特許第6188725号(P6188725)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6188725自動車用のバッテリパックの電気モジュールのためのハウジング、および関連するバッテリパック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188725
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】自動車用のバッテリパックの電気モジュールのためのハウジング、および関連するバッテリパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20170821BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20170821BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20170821BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20170821BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20170821BHJP
   H01M 10/659 20140101ALI20170821BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20170821BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20170821BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20170821BHJP
【FI】
   H01M2/10 S
   H01M10/613
   H01M10/6554
   H01M10/653
   H01M10/647
   H01M10/659
   H01M10/651
   H01M10/625
   H01M10/6556
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-555290(P2014-555290)
(86)(22)【出願日】2013年2月1日
(65)【公表番号】特表2015-510230(P2015-510230A)
(43)【公表日】2015年4月2日
(86)【国際出願番号】FR2013050216
(87)【国際公開番号】WO2013114054
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2016年1月19日
(31)【優先権主張番号】1250960
(32)【優先日】2012年2月1日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504037391
【氏名又は名称】コンパニ・プラステイツク・オムニウム
(73)【特許権者】
【識別番号】514194462
【氏名又は名称】バレオ・システムズ・テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ,ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ジロット,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】エリオット,ジル
(72)【発明者】
【氏名】フイヤール,バンサン
(72)【発明者】
【氏名】ラドレック,フレデリク
【審査官】 正 知晃
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02337141(EP,A1)
【文献】 国際公開第2012/147801(WO,A1)
【文献】 特開2010−238554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 10/60−10/667
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱調整プレート(33)と結合する、1組のいくつかの電気セル(21)から成る、少なくとも1つのモジュール(19)を含むように設計された内部空間を備える自動車用のバッテリパック(1)のハウジング(7)にして、モジュール(19)がハウジングに存在する場合には熱調整プレート(33)に押し当てるように設計される少なくとも1つの壁(53、53′)を有するハウジング(7)であって、モジュール(19)を前記壁(53、53′)に締め付けるための手段((23、49、60)を備え、前記壁(53、53′)が、熱調整プレート(33)に向かって対向しているその内側に、ハウジングの内部空間の方へ向けられた凸面を有するボリューム内に内接された突出要素(55、90)を備えることを特徴とする、ハウジング。
【請求項2】
その壁(53、53′)が、熱可塑性材料または熱硬化性プラスチック材料または2つの先行の材料の混合物または成形されたアルミニウムまたは鋳造アルミニウムから作られる、請求項1に記載のハウジング。
【請求項3】
締め付け手段が、底部および蓋を備える、ハウジングを閉鎖するための手段から成り、前記底部または前記蓋が、熱調整プレート(33)に押し当てるように意図される壁(53′)を備える、請求項1または2に記載のハウジング。
【請求項4】
締め付け手段が、モジュール(19)の両側に締め付けられるフランク(23)を用いて、モジュール(19)を壁(53、53′)に直接取り付けるための手段から成る、請求項1または2に記載のハウジング。
【請求項5】
突出要素の凸面は、高さが締め付け手段の締め付け方向(S)で定義されており、次の特徴:
突出要素の少なくとも1つの最高点H(81)が存在すること、
最高点H(81)を通過し、締め付け方向(S)に平行な少なくとも1つの投影面Pが存在すること
によって定義されており、この投影面Pは、突出要素の最高点(81)を通過し且つ締め付け方向に直交する第2の平面P′に配置された所定の直径の円(61、65、69、73、77)に突出要素が投影されて得られる任意の領域において、少なくとも1つの高点H(63、67、71、75、79)があって、高点の投影面Pへ直交な投影hは前記直交な投影と突出要素の最高点H(81)との間の距離と共に減少する投影面P上の高さを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のハウジング。
【請求項6】
突出要素が、ハウジングの内側の方へ向けられた凸面を有する中実部(55、90)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のハウジング。
【請求項7】
中実部が、壁の内側から突出し、かつハウジングの内側に向かってドーム形にされた包絡領域内に内接されたリブ(55)のネットワークを備える、請求項6に記載のハウジング。
【請求項8】
リブのネットワークのリブ(55)が、壁(53、53′)と一体に成形される、請求項7に記載のハウジング。
【請求項9】
中実部が、ハウジングの内側に向かって凸面形状を壁に与えることによって得られる、請求項6に記載のハウジング。
【請求項10】
中実部が、底壁に形成される1組のスタッドを備え、各接触領域が、スタッドの頂部である、請求項6に記載のハウジング。
【請求項11】
突出要素が、ハウジングの内側に向かって凸面形状の外側を有する変形可能な一体の材料からなる、請求項1から10のいずれか一項に記載のハウジング。
【請求項12】
壁(53、53′)が、第1の方向に沿った第1の大きな寸法(L)、第1の方向に直角の第2の方向に沿った第2の大きな寸法(l)を有し、凸面の最大高さ、すなわち、突出要素の最高点と最低点との間の高さの変化が、壁のこれらの2つの大きな寸法のうちの一方の0.1%と2%との間である、請求項1から11のいずれか一項に記載のハウジング。
【請求項13】
自動車用のバッテリパックであって、熱調整プレート(33)と結合する、1組のいくつかの電気セル(21)から成る、少なくとも1つのモジュール(19)を含むハウジングを備え、ハウジングが、モジュール(19)の熱調整プレート(33)に押し当てるように設計される少なくとも1つの壁(53、53′)を有し、この壁(53、53′)が、熱調整プレート(53)に向かって対向しているその内側に、壁(53、53′)によって加えられる締め付け圧力を熱調整プレート(33)に伝達するように配置され、寸法決めされる突出要素(55、90、99)を備え、この締め付け圧力は、突出要素(55、90、99)および熱調整プレート(33)が締め付けによって生じる起こり得る壁(53、53′)の変形にもかかわらず互いに接触したままであるようになっており、この接触は、突出要素(55、90、99)の少なくとも各点で生じ、熱調整プレート(33)上に投影された直径が20mmから80mmの、好ましくは直径が30mmから60mmの任意の円に、これらの点のうちの少なくとも2つが含まれるように配置される、ことを特徴とする、バッテリパック。
【請求項14】
各セル(12)が、剛性殻部を備え、所与のモジュール(19)のセルの殻部が、同一平面のそれらの底部と共に横方向に沿って互いに押し付けられることによって剛性ブロックを形成する、請求項13に記載のバッテリパック。
【請求項15】
セル(21)の剛性殻部が、矩形の基部を備える角柱形状を有する、請求項13または14に記載のバッテリパック。
【請求項16】
いくつかのモジュール(19)が、同じ熱調整プレート(33)を共有する、請求項13から15のいずれか一項に記載のバッテリパック。
【請求項17】
各モジュールが、自己の熱調整プレートを有する、請求項13から15のいずれか一項に記載のバッテリパック。
【請求項18】
突出要素が、その上にかかる圧力を一様かつ等方的に伝達することができる、圧縮不可能な液体またはゲルのパウチ(99)を備え、これは、プレートに対して壁を締め付ける力から生じる、請求項13から17のいずれか一項に記載のバッテリパック。
【請求項19】
液体またはゲルが、断熱性を示す、請求項18に記載のバッテリパック。
【請求項20】
液体またはゲルが、電気絶縁特性を示す、請求項18または19に記載のバッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用のバッテリパックの電気モジュールのためのハウジング、および関連するバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明によれば、「セル」は、電流を生じることができる単一の電気デバイスを示す。セルは、通常、2ボルトと4ボルトとの間、通常3.7ボルトの電圧を生じることができ、一般に、より高い電圧を供給するように、直列に組み立てられた他のセルと結合するように設計される。
【0003】
セルは、剛性または可撓性エンベロープを有することができる。後者の場合は、本願発明者らは、「パウチセル(pouch cell)」のことを言う。
【0004】
「モジュール」は、自己支持剛性構造を有する1組のいくつかのセルを示し、この自己支持剛性構造は、可撓性または剛性エンベロープを有するいくつかのセルを含む単一の剛性エンベロープから、あるいは互いのそばに配置される、剛性エンベロープを有するいくつかのセルのアセンブリから成る。
【0005】
最後に、「バッテリパック」は、少なくとも1つの熱調整プレートから成る、少なくとも1つのモジュール、およびこのモジュール用の熱調整手段を含む電気アセンブリを示す。
【0006】
熱調整プレートは、通常、冷却され、したがってモジュールのために冷却している。それにもかかわらず、これは、気候条件が好ましくない場合にモジュールを最適動作温度に持ってくるために、少なくとも一時的にモジュールを加熱するのに使用される場合がある。熱調整プレートは、伝熱流体を循環させる内部チャネルを備えることができる。
【0007】
米国特許出願公開第2010/0025132A2号明細書は、43℃より下の温度に維持される冷却プレート、ヒートシンク、または車両主冷却回路から低温空気を循環させるシステムから成り得る冷却手段を備えた電気セルモジュールを説明している。
【0008】
このタイプのアセンブリにおいては、モジュールと冷却プレートとの間の接触の質が、優秀でなければならない。しかし、この結果は、セルおよび冷却手段の寸法が非常に正確でなければならず、これは一般に事実と異なるということを意味するので、実現するのが困難である。加えて、これらの構成要素の寸法ばらつきが、バッテリパックの耐用期間中に現れ、または増大する場合がある。その結果として、現時点での技術水準で提案されているような単一のスタックは、モジュールと冷却手段との間の最適熱伝導に要求される状態を提供するものではない。
【0009】
2つの表面の間の熱伝導の問題に直面した場合、「熱パッド」と呼ばれることがある熱伝導膜などの、これらの表面の間に熱伝導インターフェースを挿入することもまた知られている。この種の熱パッドの一例は、セラミックロードを有するシリコン膜であり、これは、モジュールの各セルの下壁の小さな平坦度または位置合わせ不良、および冷却プレートの平坦度不良を補償することによって各セルとコールドプレートとの間の熱伝導を改善する。しかし、これらの補償は、およそ1ミリメートルの10分の1であり、これは、すべてのセルアセンブリ形状構成の接触不良を補償するには十分ではない。加えて、熱伝導膜を用いたこれらの補償は、やはり、冷却プレートが適切にセルに締め付けられるかどうかに依存する。
【0010】
したがって、その温度を調整することになっているモジュールに冷却プレートを締め付ける有効な解決策の必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0025132号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、モジュールと熱調整プレートとの間の優秀な熱接触を保証するように、新しく簡単で費用のかからない解決策を提案することを目的とする。この解決策は、既に知られている、熱伝導膜を付加する解決策と組み合わされ得ることが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、熱調整プレートと結合する、1組のいくつかの電気セルから成る、少なくとも1つのモジュールを含むように設計された内部空間を備える自動車用のバッテリパックのハウジングにして、このモジュールがハウジングの内部空間に存在する場合にはモジュールの熱調整プレートに押し当てるように設計される少なくとも1つの壁を有するハウジングであって、モジュールを前記壁に締め付けるための手段を備え、前記壁が、熱調整プレートに向かって対向しているその側に、ハウジングの内部空間の方へ向けられた凸面を有するボリューム内に含まれるレリーフ状の要素を備えることを特徴とする、ハウジングに関する。
【0014】
本発明によれば、壁は、区画の内側を示す。この区画は、ハウジングの底部であることができ、その場合には、区画の外側は、ハウジングの底部の外側、または、たとえばそれの2つのコンパートメントを分離する、ハウジングの内部区画であり、その場合には、区画の外側は、モジュールを含む内部空間ではなくハウジングの内側にやはり配置される。
【0015】
有利なことに、壁は、熱可塑性材料(たとえば、ポリプロピレン)、熱硬化性プラスチック材料(たとえば、ポリエステル)、2つの先行の材料の混合物から作られ、この材料には、ガラスまたは炭素繊維、ポリエチレン、または任意の他のロード、成形されたアルミニウム(たとえば、圧縮成形された)、鋳造アルミニウムが任意選択的にロードされる。
【0016】
本発明によれば、レリーフ状の要素が凸の容積内にあるということは、壁によって加えられる締め付け圧力を熱調整プレートに伝達するように配置され、寸法決めされ、この締め付け圧力は、レリーフ状の要素および壁が、締め付けによって生じる起こり得る壁の変形にもかかわらず互いに接したままであるようなものであるということを反映する。
【0017】
「締め付けによって生じる変形」は、プレートにいかなる圧力も加えない状態と、プレートに締め付け圧力を加える状態との間の壁の形状の任意の変化を示す。したがって、この表現は、壁に固有の、かつたとえば成形不良による締め付けとは無関係に得られる任意の幾何学的欠陥を排除する。考えられる変形は、塑性または弾性であってもよい。
【0018】
レリーフ状の要素の凸面は、締め付けによって生じ、かつその端縁の近くよりもその中央においてより顕著である、壁の変形を補償するように設計される。当業者は、計算および/または引き続くテストによって、特にその寸法、材料、厚さ、および締め付け力を考慮して、壁の変形を正確に補償するのに要求される高さおよび凸面の決定の仕方を知るであろう。
【0019】
締め付け手段は、底部および蓋を備える、ハウジングを閉鎖するための手段から成ることができ、前記底部または前記蓋は、熱調整プレートに押し当てるように意図される壁を備える。
【0020】
また、締め付け手段は、ハウジングがまだ閉鎖されていなくても、たとえばモジュールの両側に締め付けられるフランクを用いて、モジュールを壁に直接取り付けるための手段から成ることができる。
【0021】
どちらの場合にも、締め付け手段は、たとえば壁に直角であり得る締め付け方向Sを規定する。
【0022】
特定の実施形態においては、締め付け手段は、締め付け方向を規定し、レリーフ状の要素の凸面は、高さが締め付け方向に測定され、次の特徴:
レリーフ状の要素の少なくとも1つの(絶対的な)最高点Hの存在、
(絶対的な)最高点を通過し、締め付け方向Sに平行な少なくとも1つの投影面Pの存在
によって規定され、この平面は、レリーフ状の要素の(締め付け方向Sに直角の、最高点を通過する第2の平面P′に配置される所定の直径のディスクのレリーフ状の要素の突起によって得られる)任意の領域において、投影面のその直交投影hが前記突起と(絶対的な)最高点Hとの間の距離と共に減少する投影面P上の高さを有する、少なくとも1つの(相対的な)最高点Hがあるようなものである。
【0023】
上記の規定において、「点」は、投影演算の必要条件のための数学的な点に類似したレリーフ状の要素の非常に小さな領域を示し、この数学的な点は、実質的に前記領域の中央にある。
【0024】
したがって、レリーフ状の要素の最高点は、ドーム形状に倣い、かつたとえ壁が直ちにまたは経時的に締め付け中に変形しても前記熱調整プレートの効果的な締め付けを確保する、熱調整プレートと共に接触領域の層を形成する。
【0025】
接触領域は、たとえば1組の「直線状」(すなわち、小さな幅および長さが長い領域に低減される)または「点」(すなわち、小さな領域に低減される)接触領域である、連続した領域を形成しても、あるいはバラバラであってもよい。
【0026】
本発明の第1の実施形態においては、レリーフ状の要素は、ハウジングの内側の方へ向けられた凸面を有する中実部を備える。
【0027】
第1の変形においては、中実部は、壁の内側から突出し、かつハウジングの内側に向かってドーム形にされたエンベロープ、たとえば実質的に壁の中央に頂部を有する球形状のキャップ内にあるリブのネットワークを備える。
【0028】
有利なことに、リブのネットワークのリブは、壁と一体に成形される。
【0029】
これらのリブは、それらの基部とは反対に自由上縁部を備える。
【0030】
この自由上縁部は、各リブと熱調整プレートとの間の接触が自由縁部に沿って生じ、これが直線状接触領域(すなわち、細長い領域)を画定する場合には、凸面であることができる。
【0031】
また、自由上縁部は、各リブと熱調整プレートとの間の接触がこの自由縁部の頂部に生じ、これが前記頂部によって形成される点接触領域を画定する場合には、波状または城郭風であることができる。
【0032】
本実施形態の第2の変形によれば、壁厚がハウジングの外側に対して比較的一定であり凹面形であるということと、壁がより厚い、たとえばその縁部の近くで薄くて中央に向かって厚くなり、その外側が実質的に平坦であるということとのどちらかにより、中実部は、ハウジングの内側に向かって凸面形状を壁に与えることによって得られる。リブは、強化のために壁の外側に設けられる。
【0033】
第3の変形によれば、中実部は、底壁に形成される1組のスタッドを備え、各接触領域は、スタッドの頂部である。
【0034】
先に規定した意味においてレリーフ状の要素の凸面、すなわち
少なくとも1つの(絶対的な)最高点の存在、
最高点を通過し、締め付け方向に平行な少なくとも1つの投影面の存在、をチェックするために、
一方法は、
1°)プレートおよびモジュールの寸法により直径Dを規定すること。Dは、20mmと80mmとの間、好ましくは30mmと60mmとの間にあること、
2°)レリーフ状の要素の(絶対的な)最高点Hを見付けること、
3°)Hを通過し、締め付け方向Sに直角な平面において、辺D/√2(ここに、√2は、2の平方根である)の正方形メッシュの格子を作成し、中実部の凸状面にディスクを描くこと、
4°)(プレートの凸面を無視して、ほとんどディスクである)投影された各領域の内側に、レリーフ状の要素の(この領域に関して)最高点Hを見付けること、
5°)Hを通過し、締め付け方向と壁の第1の大きな寸法とに平行な平面Pを採ること、
6°)点hを得るように、直径D未満の平面Pからの距離に配置されるステップ3で得られた最高点Hを平面P上に直交的に投影すること、
7°)平面P上で、点hすべてを通過し、点Hを通過する破線が凸面であることをチェックすること、
8°)壁の全領域が掃引されてしまうまで、等角度間隔で締め付け方向の周りに平面Pを回転し、各間隔においてステップ5からステップ6を繰り返すこと
にあることができる。
【0035】
先行するものと両立し得る、本発明の第2の実施形態においては、レリーフ状の要素は、ハウジングの内側に向かって凸面形状の外側を有する変形可能な材料のブロックを備える。
【0036】
この変形可能な材料は、発泡体であってもよい。
【0037】
変形可能な材料のブロックは、たとえば1組の「直線状」または「点」接触領域である、連続した領域を形成し、あるいはバラバラである接触領域を生じるように、先に説明した形状を有することができる。
【0038】
先の実施形態は組み合わされ得る。本発明の範囲は、たとえば、より厚い底壁を有し、かつハウジングの内側に向かって凸面を有する中実部によって完全にされるハウジングを含む。
【0039】
有利なことに、壁は、第1の方向に沿った第1の大きな寸法L、第1の方向に直角の第2の方向に沿った第2の大きな寸法lを有する。レリーフ状の要素が、リブ、または壁、または凸面形状の発泡体のブロックの、ネットワークの場合のように、内側の方へ向けられた凸面を有する場合には、凸面の最大高さ、すなわち、レリーフ状の要素の最高点と最低点との間の高さの変化は、(すなわち、その厚さを除外して)壁のその2つの大きな寸法Lおよびlのうちの1つの、好ましくはより小さな寸法の2%よりも小さいことが好ましい。0.1%から2%の間隔が好ましい。さらに、0.2%から0.5%の間隔がより好ましい。辺500mmの正方形壁の場合、レリーフ状の要素の凸面の最大高さは、2mmであり得る。それにもかかわらず、絶対値においては、凸面の最大高さは、寸法Lおよびlに関係なく好ましくは5mmを超えないべきである。
【0040】
また、本発明は、自動車用のバッテリパックであって、熱調整プレートと結合する少なくとも1つのモジュールを含むハウジングを備え、ハウジングが、モジュールの熱調整プレートに押し当てるように設計される少なくとも1つの壁を有し、この壁が、熱調整プレートの方へ向けられたその内側に、壁によって加えられる締め付け圧力を熱調整プレートに伝達するように配置され、寸法取りされるレリーフ状の要素を有し、この締め付け圧力は、レリーフ状の要素および壁が締め付けによって生じる起こり得る壁の変形にもかかわらず互いに接触したままであるようなものであり、この接触は、レリーフ状の要素の少なくとも各点で生じ、熱調整プレートの(投影によって)描かれる直径が20mmから80mmの、好ましくは直径が30mmから60mmの任意のディスクがこれらの点のうちの少なくとも2つを含むように配置されることを特徴とする、バッテリパックに関する。
【0041】
特定の実施形態においては、各セルは、剛性エンベロープを備え、所与のモジュールのセルのエンベロープは、同一平面のそれらの底部と共に(セル−プレート−レリーフ状の要素の積層方向に関して)横方向に沿って互いに押し付けられることによって剛性ブロックを形成する。
【0042】
セルの剛性エンベロープは、矩形の基部を備える角柱形状を有することが好ましい。それにもかかわらず、他の形状が可能である。
【0043】
特定の実施形態においては、いくつかのモジュールは、同じ熱調整プレートを共有する。もう1つの実施形態においては、各モジュールは、自己の熱調整プレートを有する。
【0044】
本発明によれば、良好な熱伝導が短期的には得られ、伝導は、プレートがハウジングに締め付けられるとすぐモジュールと熱調整プレートとの間に生じ、かつ/または長期的には、モジュールと熱調整プレートとの間の伝導は、熱調整プレートがハウジングに締め付けられていない場合よりも大きな程度で経時的に維持される。換言すれば、熱調整プレートとモジュールとの間の接触の質は、モジュールと熱調整プレートとの間の熱交換の性能が、感知されるエージング、特に温度変化、振動、材料のクリープの影響なしに車両の耐用期間中に維持されるようなものである。
【0045】
本願発明者らは、モジュールに対してプレートのいかなる締め付け不良も補償する本発明によるレリーフ状の要素の利点を理解することができる。締め付けが、ハウジングを閉鎖することによって得られようと、またはフランクを用いてモジュールを壁に取り付けることによって得られようと、モジュール寸法は、締め付け点すなわちハウジングの側壁またはフランクの取付点が互いから遠く離れすぎて、それによりプレートが湾曲するようになり、もはや締め付け点から遠く離れた領域においてモジュールに緊密に押し付けられ得ないようなものであるという危険がある。これは、特に、いくつかのセルが一緒に組み立てられて大きなモジュールを形成する場合にそうである。
【0046】
本発明によるレリーフ状の要素の場合、熱調整プレートは、モジュールの底部全体にわたって均一に(熱パッドの任意の挿入と共に)このレリーフ状の要素とモジュールの底壁との間に挟まれる。
【0047】
レリーフ状の要素の存在の対案は、モジュールを形成する各電気セルの底部に熱調整プレートを固締することにあり得るが、この方策は、プレートを各セルの底部に取り付けるための手段の存在、ならびにバッテリパック組立ラインに取付部材の供給および据付けを必要とすることになり、それにより、材料およびエネルギーコストについて無視できない増大が生じる。本発明は、これらの欠点を回避するものである。
【0048】
各セルをプレートに取り付ける必要がないということから生じるもう1つの利点は、プレートを取り払ったり、またはプレート内で循環する伝熱流体の回路を排出させる必要なしに、欠陥のあるモジュールが容易に取り替えられ得るということである。
【0049】
本発明の特定の実施形態においては、レリーフ状の要素は、圧縮不可能な液体のパウチを備える。変形として、この液体はゲルである。
【0050】
液体は、その上にかかる圧力を一様かつ等方的に伝達するという利点を提供し、これは、プレートに対して壁を締め付ける力から生じる。したがって、これは、熱調整プレートの上方にハウジング締め付け力を一様に分配するように設計される任意の他の機械的手段に取って代わることが有利である。
【0051】
加えて、液体またはゲルは適切な断熱性、ならびに電気絶縁特性を示すことができる。
【0052】
本発明は、非限定的な例として与えられる実施形態の次の説明を読み、添付の概略的な図面を参照するとより理解しやすいであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】その閉鎖されたハウジングにおいて、車両の下に取り付けられた、本発明の実施形態によるバッテリパックの底面からの斜視図である。
図2図1に示されるバッテリパックの一部分解図による横断面図である。
図3】そのハウジングが開放されているバッテリパックの斜視図である。
図4】1つのレベルの電気モジュールを取り外した後の、図3に類似した図である。
図5】その中身を完全に取り除いた、開いたハウジングの上方からの斜視図である。
図6】熱調整プレートを含む、開いたハウジングの上方からの斜視図である。
図7】1つのレベルのバッテリパックの組立要素の概略図である。
図8】熱調整プレートの一部、およびハウジングの底壁と接触しているその領域の、拡大した底面からの概略図である。
図9図8に示される熱調整プレートの一部に対応する、底壁の一部のIX−IXに沿った概略断面図である。
図10】底壁の他の実施形態の斜視図であり、そのレリーフ状の要素がリブのネットワークを備える図である。
図11】レリーフ状の要素としてゲルのパウチを備えるバッテリパックの全体断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、この目的のために設けられたコンパートメント5の内側の、自動車の床3の下に固締されたバッテリパック1を示している。
【0055】
床3は、ポリプロピレンから作られ得る。
【0056】
床3の下のバッテリパック1のこの配置は、非限定的な例に過ぎない。
【0057】
図2の分解図上でより目につきやすいようにしたバッテリパック1は、2つの上半分7aおよび下半分7bによって形成される混合材料から作られる略平行六面体ハウジング7を備え、それぞれは接合縁部8a、8bを有する。下半分7bの縁部8bは、図4および図6に示されるシール9を有する。
【0058】
上半分7a、それぞれ下半分7bの大きな側面11、それぞれ13は、ハウジング7を床3に固締するための取付ラグ15、それぞれ17を備える。
【0059】
特に図2の分解図は、ハウジングに存在する要素が組立要素の2つのレベルE1、E2を形成することを示しており、2つのレベルは、実質的に同一であり、それぞれ内部空間を備える。
【0060】
本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、ハウジングは、1つのレベルのみ、またはそれどころか2つより多くのレベルを含むこともできる。
【0061】
次に、レベルE1が説明される。レベルE2は、同じ数字および符号′を用いて参照される、同じ要素を含む。
【0062】
図3でより明らかに理解することができるように、この場合は、レベルは、互いのそばに配置される5つの電気モジュール19−1、19−2、19−3、19−4、19−5(参照符号19によって総称的に示される)を含んでいる。各モジュールは、それらの大きな側面によって互いに対して締め付けられる矩形の基部21−1−1、21−1−2、21−1−3、21−1−4、21−1−5、21−1−6、21−1−7、21−1−8、21−1−9、21−1−10;21−2−1〜21−2−10;・・・;21−5−1〜21−5−10(この文献の後半で参照符号21によって総称的に示される)を有するそれ自体10個の角柱セルから成り、略矩形の平行六面体を形成するように、それらの底部が同一平面にあるように、かつそれらの小さな側面もまた同一平面にあるように互いに対して配置される。他のセルの形状、またはモジュールを形成するセルの組の異なる形状構成がもちろん考えられることもでき、それにより、セルの組の底部が平坦または実質的に平坦であることを条件として、あるいはモジュールに異なる全体形状を与える。
【0063】
モジュール19−1(それぞれ19−2、19−3、19−4、19−5)においては、セルは、平行六面体の2つの小端側に対して配置され、かつ4本のタイロッド25(平行六面体モジュールのそれぞれの大きな側面に2つ)によって一緒に接続されるフランク23−1(それぞれ、23−2、23−3、23−4、23−5、フランクは、参照符号23によって総称的に示される)によって一緒に保持される。5つのモジュールが、ハウジングの1つのレベルを形成するように並んで配置されると実質的に同じ平面に保持される。
【0064】
図7に見ることができるように、フランク23は、平行六面体の小端側の上方および下方に延在し、セル21の底部の下に、有利なことに10mmと20mmとの間の、より正確には本実施形態においては17mmの高さeの空間31を特に残す。
【0065】
このように組み立てられた電気モジュール19においては、それらのセル21の底部は、実質的に同じ下部平面にあり、空間31の天井を形成する。
【0066】
矩形の実施形態の例によれば、熱調整プレート33は、そのレベルのセル21の底部すべての下に配置される。したがって、この場合は、熱調整プレート33は、5つのモジュール19によって共有される。代替の実施形態においては、各モジュール19−1〜19−5は、自己のプレートを有することもできる。熱調整プレート33は、空間31に嵌合するように寸法決めされる。これは、アルミニウムから作られ、その2つの大きな側面に沿って、伝熱流体を担送する管37によって延在される2つの主チャンネル35を有し、各管は、図3に示されるハウジング7の孔に開いている。レベルE2においては、管37′は、ハウジング7の下半分7bの孔39、41と交差する。各主チャンネル35は、プレートの厚さに配置された二次チャンネル(図示せず)を介して他のものと通じる。他のプレート形状構成が可能であり、たとえば、主チャンネルは、プレートの大きな側面に沿う以外の位置に配置される。
【0067】
図7に示されるように、熱調整プレート33が空間31に含まれる主チャンネル35は、高さによってこの空間31の中から延在する。
【0068】
熱調整プレート33上に、好ましくはセラミック添加シリコンから作られる熱伝導膜43(レベルE2の膜43′は、図6においてより明瞭に示されている)が、モジュール19とプレート33との間の熱伝導を改善するように設けられる。この膜43の厚さは、特に0.5mmから1mmまで変化することができ、セル21の底部およびプレート33の表面不完全性により生じる起伏に適応し、それによって、接触領域と、したがってこれらの2つの部品の間の熱伝導通路とが増大する。
【0069】
フランク23は、上部レベルE1について底壁を形成する隔壁53に、たとえばねじ49によってこれらを取り付けるのに使用される、下縁部45、それぞれ上縁部47を有する。壁53は、図4においてより明瞭に示されている。下部レベルE2上においては、壁53の均等物は底壁53′であり、これは、図5においてより明瞭に見られ得る。
【0070】
本発明の趣旨の範囲内において、壁53および53′は、モジュールの熱調整プレート33、33′に押し当てるように意図される。ハウジングは、2つの内部空間(参照されていない)、すなわち各レベルについて1つを備え、それぞれのものは、1組のいくつかの電気セル21から成るモジュール19を含むように意図される。
【0071】
説明の後半では、壁53または53′の内側は、前記壁と接触している熱調整プレート33、33′と相互に作用するモジュール19を含む内部空間の方へ向けられたこの壁の側面を示すことになる。
【0072】
図7の断面線図は、壁53、(膜43を備えた)熱調整プレート33、およびセル21のスタックがいかに作られるかをより明瞭に示している。
【0073】
特に、本願発明者らは、壁53がその主チャンネル35の間に含まれる熱調整プレート33の表面においてその内側に交差されかつ直角なリブ55のネットワークを備えることを理解している。
【0074】
それらの間の比較的小さな高さの変化のため図で理解するには困難であるが、リブ55は、ハウジングの内側に向かってドーム形にされたエンベロープ内にある交差したリブのネットワークに配置され、本発明の趣旨の範囲内において、ハウジングの内側に向かって凸面を有するレリーフ状の要素を形成する。
【0075】
より正確には、Lは、壁の最も長い寸法、この場合は壁が矩形であるのでその長さであり、lは、その2番目に長い寸法、この場合はその幅であり、リブ55を含むエンベロープは、壁に直角な、かつその幅lの方向に平行な平面においてだけドーム形にされる。換言すれば、長さLの方向に平行な横断面において、リブ55の高さは、全長Lに沿って同じであるが、この高さは、考えられる断面に応じて変化し、壁の対称中心軸X上で最大である。
【0076】
この実施形態の例においては、凸面の最大高さ、すなわち、リブ55のネットワークの最低点と最高点との間の高さの変化は、幅l(壁53の2つの最も長い寸法Lおよびlのうちのより小さいもの)の1.5%である。
【0077】
その2つの長手方向側面のそれぞれにおいて、リブ55のネットワークは、熱調整プレート33の主チャンネル35を含むように寸法決めされた深さの凹部57を有する。
【0078】
各凹部57に沿って、幅lの方向に平行な支持体59が、フランク23の下縁部45のためのシートとして働く。これらの支持体59のうちのいくつかは、フランク23の下縁部45において孔44と位置合わせされる締め付け用チムニ60を含む。各縁部45は、2つの孔44を有し、6つの支持体59に対応する長さに沿って延在し(長さの方向に、文献の後半で第1から第6までに番号付けされる)、第2の支持体59から第5の支持体59のみを完全に覆うが、これは、第1の支持体59および第6の支持体59のそれぞれの半分だけを覆い、これらの2つの支持体のそれぞれは、その他の半分上に、考慮されるフランク23に隣接するフランクを受け入れる。
【0079】
締め付け用チムニ60は、締め付け方向を決定し、したがって、しばしばそうであるように、これは、この場合に壁53の全面に直角である。
【0080】
図7のズームにおいてより明瞭に理解され得るように、フランク23の下縁部45の孔44および締め付け用チムニ60と交差するねじ49を締め付けると、モジュール19と壁53を一緒により接近させ、それによって、熱調整プレート33を壁53とセル21との間に挟み、そのうえ膜43を熱調整プレート33とセル21の底部との間に押し潰す。
【0081】
リブ55のエンベロープの凸面形状により、この壁53の対称軸Xの方へ移動すると潜在的に増大する締め付け中の底壁53の変形は、この軸に近づくとリブの高さが増大することによって補償される。
【0082】
したがって、所与のレベルにおいて、次の要素が積み重ねられる。すなわち、
モジュール19、19′に分類されるセル21、21′、
熱調整プレート33、33′、
締め付け手段によってモジュールに締め付けられる壁53、53′である。
【0083】
図8は、リブ55の圧力が締め付け後に加えられる熱調整プレート33の領域を示している。
【0084】
これらの領域は、「接触領域」として示される。
【0085】
この圧力は、底壁53の最も高い領域との接触から生じる。
【0086】
実際には、接触領域は、着色粉末をリブ55の自由上縁部に付着させることによって示され得る。熱調整プレート33が底壁53によって締め付けられると、この粉末は、プレート33に移動されて図8に示される模様を生じる。
【0087】
図8に見ることができるように、本願発明者らが熱調整プレート33上に直径Dの任意のディスクを考える場合には、常に少なくとも1つの接触領域がある。この接触領域は、底壁53において、リブ55の自由上縁部の最高点Hに対応する。
【0088】
したがって、ディスク61は最高点63を含み、ディスク65は最高点67を含み、ディスク69は最高点71を含み、ディスク73は最高点75を含み、ディスク77は最高点79を含む。
【0089】
加えて、底壁53は、最高点81を有する。
【0090】
図9の断面図に示されるように、これらの最高点63、67、71、75、79、および81のそれぞれは、リブのネットワークにおいてリブ55の頂部にある。
【0091】
また、この図は、リブ55の頂部の横断面が丸められ得ることを示しており、それにより、各接触領域の面積が減少する。しかし、リブの材料は(弾性的または塑性的に)変形し得るので、各リブの頂部は、接触領域が単純な線とならないように潰れることができる。
【0092】
したがって、熱調整プレート33は、その全表面にわたってセル21と最適接触に保たれ、「最適な(optimum)」とは、2つの隣接する点が距離Dを超えては分離されないように、換言すれば、熱調整プレート33に描かれる直径Dの任意の円がこれらの接触領域のうちの少なくとも2つを含み、それによりプレートとセルとの間の接触点の比較的高い通常の密度がもたらされるように、これらの2つの部品の間の接触が少なくとも、共に十分に接近した領域に生じるということを指すことが理解される。
【0093】
図10の実施形態においては、壁53は、2つの大きな寸法Lおよびlを有する。これは、正方形メッシュの交差した直角のリブ90のネットワークから成るレリーフ状の要素を備える。
【0094】
リブ90のこのネットワークは、リブ90の頂部が(図に対して)上方へドーム形にされたエンベロープ内にあるという意味で、凸面である。
【0095】
図10の概略線図では、前記凸面の意味を明瞭に示すように湾曲が強調されているが、エンベロープの凸面は、Lおよびlの2つの方向に延在し、その結果、有利なことにlの2%の最大高さ、すなわち最低点と最高点との間の高さの変化を生じる。
【0096】
リブのネットワークの凸面は、以下の通り行われることによってチェックされ得る。
【0097】
1°)この場合は、壁として同じ幅lおよび同じ長さLを有するものと仮定される熱調整プレートの寸法により直径Dを規定する。この場合は、本願発明者らは、D=50mmを採る。
【0098】
2°)上方を指す矢印Sによって示される締め付け方向に沿って、壁の最高点Hを見付ける。
【0099】
3°)点Hにおいて交点を有する、辺D/√2の正方形メッシュの格子を描き、格子の各交点において、直径Dの円を描く。
【0100】
4°)直径Dの各ディスクにおいて、最高点Hを見付ける。
【0101】
5°)点Hを通過し、方向Sと長さLの方向とに平行な平面Pを採る。
【0102】
6°)点hを得るように、直径D未満の平面Pからの距離に配置されるステップ3で得られた最高点Hを平面P上に直交的に投影する。
【0103】
7°)平面P上で、点hすべてを通過し、点Hを通る破線が凸面であることをチェックする。
【0104】
8°)方向Sの周りに平面Pを回転し、ステップ5およびステップ6を繰り返す。
【0105】
他の方法は、この方向に平行な平面に存在するステップ3で得られた点すべてがそれに沿って同じ高さを有する、「非凸性」の方向が存在するかどうかを決定することから成る。これが存在する場合には、ステップ5からステップ6を実行し、Sに平行で、かつ「非凸性」の方向に直角の平面Pを選択し、距離Dについて並進運動によって平面Pにおいて壁全体を掃引する。
【0106】
図11の実施形態においては、先に説明したリブが、ゲル99のパウチによって置き替えられる。ハウジングの底壁101は、平坦であり、いかなるリブも有さない。ゲル99のパウチは、底壁101のレリーフ状の要素を形成し、これは、均一にかつその表面のあらゆる点において、底壁101によって加えられる圧力を熱調整プレートに伝達する。
【0107】
繰り返すと、伝達された圧力は、フランク23を固締するねじ49を底壁101に締め付ける場合に底壁101が受ける変形に関係なく熱調整プレート53のあらゆる点で同じである。
【0108】
明らかに、上記で説明した例は、単に例示として与えられるものであって、特許請求の範囲を限定するものとして解釈され得ない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11