【実施例】
【0082】
実施例1−「軟質型RCC 番号1」
本発明による血液フィルタの第1の実施形態は、不織布フィルタ層の3つのセット4a、4b、4cを備える(
図5aを参照)。第1のセット4aは、100g/m
2の基本重量、40μm〜45μmの直径(5.1dtex)及び約17μmの各単一の葉の典型的な直径を有する、1層の100%PETである熱先端接着したスパンボンド三葉状繊維からなる。三葉状繊維は、それらの形状に起因して、理論上無限大の長さ(すなわち、繊維の全長に延在。溝がない場合は繊維の欠陥とみなすものとする)及びおよそ10μmの深さを有する3つの溝を有する(
図2参照)。第2のセット4bは、CWSTを改善するように表面改質された、およそ2μmの平均直径を有する、18層の50g/m
2の100%PBTであるメルトブロー円形繊維からなる。第3のセット4cは、CWSTを改善するように表面改質された、およそ2μmの平均直径を有し、かつ繊維と繊維との距離を低減させるようにカレンダ加工された、12層の50g/m
2の100%PBTであるメルトブロー円形繊維からなる。
【0083】
この血液フィルタは、RCC(赤血球濃厚液)からWBCを除去するのに特に適合する。第1のセット4a及び第2のセット4bは前ろ過及びろ過をもたらし、第3のセット4cは選択的ろ過及び「最終精製(polishing)」(すなわち、最後に残るロイコサイトを除去するろ過工程)をもたらす。
【0084】
代替的な実施形態では、セット4aタイプの更なる層(100g/m
2の基本重量、40μm〜45μmの直径(5.1dtex)及び約17μmの各単一の葉の典型的な直径を有する100%PETである熱先端接着したスパンボンド三葉状繊維)を、溶着プロセスの最適化のためにセット4cの後の最後の層として適用してもよい。
【0085】
更に代替的な実施形態では、実施例1の3つのセット4a、4b、4cのうちセット4aが、4層の熱平面接着した30g/m
2の100%PETである2.3dpf(繊維番数(denier per filament))の三葉状スパンボンドからなる。
【0086】
更に代替的な実施形態では、実施例1の3つのセット4a、4b、4cのうちセット4aが、6層の熱先端接着した10g/m
2の100%ナイロン6,6である7dpf(繊維番数)の三葉状スパンボンドからなる。
【0087】
実施例2−「硬質型WB 番号1」
第2の実施形態によれば、血液フィルタが、不織フィルタ層の5つのセット4a、4b、4c、4d、4eを備える(
図5b参照)。第1のセット4aは、100g/m
2の基本重量、40μm〜45μmの直径(5.1dtex)及び約17μmの各単一の葉の典型的な直径を有する、1層の100%PETである熱先端接着したスパンボンド三葉状繊維からなる。三葉状繊維は、それらの形状に起因して、理論上無限大の長さ及びおよそ10μmの深さを有する3つの溝を有する(
図2参照)。第2のセット4bは、およそ3μmの平均直径を有する、2層の50g/m
2の100%PBTであるメルトブロー円形繊維からなる。第3のセット4cは、CWSTを改善するように表面改質された、およそ2μmの平均直径を有する、4層の50g/m
2の100%PBTであるメルトブロー円形繊維からなる。第4のセット4dは、CWSTを改善するように表面改質された、およそ2μmの平均直径を有する、8層の50g/m
2の100%PBTであるメルトブロー円形繊維からなる。第5のセット4eは、CWSTを改善するように表面改質された、およそ2μmの平均直径を有する、28層の50g/m
2の100%PBTであるメルトブロー円形繊維からなる。筐体として硬質プラスチック筐体を使用する。
【0088】
この血液フィルタは、WB(全血)からWBCを除去するのに特に適合する。第1のセット4a、第2のセット4b及び第3のセット4cは前ろ過をもたらし、第3のセット、第4のセット4d及び第5のセット4eは選択的ろ過の向上をもたらす。セット4c、4d及び4e間において、CSWTの勾配及び繊維と繊維との距離は整えられており、注入口2から流出口3への流体の流れ方向に、CSWTが増大するとともに、繊維と繊維との距離が減少する。
【0089】
実施例3−「軟質型RCC PRP 番号1」
第1のセット4aは、100g/m
2の基本重量、40μm〜45μmの直径(5.1dtex)及び約17μmの各単一の葉の典型的な直径を有する、1層の100%PETである熱先端接着したスパンボンド三葉状繊維からなる。三葉状繊維は、それらの形状に起因して、理論上無限大の長さ及びおよそ10μmの深さを有する3つの溝を有する(
図2参照)。第2のセット4bは、35g/m
2の基本重量及び16μmの直径を有する、4層の100%PBTであるメルトブロー三葉状繊維からなる。三葉状繊維は、理論上無限大の長さ及び約4μmの深さを有する3つの溝を有する。第3のセット4cは、実施例1の第2のセットに使用した層と同じ層18個からなるが、CWSTが減少している。第4のセット4dは、実施例1の第3のセットに使用した層と同じ層12個からなる。
【0090】
この血液フィルタは、RCC(赤血球濃厚液)、より具体的にはPRP(多血小板血漿)処理法から得られるRCCからWBCを除去するのに特に適合する。第1のセット4a及び第2のセット4bは前ろ過をもたらし、第3のセット4c及び第4のセット4dは選択的ろ過をもたらす。第2のセット4bにも第1の繊維を使用することによって、細胞、とりわけ血小板をより大量に捕捉することができる結果、かかる細胞のより良好な分布がもたらされる。
【0091】
実施例4−「軟質型RCC PRP 番号2」
フィルタ層の4つのセットを備える血液フィルタの第4の実施形態では、第3のセット4cが、50g/m
2の基本重量及び約8μmの直径を有する、16層の100%PBTであるメルトブロー三葉状繊維からなる。三葉状繊維は、理論上無限大の長さ及び約2μmの深さを有する3つの溝を有する。その他の点に関して、第4の実施形態による血液フィルタは第3の実施形態の血液フィルタと等しい。
【0092】
この血液フィルタは、RCC(赤血球濃厚液)及びWB(全血)からWBCを除去するのに特に適合する。第1のセット4a、第2のセット4b及び第3のセット4cは前ろ過をもたらし、第4のセット4dは選択的ろ過をもたらす。第3のセット4cにも第1の繊維を使用することによって、実施例3と比較して、捕獲した細胞の分布を更に改善して、容量損失を減らすことができる。
【0093】
実施例5−「軟質型RCC PRP 番号3」
フィルタ層の4つのセットを備える血液フィルタの第5の実施形態では、第3のセット4cが、50g/m
2の基本重量及び約8μmの直径を有する、16層の100%PBTであるメルトブロー三葉状繊維からなる。三葉状繊維は、理論上無限大の長さ及び約2μmの深さを有する3つの溝を有する。第3の実施形態の第4のセット4dは、50g/m
2の基本重量及び約8μmの直径を有する、10層のカレンダ加工された100%PBTであるメルトブロー三葉状繊維からなる。三葉状繊維は、理論上無限大の長さ及び約2μmの深さを有する3つの溝を有する。その他の点に関して、第5の実施形態による血液フィルタは第3の実施形態の血液フィルタと等しい。
【0094】
この血液フィルタは、RCC(赤血球濃厚液)からWBCを除去するのに特に適合する。第1のセット4a、第2のセット4b及び第3のセット4cは前ろ過をもたらし、第4のセット4dは選択的ろ過をもたらす。第4のセット4dにも第1の繊維を使用することによって、捕獲した細胞の分布を更に改善して、総容量損失を減らすとともに、ヘモグロビン回収率を上げることができる。
【0095】
各セットを備えるか又はそれらからなる実施形態1〜5の血液フィルタのフィルタ材料は、回収式自己血又は出血液をろ過するための使用にも適する。
【0096】
実施例6−「硬質型WB 番号2」
フィルタ層の5つのセットを備える血液フィルタの第6の実施形態では、第2のセット4bが、50g/m
2の基本重量及び約8μmの直径を有する、2層の100%PBTであるメルトブロー三葉状繊維からなる。三葉状繊維は、理論上無限大の長さ及び約2μmの深さを有する3つの溝を有する。その他の点に関して、第6の実施形態による血液フィルタは第2の実施形態の血液フィルタと等しい。
【0097】
この血液フィルタは、WB(全血)からWBCを除去するのに特に適合する。
【0098】
実施例7−「硬質型WB 番号3」
フィルタ層の5つのセットを備える血液フィルタの第7の実施形態では、第2のセット4bが、50g/m
2の基本重量及び約8μmの直径を有する、2層の100%PBTであるメルトブロー三葉状繊維からなる。三葉状繊維は、理論上無限大の長さ及び約2μmの深さを有する3つの溝を有する。第3のセット4cは、50g/m
2の基本重量及び約8μmの直径を有する、4層の100%PBTであるメルトブロー三葉状繊維からなる。三葉状繊維は、理論上無限大の長さ及び約2μmの深さを有する3つの溝を有する。第4のセット4dは、50g/m
2の基本重量及び約6μmの直径を有する、如何なる表面改質剤も含まない8層の80%PBTと20%(ポリアルキルグリコールテレフタレート)との二成分配合物100%からなるメルトブロー三葉状繊維からなる。三葉状繊維は、理論上無限大の長さ及び約1.5μmの深さを有する3つの溝を有する。その他の点に関して、第7の実施形態による血液フィルタは第2の実施形態の血液フィルタと等しい。
【0099】
この血液フィルタは、WB(全血)からWBCを除去するのに特に適合する。
【0100】
実施例8−「軟質型WB 番号1」
フィルタ層の5つのセットと軟質の筐体とを備える血液フィルタの第8の実施形態では、第1のセット4aが、100g/m
2の基本重量、40μm〜45μmの直径(5.1dtex)及び約17μmの各単一の葉の典型的な直径を有する、1層の100%PETである熱先端接着したスパンボンド三葉状繊維からなる。三葉状繊維は、それらの形状に起因して、理論上無限大の長さ及びおよそ10μmの深さを有する3つの溝を有する(
図2参照)。第2のセット4bは、50g/m
2の基本重量及び約8μmの直径を有する、10層の100%PBTであるメルトブロー三葉状繊維からなる。三葉状繊維は、理論上無限大の長さ及び約2μmの深さを有する3つの溝を有する。第3のセット4cは、30g/m
2の基本重量及び約4μmの直径を有する、シート/コア二成分PET/PEメルトブロー三葉状繊維の25個のカレンダ加工された層からなる。第3のセットの三葉状繊維は、理論上無限大の長さ及び1.3μmの深さを有する3つの溝を有する。その他の点に関して、第8の実施形態による血液フィルタは第2の実施形態の血液フィルタと等しい。
【0101】
この血液フィルタは、WB(全血)からWBCを除去するのに特に適合する。
【0102】
実施例9−「軟質型PLT 番号1」
フィルタ層の3つのセットと軟質の筐体とを備える血液フィルタの第9の実施形態では、第1のセット4aが、100g/m
2の基本重量、40μm〜45μmの直径(5.1dtex)及び約17μmの各単一の葉の典型的な直径を有する、1層の表面改質された100%PETである熱先端接着したスパンボンド三葉状繊維からなる。三葉状繊維は、それらの形状に起因して、理論上無限大の長さ及びおよそ10μmの深さを有する3つの溝を有する(
図2参照)。第2のセット4bは、CWSTを改善するように表面改質された、およそ2μmの平均直径を有する、6層の50g/m
2の100%PBTであるメルトブロー円形繊維からなる。第3のセット4cは、第2のセット4bに使用した9個の層からなるが、これはカレンダ加工することにより多孔度が減少したものである。
【0103】
この血液フィルタは、血小板を含む溶液をろ過するのに、例えば、多血小板血漿又は血小板濃厚液をろ過するのに特に適合する。血小板を該ろ過材料(表面の化学的性質によりPLTの付着が減少する)に通過させ、第2のセット及び第3のセットを使ってWBCを除去する。
【0104】
実施例10−「軟質型PLT 番号2」
フィルタ層の3つのセットと軟質の筐体とを備える血液フィルタの第10の実施形態では、第2のセット4bが、40g/m
2の重量及び8μmの直径を有する、20層の80%PBTと、20%(ポリアルキルグリコールテレフタレート)の二成分配合物からなるメルトブロー三葉状繊維からなる。第2のセットの三葉状繊維は、理論上無限大の長さ及び2μmの深さを有する3つの溝を有する。その他の点に関して、第10の実施形態による血液フィルタは第9の実施形態の血液フィルタと等しい。
【0105】
この血液フィルタは、血小板を含む溶液をろ過するのに、例えば、血漿又は血小板濃厚液をろ過するのに特に適合する。血小板を該ろ過材料(表面の化学的性質によりPLTの付着が減少する)に通過させ、第2のセット及び第3のセットを使ってWBCを除去する。
【0106】
実施例11−「軟質型血漿 番号1」
本発明による血液フィルタの第11の実施形態では、血液フィルタが、不織布フィルタ層の2つのセット4a及び4bを備える。第1のセット4aは、100g/m
2の基本重量、40μm〜45μmの直径(5.1dtex)及び約17μmの各単一の葉の典型的な直径を有する、1層の100%PETである熱先端接着したスパンボンド三葉状繊維からなる。三葉状繊維は、それらの形状に起因して、理論上無限大の長さ及びおよそ10μmの深さを有する3つの溝を有する(
図2参照)。第2のセット4bは、CWSTを改善するように表面改質された、およそ2μmの平均直径を有する、30層のカレンダ加工された50g/m
2の100%PBTであるメルトブロー円形繊維からなる。
【0107】
この血液フィルタは血漿をろ過するのに特に適合する。
【0108】
実施例12−「出血液 番号1」
血液フィルタの第12の実施形態では、血液フィルタが、一連の2つの硬質の筐体を備える(
図6C参照)。第1の筐体は、CWSTを改善するように表面改質された、およそ16μmの平均直径及び約4μmの典型的な溝深さを有する、100g/m
2の100%PBTである三葉状(trilobite)メルトブロー繊維の20個の層からなる単一のセットを収容する。第2の筐体は、実施例2に挙げられるろ過材料を収容する。
【0109】
第1の筐体内のこのろ過材料は、良好な白血球除去性能を可能とする第2の筐体のメインフィルタ部を通る血液の流れを促進させることができる前ろ過工程であると推定される(
図6C参照)。
【0110】
この血液フィルタは、手術後最初の6時間以内に抜き取られた出血液から、巨大凝集体、凝血、脂肪又はフィブリン分解産物のような混入物質を除去することを対象としている。詳細については実験Cを参照されたい。
【0111】
4つ〜6つの種々の前ろ過段階から構成されるフィルタからなる単一のフィルタにおいて、前ろ過工程及びろ過工程を組み合わせることもできる。
【0112】
実施例13−「出血液 番号2」
血液フィルタの第13の実施形態では、血液フィルタが、100g/m
2の基本重量、40μm〜45μmの直径(5.1dtex)及び約17μmの各単一の葉の典型的な直径を有する、単一層の100%PETである熱先端接着したスパンボンド三葉状繊維を備える。三葉状繊維は、それらの形状に起因して、理論上無限大の長さ及びおよそ10μmの深さを有する3つの溝を有する(
図2参照)。本発明によれば、このような血液フィルタは、出血液処理システム(
図7)に利用することができる。血液フィルタ10は、篩ポケットの形態で硬質の回収容器内に配置される。目的は、手術創傷部からの出血液の吸引及び回収中に直接、出血液から、巨大凝集体、凝血、脂肪又はフィブリン分解産物のような混入物質を除去することである。その後、前ろ過した出血液をメインフィルタ部11に移送して、細胞(例えば、白血球及び/又は血小板)を除去する。
【0113】
代替形態として、メルトブロー繊維の代わりに、二成分の「海島」構造の繊維を使用することもできる。さらに、血液フィルタ内で繊維層のみを使用することは必須条件ではない。それらを、膜、テキスタイル(すなわち、マイクロヤーン(micro-yarns)の材料)又は網のような他のタイプのフィルタ材料と組み合わせて、幾つかの実施例を示すことも可能である。最終的に、とりわけ前ろ過段階における全ての繊維層が不織布であることは必須条件ではないため、押出によって得られるマイクロシーブ(網)又は工業用糸を編むことによって得られるマイクロシーブのいずれかを代わりに使用することもできる。
【0114】
下記セクションにおいて、全血、回収式自己血又は少なくとも1つの血液成分を処理するシステムの種々の好ましい実施形態を挙げる。各システムは、本発明による少なくとも1つの血液フィルタを備え、該フィルタは、第1のリザーバと第2のリザーバとの間に配置される。
【0115】
図6Aに示されるシステムは、全血を処理するためのシステムである。本システムは、全血がろ過のために提供される第1のバッグ20(すなわち、第1のリザーバ)を備える。加えて、抗凝血剤を第1のバッグ20に入れておいてもよい。第1のバッグ20は、流体フローの連結において、第1の導管手段21、典型的には可撓性のプラスチックチューブを介して血液フィルタ10とつながっている。第1の導管手段21は、血液フィルタ筐体1の注入ポート2において血液フィルタ10と接続している。血液フィルタ10は、血液フィルタ筐体1の流出ポート3において第2の導管手段22と接続している。このようにして、血液フィルタ10は、流体フローの連結において、第2の導管手段22及び第2のバッグ23の注入ポート28を介して第2のバッグ23(すなわち、第2のリザーバ)とつながっている。第2のバッグは、流出ポート24及びy型コネクタ25を用いて、第3のバッグ26及び第4のバッグ27とつながっている。さらに、本システムは、第1のバッグ20と第2のバッグ23との間に、血液フィルタ10を通過することを要さずに第2のバッグ23から第1のバッグ20へと流体を移送することを可能にする付加的な流体ライン29を備える。本システムは、第1のバッグ20から第2のバッグ23へと全血を移送することで、フィルタ10を通過させてWBC及び血小板を除去させる。第2のバッグ23内で、例えば遠心分離によって血液を更に分離してもよい。血漿部分を第4のバッグ24へと移送してもよい。第3のバッグ26に入れられた添加溶液は、第2のバッグ23へと移送して、残るRCC(赤血球濃厚液)の貯蔵を改善することができる。血液フィルタ10としては、実施例2、6、7、8に挙げられるフィルタが好ましい。
【0116】
図6Bに示されるシステムは、RCCをろ過するためのシステムである。本システムは、抗凝血剤が充填された、全血の回収のための第1のバッグ40を備え、これは、可撓性のチューブを用いて、片側で、血漿を貯蔵するための第2のバッグ41に、反対側で、移送のための第3のバッグ42に接続されている。第3のバッグ42は、RBC(赤血球)を貯蔵するための第4のバッグ43に接続されており、該バッグ43には付加的な貯蔵溶液が充填されている。さらに、本システムは、第3のバッグ42と第4のバッグ43との間に配置される血液フィルタ10を備えるため、第3のバッグ42から第4のバッグ43へと移送される流体は血液フィルタ10を通過することとなる。第1のバッグ40内に回収された全血を遠心分離によって分離してもよい。血漿部分を第2のバッグ41に移送してもよい。RBCを含む残りの部分は、第3のバッグ及び血液フィルタ10を介して、貯蔵を目的とする第4のバッグ43へと移送することができる。血液フィルタ10は、WBC及び血小板を除去するのに適合する。血液フィルタ10としては、実施例1、3、4、5に挙げられるフィルタが好ましい。
【0117】
図6cに示されるシステムは、出血液を処理するためのシステムである。本システムは、出血液を回収するための第1のバッグ60と、処理された血液を収容するための第2のバッグ61とを備える。第1のバッグ60は、血液を第1のバッグ60から第2のバッグ61へと移送するための可撓性のチューブを介して第2のバッグ61につながっている。さらに、本システムは、第1のバッグ60と第2のバッグ61との間に配置される血液フィルタ10を備えるため、第1のバッグ60から第2のバッグ61へと移送される流体は血液フィルタ10を通過することとなる。本件では、血液フィルタ10が、チューブを用いて流体連通する、第1の筐体と第2の筐体とを備える。第2の筐体は、第1の筐体の下流に配置されるため、第1のバッグ60から第2のバッグ61へと移送される血液は、まず第1の筐体を通過し、その後、第2の筐体を通過する。血液フィルタ10としては、実施例12に挙げられるフィルタが好ましい。前ろ過のための繊維層の少なくとも1つのセットが、第1の筐体内に配置され、主要なろ過のための繊維層の複数のセットが第2の筐体内に配置される。
【0118】
図7に示されるろ過システムは、出血液を処理するための更なるシステムである。本システムは、出血液を受け取ると同時に、処理された血液も回収する硬質容器80を備える。本システムは、硬質容器内に配置される、篩ポケットの形態の血液フィルタ10を更に備え、出血液を受け取るための第1のリザーバ81と、血液フィルタ10を通過した処理された血液を受け取るための第2のリザーバ82とに容器を分割している。本システムは加えて、流体を第2のリザーバから、貯蔵を目的とする血液バッグ84へと移送するための手段83、例えばチューブ及びコネクタを備えていてもよい。第2の血液フィルタ11を流体ラインの下流に配置して、血液を血液バッグ84に回収する前に第2のろ過段階を設けてもよい。血液フィルタ10としては、実施例13に挙げられるフィルタが好ましいが、フィルタ11に関しては、WBについて使用される実施例(
図6a)のいずれを使用してもよい。
【0119】
上記に提示した実施形態では、押出によって得られた、平滑面を有する繊維を使用した。繊維の表面粗さRa(平均粗さ)は、0.1μm以下のRa、好ましくは0.03μm以下のRa、最も好ましくは0.01μm以下のRaである。