(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
3−(4−tert−ブチル−1−シクロヘキセン−1−イル)プロピル2−オキソ−2−フェニルアセテート、3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロピル2−シクロヘキシル−2−オキソアセテート、3−(4−(tert−ブチル)フェニル)−2−メチルプロピル2−オキソ−2−フェニルアセテート、デシル2−シクロヘキシル−2−オキソアセテート、デシル2−オキソ−2−フェニルアセテート、(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−イル)メチル2−シクロヘキシル−2−オキソアセテート、(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−イル)メチル2−オキソ−2−フェニルアセテート、1−(3,3−及び5,5−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−4−ペンテニル2−オキソ2−フェニルアセテート、3−(3,3−及び1,1−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)プロピル2−オキソ−2−フェニルアセテート、2,6−ジメチル−5−ヘプテニル2−オキソ−2−フェニルアセテート、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル2−シクロヘキシル−2−オキソアセテート、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソアセテート、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル3−メチル−2−オキソペンタノアート、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル2−オキソ−2−フェニルアセテート、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル2−オキソプロパノアート、3,7−ジメチル−6−オクテニル2−(4−アセチルフェニル)−2−オキソアセテート、3,7−ジメチル−6−オクテニル(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2エクソ−イル)オキソアセテート、3,7−ジメチル−6−オクテニル2−シクロヘキシル−2−オキソアセテート、3,7−ジメチル−6−オクテニル2−シクロペンチル−2−オキソアセテート、3,7−ジメチル−6−オクテニル2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソアセテート、3,7−ジメチル−6−オクテニル[4−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)フェニル]オキソアセテート、3,7−ジメチル−6−オクテニル3−メチル−2−オキソペンタデカノアート、3,7−ジメチル−6−オクテニル3−メチル−2−オキソペンタノアート、3,7−ジメチル−6−オクテニル2−オキソブタノアート、3,7−ジメチル−6−オクテニル2−オキソヘキサデカノアート、3,7−ジメチル−6−オクテニル2−オキソペンタノアート、3,7−ジメチル−6−オクテニル2−オキソ−2−フェニルアセテート、3,7−ジメチル−6−オクテニル2−オキソプロパノアート、4−(1,1−ジメチルプロピル)−1−シクロヘキシル2−シクロヘキシル−2−オキソアセテート、4−ドデセニル2−オキソ−2−フェニルアセテート、3,5,5,6,7,8,8−ヘプタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)メチル2−オキソ−2−フェニルアセテート、1−(3,5,5,6,8,8−ヘキサメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフタレニル)エチル2−オキソ−2−フェニルアセテート、3−ヘキセニル2−オキソ−2−フェニルアセテート、3−ヘキセニル2−オキソプロパノアート、7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクチル2−オキソ2−フェニルアセテート、[4−及び3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−イル]メチル2−オキソ−2−フェニルアセテート、2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル2−シクロヘキシル−2−オキソアセテート、2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル2−オキソ−2−フェニルアセテート、4−メトキシベンジル2−シクロヘキシル−2−オキソアセテート、[4−及び3−(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]メチル2−オキソ−2−フェニルアセテート、3−メチル−5−フェニルペンチル2−オキソ−2−フェニルアセテート、2−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−4−ペンテニル2−オキソ−2−フェニルアセテート、2,6−ノナジエニル2−オキソ−2−フェニルアセテート、3−ノネニル2−オキソ−2−フェニルアセテート、2−ペンチル−1−シクロペンチル2−シクロヘキシル−2−オキソアセテート、4−フェニルブタン−2−イル2−オキソ−2−フェニルアセテート、2−フェニルエチル2−オキソ−2−フェニルアセテート、2−フェニルエチル2−オキソプロパノアート、3,5,6,6−テトラメチル−4−メチレンヘプタン−2−イル2−オキソ−2−フェニルアセテート、4−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセニル)−3−ブテン−2−イル2−オキソ−2−フェニルアセテート、9−ウンデセニル2−オキソ−2−フェニルアセテート又は10−ウンデセニル2−オキソ−2−フェニルアセテートからなる群から選択される少なくとも1種の式(I)のプロフレグランス成分を含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
フレグランスアルデヒド及び/又はケトンの特徴的な匂いの表面上での拡散効果を増大させる又は長引かせる方法であって、前記表面を、フレグランスアルデヒド及び/又はケトンを放出させやすい条件下で、
a)請求項1から9までのいずれか1項に規定されたマイクロカプセル又は請求項10に記載のスラリー;
b)請求項11に記載の付香組成物;又は
c)請求項12に記載の消費者製品
を用いて処理することを特徴とする、前記方法。
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、光への曝露の際に、フレグランスアルデヒド及びケトンの匂いの知覚の長期持続性を高めることが可能な水分散性コアシェル型マイクロカプセルに関する。本発明は、機能的な香水の用途においてアルデヒド及びケトンの放出の制御を向上させるような、光不安定な2−オキソアセテートプロフレグランスのカプセル化、並びに得られたマイクロカプセルを消費者製品に用いる使用に関する。
【0002】
従来技術
香水産業が直面する問題の一つは、特にその「トップノート」の、それらの揮発性のために芳香性化合物によってもたらされる嗅覚的利益の比較的急速な損失にある。また、一部の香料成分は、機能的香料の用途では不安定になり且つ劣化又は急速な蒸発によって失われ得る。これらの課題は、しばしば、制御された方法で香料を放出するために、送達システム、例えば、香料を含有するカプセル剤の使用を通して取り組まれている。
【0003】
香りのカプセル化は、少なくとも部分的に蒸発の問題を解決することができるが、多くの種類のマイクロカプセルは、そのシェル又は壁を介した拡散により、又はそれらが組み込まれており且つ香料の漏出を引き起こし得る表面活性成分を含有する消費者製品の性質の結果として、保管中に香料の一部を失うことが知られている。
【0004】
他方では、更に現在設計されている「プロフレグランス」として又は揮発性芳香成分の放出を遅延させ、従って他の方法で急速な蒸発を低減することによってそれらの芳香作用を長引かせるための手段として、適切に設計されたフレグランス前駆体を使用することが従来技術で提案されてきた。しかしながら、かかる前駆体の製剤用途における安定性も時間で制限され得る。従来技術の適切な例は、特許出願WO99/60990号(又は参考文献:及びレアスヘルマン著のPhotochemical & Photobiological Sciences, 第11巻, 第3番, 2012年1月, 第446頁の「using photolabile protecting groups for the controlled release of bioactive volatiles」)であり、光に曝露された際に芳香性アルデヒド又はケトンを放出し、且つ芳香成分自体の効果を長引かせることが可能な2−オキソアセテートの種類を記載している。しかしながら、前記従来技術の化合物が実験室の試験では有望な挙動を示しても、化学的不安定性のために消費者製品の商業的用途において未だ実現化されていない。これは実用的な用途においてそれらの性能に大きな影響を及ぼすエステル部分の早期加溶媒(加水分解)に起因するものである。
【0005】
従って、上で挙げられた問題を解決する又は少なくとも低減することが可能な新規なシステムを作り出すことが望ましく、本発明はかかる解決策を提供するものである。
【0006】
本発明によれば、プロフレグランスは、固体のシェル又は膜を含むマイクロカプセル中にカプセル化されており、これはプロフレグランスを直接環境から保護するだけでなく、前駆体及び/又はカプセル外へ放出されたフレグランスの拡散を遅くすることによりそれを制御放出するための手段としても機能する。
【0007】
本発明者らはここで、光不安定性の2−オキソアセテート性プロフレグランスをコアシェル型マイクロカプセルにカプセル化することによって、実用的用途におけるフレグランスの知覚の長期持続性の顕著な増加を確立することができた。この効果は、カプセルのシェル又は壁の好ましくない光に対する透過性が、フレグランス成分、即ち、フレグランスアルデヒド又はケトンを放出するのに必要な光反応の効率を低下させ、従って経時的に放出されるフレグランスの量を低減させることが予想されたので驚くべきことである。期待されていたものとは異なり、本発明者らは、貯蔵中の前駆体の加水分解が原則的に問題ではない、更に新しく製造されたカプセルが、非カプセル化プロフレグランスに対して性能の顕著な向上を示すことを立証することができた。
【0008】
発明の詳細な説明
本発明の一対象は、
a)以下の式
【化1】
(式中、
R
1は、任意に1つ又は2つのメトキシ基で置換される、直鎖状、分枝鎖状又は環状の飽和又は不飽和C
1〜C
16炭化水素基を表し、且つR
2は、式(R’’)CHO(即ち、R’はHである)の対応するC
6〜20芳香アルデヒド又は式(R’)(R’’)C=OのC
6〜20芳香ケトンから誘導されるCH(R’)(R’’)基である)
の2−オキソアセテート誘導体である少なくとも1種のプロフレグランス成分を含有する油状相のコア;及び
b)前記コアを囲み且つ界面重合によって形成されるか又は重合により誘起される相分離プロセスによって形成されるシェル
を含む、コア−シェルマイクロカプセルである。
【0009】
本発明によるマイクロカプセルは、光不安定性2−オキソアセテート成分、好適な溶媒、香料又は精油の他に、任意に、油状相をそれらのコアに含有し得る。また、言うまでも無く、1種以上の式(I)のプロフレグランス成分がコアシェルマイクロカプセル中でカプセル化され得る。
【0010】
明瞭にするために、「コア−シェルマイクロカプセル」、又は類似の表現は、本発明では、マイクロカプセルが、外部の固体オリゴマーベースのシェル又は壁と外部のシェルによって囲まれた内部の連続油状相とを含むことを意味する。換言すれば、コアセルベート又は押出物(即ち、液体の液滴を含有する多孔質固体相)などのカプセル化物は、本発明の一部であると見なされている。
【0011】
本発明の好ましい実施態様によれば、R
1は、任意に1つ又は2つのメトキシ基で置換される、直鎖状、分枝鎖状又は環状のC
1〜C
10炭化水素基、更に好ましくは、直鎖状、分枝鎖状又は環状のC
1〜C
6炭化水素基を表す。これらの中では、メチル、エチル、tert−ブチル及びイソプロピル基、又は更に一層好ましくは、任意に1つ又は2つのメトキシ基で置換されるシクロペンチル又はシクロヘキシル基又はフェニル基が挙げられ得る。
【0012】
基R
2は、芳香アルデヒド又はケトンから誘導されるものとして上で定義されている。前記芳香アルデヒド又はケトンの完全なリストはここでは保証されないが、香料分野の当業者は、「芳香アルデヒド又はケトン」が意味するものを完全に理解且つ知ることができる。当業者であれば、参考文献(例えば、S. ArctanderによるPerfume and Flavour Chemicals、ニュージャージー州モントクレア(米国)、1969年、又はその最新版)、又は特許文献における香料化合物の極めて完全なリストを見出し得る。例として、他のかかるフレグランス成分が使用されてもよいが、かかるアルデヒド及びケトンの一部が更に記載されている。本願明細書では、更に以下に記載されるように、付香成分が単に匂いを有する化合物ではないことが想起されることが有用である。
【0013】
プロフレグランス(I)は、以下に例示されている放出機構を介してフレグランスアルデヒド又はケトンを放出させることが可能であり、これは以下に例示されている:
【化2】
(式中、部分(R’)(R’’)CH−O(即ち、OR
2)は、芳香アルデヒド(R’’)CHO又はケトン(R’)(R’’)C=Oに変換され、その際、R
1COOH残基が同時に形成される)。光分解機構は、重要なステップの一つとしてケトエステル基の2−オキソ基上の(R’)(R’’)CH−O部分からの水素の引抜きを含む2−オキソアセテートに関する文献に一般的に記載されている光酸化であると考えられている。望ましい芳香アルデヒド(R’’)CHO又はケトン(R’)(R’’)C=Oの他に、分子状酸素が中間体種の1つと反応するか否かによって、異なる反応生成物が形成され得る。
【0014】
必須である光の存在に加えて、温度上昇などの他の環境条件も、当然ながら、芳香アルデヒド及びケトンのそれらの対応するプロフレグランスからの放出効果に影響を及ぼす可能性がある。
【0015】
R
2基が誘導され得る芳香アルデヒド及びケトンの例は、ベンズアルデヒド、1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボキサルデヒド(ヘリオトロピン)、3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−メチルプロパナール、3−(4−tert−ブチル−1−シクロヘキセン−1−イル)プロパナール(Mugoxal(登録商標)、製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス)、2,4−デカジエナール、2−デセナール、4−デセナール、8−デセナール、9−デセナール、3−(6,6−ジメチル−ビシクロ[3.1.1]ヘプタ−2−エン−2−イル)プロパナール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド(トリプラール(登録商標)、製造元:インターナショナルフレーバー&フレグランス、ニューヨーク、米国)、3,5−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド、1−(3,3−ジメチル−1−シクロヘキシル)−1−エタノン、5,9−ジメチル−4,8−デカジエナール、3−(3,3−及び1,1−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)プロパナール、2,6−ジメチル−5−ヘプテナール(メロナール)、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール(シトラール)、3,7−ジメチルオクタナール、3,7−ジメチル−6−オクテナール(シトロネラール)、(3,7−ジメチル−6−オクテニル)アセトアルデヒド、3−ドデセナール、4−ドデセナール、3−エトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、4−エチルベンズアルデヒド、3−(2及び4−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパナール、2−フランカルバルデヒド(フルフラール)、2,4−ヘプタジエナール、3,5,5,6,7,8,8−ヘプタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−カルバルデヒド(ブルカノリド(Vulcanolide)(登録商標)、製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス)、4−ヘプテナール、2−ヘキセナール、3−ヘキセナール、2−ヘキシル−3−フェニル−2−プロペナール(ヘキシルケイ皮酸アルデヒド)、2−ヒドロキシベンズアルデヒド、7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクタナール(ヒドロキシシトロネラール)、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、4−及び3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド(リラール(Lyral)(登録商標)、製造元:インターナショナルフレーバー&フレグランス、ニューヨーク、米国)、4−イソプロピルベンズアルデヒド(クミンアルデヒド)、8−イソプロピル−6−メチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2−カルバルデヒド、3−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパナール、2−(4−イソプロピルフェニル)プロパナール、2−及び4−メトキシベンズアルデヒド(アニスアルデヒド)、6−メトキシ−2,6−ジメチルヘプタナール(メトキシメロナール)、3−(2−メトキシフェニル)アクリルアルデヒド、8(9)−メトキシ−トリシクロ[5.2.1.0.(2,6)]デカン−3(4)−カルバルデヒド(センテナール(登録商標)、製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス)、4−メチルベンズアルデヒド、3−(4−メチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)ブタナール(リミナール(Liminal)(登録商標)、製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス)、2−(4−メチレンシクロヘキシル)プロパナール、1−メチル−4−(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド(プレシクレモン(Precyclemone)(登録商標)B、製造元:インターナショナルフレーバー&フレグランス、ニューヨーク、米国)、3−(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド、4−(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド(アクロパール(Acropal)(登録商標)、製造元:ジボダン−ルール(Givaudan-Roure)SA.、ベルニエ(Vernier)、スイス)、(4−メチルフェノキシ)アセトアルデヒド、(4−メチルフェニル)アセトアルデヒド、3−メチル−5−フェニルペンタナール(フェネキサール(Phenexal)(登録商標)、製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス)、2−(1−メチルプロピル)−1−シクロヘキサノン、2−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテニル)−4−ペンテナール、2,4−ノナジエナール、2,6−ノナジエナール、2−ノネナール、3−ノネナール、6−ノネナール、8−ノネナール、2−オクテナール、2−ペンチル−3−フェニル−2−プロペナール、フェノキシアセトアルデヒド、2−フェニルアセトアルデヒド、3−フェニルブタナール(トリフェルナール(Trifernal)(登録商標)、製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス)、3−フェニルプロパナール、2−フェニルプロパナール(ヒドラトロプアルデヒド)、3−フェニル−2−プロペナール(ケイ皮酸アルデヒド)、4−(プロプ−1−エン−2−イル)シクロヘキサ−1−エンカルバルデヒド(ペリルアルデヒド)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパナール(リリアール(登録商標)、製造元:ジボダン−ルールSA、ベルニエ、スイス)、3−(4−tert−ブチルフェニル)プロパナール(ボージュナール(Bourgeonal)(登録商標)、製造元:クエストインターナショナル、ナーデン、オランダ)、トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン−4−カルバルデヒド、エクソ−トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]デカン−8エクソ−カルバルデヒド(ベルトラール(登録商標)、製造元:シムライズ社、ホルツミンデン、独国)、2,6,6−トリメチル−ビシクロ[3.1.1]ヘプタン−3−カルバルデヒド(ホルミルピナン)、2,4,6−及び3,5,6−トリメチル−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド、2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−アセトアルデヒド(カンホレン酸アルデヒド)、2,6,10−トリメチル−2,6,9,11−ドデカテトラエナール、2,5,6−トリメチル−4−ヘプテナール、3,5,5−トリメチルヘキサナール、2,6,10−トリメチル−9−ウンデセナール、2−ウンデセナール、10−ウンデセナール又は9−ウンデセナール及びそれらの混合物、例えば、イントレレベン(Intreleven)アルデヒド(製造元:インターナショナルフレーバー&フレグランス、ニューヨーク、米国)又はアルデヒドスプラ(Supra)(製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス)、式(R’’)CHO(式中、R’’はC
6〜C
15の直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基である)のアルデヒド;及び上で挙げられたアルデヒドの任意の混合物からなるアルデヒドの群から選択されるか、又は
ダマセノン、ダマスコン、イオノン又はメチルイオノン(例えば、イラリア(Iralia)(登録商標)トータル、製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス)、イロン、大環状ケトン、例えば、シクロペンタデカノン(エキサルトン(Exaltone)(登録商標))又は3−メチル−4−シクロペンタデセン−1−オン及び3−メチル−5−シクロペンタデセン−1−オン(デルタムセノン)又は3−メチル−1−シクロペンタデカノン(ムスコン)(全てフィルメニッヒSA社製、ジュネーブ、スイス)、1−(2−アミノフェニル)−1−エタノン、1−(3,3−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−4−ペンテン−1−オン、1−(5,5−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−4−ペンテン−1−オン(ネオブテノン(登録商標)、製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス)、1−(3,3−ジメチル−1−シクロヘキシル)−1−エタノン、2,5−ジメチル−2−オクテン−6−オン、4,7−ジメチル−6−オクテン−3−オン、(3,7−ジメチル−6−オクテニルオキシ)アセトアルデヒド、1−(2,4−ジメチルフェニル)−1−エタノン、4−(1,1−ジメチルプロピル)−1−シクロヘキサノン(オリボン(Orivone)(登録商標)、製造元:インターナショナルフレーバー&フレグランス、ニューヨーク、米国)、2,4−ジ−tert−ブチル−1−シクロヘキサノン、エチル4−オキソペンタノエート、1−(4−エチルフェニル)−1−エタノン、1−(3,5,5,6,8,8−ヘキサメチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)エタノン(フィキソリド(登録商標)、製造元:ジボダン−ルールSA、ベルニエ、スイス)、2−ヘキシル−1−シクロペンタノン、2−ヒドロキシ−3−メチル−2−シクロペンテン−1−オン、4−(4−ヒドロキシ−1−フェニル)−2−ブタノン(ラスプベリーケトン)、1−(2−及び4−ヒドロキシフェニル)−1−エタノン、2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサノン(メントン)、4−イソプロピル−2−シクロヘキセン−1−オン、1−(5−イソプロピル−2−メチルシクロヘキサ−1−又は2−エン−1−イル)プロパノン、1−(4−イソプロピル−1−フェニル)−1−エタノン、2−(2−メルカプトプロパン−2−イル)−5−メチルシクロヘキサノン、1−(4−メトキシフェニル)−1−エタノン、7−メチル−2H,4H−1,5−ベンゾジオキセピン−3−オン(カロン(Calone)(登録商標)、製造元:C.A.L.SA、グラース(Grasse)、フランス)、5−メチル−3−ヘプタノン、6−メチル−5−ヘプテン−2−オン、メチル3−オキソ−2−ペンチル−1−シクロペンタンアセテート(ヘディオン(Hedione)(登録商標)、製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス)、1−(4−メチルフェニル)−1−エタノン(4−メチルアセトフェノン)、5−メチル−2−(プロパン−2−イリデン)シクロヘキサノン、5−メチル−2−(プロプ−1−エン−2−イル)シクロヘキサノン(イソプレゴン)、2−メチル−5−(プロプ−1−エン−2−イル)シクロヘキサ−2−エノン(カルボン)、5−メチル−エクソ−トリシクロ[6.2.1.0(2,7)]ウンデカン−4−オン、3−メチル−4−(1,2,2−トリメチルプロピル)−4−ペンテン−2−オン、2−ナフタレニル−1−エタノン、1−(オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−エタノン(異性体混合物、イソEスーパー(登録商標)、製造元:インターナショナルフレーバー&フレグランス、ニューヨーク、米国)、3,4,5,6,6−ペンタメチル−3−ヘプテン−2−オン、2−ペンチル−1−シクロペンタノン(デルホン、製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス)、4−フェニル−2−ブタノン(ベンジルアセトン)、1−フェニル−1−エタノン(アセトフェノン)、2−及び4−tert−ブチル−1−シクロヘキサノン、1−(4−tert−ブチルフェニル)−1−エタノン)、3,5,6,6−テトラメチル−4−メチレンヘプタン−2−オン、2,4,4,7−テトラメチル−6−オクテン−3−オン、1,7,7−トリメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オン(ショウノウ)、2,6,6−トリメチル−1−シクロヘプタノン、2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1,4−ジオン、4−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)−2−ブタノン(ジヒドロイオノン)、1−(2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)−2−ブテン−1−オン、1−(3,5,6−トリメチル−3−シクロヘキセン−1−イル)−1−エタノン、2,2,5−トリメチル−5−ペンチル−1−シクロペンタノン又は式(R’)(R’’)C=O(式中、R’及びR’’は直鎖状アルキル基である)のC
6〜15ケトン;及び上で挙げられたケトンの任意の混合物からなるケトンの群から選択されるか、
又は上で挙げられたアルデヒド及びケトンの任意の混合物からなる群から選択される。
【0016】
式(I)のプロフレグランスは、一般的に、WO99/60990号に記載されるように、文献で報告された公知の方法によって製造することができ、本出願に属するものである。例えば、式(I)のプロフレグランスは、2−オキソ酢酸と対応するアルコールとのエステル化によって、2−オキソアセテート、例えば、メチル又はエチル2−オキソアセテートと、対応するアルコールとのエステル交換反応によって又は更にブロモ置換炭化水素と対応するジアルキルオキサレートとのグリニャール反応によって得られる。あるいは、式(I)のプロフレグランスは、2−ヒドロキシアセテートの酸化によっても得られる。
【0017】
放出されるべき対応するアルデヒド[(R’’)CHO]又はケトン[(R’)(R’’)C=O]の第1級[(R’’)CH
2−OH]又は第2級[(R’)(R’’)CH−OH]アルコールから式(I)のプロフレグランスを製造することが便利である。これらの第1級又は第2級アルコールは、対応するアルデヒド又はケトンの還元によって、例えば、LiAlII
4との反応によって得られる。上で例示された、特定の放出機構の結果として、式(I)の2−オキソアセテートプロフレグランスは、光への曝露時に対応するアルデヒド及びケトンを生成する。
【0018】
式(I)に対応する2−オキソアセテートの例は、3−(4−tert−ブチル−1−シクロヘキセン−1−イル)プロピル2−オキソ−2−フェニルアセテート、3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロピル2−シクロヘキシル−2−オキソアセテート、3−(4−(tert−ブチル)フェニル)−2−メチルプロピル2−オキソ−2−フェニルアセテート、デシル2−シクロヘキシル−2−オキソアセテート、デシル2−オキソ−2−フェニルアセテート、(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−イル)メチル2−シクロヘキシル−2−オキソアセテート、(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−イル)メチル2−オキソ−2−フェニルアセテート、1−(3,3−及び5,5−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−4−ペンテニル2−オキソ2−フェニルアセテート、3−(3,3−及び1,1−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)プロピル2−オキソ−2−フェニルアセテート、2,6−ジメチル−5−ヘプテニル2−オキソ−2−フェニルアセテート、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル2−シクロヘキシル−2−オキソアセテート、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソアセテート、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル3−メチル−2−オキソペンタノエート、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル2−オキソ−2−フェニルアセテート、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル2−オキソプロパノエート、3,7−ジメチル−6−オクテニル2−(4−アセチルフェニル)−2−オキソアセテート、3,7−ジメチル−6−オクテニル(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2エクソ−イル)オキソアセテート、3,7−ジメチル−6−オクテニル2−シクロヘキシル−2−オキソアセテート、3,7−ジメチル−6−オクテニル2−シクロペンチル−2−オキソアセテート、3,7−ジメチル−6−オクテニル2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソアセテート、3,7−ジメチル−6−オクテニル[4−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)フェニル]オキソアセテート、3,7−ジメチル−6−オクテニル3−メチル−2−オキソペンタデカノエート、3,7−ジメチル−6−オクテニル3−メチル−2−オキソペンタノエート、3,7−ジメチル−6−オクテニル2−オキソブタノエート、3,7−ジメチル−6−オクテニル2−オキソヘキサデカノエート、3,7−ジメチル−6−オクテニル2−オキソペンタノエート、3,7−ジメチル−6−オクテニル2−オキソ−2−フェニルアセテート、3,7−ジメチル−6−オクテニル2−オキソプロパノエート、4−(1,1−ジメチルプロピル)−1−シクロヘキシル2−シクロヘキシル−2−オキソアセテート、4−ドデセニル2−オキソ−2−フェニルアセテート、3,5,5,6,7,8,8−ヘプタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)メチル2−オキソ−2−フェニルアセテート、1−(3,5,5,6,8,8−ヘキサメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフタレニル)エチル2−オキソ−2−フェニルアセテート、3−ヘキセニル2−オキソ−2−フェニルアセテート、3−ヘキセニル2−オキソプロパノエート、7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクチル2−オキソ2−フェニルアセテート、[4−及び3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−イル]メチル2−オキソ−2−フェニルアセテート、2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル2−シクロヘキシル−2−オキソアセテート、2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル2−オキソ−2−フェニルアセテート、4−メトキシベンジル2−シクロヘキシル−2−オキソアセテート、[4−及び3−(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]メチル2−オキソ−2−フェニルアセテート、3−メチル−5−フェニルペンチル2−オキソ−2−フェニルアセテート、2−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−4−ペンテニル2−オキソ−2−フェニルアセテート、2,6−ノナジエニル2−オキソ−2−フェニルアセテート、3−ノネニル2−オキソ−2−フェニルアセテート、2−ペンチル−1−シクロペンチル2−シクロヘキシル−2−オキソアセテート、4−フェニルブタン−2−イル2−オキソ−2−フェニルアセテート、2−フェニルエチル2−オキソ−2−フェニルアセテート、2−フェニルエチル2−オキソプロパノエート、3,5,6,6−テトラメチル−4−メチレンヘプタン−2−イル2−オキソ−2−フェニルアセテート、4−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセニル)−3−ブテン−2−イル2−オキソ−2−フェニルアセテート、9−ウンデセニル2−オキソ−2−フェニルアセテート又は10−ウンデセニル2−オキソ−2−フェニルアセテートからなる群から選択され得る。
【0019】
上記の本発明の全ての態様では、本発明のコアシェル型マイクロカプセルは、他のフレグランス送達系の存在下で、特に他の非カプセル化フレグランス送達系、例えば、WO99/60990号に記載された感光性2−オキソアセテート、又は他の感光性フレグランス前駆体の存在下で使用され得る。
【0020】
上記のように、香料で現在使用されている香料共成分、並びに溶媒及び助剤は、本発明によるマイクロカプセルの油状相に更に含有され得る。
【0021】
本発明の目的のために、「香料」とは、付香組成物の形の、単一の付香成分又はこれらの成分の混合物を意味する。「付香成分」とは、本願明細書では、表面に適用された時に快楽効果を付与するために付香調製物又は付香組成物において活性成分として使用される化合物のことであると理解されている。換言すれば、付香するものとして考えられる、かかる化合物は、香料分野の当業者に、単に匂いを有するものではなく、組成物又は物品又は表面の匂いを積極的な又は快い方法で付与又は改変することができるものとして認識されなければならない。更に、この定義は、必ずしも匂いを有するものではないが、香料組成物、着香物品又は表面の匂いを調節し、その結果、かかる組成物、物品又は表面の匂いの使用者による知覚を改変することが可能な化合物を含むことも意味する。
【0022】
一般的には、これらの付香成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素又は硫黄複素環式化合物及び精油など様々な化学種に属し、前記付香成分は、天然又は合成由来のものであってもよい。かかる芳香成分の具体例は、最近の文献、例えば、S. ArctanderによるPerfume and Flavour Chemicals、ニュージャージー州モントクレア(米国)、1969年(及び最新版)、並びに香料産業に関する膨大な特許文献及び他の文献に見出され得る。それらは香料消費者製品の、即ち、心地良い匂いを消費者製品に付与する当業者によく知られている。
【0023】
「適した溶媒」とは、本願明細書では、香料の観点から実質的に中性である、即ち、芳香成分の官能特性を顕著に変化させず且つ一般的に水と混和性ではない、即ち、10%未満、又は更に5%未満の水への溶解性を有する材料を意味する。香料でよく用いられる溶媒、例えば、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノール又はクエン酸エチル、リモネン又は他のテルペン、イソパラフィン、例えば、アイソパー(Isopar)(登録商標)(製造元:エクソン化学)の商標で知られたもの又はグリコールエーテル及びダワノール(Dowanol)(登録商標)(製造元:ダウケミカルカンパニー)の商標で知られたものなどのグリコールエーテルエステルが、本発明の目的に適した溶媒である。
【0024】
「香料補助剤」とは、本願明細書では、色、化学安定性などの付加的に追加される利益を付与することが可能な成分を意味する。付香ベースでよく使用される補助剤の性質と種類の詳細な説明を網羅できないが、前記成分が当業者によく知られていることは記載されるべきである。
【0025】
本発明によるマイクロカプセルの成分b)は、様々なプロセスによって得られる界面シェルである。
【0026】
本発明の特定の実施形態によれば、かかるシェルは、好ましくは、重合により誘起される相分離プロセスによって得られる。多くのかかるプロセスは従来技術に記載されている。このプロセスは、例えば、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、2,2−ジメトキシエタナール、グリオキサール、グリオキシル酸又はグリコールアルデヒド及びそれらの混合物)とアミン、即ち、尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、メラミン、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、グアナゾール等、並びにそれらの混合物との重縮合によって製造されるアミノ樹脂をベースとし得る。適した尿素の例は、ジメチロール尿素、メチル化ジメチロール尿素、尿素−レゾルシノール、及びそれらの混合物である。
【0027】
アミノ樹脂、即ち、メラミンベースの樹脂と、アルデヒドとの重縮合による香料のカプセル化に関する精液の文献の幾つかは、論文、例えば、K.ディートリッヒらによる、Acta Polymerica、第40巻、243頁、325頁及び683頁、1989年、並びに第41巻、91頁、1990年に刊行されたものに表されている。このような論文は既に、かかるコア−シェルマイクロカプセルの製造に影響を及ぼす様々なパラメータを記載しており、これは特許文献に更に詳述され且つ例示されている従来技術の方法によるものである。Wiggins Teape Group Limitedによる米国特許第4’396’670号は、該方法の適切な初期の例である。その後、多くの他の著者及び製造者が、この分野の文献を充実させ、且つ本願明細書に公開された全ての改良を網羅することは不可能であるが、この種のカプセル化における一般的な知識は非常に重要である。かかるマイクロカプセルの有用な使用も取り扱う、適切な最新の刊行物は、例えば、H. Y. Leeらの論文、J. Microencapsulation、2002年、第19巻、559頁〜569頁、国際特許公開WO01/41915号又は更にS. Boneらによる論文、Chimia、2011年、第65巻、177頁〜181頁によって表されている。
【0028】
アルデヒドとアミン又はアミノ樹脂との重縮合は、熱硬化樹脂として知られた高度に架橋した樹脂からなるシェル又は壁をもたらす。本発明によるマイクロカプセルの適切なアルキロール化ポリアミンは、部分的に1〜6個のメチレン単位を順に有するアルコールによってアルキル化され得るモノ又はポリアルキロール化ポリアミンの混合物を包含し、更にはモノ−又はポリメチロールメラミン及び/又はモノ−又はポリメチロールウレア初期縮合物、例えば、Urac(登録商標)(製造元:Cytec Technology Corp.)、Cymel(登録商標)(製造元:Cytec Technology Corp.)、Urecoll(登録商標)又はLuracoll(登録商標)(製造元:BASF)の商品名で市販されているものも包含する。
【0029】
モノ−又はポリアルキロール化ポリアミンの混合物からの他の適したアミノ樹脂は、アルデヒド、例えば、2,2−ジメトキシエタナール、グリオキサール、グリオキシル酸又はグリコールアルデヒド及びそれらの混合物と、アミンとの重縮合によって得ることができる。2,2−ジメトキシエタナールとの重縮合からのポリアルキロール化ポリアミンの非限定例は、ポリ[N−(2,2−ジメトキシ−1−ヒドロキシ)]ポリアミン、モノ−及びジ−[N−(2,2−ジメトキシ)−1−ヒドロキシ)]尿素、モノ−、ジ−、トリ−、及び/又はテトラ−[N−(2,2−ジメトキシ)−1−ヒドロキシ)]メラミン、テトラ−[N−(2,2−ジメトキシ)−1−ヒドロキシ)]グリコウリル又はジ−[N−(2,2−ジメトキシ)−1−ヒドロキシ)]ベンゾグアニジンを含む。グリオキサールとの重縮合からのポリアルキロール化ポリアミンの非限定例は、ポリ[N−(2−ヒドロキシアセトアルデヒド)]ポリアミン、モノ−及びジ−[N−(2−ヒドロキシアセトアルデヒド)]尿素、モノ−、ジ−、トリ−、及び/又はテトラ−[N−(2−ヒドロキシアセトアルデヒド)]メラミン、テトラ−[N−(2−ヒドロキシアセトアルデヒド)]グリコウリル又はジ−[N−(2−ヒドロキシアセトアルデヒド)]ベンゾグアニジンを含む。グリオキシル酸との重縮合からのポリアルキロール化ポリアミンの非限定例は、ポリ[N−(2−ヒドロキシ酢酸)]ポリアミン、モノ−及びジ−[N−(2−ヒドロキシ酢酸)]尿素、モノ−、ジ−、トリ−、及び/又はテトラ−[N−(2−ヒドロキシ酢酸)]メラミン、テトラ−[N−(2−ヒドロキシ酢酸)]グリコウリル又はジ−[N−(2−ヒドロキシ酢酸)]ベンゾグアニジンを含む。グリコールアルデヒドとの重縮合からのポリアルキロール化ポリアミンの非限定例は、ポリ[N−(エタン−1,2−ジオール)]ポリアミン、モノ−及びジ−[N−(エタン−1,2−ジオール)]尿素、モノ−、ジ−、トリ−、及び/又はテトラ−[N−(エタン−1,2−ジオール)]メラミン、テトラ−[N−(エタン−1,2−ジオール)]グリコウリル又はジ−[N−(エタン−1,2−ジオール)]ベンゾグアニジンを含む。
【0030】
本発明の実施態様によれば、コア−シェルマイクロカプセルは、アミノ樹脂、ポリアミン又はポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートとの反応によって形成された架橋ポリウレア又はポリウレタンのシェル又は壁中にコアが封入される、界面重合によって得られる。
【0031】
ポリウレアマイクロカプセルのシェル又は壁は、ポリアミン又はアミノ樹脂が使用される時に形成される。特に効率的なポリアミンは、水溶性グアニジン塩及び/又はグアニジン及び/又はアミノ樹脂、例えば、上記のものである。「水溶性グアニジンエン塩」とは、グアニジンと酸との反応から得られる、水に溶解性の塩を意味する。かかる塩の一例は炭酸グアニジンである。
【0032】
ポリオールが架橋剤として使用される時に、ポリウレタンマイクロカプセルのシェル又は壁が形成される。ポリオールとして、グリセロールが好ましい。
【0033】
ポリイソシアネート対ポリアミン又はポリオールの特定の比の使用が有利である。従って、好ましくは、イソシアネート基1モルに対して、1〜10、好ましくは2〜5モルのアミン基又はアルコール基が存在する。その結果、過剰の架橋剤が添加される。
【0034】
ポリアルキロール化ポリアミンのシェル又はポリウレア若しくはポリウレタンのシェルの特定の組成は、マイクロカプセルが、テキスタイル、皮膚又は髪に配置されると、製品ベースにおいて香料保持の望ましい安定性を示しながら(例えば、消費者製品の界面活性剤によって香料の抜き出しを効率的に妨げる)、プロフレグランス、及び最終的に任意のフレグランス成分の十分に遅く且つ一定の徐放出を達成するような放出と保持との間の微妙なバランスでマイクロカプセルを得る上で重要である。上記のものの中からの、ポリアルキロール化ポリアミンの選択、又はポリアミン若しくはポリオールの選択及びポリイソシアネートの選択は、カプセルの特性及び安定性の微調整を可能にする。
【0035】
ポリイソシアネート化合物がアミノ樹脂、ポリアミン又はポリオールと反応する場合、ポリイソシアネートが反応には適しているが、少なくとも2つのイソシアネート基又は少なくとも3つのイソシアネート基を含むポリイソシアネートが好ましい。低揮発性のポリイソシアネート分子は、それらの低毒性のために好ましい。特に、ポリイソシアネートは、有利には、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体、イソホロンジイソシアネート又はキシリレンジイソシアネートの三量体又はヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット又はトリメチロールプロパンによるキシリレンジイソシアネートの三量体(Takenate(登録商標)、製造元:Mitsui Chemicalsの商標で公知)からなる群から選択され得るが、その中でもトリメチロールプロパンによるキシリレンジイソシアネートの三量体及びヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットが更に一層好ましい。
【0036】
重合によって誘導される相分離プロセス及び上記の界面重合プロセスは、カプセル化されるべきプロフレグランスを含有する分散された油相及び連続的な水相からなるエマルションを、シェルによって囲まれたコアからなる固体ビーズの分散液に本質的に変換し、その浸透性は、架橋の程度、及び/又はシェルの厚さなどの多くの因子に依存する。
【0037】
本発明の特定の実施態様によれば、相分離重縮合又は界面重合のいずれかによって得られるマイクロカプセルは、10〜1000nmの間、好ましくは20〜500nmの間、更に一層好ましくは25〜350nmの間のシェル厚さを有する。一例として、カプセルのシェル厚さは、原子間力顕微鏡(AFM)により測定することができる。
【0038】
本発明の特定の実施形態によれば、前記シェル又はマイクロカプセルは拡散性のものである。
【0039】
明瞭にするために、本発明中の「拡散」、又は類似表現は、マイクロカプセルのシェルが、遊離の芳香アルデヒド又はケトンに浸透性であり、これらは光への曝露後に、マイクロカプセルの内部で式(I)のプロフレグランスから放出されるが、式(I)のプロフレグランスのマイクロカプセルの外への拡散を強力に制限又は抑制する有効なバリアを形成することを意味する。
【0040】
あるいは、式(I)のカプセル化されたプロフレグランスを光に曝露することによってマイクロカプセルの内部で生成した遊離芳香アルデヒド又はケトンが、マイクロカプセルシェルの摩擦後に及び/又は他の機械的な破壊手段によってのみ放出される場合、前記シェル又はマイクロカプセルは「非拡散性」であると考えられる。このような場合、本発明による式(I)のカプセル化されたプロフレグランスを用いることの利益は、(式(I)のプロフレグランスの光誘起開裂によって延長された芳香効果と組み合わせた、カプセル中の遊離成分の蒸発の結果として)、摩擦後に、爆発的な香料放出効果を提供することである。
【0041】
従って、マイクロカプセルの拡散性は、光への曝露後に式(I)のカプセル化されたプロフレグランスから放出された芳香アルデヒド又はケトンの量と、同じ条件下で処理された当モル量の式(I)の非カプセル化プロフレグランスから放出された芳香アルデヒド又はケトンの量と比較することによって決定され得る。これにより、芳香アルデヒド又はケトンの量は、例えば、感覚分析によって又はヘッドスペースサンプリングによって測定することができ、これは(認識される)強さに関して又はヘッドスペース濃度として表すことができる。
【0042】
式(I)のカプセル化されたプロフレグランスから放出された芳香アルデヒド又はケトンの量が、式(I)の非カプセル化プロフレグランスから放出された芳香アルデヒド又はケトンの量と同等又はそれよりも多い場合、マイクロカプセルは拡散性であると考えられる。同様に、式(I)のカプセル化されたプロフレグランスから放出された芳香アルデヒド又はケトンの量が、式(I)の非カプセル化プロフレグランスから放出された量よりも少ない場合、マイクロカプセルは非拡散性であると考えられる。
【0043】
あるいは、本発明の特定の実施態様によれば、前記シェル又はマイクロカプセルは非拡散性のものである。実際にかかる非拡散性のマイクロカプセルは、摩擦後に爆発的な効果を与えるために使用することができ、これは純粋な成分のカプセル化又は非カプセル化化合物(I)を用いて得られない。
【0044】
本発明の特定の実施態様によれば、一部が拡散性のシェルを有し且つ別の部分が非拡散性のシェルを有する、本発明によるマイクロカプセルの混合物が使用されてもよい。
【0045】
拡散性のシェル又はマイクロカプセルの場合、分散特性は、カプセルの直径、並びにシェルの厚さ及び/又は組成と関係がある。例えば、メラミンベースの樹脂であるシェルを有するマイクロカプセルの場合、拡散性のマイクロカプセルは、分散液中で約3.20質量%の樹脂濃度及び約11ミクロンの直径で得られる。
【0046】
ポリウレアのシェルを有するマイクロカプセルの場合、拡散性マイクロカプセルは、例えば、150nm未満のシェル厚さで得られ;この場合、シェルは脂肪族イソシアネートから構成され、炭酸グアニジンはアミノ化合物としてのみ使用される。
【0047】
明瞭にするために、本発明中の「分散液」との表現は、粒子が異なる組成物の連続相中に分散された系を意味しており、この用語は特に懸濁液又はエマルションを含む。
【0048】
高分子安定剤は、マイクロカプセルの凝集を防ぐために使用できるので、これは重合前にシェルを形成することを意図した、モノマー混合物に添加される保護コロイドとして作用する。明瞭にするために、本文脈中の「安定剤」、又は類似表現は、当該技術分野における通常の意味、即ち、例えば、消費者製品用途におけるマイクロカプセルの凝集又はアグロメレーションを防止するために又はマイクロカプセルの製造プロセスの間に、系を安定化させることが可能な、又はそのために添加される化合物を意味することが理解されている。前記安定剤の使用は、当業者にとって標準的な知識である。
【0049】
本発明の目的のために、前記安定剤は、イオン性又は非イオン性界面活性剤又はコロイド安定剤であってよい。かかる安定剤の正確な性質は当業者によく知られている。非限定例としては、以下の安定剤が挙げられる:非イオン性ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール(Mowiol 18-88、製造元:フルカ(Fluka))、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシエチルセルロース又はカルボキシメチルセルロース、例えば、Ambergum(商標)1221(製造元:アクアロンヘラクレス(Aqualon Hercules))、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシドとポリエチレン又はポリプロピレンオキシドとのコポリマー、アルキルアクリレートとN−ビニルピロリドンとのコポリマー;イオン性ポリマー、例えば、アクリルアミドとアクリル酸とのアクリルコポリマー、例えば、Alcapsol(登録商標)144−(製造元:チバ(Ciba))、例えば、アクリル酸とアクリルアミドとのモノマー混合物から生成される酸/アクリルアミドコポリマー(ここで、アクリル酸の含有率は、20〜80%の範囲である)、酸アニオン性界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、スルホネート基を有するアクリルコポリマー(例えば、ポリ(スチレンスルホン酸)ナトリウム、及びビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー。
【0050】
界面重合プロセスによってカプセル化されるべきプロフレグランスが疎水性である場合(例えば、そのオクタノール/水分配係数の対数(logP)>1、好ましくは>2の場合)、これは水不混和性の相に含まれ、その後、2つの相は高剪断混合によって混合されて水中油型エマルションを形成する。このエマルションでは、重縮合反応が2つの相の間の界面で起こる。従って、油滴は、界面重縮合によって形成されるマイクロカプセルのシェルによって囲まれる。
【0051】
ポリウレア又はポリウレタンマイクロカプセルは、様々な種類の疎水性の利益剤、例えば、プロフレグランスを運ぶのに非常に適している。
【0052】
任意に、マイクロカプセルは、カチオン性コポリマーで被覆されてもよい。カチオン性ポリマーは、マイクロカプセルによって生じた負の電荷の部分的な又は完全な中和、又は更に負に荷電したマイクロカプセルの正に荷電したマイクロカプセルへの転換を可能にする。この本発明による効果のために、好ましいカチオン性ポリマーは、カチオン性ポリアクリレート及びアクリルアミド、例えば、Salcare(登録商標)SC60(製造元:BASF)、カチオン性セルロース誘導体、例えば、Ucare(登録商標)(製造元:Amerchol)の商標で入手可能なもの、及びJaguar(登録商標)(製造元:Rhodia)の商標で入手可能な四級化グアーガムを含む。使用できる他のカチオン性化合物は、その全てが複数の第四級アンモニウム基を有する、ポリクオタニウム化合物、又はポリマー種、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド/アクリルアミドポリマー、例えば、Merquat(登録商標)(製造元:Nalco)の商品名で入手可能なものを含む。
【0053】
本発明のマイクロカプセルは、典型的には20〜55%の固体含有率を有する、水性スラリーの形で提供され、その際、「固体含有率」との用語はマイクロカプセルの全質量を基準としている。あるいは、かかるスラリーは、一般的に知られた方法で噴霧乾燥されて粉末状製品を提供する。
【0054】
スラリーは、製剤助剤、例えば、安定化及び粘度制御親水コロイド、殺生剤、及び場合に応じてホルムアルデヒド捕捉剤を含有し得る。
【0055】
水性相は、有利には、マイクロカプセルの密度を調整するために、親水性無機粒子、例えば、シリカ粒子又は酸化チタンも含み得る。そうすることによって、マイクロカプセルの密度は、それらの粒子を導入することが意図される最終製品の密度に近い値になり得る。従って、該マイクロカプセルは均質に維持され、かかる液体製品中に懸濁且つ分散される。これは、芳香成分の比重が、通常、1g/mlよりも低いので、特に、芳香マイクロカプセルにおいて有利である。
【0056】
マイクロカプセルの平均粒径は、マイクロカプセルの形成の間に系にかけられる混合剪断応力に応じて、1マイクロメートル〜100マイクロメートルの間の範囲、又は更にそれ以上であってよい。最も適切な範囲とサイズ分布の選択は、マイクロカプセルが意図される用途によって変わり、且つこれらに応じて当業者によって制御され且つ調節され得る。一般的な方法では、本発明によるマイクロカプセルの平均サイズは1マイクロメートル〜600マイクロメートルの間の範囲であり、更に好ましくは、1〜200マイクロメートルの範囲を含む。
【0057】
本発明のマイクロカプセルは、20%より低い、好ましくは10%より低い、最も好ましくは7%より低い、基準のコアに対するシェルの質量比率によって特徴付けられており、従って、本発明は、プロフレグランスの分解によってフレグランス分子を拡散させる薄く且つ脆いシェルを提供する。
【0058】
基準のコアに対するシェルの質量比は、マイクロカプセルの製造に使用されるアミノ樹脂又はポリアミン又はポリオール及び/又はポリイソシアネートの量(従って、カプセルのシェル厚さ)に応じて変化し、これは送達系の性能に大きな影響を及ぼす。カプセル安定性の最大値に到達するための最適値及び最良の放出性能に到達する必要がある。本発明による特定の実施例がさらに示されている。例として、基準のコアに対するシェルの質量比は0.3〜0.01、好ましくは0.2〜0.05、最も好ましくは0.15〜0.06で変化し得る。
【0059】
本発明によるマイクロカプセルは、適用配合物中での貯蔵の間、プロフレグランスを早期の加溶媒分解(加水分解)から保護し、これを消費者製品で処理すると、対象の基板上のプロフレグランスの堆積が増大する。
【0060】
マイクロカプセルは、感光プロフレグランスの制御放出、場合により香料共成分の制御放出のためにそのように使用され得る。
【0061】
更に、本発明のコアシェルマイクロカプセルは、有利には、前記本発明のマイクロカプセルが添加される消費者製品の匂いを積極的に付与又は変更するために、現代香料の全分野、即ち、ファイン香料又は機能性香料でも使用され得る。
【0062】
その結果、
i)上に規定されるような、付香成分としての、少なくとも1種の本発明のマイクロカプセル;及び
ii)消費者製品ベース
を含む消費者製品も本発明の対象である。
【0063】
かかる消費者製品は固体又は液体製品であってよい。特定の実施態様によれば、液体製品が好ましい。
【0064】
明瞭にするために、「消費者製品」とは、通常、付香され且つ少なくとも付香効果を送達することが期待される消費者製品を意味し、換言すれば、これは付香された消費者製品である。
【0065】
明瞭にするために、「消費者製品ベース」とは、本願明細書では、付香成分、特に、式(I)の感光性プロフレグランスを含む、本発明による香料マイクロカプセルと適合し、且つそれが適用される表面(例えば、肌、髪、テキスタイル、又は硬質表面)に心地良い匂いを送達することが期待されるベース配合物を意味する。換言すれば、本発明による付香消費者製品は、所望の消費者製品、例えば、洗剤、布地柔軟剤、又はエアフレッシュナーに対応する、付香されていないベース機能配合物、並びに、例えば、嗅覚的有効量の本発明によるマイクロカプセルを含む。言うまでもなく、かかる消費者製品も、カプセル化されていない香料、即ち、遊離形態の香料成分も含有し得る。
【0066】
消費者製品の成分の性質及び種類は、本願明細書では更に詳細な説明を保証せず、いずれの場合も網羅されず、当業者であれば、彼らの一般的な知識及び前記製品の性質及び所望の効果に応じてそれらを選択することができる。
【0067】
本発明によるマイクロカプセルが有利に使用され得る消費者製品の非限定例としては、香水、コロン又はアフターシェーブローション;ファブリックケア製品、例えば、液体又は固体洗剤、柔軟仕上げ剤又はリフレッシャー、アイロン水、ティッシュ又は他の紙又はセルロースベース製品、例えば、おむつ、及び漂白剤又はホームケア製品、例えば、窓及びキッチンのクリーナー;ボディ及びヘアケア製品(例えば、シャンプー、着色剤、コンディショナー及びヘアスプレー)、化粧品(例えば、クリーム、ボディデオドラント又は制汗剤)、又はスキンケア製品(例えば、着香石鹸、シャワー又はバスムース、オイル又はジェル、又は衛生製品);エアケア製品、例えば、エアフレッシュナー又は「直ぐに使用できる」粉末状エアフレッシュナー;又はホームケア製品、例えば、ワイプ、食器用洗剤又は硬質表面用洗剤が挙げられる。
【0068】
上で予想された通り、本発明の組成物は、有利には、その芳香効果のような消費者製品に利益をもたらすために使用することができる。上記の揮発性C
6〜C
20芳香アルデヒド及びC
6〜C
20芳香ケトンの一部は、昆虫誘引又は忌避剤、医薬、殺菌剤、殺真菌剤又は悪臭対抗特性も有し得るため、本発明のマイクロカプセルを、昆虫誘引や忌避剤、医薬品、殺菌剤、防カビ剤や悪臭対抗の目的にかなう配合物にも使用できることは明らかである。実際に、前記マイクロカプセルは、特に、この目的に適したものにする複数の他の特性を有する。
【0069】
本発明によるマイクロカプセルを様々な前述の消費者製品中に導入できる割合は、広範囲の値で変化する。これらの値は、付香される物品の性質及び所望の感覚刺激効果並びに所与の消費者製品ベース中の共成分の性質に依存する。典型的には、消費者製品は、全消費者製品の質量を基準として、約0.01質量%〜約80質量%の本発明によるマイクロカプセルを含む。好ましくは、消費者製品は約0.01%〜約30%のマイクロカプセルを含む。更に好ましくは、消費者製品は約0.1%〜約15%のマイクロカプセルを含む。
【0070】
本発明のマイクロカプセルを導入できる消費者製品ベースの配合物は、かかる製品に関する豊富な文献に見出され得る。これらの配合物は、本願明細書では詳細な説明を保証せず、いずれの場合も網羅されない。かかる消費者製品を配合する分野の当業者であれば、彼らの知識及び入手可能な文献に基づいて適した成分を完全に選択することができる。特に、かかる配合物の例は、かかる製品に関する特許及び特許出願、例えば、WO2008/016684号(10頁〜14頁)、US2007/0202063号(段落[0044]〜[0099])、WO2007/062833号(26頁〜44頁)、WO2007/062733号(22頁〜40頁)、WO2005/054422号(4頁〜9頁)、EP1741775号、GB2432843号、GB2432850号、GB2432851号又はGB2432852号に見出され得る。
【0071】
本発明の別の対象は、特徴的な香料成分のフレグランスの表面上への拡散効果を強める又は長引かせる方法であって、前記表面を、優先的に、適切なプロフレグランス(I)に対応する少なくともアルデヒド及び/又はケトンを放出させることが可能な条件下にて、光の存在下で、
a)少なくとも1種の式(I)のプロフレグランス化合物を含有する、上に規定された、本発明のマイクロカプセル;
b)a)のマイクロカプセルを含む、上に規定された、本発明の付香組成物;又は
c)a)のマイクロカプセルを含む、上に規定された、付香された消費者製品
を用いて処理することを特徴とする、前記方法である。
【0072】
かかる処理に適した表面は、特に、テキスタイル、硬質表面、髪及び肌である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図1】
図1は、AFMによって測定された直径及びポリウレア濃度の関数としてのマイクロカプセルA4〜B4及びC4のシェル厚さを示す。
【
図2】
図2は、多目的表面クリーナー用途における、純粋な2−フェニルアセタルデヒド又はデカナールの、又は本発明による、マイクロカプセルA4又はE10からそれぞれ放出された2−フェニルアセタルデヒド又はデカナールの、又は対応する従来技術の2−オキソ−2−フェニルアセテートから放出された2−フェニルアセタルデヒド及びデカナールの蒸発に関する動的ヘッドスペース分析を示す。
【0074】
実施例
本発明は、その後、以下の実施例によって更に詳細に記載されており、その際、省略形は当該技術分野における通常の意味を有し、温度は摂氏度(℃)で示される。NMRスペクトルデータを、CDCl
3中で
1Hについて360MHz又は400MHzで、
13Cについて90.6MHz又は100.6MHzで、Bruker AMX360又は400スペクトロメータを用いて記録し、化学シフトδを標準としてSi(CH
3)
4についてppmで示し、カップリング定数JをHz(br.=ブロードピーク)で表す。市販の試薬及び溶媒を、別記しない限り更に精製することなく使用した。反応は、N
2下で標準的なガラス器具内で行った。
【0075】
幾つかの化合物について特定の配座又は立体配置が示されているが、これは、これらの化合物の使用が記載された異性体の使用に制限されることを意味しない。本発明によれば、全ての可能な配座又は立体配置の異性体が類似の効果を有することが予想されている。
【0076】
アルデヒド又はケトンの一般的な還元法
フレグランスアルデヒド又はケトン(約10g)のエーテル溶液(75ml)を、LiAlH
4(1当量)のエーテル懸濁液(80〜200ml)に0℃で撹拌しながら滴加した。反応混合物を、室温まで温めて、その後、20〜60分間、加熱還流した。0℃まで冷却した後、残りのLiAlH
4を水でクエンチした(場合により、少量のNaOH(10%)と水を添加した)。白色の沈殿の形成が見られ、これを濾過した。有機相を水で洗い、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮すると、所望の第1級又は第2級アルコールが得られた。
【0077】
(Z)−4−ドデカノールの製造
上記の通り、(Z)−4−ドデカナールから10.00g(98%)の無色の油状物が得られる。
【0078】
(±)−1−(3,3−及び5,5−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−4−ペンテン−1−オールの製造
上記の通り、(±)−1−(3,3−及び5,5−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−4−ペンテン−1−オンの混合物(約1:3.5)から9.99g(99%)の2種の異性体の混合物(約1:3.5)が得られる。
【0079】
(E)−及び(Z)−9−ウンデセン−1−オールの製造
上記の通り(E)−及び(Z)−9−ウンデセナール(約1:1)から10.02g(99%)の2種の異性体の混合物(約1:1)が得られる。
【0080】
(±)−[4−及び3−(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]メタノールの製造
上記の通り、35mlのエーテル中の5.00g(26.0ミリモル)の(±)−4−及び3−(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒドと、45mlのエーテル中の0.49g(12.9ミリモル)のLiAlH
4により1.5時間で、5.01g(99%)の2種の異性体の混合物(約7:3)が黄色の油状物として得られた。
【0081】
(±)−5−[4−及び5−(ヒドロキシメチル)−1−シクロヘキセン−1−イル]−2−メチル−2−ペンタノールの製造
上記の通り、(±)−3−及び4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒドから2種の異性体の混合物(約4:1)として10.33g(99%)の無色の油状物が得られた。
【0082】
(±)−1−(3,5,5,6,8,8−ヘキサメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフタレニル)−エタノールの製造
(±)−1−(3,5,5,6,8,8−ヘキサメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフタレニル)−1−エタノン(10.00g、38.7ミリモル)のエタノール溶液(65ml)を、LiAlH
4(1.48g、39.0ミリモル)のエーテル懸濁液(70ml)に0℃で1時間かけて滴加した。反応混合物を室温まで温めて、その後、1日加熱した。0℃まで冷却した後、更にLiAlH
4(0.76g、19.5ミリモル)を添加した。更に3日間還流した後、混合物を0℃まで冷却し、水を滴加した。有機相を水で抽出し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮すると、10.19g(99%)の生成物が得られた。
【0083】
((6S,7S)−3,5,5,6,7,8,8−ヘプタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)メタノールの調製
10.00g(38.7ミリモル)の(6S,7S)−3,5,5,6,7,8,8−ヘプタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−カルバルデヒドのエーテル(50ml)及びテトラヒドロフラン(THF、15ml)の溶液を、LiAlH
4(1.48g、39.0ミリモル)のエーテル(55ml)懸濁液に0℃で45分間かけて滴加した。反応混合物を室温まで温めたままにし、その後、1.5時間加熱還流した。室温まで冷却した後、残りのLiAlH
4を水(2ml)及びNaOH(10%、2ml)でクエンチし、水(6ml)を添加した。白色の沈殿の形成が見られ、これを濾過した。エーテルを添加し、有機相を水で洗い、乾燥(Na
2SO
4)させて濃縮すると、10.11g(量)の生成物が得られた。
【0084】
対照ポリウレアマイクロカプセル(比較のためだけに調製された、本発明の範囲外のマイクロカプセル)を含有する2−フェニルアセタルデヒドの調製
ビーカー内で、2−フェニルアセタルデヒド(17.50g、146ミリモル)及びポリイソシアネート(Desmodur(登録商標)N100、製造元:Bayer AG、1.17g、6.11ミリモル)を混合すると黄色の溶液が得られた。この溶液をポリ(ビニルアルコール)PVOH18−88(製造元:アルドリッチ、0.5g)の水溶液(49.5ml)に添加し、エマルションを4分間6500rpmでUltra-Turrax(S25N 18G)で撹拌することによって調製した。液滴サイズを光学顕微鏡によって制御した。エマルションを250mlの反応器に移し、これを室温にて350rpmで撹拌した。炭酸グアニジン(0.39g、4.36ミリモル)の水溶液(1ml)をエマルションに1時間かけて滴加した。この反応混合物を、室温から70℃まで1時間温め、その後、これを70℃で2時間、350rpmで撹拌すると、白色のマイクロカプセルの分散液が得られた。
【0085】
マイクロカプセルの分散液の安定性を、WO2011/161618号に記載された手順に従って確認した。分散液の時間による質量損失を、50℃で熱重量分析によって測定した。一般に、水の初期蒸発後に、プラトーが安定なマイクロカプセルで見られる。他方では、質量が継続的に減少する場合、これは多孔質のシェルと不安定なマイクロカプセルの存在を示す。2−フェニルアセタルデヒドのマイクロカプセルの質量損失が安定ではなかったため、マイクロカプセルがそれらのコアで2−フェニルアセタルデヒドを効率的に保持できなかったことが示唆される。対照的に、以下の実施例で調製された、本発明による全てのマイクロカプセルは、プラトーが熱重量分析で見られた事実によって示されるように安定であることが判明した。
【0086】
実施例1
式(I)による2−オキソアセテート誘導体の調製
2−オキソ−2−フェニルアセテートの一般的な調製方法
ベンゾイルギ酸(1当量)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP、0.1当量)及び放出されるべきアルデヒド又はケトンに対応するアルコール(10.00g、約1.7当量)のジクロロメタン溶液(50〜100ml)を、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、約1.2当量)のジクロロメタン溶液(40ml)を15〜30分間滴加する前に氷浴で冷却した。反応混合物を0℃で10分間撹拌し、その後、室温で3〜6時間撹拌した。反応物中に形成された沈殿を濾過し、エーテル中に取られた濾過物を、水(3×)、HCl(10%、3×)及びNaHCO
3(3×)の飽和溶液で洗った。有機層を、乾燥(Na
2SO
4)させ、濃縮すると、粗反応生成物が得られた。
【0087】
2−フェニルエチル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記のような一般法において、2−フェニルエタノール(5.00g、41.0ミリモル)を用いる。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル8:2〜7:3)により、5.52g(95%)の黄色の油状物が得られた。
【0088】
(Z)−3−ヘキセニル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記のような一般法において、(Z)−3−ヘキセン−1−オール(6.61g、50.0ミリモル、1.3当量)を、室温で48時間撹拌した。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル7:3)により8.04g(93%)の黄色油状物が得られた。
【0089】
(±)−3−メチル−5−フェニルペンチル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記のような一般法において、カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル4:1、次いで3:2)により9.48g(94%)の黄色の油状物が得られた。
【0090】
(1’R)−2−メチル−4−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シクロペンテン−1’−イル)−4−ペンテニル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記のような一般法において、カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル9:1、その後1:1)により9.35g(97%)の黄色の油状物がジアステレオマーの混合物として得られた。
【0091】
(Z)−4−ドデセニル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記のような一般法において(Z)−4−ドデセノール(10.41g、56.5ミリモル)を用いる。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル9:1)により9.86g(93%)の黄色の油状物が得られた。
【0092】
(Z)−3−ノネニル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記のような一般法において、ジクロロメタン(15ml)中の(Z)−3−ノネノール(1.28g、9.0ミリモル、1.4当量)及びジクロロメタン(7ml)中のDCCを、室温で24時間撹拌した。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/酢酸エチル9:1)により1.21g(66%)のわずかに黄色の油状物が得られた。
【0093】
(2E,6Z)−2,6−ノナジエニル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記のような一般法において、カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル9:1、その後1:1)により10.03g(90%)の黄色の油状物が得られた。
【0094】
(±)−2,6−ジメチル−5−ヘプテニル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記のような一般法において、室温で1.5時間撹拌した。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル4:1、その後1:1)により9.63g(86%)の黄色の油状物が得られた。
【0095】
(±)−1−(3,3−及び5,5−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−4−ペンテニル2−オキソ2−フェニルアセテートの調製
上記のような一般法において、カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル4:1、その後1:1)により7.69g(79%)の黄色の油状物が2種の異性体の混合物(約1:3.5)として得られた。
【0096】
デシル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記のような一般法において、ジクロロメタン(350ml)中のデカノール(32.50g、205.3ミリモル)及びジクロロメタン(150ml)中のDCCを、室温で一晩撹拌した。球管蒸留(残りのデカノールを除去するため)及び反復カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/酢酸エチル7:3)により、23.41g(67%)のわずかに黄色の油状物が得られた。
【0097】
(E)−及び(Z)−9−ウンデセニル−2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記のような一般法において、カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル7:3)により7.26g(70%)の黄色の油状物が異性体混合物として得られた。
【0098】
10−ウンデセニル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記のような一般法において、カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル7:3)により9.37g(89%)の黄色の油状物が得られた。
【0099】
(±)−3−(4−tert−ブチル−1−シクロヘキセン−1−イル)プロピル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記のような一般法において、室温で22時間撹拌した。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル9:1)により8.15g(83%)の黄色の油状物が得られた。
【0100】
(±)−7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクチル2−オキソ2−フェニルアセテートの調製
上記のように一般法において、カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル1:1)により9.25g(89%)の黄色の油状物が得られた。
【0101】
(±)−4−フェニルブタン−2−イル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記のように一般法において、カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル4:1)により9.14g(81%)の黄色の油状物が得られた。
【0102】
(±)−[4−及び3−(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]メチル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記の通り、ジクロロメタン(30ml)中の(±)−[4−及び3−(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセン−1−イル]メタノール(4.40g、22.7ミリモル、約7:3)を用いて室温で2時間撹拌した。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル4:1)により4.02g(94%)の生成物が異性体の混合物(約7:3)として得られた。
【0103】
(±)−[4−及び3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−イル]メチル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記のような一般法においてジクロロメタン(55ml)中の(±)−5−[4−及び5−(ヒドロキシメチル)−1−シクロヘキセン−1−イル]−2−メチル−2−ペンタノール(9.00g、42.2ミリモル、約4:1)を用いて、少量の未反応アルコールを含有する、11.51g(量)の2種の異性体の混合物(約4:1)が得られた。
【0104】
3−(3,3−及び1,1−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)プロピル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記のような一般法においてジクロロメタン(36ml)中の3−(3,3−及び1,1−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)プロパノール(6.00g、29.0ミリモル、約3:2)を室温で20時間撹拌した。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル9:1)により4.72g(88%)のわずかに黄色の油状物が位置異性体の混合物(約3:2)として得られた。
【0105】
(±)−1−(3,5,5,6,8,8−ヘキサメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフタレニル)エチル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記のような一般法においてジクロロメタン(50ml)中の(±)−1−(3,5,5,6,8,8−ヘキサメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフタレニル)エタノール(9.55g、36.7ミリモル)を、室温で18時間撹拌した。反復カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル4:1及び95.5)により5.68g(68%)の無色の油状物が得られた。
【0106】
((6S,7S)−3,5,5,6,7,8,8−ヘプタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)メチル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記のような一般法において((6S,7S)−3,5,5,6,7,8,8−ヘプタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)メタノール(10.15g、39.0ミリモル)及びジクロロメタン(20ml)中のDCCを、45分間添加し且つ室温で75時間撹拌した。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル4:1)により8.09g(91%)の生成物が得られた。
【0107】
(±)−3,5,6,6−テトラメチル−4−メチレンヘプタン−2−イル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記のような一般法においてジクロロメタン(70ml)中の(±)−3,5,6,6−テトラメチル−4−メチレンヘプタン−2−オール(6.16g、33.4ミリモル、複数の二重結合異性体のメジャー異性体)を用いる。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル9:1)により複数の異性体の混合物として4.69g(80%)の黄色の油状物が得られた。
【0108】
(Z)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
上記のような一般法において、DCCを50分間添加する。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル8:2)により9.55g(93%)のわずかに黄色の油状物が得られた。
【0109】
(E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
2−オキソ−2−フェニルアセテート(17.6g、99ミリモル)、(E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエノール(18.5g、120ミリモル)及びNaOCH
3(メタノール中30%、1.5ml)のシクロヘキサン溶液(170ml)を72時間加熱還流した。室温まで冷却した後、反応混合物をエーテル中に取出し、水(pH=7)で洗い、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過して濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル8:2)により14.5g(52%)のわずかに黄色の油状物が得られた。
【0110】
(E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル2−オキソプロパノエートの調製
2−オキソプロパン酸(3.40g、38.6ミリモル)、DMAP(0.48g、3.9ミリモル)及び(E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエノール(10.00g、64.8ミリモル)のジクロロメタン溶液(90ml)を氷浴で冷却し、その後、DCC(9.18g、44.5ミリモル)のジクロロメタン(45ml)溶液を30分間添加した。反応混合物を0℃で10分間撹拌し、その後、室温で約5時間撹拌した。反応物中に形成された沈殿物を濾過し、濾過物をエーテル中に取出し、これを水(3×)、HCl(10%、3×)、NaHCO
3(3×)の飽和溶液及び水で洗った。有機層を乾燥(Na
2SO
4)させて濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル4:1)により4.68g(53%)のわずかに黄色の油状物が得られた。
【0111】
(±)−(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−イル)メチル2−シクロヘキシル−2−オキソアセテートの調製
塩化オキサリル(10ml、116ミリモル)を、撹拌された(±)−(2,4−ジメチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル)メタノール(32.48g、233ミリモル、シス/トランス約4:1)のピリジン(270ml)溶液に0℃で15分間かけて滴加した。この溶液を室温まで温めて、21時間後に、冷たい水に注ぎ、ジエチルエーテル(2×)、H
2SO
4(10%)(2×)、NaHCO
3(飽和)及びNaCl(飽和)で抽出した。有機層を乾燥(Na
2SO
4)させて濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル8:2)により、32.85g(85%)の(±)−ビス[(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−イル)メチル]オキサラートが、わずかに黄色の油状物(シス/トランス異性体の混合物 約4:1)として得られた。
【0112】
新たに蒸留された1−ブロモシクロヘキサン(11.7g、71.7ミリモル)及びマグネシウム(1.9g、78.2ミリモル)のTHF溶液(72ml)を、撹拌された(±)−ビス[(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−イル)メチル]オキサラート(26.4g、78.9ミリモル)のTHF溶液(180ml)に−78℃で滴加した。混合物をゆっくりと−10℃まで温めて、NH
4Clの飽和溶液(100ml)でクエンチした。白色の沈殿の形成が見られた。反応混合物をエーテル(2×)及び水(3×)で抽出し、有機相をNa
2SO
4で乾燥させた。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル8:2)により、ビス[(2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−イル)メチル]オキサラートを更に含有する21.4gの粗生成物が得られた。0.5gの粗混合物のLobar(登録商標)カラム(SiO
2 Merck Si60−C、ヘプタン/エーテル9:1)のMPLCにより、最終的に0.22gの純粋な生成物が、わずかに黄色の油状物(シス/トランス異性体の混合物 約4:1)として得られた。
【0113】
(1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル2−オキソ−2−フェニルアセテートの調製
塩化オキサリル(6.11g、48.1ミリモル)を、撹拌された(−)−メントール(15.00g、96.0ミリモル)のピリジン(124ml)溶液に0℃で15分間かけて滴加した。この溶液を室温まで温めて、24時間後に、これをH
2SO
4(50%、200ml)と氷に注いだ。エーテルを添加し(200ml)、抽出された有機相を再びH
2SO
4(50%、200ml)で処理し、NaClの飽和溶液及びNaHCO
3(2×)の飽和溶液で洗った。有機層を乾燥(Na
2SO
4)させて濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル9:1)により、16.02g(91%)のビス((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)オキサラートが、無色の油状物として得られた。
【0114】
ブロモベンゼン(2.36g、15.0ミリモル)及びマグネシウム(0.39g、16.0ミリモル)から調製されたグリニャール試薬のTHF溶液(25ml)を、撹拌されたビス((1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル)オキサラート(5.00g、13.7ミリモル)のTHF溶液(25ml)に−78℃で滴加した。混合物をゆっくりと室温まで温めて、NH
4Clの飽和溶液(50ml)と氷でクエンチした。反応混合物をエーテル(2×)と水(2×)で抽出し、有機相を乾燥(Na
2SO
4)させた。反復カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル9:1)により1.28g(32%)の純粋な生成物が、わずかに黄色の油状物として得られた。
【0115】
あるいは、この化合物を上記の一般法と同様に調製した。
【0116】
(R)−3,7−ジメチル−6−オクテニル2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソアセテートの調製
1−ブロモ−4−メチルシクロヘキサン(20.0g、0.11モル)及びマグネシウム(2.9g、0.12モル)から調製されたグリニャール試薬のTHF溶液(110ml)を、機械的に撹拌されたジエチルオキサレート(16.0g、0.11モル)のTHF溶液(250ml)に−78℃で滴加(80分間)した。この混合物を2時間撹拌したままにし、その後、ゆっくりと0℃まで温めた。NH
4Clの飽和溶液(100ml)を添加すると、白色の沈殿の形成が見られた。ジエチルエーテル(2×)で抽出し、水で洗い、乾燥(Na
2SO
4)させ、濃縮すると、22.6gの粗組成物が得られた。10g(100℃/2ミリバール)の球管蒸留により7.74g(76%)のエチル2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソアセテートが、わずかに黄色の油状物(シス/トランス異性体の混合物 約1:3)として得られた。
【0117】
(R)−3,7−ジメチル−6−オクテノール(4.74g、30ミリモル)及びNaOCH
3(0.5ml、メタノール中30%)のシクロヘキサン溶液(50ml)を、水分離器を用いて還流下で2日間加熱した。室温まで冷却した後、エーテルを添加し、有機相をNaClの飽和溶液で洗い、乾燥(Na
2SO
4)させ、濾過して濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル7:3及びヘプタン/エーテル95:5)により、1.16g(15%)の純粋な生成物、即ち、無色の油状物がシス/トランス異性体の混合物(約1:3)として得られた。
【0118】
(E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソアセテートの調製
前述の実施例に記載される通り、(E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエノール(4.62g、30ミリモル)を用いる。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘプタン/エーテル8:2及びヘプタン/エーテル95:5)により、1.97g(26%)の純粋な生成物(シス/トランス異性体の混合物(約1:5))が得られた。
【0119】
実施例2
本発明によるメラミン−ホルムアルデヒドマイクロカプセルの調製
一般的な製造方法
式(I)の2−オキソアセテートの感光プロフレグランスを、Urecoll(登録商標)(Urecoll(登録商標)SMV:エーテル化メラミンホルムアルデヒド樹脂の、約78.8%の不揮発分を有する水溶液)及びコロイド安定剤(アクリル酸とアクリルアミドとのコポリマー(20質量%、製造元:アルドリッチ)の水溶液を、Ultra−Turrax撹拌により乳化するとスラリーが得られた。このスラリーは、界面における樹脂との安定な油/水エマルションであった。この混合物を反応器に導入し、一般的に知られた方法で加熱すると、樹脂の重合と架橋が達成されるので、油滴を囲う硬質のポリマーシェルが提供された。従って同じマイクロカプセルサイズを全て合成から得るために、Ultra−Turraxの撹拌速度を適合させた。
【0120】
この方法で、以下の表Iに記載されるように、A1からK1の文字によって示され、且つ実施例1に記載されるように得られた(E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル2−オキソ−2−フェニルアセテートをプロフレグランス(I)として全て含む、本発明による一連のマイクロカプセルを調製した。
【0121】
A1〜E1マイクロカプセル(Urecoll(登録商標)の量は以下の表Iを参照のこと)の合成の場合、撹拌速度は24000rpmであるが、F1〜K1マイクロカプセル(Urecoll(登録商標)の量は以下の表を参照のこと)の合成の場合、12000rpmの撹拌速度を使用した。
【0122】
それぞれの合成のために、マイクロカプセルは、それらのゼータ電位、サイズ分布及び熱重量分析(TGA)によって得られた残留固体パーセンテージによって特徴付けられた。カプセル化されたプロフレグランス(I)のパーセンテージは、分散液の質量を基準として43質量%から48質量%まで変化し、放出されるべき(E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナールのパーセンテージは20.8〜23.0%の間で変化する。
【0123】
測定されたゼータ電位は高度に負であり、これはマイクロカプセルの外表面が負に帯電されたことを示す。
【0124】
分散液の全質量に対して、使用される樹脂(Urecoll(登録商標))の量は、6.20質量%(マイクロカプセル中の「A1」)と0.35質量%(マイクロカプセル中の「K1」)との間で以下のように変化した:
【表1】
【0125】
樹脂濃度の変化とは別に、全ての他の合成パラメータを一定に保った。同様に、全てのマイクロカプセルを、Urecoll(登録商標)濃度の変化以外のパラメータがシェル厚さに及ぼす影響を避けるために比較のサイズを用いて調製した。
【0126】
実施例3
本発明によるメラミン−ホルムアルデヒドマイクロカプセルの調製
実施例2に記載された方法に従って、同じ方法で、以下の表IIに記載されるように、A2〜J2の文字によって示され、且つ実施例1に記載される通りに調製された2−フェニルエチル2−オキソ−2−フェニルアセテートをプロフレグランス(I)として全て含む、本発明による一連のマイクロカプセルを調製した。
【0127】
カプセル化されたプロフレグランス(I)のパーセンテージは、分散液の質量を基準として、43%から46%まで変化し、放出されるべき2−フェニルアセタルデヒドのパーセンテージは18.7〜20.1%の間で変化する。
【0128】
分散液の全質量を基準として使用される樹脂(Urecoll(登録商標))の量は、以下の通り、6.20質量%(マイクロカプセル中で「A2」)と0.70質量%(マイクロカプセル中で「J2」)の間で変化した:
【表2】
【0129】
樹脂濃度の変化とは別に、全ての他の合成パラメータを一定に維持した。同様に、全てのマイクロカプセルを、Urecoll(登録商標)濃度の変化以外のパラメータがシェル厚さに及ぼす影響を避けるために比較のサイズを用いて調製した。
【0130】
実施例4
本発明によるメラミン−ホルムアルデヒドマイクロカプセルの調製
実施例2に記載された方法に従って、同じ方法で、以下の表IIIに記載されるように、A3〜J3の文字によって示され、且つ実施例1に記載される通りに調製された(Z)−3−ヘキセニル2−オキソ−2−フェニルアセテートをプロフレグランス(I)として全て含む、本発明による一連のマイクロカプセルを調製した。
【0131】
カプセル化されたプロフレグランス(I)のパーセンテージは、分散液の質量を基準として43質量%から46質量%まで変化し、放出されるべき(Z)−3−ヘキセナールのパーセンテージは16.6〜17.8%の間で変化する。
【0132】
分散液の全質量に対して、使用される樹脂(Urecoll(登録商標))の量は、6.20質量%(マイクロカプセル中の「A3」)と0.70質量%(マイクロカプセル中の「J3」)との間で以下のように変化した:
【表3】
【0133】
樹脂濃度の変化とは別に、全ての他の合成パラメータを一定に保った。同様に、全てのマイクロカプセルを、Urecoll(登録商標)濃度の変化以外のパラメータがシェル厚さに及ぼす影響を避けるために比較のサイズを用いて調製した。
【0134】
実施例5
消費者製品(柔軟仕上げ剤)に導入される、本発明によるマイクロカプセルから放出されるフレグランスの動的ヘッドスペース分析
試料の調製
実施例2〜4に記載された複数のマイクロカプセルを、柔軟仕上げ剤において、それらが3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール(シトラール)、2−フェニルアセタルデヒド又は(Z)−3−ヘキセナールを放出する能力について、本願明細書で以下に記載される一般法を用いて試験した。
【0135】
以下の最終組成物を有する柔軟仕上げ剤を使用した:
Stepantex(登録商標)VL90 A(製造元:Stepan) 16.5質量%
塩化カルシウム(10%の水溶液) 0.6質量%
水 82.9質量%
【0136】
バイアル中で、プロフレグランス(I)の0.026ミリモルの全量に相当する、新たに調製されたマイクロカプセルの分散液を、上記の柔軟仕上げ剤(1.8g)に添加した。同時に、先行技術(WO99/60990号)からの0.026ミリモルの放出されるべき純粋なフレグランス成分又は0.026ミリモルの対応するカプセル化されていない式(I)のプロフレグランスのいずれかを含有する2種の新たに調製された柔軟仕上げ剤の標準試料(それぞれ1.8g)を、2つの追加のバイアル中でも調製した。
【0137】
均質化後に、試料を、600mlの脱塩化した冷たい水道水でビーカー内に分散させた。それぞれの場合に、標準的なコットンシート(約12×12cm)をそれぞれのビーカーに追加し、手動で3分間撹拌し、2分間放置し、その後、コットンシートを手で絞り、一定量の残留水を得るまで計った。コットンシートを暗所で24時間ライン乾燥させた。
【0138】
光への曝露と動的ヘッドスペース分析法(摩擦なし)
その後、コットンシートを、ヘッドスペースサンプリングセル(約160mlの容積)内で分析し、25℃に温度調節し、約200ml/分の一定の空気量に曝した。空気を、活性炭を通して濾過し、NaClの飽和溶液を通して吸引すると、約75%の恒湿が得られた。測定のために、本発明によるマイクロカプセルと先行技術のプロフレグランスを有するコットンシートを、ヘッドスペースサンプリングセル中に置き、それぞれ、キセノンランプ(約90000ルクスでHeraeus Suntest CPS)に曝す一方で、対応するフレグランス原料(光に反応しない)を有する対照シートを、別のヘッドスペースサンプリングセル中に置いて、自然の屋内日光に曝した。ヘッドスペースシステムを15分間平衡化し、その後、蒸発した揮発物を、清浄なTenax(登録商標)カートリッジ(0.10g)で10分間吸着させた。異なる試料をキセノンランプに曝した後に得られた結果を表IVにまとめる。
【表4】
【0139】
上で規定された、拡散性のマイクロカプセルは、一般的に、2−フェニルアセタルデヒド及び(Z)−3−ヘキセナールの放出のために、分散液を基準として約3.20%の樹脂の濃度で、及び10〜12ミクロンの間の直径で得られた。大きなマイクロカプセル及び対応する厚さのシェルを用いる場合、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナールの放出のために、拡散性のマイクロカプセルが約1.35%の樹脂濃度で得られた。
【0140】
全ての場合において、マイクロカプセルを含有するプロフレグランスについて測定されたヘッドスペース濃度が、対応するフレグランス原料を有する参考試料の濃度よりも優れていることが判明した。更には、放出されたフレグランス成分の量の増加と共に、マイクロカプセルを製造するために使用されたUrecoll(登録商標)の量の減少が見られた。これは拡散性のマイクロカプセルの製造に使用されるべき樹脂の最適量が存在することを示唆する。この量は、プロフレグランス分子の構造に依存し得る。例えば、1.35%のUrecoll(登録商標)と放出している3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナールで製造されたマイクロカプセルI1(拡散性)が、最高のヘッドスペース濃度をもたらす最良の送達系であることが判明し、その後に従来技術のカプセル化されていないプロフレグランス及びマイクロカプセルA1(非拡散性)が続き、大きさの順番では、マイクロカプセルF1及びB1(両方とも非拡散性)が続いた。2−フェニルアセタルデヒドの場合、この順番は、I2そしてF2(両方とも拡散性)であり、その後に、カプセル化されていない先行技術のプロフレグランス、そしてA2(非拡散性)が続くことが判明した。(Z)−3−ヘキセナールのヘッドスペース濃度は、比較的速い放出を示した。この場合、F3(拡散性)は、最高のヘッドスペース濃度をもたらす最良の送達系であり、その後に、カプセル化されていないプロフレグランス、そしてマイクロカプセルA3及びI3(両方とも非拡散性)が続いた。
【0141】
可視光に対するマイクロカプセルシェルの予想される好ましくない透明性の点で、本発明者らは驚くべきことに、式(I)のプロフレグランスを、本発明によるマイクロカプセル中にカプセル化することにより、フレグランスアルデヒド又はケトンの効率的な放出がもたらされることを見出した。試験した全ての場合において、少なくとも1つのマイクロカプセルが、拡散性であり、従って、従来技術のカプセル化されていないプロフレグランスよりも更に良好に機能することが見出された。更に、この優れた性能は、マイクロカプセルと対応するカプセル化されていないプロフレグランスで見られ、両方ともこの用途で新たに調製された。これらの条件下では、非カプセル化プロフレグランスの早期加溶媒は、適切ではなく、成熟した試料よりも高いプロフレグランスの性能をもたらす。
【0142】
実施例6
2−フェニルアセトアルデヒドを放出するためにプロフレグランスとして2−フェニルエチル2−オキソ−2−フェニルアセテートを含む、本発明によるポリウレアマイクロカプセルA4−I4の調製
異なるシェル厚さと組成を有するマイクロカプセルの合成
一般的な手順:ビーカー内で、ポリイソシアネート(Desmodur(登録商標)N100、製造元:Bayer AG、及び/又はTakenate(登録商標)D−110N、製造元:三井化学株式会社、表V)及びピレン−1−イルメタンアミニウムクロリドを、2−フェニルエチル2−オキソ−2−フェニルアセテート(実施例1で上記された通りに得られる)中に溶解した。この有機相をポリ(ビニルアルコール)PVOH18−88(1質量%、製造元:アルドリッチ社)の水溶液中に導入した。エマルションを、Ultra−Turrax撹拌(S25N 10G)によって製造した。液滴サイズを光学顕微鏡によって制御した。次に、エマルションを、250mlの反応器中に室温で導入し且つ350rpmでアンカーを用いて撹拌した。炭酸グアニジン及び/又はグアナゾール(表V、製造元:アルファエイサー)の水溶液を、エマルションに1時間かけて滴加した。反応混合物を室温から70℃まで1時間温め、その後、70℃で2時間維持すると白色の分散液が得られた。
【表5】
注記:マイクロカプセルA4及びD4は同じシェル/オイル比を有するが、異なるオイル/水比を有する。この組成は、それらが、それらのサイズに応じて同じシェル厚さを有し、従って、それらの特性と同程度であることが予想されることを示唆する。
【0143】
モデル香料及び、プロフレグランスとして、2−フェニルアセトアルデヒドを放出する2−フェニルエチル2−オキソ−2−フェニルアセテートを含む、本発明によるポリウレアマイクロカプセル14の調製
ビーカー内に、ポリイソシアネート(Takenate(登録商標)D−110N、5.36g、14.03ミリモル)及びピレン−1−イルメタンアミニウムクロリド(38.50mg、0.14ミリモル)を、モデル香料(20.14g、表VI)及び2−フェニルエチル2−オキソ−2−フェニルアセテート(20.00g、79.00ミリモル)中に溶解すると溶液が得られた。PVOH18−88(1質量%、54.90g)の水溶液中に有機相のエマルションを、6500rpmで4分間、最終的に13500rpmで2分間Ultra−Turrax撹拌(S25N 10G)によって調製した。液滴サイズを光学顕微鏡によって制御した。次に、エマルションを室温で250mlの反応器中に導入し、アンカーを用いて350rpmの速度で撹拌した。炭酸グアニジン(0.90g、10.03ミリモル)の水溶液(2ml)をエマルションに1時間かけて滴加した。反応混合物を、室温から70℃まで1時間温めて、次いで70℃で2時間維持すると、白色の分散液が得られた。
【表6】
【0144】
ポリウレアマイクロカプセルのシェル厚さ及びシェル組成が放出速度に及ぼす影響
マイクロカプセルA4−B4及びC4のシェル厚さの測定
マイクロカプセルの厚さと直径を、AFM(Nanoscope IV、NS4−1、デジタルインスツルメンツ社)によって測定した。3種の異なるマイクロカプセルの分散液(30mg)をアセトン中で希釈し、マイカシート上に堆積させ(5μL)、室温で24時間空気乾燥させた。次に単一のシェル厚さのマイクロカプセルを、乾燥した圧潰カプセルの平らな領域の半分の高さとして概算した。シェル厚さを、それぞれの試料のカプセル直径の関数としてプロットした(
図1を参照のこと)。
【0145】
シェル厚さの関数としての放出速度(摩擦なし)
マイクロカプセルのそれぞれの試料を、500rpmで、次いで2000rpmで遠心分離すると、2つの母集団が得られ、第1のものは6ミクロンに中心があり、第2のものは20ミクロンに中心がある。AFM測定によれば、6ミクロンの直径を有するマイクロカプセルは薄いシェルを有するべきである一方、20ミクロンのカプセルは厚いシェルを有するべきである。
【0146】
それぞれ100%、50%及び150%相当の樹脂で調製された3つのマイクロカプセルA4、B4及びC4の試料を処理した。カプセルの拡散率をヘッドスペース分析により決定した。マイクロカプセルの分散液をガラスのスライドの上に置き、暗所にて室温で24時間維持した。次に、1つのガラススライドをヘッドスペースサンプリングセル(約500mlの内容積)中に導入し、約200ml/分の一定の空気量に曝した。空気を活性炭で濾過し、NaClの飽和溶液を通して吸引すると、約75%の恒湿が得られた。ガラススライドを、それぞれ、キセノン光に曝した(約45000ルクスでHeraeus Suntest CPS)。蒸発した揮発物を、15分毎にクリーンTenax(登録商標)カートリッジ(0.10g)で10分間吸着させた。異なる試料をキセノンランプに曝した後に得られた結果を表VIIにまとめる。
【表7】
【0147】
100%と50%相当の樹脂で調製された小さいマイクロカプセルA4及びB4(約6ミクロンの直径を有する)が、それぞれ、非拡散性の150%相当の樹脂で調製されたマイクロカプセルC4とは対照的に、拡散性であることが判明した。他方では、約20ミクロンの直径を有する全てのマイクロカプセルA4、B4及びC4が、より厚いポリウレアシェルの結果として非拡散性であることが判明した。式(I)の対応するプロフレグランスを含有するマイクロカプセルA4、B4及びC4から放出される2−フェニルアセタルデヒドのヘッドスペース濃度と、2−フェニルアセタルデヒド含有の対照マイクロカプセル(上記の通りに調製された)について測定されたヘッドスペース濃度との比較は、光への曝露後に、前者が後者よりも数桁良好に機能することを示した。上記の通り、2−フェニルアセタルデヒド含有対照マイクロカプセルは、不安定であり且つ非拡散性(上で規定された判定基準によれば)である。これは、殆どの非カプセル化2−フェニルアセタルデヒドが、ガラススライド上に置かれた後、最初の24時間で蒸発したことを示した。更に、2−フェニルアセタルデヒド含有対照マイクロカプセルが、遊離の非カプセル化2−フェニルアセタルデヒドよりも効率が悪いことが判明し、同じ条件で適用し且つ分析すると、143ng/lのヘッドスペース濃度が得られた。
【0148】
シェル組成物の関数としての放出速度
2−フェニルアセタルデヒドのヘッドスペース濃度も、上記の手順に従ってシェルの組成の関数として測定した。マイクロカプセルE4は、芳香族イソシアネート(Takenate(登録商標)D−110N)を用いて調製するが、マイクロカプセルF4は、等モルの2種のアミノ化合物(炭酸グアニジンとグアナゾール)を用いて調製した。異なる試料をキセノンランプに曝した後に得られる結果を表VIIIにまとめる。
【表8】
【0149】
芳香族イソシアネートを用いて調製されたマイクロカプセルE4は、非拡散性であることが判明した(非カプセル化の対照よりも低い2−フェニルアセタルデヒドのヘッドスペース濃度を測定した)。グアナゾールの添加により、マイクロカプセルF4においてプロフレグランス(I)から放出される2−フェニルアセタルデヒドのヘッドスペース濃度が有意に減少し、その際、特にマイクロカプセルの直径が6ミクロンから20ミクロンまで上昇した。
【0150】
かかる非拡散性マイクロカプセルは、摩擦後に破裂効果をもたらし、これはカプセル化された純粋な成分又は非カプセル化化合物(I)では得られない。
【0151】
実施例7
(Z)−3−ヘキセナールを放出するためにプロフレグランスとして(Z)−3−ヘキセニル2−オキソ−2−フェニルアセテートを含む、本発明による、ポリウレアマイクロカプセルE5の調製
実施例6のマイクロカプセルE4について上記された方法に従って、類似の方法で、プロフレグランスとして(Z)−3−ヘキセニル2−オキソ−2−フェニルアセテートを含む本発明によるマイクロカプセル(実施例1に上記された通りに得られた)を調製した。
【表9】
【0152】
実施例8
(E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール(シトラール)を放出するためにプロフレグランスとして(E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル2−オキソ−2−フェニルアセテートを含む、本発明による、ポリウレアマイクロカプセルE6の調製
実施例6においてマイクロカプセルE4について上記された方法に従って、類似の方法で、プロフレグランスとして(E)−3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル2−オキソ−2−フェニルアセテート(実施例1に上記された通りに得られる)を含む本発明によるマイクロカプセルを調製した。
【表10】
【0153】
実施例9
(±)−3−メチル−5−フェニルペンタナール(Phenexal(登録商標))を放出するためにプロフレグランスとして(±)−3−メチル−5−フェニルペンチル2−オキソ−2−フェニルアセテートを含む、本発明による、ポリウレアマイクロカプセルE7の調製
実施例6においてマイクロカプセルE4について上記された方法に従って、類似の方法で、プロフレグランスとして(±)−3−メチル−5−フェニルペンチル2−オキソ−2−フェニルアセテート(実施例1に上記された通りに得られる)を含む本発明によるマイクロカプセルを調製した。
【表11】
【0154】
実施例10
(±)−3−(4−(tert−ブチル−1−シクロヘキセン−1−イル)プロパナール(Mugoxal(登録商標))を放出するためにプロフレグランスとして(±)−3−(4−tert−ブチル−1−シクロヘキセン−1−イル)プロピル2−オキソ−2−フェニルアセテートを含む、本発明による、ポリウレアマイクロカプセルE8の調製
実施例6においてマイクロカプセルE4について上記された方法に従って、類似の方法で、プロフレグランスとして(±)−3−(4−tert−ブチル−1−シクロヘキセン−1−イル)プロピル2−オキソ−2−フェニルアセテート(実施例1に上記された通りに得られる)を含む本発明によるマイクロカプセルを調製した。
【表12】
【0155】
実施例11
(2S,5R)−2−イソプピル−5−メチルシクロヘキサノン(メントン)を放出するためにベンジルアセテート及びプロフレグランスとして(1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル2−オキソ−2−フェニルアセテートを含む、本発明による、ポリウレアマイクロカプセルE9の調製
ビーカー内で、ポリイソシアネート(Takenate(登録商標)D−110N、5.35g、14.01ミリモル)とピレン−1−イルメタンアミニウムクロリド(39.00mg、0.15ミリモル)を、ベンジルアセテート(32g、213.00ミリモル)と(1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル2−オキソ−2−フェニルアセテート(8.03g、27.80ミリモル、実施例1に上記される通りに調製した)中に溶解して溶液を得た。PVOH18−88(1質量%、54.90g)の水溶液中の有機相のエマルションを、6500rpmで4分間、最終的に13500rpmで2分間Ultra−Turrax撹拌(S25N 10G)することにより調製した。この液滴のサイズを光学顕微鏡により制御した。次に、エマルションを室温で250mlの反応器中に導入し、350rpmの速度でアンカーを用いて撹拌した。炭酸グアニジン(0.91g、10.10ミリモル)の水溶液(2ml)をエマルションに1時間かけて滴加した。反応混合物を室温から70℃まで1時間温めて、その後、70℃で2時間維持すると白色の分散液が得られた。
【0156】
実施例12
1−デカナールを放出するためにプロフレグランスとしてデシル2−オキソ−2−フェニルアセテートを含む、本発明による、ポリウレアマイクロカプセルE10の調製
実施例11においてマイクロカプセルE9について上記された方法に従って、類似の方法で、プロフレグランスとしてデシル2−オキソ−2−フェニルアセテート(実施例1に上記された通りに得られる)を含む本発明によるマイクロカプセルを調製した。
【表13】
【0157】
実施例13
(±)−2,6−ジメチル−5−ヘプテナール(メロナール)を放出するためにプロフレグランスとして(±)−2,6−ジメチル−5−ヘプテニル2−オキソ−2−フェニルアセテートを含む、本発明による、ポリウレアマイクロカプセルE11の調製
実施例11においてマイクロカプセルE9について上記された方法に従って、類似の方法で、プロフレグランスとして(±)−2,6−ジメチル−5−ヘプテニル2−オキソ−2−フェニルアセテート(実施例1に記載された通りに得られる)を含む本発明によるマイクロカプセルを調製した。
【表14】
【0158】
実施例14
3−(3,3−及び1,1−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)プロパナールを放出するためにメチル2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートとプロフレグランスとして3−(3,3−及び1,1−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)プロピル2−オキソ−2−フェニルアセテートとを含む本発明によるポリウレアマイクロカプセルE12の調製
ビーカー内に、ポリイソシアネート(Takenate(登録商標)D−110N、1.34g、3.50ミリモル)とピレン−1−イルメタンアミニウムクロリド(10.30mg、0.04ミリモル)を、メチル2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテート(8.23g、36.40ミリモル)及び3−(3,3−及び1,1−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イル)プロピル2−オキソ−2−フェニルアセテート(2.01g、5.98ミリモル)中に溶解させて溶液を得た。PVOH18−88(1質量%、57.00g)の水溶液中に有機相のエマルションを、6500rpmで2分間、最終的に13500rpmで2分間Ultra−Turrax撹拌(S25N 10G)することによって調製した。液滴サイズを光学顕微鏡によって制御した。次に、エマルションを、250mlの反応器中に室温で導入し且つ350rpmの速度でアンカーを用いて撹拌した。炭酸グアニジン(0.45g、5.00ミリモル)の水溶液(1ml)をエマルションに1時間かけて滴加した。反応混合物を室温から70℃まで1時間温めて、その後、70℃で2時間維持すると白色の分散液が得られた。
【表15】
【0159】
実施例15
(E)−及び(Z)−9−ウンデセナール(アルデヒドスプラ)を放出するためにメチル2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートとプロフレグランスとして(E)−及び(Z)−9−ウンデセニル2−オキソ−2−フェニルアセテートとを含む本発明によるポリウレアマイクロカプセルE13の調製
実施例14においてマイクロカプセルE12について上記された方法に従って、類似の方法で、プロフレグランスとして(E)−及び(Z)−9−ウンデセニル2−オキソ−2−フェニルアセテート(実施例1に記載された通りに得られる)を含む本発明によるマイクロカプセルを調製した。
【表16】
【0160】
実施例16
2−フェニルアセタルデヒドを放出するためにプロフレグランスとして2−フェニルエチル2−オキソ−2−フェニルアセテートを含む、本発明によるホルムアルデヒド不含メラミンマイクロカプセルA14及びB14の調製
オリゴマー組成物の調製:
50mlの丸底フラスコ内に、オキサールアルデヒド(水中40%w/w、2.11g)、2,2−ジメトキシアセタルデヒド(60%w/w水中、1.69g)、2−グリオキサル酸(50%w/w水中、0.72g)、及び1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(1.11g)を脱塩水(1.90g)に添加した。水酸化ナトリウム(30%w/w水中)を用いてpHを9.0に調整した。混合物を45℃で25分間加熱すると溶液(pH=6.6)が得られた。次に脱塩水(8.35g)を添加して、樹脂を5分間撹拌した。
【0161】
マイクロカプセルの調製
オリゴマー組成物の溶液を、Ambergum(商標)1221の溶液に溶解し、且つグアナゾール(C
1〜4ジアミノ化合物、0.98g)と脱塩水(32.5g、pH=9.00〜9.50)の存在下で200mlの反応器中に導入した。2−フェニルエチル2−オキソ−2−フェニルアセテートとポリイソシアネートの溶液を添加して、Ultra−turraxを用いて21500〜24000rpmで2分間乳化した。ギ酸(水中30%w/w)を用いてpHを5.00〜5.50に調節した。反応混合物を80℃で4時間加熱し、次いで室温まで冷却した(pH=5.50〜6.00)。マイクロカプセルのスラリーを、水酸化ナトリウムの溶液(水中30質量%)で中和した。
【表17】
【0162】
実施例17
消費者製品(デイクリーム)中の本発明によるマイクロカプセルの新たな試料から放出される付香成分の官能的分析
この試験を、相A〜Dから配合され且つ以下の最終組成物を有する標準的なデイクリームを用いて実施した:
【表18】
【0163】
デイクリームの製造
相A及びBを別々に70〜75℃まで加熱し、その後、相Aを相Bに添加した。真空をかけて、相を混合し、その後、混合物を室温まで冷却した。65℃から55℃までの冷却中(約15分間)にコロイドミル(MZ型、Fryma VME-120ミキサーに組み込まれ且つ横歯研削セットで構成される)のスイッチ(0.4開放)を入れた。相C(Nipaguard PO 5)を45〜50℃で添加し、混合物を5分間混合し続け、その後、相D(PNC400)を添加した。3分後に、コロイドミルのスイッチ(0.4開放)を入れ、15分間運転し続けた。室温で混合を再開し、30℃で、再びミルを、均質で光沢があり且つ塊のないクリームになるまで、更に15分間スイッチオンにした。最終的に、必要であれば、(例えば、クエン酸の溶液を用いて)pHを要求される値に調節した。
【0164】
実施例3に記載される通りに調製されたメラミン−ホルムアルデヒド拡散性マイクロカプセルI2から放出される付香成分(2−フェニルアセタルデヒド)の官能的分析
実施例3において上記されたカプセル分散液I2(0.24g、0.05%のアルデヒドに相当する)を、上記のデイクリーム(99.76g)に添加した。異なるデイクリーム(0.15g)の試料を厚紙ブロッター(4.5cm×12cm)上に塗布した。3つのブロッターをそれぞれの試料のために準備した。ブロッターを暗所にて室温で3.5時間保管した。1つのブロッターを暗所にて保持し、他の2つを365nmで1時間光に曝した(UVP Upland UVL−28ランプ、 365nm、8Wを用いる)。
【0165】
ブロッターの嗅覚的な強さを、「0」(匂いなし)から「10」(非常に強い匂い)までのスケールを用いて、6〜8人のパネリストによって評価した。異なる試料について以下の平均強さを測定した:
【表19】
【0166】
評価は、暗所に保管した試料と365nmで光に1時間曝した試料との間で強さに有意差があることを示した。
【0167】
実施例6に記載される通りに調製されたポリウレアマイクロカプセルD4及びE4から放出される付香成分(2−フェニルアセタルデヒド)の官能的分析
デイクリーム(それぞれ、99.78g及び99.72g)中の、0.05%のアルデヒドに相当する、マイクロカプセルD4及びE4(それぞれ、0.22g及び0.28g)の分散液を用いて、マイクロカプセルI2について上記された通りに試料を調製して分析した。光に曝した2つのブロッターのうちの1つを更に擦った。
【0168】
異なる試料について以下の平均強さを測定した:
【表20】
【0169】
評価は、暗所で保管した試料、365nmで光に1時間曝した試料、さらに新たに擦った試料の間で強さに有意差があることを示した。この結果は、マイクロカプセルA4に類似するマイクロカプセルD4が生成したアルデヒドに対して拡散性である一方、非拡散性マイクロカプセルE4は対応するアルデヒドを保持したが、(摩擦によるカプセルの破壊後に示されるように)その形成を妨げなかったことを示す。
【0170】
摩擦後の非拡散性マイクロカプセルE4は、拡散性マイクロカプセルD4よりも(平均して)かなり強い効果をもたらすので、本発明による拡散性及び非拡散性マイクロカプセルのブレンドを使用することに対して実際的な関心を示している。
【0171】
実施例7に記載されたポリウレアマイクロカプセルE5から放出される付香成分((Z)−3−ヘキセナール)の官能的分析
デイクリーム(99.70g)中の実施例7に記載されたマイクロカプセルE5(0.30g、0.05%のアルデヒドに相当する)の分散液を用いてマイクロカプセルI2について上記された通りに試料を調製して分析し、これを暗所にて室温で3.3時間保管した。
【0172】
異なる試料について以下の平均強さを測定した:
【表21】
【0173】
評価は、暗所で保管した試料、365nmで光に1時間曝した試料、さらに新たに擦った試料の間で強さに有意差があることを示した。マイクロカプセルE4とは対照的に、結果は、マイクロカプセルE5が生成したアルデヒドに対して僅かに拡散性であることを示す。
【0174】
実施例8に記載されたポリウレアマイクロカプセルE6から放出される付香成分(シトラール)の官能的分析
デイクリーム(99.77g)中の、実施例8に記載されたマイクロカプセルE6の分散液(0.23g、0.05%のアルデヒドに相当する)を用いて、マイクロカプセルI2について上記された通りに試料を調製して分析した。
【0175】
異なる試料について以下の平均強さを測定した:
【表22】
【0176】
評価は、暗所で保管した試料、365nmで光に1時間曝した試料、さらに新たに擦った試料の間で強さに有意差があることを示した。この結果は、非拡散性マイクロカプセルE6は対応するアルデヒドを保持したが、(摩擦によるカプセルの破壊後に示されるように)その形成を妨げなかったことを示す。
【0177】
実施例10に記載されたポリウレアマイクロカプセルE8から放出される付香成分(Mugoxal(登録商標))の官能的分析
デイクリーム(99.41g)中の、実施例10に記載されたマイクロカプセルE8の分散液(0.59g、0.05%のアルデヒドに相当する)を用いて、マイクロカプセルI2について上記された通りに試料を調製して分析した。
【0178】
異なる試料について以下の平均強さを測定した:
【表23】
【0179】
評価は、暗所で保管した試料、365nmで光に1時間曝した試料、さらに新たに擦った試料の間で強さに有意差があることを示した。この結果は、マイクロカプセルE8が生成したアルデヒドに対して僅かに拡散性であることを示す。
【0180】
実施例16に記載されたホルムアルデヒド−遊離メラミンマイクロカプセルB14から放出される付香成分(2−フェニルアセタルデヒド)の官能的分析
デイクリーム(99.75g)中の、実施例16に記載されたマイクロカプセルB14(0.25g、0.05%のアルデヒドに相当する)の分散液を用いて、マイクロカプセルI2について上記された通りに試料を調製して分析した。
【0181】
異なる試料について以下の平均強さを測定した:
【表24】
【0182】
評価は、暗所で保管した試料、365nmで光に1時間曝した試料、さらに新たに擦った試料の間で強さに有意差があることを示した。結果は、マイクロカプセルB14が生成したアルデヒドに対して僅かに拡散性であることを示す。
【0183】
実施例18
消費者製品(デイクリーム)中の本発明のマイクロカプセルの熟成した試料から放出される付香成分の官能的分析
実施例3に記載された拡散性マイクロカプセルI2から放出される付香成分(2−フェニルアセタルデヒド)の官能的分析
試験を、実施例17に上記された標準的なデイクリームベースを用いて実施した。
【0184】
実施例3に上記されたカプセル分散液I2(0.24g、0.05%のアルデヒドに相当する)をデイクリーム(99.76g)に添加した。試料を、フリッジにて3℃で保管し、オーブンにて45℃で3ヶ月間保管した。
【0185】
異なるデイクリーム試料(0.15g)を2つの厚紙ブロッター(4.5cm×12cm)上に塗布した。一方のブロッターを暗所(室温)にて1時間保管し、他方を365nmで光に1時間曝した(UVP Upland UVL-28ランプを用いる、365nm、8W)。ブロッターの嗅覚的な強さを、「0」(匂いなし)から「10」(非常に強い匂い)までのスケールを用いて、5〜14人のパネリストによって評価した。異なる試料について以下の平均強さを測定した:
【表25】
【0186】
評価は、暗所で保管した試料、365nmで光に1時間曝した試料、及び3℃で保管した試料を比較した時に強さに有意差があることを示した。
【0187】
45℃で保存した試料の場合、ブロッター間で有意な嗅覚的な差は見られなかった。実施例3のマイクロカプセルI2は、デイクリーム用途において嗅覚的に安定ではなかった。
【0188】
実施例6に記載されたマイクロカプセルD4から放出される付香成分(2−フェニルアセタルデヒド)の官能的分析
デイクリーム(99.78g)中の、実施例6に記載されたマイクロカプセルD4(0.22g、0.05%のアルデヒドに相当する)の分散液を用いて、マイクロカプセルI2について上記された通りに試料を調製して分析した。
【0189】
異なる試料について以下の平均強さを測定した:
【表26】
【0190】
評価は、暗所で保管した試料、365nmで光に1時間曝した試料、及び3℃で保管した試料を比較した時に強さに有意差があることを示した。
【0191】
45℃で保存した試料の場合、ブロッター間で有意な嗅覚的な差は見られなかった。実施例6のマイクロカプセルD4は、デイクリーム用途において嗅覚的に安定ではなかったが、それにもかかわらず、それらは摩擦後に機能し、従って、少なくとも一部の感光プロフレグランスは、これらの条件下で加水分解に対して安定であった。
【0192】
実施例6に記載されたマイクロカプセルE4から放出される付香成分(2−フェニルアセタルデヒド)の官能的分析
デイクリーム(99.72g)中の実施例6に記載されたマイクロカプセルE4(0.28g、0.05%のアルデヒドに相当する)の分散液を用いて、マイクロカプセルI2について上記された通りに試料を調製して分析した。試料をフリッジにて3℃で保管し、オーブンにて45℃で1ヶ月保管した。
【0193】
異なる試料について以下の平均強さを測定した:
【表27】
【0194】
評価は、暗所で保管した試料、365nmで光に1時間曝した試料、及び3℃で保管した試料を比較した時に強さに有意差があることを示した。
【0195】
45℃で保存した試料の場合、ブロッター間で有意な嗅覚的な差は見られなかった。実施例6のマイクロカプセルE4は、デイクリーム用途において嗅覚的に安定ではなかったが、それにもかかわらず、それらは摩擦後に機能し、従って、少なくとも一部の感光プロフレグランスは、これらの条件下で加水分解に対して安定であった。
【0196】
実施例19
消費者製品(多目的表面クリーナー)に導入される、本発明によるマイクロカプセルから放出されるフレグランスの動的ヘッドスペース分析
試料の調製
本発明のマイクロカプセルの付香成分としての使用を、多目的クリーナー(APC)で試験した。
【0197】
以下の最終的な組成を有するAPCベースを調製した:
Neodol(登録商標)91−8(製造元:Shell Chemicals) 5.0質量%
Marlon(登録商標)A 375(製造元:Huels AG) 4.0質量%
クモールスルホン酸ナトリウム 2.0質量%
Kathon(登録商標)CG(製造元:Rohm and Haas) 0.2質量%
水 88.8質量%
【0198】
測定のために、約10.0(±2.0)μmの平均カプセル直径を有するフラクションを得るために実施例6に記載される通りに調製され且つ遠心分離されたマイクロカプセルA4を使用した。同様に、実施例12に記載される通りに調製されたマイクロカプセルE10を第2の実験で使用した。
【0199】
APC(1ml)を、新たに調製されたマイクロカプセルA4又はE10(それぞれ放出されるべきフレグランスの全量に対して0.012ミリモル)の分散液に添加した。次に、試料を脱塩した水道水(9ml)を添加することによって希釈した。2−フェニルエチル2−オキソ−2−フェニルアセテート又はデシル2−オキソ−2−フェニルアセテートのいずれかを従来技術からの式(I)の対応する非カプセル化プロフレグランス(WO99/60990号、実施例1に記載される通りに得られる)として含有する参照試料又は変性されていない2−フェニルアセタルデヒド又はデカナール(それぞれ0.012ミリモル)を同じ方法で調製した。次に、試料(0.75ml)を基材の表面上に注意深くピペット操作することによって、試料を多孔質のセラミックプレート(約5×10cm)上に膜として堆積させた。この試料を次いで結晶皿(2l)で覆い、室温で周囲屋内光に曝した。
【0200】
光への曝露と動的ヘッドスペース分析法
24時間後に、セラミックプレートをそれぞれヘッドスペースサンプリングセル(約625ml)内に置いた。マイクロカプセルA4、E10、2−フェニルエチル2−オキソ−2−フェニルアセテート又はデシル2−オキソ−2−フェニルアセテートを有する試料を、キセノンランプ(約90000ルクスでHeraeus Suntest CPS)に曝す一方で、遊離2−フェニルアセタルデヒド又は遊離デカナールを有する試料を屋内日光に曝した。約200ml/分の一定の空気量を試料に通した。空気を、活性炭を通して濾過し、(約75%の恒湿の空気を保証するために)NaClの飽和溶液を通して吸引した。この実験準備において、ヘッドスペースサンプリングセルは温度調整されず、測定の間に温度の上昇が見られた。ヘッドスペースシステムは15分間平衡のままであり、その後、揮発物がクリーンTenax(登録商標)カートリッジに10分間、次いで廃棄物カートリッジに20分間吸着された。次に、4回連続して、揮発物をクリーンカートリッジに10分間、そして廃棄物カートリッジに20分間吸着させた。HP 1キャピラリーカラム(30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)とFID検出器を備えたAgilent 7890 Aガスクロマトグラフィーに連結されたPerkin Elmer TurboMatrix ATD脱着装置でカートリッジを脱着した。揮発物を、60℃から出発して130℃まで15℃/分、次いで220℃まで40℃/分の2段階の温度勾配を用いて、ガスクロマトグラフィー(GC)によって分析した。ヘッドスペース濃度(ng/l空気)は、エタノール中の5〜7つの異なる2−フェニルアセタルデヒド又はデカナール濃度を用いて外部標準較正によって得られた。0.2μlの異なる較正溶液を、それぞれ、Tenax(登録商標)カートリッジに3回注入し、これを速やかにヘッドスペースサンプリングから得られるものと同じ条件下で脱着した。測定を二重反復試験で行った。2−フェニルアセトアルデヒド及びデカナールの放出について得られた結果を
図2にまとめる。
【0201】
図2aから分かるように、本発明のマイクロカプセルA4は、遊離対照アルデヒド又は従来技術の2−フェニルエチル2−オキソ−2−フェニルアセテートから放出された遊離対照アルデヒドよりも良好に機能する。従って、マイクロカプセルA4は(上に規定された基準によれば)拡散性であると考えられ得る。25分後に、マイクロカプセルA4を有する試料について、遊離アルデヒドを有する対応する対照試料と比べてほぼ150倍高い、従来技術のプロフレグランスと比べてほぼ2倍高いヘッドスペースの2−フェニルアセタルデヒドが測定された。145分後に、対照よりも更に約25倍を上回り、従来技術のプロフレグランスよりも約1.4倍を上回る2−フェニルアセタルデヒドが、マイクロカプセルを有する試料から蒸発した。
【0202】
図2bは、本発明のマイクロカプセルE10が、遊離の対照アルデヒドよりも良好に機能し且つ従来技術のデシル2−オキソ−2−フェニルアセテートから放出されるアルデヒドよりも僅かに少ないことを示す。従って、マイクロカプセルE10は、非拡散性であると考えられ得る。