12の作動安定性が向上され、傘の中棒セット1に振動を生成しなくて、傘の使用快適性や耐用寿命が向上される。
【0028】
図1Aを参照しながら、剛性ワイヤを変形部723に利用する時、その回復に弾みが発生する可能性があるが、中管12に衝撃して騒音を発生することを防止するため、剛性ワイヤに、更に、例えば、ゴムカバーや軟質スリーブからなる滅音層724が貫設されてもよい。
【0029】
そのため、本発明は、より進歩的かつより実用的で、法に従って特許請求を出願する。
【0030】
以上は、ただ、本発明のより良い実施例であり、本発明は、それによって制限されることが無く、本発明に係わる特許請求の範囲や明細書の内容に基づいて行った等価の変更や修正は、全てが、本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図4】中棒セットに駆動機構が組立てられた状態の構造断面図
【
図6】螺条の回転が停止されて、推し管の弾性変形部に、緩衝変形が発生した時の概念図
【符号の説明】
【0032】
1 中棒セット
11 外管
111 位置制限構造
112脱離防止構造
113 連接穴
114 リング状突出
115 保護管
116 保護スリーブ
117 嵌設スリーブ
12 中管
121 活動槽
2 傘フレーム
21 親骨
211 自由端
22 短受け骨
23 長受け骨
24 合傘スプリング
4 上ろくろ
5 中ろくろ
6 下ろくろ
7 傘開合駆動機構
71 螺条
72 推し管
720 駆動部
721 雌ネジ
722 連接部
723 弾性変形部
724 滅音層
73 連接部材
8 手元
81 制御ボタン
8A 動力源
9 緩衝パッド
X1 軸方向
Y1 トーション方向