(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記導光素子からの光の経路を、上記複数の導波管の一つ以上にスイッチするように構成された光学マルチプレクサをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
上記導光素子からの光の経路を、上記複数の導波管の一つ以上にスイッチするように構成された光学マルチプレクサをさらに備えていることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特定の構成および配置について議論するが、これは説明目的のためにのみ行われていることを理解されたい。関連する技術分野の当業者は、本発明の精神および領域から逸脱せずに、用いることができる他の構成および配置を認識できるであろう。また、この発明を多様な他の応用に用いることができることは、関連する技術分野の当業者には、明白であろう。
【0010】
本明細書において、一実施形態、一つの実施形態、例示的実施形態などと言及しているのは、説明されている実施形態が、特別な特徴、構造または特色を含んでもよいが、全ての実施形態が、このような特別な特徴、構造または特色を必ず含まなくてもよいことを示していることに注目されたい。さらに、このような表現は、必ずしも、同じ実施形態について言及しているのではない。それから、ある実施の形態と関連する特別な特徴、構造または特色が説明された場合には、明確な記載があるかないかに関係なく、関連する技術分野の知識範囲内においては、他の実施の形態と関連してもこのような特徴、構造または特色は効果的である。
【0011】
OCTスキャナにおける機械的動きの必要性の克服は、あるサンプル上の複数ポイントからの光を集めるための多数の光学導波管を用いることにより、実現できる。これまでは、導波管は、平面光波回路(Planar Lightwave Circuit(PLC))内に設けられていた。平面光波回路は、異なる導波管間の光の経路をスイッチまたは、上記光の周波数を変調するアクティブ素子をさらに含んでいてもよい。しかしながら、平面光波回路内に設けられた複数の導波管は、その定義上、同一平面上にある。これは、放射状または円錐状スキャニングを要するアプリケーション(内視鏡のような)において、PLC基盤のOCTシステムを使用ことの妨げとなる。さらに、一般的な内視鏡やカテ―テル(catheter)の探り針は、3mmより小さく、これは、PLCの端部に沿って使用できる導波管の数を制限する。
【0012】
本発明の一実施の形態においては、上記導波管はフレキシブル基板上に設けられる。
このフレキシブル基板は、上記導波管を多様な形状に巻いたり、曲げたりすることを可能にし、より効率的に所定の領域を埋める。例えば、このフレキシブル基板は、タイトな渦巻き形状やアコーディオンタイプの層形状に巻かれてもよい。一旦、特定形状に処理されたフレキシブル基板は、その保護および上記フレキシブル基板がその形状を維持することを助けるために、ハウジングや他のタイプのパッケージ内に置いてもよい。例えば、上記フレキシブル基板は、巻かれた後に、内視鏡の円筒状のハウジング内に置かれてもよい。この円筒状のハウジングは、その内部に密な配列の導波管を提供するためのものである。
【0013】
図1Aは、複数の導波管104を備えたフレキシブル基板102の一例を図示している。このフレキシブル基板は、これらに限定されることなく、例えば、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane)やパリレン(parylene)のような高分子であってもよい。また、このフレキシブル基板は、薄膜の半導体材料であってもよい。フレキシブル基板102は、破けることなく、巻いたり、曲げたりできるように、十分にフレキシブルであってもよい。
【0014】
フレキシブル基板102は、異なるアプリケーションにおいて有用となるように多様な形状に適用可能に構成される。一旦、フレキシブル基板102上には、複数の導波管104が、非同一平面上に、ある好ましいサンプリングパターンによる他の導波管104からの光を導くための光学的なフォカスが合うように、配置され得る。
【0015】
導波管104は、単一の高分子材料から構成されてもよく、複数の高分子材料の組み合わせを含んでいてもよい。例えば、導波管104は、SU−8、PMMA、PDMSなどの何れか一つによって構成されてもよい。また、導波管104は、シリコーンのような半導体材料または、ヒ化ガリウムやリン化インジウムのようなIII族‐V族半導体材料から構成されてもよい。上記半導体材料内に存在し得る不純物や配合される他の材料は、例えば、3次または4次の化合物であることは理解できるであろう。
【0016】
導波管104は、フレキシブル基板102の表面上に形成されてもよい。表面パターンニングには、多様なリトグラフマスキング技術(lithographic masking technique)と、エッチング技術とが含まれていてもよい。エッチング技術の例としては、反応性イオンエッチング(reactive ion etching)、誘導カップリングプラズマエッチング(inductive coupled plasma etching)およびウェットケミカルエッチング(wet chemical etching)が含まれる。他の実施の形態においては、導波管104の材料をフレキシブル基板102に結合し、続いて、100μm未満の最終厚さにまで薄型化するバルクマイクロマッチング(bulk micromaching)を介して、導波管104が形成されてもよい。シングルモードに近い導波管やシングルモードより小さい導波管は、10μmまたは1μm未満の最終厚さにまで薄型化され得る。一実施の形態においては、導波管104の最終厚さは約3μmである。薄型化工程の例としては、化学的機械的研磨(chemical mechanical polishing)、バルクウェットエッチング(bulk wet etching)および2フッ化キセノン(xenon di-fluoride)のような反応ガスを用いたエッチングが含まれる。構造的に完全な状態は、適切な張力を有しながらも、十分にフレキシブルであるキャリアー層を導入することにより、確保され得る。他のウェーハーレベル基板移動プロセスは、当業者によって理解されるように、基板102のようなフィルム上に光学デバイス層として形成された導波管を移動するために用いられ得る。
【0017】
他の一例においては、導波管104は、フレキシブル基板102内に埋め込まれていてもよい。同一または類似する被覆材料(cladding material)が各導波管を覆うため、埋め込み導波管104は、上記導波管内に封じ込まれた良好な光学モードを提供し得る。基板102は、導波管104を埋め込ませるため、導波管104の周囲で層となり得る。さらに他の一例においては、導波管104は、ある半導体層のドープされた領域であってもよく、導波管104を埋め込ませるため、上記ドープされた層上に形成された最上層の半導体層をともに含んでもよい。上記半導体層は、エピタキシャル的に成長されてもよく、化学蒸着技術を用いて形成されてもよい。
【0018】
導波管104は、全ての導波管が互いに平行になるように、基板102上または基板102内に形成されてもよい。導波管104が半導体層上またはプラスチック基板上に形成される際には、これらはフレキシブル光学集積回路を形成し得る。
【0019】
図1B、
図1Cおよび
図1Dは、基板102を異なる形状に曲げ得る多様な方法を図示している。
図1Bは、円筒形状に巻かれているとともに、埋め込まれた導波管104を含む基板102を図示している。
図1Cは、導波管104の渦巻きパターンを形成するように、それ自体が巻かれた基板102を図示している。
図1Dは、層パターンを形成するように折り畳まれた基板102を図示している。円状または円錐状のスキャニングが要求される際には、基板102の円状および渦巻き状の配置は有用である。
図1Cおよび
図1Dは、密な3次元スキャニングパターンが望まれる場合には、特に有用になり得る。本発明の領域または精神から逸脱しないのであれば、他の形状も考慮され得る。
【0020】
曲げられた際に、導波管およびフレキシブル基板のこのような組み合わせは、光ビームをある導波管から他の導波管へ切り替えるアクティブ素子を兼ねることができる。このように、機械的なスキャニング手段を必要とすることなく、スキャニングを行うことができ得る。上記アクティブ素子は、例えば、電気光学、熱光学またはキャリアー注入効果に基づくものであってもよい。各々の導波管から出射された光の焦点を上記サンプル表面の異なる点に合わせる末端光学の組み合わせにおいては、OCT画像を得るための静的な(全く動く部分のない)スキャニングシステムを実現でき得る。
【0021】
典型的なPLC内部の導波管は、その定義上、同一平面上にあると定義される。これは、内視鏡やカテ―テル(catheter)基盤のOCTシステムのようないくつかのアプリケーション用の静的なPLC基盤のスキャニングシステムの使用の妨げとなる。ここでは、特別なサンプルスキャニング仕組み(例えば、放射状スキャニングまたは、円錐状スキャニング)が必要とされる。ラインスキャナーは、一般的には、放射状または、円錐状の画像情報を得るには不十分である。この理由は、PLC内の同一平面上の導波管のアレイからの光ビームを、上記サンプル上の複合スキャニングパターンへ変換することが必要とされる光学的フォカスシステムは、この実行を試みるからである。この問題を解決するため、このシステムは、
図1A〜
図1Dに関して説明された実施の形態のようなフレキシブル導波管システムを用いてもよい。
【0022】
図2A〜
図2Dは、一実施の形態のフレキシブル導波管システムを含むカテーテルまたは内視鏡の端を多様な視野方向から見た場合を図示している。点線内に図示されている素子は、ハウジング201内であることを図示している。
【0023】
図2Aは、ハウジング201と、導光素子202と、フレキシブル導波管システム204と、探り針の末端の端208に配置された光学素子206と、を含む探り針の側面図を図示している。例えば、導光素子202は、一つの光学ファイバーまたは、光学ファイバーの束であってもよい。また、導光素子202は、基板上に形成された平面導波管であってもよい。一例においては、フレキシブル導波管システム204に含まれるように、導光素子202は同一のフレキシブル基板上に形成された導波管である。
【0024】
フレキシブル導波管システム204は、
図1A〜
図1Dに図示されているように、基板102と類似する複数の導波管を含んでもよい。追加的に、フレキシブル導波管システム204は、例えば、円筒形状または渦巻き形状に巻かれていてもよい。一実施の形態においては、ハウジング201の末端の端208の直径は3mm未満である。他の一例においては、ハウジング201の末端の端208の直径は1mm未満である。
【0025】
一実施の形態における光学素子206は、フレキシブル導波管システム204からの光をサンプル上に導く。例えば、光学素子206は、末端の端208から出射された光を映し出すサンプルへ導くように設計されたレンズおよび/またはミラー(その数は限定されない)であってもよい。また、光学素子206は、上記サンプルで散乱され戻される光を集めるように設計されてもよい。一実施の形態においては、光学素子206は、少なくとも一つの勾配率分布型レンズ(gradient index lens(GRIN))を含む。他の一例においては、光学素子206は、一つ以上の球状レンズ要素を含む。末端の端208は、追加的またはその代わりに、末端の端208から特定角度で出射された光を導くためのミラーを含んでもよい。このようなミラーは、上記サンプルの特定角度からずれた光を集めるために用いることもでき得る。このようなミラーは、静的ミラーまたは動的ミラーであってもよい。
【0026】
一実施の形態における導光素子202は、フレキシブル導波管システム204とハウジング201内に配置されていない他の光学要素との間において、光を伝送するように構成される。他の一例においては、他の光学要素は、ハウジング201内のフレキシブル導波管システム204に直接連結される。これらの他の光学要素は、上記光の周波数を変調する電気的または熱的変調器を含んでいてもよい。また、他の光学要素は、構造的におよび/または脱構造的に上記光を干渉させるための一つ以上の干渉計を含んでいてもよい。上記干渉計は、時間領域または周波数領域光学干渉性断層撮影を行うために、使用され得る。
【0027】
一つの導光素子202のみが図示されているが、フレキシブル導波管システム204内の多様な導波管から上記システムの他の光学要素に光を導くために、何個の導光素子を用いてもよいのは理解できるであろう。その代わりに、導光素子202に入力される光を連結するため、フレキシブル導波管システム204における上記複数の導波管の特定の導波管を切替えるために一つ以上の光学スイッチが用いられてもよい。
【0028】
図2Bは、一実施の形態の上記探り針の末端の端208を前方向から見た図である。光学素子206は、末端の端208の領域を埋め得る。このように、フレキシブル導波管システム204は、点線を用いて、光学素子206の後ろに図示されている。本実施の形態のフレキシブル導波管システム204は、チューブのような形状に包まれている。
【0029】
図2Cは、ハウジング201内に、フレキシブル導波管システム204および光学素子206を含む一実施の形態の上記探り針の上面図である。ハウジング201内のフレキシブル導波管システム204に連結された導光素子202を見ることができる。
【0030】
図2Dは、上記探り針の端の全体を図示する図である。一実施の形態の上記探り針の円筒状のハウジング201内には、円筒形状のフレキシブル導波管システム204が配置されているのを見ることができる。一実施の形態によれば、導光素子202は、フレキシブル導波管システム204の一部と連結され得る。または、導光素子202は、フレキシブル導波管システム204における全ての導波管と連結され得る。一つの導光素子202が図示されているが、フレキシブル導波管システム204の導波管からの光を捕らえるために、フレキシブル導波管システム204の実質的な全体円周の周囲に複数の導光素子が配置されてもよい。
【0031】
導光素子202からの光を、フレキシブル導波管システム204上の一つ以上の導波管に導くため、他の光学素子が用いられてもよい。例えば、導光素子202とフレキシブル導波管システム204との間にマルチプレクサが配置されてもよい。他の一例においては、上記マルチプレクサは、フレキシブル導波管システム204の基板上に配置される。上記マルチプレクサは、光学スイッチ、循環器、ビーム操縦変調器などの一つ以上を含んでいてもよい。上記マルチプレクサは、導光素子202を介した一つの光学的経路を用いて、フレキシブル導波管システム204を介した多くの光学的経路を統合することを可能にする。
【0032】
図3は、一実施の形態の一例のOCTシステム300のダイヤグラムを図示しており、OCTシステム300はフレキシブル導波管システムの使用を含む。OCTシステム300は、光学センサ302と、一つ以上の干渉計304と、干渉計304をマルチプレクサ308に連結させる導光素子306と、フレキシブル導波管システム310と、光学素子312と、を含む。
図3に図示されている一例においては、光学素子312はGRINレンズである。
図3に図示されてない光源は、光学素子312から所定距離にあるサンプル314上に導かれる光を生成する。また、上記光源から生成された光は、下の導光素子306に導かれ、そして、サンプル314に到る経路上のフレキシブル導波管システム310を通り抜けてもよい。また、一実施の形態においては、上記光源は、参照光として用いられてもよい。
【0033】
一実施の形態においては、一つ以上の干渉計304は、時間領域光学干渉性断層撮影(time domain optical coherence tomography(TD-OCT))を行うために、用いられてもよい。上記一つ以上の干渉計304の基準アーム(reference arm)の光学的な経路長は、光の参照ビームを変調するように、変調される。変調された参照ビームとサンプル314から受光された光のビームとが結合された際に、結果として導かれる干渉は、サンプル314のある深さからの信号の寄与を解明する。上記基準アーム(reference arm)の光学的な経路長は、サンプル314の異なる深さでの画像データを得るため、時間の経過によって変わり得る。光学的な経路長の変調は、典型的には、上記参照光ビームの経路における一つ以上のミラーを機械的に動かすことにより行われる。しかしながら、例えば、上記導波管内の光の光学的な経路長を変えるため、導波管と連結される熱光学変調器または、電気光学変調器などのような他の変調技術が考慮されてもよい。
【0034】
他の実施の形態においては、一つ以上の干渉計304は、周波数領域光学干渉性断層撮影(frequency domain optical coherence tomography(FD-OCT))を行うために、用いられてもよい。FD-OCTが行われる際には、例えば、光学センサ302におけるスペクトル的に分離された複数の検出器を用いることにより、サンプル314の複数の深さが実質的に同時に分析され得る。サンプル314の多様な深さに伴われる多様な信号要素を解明するため、光学センサ302によって受信された信号に対してフーリエ変換が行われてもよい。一例においては、FD-OCTを行うことにより、上記一つ以上の干渉計304における基準アームの光学的な経路長を変える必要なく、多様な深さにおける画像情報を得ることが可能となる。
【0035】
マルチプレクサ308は、フレキシブル導波管システム310上の導波管の第2の部分集合から、サンプル314から散乱され戻された光を受光しながら、フレキシブル導波管システム310上の導波管の第1の部分集合を通じて光を伝送するように構成されてもよい。一実施の形態によれば、サンプル314から反射され戻された光は光学素子312に入力されるため、これは、導光素子306に沿って、一つ以上の干渉計304に戻るように進む。他の一例においては、上記光は、導光素子306を通るのとは異なる経路を用いて、一つ以上の干渉計304に戻るように進んでもよい。一つ以上の干渉計304は、上記光を構造的におよび/または脱構造的に干渉するため、上記光を参照光と結合してもよい。TD-OCTが行われた際には、サンプル314のある一つの深さに伴われる光(resolved light)が、FD-OCTが行われた際には、サンプル314の複数の深さに伴われる光(resolved light)が、光学センサ302において集められる。
【0036】
サンプル314は、組織サンプルであってもよく、例えば、心臓や結腸の内側である。
フレキシブル導波管システム310内には複数の導波管が存在するため、サンプル314上の複数の位置が一度に映し出される。追加的に、導波管の円状配置によって、放射状および/または円錐状の画像情報は、サンプル314から集められ得る。
【0037】
図4は、本発明の実施の形態による、光学干渉性断層撮影システムを製造するための方法400を図示したフローチャートである。このシステムの製造は、例えば、
図1B〜
図1Dに図示されているようなフレキシブル材料上に複数の導波管を製造する工程を含んでもよい。方法400には、図示されている工程に加えられた他の工程や図示されている工程の順序とは異なる順序で工程を行うことが含まれていてもよいのは当然である。
【0038】
方法400は、ステップ402で始まり、このステップでは、一実施の形態によって、半導体層がフレキシブル材料層に接着される。上記半導体は、例えば、シリコーンやヒ化ガリウムであってもよい。上記フレキシブル材料は、例えば、PDMSやパリレンであってもよい。上記接着は、陽極酸化であってもよく、この明細書の関連技術の当業者に知られているような他の技術が用いられてもよい。
【0039】
方法400は、ステップ404に続く。このステップにおいては、上記半導体層を薄くする。この薄くする工程は、10μm未満の厚さを有する半導体層を生成でき得る。一実施の形態においては、半導体層の最終厚さは約3μmである。この薄くする工程においては、化学的機械的研磨(chemical mechanical polishing(CMP))が用いられてもよい。最初に上記フレキシブル基板に接着する際において、上記半導体層が既に十分に薄い場合には、ステップ404は必ず必要ではないことは理解できるであろう。
【0040】
一実施の形態によれば、ステップ406においては、上記フレキシブル材料上に導波管を形成するため、上記半導体層はパターンニングされる。上記半導体層のパターンニング工程は、先ず、上記半導体層上にフォトレジスト層をパターンし、続いて、上記導波管を形成するため、露出された半導体材料をエッチングする従来のリトグラフ技術を含んでいてもよい。その代わりに、窒化シリコーンなどのようなハードマスク材料がフォトレジストの代わりに用いられてもよい。一実施の形態においては、上記導波管は、上記フレキシブル材料上に、実質的に平行ラインで形成される。上記導波管が形成された後に、被覆材料が形成されてもよく、または、上記導波管コア内の光モードをさらに制限するため、上記導波管のトップの上に被覆材料を加えてもよい。
【0041】
一実施の形態によれば、ステップ408においては、上記複数の導波管を有するフレキシブル材料層を特定形状に曲げる。一例においては、上記フレキシブル材料は、
図1Bおよび
図1Cのそれぞれに図示されているように、円筒形状または渦巻き形状に曲げられていてもよい。一般的な円形状は、上記フレキシブル導波管をカテーテルまたは内視鏡のような管状の器具に配置するのに助けとなり得る。上記フレキシブル導波管を多様なデバイスにより都合よく配置するため、他の形状について考慮されてもよい。上記導波管の曲げられた多様な形状は、光学的システムの要素の形成を減らすことができ、また、厳密に同一平面上に形成された導波管からは容易に利用することができない追加的な画像技術を提供できる。
【0042】
一実施の形態によれば、ステップ410においては、一実施の形態によれば、一つ以上の干渉計に上記複数の導波管が連結される。上記一つ以上の干渉計は、OCT画像を実現するため、上記複数の導波管の少なくとも一部から受光した光と光の参照ビームとを結合させる。上記導波管と上記干渉計との間の連結は、その用いられる個数に関係なく、導光素子、レンズ、ミラーおよびマルチプレクサなどを含んでいてもよい。例えば、光ファイバーなどのような導光素子は、上記複数の導波管からの光を、上記一つ以上の干渉計に連結させるために用いられてもよい。他の一例においては、上記複数の導波管から出射された光を導光素子でまたは、上記一つ以上の干渉計の部分として統合された光学素子で直接的にフォカスを合わせるため、一つ以上のレンズが用いられてもよい。
【0043】
図5は、本発明の他の実施の形態による、光学干渉性断層撮影システムを製造するための方法500を図示したフローチャートである。方法500には、図示されている工程に加えられた他の工程や図示されている工程の順序とは異なる順序で工程を行うことが含まれていてもよいのは当然である。
【0044】
方法500は、ステップ502で始まり、一実施の形態によれば、このステップでは、SOI(Silicon-On-Insulator)ウェーハーのデバイス層は、導波管を形成するため、パターンニングされる。上記SOIウェーハーは、半導体デバイス層と、埋められた酸化層(a buried silicon dioxide layer)と、数百μmの厚さとなり得る処理層(handle layer)とを含んでいてもよい。しかしながら、上記SOIウェーハーおよび方法500において説明される製造プロセスは、上記デバイス層としてシリコーンが用いられることに限定されず、他の半導体材料および高分子材料が用いられてもよいのは勿論である。上記のように、上記半導体層のパターンニング工程は、先ず、上記半導体層上にフォトレジスト層をパターンし、続いて、上記導波管を形成するため、露出された半導体材料をエッチングする従来のリトグラフ技術を含んでいてもよい。その代わりに、窒化シリコーンなどのようなハードマスク材料がフォトレジストの代わりに用いられてもよい。一実施の形態においては、上記導波管は、上記フレキシブル材料上に、実質的に平行ラインで形成される。上記デバイス層は、例えば、10μm未満の厚さを有してもよい。一実施の形態においては、上記デバイス層の最終厚さは約3μmである。上記導波管が形成された後に、被覆材料が形成されてもよく、または、上記導波管コア内の光モードをさらに制限するため、上記導波管のトップの上に被覆材料を加えてもよい。他の材料層または、プロセスステップを、追加の電気的または光学的機能のために、加えることができる。
【0045】
方法500は、ステップ504に続く。本実施の形態によれば、このステップにおいては、定義された上記導波管における上記デバイス層に対する良好な接着力を確保するフレキシブル材料の薄い層が上記SOIウェーハーのトップ上に形成される。上記フレキシブル材料は、例えば、PDMSやパリレンであってもよい。層の形成は、スピンニングや温度および圧力印加に基づく層転写やこの明細書の関連技術の当業者に知られているような他の方法により、行われ得る。上記フレキシブル材料と、定義された上記導波管における上記デバイス層との接着力は、O
2プラズマを用いた表面準備または、例えば、中間接着促進層のような他の手段を通じて、確保でき得る。この明細書の関連技術の当業者に知られているような上記接着力を向上するための他の技術が用いられてもよい。
【0046】
方法500は、ステップ506に続く。本実施の形態によれば、このステップにおいては、そのトップに上記フレキシブル材料を備えた上記SOIウェーハーがキャリアー基板に取り付けられる。このような取り付けは、フォトレジスト層を含む薄い接着層によって実現され得る。このような接着層は、上記フレキシブル層や上記導波管に不利な影響を及ぼすことなく、溶剤を用いて容易に除去できるように、選択され得る。このような溶剤は、例えば、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールまたは、有機または無機の他の溶剤の何れかであってよい。
【0047】
方法500は、ステップ508に続く。このステップにおいては、ストップ層としての上記埋められた酸化層を用いて、上記SOIウェーハーの処理層(handle layer)がエッチングされる。このエッチングステップは、非等方性のウェットエッチング、等方性のウェットエッチング、ディープ反応性イオンエッチング、他のプラズマ基盤のエッチングプロセスまたは、この明細書の関連技術の当業者に知られているような他の手段により、行うことができる。このエッチングステップは、リトグラフステップによって、調整され得る。ここで、固体シリコーン島は、ソフトまたはハードマスクによって保護される。パッケージングや機能的または他の応用の必要性から、構造を強化する必要がある限りにおいては、このような固い島は、上記埋められた酸化層上に残り得る。
【0048】
一実施の形態によれば、ステップ510においては、上記埋められた酸化層は、実質的にエッチング溶液を用いて、エッチングされ得る。一例においては、上記エッチング溶液は、上記導波管を保護するため、上記導波管材料に対するエッチングレートがゼロまたは無視できる程に選択され得る。このようなエッチング溶液は、フッ化水素酸(フッ酸(HF))に基づくものであってもよいが、関連技術の当業者に知られている他の組成も可能である。
【0049】
一実施の形態によれば、ステップ512においては、他のフレキシブル層が上記露出されたシリコーン導波管上に形成される。しかしながら、ステップ512は選択的な工程であり、上記光学回路を保護、追加的な機械的強度を加え、上記導波管周囲の被覆を向上させるため、上記追加的なフレキシブル層は上記導波管を挟む。このステップにおいて、上記フレキシブル光学回路のさらなるパターンニングが可能であり、これにより、上記基板において、任意の形状は特定の形状となる。このような形状は、柔軟性の増加、パッケージングの単純化またはその他の目的で用いられ得る。パターンニングは、上記フレキシブル光学回路を上記エッチング工程において保護するため、リトグラフマスクを用いて行われ得る。上記フレキシブル光学回路のエッチングは、例えば、プラズマに基づくエッチング工程を用いても実現でき得る。
【0050】
一実施の形態によれば、ステップ514においては、上記フレキシブル光学回路は上記キャリアー基板から離される。この離す工程は、上記キャリアー基板に接着された上記フレキシブル光学回路を適当なサイズのチップ(dies)に切った後に、チップレベルで行われ得る。この離す工程は、上記接着層のみを溶かす溶剤を用いて行われ得る。
【0051】
一実施の形態によれば、ステップ516においては、上記フレキシブル光学回路は特定形状に曲げられる。一例においては、上記フレキシブル光学回路は、
図1Bおよび
図1Cのそれぞれに図示されているように、円筒形状または渦巻き形状に曲げられていてもよい。一般的な円形状は、上記フレキシブル導波管をカテーテルまたは内視鏡のような管状の器具に配置するのに助けとなり得る。上記フレキシブル導波管を多様なデバイスにより都合よく配置するため、他の形状について考慮されてもよい。上記導波管の曲げられた多様な形状は、光学的システムの要素の形成を減らすことができ、また、厳密に同一平面上に形成された導波管からは容易に利用することができない追加的な画像技術を提供できる。
【0052】
一実施の形態によれば、ステップ518においては、一つ以上の干渉計に上記フレキシブル材料上の複数の導波管が連結される。上記一つ以上の干渉計は、OCT画像を実現するため、上記複数の導波管の少なくとも一部から受光した光と光の参照ビームとを結合させる。上記導波管と上記干渉計との間の連結は、その用いられる個数に関係なく、導光素子、レンズ、ミラーおよびマルチプレクサなどを含んでいてもよい。例えば、光ファイバーなどのような導光素子は、上記複数の導波管からの光を、上記一つ以上の干渉計に連結させるために用いられてもよい。他の一例においては、上記複数の導波管から出射された光を導光素子でまたは、上記一つ以上の干渉計の部分として統合された光学素子で直接的にフォカスを合わせるため、一つ以上のレンズが用いられてもよい。
【0053】
ここで説明したフレキシブル導波管システムの複数の実施の形態は、ある構造的な利点を提供する。例えば、フレキシブル基板上に配置された導波管は、光ファイバーのみの場合と比べると、サイズ利点を有し得る。上記基板は上記導波管を構造的に支持するものとして用いることができるため、フレキシブル基板上に配置された導波管は、光ファイバーのみの場合より、より小さく形成され得る。より小さい導波管を用いることにより、所定の領域により多くの導波管をパッケージすることが可能となる。これにより、所定の表面領域において、より多くの個別データ点を取ることができ得る。さらに、上記導波管が、一旦、基板上に形成されれば、上記導波管は特徴的な安定な形状となり得る。これは、光ファイバーのみの場合においては、実現することが困難である。
【0054】
特定された機能の実行およびその関係を説明した機能性構成ブロックを用いて、本発明の実施の形態は上述された。ここにおいては、説明を簡略にするため、これらの機能性構成ブロックの領域は任意に定義されている。適宜行われる特定の機能およびその関係である限り、代わりの領域は定義され得る。
【0055】
上記特定実施の形態の上述した説明は、本願発明の一般的な性質を十分に表し、その他は、上記技術分野内の知識を適用することにより、過度な実験なく、本発明の一般的な概念から逸脱せずに、特定実施の形態のような多様なアプリケーションに容易に変形および/または改造できる。したがって、このような変形および改造は、本明細書おいて提示された示唆および導きに基づいて、開示された実施の形態と同等の意味および範囲内で意図される。ここにおける表現または用語は、説明をするためのものであって、限定を行うためのものではないので、本明細書における表現または用語は、上記示唆および導きを照らし合わせて、当業者によって解釈されるべきであることは理解できるであろう。