(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発熱源となる電子部品を収容する収容室が形成された主体部品と、前記収容室への前記電子部品の挿入口として利用可能な前記主体部品の一端の開口を塞ぐカバー部品と、前記電子部品に対して電気的に接続された電線を内部から外部に引き出す電線導出部と、を有する筐体を備え、
前記収容室は、互いに対向すると共に前記電子部品の2箇所の広域部に対しても各々対向する第1及び第2の壁部を有し、
前記第1壁部は、前記収容室の内部に新気を流入させる吸気口を有し、
前記第2壁部は、前記収容室の内部の空気を当該収容室の外部に排出する排気口を有し、
前記吸気口は、前記第1壁部における前記電子部品の挿入方向に対する直交方向の一端側に形成し、
前記排気口は、前記第2壁部における前記直交方向の他端側に形成し、
前記筐体は、前記筐体の外部から新気を導入する新気導入口と、前記新気導入口から前記吸気口に新気を案内する新気流路と、を有し、
前記新気導入口は、前記直交方向にて前記吸気口よりも前記排気口側に配置し、
前記新気流路は、前記新気導入口から導入された新気を前記吸気口と同等の高さまで案内する第1新気流路と、前記第1新気流路の新気を前記吸気口に案内する第2新気流路と、を有し、
前記筐体は、前記第2新気流路を車両下方側に開放させる開口と、前記第2新気流路の前記開口を車両下方側から塞ぐ蓋部品と、を有し、
前記蓋部品は、その周縁部に前記第2新気流路の前記開口への取り付け方向に向けて突出させた枠体を有し、
前記第2新気流路の側壁部は、前記蓋部品が取り付けられた際に前記枠体が挿入される溝部を有し、
前記溝部は、前記蓋部品が自重で下降すると否とに拘わらず前記枠体の側壁面と対向している側壁面を有することを特徴とした電気接続箱。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る電気接続箱及びワイヤハーネスの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
[実施形態]
本発明に係る電気接続箱及びワイヤハーネスの実施形態の1つを
図1から
図20に基づいて説明する。
【0017】
図1及び
図2の符号1は、本実施形態の電気接続箱を示す。また、
図1の符号WHは、その電気接続箱1を備えたワイヤハーネスを示す。
【0018】
本実施形態の電気接続箱1とは、電源(図示略)や負荷(図示略)、センサ(図示略)等の接続対象物に対して電気的に接続される様々な電子部品100を内部に収容したものである。その電子部品100とは、例えば、リレー、ヒューズ等の回路保護部品、コネクタなどのことである。以下においては、この種の電子部品100のことを第1電子部品101と称する。また、本実施形態では、電子制御ユニット(いわゆるECU)等の電子機器についても、電気接続箱1に収容される電子部品100とする。以下においては、この種の電子部品100のことを第2電子部品102と称する。収容されている電子部品100には、該当する電線(電力供給線や信号線等)150が電気的に接続されている。電気接続箱1においては、その電線150が外部に引き出されている。この電気接続箱1は、その電線150等と共にワイヤハーネスWHを成す。ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に配設され、電源(二次電池)側や負荷としての電気機器(アクチュエータ等)側などに電線150を介して繋がれる。
【0019】
電気接続箱1は、少なくとも1つの電子部品100が収容され、その電子部品100に対して電気的に接続された電線150が外部に引き出される筐体10を備える。筐体10は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形されたものであり、その内部に電子部品100が収容される空間を有している。その内部の空間には、電子部品100の収容室20が少なくとも1つ形成される(
図2及び
図3)。収容室20は、単品の電子部品100を収容する空間の場合もあれば、複数の電子部品100の組み合わせ(以下、「電子部品群」という。)を収容する空間の場合もある。本実施形態の電気接続箱1は、単品の電子部品100を収容する収容室20を少なくとも1つ備えたものである。つまり、この電気接続箱1は、単品の電子部品100を収容する1つの収容室20が形成されたものであれば、その他の単品の電子部品100毎の収容室20や電子部品群毎の収容室20を備えていてもよい。具体的に、本実施形態の筐体10は、その収容室20として、電子部品群を後述する電子部品保持体30と共に収容する第1収容室21と、電子部品100を単品で収容する第2収容室22と、を1つずつ有している。
【0020】
ここで、本実施形態の筐体10は、複数の構成部品によって形成される。例えば、この例示の筐体10は、主体部品11(
図1−
図5)とカバー部品12(
図1及び
図2)とを互いに組み付けることによって形成されている。主体部品11は、電子部品100の挿入口として利用される一端の開口11aと、その開口11aから挿入された電子部品100を収容する収容室20と、を有している。カバー部品12は、主体部品11の開口11aを塞ぐものである。本実施形態の電気接続箱1は、例えば、エンジンコンパートメント(図示略)内に搭載され、開口11aを車両上方に向けて車体に取り付けられる。以下においては、車両の上下方向に対応させて、「上方」、「上部」、「下方」、「下部」及び「底部」等の上下方向を定義する。
【0021】
上述したように、この筐体10には、2つの収容室20(第1収容室21、第2収容室22)が設けられている。
【0022】
第1収容室21は、電子部品群が収容される空間である。この例示の電子部品群は、同一種類又は複数種類から成る複数の第1電子部品101の組み合わせである。ここで例示する第1電子部品101は、電気接続箱1の外部に配置されている2者間(例えば電源と負荷との間)を電気的に接続させるコネクタである。
【0023】
電子部品群を成すそれぞれの第1電子部品101は、電子部品保持体30に保持され、この電子部品保持体30によって一体化された状態で第1収容室21に一緒に収容される。その電子部品保持体30は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形されたものであり、その内部にそれぞれの第1電子部品101が収容及び保持される空間を有している。この電子部品保持体30は、ブロックと称される場合もある。第1収容室21に収容された電子部品保持体30は、保持機構(図示略)を介して第1収容室21に保持される。
【0024】
電子部品保持体30は、第1収容室21の内部において主体部品11の開口11a側に開口を有しており、この開口からそれぞれの第1電子部品101の一部を露出させる。その第1電子部品101の露出部分からは、この第1電子部品101に対して電気的に接続された一方の電線150が導き出されている。その一方の電線150は、カバー部品12に沿って配策され、筐体10の第1電線導出部41から筐体10の外部に引き出される(
図1)。
【0025】
電子部品保持体30の内部においては、第1電子部品101に対して電気的に接続された他方の電線150が1箇所に案内される。その案内された他方の電線150は、第2電線導出部42から筐体10の外部に引き出される(
図1)。第2電線導出部42は、筐体10に設けてもよく、電子部品保持体30に設けてもよい。この例示では、電子部品保持体30に設ける。このため、第2電線導出部42は、電子部品保持体30が第1収容室21へと収容された際に筐体10の外部に露出するよう形成する。
【0026】
第2収容室22は、第2電子部品102が収容される空間であり、第1収容室21に隣接して配置されている。本実施形態の第2収容室22は、電子制御ユニット等の発熱源となる第2電子部品102を収容するものとして例示する。その第2電子部品102においては、第2収容室22へと収容された際に、電気的に接続されている電線150が開口11a側に導出されている。その電線150は、筐体10の第3電線導出部43から筐体10の外部に引き出される(
図1)。
【0027】
第2電子部品102は、その外観が概ね直方体状に形成されており、第2収容室22への挿入方向に沿った4つの領域を有している。その4つの領域は、互いに対向する2箇所の広域部102aと、広域部102aよりも領域が狭く、かつ、互いに対向する2箇所の挟域部102bと、に大別される(
図3)。その広域部102aには、発生した熱を外部へと放出する複数の放熱部(例えば放熱フィン)102a
1が形成されている。第2電子部品102は、例えばブラケット等の2つの保持部材51A,51B(
図3)を介して、第2収容室22の2つの固定部52A,52B(
図5)に螺子止め等で固定される。この第2電子部品102は、その2箇所の広域部102aと第2収容室22の内壁面との間、その2箇所の挟域部102bと第2収容室22の内壁面との間、及び、底部と第2収容室22の底壁面との間に間隔を空けて配置される。第2収容室22への空気の出入りが可能な場合、そのそれぞれの間隔においては、空気を流動させることができる。
【0028】
第2収容室22は、互いに対向すると共に第2電子部品102の2箇所の広域部102aに対しても各々対向する第1及び第2の壁部22a,22bを有している。一方の広域部102aと第1壁部22aとの間及び他方の広域部102aと第2壁部22bとの間には、前述したように間隔を設けている。
【0029】
第1壁部22aは、筐体10の内方側に配置された壁部であり、その上部における一部分を第1収容室21における筐体10の内方側の壁部としても利用している。第1壁部22aは、第1収容室21と共用されている部分を除いた場所に開口を有しており、その開口を第2収容室22に新気を流入させる吸気口61として利用する(
図6−
図9)。その吸気口61は、第1壁部22aにおける第2電子部品102の第2収容室22への挿入方向に対する直交方向の一端側に形成する。この例示の吸気口61は、その挿入方向と直交方向に対して共に直交させた矩形状又は台形状の開口であり、第1収容室21よりも下方に配置されている(
図7)。以下においては、特に言及しない限り、その挿入方向のことを単に「挿入方向」と称し、また、その直交方向のことを単に「直交方向」と称する。
【0030】
ここで、吸気口61は、その第1壁部22aの一端側において、第2電子部品102における直交方向の一端側の放熱部102a
1に対向させることが望ましい。これにより、第2収容室22に流入した新気は、その放熱部102a
1に直ぐに接することになるので、第2収容室22の雰囲気温度で新気が温められる前に、その放熱部102a
1から効率良く熱を奪うことができる。
【0031】
第2壁部22bは、第2収容室22の内部の空気を当該第2収容室22の外部に排出する排気口62を有している(
図3、
図5−
図8及び
図10)。その排気口62は、挿入方向と直交方向に対して共に直交させた開口であり、第2壁部22bにおける直交方向の他端側に形成する。この例示の排気口62は、円形に形成している。更に、排気口62は、吸気口61よりも車両上方側に配置している(
図7)。ここで、第2壁部22bは、筐体10の外壁部としても利用される。このため、排気口62は、第2収容室22の内部の空気を筐体10の外部に排出することになる。
【0032】
第2電子部品102の冷却性能を高めるべく、第2収容室22には、可能な限り低温の新気を流入させることが望ましい。ここで、この電気接続箱1が配設されるエンジンコンパートメント内は、エンジン(図示略)の熱の影響を受けており、車両上方に向かうにつれて雰囲気温度が高くなっている。このため、本実施形態の筐体10には、筐体10の外部から新気を導入する新気導入口63を吸気口61よりも車両下方側に設けると共に(
図7、
図8、
図11及び
図12)、その新気導入口63から吸気口61に新気を案内する流路(以下、「新気流路」という。)64を設けている(
図6−
図9、
図11及び
図12)。
【0033】
新気導入口63は、直交方向にて吸気口61よりも排気口62側で、かつ、主体部品11よりも車両下方側に配置する。本実施形態の新気導入口63は、直交方向にて排気口62と同等の位置に配置している(
図12)。この新気導入口63は、主体部品11に一体成形された筒体63Aの一端の開口であり、車両下方に向けて開口している。筒体63Aは、その内部が、新気導入口63から導入された新気を吸気口61と同等の高さまで案内するための流路(以下、「第1新気流路」という。)64aとして利用される。このため、筒体63Aは、その一端の開口(新気導入口63)から上方に延在させ、吸気口61と同等の高さに他端の開口63A
2を設けている。その開口63A
2は、挿入方向と直交方向に対して共に直交させたものであり、吸気口61や排気口62と同等の向きに開放させられている。
【0034】
ここで、第1新気流路64aにおいては、新気導入口63から導入された新気の流動方向が他端の開口63A
2で切り替わる。従って、この第1新気流路64aにおいては、新気導入口63から導入された新気を他端の開口63A
2へと円滑に流動させるため、新気の流動方向の切り替わり部分に傾斜面や曲面を設けてもよい。この例示では、筒体63Aに傾斜面63A
3を設けている(
図7等)。
【0035】
この筒体63Aの第1新気流路64aは、新気流路64における新気導入口63側の流路を成すものである。新気流路64は、吸気口61側の残りの流路として、第1新気流路64aの新気を吸気口61に案内するための流路(以下、「第2新気流路」という。)64bを有している。第2新気流路64bは、直交方向に延在させた流路である。このため、第2新気流路64bにおいては、他端の開口63A
2から流入した新気の流動方向が変わる。従って、その第2新気流路64bにおける新気の流動方向の切り替わり部分には、傾斜面や曲面を設けてもよい。また、この第2新気流路64bにおいては、吸気口61へと流入する際にも新気の流動方向が変わる。従って、その第2新気流路64bにおける新気の流動方向の切り替わり部分には、傾斜面や曲面を設けてもよい。この例示では、第2新気流路64bの新気を吸気口61に案内するガイド壁部64Aを設けている(
図6等)。そのガイド壁部64Aは、傾斜面と曲面の連接したガイド壁面を有するものであり、新気を傾斜面から曲面へと案内しながら吸気口61に導いていく。このガイド壁部64Aは、その傾斜面側で筐体10(主体部品11)の外壁部11bに連接させ、かつ、曲面側の端部を吸気口61の周縁部(つまり第1壁部22a)に連接させている。
【0036】
第2新気流路64bは、筐体10(主体部品11)の外壁部11b,11c(
図4及び
図6等)と、第1壁部22aと、ガイド壁部64Aと、第1収容室21の底壁部21a(
図6及び
図7等)と、に囲まれて形成されている。第2新気流路64bにおいては、その外壁部11b,11cと第1壁部22aとガイド壁部64Aとが側壁部となる。外壁部11bは、第1壁部22aに対向させて配置され、かつ、直交している外壁部11cに連接させている。この外壁部11bは、他端の開口63A
2に一致させ且つ連通させた開口を有する。外壁部11cは、第1壁部22aから外壁部11bに向けて垂設させたものである。筐体10(主体部品11)においては、そのそれぞれの側壁部によって、第2新気流路64bを車両下方側に開放させる開口(以下、「第1開口」という。)64b
1が形成される(
図7−
図9、
図11及び
図12)。ここで、第1壁部22aは、第2新気流路64bよりも下方を第2収容室22側へとオフセットさせることで(
図7及び
図8)、第1開口64b
1に沿った下端22a
1を形成する(
図11及び
図12)。第1壁部22aにおいては、その下端22a
1よりも上方が第2新気流路64bの側壁部として利用される。つまり、その下端22a
1は、第2新気流路64bの側壁部(第1壁部22a)の下端の一部となる。第1開口64b
1は、第2新気流路64bの側壁部の下端(下端22a
1と外壁部11b,11c及びガイド壁部64Aの下端)から成る枠状の周縁部によって形成される。
【0037】
筐体10は、その第1開口64b
1を車両下方側から塞ぐ蓋部品(以下、「第1蓋部品」という。)13を備えている(
図3、
図11及び
図13等)。第1蓋部品13は、板状に形成された部材である。この第1蓋部品13は、第1開口64b
1の周縁部との間に設けたロック機構53によって筐体10に保持される(
図13)。そのロック機構53とは、例えば、第1蓋部品13の周縁部と第1開口64b
1の周縁部の内の一方に設けた爪部と、その爪部を係止する係止部と、によって構成する。
【0038】
ここで、ロック機構53における爪部と係止部のガタの大きさにも依るが、第1蓋部品13が自重によって下降した場合には、第1蓋部品13と第1開口64b
1との間に隙間を生じさせ、その隙間から第2新気流路64bに外気を導入してしまう虞がある。その隙間は新気導入口63よりも車両上方に存在しているので、その隙間から導入される外気は、新気導入口63から第2新気流路64bに導かれてきた新気よりも温度が高くなっている可能性がある。そこで、第1蓋部品13には、その周縁部に第1開口64b
1への取り付け方向に向けて突出させた枠体13aを設ける(
図14及び
図15)。そして、第2新気流路64bの側壁部の下端(下端22a
1と外壁部11b,11c及びガイド壁部64Aの下端)には、第1蓋部品13が取り付けられた際に当該第1蓋部品13の枠体13aが挿入される溝部64b
11を設ける。その溝部64b
11は、例えば、第1蓋部品13が
図15の矢印の如く自重で下降すると否とに拘わらず枠体13aの側壁面13a
1,13a
2と対向している側壁面64b
12,64b
13を有するように形成する。その設定に際しては、第1蓋部品13が自重で最も下降したときを基準にする。この例示では、枠体13aの突出側の端部を鋭角に形成すると共に、溝部64b
11の溝底側{枠体13aの鋭角部分の側壁面13a
1,13a
2と対向している箇所(側壁面64b
12,64b
13)}を鋭角のV字形状に形成した所謂ラビリンス構造を採用している。これにより、第1蓋部品13と第1開口64b
1との間においては、第1蓋部品13が自重で最も下降したとしても、それぞれの側壁面13a
1,13a
2,64b
12,64b
13によって、外気が筐体10の外部から第2新気流路64bに到達するまでの間に長い距離(所謂沿面距離)を確保することができる。このため、この電気接続箱1においては、第1蓋部品13と第1開口64b
1との間からの温かい外気の導入を抑えることができ、第2電子部品102の冷却性能の低下を抑制することができる。
【0039】
また、筐体10(主体部品11)においては、第2新気流路64bの側壁部(外壁部11b,11cと第1壁部22aとガイド壁部64A)によって、車両上方側にも第2新気流路64bの開口(以下、「上部開口」という。)64b
2が形成される(
図7)。その上部開口64b
2の一部は、第1収容室21の底壁部21aで塞がれる。一方、その上部開口64b
2の残りは、第2開口64b
3として車両上方側に開放させられている(
図6、
図9及び
図12)。その第2開口64b
3は、第2新気流路64bにおける第1新気流路64a側の端部を車両上方側に開放させている。筐体10は、その第2開口64b
3を車両上方側から塞ぐ蓋部品(以下、「第2蓋部品」という。)を備えている。第2蓋部品は第2開口64b
3を塞ぐための専用品として設けてもよいが、本実施形態では、第1電線導出部41に第2蓋部品の機能を持たせる。第1電線導出部41は、主体41aを有している(
図16−
図18)。本実施形態では、その主体41aの下端面41a
1が、第2開口64b
3を車両上方側から塞ぐ蓋部として利用される。
【0040】
その第1電線導出部41について具体的に説明する。第1電線導出部41の主体41aは、内部空間を有するものであり、この内部空間を介して収容室20の電子部品100に電線150を導く。筐体10(主体部品11)は、その主体41aを開口11a側から収容する収容室11dを備える。その収容室11dは、主体41aの形状に合わせて直方体状に形成され、その底部に第2開口64b
3を有している。
【0041】
更に、第1電線導出部41は、その主体41aの内部空間に連通させた筒体41bを有する。筒体41bは、その主体41aから筐体10の外方に向けて突出させたものであり、その内部空間において、主体41aの内部空間から導かれた電線150を案内する。この筒体41bにおいては、突出側の端部が、電線150を筐体10の外部へと引き出す引出口41b
1として利用される。収容室11dは、この筒体41bが筐体10の外部に突出されるように切欠き11d
1を有している。
【0042】
また、第1電線導出部41は、その引出口41b
1の周縁から電線150の引き出し方向に延出させた固定片41cを有する。更に、第1電線導出部41は、その引出口41b
1の周縁における固定片41cとは別の位置に、その周縁に沿って間隔を空け且つ当該周縁から電線150の引き出し方向に延出させ、その周縁側の根元を支点にして電線150に向けた傾倒が可能な複数の傾倒片(この例示では第1及び第2の傾倒片41d,41e)を有する。第1傾倒片41dは、固定片41cに対して引出口41b
1の周縁に沿って約45度ずらした位置に配置している。第2傾倒片41eは、第1傾倒片41dよりも更に約45度ずらした位置(つまり固定片41cと対向する位置)に配置している。第1及び第2の傾倒片41d,41eは、その根元を板厚の薄いヒンジ形状に形成することによって、この根元を支点にした傾倒動作が可能になる。
【0043】
本実施形態においては、例えば、作業者が第1及び第2の傾倒片41d,41eをその先端が電線150に当接するように傾倒させると共に、その電線150を固定片41c側に押し付ける。そして、その作業者は、その電線150を固定片41cと第1及び第2の傾倒片41d,41eと共にテープTPで巻き付ける(
図19及び
図20)。このように、引出口41b
1から外部に引き出され、固定片41cと第1及び第2の傾倒片41d,41eとで挟み込まれた電線150は、固定片41cと第1及び第2の傾倒片41d,41eと共にテープTPが巻き付けられて第1電線導出部41に固定される。
【0044】
ここで、主体41aの内部空間は、カバー部品12の内側において第2収容室22に連通している。そして、引出口41b
1は、新気導入口63よりも車両上方に存在している。このため、電線150と引出口41b
1との間に隙間が生じている場合には、その隙間から新気よりも高温の外気が導入されてしまう可能性がある。
【0045】
しかしながら、例えば、
図19に示すように電線150の径が太い場合には、電線150と引出口41b
1との間の隙間が小さいので、筒体41bの引出口41b
1側から電線150に至るまでテープTPを巻き付けていくことによって、その隙間を塞ぐことができ、その隙間からの外気の導入を抑えることができる。尚、ここでいう電線150の径とは、例えば、複数本の電線150が引き出されている場合、それぞれの電線150を束ねた際の太さのことをいい、複数本の電線150がコルゲートチューブ等の外装部材で一纏めにされている場合、その外装部材の太さのことをいう。
【0046】
一方、
図20に示すように電線150の径が細い場合には、電線150と引出口41b
1との間の隙間が大きくなる。例えば、その隙間が大きく且つ引出口41b
1の先に固定片41cと第2傾倒片41eしか存在していないときには、その第2傾倒片41eで電線150を固定片41cに押し付けたとしても、第2傾倒片41eと電線150との間にも隙間が生じるので、これらの隙間が塞がれるように上手くテープTPを巻き付けていくことが難しい。但し、本実施形態の電気接続箱1においては、複数の傾倒片(第1及び第2の傾倒片41d,41e)で電線150を固定片41cに押し付けることができ、その固定片41cと複数の傾倒片をテープTPの接着面として利用することができるので、電線150と引出口41b
1との間の隙間が大きくても、巻き付けられたテープTPで隙間を塞ぎ、その隙間からの外気の導入を抑えることができる。
【0047】
このように、本実施形態の電気接続箱1においては、第1電線導出部41からの温かい外気の導入を抑えることができ、第2電子部品102の冷却性能の低下を抑制することができる。
【0048】
ところで、本実施形態の新気導入口63は、エンジンコンパートメント内での他部品の配置との関わりによるレイアウト上、そして、エンジンコンパートメント内での低温の外気(新気)を導入するという冷却性能との関わりによるレイアウト上、直交方向にて排気口62寄りに配置されている。このような場合には、新気導入口63から導入された新気を直交方向における位置を変えずに第2収容室22に案内し、排気口62から排出させる、という構成が考えられる。しかしながら、この構成は、第2収容室22に流入した新気を第2収容室22で循環させることが難しく、第2電子部品102の一部のみしか新気で冷却できない可能性がある。一方、本実施形態の電気接続箱1においては、排気口62とは対角線上で離れた位置に吸気口61を設け、直交方向にて排気口62寄りに配置されている新気導入口63からの新気を吸気口61に案内するべく、その新気導入口63と吸気口61とを繋ぐ新気流路64を設けている。このため、本実施形態の電気接続箱1においては、第2収容室22に新気を直接流入させることで、流入した新気を第2収容室22で循環させ、その新気が第2電子部品102の放熱部102a
1から直接熱を奪い、受熱後の空気を排気口62から排出することができるので、第2電子部品102の冷却性能を向上させることができる。
【0049】
また、この電気接続箱1においては、筐体10よりも車両下方側に新気導入口63を配置し、エンジンコンパートメント内の外気の中でも温度の低い新気を第2収容室22に送ることができるので、第2電子部品102の冷却性能をより向上させることができる。また、この電気接続箱1においては、第1蓋部品13の枠体13aと第2新気流路64bの側壁部の溝部64b
11とによって、第1蓋部品13が自重で最も下降したとしても、第1蓋部品13と第1開口64b
1との間からの温かい外気の導入を抑えることができるので、第2電子部品102の冷却性能の低下を抑制することができる。また、この電気接続箱1においては、第1電線導出部41に設けた固定片41cと複数の傾倒片(第1及び第2の傾倒片41d,41e)によって、第1電線導出部41と第1電線導出部41から引き出された電線150との間の隙間をテープTPで塞ぐことができるので、その隙間を介した第2収容室22への温かい外気の導入が抑えられ、第2電子部品102の冷却性能の低下を抑制することができる。
【0050】
[変形例]
本変形例の電気接続箱1は、主に、前述した実施形態の構成において、第1蓋部品13を第1蓋部品14に置き換えたものである(
図21−
図23)。尚、本変形例の第2新気流路64bには、実施形態で示したガイド壁部64Aを設けていない。このため、本変形例では、そのガイド壁部64Aの代わりに、外壁部11eが第2新気流路64bの側壁部となる。
【0051】
本変形例の第1蓋部品14は、第2新気流路64bに埋設される箱体であり、第2新気流路64bの第1開口64b
1を車両下方側から塞ぐと共に、箱体の内部空間を第2新気流路64bの代替流路14aとして利用するものである。具体的に、この第1蓋部品14は、蓋部14bと複数の側壁部14c,14d,14e,14fと天板部14gとを有するものであり、その蓋部14bと側壁部14c,14d,14e,14fと天板部14gとによって箱体を形成する。厳密には、後述する側壁部14i,14kを更に含めた状態で箱体が形成される。
【0052】
蓋部14bは、第1開口64b
1を車両下方側から塞ぐ部位であり、実施形態の第1蓋部品13と同等の形状から成る板状部である。複数の側壁部14c,14d,14e,14fは、蓋部14bの周縁から第2新気流路64b(第1開口64b
1)への取り付け方向に向け且つ第2新気流路64bの複数の内壁面に沿って突出させた壁部である。それぞれの側壁部14c,14d,14e,14fは、第1収容室21の底壁部21aの近傍まで延在させている。側壁部14cは、第2新気流路64bの側壁部(第1壁部22a)の内壁面に対向している。側壁部14dは、第2新気流路64bの側壁部(外壁部11b)の内壁面に対向している。側壁部14eは、第2新気流路64bの側壁部(外壁部11c)の内壁面に対向している。側壁部14fは、第2新気流路64bの側壁部(外壁部11e)の内壁面に対向している。天板部14gは、第2開口64b
3を車両下方側から塞ぐと共に、複数の側壁部14c,14d,14e,14fの突出側の端部から成る開口を塞ぐ部位である。この天板部14gは、第1収容室21の底壁部21aの近傍に配置され、その底壁部21aにおける第2新気流路64b側の内壁面に対向している。
【0053】
第1蓋部品14は、第1新気流路64aの新気を代替流路14a(箱体の内部空間)に導く流入口14hを備える(
図23)。その流入口14hは、筒体63Aの他端の開口63A
2と同等の位置で同等の向きに開放させた状態で配置された開口であり、互いに直交する側壁部14dと側壁部14eとの間に介在させている。つまり、この流入口14hは、その他端の開口63A
2と同等の機能を有するものである。この例示の第1蓋部品14においては、側壁部14dに直交する側壁部14iを当該側壁部14dにおける流入口14h側の端部から突出させており、その側壁部14iと側壁部14eと蓋部14bと天板部14gのそれぞれの端部から成る矩形の開口を流入口14hとして利用する。
【0054】
また、第1蓋部品14は、代替流路14a(箱体の内部空間)の新気を第2収容室22に流出させる流出口14jを備える(
図22)。その流出口14jは、吸気口61と同等の位置で同等の向きに開放させた状態で配置された開口であり、互いに直交する側壁部14cと側壁部14fとの間に介在させている。つまり、この流出口14jは、吸気口61と同等の機能を有するものである。この例示の第1蓋部品14においては、側壁部14cに直交する側壁部14kを当該側壁部14cにおける流出口14j側の端部から突出させており、その側壁部14kと側壁部14fと蓋部14bと天板部14gのそれぞれの端部から成る矩形の開口を流出口14jとして利用する。
【0055】
ここで、本変形例の電気接続箱1においては、第2新気流路64bの車両上方側の第2開口64b
3が第1電線導出部41の主体41aの下端面41a
1と天板部14gによって塞がれる。しかしながら、その主体41aと収容室11dとの間においては、シール部材等の新たな部品を用意しなければ完全に密閉できず、これ故に、下端面41a
1で第2開口64b
3を密閉することは難しい。このため、主体41aと収容室11dとの間の隙間からは、外気が第2開口64b
3に流れてしまう。更に、この電気接続箱1においては、シール部材等の新たな部品を用意しなければ、天板部14gで第2開口64b
3を完全に密閉することも難しい。従って、この電気接続箱1においては、主体41aと収容室11dとの間の隙間から第2開口64b
3に伝わった外気が、流入口14hから代替流路14aに導入されてしまう可能性がある。そして、その外気は、代替流路14aを流れる新気よりも高温である可能性がある。
【0056】
そこで、第1蓋部品14には、流入口14hを成す側壁部
14e,14iと天板部14gのそれぞれの端部から流入口14hの開口面に対する交差方向で且つ外方に突出させたコの字状のフランジ部14lを設ける(
図23−
図25)。この例示のフランジ部14lは、流入口14hの開口面と同一平面上に突出させている。更に、筐体10(主体部品11)には、そのフランジ部14lが収容されるコの字状の溝部11fを設ける。その溝部11fは、例えば、外壁部11b,11c等に形成する。フランジ部14lは、第1蓋部品14が第2新気流路64bへと挿入されると共に、溝部11fに挿入されていく。そのフランジ部14lと溝部11fとの間の隙間は、第1蓋部品14の挿入作業を阻害しない範囲内で小さくすることが望ましい。これにより、本変形例の電気接続箱1においては、主体41aと収容室11dとの間の隙間から温かい外気が第2開口64b
3に伝わったとしても、そのフランジ部14lと溝部11fによって、その外気が第2開口64b
3から流入口14hに到達するまでの間に長い距離(所謂沿面距離)を確保することができる。このため、この電気接続箱1においては、その温かい外気の代替流路14aへの導入を抑えることができ、第2電子部品102の冷却性能の低下を抑制することができる。