特許第6188710号(P6188710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6188710アナログ/デジタル変換器の入力部で電圧パルスのランダムストリームを調節するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188710
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】アナログ/デジタル変換器の入力部で電圧パルスのランダムストリームを調節するための装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/3745 20110101AFI20170821BHJP
   H04N 5/378 20110101ALI20170821BHJP
   H03M 1/12 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   H04N5/3745
   H04N5/378
   H03M1/12 A
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-543887(P2014-543887)
(86)(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公表番号】特表2015-502717(P2015-502717A)
(43)【公表日】2015年1月22日
(86)【国際出願番号】EP2012073948
(87)【国際公開番号】WO2013041733
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2015年11月18日
(31)【優先権主張番号】1161116
(32)【優先日】2011年12月2日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506423291
【氏名又は名称】コミサリア ア レネルジィ アトミーク エ オ ゼネ ルジイ アルテアナティーフ
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ロステン,ジャン−ピエール
【審査官】 松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−243861(JP,A)
【文献】 特開2008−122167(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/027551(WO,A1)
【文献】 特開2006−223006(JP,A)
【文献】 特開2002−135657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225−5/378
H03M 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧パルス(Vimp)のランダムストリームを、調整されたデジタルデータのストリームに変換するための装置(100)であって、前記装置は、ストリーム調整装置(10)と、前記ストリーム調整装置(10)の出力におけるアナログ/デジタル変換器(4)とを含み、前記変換器は、ある変換周波数でアナログ/デジタル変換を行い、前記ストリーム調整装置(10)は、K個の並列に配置されたアナログメモリセルからなるバッファメモリ(13)を含み、ただし、Kは整数であり、かつK>1であり、
前記メモリセルの各々は、
前記メモリセル(Cell)の入力と出力の間の直列の第1のスイッチ(1a)および第2のスイッチ(1b)であって、前記第1のスイッチが、振幅検出ユニット(12)の出力に接続され、および前記第2のスイッチが、前記変換器(4)の入力に接続される第1および第2のスイッチと、
両スイッチに共通のノードと、基準電位(Vref)との間に配置されたコンデンサ(Ce)とを含み、
前記バッファメモリには、書き込み段階において、受け取ったパルスの各々の場合の電圧信号が格納され、および前記バッファメモリの読み出しは、前記変換周波数で調節され、および前記書き込みに対して非同期的に行われることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記調整装置(10)は、
入力において前記パルス(Vimp)を受け取り、および受け取った各パルスに対して、その振幅が前記パルスの最大振幅に比例するアナログ信号(Vin)を生成する振幅検出ユニット(12)であって、前記アナログ信号(Vin)が前記バッファメモリ(13)に供給される振幅検出ユニットと、
入力において前記パルス(Vimp)を受け取り、およびパルス検出時間の間に、高レベルに変化する第1の二値信号(Vevt)を出力において生成するパルス検出ユニット(11)であって、バッファメモリ(13)に書き込むために、前記第1の二値信号(Vevt)が制御手段(14)に送られるパルス検出ユニット(12)と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記バッファメモリ(13)は、前記第1の二値信号(Vevt)が高レベルに変化した場合に、前記第1のスイッチ(1a,2a,…,Ka)をオン状態に変化させ、および前記変換周波数で第2の二値信号(Ck)が高レベルに変化した場合に、前記第2のスイッチ(1b,2b,…,Kb)をオン状態に変化させる制御手段(14)をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の装置(100)。
【請求項4】
光電検出器と、画素に関連する電子回路であって、前記光電検出器は、入射光子(ph)を受け取ること、および出力において電流パルス(i)を放射することが可能であり、前記電子回路は、演算増幅器(A1)の出力と反転入力との間に並列に配置された第1のコンデンサ(Cint)および第1の抵抗器(Rp)を含む集積回路(2)を含み、前記演算増幅器(A1)の前記反転入力は、前記電流パルス(i)を受け取り、前記集積回路は、出力において電圧パルス(Vimp)を放射し、前記電子回路は、前記集積回路(2)の出力(Vimp)を入力において受け取り、および出力において、調整されたデジタル信号を前記変換周波数で放射する、前述の請求項のいずれか一項に記載の変換装置(100)も含むことを特徴とする光電検出器および電子回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、画像システムのための、アナログ/デジタル変換器の入力部で用いる電圧パルスのランダムストリームを調節するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像システムは、広範な電磁放射に敏感(sensitive)な画素のマトリクスからなる。光電検出器および超小型電子回路が各画素に関連付けられている。
【0003】
光電検出器は、それに対して敏感であるエネルギhvの光子の入射ストリームを受けると、当該入射ストリームに比例する電荷を生成する。その結果生じる電流は、その後、増幅されて、画素の電子回路によって処理される。当該電子回路は、当該検出器が受け取った光子のエネルギを測定することにより、可視画像を再構成するのに必要な信号を生成する。
【0004】
画像システムの2つの重要な性質、すなわち、その空間分解能およびそのエネルギ分解能を考慮しなければならない。
【0005】
空間分解能は、全ての画素に対して同一であると考えられ、画像の基本ポイントのサイズを規定する当該光電検出器の寸法に依存する。
【0006】
一方、エネルギ分解能は、関連する光電検出器が受け取った全ての光子のエネルギを測定する当該電子回路の能力に依存する。実際には、受け取った一定の光子のエネルギの損失が、再構成された画像の分解能を低下させる可能性があることを理解されたい。
【0007】
空間分解能を制御することは容易であるが、エネルギ分解能の向上は、当該電子回路の仕様と、当該電子回路に関する制約とによって限定される。実際には、当該画素に関する電子回路は、かなりの技術的制約を受け、とりわけ、当該電子回路は、低消費で、高い動特性を有していなければならない。
【0008】
光電検出器と、画素に関連する超小型電子回路とからなるアセンブリのブロック図を図1に示す。光電検出器1は、入射光子phを受け取り、当該電子回路は、検出器1によって供給された信号を測定する前置増幅器2と、前置増幅器2によって供給された当該信号を処理するヘッド増幅装置3と、ヘッド増幅装置3によって供給された当該信号をデジタル化して、入射光子のエネルギヒストグラムを得るエネルギ定量化回路4とからなる。受け取った当該入射光子phのエネルギスペクトルは、このヒストグラムから得ることができる。
【0009】
画像システムは、高速で到達する入射光子のエネルギを精密に測定できなければならない。現在の標準は、およそ10.s−1.mm−2の入射光子ストリームに対して1%程度の検出分解能である。
【0010】
これを実現するため、各画素のために、前置増幅器2、ヘッド増幅装置3および変換器4は、信号が検出器1からアナログ/デジタル変換器4へ送られる間の信号損失を可能な限り限定するために、高信号対雑音比を有していなければならない。
【0011】
最も有効な低雑音前置増幅器は、電流積算器をもちいる増幅器である。図2は、検出器1に関連するそのようなアセンブリを示す。
【0012】
検出器1は、光子ストリームに敏感な材料から形成された素子Mと、素子Mを高電圧HTに接続する抵抗器Rとを含む。当該電流積算器回路は、コンデンサC1と、増幅器A1と、コンデンサCintと、抵抗器Rpとを含む。コンデンサC1は、増幅器A1の非反転入力に設けられ、コンデンサCintおよび抵抗器Rpは、増幅器A1の反転入力と出力との間に並列に設けられている。
【0013】
概略的には、光子が、十分なエネルギで材料M内に入った場合、当該光子が作用して、当該材料中に電荷を生成することができ、それらの電荷は、当該検出器に印加された電界の影響下で分離される。そして、素子Mは、光子phが検出されている間、検出電流i(t)を生成する。より具体的には、当該材料中で作用した各光子に対して、電流パルスが生成される。
【0014】
検出器1の出力に設けられた前置増幅器2は、電流i(t)をパルスの形で受け取り、それに応答して、以下の数式によって与えられるパルスの形で、電圧Vimp(t)を生じさせる。
【0015】
【数1】
【0016】
ただし、Qは、その半導体材料に作用する光子phによって生成された電荷の量である。
【0017】
電子回路2によって供給された電圧Vimp(t)は、ヘッド増幅装置3の入力電圧に等しい。
【0018】
ヘッド増幅装置3は、検出された光子のエネルギ、すなわち、電子回路2の出力で得られたパルスの振幅を測定できるようになっている。当該増幅装置は、例えば、信号対雑音比を最適化するために、電子回路2の出力に帯域通過フィルタを、および当該信号の最大パルスを測定するために、当該帯域通過フィルタの出力にピーク検出器を含むことができる。
【0019】
次に、ヘッド増幅装置3は、その高さが、検出器1の端子で生成されたパルスに比例する、すなわち、光子phによって転送されたエネルギに比例する電圧パルスE(t)を、当該検出器材料に供給する。
【0020】
次いで、この電圧パルスE(t)は、一般に、アナログ/デジタル変換器4である定量化回路4によってデジタル化される。このようにして得られた当該デジタル値は、所定のエネルギ閾値以上のエネルギ値を識別するようにプログラムされているコンピュータに供給される。
【0021】
ヘッド増幅装置3の出力においては、変換器4の入力における電圧パルスE(t)の到来の頻度はランダムである。
【0022】
そして、アナログ/デジタル変換器は、入力電圧の処理時間に等しい変換時間を要することが分かっている。より具体的には、受け取った各パルスE(t)に対して、当該変換器は、当該パルスの電圧を処理するために、期間φが必要であろう。その場合、当該パルスの電圧は、当該変換器のクロック期間に等しい変換段階中に処理されるといわれている。当該変換器の期間φの変換段階が終了すると、当該変換器は動作不能になり、および到来する各パルスは処理されない。そのため、検出器1が受け取ったいくつかの光子のエネルギデータが、当該電子回路内で失われ、その結果として、このことが、当該画素の検出分解能を低下させる。
【0023】
変換時間φによるデータ損失率を推定するために、時間間隔tの間に受け取った、および変換器4の入力に到来するパルスE(t)の数は、λ(λは、時間間隔当たりの平均発生回数)に等しいパラメータに関するポアソンの法則に従うと見なすものとする。
【0024】
n個のパルスが、時間tの間に受取られる可能性は、
【0025】
【数2】
【0026】
ただし、
【0027】
【数3】
【0028】
その場合、ある時間間隔内に、少なくとも1つのパルスを有する可能性は、
【0029】
【数4】
【0030】
したがって、時間間隔t=1/10λを選択した場合、当該間隔中のパルスE(t)の出現の可能性は以下のとおりである。
【0031】
【数5】
【0032】
換言すれば、当該パルスのほぼ10%が、平均λよりも10倍大きい割合で生じる。
【0033】
アナログ/デジタル変換器4の場合、その変換時間は、例えば、Ts=1/10λ’であり、アナログ/デジタル変換器4の出力におけるデータ損失率は、約10%である。これは、可視画像を再構成するのに必要な情報の10%が失われていることを意味する。
【0034】
当該変換器の出力ストリームμが一定である理想的な事例を考えた場合、アナログ/デジタル変換器4は、1%程度の損失率を得るために、当該ストリームの平均値λの約100倍に等しい速度で作動する。このことは、アナログ/デジタル変換器4の動特性および変換時間を増加させることに存する。このような当該アナログ/デジタル変換器の能力の向上は、その消費、すなわち、約画素に関連する電子装置の消費の実質的な増加を引き起こすであろう。数千画素からなるマトリクスのスケールにおいては、そのような消費の増加は、特に著しいであろう。
【0035】
したがって、次の問題が生じ、すなわち、現在の画像システムは、当該画素に関連する当該アナログ/デジタル変換器により、パルスのランダムストリームを処理するための限定された能力に起因する損失率が高すぎる。そのため、このような画像システムは、特定の用途、特に、高い検出分解能を要する医療用途には適していない。
【0036】
当該アナログ/デジタル変換器の能力を高めることに存するであろう明白な解決策は、当該画素のマトリクスの全体的性能に関しては適切ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
前述の理由により、本発明の目的は、アナログ/デジタル変換器の性能を向上させることなく、この変換器の出力におけるデータ損失率を低減できるようになっている当該アナログ/デジタル変換器に結合された装置を提案することである。
【0038】
第二には、本発明の目的は、高検出分解能を備えた画素のマトリクスからなる画像システムを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0039】
本発明は、電圧パルスのランダムストリームを、調整されたデジタルデータ(digital data)のストリームに変換するための装置であって、当該装置が、ストリーム調整装置と、前記ストリーム調整装置の出力におけるアナログ/デジタル変換器とを含み、前記変換器は、ある変換周波数でアナログ/デジタル変換を行い、前記ストリーム調整装置は、容量Kのバッファメモリを含み、ただし、Kは整数であり、およびK≧1であり、そのメモリには、受け取ったパルスの各々の場合の電圧信号が格納され、および前記バッファメモリの読み出しは、前記変換周波数で調節されることを特徴とする装置によって特徴付けられる。
【0040】
当該調整装置は、
入力において前記パルスを受け取り、および受け取った各パルスに対して、その振幅が前記パルスの最大振幅に比例するアナログ信号を生成する振幅検出ユニットであって、前記アナログ信号が前記バッファメモリに供給される振幅検出ユニットと、
入力において前記パルスを受け取り、およびパルス検出時間の間に、高レベルに変化する第1の二値信号を出力において生成するパルス検出ユニットであって、前記バッファメモリに書き込むために、前記第1の二値信号が制御手段に送られるパルス検出ユニットと、
を含む。
【0041】
容量Kの前記バッファメモリは、選択的にK個のアナログメモリセルからなり、前記メモリセルは、K>1の場合、並列に配置される。
【0042】
各メモリセルは、
・前記メモリセルの入力と出力の間の直列の第1のスイッチおよび第2のスイッチであって、前記第1のスイッチが、当該振幅検出ユニットの出力に接続され、および前記第2のスイッチが、前記変換器の入力に接続される第1および第2のスイッチと、
・当該両スイッチに共通のノードと、基準電位との間に配置されたコンデンサと、
を含む。
【0043】
また、当該バッファメモリは、前記第1の二値信号が高レベルに変化した場合に、前記第1のスイッチをオン状態に変化させ、および当該変換周波数で第2の二値信号が高レベルに変化した場合に、前記第2のスイッチをオン状態に変化させる制御手段も含む。
【0044】
また、本発明は、光電検出器と、画素に関連する電子回路とにも関連し、前記光電検出器は、入射光子を受け取ること、および出力において電流パルスを放射することが可能であり、前記電子回路は、演算増幅器の出力と反転入力との間に並列に配置された第1のコンデンサおよび第1の抵抗器を含む集積回路を含み、前記演算増幅器の前記反転入力は、前記電流パルスを受け取り、前記集積回路は、出力において電圧パルスを放射し、前記電子回路は、前記集積回路の出力を入力において受け取り、および出力において、調整されたデジタル信号を前記変換周波数で放射する、上記で定義したような変換装置も含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】光電検出器と、画素に関連する超小型電子回路とからなる最新のアセンブリのブロック図を示す。
図2図1の画素における、光電検出器に関連する前置増幅器のアセンブリを示す。
図3】本発明に従って、電圧パルス(Vimp)のランダムストリームを、調整されたデジタルデータのストリームに変換するための装置を概略的に示す。
図4】異なる特性パラメータに対してプロットした、図3に示す変換装置の損失率を表す曲線を示す。
図5】本発明の好適な実施形態による変換装置の略図を示す。
図6図5の拡大図を示す。
図7図7a及び図7bは、本発明の好適な実施形態による、特性インジケータを得ることができる変換装置のバッファメモリの論理手段の構成を示す。
図8】本発明の好適な実施形態による、変換装置のバッファメモリを制御するための手段の入力および出力における特性信号のタイミング図を示す。
図9】超小型電子回路が、本発明の好適な実施形態による変換装置を含む場合の、光電検出器と、画素に関連する超小型電子回路とからなるアセンブリのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して、本発明の選択的な実施形態を読むことで明らかになる。
【0047】
図3は、本発明による、電圧パルスのランダムストリームを、調整されたデジタルデータのストリームに変換するための装置の略図を示す。
【0048】
より具体的には、変換装置100は、調整装置10と、当該調整装置の出力に配置されたアナログ/デジタル変換器4とを含む。アナログ/デジタル変換器4は、そのクロック信号の周期Tck以下の変換時間φを有している。変換装置100は、電圧パルスを信号Vimp(t)の形で受け取る。
【0049】
調整装置10は、容量Kのバッファメモリ13を含み、ただし、Kは、1以上の整数であり、そのバッファメモリには、受け取った各パルスの電圧信号が格納される。当該パルスはランダムに到来することに留意して、当該バッファメモリへの書き込みもランダムに行われることを理解されたい。
【0050】
バッファメモリ13に格納された当該電圧信号は、書き込みの方法とは対照的に、非同期的に読み出される。実際には、バッファメモリ13の読み出しは、変換器4のクロック信号の周期と同一の周期で調整される。
【0051】
したがって、調整装置10の出力においては、当該パルスのランダムストリームの各パルスの出現が、アナログ/デジタル変換器4の変換段階の開始と合わされているかのように、全てが行われる。そのため、調整装置10は、アナログ待ち行列として機能する。
【0052】
本発明によってもたらされる利点を説明するため、以下で、待ち行列の数学理論について説明する。実際には、当該調整装置の当該バッファメモリは、ケンドールの記号(Kendall’s notation)を用いるM/G/1/Kタイプの待ち行列と見なすことができる。次の論文、すなわち、“M/G/c/K blocking probability models and system performance”,J.McGregor Smith,Performance Evaluation 52(2003)237−267について説明する。
【0053】
非限定的に、および計算を簡単にするために、変換器4の変換時間は一定であり、そのため必然的に決定論的であり、および当該パルスの入力ストリームはポアソンストリームであると見なされる。
【0054】
変換装置100は、λで示される入力ストリームを受け取り、それは、所定の時間間隔の場合のパルスの平均到来数に等しい。
【0055】
変換装置4は、データのセットを処理して、μで示される出力ストリームを生成し、当該ストリームは、単純に当該変換器の出力ストリームである。
【0056】
そのため、変換装置100は、平均サービス時間中の入力ストリームに等しいトラフィックρ=λ/μを生成する。
【0057】
ブロッケージ(blockage)の確率Pは、次の式で求められる。
【0058】
【数6】
【0059】
ただし、Kは、バッファメモリ13の容量である。
【0060】
当該変換装置のブロッケージの確率Pは、変換時間φの間に、データを処理することができない確率に等しい。したがって、これは損失率である。
【0061】
図4は、異なる値Kおよび一定の値λに対するトラフィックの関数ρとしての損失率Pを示す。
【0062】
曲線Aは、K=0の場合の損失率P、すなわち、当該アナログ/デジタル変換器単独の損失率を示す。
【0063】
曲線A(K=0)と曲線B(K=1)を比較することにより、当該アナログ待ち行列によって実施される調整が、ストリームμの標準偏差の低減をもたらすことが観測されるであろう。
【0064】
ストリームμの標準偏差は、より高容量Kのバッファメモリよりも小さいことに留意し、曲線C(K=2)、D(K=4)、E(K=8)、F(K=16)およびG(K=32)を参照する。非常に高い値のKは、損失率がゼロに近い場合、(平均値λの)入力ストリームの標準偏差に略等しい出力レートμを得ることを可能にするであろう。
【0065】
したがって、例えば、曲線Aを曲線Eと比較した場合、曲線Aの値m1において、ρ=0.1、1/μ=10nsであり、およびその損失は、10%程度であることが観測される。曲線Eの値m2においては、ρ=0.8、1/μ=8nsであり、その損失は、0.7%程度である。
【0066】
その結果、曲線Eと曲線Aとの間で、当該損失は、13という因数で分割され、また、μは、8という因数で分割される。このことから、当該バッファメモリの容量Kを増加させることにより、技術的制約および当該アナログ/デジタル変換器の損失率を低減することが可能であることが推論される。
【0067】
有利には、十分に高い値のKが、所望の損失率の低減、アナログ/デジタル変換器4の必要な性能および待ち行列のサイズの間の適切な妥協を得るように選択される。K≧1が採用され、および好ましくは、l≧1の場合、K=2である。
【0068】
図5は、本発明の実施形態による変換装置の略図を示す。
【0069】
より具体的には、本発明による、パルスのランダムストリームを調整するための装置10は、パルス検出器11と、最大振幅検出器12と、バッファメモリ13とを含む。
【0070】
パルス検出器11と最大振幅検出器12はともに、信号Vimp(t)を受け取る。
【0071】
パルス検出器11は、デジタル回路が利用することのできる二値信号Vevt(t)を生成する。より具体的には、パルス検出器11の入力で受け取った各電圧パルスVimp(t)に対して、信号Vevt(t)は、当該パルスの期間、高レベルに変化する。パルス検出器11がパルスを少しも検出しない場合、パルス検出器11の出力における二値信号Vevt(t)は、低レベルのままである。例えば、パルス検出器11は、当業者が容易に作ることのできる比較器回路または差動回路を用いて形成することができる。
【0072】
最大振幅検出器12は、それが受け取った電圧パルスVimp(t)の最大振幅を測定する。受け取った各パルスに対して、当該検出器は、その高さが、当該受け取ったパルスの最大振幅に比例するアナログ信号Vin(t)を送る。その結果、信号Vin(t)は、信号Vevt(t)と同期している電圧Vimp(t)のサンプリングと比較することができる。最大振幅検出器12は、例えば、ピーク検出器回路によって形成することができ、その実施は、当業者には公知である。
【0073】
容量Kのバッファメモリ13は、並列に配置されたK個のメモリセルCellからなる。図5においては、メモリセルが1つだけ図示されている。メモリセルCellの各々は、メモリセルCellの入力と出力との間の並列の第1のスイッチ1aおよび第2のスイッチ1bと、両スイッチの共通ノードと、基準Vref(t)の第1の基準電位との間に配置されたコンデンサCeとを含む。
【0074】
第1のスイッチ1aまたは書き込みスイッチは、最大振幅検出器12の出力に接続され、第2のスイッチ1bまたは読み出しスイッチは、アナログ/デジタル変換器4の入力に接続されることが意図されている。
【0075】
メモリセルCellの出力電圧は、Vout(t)で示されている。
【0076】
制御手段14は、第2のスイッチ1bの開閉に対する第1のスイッチ1aの開閉を非同期的に制御できるようになっている。第1のスイッチ1aのオンまたはオフ状態への切り替えは、パルス検出器11から来ている二値信号Vevt(t)が高論理レベルであるか、または低論理レベルであるかに依存しているが、第2のスイッチのオンまたはオフ状態への切り替えは、当該変換器のクロック信号から生じる、または、当該変換器のクロック信号と同位相の信号から生じる二値信号Ckの論理状態に依存している。
【0077】
第1のスイッチ1aと第2のスイッチ1bをともに、同時にオン状態にすることができないことが要求されるのは明らかである。
【0078】
当該メモリセルの書き込みスイッチ1aがオン状態である場合、すなわち、パルスが検出されると、検出されたパルスの期間にわたって、メモリセルCellが電圧Vin(t)を受け取る。そして、当該検出されたパルスに相当する電気信号が、充電されているコンデンサCeに転送され、制御手段14がメモリセルCellに書き込む。
【0079】
当該メモリセルの読み出しスイッチ1bがオン状態になると、すなわち、当該クロック信号が高レベルである場合、周期Tckにわたって、コンデンサCeは放電され、および信号Vout(t)を伝送する。後者は、信号Vin(t)に対して遅延している信号Vimp(t)のサンプルである。その後、メモリセルCellが読み出される。
【0080】
信号Vimp(t)の形でランダムに到来するパルスのストリームは、調整されたサンプルで形成された信号Vout(t)を供給するように、本発明による装置によって調整されることは理解されるであろう。
【0081】
各段が基本的なメモリセルを含むK個の段を並列に配置することの1つの利点は、当該メモリセル間で電荷の転送がないため、当該信号の劣化を防ぐということである。
【0082】
図6は、図5に示すバッファメモリ13の拡大図を示す。
【0083】
当該バッファメモリの異なるメモリセルは同一である。そのため、コンデンサCeの値、および書き込みスイッチ1a,2a,…,Kaおよび読み出しスイッチ1b,2b,…,Kbの技術仕様は、当該メモリセルの各々に対して同じである。
【0084】
制御手段14は、入力において、二値信号Vevt(t)およびクロック信号Ckを受け取る。出力においては、制御手段14は、まず、K個の書き込みスイッチをオン状態に変えることができる書き込み信号Wrを、次に、K個の読み出しスイッチをオン状態に変えることができるようになっている読み出し信号Rdを供給する。
【0085】
制御手段14は、当該パルスを制御するためのFIFO(First In,First Out)スタックとして機能する。
【0086】
実際には、当該メモリセルが「空いている(free)」か、または「使われている(occupied)」かを示す二値使用インジケータJ(k)が各メモリセルkと関連付けられており、k=1,…,Kである。セルkは、そのコンデンサCeに含まれている信号が読み出されていない場合に、すなわち、制御手段14によって当該読み出しスイッチにメモリセルkの読み出しスイッチkbをオン状態に変えるための読み出し信号Rd(k)が送られていない場合に、「使われている」とされる。
【0087】
バッファメモリ13のメモリセルkが「使われている」場合、その二値使用インジケータJ(k)は1に等しく、また、当該メモリセルが「空いている」場合には0に等しい。
【0088】
使われているセルを読み出すと、当該二値使用インジケータが0に設定される。
【0089】
パルスがパルス検出器11によって検出されると、当該パルスの期間にわたって、信号Vevt(t)が高レベルに変化する。当該バッファメモリの第1の空いているメモリセルk(k=1,…,K、ただし、Kは正の整数)の二値使用インジケータJ(k)は1に変わり、したがって、セルメモリkが使われる。同時に、制御手段14は、当該セルメモリに書き込むために、書き込み信号Wr(k)をセルメモリkの書き込みスイッチkaに送って、当該スイッチをオン状態に変える。
【0090】
そして、その間に、書き込みスイッチkaがオン状態になっている当該パルスの期間θにわたって、セルメモリkのコンデンサCeに書き込みが行われる。その場合、他のメモリセルの書き込みスイッチは、期間θにわたって開いている。
【0091】
2つの書き込みスイッチ1a,2a,…,Kaを同時にオン状態にすることができないため、各関連信号は、単一のメモリセルにのみ書き込むことができる。
【0092】
当該読み出しスイッチは、周期的に制御され、およびその制御は、K個の非重複位相のジェネレータによって実施される。
【0093】
Kは、有利には、制御手段14における二値論理の設定を容易にするために、2の倍数であり、および好ましくは、2の累乗である。この説明の残りの部分では、Kは2の累乗であると見なしている。
【0094】
より具体的には、当該ジェネレータは、値2のNビットの二進ワードを供給する、周期Tckのクロック信号によって調整されるKを法とする二進カウンタからなる。
【0095】
本発明による装置は、高周波数での動作が意図されているため、当該カウンタは、有利には、同期的である。
【0096】
周期Tckのクロックは、好ましくは、当該変換器のクロックである。この説明の残りの部分では、当該クロック信号は、当該アナログ/デジタル変換器から来ていると見なしている。
【0097】
当該カウンタの出力において、N〜Kの復号器は、二値ワード2を、周期TckのK個の位相phi(1),…,phi(K)変換する。各位相は、メモリセルに固有の読み出し位相に対応している。そのため、周期Tckは、その間に、メモリセルの読み出しスイッチ1b,2b,…,kbが、当該セルの読み出し中にオン状態になっている時間に等しい。
【0098】
最後に、2つの読み出しスイッチ1b,2b,…,Kbの同時導通を防ぐために、RSタイプのトグルスイッチが、非重複的なK個の位相phi(1),…,phi(K)生成する。
【0099】
位相phi(1),…,phi(K)、当該セルの二値使用インジケータJ(1),…,J(K)は、論理ANDゲートの入力にあり、その出力は、読み出し信号Rd(1),…,Rd(K)である。したがって、メモリセルkの場合、読み出し信号Rd(k)は、(k)=phi(k).J(k)によって定義される。
【0100】
したがって、メモリセルkが、対応する読み出し位相hi(k)の間に読み出される場合、次の関係Rd(k)=phi(k).J(k)=1.J(k)が当てはまる。
【0101】
その結果、セルkが「使われている」場合、Rd(k)=1である。
【0102】
したがって、読み出しは、他の書き込みスイッチが開いている間、制御手段14が、その間に読み出し信号Rd(k)を読み出しスイッチkbへ送って当該スイッチをオン状態に変える期間Tckにわたって、メモリセルkのコンデンサCeの放電を伴って行われる。
【0103】
次の読み出し位相phi(k+1)において、セルkの二値使用インジケータJ(k)が0に設定される。したがって、セルkは空いている。
【0104】
逆に、セルkが空いている場合、Rd(k)=phi(k).J(k)=1.J(k)=0である。したがって、読み出し信号は読み出しスイッチkbへ送られない。
【0105】
所定のセルの場合、書き込みスイッチ1a,2a,…,Kaおよび読み出しスイッチ1b,2b,…,Kbは、同時にオン状態にすることができないため、所定のセルの場合、その読み出しは、書き込みとずれることを明確に理解されたい。書き込み期間θは、読み出し時間と比較して小さい。出力抵抗Rの下流の回路による値Cのメモリコンデンサのフィルレートは、1−exp(−t/RC)に等しい。書き込み期間t=5RCは、典型的には、99%以上の充電を示す。例えば、C=0.2pFおよびR=1kΩの場合、t=1nsが得られる。
【0106】
制御手段14は、所定のセルが空き次第、このセルに書き込みを始めるように選択的に構成されている。この説明の残りの部分では、このセルが第1のセル1であると見なす。
【0107】
そのために、制御手段14は、有利には、第1のセルに書き込みを始めるための手段を含む。
【0108】
それに伴って、論理手段を用いることにより、インジケータAJおよびJM1を作り出すことができる。
【0109】
図7aおよび図7bは、それぞれ、インジケータAJおよびJM1を得ることのできる論理手段15,16を示す。
【0110】
インジケータAJは、入力において、K個のメモリセルの二値使用インジケータを受け取る論理ORゲート15によって供給される。
【0111】
AJ=0の場合、信号を含むメモリセルはない。全てのセルが空いている。逆に、AJ=1の場合は、当該バッファメモリは、読み出される1つ以上のセルを含んでいる。
【0112】
インジケータJM1は、論理ORゲート16aと、論理インバータゲート16bとからなる論理ゲート16によって供給される。論理ORゲート16aは、入力において、最後のセルの二値使用インジケータJ(k)と、notAJで示されるAJの逆信号とを受け取る。信号notAjは、入力において、信号AJを受け取る論理インバータゲート16bによって供給される。
【0113】
当該バッファメモリの全てのセルが空いている(notAJ=1)場合、または、最後のセルKが使われている(J(k)=1)場合、インジケータJM1=1である。この場合、制御手段14は、まず、検出された次のパルスに相当する電気信号を第1のメモリセルに書き込む。
【0114】
制御手段14は、バッファメモリ13の動作および使用負荷をモニタできるようになっている他のインジケータを含むことができる。そのため、バッファメモリ13の使用割合を測定するために、他のインジケータを設けることができる。
【0115】
有利には、制御手段14をゼロにリセットする手段を設けることができる。それが作動された場合、このゼロリセット手段は、ゼロリセット信号を制御手段14に送信して、それらをリセットすることができる。
【0116】
図8は、8に等しい容量のバッファメモリに対する制御手段14の特性信号のシミュレーションのためのタイミング図を示す。値K=8は、調整装置10の能力と、使用するメモリセルCellの数との間の満足のいく妥協である。当然、8以上または8以下のKの値を選択することができ、およびK=8の場合の実施例としてここで示す説明は、依然として通用する。
【0117】
当該特性信号は、まず、信号Vevt(t)および読み出し位相phi(1),…,phi(8)であり、次に、制御手段14の出力信号であり、これらは、インジケータAJおよび書き込み信号Wr(1),…Wr(8)および読み出し信号Rd(1),…Rd(8)に対する信号である。
【0118】
当該装置は、当該パルスが到来する前に、制御手段14のゼロリセットコマンドによってゼロにリセットされる。したがって、それは、全てのメモリセルが空いている初期状態になっている。
【0119】
インジケータAJは、第1の事象evt1がAJ=0およびそれに伴ってJM=1に達する前は、ゼロになっている。そのため、制御手段14は、メモリセル1に書き込む。
【0120】
第1のパルスが検出されると、信号Vevt(t)が、図8においてピークevt1で示される高レベルに変化する。二値使用インジケータは1、すなわち、J(1)=1に変わり、対応する書き込み信号Wr(1)が、制御手段14によってスイッチ1aに送られて、第1のパルスの期間、当該スイッチがオン状態に変わる。
【0121】
セル1が使われている限り、すなわち、それが読み出されていない限り、制御手段14は、次の検出パルスのために、空いているメモリセル2に対する二値使用インジケータを生成するであろう。本発明者等の実施例において、第2のパルスの検出時には、信号Vevt(t)が、ピークevt2で示される高レベルに変化し、制御手段14は、二値使用インジケータJ(2)=1を生成して、書き込み信号Wr(2)をセル2の書き込みスイッチ2aに送って、当該スイッチをオン状態に変化させる。
【0122】
これらの両方の検出されたパルス、すなわちピークevt1およびevt2の場合、2つのみの二値使用インジケータが生成される。したがって、他の二値使用インジケータは、ゼロである。その結果として、対応する書き込み信号が、セル3,4,5,6,7,8へ送られる。
【0123】
本発明者等の実施例において、期間Tckは80nsである。したがって、読み出しは、80nsの周期で調整される。
【0124】
ピークevt1において、当該読み出し位相は、位相phi(5)の状態を示す曲線によって示すように、セル5の位相である。したがって、メモリセル5は空いているため、当該読み出し信号は、Rd(k)=phi(5).J(5)=0である。そのため、セル5の読み出しスイッチには信号は送られない。同様に、信号Rd(6),Rd(7),Rd(8)はゼロである。
【0125】
時間T1において、第2のパルスの受け取り時間evt2の後、当該読み出し位相は、位相Phi(1)の状態を示す曲線によって示すように、セル1の位相である。この場合、Rd(1)=phi(1).J(1)=1である。そのため、読み出し信号が第1のメモリセルの読み出しスイッチ1bへ送られて、メモリセル1が「読み出される」。
【0126】
次の読み出し位相、すなわち、Phi(2),Rd(2)=1において、セル1の二値使用インジケータJ(1)は0に設定される。同様に、読み出し位相Phi(3)において、メモリセル2の二値使用インジケータJ(2)が0に設定される。
【0127】
第3のパルスが検出されると、信号Vevt(t)は、ピークevt3で示される高レベルに変化する。この時点で、全てのセルは空いている。したがって、インジケータAJは、信号AJで示す曲線によって示すようにゼロである。その結果として、インジケータJM1は、1に等しい。したがって、制御手段14は、次のパルスに相当する電気信号をメモリセル1に「書き込む」ことになる。
【0128】
その結果、ピークevt3に応答して、制御手段14は、二値使用インジケータJ(1)を生成して、書き込み信号Wr(1)をセル1へ送って、スイッチ1aをオン状態に変化させる。ピークevt4,evt5,evt6に対応するパルスは、それぞれ、メモリセル2,3,4に書き込まれる。
【0129】
したがって、第4のパルスの検出時、すなわちピークevt4には、二値使用インジケータJ(2)=1が生成されて、対応する書き込み信号Wr(2)がセル2へ送られ、第5のパルスの検出時ピークevt5には、二値使用インジケータJ(3)=1が生成されて、対応する書き込み信号Wr(5)がセル3へ送られ、および第6のパルスの検出時、すなわちピークevt6には、二値使用インジケータJ(4)=1が生成されて、対応する書き込み信号Wr(4)がセル4へ送られる。
【0130】
これらのパルスの場合、4つのみの二値使用インジケータが生成される。そのため、他の二値使用インジケータJ(5),…,J(8)はゼロである。セル5,6,7,8には対応する書き込み信号は送られない。
【0131】
第3のパルスの受け取り時、すなわち、evt3において、当該読み出し位相は、Phi(3)の論理状態を示す曲線によって示すように、メモリセル3の位相である。したがって、メモリセル3は、この時点で空いているため、当該読み出し信号は、Rd(3)=0である。同様に、信号Rd(4),Rd(5),Rd(6),Rd(7),Rd(8)はゼロである。
【0132】
読み出しサイクルがセル1に戻ったとき、すなわち、時間T2において、Rd(1)=phi(1).J(1)=1である。そのため、読み出し信号が、第1のセルの読み出しスイッチへ送られる。次の読み出し位相において、すなわち、Phi(2)Rd(2)=1であり、およびセル1の二値使用インジケータが0に設定される。同様に、読み出し位相Phi(3)において、Rd(3)=1であり、およびセル2の二値使用インジケータが0に設定され、および読み出し位相Phi(4)においては、Rd(4)=1であり、およびセル3の二値使用インジケータが0に設定される。
【0133】
セル4の二値使用インジケータは、読み出し位相Phi(5)においてゼロにリセットされる。
【0134】
読み出し位相Phi(4)が終了すると、AJ=0となる。その結果、次のパルスの受け取り時には、制御手段14は、まずセル1に書き込むことになる。
【0135】
セル8が使われている、すなわち、J(8)=1の場合、インジケータJM1が用いられる。この場合、インジケータJM1は1に等しく、制御手段14は、まず、次のパルスに相当する電気信号をセル1に書き込む。
【0136】
変換装置100は、図5に示すように、市販のコンポーネントを有する個別の電子装置を用いて形成することができる。
【0137】
本発明による調整装置は、集積化することができ、およびCMOS技術を用いる超小型電子集積に適している。このような実施形態には、安価であり、特に電力消費量に関して、優れた特性を得ることが可能であるという効果がある。
【0138】
当該スイッチは、好ましくは、MOSFETトランジスタであり、およびこの場合、コンデンサCeの値の増加は、(kT/Cノイズと呼ばれる)再充電ノイズを低減することを可能にする。
【0139】
通常の0.13μmのCMOS技術を用いる組み込みが優先的に選択される。当該装置は、特定の回路、または、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)の形で形成することができる。
【0140】
当該調整装置は、次の制約、すなわち、
1つの回路から他の回路への分散を限定するための技術的変化に対する低感受性、
・環境変化に対する低感受性、
・低雑音性、
・高い動特性、
・低消費電力、
を備えている。
【0141】
0.13μmCMOS技術を用いる調整装置10の算定した負担(encumbrance)は、800μmである。この負担を、同じ技術を用いて形成し、200×400μm=80000μmで評価した、8ビット、12.5MHzのアナログ/デジタル変換器の負担と比較すると、提案した調整装置10は、当該変換器の面積の1%を占め、およびK=8の場合、「(速度×損失)の積」という制約を100で割ることを可能にすることが観察される。
【0142】
上述した変換装置100は、画素に関連付けられた電子回路に集積化することができる。
【0143】
より具体的には、図9は、当該電子回路が、本発明の好適な実施形態に従って形成された変換装置100を含む場合の、光電検出器、および画素に関連する電子回路のブロック図を示す。
【0144】
検出器1は、上述したように、図2に関連している。検出器1は、有利には、CdZnTeまたはCdTe:ClさらにはCdTe:In等の半導体材料Mで形成された光電素子と、それを高電圧源HTに接続する抵抗器Rとを含む。当該検出器の出力は、当該検出器によって送られた電流パルスi(t)に応答して電圧Vimp(t)を供給する前置増幅器2に接続されている。
【0145】
本発明による変換装置100は、前置増幅器2の出力に配置されている。当該変換装置は、入力において、電圧Vimp(t)を受け取る。変換器4から来るクロック信号Ckは、読み出し信号Rdを用いて、当該装置の読み出しスイッチを制御するために、一連のランダムな電圧パルスを調整するための装置100の制御手段14へ送られる。
【0146】
変換装置100を、画素に関連する超小型電子回路に組み込むことは、あまり高速ではないアナログ/デジタル変換器を用いながらも、画素のマトリクスを備える画像システムの検出分解能を高めることを可能にする。
【0147】
このような画像システムは、当該ストリームがランダムである場合に、用途を見出すであろう。当該システムは、特に医療分野に用いることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9