特許第6188680号(P6188680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベラノ バスキュラー,インコーポレイテッドの特許一覧

特許6188680末梢IVカテーテルによる瀉血のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188680
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】末梢IVカテーテルによる瀉血のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20170821BHJP
【FI】
   A61M25/06 550
【請求項の数】16
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2014-508539(P2014-508539)
(86)(22)【出願日】2012年4月26日
(65)【公表番号】特表2014-516643(P2014-516643A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】US2012035122
(87)【国際公開番号】WO2012149109
(87)【国際公開日】20121101
【審査請求日】2015年4月10日
(31)【優先権主張番号】61/479,223
(32)【優先日】2011年4月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/234,857
(32)【優先日】2011年9月16日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515249525
【氏名又は名称】ベラノ バスキュラー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】デブゴン,ピタンバー
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/011436(WO,A2)
【文献】 米国特許第05013304(US,A)
【文献】 特表2002−534203(JP,A)
【文献】 米国特許第06648835(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端及び遠位端を有し全体を貫通する管腔を画定するカニューレと、
近位端及び遠位端を有し全体を貫通する管腔を画定し前記カニューレの一部を受容するように構成されたイントロデューサであって、前記カニューレの前記近位端が、前記イントロデューサの外側に配置され、外部流体容器と流体連通する前記カニューレの前記管腔を配置するために前記外部流体容器に結合されるように構成された、イントロデューサと、
前記カニューレに結合され、前記カニューレの前記遠位端が前記イントロデューサ内にある第1の構成と、前記カニューレの前記遠位端が前記イントロデューサ外にある第2の構成と、の間で前記カニューレを前記イントロデューサに対して移動させるように構成されるアクチュエータであって、前記カニューレは、前記イントロデューサに対して前記第1の構成と前記第2の構成との間で自由に移動可能であり、前記カニューレが前記第1の構成と前記第2の構成との間で移動するときに、前記カニューレの前記近位端が前記イントロデューサに対して移動するように構成される、アクチュエータと、
前記イントロデューサの前記遠位端に結合され、前記イントロデューサを、部分的に静脈内に配置された末梢静脈ラインに結合するように構成されたロックと、を備え、
前記カニューレの前記遠位端は、前記第2の構成にあるときに前記末梢静脈ライン内に配置されて前記末梢静脈ラインの端部よりも先まで延出する、
装置。
【請求項2】
前記イントロデューサと前記末梢静脈ラインとの間に結合されたアダプタを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記イントロデューサの前記遠位端と前記末梢静脈ラインとの間に結合され、第1の管腔及び第2の管腔を有するアダプタを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の管腔が第1の直径を有し、前記第2の管腔が第2の直径を有し、前記第1の直径が前記第2の直径とは異なる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の管腔に隣接して前記アダプタに結合された逆流防止部を更に備える、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記カニューレは、前記カニューレの遠位端に隣接する複数の開口を画定する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記カニューレの前記近位端に結合されかつ前記カニューレの前記管腔と流体連通しているポートを更に備え、前記ポートは、前記カニューレが前記第2の構成にある場合に前記カニューレから前記カニューレの外側の前記外部流体容器に体液を移動させるように更に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記カニューレの前記近位端に結合された針又はアクセスポートの1つを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記アクチュエータは、前記イントロデューサに移動可能に結合され、前記カニューレに固定して結合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記カニューレは、18ゲージから26ゲージまでの間である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記カニューレは、約20ショアAから95ショアDまでのショア硬さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記カニューレの前記遠位端は、前記カニューレが前記第1の構成にあるときに前記イントロデューサ内に配置され、
前記カニューレは、前記カニューレが前記第1の構成にあるときに前記カニューレの前記近位端が全体的に前記イントロデューサの外側に維持されるように、前記イントロデューサの前記近位端によって画定されるポートを通って延在するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記カニューレの前記遠位端は、前記カニューレが前記第2の構成にあるときに前記末梢静脈ライン内に配置されて前記末梢静脈ラインの端部よりも先まで延出し、
前記カニューレは、前記カニューレが前記第2の構成にあるときに、前記イントロデューサの前記近位端により画定される前記ポートを通って延在するように構成され、それにより、前記カニューレの前記近位端の全体は前記イントロデューサの外部に維持される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
近位端及び遠位端を有し全体を貫通する管腔を画定するカニューレと、
近位端及び遠位端を有し全体を貫通する管腔を画定し前記カニューレの一部を受容するように構成されたイントロデューサであって、前記カニューレは前記イントロデューサに対して自由に移動可能である、イントロデューサと、
前記イントロデューサの前記遠位端に結合され、部分的に静脈内に配置された末梢静脈ラインに結合されるように構成された遠位端を有し、第1の管腔及び第2の管腔を画定するアダプタであって、前記第1の管腔が直径を有すると共に前記カニューレの少なくとも前記遠位端を全体で受容するように構成され、前記第2の管腔が前記第1の管腔に直交している、アダプタと、
前記カニューレに結合され、前記イントロデューサの長さに沿って第1の構成と第2の構成との間で前記カニューレを移動させるように構成されたアクチュエータであって、前記第2の構成において前記カニューレの前記遠位端が前記アダプタの前記遠位端の先まで延出し、前記カニューレが前記第1の構成と前記第2の構成との間で移動するときに、前記カニューレの前記近位端が前記イントロデューサの外側に配置されかつ前記イントロデューサに対して移動するように構成され、前記カニューレの前記近位端は、外部流体容器と流体連通する前記カニューレの前記管腔を配置するために前記外部流体容器に結合されるように構成される、アクチュエータと、
を備える、装置。
【請求項15】
前記イントロデューサは、前記アダプタに一体的に結合されているか又は着脱可能に結合されているかの1つである、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記カニューレの前記近位端は、流体収集デバイス内に含まれる前記外部流体容器に結合されるように構成される、請求項14に記載の装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[1001] 本出願は、2011年9月16日に出願された「Systems and Methods for Phlebotomy Through a Peripheral IV Catheter」と題する米国出願第13/234,857号の一部継続出願である。この出願は、35 U.S.C.119(e)に基づき、2011年4月26日に出願された「Systems and Methods for Phlebotomy Through a Peripheral IV Catheter」と題する米国仮出願第61/479,223号に対する優先権を主張する。これらの各出願は全体が引用により本願に含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
[1002] 本明細書に記載する実施形態は、一般に医療機器に関する。更に具体的には、本明細書に記載する実施形態は、静脈カテーテルによる瀉血のためのシステム及び方法に関する。
【0003】
[1003] 典型的な入院患者は、医師がラボ試験を指示するたびに針に相対する。採血の標準的な手順は、金属製の針(「翼状針」)を用いて患者の腕又は手の静脈に「刺入する(stick)」ことを含む。採血は手作業による労働集約的なプロセスであり、平均的な患者では、典型的な入院中に何時間もの直接的な技能労働を必要とする。この針の刺入は、患者にとって苦痛であり主な不満の原因であるだけでなく、多くの場合、看護師又は採血の専門家(瀉血専門医)は約10〜15%の患者で静脈を見つけることに苦労し、このために痛い「刺入」を何回も試行することになる。この結果、材料コスト及び労働コストが著しく高くなり(針及び管類は各試行の後に処分しなければならない)、患者の苦痛及び傷が増すことになる。
【0004】
[1004] 現在の採血プロセスは非効率的であり、平均7〜10分を要し、10%の患者では21分を超える時間がかかる。これらの10%の患者は、静脈アクセス困難(Difficult Intra-Venous Access)、より一般的には「刺入の難しい(tough stick)」患者と呼ばれる。表在静脈が容易に識別できない場合、手首から肘まで腕をマッサージし、人差し指及び中指で部位を軽くたたき、部位に温かい濡らしたタオルを5分間当てることによって、又は枕元で手を下げて静脈に血をためることによって、血液を静脈へと導くことができる。これらの方法は各々、時間がかかり、従ってコストが高い。
【0005】
[1005] 末梢IVカテーテル(PIV:Peripheral IV Catheter)は、ほとんどの患者の入院中に挿入され、流体及び薬剤を注入するために用いられる。しかしながら、PIVは採血のために設計されたものではない。PIVが1日を超えて挿入されたまま放置されると、吸引の失敗率は20〜50%に達する。PIVから採取された血液は溶血する(例えば赤血球の破裂及びそれらの内容物の周囲流体への放出として定義される)ことが多く、その結果サンプルは破棄され、血液収集を繰り返す必要がある。
【0006】
[1006] PIVからの採血における欠点の原因となり得るいくつかの機械的な障害がある。第1に、ほとんどのカテーテルは柔らかい生体反応(bio-reactive)ポリマーから形成され、この材料を用いると、吸引のために負圧をかけた場合又は挿入もしくは操作中にカテーテルがねじれた場合にカテーテルが狭まったりつぶれたりする恐れがあるが、逆流を防ぐ。更に、留置時間が長くなると、残骸(例えばフィブリン/血小板クロット)が増え、カテーテルの先端及び管腔内に蓄積する。これによって失敗率と留置時間との間の関係が説明される。第3の大きな障害は、「吸着カップ」効果によるものである。これは、カテーテルによる吸引のために負圧が生じること及び静脈の進路が湾曲する可能性があることの結果として、カテーテルの先端が静脈壁に付着するというものである。負圧が上昇すると、静脈が破れて「静脈を吹き飛ばす(blowing the vein)」恐れがある。これは瀉血専門医にとって、PIVによる吸入中の大きな関心事である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[1007] 従って、末梢静脈カテーテルによる瀉血のための改良したシステム及び方法に対する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1008] 本明細書において、末梢静脈カテーテルによる瀉血のためのシステム及び方法を記載する。いくつかの実施形態において、装置は、カニューレ又はカテーテルと、イントロデューサと、ロッキング機構と、アクチュエータと、を含む。カニューレは、近位端及び遠位端を有し、管腔を画定する。イントロデューサは、近位端及び遠位端を有し、カニューレの少なくとも一部を受容するように構成された管腔を画定する。ロッキング機構は、イントロデューサの遠位端に結合され、イントロデューサを末梢静脈ラインに結合するように構成されている。アクチュエータは、カニューレに動作的に結合され、カニューレが実質的にイントロデューサ内にある第1の構成と、カニューレが実質的にイントロデューサ外にある第2の構成と、の間でカニューレを移動させるように構成されている。第2の構成にある場合、カニューレは末梢静脈ラインの端部よりも先まで延出する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[1009]一実施形態に従った第1の構成における装置の概略図である。
図2】[1009]一実施形態に従った第2の構成における装置の概略図である。
図3】[1010]一実施形態に従った第2の構成における装置の詳細な図である。
図4】[1011]一実施形態に従った第2の構成における装置の詳細な図である。
図5】[1012]一実施形態に従った第1の構成における装置の断面図である。
図6】[1012]一実施形態に従った第2の構成における装置の断面図である。
図6A】[1013]図6の装置の領域Xで示される一部の拡大図である。
図7】[1014]一実施形態に従った第1の構成における装置及びアダプタの断面図である。
図8】[1014]一実施形態に従った第2の構成における装置及びアダプタの断面図である。
図9】[1015]一実施形態に従った第1の構成における装置の斜視図である。
図10】[1016]図9に示す装置の分解図である。
図11】[1017]図9に示す装置の断面斜視図である。
図12】[1018]図9に示す装置の第2の構成における斜視図である。
図13】[1019]図9に示す装置の第2の構成における断面斜視図である。
図13A】[1020]図13の装置の領域Yで示される一部の拡大図である。
図14】[1021]図9に示す装置の第3の構成における断面斜視図である。
図15】[1022]一実施形態に従った第1の構成における装置の側面図である。
図16】[1022]一実施形態に従った第2の構成における装置の側面図である。
図17】[1023]図15に示す装置の第2の構成における斜視図である。
図18】[1024]一実施形態に従った図15の装置及びアダプタの分解側面図である。
図19】[1025]図18に示す装置及びアダプタの第1の構成における側面図である。
図20】[1026]図18に示す装置及びアダプタの第2の構成における側面図である。
図21】[1027]図18に示す装置の第2の構成における斜視図である。
図22】[1028]図18に示す装置の、図21の領域Zで示される一部の拡大図である。
図23】[1029]一実施形態に従った第1の構成における装置の概略図である。
図24】[1029]一実施形態に従った第2の構成における装置の概略図である。
図25】[1030]一実施形態に従った第1の構成における装置の概略図である。
図26】[1030]一実施形態に従った第2の構成における装置の概略図である。
図27】[1031]一実施形態に従った第1の構成における装置の概略図である。
図28】[1031]一実施形態に従った第2の構成における装置の概略図である。
図29】[1032]一実施形態に従った装置に含まれるカテーテル構成の側面図である。
図30】[1032]一実施形態に従った装置に含まれるカテーテル構成の側面図である。
図31】[1032]一実施形態に従った装置に含まれるカテーテル構成の側面図である。
図32】[1032]一実施形態に従った装置に含まれるカテーテル構成の側面図である。
図33】[1032]一実施形態に従った装置に含まれるカテーテル構成の側面図である。
図34】[1032]一実施形態に従った装置に含まれるカテーテル構成の側面図である。
図35】[1032]一実施形態に従った装置に含まれるカテーテル構成の側面図である。
図36】[1032]一実施形態に従った装置に含まれるカテーテル構成の側面図である。
図37】[1032]一実施形態に従った装置に含まれるカテーテル構成の側面図である。
図38】[1033]実施形態に従った2ポートアダプタの図である。
図39】[1033]実施形態に従った2ポートアダプタの図である。
図40】[1033]実施形態に従った2ポートアダプタの図である。
図41】[1033]実施形態に従った2ポートアダプタの図である。
図42】[1033]実施形態に従った2ポートアダプタの図である。
図43】[1033]実施形態に従った2ポートアダプタの図である。
図44】[1034]実施形態に従った単一ポートアダプタの図である。
図45】[1034]実施形態に従った単一ポートアダプタの図である。
図46】[1035]一実施形態に従った末梢静脈ラインによる瀉血の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[1036] 本明細書において、末梢静脈カテーテルによる瀉血のためのシステム及び方法を記載する。いくつかの実施形態において、装置は、カニューレ又はカテーテルと、イントロデューサと、ロッキング機構と、アクチュエータと、を含む。カニューレは、近位端及び遠位端を有し、管腔を画定する。イントロデューサは、近位端及び遠位端を有し、カテーテルの少なくとも一部を受容するように構成された管腔を画定する。ロッキング機構は、イントロデューサの遠位端に結合され、イントロデューサを末梢静脈ラインに結合するように構成されている。アクチュエータは、カニューレに動作的に結合され、カニューレが実質的にイントロデューサ内にある第1の構成と、カニューレが実質的にイントロデューサ外にある第2の構成と、の間でカニューレを移動させるように構成されている。カニューレは、第2の構成にあるときに末梢静脈ラインの端部よりも先まで延出する。
【0011】
[1037] いくつかの実施形態において、方法は、近位端及び遠位端を有するイントロデューサを末梢静脈ライン(例えば生理食塩水ロックデバイス、ヘパリンロックデバイス等)に結合することを含む。この方法は更に、イントロデューサ内かつ末梢静脈ライン外の第1の位置から、実質的にイントロデューサ外かつ末梢静脈ライン内の第2の位置まで、カニューレを前進させることを含む。いくつかの実施形態においては、カテーテルの長さは末梢静脈ラインの長さよりも大きく、他の実施形態では、第2の位置にあるカテーテルは末梢静脈ラインよりも短い。この方法は、イントロデューサの近位端に容器を結合して、この容器をカテーテルと流体結合させることを含む。この方法は更に、第2の位置から第1の位置までカニューレを後退させることを含む。
【0012】
[1038] いくつかの実施形態において、カテーテルは近位端及び遠位端を有し、全体を貫通する管腔を画定する。イントロデューサは近位端及び遠位端を有し、全体を貫通する管腔を画定する。イントロデューサはカニューレを受容するように構成されている。アダプタがイントロデューサに結合されている。アダプタは、末梢静脈ラインに結合されるように構成された遠位端を有する。アダプタは第1の管腔及び第2の管腔を画定する。第1の管腔は、第1の直径を有し、カニューレを全体で受容するように構成されている。第2の管腔は第1の管腔に直交している。アクチュエータは、カニューレに動作的に結合され、第1の構成と第2の構成との間でカニューレを移動させるように構成されている。第2の構成においてカニューレはアダプタの遠位端の先まで延出する。
【0013】
[1039] 本明細書において用いる場合、「カテーテル」及び「カニューレ」という言葉は交換可能に用いられて、第1の位置から第2の位置まで体液を移動させるための通路(例えば体液を体外へ移動させるための流体通路)を画定するように構成された要素を定義する。カニューレは、トロカール、ガイドワイヤ、又はイントロデューサを受容して患者の体内のボリューム(volume)にカニューレを到達させるように構成することができるが、本明細書で言及するカニューレがトロカール、ガイドワイヤ、又はイントロデューサを含有又は受容することは必須ではない。
【0014】
[1040] 本明細書において用いる場合、「Yアダプタ」及び「Tアダプタ」という言葉は、2ポートIV拡張セットを指すために用いられる。このように、「Yアダプタ」及び「Tアダプタ」という言葉は、一般に2ポートPIV拡張セットの全体的な形状を記述する。例えば、本明細書において用いる場合、Yアダプタは実質的に「Y」字の形状であり、第1の端部における単一のポート及び第2の端部における斜めに配置された2つのポートを含む。更に、「Yアダプタ」及び「Tアダプタ」という言葉は一例としてのみ含まれるものであり、限定ではない。例えばいくつかの実施形態において、装置は、単一ポートPIV拡張セット(例えば単一ポートのアダプタ)又は多ポートPIV拡張セット(例えば3つ以上のポートを有するアダプタ)を含むことができる。
【0015】
[1041] 本明細書において用いる場合、「近位」及び「遠位」という言葉はそれぞれ、デバイスを患者に接触させて配置するユーザに近付く方向及びこのユーザから遠ざかる方向を指す。このため、例えば、最初に患者の身体に接触するデバイスの端部は遠位端であり、デバイスの対向端部(例えばユーザによって操作されているデバイスの端部)はデバイスの近位端である。
【0016】
[1042] 本明細書において用いる場合、「剛性」という言葉は、加えられた力による偏向、変形、及び/又は変位に対する物体の抵抗に関連する。剛性は、物体に加えられた力の量、並びに、その結果として物体の第1の部分が物体の第2の部分に対して偏向、変形、及び/又は変位する距離によって特徴付けることができる。物体の剛性を特徴付ける場合、偏向した距離は、力が直接加えられた物体の部分とは異なる物体の部分の偏向として測定すれば良い。換言すると、一部の物体では、偏向の箇所は力を加えられた箇所とは異なる。
【0017】
[1043] 剛性は、記述している物体の示量的な特性であるので、物体を形成している材料及びその物体の何らかの物理的特徴(例えば形状及び境界条件)に依存する。例えば、物体内に、所望の弾性係数、曲げ係数、及び/又は硬度を有する材料を選択的に含ませることによって、その物体の剛性を増大又は低減させることができる。弾性係数は、構成材料の示強的な(すなわち固有の)特性であり、加えられた力に応じて弾性的に(すなわち非永続的に)変形する物体の傾向を記述する。等しい応力が加えられている場合、弾性係数が大きい材料は弾性係数が小さい材料ほど大きく偏向しない。従って物体の剛性は、例えば弾性係数が大きい材料を物体に導入することによって、及び/又はその材料で物体を構成することによって、増大させることができる。
【0018】
[1044] 同様に、材料の硬度は構成材料の示強的な特性であり、力が加えられた場合に様々な種類の永続的な形状変化に対して材料がどのくらい耐えるかの尺度を記述する。硬度及びそれによるカテーテル剛性に対する影響を考察する際には、一般的にショア硬さスケール(Shore durometer scale)が用いられる。硬さにはいくつかのスケールがあるが、プラスチック、ポリマー、エラストマー、及び/又はゴムを記述する場合、一般的に2つすなわちタイプA及びタイプDが用いられる。タイプAは一般に柔らかい材料に用いられ、タイプDは一般に硬い材料に用いられる。材料のショア硬さは0から100までの数字によって表され、この数字が大きいほど材料が硬いことを示す。数字の後にスケールのタイプが示される。例えば、第1の材料は40ショアAのショア硬さを有し、第2の材料は60ショアDのショア硬さを有すると測定される場合がある。従って、ショア硬さスケールによれば、第2の材料の方が第1の材料よりも硬く、従って剛性が高い。
【0019】
[1045] 図1及び図2はそれぞれ、一実施形態に従った、末梢静脈ライン又はカテーテルを介した瀉血のための装置1000の第1の構成及び第2の構成における概略図である。装置1000は、イントロデューサ1100、カニューレ又はカテーテル1200、ロック機構1131、及びアクチュエータ1500を含む。イントロデューサ1100は、近位端1120及び遠位端1130を有すると共に管腔1113を画定する外装1110を含む。カテーテル/カニューレ1200は、近位端1120と遠位端1130との間で外装1110内で移動可能に配置されている。
【0020】
[1046] 近位端1120はポート1121を含み、カテーテル/カニューレ1200が第1の後退した構成(図1)から第2の伸長した構成(図2)まで移動可能となっている。同様に述べると、イントロデューサ1100の近位端1120におけるポート1121は、カテーテル1200が第1の構成から第2の構成までポート1121を通って移動可能であるように構成されている。ポート1121は、例えばイントロデューサ1100の近位端1120における開口等のいずれかの適切なポートとすることができる。更に、ポート1121は、Oリング又はガスケット等のいずれかの適切な密封部材を含むことができる。いくつかの実施形態において、ポート1121は自己密封ポートとすることができ、いずれかの適切な潤滑を用いて潤滑させることでカテーテル1200の移動及び/又は密封を促進することができる。
【0021】
[1047] イントロデューサ1100の遠位端1130はロッキング機構1131を含み、これは、末梢静脈ライン1300をイントロデューサ1100に流体結合させると共にカテーテル1200を末梢静脈ライン1300と流体連通して配置するように構成されている。ロッキング機構1131は、流体の漏れない密封を生成するいずれかの適切なロッキング機構とすれば良い。いくつかの実施形態において、ロッキング機構は、ルアーロック又は同様の構成とすることができる。いくつかの実施形態では、ロッキング機構1131を静脈ライン1300に結合させるまで、末梢静脈ライン1300は密封構成になっている。いったんロッキング機構1131を静脈ライン1300に結合させたら、密封は開かれて、カテーテル1200に対するアクセスが可能となる。いくつかの実施形態において、ロッキング機構は一方向弁等の逆流防止機構を含むことができる。このように、ロック機構1131は、カテーテル1200がロック機構1131を貫通することを可能とするが、カテーテル1200の外側でのロック機構1131を通る流体流を実質的に防止するように構成することができる。
【0022】
[1048] カテーテル1200は、近位端1220と遠位端1230との間に管腔1201を画定し、いずれかの適切な直径及び剛性とすることができる。いくつかの実施形態において、カテーテル1200は、16ゲージから26ゲージまでであり、約20ショアAから50ショアDのショア硬さを有することができる。いくつかの実施形態では、カテーテル1200は約20ショアAから約95ショアDのショア硬さを有する。いくつかの実施形態では、カテーテル1200は約70ショアDから85ショアDのショア硬さを有する。このようにカテーテル1200は、末梢静脈ライン1300に挿入するためのいずれかの適切な直径とし、末梢静脈ライン1300内を進ませるための充分な剛性とすることができる。
【0023】
[1049] アクチュエータ1500は、イントロデューサ1100の溝又はスロット1111を介してカテーテル1200に動作的に結合されている。アクチュエータ1500は、カテーテル1200を第1の構成から第2の構成に移動させることで、図2に示すように、カテーテル1200の遠位端1230を実質的にイントロデューサ1100の外側にするように構成されている。いくつかの実施形態では、カテーテル1200の遠位端1230の長さは末梢静脈ライン1300の長さよりも大きい。このように、カテーテル1200の遠位端1230は静脈ライン1300の遠位端よりも先まで延出する。
【0024】
[1050] いくつかの実施形態において、カテーテル1200は、再びイントロデューサ1100内に引っ込む第3の構成まで移動することができる。第3の構成は、カテーテル1200がイントロデューサ1100内に位置し、従ってユーザが体液に接触しないという点で、第1の構成(図1)と実質的に同様とすることができる。第1の構成及び第3の構成にある間、装置1000を末梢静脈ライン1300から切断するか又はこれに接続することができる。換言すると、装置1000は、第1の構成とした後に末梢静脈ライン1300に結合させ、末梢静脈ライン1300に結合させた後にある期間だけ第1の構成のままとすることができる。同様に、装置1000を第3の構成に移動させ、末梢静脈ライン1300から切断した後、第3の構成のままとすることができる。
【0025】
[1051] 図3は、一実施形態に従った、第2の構成における装置2000の詳細な図である。いくつかの実施形態において、装置2000は、図1及び図2を参照して上述した装置1000と実質的に同様である。従って、本明細書では装置2000の態様について詳述しない。装置2000はイントロデューサ2100及びカテーテル2200を含む。カテーテル2200は近位端2220及び遠位端2230を含む。カテーテル2200の遠位端2230は1組の開口2231を含み、第2の構成において(例えばカテーテル2200の遠位端2230が静脈内かつ静脈ライン外にある場合)、開口2231が体液(例えば血液)をカテーテル2200の外側のボリュームへ移送するように作用する。1組の開口2231は、カテーテル2200の外周上でいかなる配置とすることも可能であり、カテーテル2200の端部を含むことができる。同様に述べると、遠位端2230を有するカテーテル2200は、先端の表面に開口を画定することができる。各開口2231は、いずれかの適切な形状又は大きさとすることができ、1組の開口2231に含まれるいずれかの他の開口と必ずしも同様でない。いくつかの実施形態では、カテーテル2200は単一の開口を画定する。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテル2200は遠位表面に単一の開口2231を画定する。
【0026】
[1052] 図3に示すように、カテーテル2200の近位端2220は、ロッキング機構2221に流体結合されている。ロッキング機構2221は、ルアーロック等のいずれかの適切なロッキング機構とすることができる。針2222が、ロッキング機構2221に流体結合され、少なくとも部分的に外装2223内に配置されている。外装2223は、適切な可撓性及び/又は圧縮性を有するいずれかの材料として、従来の瀉血流体容器(例えばVacutainer(登録商標)(バキュテナー))と係合された場合に針2222が外装2223を貫通して延出するようにすることができる。ロッキング機構2221は、Vacutainer(登録商標)ホルダ(図3に図示せず)等のいずれかの適切な流体閉じ込めシステムに結合されて、針を流体閉じ込めシステムと流体連通させて配置するように構成されている。外装2223は、ロッキング機構2221が流体閉じ込めシステムに結合された場合に圧縮するように構成されている。この配置によって、図3に矢印AAで示すように体液がカテーテル2200の1組の開口2231を通過し、カテーテル2200内を流れ、図3の矢印BBで示すように針2222を通ってカテーテル2200から出ることが容易になる。
【0027】
[1053] 図4は、一実施形態に従った、末梢静脈カテーテルによる瀉血のための装置3000の第2の構成における概略図である。装置3000はイントロデューサ3100及びカテーテル3200を含む。イントロデューサ3100は外装3110を含み、これは、近位端3120と遠位端3130との間に管腔3113を画定すると共に、少なくとも部分的にカテーテル3200を収容するように構成されている。イントロデューサ3100の遠位端3130はロッキング機構3131を含み、これは、カテーテル3200が第2の構成にある場合に、イントロデューサ3100を末梢静脈ライン3300に流体結合させると共に、カテーテル3200を末梢静脈ライン3300と流体連通して配置するように構成されている。ロッキング機構3131は、流体の漏れない密封を生成するいずれかの適切なロッキング機構とすることができる。いくつかの実施形態において、ロッキング機構3131はルアーロック又は同様の構成とすることができる。所与の剛性を有する外装3110は、(図4の矢印CCに示すように)近位端3120に力が加えられた場合に、外装3110が軸AAAに沿って圧縮するように構成されている。
【0028】
[1054] 外装3110が圧縮されると、カテーテル3200が第2の構成まで進むようになっている。換言すると、イントロデューサ3100の外装3110が圧縮されると、カテーテル3200は、(図1に関して上述したような)イントロデューサ3100内に配置されている第1の構成から、図4に示すように遠位端3230が実質的にイントロデューサ3100の外側にある第2の構成まで移動する。更に、外装3110の剛性は示量的な特性であるので、イントロデューサ3100の近位端3120に所望の量の力が加わると外装3110を軸AAAに沿って圧縮可能とするような1組の特性(すなわち材料、厚さ、形状等)を有することができる。この1組の特性によって外装3110は弾性的に(すなわち非永続的に)変形することができ、イントロデューサ3100の近位端3120に力が加わらなくなった場合に装置3000が第1の構成に戻るようになっている。第2の構成において、カテーテル3200の遠位端3230は、末梢静脈ライン3300の遠位端よりも先まで延出する。この配置によって体液をカテーテル3200の外側のボリュームに移送することができ、完了した場合には、装置3000は、第1の構成と実質的に同様である第3の構成に位置することができる。
【0029】
[1055] 図5及び図6はそれぞれ、一実施形態に従った、装置4000の第1の構成及び第2の構成における側面図である。装置4000はイントロデューサ4100及びカテーテル4200を含む。イントロデューサ4100は、近位端4120と遠位端4130との間に管腔4113を画定する外装4110を含み、少なくとも部分的にカテーテル4200を収容するように構成されている。図5には円筒形として示すが、イントロデューサ4100はいずれかの適切な形状とすることができる。更に、外装4110の内壁によって画定される管腔4113は、外装4110の外壁と必ずしも同一の形状ではない。換言すると、外装4110の内壁及び外壁は異なる断面形状を有する場合がある。イントロデューサ4100の近位端4120は、ロッキング機構4122に結合されている。ロッキング機構4122は、ルアーロック等のいずれかの適切なロッキング機構とすることができる。使用時、ロッキング機構4122は、Vacutainer(登録商標)ホルダ(図5には図示せず)等の適切な流体閉じ込めシステムに結合して、カテーテル4200を流体閉じ込めシステムと流体連通して配置するように構成されている。
【0030】
[1056] イントロデューサ4100の遠位端4130は、イントロデューサ4100を末梢静脈ライン(図5には図示せず)に流体結合させるように構成されたロッキング機構4131を含む。このように、ロッキング機構4131は、カテーテル4200を末梢静脈ラインと流体連通して選択的に配置するように構成することができる。ロッキング機構4131は、流体の漏れない密封を生成するいずれかの適切なロッキング機構とすることができる。いくつかの実施形態では、ロッキング機構4131が静脈ラインに結合されるまでロッキング機構4131は密封構成にある。いったんロッキング機構4131を静脈ラインに結合させたら、密封は開かれて、カテーテル4200に対するアクセスが可能となる。更に、ロックが解放された構成では、遠位端4130のロッキング機構4131及び近位端4120のロッキング機構4122は、カテーテル4200のための流体分離筐体を生成する。同様に述べると、近位端のロッキング機構4122及び遠位端のロッキング機構4131がロック解放される前及びカテーテル4200が第2の構成になる前には、カテーテル4200は隔離されている(sterile)。更に、カテーテル4200は、第2の構成で所望の体液に接触した場合に、第3の構成(例えば第1の構成と実質的に同様)に移動させることによって、用いた遠位端4230を分離することができる。
【0031】
[1057] 外装4110は所望の剛性を有するので、(図6の矢印DDで示すように)近位端4120に力が加えられた場合に外装4110が軸BBBに沿って圧縮される。外装4110が圧縮されると、カテーテル4200が第2の構成まで進むようになっている。換言すると、イントロデューサ4100の外装4110が圧縮されると、カテーテル4200は、イントロデューサ4100内に配置されている第1の構成から、遠位端4230が実質的にイントロデューサ4100の外側にある(例えば外装4110が引っ込む)第2の構成まで移動する。外装4110の特性は、本明細書で論じたいずれかの1組の特性であって、近位端4120に所望の量の力を加えると外装が軸BBBに沿って圧縮可能であるようにすれば良い。第2の構成において、カテーテル4200の遠位端4230は末梢静脈ラインの遠位端よりも先まで延出し、体液をカテーテル4200の外側のボリュームに移送することができる。
【0032】
[1058] カテーテル4200は、遠位端4230及びテーパー部4203を含む。図5に示すように、テーパー部は、カテーテル4200の直径が所与の位置で小さくなるようになっている。テーパー角θをいずれかの適切な角度とすることで、カテーテル4200は完全に第2の構成(図6)まで進むことができる。更に、テーパー角θは、層流(すなわち円滑な層状の流れ)が達成されるようになっている。いくつかの実施形態において、カテーテル4200は、図6Aに示すように補強ワイヤ4202を含むことができ、カテーテル4200の壁に巻かれてカテーテル4200に所望の剛性を与えるように構成することができる。更に、カテーテル4200に巻かれた補強ワイヤ4202は、管腔(すなわち静脈、動脈、末梢静脈ライン等)を画定する1組の壁を通ってねじれたり詰まったりすることなく進むための可撓性を与えることができる。更に、補強ワイヤ4202は、管腔を通って容易に進むための充分な剛性をカテーテル4200に与えることができる。
【0033】
[1059] カテーテル4200の遠位端4230は1組の開口4231を含み、第2の構成において(例えばカテーテル4200の遠位端4230が静脈内かつ静脈ライン外にある場合)、開口4231が体液(すなわち血液)をカテーテル4200の外側のボリュームへ移送するように作用する。1組の開口4231は、カテーテル4200の外周上でいかなる配置とすることも可能であり、カテーテル4200の端部を含むことができる。同様に述べると、遠位端4230を有するカテーテル4200は、先端の表面で実質的に開口することができる。図6及び図6Aは、カテーテル4200の遠位端4230を実質的に平坦に示しているが、遠位端4230はいずれかの適切な形状(例えば円錐形又は球形)とすることができ、いずれかの適度に丸くした縁部を有することができる。各開口4231は、いずれかの適切な形状又は大きさとすることができ、1組の開口4231に含まれるいずれかの他の開口と必ずしも同様でない。1組の開口4231の配置は、層流をカテーテル4200内からカテーテル4200の実質的に外側のボリュームへと導き、これによって溶血を回避するように構成されている。
【0034】
[1060] いくつかの実施形態において、血液収集システムは2つの要素から成る。すなわち、(1)上述したイントロデューサ/カテーテル血液収集アセンブリ、及び(2)標準的な16g又は22g末梢IVカテーテルに取り付けるように構成されたyアダプタである。yアダプタは、血液収集デバイスのための専用ポートと、従来の薬剤及び流体注入のための別の標準的なポートと、を含む。
【0035】
[1061] 例えば図7は、一実施形態に従ったyアダプタ5400及び装置5000の第1の構成における断面図を含む。装置5000はイントロデューサ5100及びカテーテル5200を含む。イントロデューサ5100は外装5110を含み、これは、近位端5120と遠位端5130との間に管腔5113を画定すると共に、少なくとも部分的にカテーテル5200を収容するように構成されている。カテーテル5200は近位端5220及び遠位端5230を含む。装置5000は、図5及び図6を参照して上述した装置4000と実質的に同様とすることができる。従って、本明細書では装置5000の態様についてこれ以上は詳しく説明しない。
【0036】
[1062] いくつかの実施形態において、yアダプタ5400は、イントロデューサ5100と静脈ライン5440との間に結合されるように構成されている。yアダプタは、遠位端5410を含み、第1のポート5420及び第2のポート5430を画定する。yアダプタ5400の第1のポート5420は、第1の直径Dを有する第1の管腔5422を画定する。第1のポート5420は、従来のyアダプタと実質的に同様の大きさ、形状、構成、及び機能性であるように構成されている。更に、第1のポート5420は、体液の逆流が第1のポート5420から出ることができないように構成されている。更に具体的には、第1のポート5420の壁によって画定される第1の管腔5422は、体液(すなわち血液)の逆流を制限するようにすることができる。いくつかの実施形態では、弁、ねじキャップ、フリップキャップ、ポート等を用いて逆流を防止することができる。
【0037】
[1063] yアダプタ5400の第2のポート5430は、第2の直径Dを有する第2の管腔5432を画定する。図7に示すように、第2の直径Dは第1の直径Dよりも大きく構成することができる。他の実施形態では、第2の直径Dは第1の直径Dと同様又はこれより小さくすることも可能である。更に具体的には、第2のポート5430の直径Dは、例えば18ゲージまでのカテーテルを受容するのに充分な大きさである。yアダプタ5400は、いずれかの適切な材料、及び/又は従来のyアダプタのものと同様の材料とすることができる。
【0038】
[1064] 図7に示すように、第1のポート5420によって画定される第1の管腔5422及び第2のポート5430によって画定される第2の管腔5432は、共通の管腔5401に収束してからyアダプタ5400の遠位端5410に至る。第2のポート5430は、第2の管腔5432が共通の管腔5401と実質的に同軸であるように構成されている。更に、共通の管腔5401は、第2のポート5430の直径Dと実質的に同様の直径を有することができる。
【0039】
[1065] 第2のポート5430は、yアダプタをイントロデューサ5100に結合するように構成されたロッキング機構5431に流体結合されている。ロッキング機構5431はルアーロック等とすることができる。いくつかの実施形態において、イントロデューサ5100の遠位端5130においてロッキング機構5131に結合されるまで、yアダプタ5400は密封構成である。いったんロッキング機構5431をイントロデューサ5100に結合させたら、密封は開かれて、カテーテル5200に対するアクセスが可能となり、図8に示すように第2の構成まで進むことができる(図8では、イントロデューサ5100はyアダプタに結合した状態で図示されていないことに留意すべきである)。
【0040】
[1066] いくつかの実施形態において、yアダプタ5400の遠位端5410は、例えば従来の末梢静脈ライン等の末梢静脈ライン5440に結合されている。いくつかの実施形態では、yアダプタ5400は末梢静脈ライン5440と一体に形成されている。いくつかの実施形態では、yアダプタ5400の遠位端5410は、いずれかの適切なロッキング機構を用いて末梢静脈ラインに結合することができる。同様に、yアダプタ5400をイントロデューサ5100に結合するように構成されたロッキング機構5431の第2のポート5430は、イントロデューサ5100と一体に形成することができる。換言すると、いくつかの実施形態では、単独のイントロデューサは必要でなく、yアダプタの一部がイントロデューサとして機能することができる。
【0041】
[1067] 図8に示すように第2の構成にある場合、カテーテル5200の遠位端5230は実質的に末梢静脈ライン5440よりも先まで進んでいる。カテーテル5200の遠位端5230は1組の開口5231を含み、第2の構成にある場合(例えばカテーテル5200の遠位端5230が静脈内かつ静脈ライン外にある場合)、開口5231が体液(すなわち血液)をカテーテル5200の外側のボリュームへ移送するように作用する。1組の開口5231は、カテーテル5200の外周上でいかなる配置とすることも可能であり、カテーテル5200の端部を含むことができる。同様に述べると、遠位端5230を有するカテーテル5200は、先端の表面で実質的に開口することができる。各開口5231は、いずれかの適切な形状又は大きさとすることができ、1組の開口に含まれるいずれかの他の開口と必ずしも同様でない。第2の構成で所望の体液を移送させたカテーテル5200は、第3の構成(例えば図7に示す第1の構成と実質的に同様)に配置することで、用いた遠位端5230を分離させることができる。
【0042】
[1068] イントロデューサ5100(図7及び図8)は実質的に圧縮してカテーテル5200を進ませるように構成されているものとして記述するが、他の実施形態では、装置は、イントロデューサに対してカテーテルを移動させるように構成されたアクチュエータを含むことができる。例えば、図9図14は、末梢静脈ラインによる瀉血のために用いられる装置6000を示す。装置6000は、イントロデューサ6100、カニューレ6200、及びアダプタ6400を含む。装置6000は、いずれかの適切な形状、大きさ、又は構成とすることができ、例えば末梢静脈ライン(PIV)6300に結合するように構成されている。
【0043】
[1069] イントロデューサ6100は近位端6120及び遠位端6130を含む。図9図14に示すように、イントロデューサ6100はカニューレ6200を受容するように構成された実質的に円筒形の管である。同様に述べると、イントロデューサ6100は、カニューレ6200を選択的に受容するように構成された管腔6113(図11)を画定する1つの壁又は1組の壁を含む。イントロデューサ6100及びカニューレ6200は、いずれかの所与の硬さを有するいずれかの適切な材料から形成することができる。いくつかの実施形態において、カニューレ6200は20ショアAから50ショアDの硬さを有することができる。他の実施形態では、カニューレ6200は、約20ショアAから95ショアDのショア硬さを有することができる。更に別の実施形態では、カニューレ6200は、約70ショアDから85ショアDのショア硬さを有することができる。
【0044】
[1070] イントロデューサ6100の近位端6120は端部キャップ6140に結合するように構成されている。このように、端部キャップ6140はイントロデューサ6100の近位端6120を実質的に閉鎖及び/又は密封するように構成することができる。いくつかの実施形態では、端部キャップ6140はイントロデューサ6100と実質的に流体の漏れない密封を形成するように構成されている。同様に述べると、いくつかの実施形態では、端部キャップ6140及びイントロデューサ6100の近位端6120は実質的に気密の密封を画定する。いくつかの実施形態では、カニューレ6200を進ませる際にユーザは端部キャップ6140をつかむことができる。
【0045】
[1071] イントロデューサ6100の遠位端6130はロック機構6131に結合されている。ロック機構6131は、装置6000の一部を既存のPIV6300と物理的及び流体的に結合させるように構成されている。いくつかの実施形態において、ロック機構6131は既存のPIV6300に直接結合するように構成することができる。他の実施形態では、ロック機構6131は、アダプタ6400及び/又は例えば既知の弁もしくはキャップ等のいずれかの他の適切な介在構造に結合することができる。
【0046】
[1072] イントロデューサ6100の遠位端6130は、いずれかの適切な方法でロック機構6131に結合することができる。例えばいくつかの実施形態において、遠位端6130をロック機構6131の一部内に配置することで、イントロデューサ6100の外側表面がロック機構6131の一部の内側表面との摩擦嵌合を画定することができる。他の実施形態では、イントロデューサ6100の遠位端6130は接着剤によってロック機構6131に結合させることができる。更に別の実施形態では、ロック機構6131はイントロデューサ6100の遠位端6130と一体に形成することができる。例えばいくつかの実施形態では、ロック機構6131はイントロデューサ6100と同様の材料から形成することができる。他の実施形態では、イントロデューサ6100は第1の材料から形成し、ロック機構6131は製造プロセス中に遠位端6130をオーバーモールドするように構成された第2の材料から形成することができる。
【0047】
[1073] 図11に見られるように、ロック機構6131は密封部材6132を含み、これは、カニューレ6200が第1の構成にある場合に実質的に流体の漏れない密封を画定するように構成されている。更に、使用時、密封部材6132はカニューレ6200の一部を受容して、カニューレ6200が遠位方向に密封部材6132を越えて進めるように構成することができる。このように、密封部材6132はカニューレ6200の周りに実質的に流体の漏れない密封を形成して、イントロデューサ6100内への逆流を実質的に防止することが可能となっている。密封部材6132は、例えばOリング、一方向弁、膜、逆止め弁、又は他のいずれかの適切な密封部材等のいずれかの適切な構成とすることができる。密封部材はロッキング機構6131に含まれるものとして図示し記載しているが、いくつかの実施形態では、ロッキング機構6131及び/又はアダプタ6400に含ませることができる。例えばいくつかの実施形態では、ロッキング機構6131をアダプタ6400に結合して、カニューレ6200を進ませる前に、アダプタ6400及び/又はロッキング機構6131に含まれる密封部材によって近位方向の体液流を防止することができる。これについては本明細書において更に説明している。
【0048】
[1074] 図10及び図11に見られるように、イントロデューサ6100は更にアクチュエータトラック6111を画定する。アクチュエータトラック6111は、イントロデューサ6100の壁によって画定されるスリット又は開口とすることができ、アクチュエータ6500の一部を受容するように構成されている。アクチュエータトラック6111は、実質的にイントロデューサ6100の長さに沿って延出するように構成することができる。いくつかの実施形態において、アクチュエータトラック6111は、イントロデューサ6100の遠位端6130及び近位端6120を通って連続的に延出するように構成されている。アクチュエータトラック6111は、いずれかの適切な構成とすることができ、いずれかの適切な方法でアクチュエータ6500の一部と係合することができる。例えばいくつかの実施形態では、アクチュエータトラック6111を画定するイントロデューサ6100の壁は、アクチュエータ6500の一部と摩擦嵌合を形成することができる。これについては本明細書において更に詳しく説明している。
【0049】
[1075] カニューレ6200は、管腔6201(図11)を画定し、イントロデューサ6100内で移動可能に配置されるように構成されている。図5を参照して上述したように、カニューレ6200は、第1の直径を有する第1の部分6205と、第1よりも小さい第2の直径を有する第2の部分6210と、を含むように構成することができる。更に具体的には、第1の部分6205はカニューレ6200の近位端6220に配置され、第2の部分6210はカニューレ6200の遠位端6230に配置されている。このように、例えばカニューレ6200の直径をカテーテル6200の遠位端6230において小さくして、末梢静脈ライン内へのカテーテル6200の挿入を容易にする。これについては本明細書において更に詳しく説明している。
【0050】
[1076] 図6Aを参照して上述したように、カニューレ6200の遠位端6230は、いずれかの適切な数の開口(図9図14には図示せず)を含むように構成することができる。例えばいくつかの実施形態において、カニューレ6200の遠位端6230は、例えば静脈と管腔6201を流体連通して配置するように構成された実質的に開口した端部表面を含むことができる。いくつかの実施形態では、端部表面は実質的に平坦(例えばカニューレ6200の長手方向の軸に垂直)とすることができる。他の実施形態では、端部表面は、例えば実質的に弾丸形状、円錐形、球状等のいずれかの適切な構成とすることができる。更に別の実施形態では、端部表面は、カニューレ6200の長手方向の軸に対して実質的に斜め(針の先端と同様)にすることができる。更に、いくつかの実施形態では、遠位端6230は、開口した端部表面及びカニューレ6200の側面上に配置された開口を含むように構成することができる。このように、側面の開口(図9図14には図示せず)は、端部表面に配置された開口が(例えばクロット等によって)ふさがれた場合に体液の一部を移送するように構成することができる。
【0051】
[1077] アクチュエータ6500は、カニューレ6200の近位端6220に結合され、イントロデューサ6100に対してカニューレ6200を第1の構成と第2の構成との間で移動させるように構成されている。更に具体的には、アクチュエータ6500は、実質的に環状の形状を画定し、イントロデューサ6100の近位端6120及びカニューレ6200の近位端6220を受容するように構成されたキャビティ6510を画定する。同様に述べると、アクチュエータ6500はイントロデューサ6100及びカニューレ6200の周りに配置されている。更に、アクチュエータ6500は、ガイド部材6520及び連結器6530がアクチュエータ6500の内側表面から延出するように構成されている。
【0052】
[1078] ガイド部材6520は、いずれかの適切な形状、大きさ、又は構成とすることができる。例えば図10に示すように、ガイド部材6520は比較的薄い延長部分である。このように、アクチュエータ6500がイントロデューサ6100の周りに配置されている場合に、ガイド部材6520はアクチュエータトラック6111内に配置される。いくつかの実施形態では、アクチュエータトラック6111を画定するイントロデューサ6100の壁は、ガイド部材6520の一部との摩擦嵌合を画定する。アクチュエータトラック6111内でのガイド部材6520の配置は、アクチュエータ6500に力が加えられてアクチュエータ6500を第2の構成に移動させるまで、アクチュエータ6500がイントロデューサ6100に対して所与の位置に実質的に維持されるようにすることができる。同様に述べると、アクチュエータ6500はイントロデューサ6100と係合して、ユーザの介入(例えばアクチュエータ6500に力を加えること)なしではアクチュエータ6500が実質的に移動しないようになっている。他の実施形態では、アクチュエータ6500がガイド部材6520を含むことは必須ではない。かかる実施形態では、アクチュエータ6500がイントロデューサ6100の周りに配置されている場合、アクチュエータ6500はイントロデューサ6100との摩擦嵌合を画定する(例えばアクチュエータ6500の環状の形状を画定する1つの壁又は複数の壁の内側表面がイントロデューサ6100の外側表面と係合して摩擦嵌合を画定する)ように構成することができる。
【0053】
[1079] 連結器6530は、ガイド部材6520の上面上に配置されている(例えば、ガイド部材6520は連結器6530とアクチュエータ6500の内側表面との間に配置されている)。図11及び図13に示すように、連結器6530はカニューレ6200の近位端6220に結合されている。いくつかの実施形態では、カニューレ6200の近位端6220の外側表面は連結器6530の内側表面との摩擦嵌合を画定する。他の実施形態では、カニューレ6200の近位端6220は接着剤によって連結器6530と結合することができる。このように、カニューレ6200の近位端6220及び連結器6530は実質的に流体の漏れない密封を形成する。
【0054】
[1080] アクチュエータ6500の近位端6540は二次カニューレ6250に結合され、二次カニューレ6250は更に容器被覆6270に結合するように構成されている。容器被覆6270は、流体貯蔵槽(例えばVacutainer(登録商標)等の従来の瀉血流体容器)を受容するように構成されたキャビティ6271を画定する。更に具体的には、二次カニューレ6250は管腔6253を画定し、ロック機構6524に結合するように構成された近位端6252を含む。ロック機構6524は、容器被覆6270に結合するように構成することができる。更にロック機構6524は、外装6526内に配置された針6255を含み、これは、容器被覆6270内に流体貯蔵槽(図示せず)が配置されている場合に、流体貯蔵槽の一部を突き刺すように(例えば図3を参照して上述したように)構成されている。従って、カニューレ6200の近位端6220が連結器6530に結合され、二次カニューレ6250がアダプタ6500の近位端6540に結合されていると、アダプタ6500は、カニューレ6200(例えばカニューレ6200によって画定された管腔6201)を、二次カニューレ6250(例えば二次カニューレ6250の管腔6253)及び流体貯蔵槽(図示せず)と流体連通して配置するように構成されている。
【0055】
[1081] 二次カニューレ6250を含むものとして記載しているが、いくつかの実施形態では、装置6000が二次カニューレ6250を含むことは必須ではない。かかる実施形態において、カニューレ6200は、遠位端6230からコネクタ6530を介して容器被覆6270まで連続的な流体経路(例えば管腔6201)を画定することができる。他の実施形態では、容器被覆6270は、物理的及び流体的にアクチュエータ6500に結合するように構成することができる。
【0056】
[1082] アダプタ6400は、いずれかの適切なアダプタ6400とすることができる。例えばいくつかの実施形態において、アダプタは既知のYアダプタ又はTアダプタ(例えば2ポートIV拡張セット)とすることができる。他の実施形態では、アダプタは、図7及び図8を参照して上述したアダプタ5400と形態及び機能において同様とすることができる。図10に示すように、アダプタ6400はT型アダプタであり、遠位端6410、第1のポート6420、及び第2のポート6430を含む。遠位端6410はポートを画定し、末梢静脈ライン6300に結合するように構成されたロック機構6411を含む。このように、ロック機構6411はいずれかの適切な既知のロック機構として、アダプタ6400の遠位端6410を既知のPIV6300に係合可能とすることができる。
【0057】
[1083] 第1のポート6420は、インレットカテーテル6425の遠位端6427に結合することができる。いくつかの実施形態では、インレットカテーテル6425の遠位端6427は第1のポート6420の内側表面との摩擦嵌合を形成する。いくつかの実施形態では、インレットカテーテル6425の遠位端6427は第1のポート6420と係合するように構成された金具(例えばねじきり金具)を含むことができる。他の実施形態では、インレットカテーテル6425はアダプタ6400の第1のポート6420と一体に形成することができる。インレットカテーテル6425は更に、ロック機構6428に結合するように構成された近位端6426を含む。このように、インレットカテーテル6425をユーザ(例えば医師、看護師等)によって係合させて、末梢静脈ラインに、従って患者の静脈に、流体(例えば薬剤等)を投与することができる。いくつかの実施形態では、インレットカテーテル6425は、形態及び機能において既知のインレットカテーテルと実質的に同様である。従って、アダプタ6400がPIV6300に結合されてPIV6300が患者内に配置されているので、ユーザは、アダプタ6400の機能について更に訓練を受ける必要なく、インレットカテーテル6425を介して患者に所与の流体を投与することができる。
【0058】
[1084] 使用時、ユーザ(例えば瀉血専門医)は採血装置6000のアクチュエータ6500を係合させて、図12の矢印EEによって示されるように遠位方向にアクチュエータ6500を移動させることができる。このように、アクチュエータ6500はイントロデューサ6100に対して遠位方向に移動して、装置を第2の構成に配置する。上述のように、ユーザは充分な量の力をアクチュエータ6500に加えることで、イントロデューサ6100の壁とアクチュエータ6500のガイド部材6520との間の摩擦を克服することができる。カニューレ6200はアクチュエータ6500の連結器6530に結合されているので、アクチュエータ6500が第2の構成に移動するのと同時にカニューレ6200は遠位方向に移動する。
【0059】
[1085] 図13に矢印FFによって示すように、カニューレ6200を、ロック機構6131に含まれる密封部材6132を通して前進させ、アダプタ6400によって画定される管腔6401及びPIV6300を貫通させて、カニューレ6200の遠位端6230がPIV6300を越えて延出するようにする。このように、カニューレ6200の遠位端6230は実質的に患者の静脈内に配置されて、カニューレ6200が画定する管腔6201が静脈と流体連通するようになっている。図13Aに示すように、カニューレ6200はPIV6300を通して前進させて、カニューレ6200の第1の部分6205の遠位表面6206がPIV6300の一部の近位表面6301に接触して配置されるようになっている。従って、カニューレ6200の遠位表面6206はPIV6300の近位表面6301に係合して、カニューレ6200が第2の構成を越えて前進することを防ぐ。同様に述べると、遠位表面6206は、PIV6300の一部の近位表面6301に接触して、カニューレ6200の進行を制限するように構成されている。図13Aに示すカニューレ6200の第1の部分6205及び第2の部分6210は実質的に同様の内径を含むが、他の実施形態では、第1の部分6205は第2の部分6210よりも実質的に大きい内径を有する場合がある。いくつかの実施形態において、管腔6201を画定する1つの内壁又は1組の内壁は、第1の部分6205と第2の部分6210との間にテーパー状遷移部を含むことができる。他の実施形態では、1つの内壁又は複数の内壁がテーパー部を含むことは必須ではない。
【0060】
[1086] 図13に図示していないが、容器被覆6270によって画定されるキャビティ6271内に流体容器(例えばVacutainer(登録商標))を配置することで、外装6256が針6255から外され、針6255が流体容器を突き刺し、これによって流体容器を患者の静脈と流体連通して配置させることができるようになっている。他の実施形態において、流体容器は、容器被覆6270及び/又はイントロデューサと一体に形成することができ、アクチュエータ6500の移動によって針6255が流体容器を突き刺すようにすることができる。いくつかの実施形態では、流体容器は負圧を画定するように構成されている(例えばVacutainer(登録商標))。かかる実施形態では、針6255が流体容器を突き刺すと、流体容器内の負圧によって、二次カニューレ6250の管腔6253及びカニューレ6200の管腔6201内に吸引力が与えられる。図13の矢印GGで示すように、吸引力によって、体液(例えば血液)がカニューレ6200の管腔6201及び二次カニューレ6250の管腔6253に吸い込まれて流体容器内に入るようになっている。このようにして、瀉血専門医は、追加の針の刺入を行う必要なく、既存の末梢静脈ラインを介して所与の量の血液を収集する(例えば吸い込む)ことができる。
【0061】
[1087] 所望の量の血液を収集すると、ユーザ(例えば瀉血専門医)はアクチュエータ6500を近位方向に移動させることによって、図14の矢印HHで示すように、装置6000を第3の(すでに用いた)構成に配置することができる。第3の構成において、カニューレ6200はイントロデュース6100の外側のボリュームから実質的に流体的に分離されている。従って、イントロデューサ6100(例えばロック機構6131)をアダプタ6400の第2のポート6430から分離させて安全に廃棄することができる。
【0062】
[1088] 装置6000(図9図14を参照して図示し説明した)は単一ピースのイントロデューサ6100を含むが、いくつかの実施形態において、装置は、伸縮式に動くように構成された多ピースのイントロデューサを含むことができる。例えば、図15図22は一実施形態に従った装置7000を示す。図15図17に示すように、装置7000はイントロデューサ7100及びカニューレ7200を含み、第1の構成(図15)と第2の構成(図16及び図17)との間で移動するように構成されている。これについては本明細書で更に詳細に説明している。
【0063】
[1089] イントロデューサ7100は、第1の管腔7155を画定する第1の部材7150及び第2の管腔7165を画定する第2の部材7160を含む。いくつかの実施形態では、第1の部材7150は第1の直径を有する実質的に円筒形の管であり、第2の部材7160は第1の直径よりも大きい第2の直径を有する実質的に円筒形の管である。このように、第2の部材7160によって画定された管腔7165は、第1の部材7150の少なくとも一部を受容するように構成されている。更に具体的には、第1の部材7150は第2の部材7160内で移動可能に配置されて、イントロデューサ7100が伸縮式に動いて移動可能であるようになっている。同様に述べると、第2の部材7160は、第1の部材7150に対して第1の位置と第2の位置との間で移動するように構成されている。更に、第2の部材7160はアクチュエータ部分7500を含み、これは、ユーザ(例えば瀉血専門医)によって係合されて、第1の部材7150に対して第2の部材7160を移動させるように構成されている。
【0064】
[1090] イントロデューサ7100は近位端7120及び遠位端7130を含む。近位端7120はポート7121を含む。ポート7121はいずれかの適切なポートとすることができる。例えばいくつかの実施形態では、ポート7121は、図1及び図2を参照して上述したポート1121と実質的に同様である。このように、ポート7121はカテーテル7200の一部を受容するように構成されている。これについては本明細書において更に詳細に説明している。遠位端7130はロック機構7131に結合することができる。ロック機構7131は、例えばルアーロック等のいずれかの適切な機構とすることができる。いくつかの実施形態では、ロック機構7131は、図9図14を参照して上述したロック機構6131と実質的に同様とすることができる。従って、本明細書ではロック機構7131についてこれ以上は詳しく説明しない。
【0065】
[1091] イントロデューサ7100は、カニューレ7200の少なくとも一部を受容するように構成されている。更に具体的には、カニューレ7200は、近位端7220及び遠位端7230を含み、少なくとも部分的にイントロデューサ7100内に配置されて、カニューレ7200の近位端7220がイントロデューサ7100のポート7121を通って延出するようになっている。このようにカニューレ7200は、第1の構成と第2の構成との間でイントロデューサ7100の少なくとも一部に対して移動するように構成されている。これについては本明細書において更に説明している。
【0066】
[1092] カニューレ7200の近位端7220はロック機構7221に結合されている。ロック機構7221は、例えばルアーロック等のいずれかの適切なロック機構とすることができる。更に、ロック機構7221は針7222に結合されており、カニューレ7200の近位端7220がロック機構7221に結合された場合に、カニューレ7200によって画定される管腔(図15図22には図示せず)が、針7222によって画定される管腔(図15図22には図示せず)と流体連通して配置されるようになっている。カニューレ7200の遠位端7230は、第1の直径を有する第1の部分7205と、第1の直径よりも小さい第2の直径を有する第2の部分7210と、を含む。図17に示すように、カニューレ7200は、第1の部分7205と第2の部分7210との間にテーパー形状を含むように構成されている。テーパー部は、図5を参照して上述したテーパー部4203と実質的に同様とすることができる。
【0067】
[1093] 図18の分解図に示すように、ロック機構7131はアダプタ7400に結合されるように構成されている。アダプタは、遠位端7410、第1のポート7420、及び第2のポート7430を含む。アダプタ7400は、本明細書において記載したいずれかの適切なアダプタとすることができる。例えばいくつかの実施形態において、アダプタは、図9図14を参照して上述したアダプタ6400と実質的に同様とすることができる。他の実施形態では、アダプタ7400は、例えばYアダプタ又はTアダプタ等のいずれかの既知のアダプタとすることができる。このように、アダプタ7400の第1のポート7420はインレットカテーテル7425に結合されるように構成されている。インレットカテーテル7425はいずれかの適切な構成とすることができる。いくつかの実施形態では、インレットカテーテル7425は、図9図14を参照して上述したインレットカテーテル6425と形態及び機能において実質的に同様である。従って、本明細書ではインレットカテーテル7425についてこれ以上は詳しく説明しない。
【0068】
[1094] 第2のポート7430は、ロック機構7131に結合されるように構成されている。このように、第2のポート7430及びロック機構7131は実質的に流体の漏れない密封を形成するように構成することができる。例えばいくつかの実施形態において、第2のポート7430は、ロック機構7131のねじ切り結合と係合するように構成されたねじきり結合を含むことができ、これによって実質的に流体の漏れない密封を画定する。更に、ロック機構7131は、アダプタによって画定された管腔(図示せず)からイントロデューサ7100によって画定された管腔7113を選択的に流体的に分離するように構成された密封部材(図15図22には図示せず)を含むことができる。例えばいくつかの実施形態では、密封部材は、図11を参照して上述した密封部材6132と形態及び機能において実質的に同様とすることができる。アダプタ7400の遠位端7410は、末梢静脈ライン(PIV)7300と結合するように構成されている。いくつかの実施形態では、PIV7300は既知のPIVである。このように、アダプタ7400の遠位端7410は、アダプタ7400をPIV7300に物理的及び流体的に結合するように構成されたいずれかの適切な特色(features)を含むことができる。
【0069】
[1095] 図19に示すように、装置7000を第1の構成として、イントロデューサ7100の第2の部材7160がイントロデューサ7100の第1の部材7150に対して近位位置に配置されるようにすることができる。使用時、ユーザ(例えば瀉血専門医)は、イントロデューサ7100の第2の部材7160に含まれるアクチュエータ7500を係合させて、図20の矢印IIで示すように第2の部材7160を遠位方向に移動させることができる。このように、イントロデューサ7100は伸縮式に動いて、第2の部材7160が第1の部材7150に対して移動するようになっている。同様に述べると、第2の部材7160が第1の部材7150に対して移動すると、イントロデューサ7100の全長は小さくなる。更に、第2の部材7160の遠位移動によって、カニューレ7200が遠位方向に移動するようになっている。従って、カニューレ7200の遠位端7230は、(図11及び図13を参照して同様に上述したように)ロック機構7131に含まれる密封部材及びPIV7300を通過する。図22の拡大図に示すように、カニューレ7200の遠位端7230はPIV7300を越えて延出して、カニューレ7200によって画定された管腔(図示せず)を患者の身体の一部(例えば静脈)と流体連通して配置させる。更に、いくつかの実施形態では、アダプタ7400はカニューレ7200を受容するように構成された密封部材7470を含むように構成することができる。このため密封部材7470は、例えばイントロデューサ7100内への体液の逆流を防ぐことができる。
【0070】
[1096] 装置7000が第2の構成にある(例えば図20図22)場合、ユーザは流体容器(例えばVacutainer(登録商標)又は他のいずれかの適切な流体容器)を容器被覆7270内に配置して、容器を針7222と係合させることができる。このため、針7222は流体容器(図示せず)の一部を突き刺して、流体容器を、カニューレ7200により画定される管腔と流体連通して配置することができる。更に、例えば患者の静脈内にカニューレ7200の遠位端7230が配置されている場合、流体容器を静脈と流体連通して配置することができる。流体容器がVacutainer(登録商標)等である場合等、いくつかの実施形態では、流体容器は負圧を画定することができる(例えば流体容器は排気された容器である)。かかる実施形態では、流体容器が画定する負圧によって、カニューレ7200により画定された管腔に吸引力が与えられることで、体液(例えば血液)がカニューレ7200に吸い込まれて流体容器内に入るようになっている。このようにして、瀉血専門医は、追加の針の刺入を行う必要なく、既存の末梢静脈ラインを介して所与の量の血液を収集する(例えば吸い込む)ことができる。
【0071】
[1097] 図15図22を参照して上述した装置7000は、第1の部材7150及び第2の部材7160を有するイントロデューサ7100を含むが、いくつかの実施形態では、装置は、いずれかの適切な数の部分及び部材を有するイントロデューサを含むことができる。例えば、図23及び図24は一実施形態に従った装置8000を図示する。装置8000は、少なくともイントロデューサ8100及びカニューレ又はカテーテル8200を含み、第1の構成(図23)と第2の構成(図24)との間で移動するように構成されている。
【0072】
[1098] イントロデューサ8100は、第1の部材8150、第2の部材8160、及び第3の部材8170を含む。いくつかの実施形態において、第1の部材8150は第1の直径を有することができ、第2の部材8160は第1の直径よりも大きい第2の直径を有することができ、第3の部材8170は第2の直径よりも大きい第3の直径を有することができる。このように、第1の部材8150の少なくとも一部は第2の部材8160内で移動可能に配置することができる。同様に、第2の部材8160の少なくとも一部は第3の部材8170内で移動可能に配置することができる。このため、イントロデューサ7100に関して同様に上述したように、イントロデューサ8100は伸縮式の動きで移動するように構成することができる。
【0073】
[1099] 図23及び図24に示すように、第1の部材8150は、第1の部材8150の近位端8151及び遠位端8152に配置された1組の突起8156を含む。第2の部材8160は同様に、第2の部材8160の近位端8161及び遠位端8162に配置された1組の突起8166及び1組の溝8167を含む。同様に、第3の部材8170は、第3の部材8170の近位端8171及び遠位端8172に配置された1組の溝8177を含む。1組の突起8156及び8166は、それぞれ1組の溝8167及び8177と選択的に係合するように構成されている。これについては本明細書で更に詳しく説明している。
【0074】
[1100] イントロデューサ8100は、近位端8120及び遠位端8130を含む。近位端8120は、カテーテル8200の一部を受容するように構成されている。更に具体的には、カテーテル8200はイントロデューサ8100内で移動可能に配置されて、近位端8220がイントロデューサ8100の近位端8120を通って延出するようになっている。イントロデューサ8100の遠位端8130はロック機構8131に結合されている。ロック機構8131は、本明細書に記載したいずれかの適切なロック機構とすることができる。従って、ロック機構8131についてこれ以上は詳しく説明しない。
【0075】
[1101] カテーテル8200は、近位端8220及び遠位端8230を含む。上述したように、カテーテル8200がイントロデューサ8100内に配置されている場合、近位端8220はイントロデューサ8100の近位端8120を介して延出するように構成されている。近位端8220はロック機構8221に結合されている。ロック機構8221は更に針8222及び外装8223に結合されている。ロック機構8221、針8222、及び外装8223はそれぞれ、図3を参照して上述したロック機構2221、針2222、及び外装2223と、形態及び機能において実質的に同様とすることができる。従って、ロック機構8221、針8222、及び外装8223についてこれ以上は詳しく説明しない。
【0076】
[1102] 図23に示すように、装置8000を第1の構成とすることで、イントロデューサ8100を縮んでいない構成とすることができる。同様に述べると、イントロデューサ8100の第3の部材8170は第2の部材8160に対して近位位置にあり、第2の部材8160は第1の部材8150に対して近位位置にある。更に詳細に述べると、第1の構成において、第2の部材8160の遠位端8162に配置された溝8167は、第1の部材8150の近位端8151に配置された突起8156に接触している。同様に、第3の部材8170の遠位端8172に配置された溝8177は、第2の部材8160の近位端8161に配置された突起8166に接触している。溝8167及び8177内に突起8156及び8166がそれぞれ配置されると、イントロデューサ8100は縮んでいない状態(例えば拡張又は伸縮された構成)に維持される。更に、突起8156及び8166は、溝8167及び8177を画定する表面と摩擦嵌合を形成することができる。このように、イントロデューサ8100に外力が加わってイントロデューサを第2の構成へと移動させるまで、イントロデューサ8100は第1の構成内に維持することができる。
【0077】
[1103] 例えば使用時において、ユーザ(例えば瀉血専門医)はイントロデューサ8100を係合させ、図24の矢印JJで示すように所与の力を加えることができる。このように、加えられた力によって、第3の部材8170を第2の部材8160に対して遠位方向に移動させることができる。同様に、第2の部材8160を第1の部材8150に対して遠位方向に移動させる(例えば、加えられた力は、突起8156及び8166及び溝8167及び8177を画定する表面の間の摩擦力を克服するのに充分な大きさである)。従って、イントロデューサ8100は第2の構成に移動して、実質的に縮められるか又は圧縮される。更に、第3の部材8170及び第2の部材8160の相対的な遠位移動により、第2の部材8160の近位端8161及び遠位端8162における1組の溝8167がそれぞれ第1の部材8150の近位端8151及び遠位端8152における1組の突起8156と係合するようになっている。同様に、第3の部材8170の近位端8171及び遠位端8172における1組の溝8177は、第2の部材8160の近位端8161及び遠位端8162における1組の突起8166と係合する。
【0078】
[1104] このように、イントロデューサ8100が第2の構成になり、1組の突起8156及び8166は1組の溝8167及び8177を画定する表面と係合して摩擦嵌合を画定する。このため、イントロデューサ8100は第2の構成に維持される。更に、図24に示すように、イントロデューサ8100の伸縮式の動きにより、イントロデューサ8100内に配置されたカテーテル8200がロック機構8131を通って前進するようになっている。本明細書において述べるように、ロック機構8131はいずれかの適切なアダプタ及び/又は末梢静脈ラインに結合することができる。従って、第2の構成にある場合、本明細書において述べるように、カテーテル8200はPIVを越えて延出して、体液の一部を吸い込む(例えば図15図22を参照して本明細書に述べた装置7000と同様)。
【0079】
[1105] 図9図14を参照して上述した装置6000は環状の形状のアクチュエータ6500を含むが、いくつかの実施形態では、装置はいずれかの適切なアクチュエータを含むことができる。例えば、図25及び図26はそれぞれ、一実施形態に従った第1の構成及び第2の構成における装置9000を図示する。装置9000は、イントロデューサ9100、カニューレ9200、及びアクチュエータ9570を含む。イントロデューサ9100は近位端9120及び遠位端9230を含み、管腔9113を画定する。遠位端9230はロック機構9131に結合するように構成されている。カニューレ9200は近位端9220及び遠位端9230を含み、管腔9201を画定する。イントロデューサ9100及びカニューレ9200は、本明細書に記載したいずれかのイントロデューサ及びカニューレ/カテーテルと形態及び機能において実質的に同様とすることができる。従って、本明細書ではイントロデューサ9100及びカニューレ9200についてこれ以上は詳しく説明しない。
【0080】
[1106] 図25に示すように、アクチュエータ9570はスタイレット又はワイヤであるように構成することができる。このため、アクチュエータ9570はカニューレ9200内で移動可能に配置することができる。更に、アクチュエータ9570に充分な剛性を持たせることで、例えば実質的にねじれ又はしわなしで、イントロデューサ9100、ロック機構9131、及び既存のPIV(図25及び図26には図示せず)を通してカニューレ9200を前進させることができる。図26に矢印KKで示すように、アクチュエータ9570は、カニューレ9200に対して近位方向に移動するように構成することができる。このように、アクチュエータ9570はカニューレ9200から取り外すことができ、カニューレ9200を流体容器と流体連通して配置することができる。従って、上述のように、カニューレ9200によって患者から流体容器までの体液の移送を容易にすることができる。
【0081】
[1107] 本明細書に記載した実施形態はイントロデューサを含むが、いくつかの実施形態において、装置がイントロデューサを含むことは必須ではない。例えば、図27及び図28はそれぞれ、一実施形態に従った第1の構成及び第2の構成にある装置10000を示す。装置10000は、近位端10220及び遠位端10230を有するカニューレ又はカテーテル10200を含むことができる。カニューレ10200は、本明細書に記載したいずれかのカニューレ/カテーテルと形態及び機能において実質的に同様とすることができる。例えばいくつかの実施形態において、近位端10220は、図3を参照して上述したロック機構2221、針2222、及び外装2223と実質的に同様のロック機構10221、針10222、外装10223を含む。
【0082】
[1108] カテーテル10200は、ユーザ(例えば瀉血専門医)によって係合されるように構成されたハンドル10590に結合されている。装置10000は更に、ロック機構10131を含むことができる。ロック機構10131は、図11を参照して上述したロック機構6131と形態及び機能において実質的に同様とすることができる。従って、使用時、ユーザは末梢静脈ライン(PIV)10300にロック機構10131を結合し、流体の漏れない密封を画定することができる。ロック機構10131がPIV10300に結合されている場合、ユーザは、図28に矢印LLで示すように、カテーテル10200に結合されたハンドル10590を係合させて、ロック機構10131及びPIV10300を通してカテーテル10200を前進させることができる。このため、カテーテル10200を流体容器と流体連通して配置することができ、カテーテル10200がPIV10300を越えて延出している場合、上述のようにカテーテル10200によって患者から流体容器までの体液の移送を容易にすることができる。
【0083】
[1109] 具体的なカニューレ又はカテーテルは、特定の構成(すなわち外周の開口等)の遠位端を含むものとして本明細書に記載したが、いくつかの実施形態において、カテーテル又はカニューレの遠位端は、カテーテルによる採血を容易にするように構成された異なる構造を含むことができる。例えば図29は、弾丸形の先端11232を有する遠位端11230を含むカテーテル11200を図示する。弾丸形の先端11232は、弾丸形の先端の遠位端表面に単一の開口11234を画定する端部11233を含む。
【0084】
[1110] 例えば図30に示すカテーテル11200’等のいくつかの実施形態において、弾丸形の先端11232’は、端部開口11234’を画定する端部11233’を含む。かかる実施形態では、弾丸形の先端11232’は1組の側壁開口11231’を含む。端部開口11234’及び側方開口11231’は層流を生成するように構成され、カテーテル11200’の外側のボリュームに体液(すなわち血液)を移送するように作用することができる。開口11231、11231’、11234、及び11234’は特定の構成を有するように図示しているが、開口の形状及び方位/相対的な位置は、カテーテルを介した流体流を容易にするように変更することも可能である。
【0085】
[1111] 図31に示すように、弾丸形の先端11232’’は、実質的に閉じた丸い端部11233’’を含むように構成することができる。このため、弾丸形の先端11232’’は、末梢静脈ライン内に存在するクロットの間を通って移動するために使用可能である。弾丸形の先端11232’’は1組の側壁開口11231’’を含み、これらはカテーテル11200’’の外側のボリュームに体液(すなわち血液)を移送するように動作する。
【0086】
[1112] 例えば図32図34に示すもののようないくつかの実施形態において、カテーテル12200は、ステント状構成を有するワイヤフレーム先端12241を備えた遠位端12230を含む。ワイヤフレーム先端12241は、カテーテル12200の遠位端12230から離れる方向に延出するように構成された可撓性メッシュとすることができる。ワイヤフレーム先端12241は、カテーテル12200の外側のボリュームに体液(すなわち血液)を移送するように作用することができる。いくつかの実施形態では、ワイヤフレーム先端12241はキャップ付き先端12242を含むことができる。キャップ付き先端12242は、いずれかの適切な大きさ、形状、又は構成とすることができ、いくつかの実施形態ではいずれかの適切な数の開口を含むことができる。
【0087】
[1113] いくつかの実施形態においては、図35図37に示すように、ワイヤフレーム先端12241はガイドワイヤ12243に接続され、追加のカテーテルなしで用いることができる。同様に述べると、ワイヤフレーム先端12241は、図10のカテーテルなしでガイドワイヤを介して既存の末梢静脈ラインに挿入することができる。このように、ワイヤフレーム先端12241はステントとして作用して静脈壁を支持することができ、既存の末梢静脈ラインから採血が可能となっている。かかる構成において、ワイヤフレーム先端12241は、いずれかの適切な位置において既存の末梢静脈ライン内に位置付けることができる。例えば、静脈ラインの遠位端に隣接してワイヤフレーム先端を位置付けることができる。
【0088】
[1114] 図9図14を参照して上述したように、採血装置6000はアダプタ6400に結合することができ、これは更にPIV6300に結合されている。上述のように、アダプタ6400はいずれかの適切なアダプタとすることができる。例えばいくつかの実施形態において、アダプタ13400は、図38図43に示すアダプタ13400のいずれかとすることができる。かかる実施形態では、アダプタ13400はYアダプタ又はTアダプタ等の2ポートアダプタとすることができる。かかる実施形態では、アダプタ13400は、本明細書に記載したいずれかの適切なロッキング機構、弁、結合部材、密封部材等を含むことができる。
【0089】
[1115] 図38図43は2ポートアダプタ13400を示すが、いくつかの実施形態では、アダプタは単一ポートを含むことができる。例えばいくつかの実施形態では、アダプタ14400は、図44及び図45に示すいずれかのアダプタ14400とすることができる。かかる実施形態では、アダプタ14400は、身体に流体を投与及び/又は身体から流体を引き出すように構成された単一ポートを含む。
【0090】
[1116] 図46は、末梢静脈ラインを介して採血するための方法を示すフローチャートである。いくつかの実施形態において、方法100は、102において末梢静脈ライン(PIV)にイントロデューサの外装を結合することを含む。例えばいくつかの実施形態では、イントロデューサの外装は、既知のPIVと係合するように構成された遠位端に配置されたロッキング機構を含むことができる。このように、ロッキング機構は、イントロデューサの少なくとも一部をPIVと物理的及び流体的に結合することができる。いくつかの実施形態では、PIVとロッキング機構との間にアダプタが配置されている。
【0091】
[1117] イントロデューサの外装は、少なくとも部分的にカテーテルを収容するように構成されている。方法100は、104において、カテーテルが実質的にイントロデューサ内にある第1の位置から、カテーテルが実質的にイントロデューサ外にある第2の位置まで、カテーテルを前進させることを更に含む。例えばいくつかの実施形態においては、カテーテルを少なくとも動作的にアクチュエータに結合して、ユーザがアクチュエータを係合させることでカテーテルをイントロデューサに対して遠位方向に移動させることが可能となっている。このため、カテーテルを遠位方向に移動させ、ロッキング機構、アダプタ(存在する場合)、及びPIVを通って前進させることができる。更に、カテーテルの遠位端がPIVを越えて患者の一部(例えば静脈)内に延出するまで、カテーテルを前進させることができる。
【0092】
[1118] 方法1000は、106において、イントロデューサの外装の近位端に容器を結合して、容器をカテーテルと流体的に結合させることを含む。いくつかの実施形態において、カテーテルの近位端は、例えばVacutainer(登録商標)等の流体容器の一部を突き刺すように構成された針を含む。このように、カテーテルは流体容器と流体連通して配置される。更に具体的には、例えば患者の静脈内にカテーテルが配置された場合、流体容器は静脈と流体連通して配置される。このため、所望の量の体液(例えば血液)を患者から吸い込んで流体容器に蓄えることができる。
【0093】
[1119] 所望の量の体液を収集すると、方法100は、108において第2の位置から第1の位置へとカテーテルを後退させることを含むことができる。このように、カテーテルを近位方向に移動させて、カテーテルの遠位端が再びイントロデューサ内に配置されるようにすることができる。カテーテルの遠位端がイントロデューサ内に配置されている場合、イントロデューサ及び/又はロッキング機構は、イントロデューサ外のボリュームからカテーテルを流体的に分離するように構成することができる。このため、イントロデューサ及びカテーテルは、流体により運ばれる病原体を懸念することなく安全に配置することができる。
【0094】
[1120] 採血装置及びYアダプタの構成要素は、一緒に又は別個にパッケージ化することができる。また、Yアダプタは他のIV用品材料と共にパッケージで販売することができる。いくつかの実施形態では、IVが患者内にある限りYアダプタはIV上にあることができる。
【0095】
[1121] 採血装置は多種多様な末梢IVと共に用いることができる。装置によって効率的な採血が可能となり、同時にサンプルの完全性が維持される。いくつかの実施形態では、例えば装置によって、20mlの血液を約1〜2分で吸い込むことが容易になる。採血の間、血液流は層流となってカテーテル内の乱流を回避し、これによって溶血を最小限に抑えることができる。
【0096】
[1122] 採血装置は多種多様なセッティング(ER、患者内等)で用いることができるが、本明細書においては2つの状況例を記載する。第1の状況では、患者は単一の末梢IVを有する。通例あまり一般的でない第2の状況では、患者は瀉血の目的だけのために専用の第2のIVを有する。Yアダプタは、患者1人当たり1つだけ必要であり、例えば典型的に3〜4日であるIVの寿命にわたって取り付けることができる。各採血について新しい採血装置(例えば上述のもののいずれか)を用いることができる。
【0097】
[1123] 採血装置の組み立ては、いずれの状況でも同一とすることができる。第1に、装置をyアダプタに結合する。第2に、カテーテルをyアダプタに通して進ませて、末梢IVカテーテルを貫通させて患者の静脈内まで押し入れる。いったん静脈内に入れたら、シリンジ又は負圧収集容器/管(例えばVacutainer(登録商標)管)を後部ポートに接続し、カテーテルに流体結合して、血液を吸い込んで蓄える。
【0098】
[1124] 以下の状況は、一例として与えるものである。看護師又は瀉血専門医が末梢IVを患者の腕に挿入する。末梢IVは標準的なガイドラインに従って挿入され、yアダプタが取り付けられている。採血の時間になると、IVがオンである場合に提供者はこれを約1〜5分間オフにすることで、薬剤又はIV流体を採血箇所から分散させることができる。血液サンプルを採取するため、提供者は採血装置をyアダプタ上の血液ポートに取り付け、内部カテーテルを末梢IVに通して静脈まで進ませる。次に、提供者は負圧収集容器(複数の容器)/管(複数の管)を装置に取り付け(すなわち管を採血装置と流体連通して配置し)、血液サンプルを抽出することができる。使用時、ユーザは流体又は血液サンプルの例えば最初の3〜6mlを「無駄(waste)」として廃棄し、その後、次の管(複数の管)を対象のサンプルとして用いる。この「無駄な」手順によって、生理的食塩水又は薬剤のようなデッドスペースの流体の全てが、静脈、末梢IV、及びyアダプタから排除されて、採取している試験サンプルを汚染しないことを確実とする。
【0099】
[1125] 採血プロセスのために専用の末梢IVラインが存在する状況では、提供者は一方の腕に末梢IVを挿入して薬剤を投与し、逆の腕に特に採血の目的のために別の末梢IVを挿入する。採血の時間になると、提供者は上述のステップに従うだけで良く、第1の状況におけるように流体又は薬剤を分散させるために1〜5分間待機する必要はない。
【0100】
[1126] 本明細書において論じた各構成要素は、一体に構築するか、又は部品の組み合わせとすることができる。例えば図7を参照すると、yアダプタ5400及びイントロデューサ5100はそれぞれロッキング機構5431及び5131を用いて結合される。yアダプタ5400及びイントロデューサ5100は同一の構成要素とすることも可能であり、この場合、yアダプタ5400はイントロデューサ5100の一体部分であるか又はその逆である。図示し記載した装置の他の態様を変更して、装置の性能に影響を及ぼすことができる。例えば、本明細書に記載した、カテーテルの遠位端における1組の開口における開口は、カテーテルを介した好ましい流れの状態を生成するため、いずれかの配置、大きさ、形状、及び/又は数とすることができる。
【0101】
[1127] 様々な実施形態について上述したが、それらは限定でなく一例としてのみ提示したことは理解されよう。例えば、カニューレ6200は、第1の直径を有する第1の部分6205及び第2の直径を有する第2の部分6210を含むものとして図13Aに示したが、いくつかの実施形態では、カニューレは同様の直径の第1の部分及び第2の部分を含むことができる。
【0102】
[1128] 上述の方法及び/又は図は、ある順序で発生するイベント及び/又はフローパターンを示すが、いくつかのイベント及び/又はフローパターンの順序は変更される場合がある。更に、いくつかのイベントは、可能な場合には並行プロセスで同時に実行され、更に順次実行される場合がある。様々な実施形態を、構成要素の特定の特色及び/又は組み合わせを有するものとして記載したが、上述したような実施形態のいずれかからのいずれかの特色及び/又は構成要素の組み合わせを有する他の実施形態も可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図13A
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46