特許第6188772号(P6188772)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6188772エレベータの部品管理システム、およびこれに利用する部品管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188772
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】エレベータの部品管理システム、およびこれに利用する部品管理方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20170821BHJP
   B66B 13/14 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   B66B5/00 G
   B66B13/14 D
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-229581(P2015-229581)
(22)【出願日】2015年11月25日
(65)【公開番号】特開2017-95242(P2017-95242A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2015年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】関 陽子
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−092049(JP,A)
【文献】 特許第5629237(JP,B2)
【文献】 特開2012−212660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエレベータ近傍にそれぞれ設置され、該当するエレベータの外部環境に関する情報を取得する環境情報取得センサと、
前記環境情報取得センサで取得された外部環境に関する情報と、前記複数のエレベータの仕様に関する情報とのいずれか一方または双方に基づいて予測されるエレベータの部品に関する劣化の進み度合いにより、前記複数のエレベータをグループ分けしたグループ情報を生成するグループ情報生成部と、
前記複数のエレベータそれぞれのかごドア上部のドアマシンベースまたは乗場ドア上部のヘッダーケースの振動を検出する振動センサと、
前記各振動センサで検出された振動の情報を解析して、振動源ごとの周波数を算出する振動情報解析部と、
前記振動情報解析部で算出された振動源ごとの周波数のうち、監視対象の部品を振動源とし、正常時からの変化率が所定値以上になった周波数に対応する部品を検出する異常部品検出部と、
設置されてから前記異常部品検出部で検出されるまでの期間が所定よりも短い部品が検出されると、当該検出された部品と、当該検出された部品を有するエレベータと同じグループに属する他のエレベータの同種類の部品とを、メンテナンス対象の部品として報知するための報知情報を出力する報知情報出力部と
を備えることを特徴とするエレベータの部品管理システム。
【請求項2】
複数のエレベータ近傍にそれぞれ設置され、該当するエレベータの外部環境に関する情報を取得する環境情報取得センサで取得された外部環境に関する情報と、前記複数のエレベータの仕様に関する情報とのいずれか一方または双方に基づいて予測されるエレベータの部品に関する劣化の進み度合いにより、前記複数のエレベータをグループ分けしたグループ情報を生成するグループ情報生成ステップと、
前記複数のエレベータそれぞれのかごドア上部のドアマシンベースまたは乗場ドア上部のヘッダーケースに設置された振動センサで検出された振動の情報を解析して、振動源ごとの周波数を算出する振動情報解析ステップと、
算出された振動源ごとの周波数のうち、監視対象の部品を振動源とし、正常時からの変化率が所定値以上になった周波数に対応する部品を検出する異常部品検出ステップと、
設置されてから前記異常部品検出ステップで検出されるまでの期間が所定よりも短い部品が検出されると、当該検出された部品と、当該検出された部品を有するエレベータと同じグループに属する他のエレベータの同種類の部品とを、メンテナンス対象の部品として報知するための報知情報を出力する報知情報出力ステップと
を有することを特徴とするエレベータの部品管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータの部品管理システム、およびこれに利用する部品管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に利用されているエレベータには様々な部品が用いられて構成されており、乗りかごや乗場ドアの上部には、ドアの開閉を駆動するための複数の部品が設置されている。これらの部品は、エレベータシステムへの影響度により設定された交換基準ランクと、当該エレベータの運転によるドア開閉動作の起動頻度とにより、交換時期が定められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−20053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし実際には、エレベータの設置環境、例えば温度、湿度、空気中の塩分濃度やエレベータの仕様等によっても部品の劣化の進み度合いは異なってくる。そのため、定められた交換時期と、実際に交換が必要な時期とにずれが生じる場合がある。そして、想定よりも早く劣化が進んだ部品があると、エレベータの故障や動作不良の原因となる場合があるという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、エレベータの部品ごとに、適切な交換時期を報知することが可能なエレベータの部品管理システム、およびこれに利用する部品管理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための実施形態によればエレベータの部品管理システムは、環境情報取得センサとグループ情報生成部と振動センサと振動情報解析部と異常部品検出部と報知情報出力部とを備える。環境情報取得センサは、複数のエレベータ近傍にそれぞれ設置され、該当するエレベータの外部環境に関する情報を取得する。グループ情報生成部は、環境情報取得センサで取得された外部環境に関する情報と、複数のエレベータの仕様に関する情報とのいずれか一方または双方に基づいて予測されるエレベータの部品に関する劣化の進み度合いにより、複数のエレベータをグループ分けしたグループ情報を生成する。振動センサは、複数のエレベータそれぞれのかごドア上部のドアマシンベースまたは乗場ドア上部のヘッダーケースの振動を検出する。振動情報解析部は、各振動センサで検出された振動の情報を解析して、振動源ごとの周波数を算出する。異常部品検出部は、振動情報解析部で算出された振動源ごとの周波数のうち、監視対象の部品を振動源とし、正常時からの変化率が所定値以上になった周波数に対応する部品を検出する。報知情報出力部は、設置されてから異常部品検出部で検出されるまでの期間が所定よりも短い部品が検出されると、当該検出された部品と、当該検出された部品を有するエレベータと同じグループに属する他のエレベータの同種類の部品とを、メンテナンス対象の部品として報知するための報知情報を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態によるエレベータの部品管理システムの構成を示す全体図。
図2】第1実施形態によるエレベータの部品管理システムに利用する部品管理装置の動作を示すフローチャート。
図3】第2実施形態によるエレベータの部品管理システムの構成を示す全体図。
図4】第2実施形態によるエレベータの部品管理システムに利用する部品管理装置の動作を示すフローチャート。
図5】第2実施形態および第4実施形態による部品管理システムでグループ情報を生成する際に利用する設定情報の一例。
図6】第3実施形態によるエレベータの部品管理システムの構成を示す全体図。
図7】第4実施形態によるエレベータの部品管理システムの構成を示す全体図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
《第1実施形態》
本発明の第1実施形態として、エレベータのかごドアの動作に関わる部品を管理する部品管理装置について説明する。
【0009】
〈第1実施形態によるエレベータの部品管理システムの構成〉
本実施形態によるエレベータの部品管理システムの構成について、図1を参照して説明する。
【0010】
本実施形態による部品管理システム10Aが搭載されるエレベータ1は、昇降路2を走行する乗りかご3を備え、乗りかご3は、かごドア31と、かごドア31上部に固定された筐体であるドアマシンベース32と、ドアマシンベース32内に設置された各部品とを有する。ドアマシンベース32内には、かごドア31を開閉制御するドアモータの動力をかごドア31に伝達する一対のプーリ33a、33bが設置され、プーリ33a、33bには駆動ベルト34が取り付けられている。
【0011】
本実施形態による部品管理システム10Aは、エレベータ1内のかごドア31の動作に関わる部品を管理するシステムであり、乗りかご3のドアマシンベース32に設置された振動センサ11と、振動センサ11に接続されて昇降路2上部の機械室等に設置された部品管理装置12Aとを備える。
【0012】
振動センサ11は、ドアマシンベース32の振動を検出する。部品管理装置12Aは、振動情報解析部121Aと、周波数情報記録部122Aと、異常部品検出部123Aと、報知情報出力部124Aとを有する。振動情報解析部121Aは、振動センサ11で検出された振動の波形を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)することで解析し、振動源ごとの周波数を算出する。周波数情報記録部122Aは、振動情報解析部121Aで算出された振動源ごとの周波数を記録する。異常部品検出部123Aは、周波数情報記録部122Aに記録された振動源ごとの周波数のうち、ドアマシンベース32内に設置された所定の部品を振動源とする周波数について、正常時からの変化率を監視する。そして、変化率が所定値以上になった周波数に対応する部品を検出する。報知情報出力部124Aは、異常部品検出部123Aで検出された部品を、交換対象の部品として報知するための報知情報を生成し、出力する。
【0013】
〈第1実施形態によるエレベータの部品管理システムの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ1の部品を管理する部品管理システム10Aの動作について、図2のフローチャートを参照して説明する。本実施形態において、エレベータ1に設置された振動センサ11では、ドアマシンベース32で発生する振動の波形情報が検出され、所定時間間隔で部品管理装置12Aに送信されている。ドアマシンベース32では、その内部に設置された部品、例えばプーリ33a、33bや駆動ベルト34の動作により、それぞれ異なる周期および大きさの振動が発生しており、振動センサ11でこれらを振動源とするドアマシンベース32の振動がそれぞれ異なる波形で検出される。
【0014】
部品管理装置12Aでは、振動センサ11から送信された複数の振動の波形情報が振動情報解析部121Aで取得され(S1)、取得された波形情報に基づいて高速フーリエ変換により、振動源ごとの周波数が算出される。ここで、検出された波形の振幅周期および振幅幅が一定範囲内にある波形情報を、同一の振動源から発生した振動によるものと認識して、周波数が算出される。算出された振動源ごとの周波数の情報は、周波数情報記録部122Aに記録される(S2)。
【0015】
次に、異常部品検出部123Aにおいて、周波数情報記録部122Aに記録された振動源ごとの周波数のうち、ドアマシンベース32内に設置された監視対象の部品であるプーリ33a、33b、駆動ベルト34を振動源とする周波数について、正常時からの変化率が監視される(S3)。本実施形態において異常部品検出部123Aには、プーリ33a、33b、駆動ベルト34それぞれが正常な状態でエレベータ1が稼動しているときに、振動センサ11で検出された波形に基づいてそれぞれ算出される周波数が、各部品の固有周波数として予め保持されている。そして、各部品の固有周波数と所定範囲内で近似する周波数について、その振動源が当該部品であると判断して、その周波数の固有周波数からの変化率が監視される。そして、この固有周波数からの変化率が所定値以上になったときに、該当する部品が、異常が発生した部品として検出される(S3の「YES」、S4)。周波数の変化率が所定値以上になったときに異常が発生した部品として検出されるのは、各部品に関し、異物混入、モータ異常、ベルトの伸び縮み、ねじの緩み、または破損等により異常が発生すると振動が大きくなり、振動センサ11で検出される振動の波形情報に変化が生じるためである。
【0016】
次に、報知情報出力部124Aにより、検出された部品を交換対象の部品として報知するための報知情報が生成され、出力される(S5)。報知情報の出力は、例えば部品の識別情報および部品交換を促す内容のテキスト情報の表示と、アラーム音の発報とにより行われる。
【0017】
以上の第1実施形態によれば、エレベータの使用状況や外部環境の影響が異なる場合にも、かごドアに設置された各部品について、実際の劣化状況に基づいて適切な交換時期を報知することができる。
【0018】
《第2実施形態》
本発明の第2実施形態として、複数のエレベータのかごドアの動作に関わる部品を、統括して管理する部品管理装置について説明する。
【0019】
〈第2実施形態によるエレベータの部品管理システムの構成〉
本実施形態による部品管理システムの構成について、図3を参照して説明する。本実施形態による部品管理システム10Bは、複数台のエレベータ1−1〜1−n内の部品を管理するシステムである。エレベータ1−1〜1−nは、外部環境が異なる複数の建物に設置されており、各エレベータ1−1〜1−nの構成は、第1実施形態で説明したエレベータ1の構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0020】
部品管理システム10Bは、エレベータ1−1〜1−n内のかごドア31の動作に関わる部品を統括して管理するシステムであり、各エレベータ1−1〜1−nのかごドア31上部のドアマシンベース32にそれぞれ設置された振動センサ11−1〜11−nと、各エレベータ1−1〜1−n近傍にそれぞれ設置された環境情報取得センサ13−1〜13−nと、これらの振動センサ11−1〜11−nおよび環境情報取得センサ13−1〜13−nに接続された部品管理装置12Bとを備える。環境情報取得センサ13−1〜13−nは、各エレベータ1−1〜1−nそれぞれについて、部品の劣化に影響する外部環境に関する情報、例えば気温や湿度に関する情報、空気中の塩分濃度量の情報を取得する。
【0021】
振動センサ11−1〜11−nはそれぞれ、各エレベータ1−1〜1−nのかごドア31上部のドアマシンベース32の振動を検出する。
【0022】
部品管理装置12Bは、振動情報解析部121Bと、周波数情報記録部122Bと、異常部品検出部123Bと、報知情報出力部124Bと、環境情報取得部125Bと、グループ情報生成部126Bとを有する。
【0023】
環境情報取得部125Bは、環境情報取得センサ13−1〜13−nで取得された各エレベータ1−1〜1−nの外部環境に関する情報を取得する。グループ情報生成部126Bは、各エレベータ1−1〜1−nの仕様に関する情報、例えば高さ、使用頻度、設置場所(屋外に面しているか、建物の内部に設置されているか)等の情報を予め保持する。そして、保持した仕様に関する情報と、環境情報取得部125Bで取得された外部環境に関する情報とのいずれか一方または双方に基づいて予測される、エレベータの部品に関する劣化の進み度合いにより、各エレベータ1−1〜1−nをグループ分けしたグループ情報を生成する。振動情報解析部121Bは、振動センサ11−1〜11−nで検出された振動の波形から、各振動センサ11−1〜11−nに関する振動源ごとの周波数を算出する。周波数情報記録部122Bは、振動情報解析部121Bで算出された各振動センサ11−1〜11−nに関する振動源ごとの周波数のうち、各エレベータのドアマシンベース32内に設置された所定の部品を振動源とする周波数について、正常時からの変化率を監視し、変化率が所定値以上になった周波数に対応する部品を検出する。報知情報出力部124Bは、異常部品検出部123Bで検出された部品と、グループ情報生成部126Bで生成されたグループ情報に基づいて、当該検出された部品を有するエレベータと同じグループに属すると判定される他のエレベータの同種類の部品であって検出された部品よりも長く使用されている部品とを、交換対象の部品として報知するための報知情報を生成し、出力する。
【0024】
〈第2実施形態によるエレベータの部品管理システムの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータ1−1〜1−nの部品を管理する部品管理システム10Bの動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。本実施形態の部品管理システム10Bでは予め、部品管理装置12Bの環境情報取得部125Bにおいて、環境情報取得センサ13−1〜13−nで所定期間において取得された各エレベータ1−1〜1−nの外部環境に関する情報が取得される(S11)。そして、取得された外部環境に関する情報と各エレベータ1〜1−nの仕様に関する情報とのいずれか一方または双方に基づいて予測される部品に関する劣化の進み度合いにより、各エレベータ1−1〜1−nをグループ分けしたグループ情報がグループ情報生成部126Bで生成され、保持される(S12)。
【0025】
一例として、環境情報取得センサ13−1〜13−nで取得された情報に基づいてグループ情報を生成する場合の設定情報を、図5に示す。図5に示す例では、気温、湿度、および空気中の塩分濃度それぞれについて、所定値以上であれば○とし、所定値未満であれば×とした場合に、外部環境の因子がすべて×または○が1つのみであればグループ1、気温および湿度が○で空気中の塩分濃度が×であればグループ2、気温及び空気中の塩分濃度が○で湿度が×であればグループ3、湿度および空気中の塩分濃度が○で気温が×であればグループ4、すべての因子が○であればグループ5としている。この設定情報に基づいて、エレベータ1−1〜1−nをグループ1〜5のいずれかにグループ分けしたグループ情報が生成され保持される。
【0026】
エレベータについてのグループ情報が保持された状態で、各エレベータ1−1〜1−nに設置された振動センサ11−1〜11−nにおいて、それぞれのドアマシンベース32で発生する振動の波形情報が検出され、所定時間間隔で部品管理装置12Bに送信される。
【0027】
部品管理装置12Bでは、各振動センサ11−1〜11−nから送信された複数の振動の波形情報が振動情報解析部121Bで取得され(S13)、取得された波形情報に基づいて高速フーリエ変換により、各振動センサ11−1〜11−nに関する振動源ごとの周波数が算出される。算出された各振動センサ11−1〜11−nの振動源ごとの周波数の情報は、周波数情報記録部122Bに記録される(S14)。
【0028】
次に、異常部品検出部123Bにおいて、周波数情報記録部122Bに記録された各振動センサ11−1〜11−nの振動源ごとの周波数のうち、各エレベータ1−1〜1−nのドアマシンベース32内に設置された監視対象の部品であるプーリ33a、33b、駆動ベルト34を振動源とする周波数について、正常時からの変化率が監視される(S15)。そして、変化率が所定値以上になった周波数の振動源である部品が、異常が発生した部品として検出される(S15の「YES」、S16)。
【0029】
次に、検出された部品と、ステップS12で生成されたグループ情報により当該異常が検出された部品を有するエレベータと同じグループに属すると判定される他のエレベータの同種類の部品であって、検出された部品よりも長く使用されている部品とを、交換対象の部品として報知するための報知情報が生成される(S17)。報知情報の出力は、例えば交換対象の部品についての、エレベータおよび部品の識別情報とがテキスト情報により出力されるとともに、アラーム音が発報されることにより行われる。
【0030】
以上の第2実施形態によれば、複数のエレベータのかごドアの部品を管理する際に、外部環境やエレベータの仕様に基づいて同じような進度で部品の劣化が進むと予測されるエレベータをグループ化して管理することで、かごドアに設置された各部品の適切な交換時期を効率よく把握し、報知することができる。
【0031】
上述した第2実施形態において、部品が設置されてから異常が発生したとして検出されるまでの期間が所定よりも短い部品があった場合、つまり通常よりも劣化が早く進んだと判断される部品があった場合には、報知情報出力部124Bにより、当該部品と、当該部品を有するエレベータと同じグループに属する他のエレベータの同種類の部品とを、メンテナンス対象の部品として報知するための報知情報を生成し、出力するようにしてもよい。
【0032】
また上述した第2実施形態において、グループ情報生成部126Bでは、部品の種類ごとに異なるグループ情報を生成し、報知情報出力部124Bにおいて、該当する部品のグループ情報を利用して交換対象の部品を特定するようにしてもよい。
【0033】
《第3実施形態》
本発明の第3実施形態として、エレベータの乗場ドアの動作に関わる部品を管理する部品管理装置について説明する。
【0034】
〈第3実施形態によるエレベータの部品管理システムの構成〉
本実施形態によるエレベータの部品管理システムの構成について、図6を参照して説明する。
【0035】
本実施形態による部品管理システム10Cが搭載されるエレベータ1は、建物内の各階の乗場4に設置された乗場ドア41と、乗場ドア41上部に設置されたヘッダーケース42と、ヘッダーケース42内に設置された各部品とを有する。ヘッダーケース42内には、乗場ドア41を開閉制御するドアモータの動力を乗場ドア41に伝達する一対のプーリ43a、43bが設置され、プーリ43a、43bには駆動ベルト44が取り付けられている。
【0036】
本実施形態による部品管理システム10Cは、エレベータ1内の乗場ドア41の動作に関わる部品を管理するシステムであり、乗場ドア41のヘッダーケース42に設置された振動センサ14と、振動センサ14に接続されて昇降路2上部の機械室等に設置された部品管理装置12Cとを備える。振動センサ14は、ヘッダーケース42の振動を検出する。部品管理装置12Cは、振動情報解析部121Cと、周波数情報記録部122Cと、異常部品検出部123Cと、報知情報出力部124Cとを有しており、振動センサ14で検出された振動の情報を処理対象としている他は、各機能部で実行される処理は第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0037】
〈第3実施形態によるエレベータの部品管理システムの動作〉
本実施形態において、エレベータ1に設置された振動センサ14では、ヘッダーケース42で発生する振動の波形情報が検出され、所定時間間隔で部品管理装置12Cに送信されている。ヘッダーケース42では、その内部に設置された部品、例えばプーリ43a、43bや駆動ベルト44の動作により、それぞれ異なる周期および大きさの振動が発生しており、振動センサ14でこれらを振動源とするヘッダーケース42の振動がそれぞれ異なる波形で検出される。
【0038】
部品管理装置12Cでは、振動センサ14から送信された複数の波形情報が振動情報解析部121Cで取得される。振動情報解析部121Cで波形情報が取得された後に部品管理装置12Cで実行される処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0039】
以上の第3実施形態によれば、エレベータの使用状況や外部環境が異なる場合にも、乗場ドアに設置された各部品について、実際の劣化状況に基づいて適切な交換時期を報知することができる。
【0040】
《第4実施形態》
本発明の第4実施形態として、複数のエレベータの乗場ドアの動作に関わる部品を、統括して管理する部品管理装置について説明する。
【0041】
〈第4実施形態によるエレベータの部品管理システムの構成〉
本発明の第4実施形態による部品管理システムの構成について、図7を参照して説明する。本実施形態による部品管理システム10Dは、複数台のエレベータ1−1〜1−n内の部品を管理するシステムである。エレベータ1−1〜1−nは、外部環境が異なる複数の建物に設置されており、各エレベータ1−1〜1−nの構成は、第1実施形態で説明したエレベータ1の構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0042】
部品管理システム10Dは、各エレベータ1−1〜1−n内の乗場ドア41−1〜41−nの動作に関わる部品を管理するシステムであり、各エレベータ1−1〜1−nの乗場ドア41のヘッダーケース42に設置された振動センサ14−1〜14−nと、各エレベータ1−1〜1−n近傍に設置された環境情報取得センサ13−1〜13−nと、これら振動センサ14−1〜14−nおよび環境情報取得センサ13−1〜13−nに接続された部品管理装置12Dとを備える。
【0043】
振動センサ14−1〜14−nはそれぞれ、各エレベータ1−1〜1−nの乗場ドア41のヘッダーケース42の振動を検出する。
【0044】
部品管理装置12Dは、振動情報解析部121Dと、周波数情報記録部122Dと、異常部品検出部123Dと、報知情報出力部124Dと、環境情報取得部125Dと、グループ情報生成部126Dとを有しており、振動センサ14−1〜14−nで検出された振動の情報を処理対象としている他は、各機能部で実行される処理は第2実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0045】
〈第4実施形態によるエレベータの部品管理システムの動作〉
本実施形態において、エレベータ1−1〜1−nに設置された振動センサ14−1〜14−nではそれぞれ、ヘッダーケース42−1〜42−nで発生する振動の波形情報が検出され、所定時間間隔で部品管理装置12Dに送信されている。ヘッダーケース42−1〜42−nでは、その内部に設置された部品、例えばプーリ43a、43bや駆動ベルト44の動作により、それぞれ異なる周期および大きさの振動が発生しており、振動センサ14−1〜14−nでこれらを振動源とするヘッダーケース42−1〜42−nの振動がそれぞれ異なる波形で検出される。
【0046】
部品管理装置12Dでは、振動センサ14−1〜14−nから送信された複数の波形情報が振動情報解析部121Dで取得される。振動情報解析部121Dで波形情報が取得された後に部品管理装置12Dで実行される処理は、第2実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0047】
以上の第4実施形態によれば、複数のエレベータの乗場ドアの部品を管理する際に、外部環境やエレベータの仕様に基づいて同じような進度で劣化が進むと予測される部品をグループ化して管理することで、乗場ドアに設置された各部品の適切な交換時期を効率よく把握し、報知することができる。
【0048】
上述した第4実施形態において、部品が設置されてから異常が発生したとして検出されるまでの期間が所定よりも短い部品があった場合、つまり通常よりも劣化が早く進んだと判断される部品があった場合には、報知情報出力部124Dにより、当該部品と、当該部品を有するエレベータと同じグループに属する他のエレベータの同種類の部品とを、メンテナンス対象の部品として報知するための報知情報を生成し、出力するようにしてもよい。
【0049】
また上述した第4実施形態において、グループ情報生成部126Dでは、部品の種類ごとに異なるグループ情報を生成し、報知情報出力部124Dにおいて、該当する部品のグループ情報を利用して交換対象の部品を特定するようにしてもよい。
【0050】
上述した第1〜第4実施形態においては、乗りかごのドアマシンベースまたは乗場ドアのヘッダーケースにおいて、その内部に設置されたプーリおよび駆動ベルトを振動源とする振動に基づいて異常が発生した部品を検出する場合について説明した。これ以外にも、ドアマシンベースまたはヘッダーケース内に設置されたこれら以外の部品について、予め固有周波数を算出しておくことで、同様に異常の発生を検出することができる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1,1−1〜1−n…エレベータ、2…昇降路、3…乗りかご、4…乗場、10A,10B,10C,10D…部品管理システム、11,11−1〜11−n…振動センサ、12A,12B,12C,12D…部品管理装置、13−1〜13−n…環境情報取得センサ、14,14−1,14−n…振動センサ、31…かごドア、32…ドアマシンベース、33a,33b,43a,43b…プーリ、34,44…駆動ベルト、41,41−1〜41−n…乗場ドア、42,42−1〜42−n…ヘッダーケース、121A,121B,121C,121D…振動情報解析部、122A,122B,122C,122D…周波数情報記録部、123A,123B,123C,123D…異常部品検出部、124A,124B,124C,124D…報知情報出力部、125B,125D…環境情報取得部、126B,126D…グループ情報生成
図1
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図7