【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、熱調整プレートと結合する、1組のいくつかの電気セルから成る、少なくとも1つのモジュールを含むように設計された内部空間を備える自動車用のバッテリパックのハウジングにして、このモジュールがハウジングの内部空間に存在する場合にはモジュールの熱調整プレートに押し当てるように設計される少なくとも1つの壁を有するハウジングであって、モジュールを前記壁に締め付けるための手段を備え、前記壁が、熱調整プレートに向かって対向しているその側に、ハウジングの内部空間の方へ向けられた凸面を有するボリューム内に含まれるレリーフ状の要素を備えることを特徴とする、ハウジングに関する。
【0014】
本発明によれば、壁は、区画の内側を示す。この区画は、ハウジングの底部であることができ、その場合には、区画の外側は、ハウジングの底部の外側、または、たとえばそれの2つのコンパートメントを分離する、ハウジングの内部区画であり、その場合には、区画の外側は、モジュールを含む内部空間ではなくハウジングの内側にやはり配置される。
【0015】
有利なことに、壁は、熱可塑性材料(たとえば、ポリプロピレン)、熱硬化性プラスチック材料(たとえば、ポリエステル)、2つの先行の材料の混合物から作られ、この材料には、ガラスまたは炭素繊維、ポリエチレン、または任意の他のロード、成形されたアルミニウム(たとえば、圧縮成形された)、鋳造アルミニウムが任意選択的にロードされる。
【0016】
本発明によれば、レリーフ状の要素が凸の容積内にあるということは、壁によって加えられる締め付け圧力を熱調整プレートに伝達するように配置され、寸法決めされ、この締め付け圧力は、レリーフ状の要素および壁が、締め付けによって生じる起こり得る壁の変形にもかかわらず互いに接したままであるようなものであるということを反映する。
【0017】
「締め付けによって生じる変形」は、プレートにいかなる圧力も加えない状態と、プレートに締め付け圧力を加える状態との間の壁の形状の任意の変化を示す。したがって、この表現は、壁に固有の、かつたとえば成形不良による締め付けとは無関係に得られる任意の幾何学的欠陥を排除する。考えられる変形は、塑性または弾性であってもよい。
【0018】
レリーフ状の要素の凸面は、締め付けによって生じ、かつその端縁の近くよりもその中央においてより顕著である、壁の変形を補償するように設計される。当業者は、計算および/または引き続くテストによって、特にその寸法、材料、厚さ、および締め付け力を考慮して、壁の変形を正確に補償するのに要求される高さおよび凸面の決定の仕方を知るであろう。
【0019】
締め付け手段は、底部および蓋を備える、ハウジングを閉鎖するための手段から成ることができ、前記底部または前記蓋は、熱調整プレートに押し当てるように意図される壁を備える。
【0020】
また、締め付け手段は、ハウジングがまだ閉鎖されていなくても、たとえばモジュールの両側に締め付けられるフランクを用いて、モジュールを壁に直接取り付けるための手段から成ることができる。
【0021】
どちらの場合にも、締め付け手段は、たとえば壁に直角であり得る締め付け方向Sを規定する。
【0022】
特定の実施形態においては、締め付け手段は、締め付け方向を規定し、レリーフ状の要素の凸面は、高さが締め付け方向に測定され、次の特徴:
レリーフ状の要素の少なくとも1つの(絶対的な)最高点Hの存在、
(絶対的な)最高点を通過し、締め付け方向Sに平行な少なくとも1つの投影面Pの存在
によって規定され、この平面は、レリーフ状の要素の(締め付け方向Sに直角の、最高点を通過する第2の平面P′に配置される所定の直径のディスクのレリーフ状の要素の突起によって得られる)任意の領域において、投影面のその直交投影h
iが前記突起と(絶対的な)最高点Hとの間の距離と共に減少する投影面P上の高さを有する、少なくとも1つの(相対的な)最高点H
iがあるようなものである。
【0023】
上記の規定において、「点」は、投影演算の必要条件のための数学的な点に類似したレリーフ状の要素の非常に小さな領域を示し、この数学的な点は、実質的に前記領域の中央にある。
【0024】
したがって、レリーフ状の要素の最高点は、ドーム形状に倣い、かつたとえ壁が直ちにまたは経時的に締め付け中に変形しても前記熱調整プレートの効果的な締め付けを確保する、熱調整プレートと共に接触領域の層を形成する。
【0025】
接触領域は、たとえば1組の「直線状」(すなわち、小さな幅および長さが長い領域に低減される)または「点」(すなわち、小さな領域に低減される)接触領域である、連続した領域を形成しても、あるいはバラバラであってもよい。
【0026】
本発明の第1の実施形態においては、レリーフ状の要素は、ハウジングの内側の方へ向けられた凸面を有する中実部を備える。
【0027】
第1の変形においては、中実部は、壁の内側から突出し、かつハウジングの内側に向かってドーム形にされたエンベロープ、たとえば実質的に壁の中央に頂部を有する球形状のキャップ内にあるリブのネットワークを備える。
【0028】
有利なことに、リブのネットワークのリブは、壁と一体に成形される。
【0029】
これらのリブは、それらの基部とは反対に自由上縁部を備える。
【0030】
この自由上縁部は、各リブと熱調整プレートとの間の接触が自由縁部に沿って生じ、これが直線状接触領域(すなわち、細長い領域)を画定する場合には、凸面であることができる。
【0031】
また、自由上縁部は、各リブと熱調整プレートとの間の接触がこの自由縁部の頂部に生じ、これが前記頂部によって形成される点接触領域を画定する場合には、波状または城郭風であることができる。
【0032】
本実施形態の第2の変形によれば、壁厚がハウジングの外側に対して比較的一定であり凹面形であるということと、壁がより厚い、たとえばその縁部の近くで薄くて中央に向かって厚くなり、その外側が実質的に平坦であるということとのどちらかにより、中実部は、ハウジングの内側に向かって凸面形状を壁に与えることによって得られる。リブは、強化のために壁の外側に設けられる。
【0033】
第3の変形によれば、中実部は、底壁に形成される1組のスタッドを備え、各接触領域は、スタッドの頂部である。
【0034】
先に規定した意味においてレリーフ状の要素の凸面、すなわち
少なくとも1つの(絶対的な)最高点の存在、
最高点を通過し、締め付け方向に平行な少なくとも1つの投影面の存在、をチェックするために、
一方法は、
1°)プレートおよびモジュールの寸法により直径Dを規定すること。Dは、20mmと80mmとの間、好ましくは30mmと60mmとの間にあること、
2°)レリーフ状の要素の(絶対的な)最高点Hを見付けること、
3°)Hを通過し、締め付け方向Sに直角な平面において、辺D/√2(ここに、√2は、2の平方根である)の正方形メッシュの格子を作成し、中実部の凸状面にディスクを描くこと、
4°)(プレートの凸面を無視して、ほとんどディスクである)投影された各領域の内側に、レリーフ状の要素の(この領域に関して)最高点H
iを見付けること、
5°)Hを通過し、締め付け方向と壁の第1の大きな寸法とに平行な平面Pを採ること、
6°)点h
iを得るように、直径D未満の平面Pからの距離に配置されるステップ3で得られた最高点H
iを平面P上に直交的に投影すること、
7°)平面P上で、点h
iすべてを通過し、点Hを通過する破線が凸面であることをチェックすること、
8°)壁の全領域が掃引されてしまうまで、等角度間隔で締め付け方向の周りに平面Pを回転し、各間隔においてステップ5からステップ6を繰り返すこと
にあることができる。
【0035】
先行するものと両立し得る、本発明の第2の実施形態においては、レリーフ状の要素は、ハウジングの内側に向かって凸面形状の外側を有する変形可能な材料のブロックを備える。
【0036】
この変形可能な材料は、発泡体であってもよい。
【0037】
変形可能な材料のブロックは、たとえば1組の「直線状」または「点」接触領域である、連続した領域を形成し、あるいはバラバラである接触領域を生じるように、先に説明した形状を有することができる。
【0038】
先の実施形態は組み合わされ得る。本発明の範囲は、たとえば、より厚い底壁を有し、かつハウジングの内側に向かって凸面を有する中実部によって完全にされるハウジングを含む。
【0039】
有利なことに、壁は、第1の方向に沿った第1の大きな寸法L、第1の方向に直角の第2の方向に沿った第2の大きな寸法lを有する。レリーフ状の要素が、リブ、または壁、または凸面形状の発泡体のブロックの、ネットワークの場合のように、内側の方へ向けられた凸面を有する場合には、凸面の最大高さ、すなわち、レリーフ状の要素の最高点と最低点との間の高さの変化は、(すなわち、その厚さを除外して)壁のその2つの大きな寸法Lおよびlのうちの1つの、好ましくはより小さな寸法の2%よりも小さいことが好ましい。0.1%から2%の間隔が好ましい。さらに、0.2%から0.5%の間隔がより好ましい。辺500mmの正方形壁の場合、レリーフ状の要素の凸面の最大高さは、2mmであり得る。それにもかかわらず、絶対値においては、凸面の最大高さは、寸法Lおよびlに関係なく好ましくは5mmを超えないべきである。
【0040】
また、本発明は、自動車用のバッテリパックであって、熱調整プレートと結合する少なくとも1つのモジュールを含むハウジングを備え、ハウジングが、モジュールの熱調整プレートに押し当てるように設計される少なくとも1つの壁を有し、この壁が、熱調整プレートの方へ向けられたその内側に、壁によって加えられる締め付け圧力を熱調整プレートに伝達するように配置され、寸法取りされるレリーフ状の要素を有し、この締め付け圧力は、レリーフ状の要素および壁が締め付けによって生じる起こり得る壁の変形にもかかわらず互いに接触したままであるようなものであり、この接触は、レリーフ状の要素の少なくとも各点で生じ、熱調整プレートの(投影によって)描かれる直径が20mmから80mmの、好ましくは直径が30mmから60mmの任意のディスクがこれらの点のうちの少なくとも2つを含むように配置されることを特徴とする、バッテリパックに関する。
【0041】
特定の実施形態においては、各セルは、剛性エンベロープを備え、所与のモジュールのセルのエンベロープは、同一平面のそれらの底部と共に(セル−プレート−レリーフ状の要素の積層方向に関して)横方向に沿って互いに押し付けられることによって剛性ブロックを形成する。
【0042】
セルの剛性エンベロープは、矩形の基部を備える角柱形状を有することが好ましい。それにもかかわらず、他の形状が可能である。
【0043】
特定の実施形態においては、いくつかのモジュールは、同じ熱調整プレートを共有する。もう1つの実施形態においては、各モジュールは、自己の熱調整プレートを有する。
【0044】
本発明によれば、良好な熱伝導が短期的には得られ、伝導は、プレートがハウジングに締め付けられるとすぐモジュールと熱調整プレートとの間に生じ、かつ/または長期的には、モジュールと熱調整プレートとの間の伝導は、熱調整プレートがハウジングに締め付けられていない場合よりも大きな程度で経時的に維持される。換言すれば、熱調整プレートとモジュールとの間の接触の質は、モジュールと熱調整プレートとの間の熱交換の性能が、感知されるエージング、特に温度変化、振動、材料のクリープの影響なしに車両の耐用期間中に維持されるようなものである。
【0045】
本願発明者らは、モジュールに対してプレートのいかなる締め付け不良も補償する本発明によるレリーフ状の要素の利点を理解することができる。締め付けが、ハウジングを閉鎖することによって得られようと、またはフランクを用いてモジュールを壁に取り付けることによって得られようと、モジュール寸法は、締め付け点すなわちハウジングの側壁またはフランクの取付点が互いから遠く離れすぎて、それによりプレートが湾曲するようになり、もはや締め付け点から遠く離れた領域においてモジュールに緊密に押し付けられ得ないようなものであるという危険がある。これは、特に、いくつかのセルが一緒に組み立てられて大きなモジュールを形成する場合にそうである。
【0046】
本発明によるレリーフ状の要素の場合、熱調整プレートは、モジュールの底部全体にわたって均一に(熱パッドの任意の挿入と共に)このレリーフ状の要素とモジュールの底壁との間に挟まれる。
【0047】
レリーフ状の要素の存在の対案は、モジュールを形成する各電気セルの底部に熱調整プレートを固締することにあり得るが、この方策は、プレートを各セルの底部に取り付けるための手段の存在、ならびにバッテリパック組立ラインに取付部材の供給および据付けを必要とすることになり、それにより、材料およびエネルギーコストについて無視できない増大が生じる。本発明は、これらの欠点を回避するものである。
【0048】
各セルをプレートに取り付ける必要がないということから生じるもう1つの利点は、プレートを取り払ったり、またはプレート内で循環する伝熱流体の回路を排出させる必要なしに、欠陥のあるモジュールが容易に取り替えられ得るということである。
【0049】
本発明の特定の実施形態においては、レリーフ状の要素は、圧縮不可能な液体のパウチを備える。変形として、この液体はゲルである。
【0050】
液体は、その上にかかる圧力を一様かつ等方的に伝達するという利点を提供し、これは、プレートに対して壁を締め付ける力から生じる。したがって、これは、熱調整プレートの上方にハウジング締め付け力を一様に分配するように設計される任意の他の機械的手段に取って代わることが有利である。
【0051】
加えて、液体またはゲルは適切な断熱性、ならびに電気絶縁特性を示すことができる。
【0052】
本発明は、非限定的な例として与えられる実施形態の次の説明を読み、添付の概略的な図面を参照するとより理解しやすいであろう。