(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、フィンの形状を工夫してもシール性能向上には限界があり、さらなるシール性能の向上が望まれている。
【0006】
本発明は上述した課題を解決するものであり、シール性能を向上することのできるシール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、第1の発明のシール装置は、静止体と回転体との隙間で前記静止体から前記回転体に向けて延在し前記回転体に非接触で設けられたフィンと、前記静止体と前記回転体との前記隙間に流動し得る流体の流動方向に対し前記フィンの上流側にて前記静止体と前記回転体との少なくとも一方に開口して形成された貫通孔と、前記静止体と前記回転体との前記隙間に流動し得る流体よりも高い圧力の高圧流体を前記貫通孔から前記隙間に供給する高圧流体供給部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
このシール装置によれば、貫通孔が静止体に開口して形成された形態では、高圧流体供給部から供給された高圧流体が、貫通孔からフィンにおける流体の流動方向の上流側に吐出されることで、高圧流体の流量分で流体の流量を減少させ、フィンの先端と回転体との間の流体の通過を抑止する。この結果、シール性能を向上することができる。また、貫通孔が回転体に開口して形成された形態では、高圧流体供給部から供給された高圧流体が、貫通孔からフィンにおける流体の流動方向の上流側に吐出されることで、フィンにおける流体の流動方向の上流側で高圧流体が流体を押し退けるように作用し、フィンの先端と回転体との間の流体の吹き抜けを抑止する。この結果、シール性能を向上することができる。
【0009】
また、第2の発明のシール装置では、第1の発明において、前記貫通孔は、開口を前記静止体と前記回転体との前記隙間において流動し得る流体の上流側に向けて設けられることを特徴とする。
【0010】
このシール装置によれば、貫通孔が静止体に開口して形成された形態では、貫通孔から吐出された高圧流体が、フィンにおける流体の流動方向の上流側で流体がフィンに衝突して生じる渦流を助勢して強め、フィンの先端と回転体との間の流体の通過を抑止する。この結果、シール性能を向上することができる。また、貫通孔が回転体に開口して形成された形態では、貫通孔から吐出された高圧流体が、フィンにおける流体の流動方向の上流側で流体がフィンに衝突して生じる渦流を助勢して強め、かつフィンにおける流体の流動方向の上流側で高圧流体が流体を押し退けるように作用し、フィンの先端と回転体との間の流体の通過を抑止する。この結果、シール性能を向上することができる。
【0011】
また、第3の発明のシール装置では、第1または第2の発明において、自身の回転の軸心に沿って延在する前記回転体としてのロータと、前記ロータを格納する車室と、前記ロータの延在方向に沿って前記ロータと前記車室との間に設けられた流体通路と、前記ロータの外周を囲む環状に形成されてその外面と前記ロータの外周面との間に前記流体通路に連通する隙間を有して前記車室に取り付けられ、その内部に環状に沿って形成された流体ノズル室、および前記流体ノズル室から前記ロータの延在方向に向いて前記流体通路に連通する開口を有し、前記流体ノズル室に過熱された流体が供給される前記静止体としての流体ノズル部と、を含む回転機械に対し、前記流体ノズル部から前記ロータに向けて延在して前記隙間に前記フィンが設けられ、前記流体ノズル部に前記ロータに向けて開口して前記貫通孔が設けられており、前記高圧流体供給部は、前記回転機械に供給されて前記隙間に流動し得る流体よりも高い圧力で低温の高圧流体を供給することを特徴とする。
【0012】
このシール装置によれば、回転機械に供給される流体よりも高圧で、かつ低温の高圧流体が流体ノズル部とロータの外周面との隙間に吐出されるため、当該隙間におけるシール性能を向上することができ、回転機械に供給される流体の漏れ出しを抑止することができる。しかも、回転機械に供給される流体よりも高圧で、かつ低温の高圧流体が流体ノズル部とロータの外周面との隙間に吐出されるため、ロータを冷却することができる。この結果、回転機械の稼働効率を向上することができる。
【0013】
また、第4の発明のシール装置では、第1または第2の発明において、自身の回転の軸心に沿って延在する前記回転体としてのロータと、前記ロータを格納する車室と、前記ロータの延在方向に沿って前記ロータと前記車室との間に設けられた流体通路と、前記ロータの外周を囲む環状に形成されてその外面と前記ロータの外周面との間に前記流体通路に連通する隙間を有して前記車室に取り付けられ、その内部に環状に沿って形成された流体ノズル室、および前記流体ノズル室から前記ロータの延在方向に向いて前記流体通路に連通する開口を有し、前記流体ノズル室に過熱された流体が供給される前記静止体としての流体ノズル部と、を含む回転機械に対し、前記流体ノズル部から前記ロータに向けて延在して前記隙間に前記フィンが設けられ、前記ロータに前記流体ノズル部に向けて開口して前記貫通孔が設けられており、前記高圧流体供給部は、前記回転機械に供給されて前記隙間に流動し得る流体よりも高い圧力で低温の高圧流体を供給することを特徴とする。
【0014】
このシール装置によれば、回転機械に供給される流体よりも高圧で、かつ低温の高圧流体が流体ノズル部とロータの外周面との隙間に吐出されるため、当該隙間におけるシール性能を向上することができ、回転機械に供給される流体の漏れ出しを抑止することができる。しかも、回転機械に供給される流体よりも高圧で、かつ低温の高圧流体が流体ノズル部とロータの外周面との隙間に吐出されるため、ロータを冷却することができる。この結果、回転機械の稼働効率を向上することができる。
【0015】
また、第5の発明のシール装置では、第1または第2の発明において、自身の回転の軸心に沿って延在する前記回転体としてのロータと、前記ロータを格納する前記静止体としての車室と、前記ロータの延在方向に沿って前記ロータと前記車室との間に設けられた流体通路と、前記流体通路内にて前記車室から延在して前記ロータの外周面との間に前記流体通路に連通する隙間を有する前記静止体としての静翼と、前記流体通路内にて前記ロータから延在して前記車室との間に前記流体通路に連通する隙間を有する前記回転体としての動翼と、を含む回転機械に対し、各前記隙間に前記フィンが設けられ、前記車室および前記静翼に前記貫通孔が設けられており、前記高圧流体供給部は、前記回転機械に供給されて前記隙間に流動し得る流体よりも高い圧力で低温の高圧流体を供給することを特徴とする。
【0016】
このシール装置によれば、回転機械に供給される流体よりも高圧で、かつ低温の高圧流体が静翼とロータの外周面との隙間に吐出されるため、当該隙間におけるシール性能を向上することができ、回転機械に供給される流体の漏れ出しを抑止することができる。しかも、回転機械に供給される流体よりも高圧で、かつ低温の高圧流体が静翼とロータの外周面との隙間に吐出されるため、ロータを冷却することができる。この結果、回転機械の稼働効率を向上することができる。また、このシール装置によれば、回転機械に供給される流体よりも高圧で、かつ低温の高圧流体が車室と動翼との隙間に吐出されるため、当該隙間におけるシール性能を向上することができ、回転機械に供給される流体の漏れ出しを抑止することができる。しかも、回転機械に供給される流体よりも高圧で、かつ低温の高圧流体が車室と動翼との隙間に吐出されるため、動翼を冷却することができる。この結果、回転機械の稼働効率を向上することができる。
【0017】
また、第6の発明のシール装置では、第1または第2の発明において、自身の回転の軸心に沿って延在する前記回転体としてのロータと、前記ロータを格納する前記静止体としての車室と、前記ロータの延在方向に沿って前記ロータと前記車室との間に設けられた流体通路と、前記流体通路内にて前記車室から延在して前記ロータの外周面との間に前記流体通路に連通する隙間を有する前記静止体としての静翼と、前記流体通路内にて前記ロータから延在して前記車室との間に前記流体通路に連通する隙間を有する前記回転体としての動翼と、を含む回転機械に対し、各前記隙間に前記フィンが設けられ、前記ロータおよび前記動翼に前記貫通孔が設けられており、前記高圧流体供給部は、前記回転機械に供給されて前記隙間に流動し得る流体よりも高い圧力で低温の高圧流体を供給することを特徴とする。
【0018】
このシール装置によれば、回転機械に供給される流体よりも高圧で、かつ低温の高圧流体が静翼とロータの外周面との隙間に吐出されるため、当該隙間におけるシール性能を向上することができ、回転機械に供給される流体の漏れ出しを抑止することができる。しかも、回転機械に供給される流体よりも高圧で、かつ低温の高圧流体が静翼とロータの外周面との隙間に吐出されるため、ロータを冷却することができる。この結果、回転機械の稼働効率を向上することができる。また、このシール装置によれば、回転機械に供給される流体よりも高圧で、かつ低温の高圧流体が車室と動翼との隙間に吐出されるため、当該隙間におけるシール性能を向上することができ、回転機械に供給される流体の漏れ出しを抑止することができる。しかも、回転機械に供給される流体よりも高圧で、かつ低温の高圧流体が車室と動翼との隙間に吐出されるため、動翼を冷却することができる。この結果、回転機械の稼働効率を向上することができる。
【0019】
また、第7の発明のシール装置では、第6の発明において、前記回転機械は、前記ロータの外周を囲む環状に形成されて前記ロータの外周面との間に前記流体通路に連通する隙間を有して前記車室に取り付けられ、その内部に環状に沿って形成された流体ノズル室と、前記流体ノズル室から前記ロータの延在方向に向いて前記流体通路に連通する開口とを有し、前記流体ノズル室に過熱された流体が供給される前記静止体としての流体ノズル部を含み、前記流体ノズル部と前記ロータの外周面との前記隙間に一旦開通すると共に前記ロータを通じて前記貫通孔に連通する供給孔と、前記供給孔が前記流体ノズル部と前記ロータの外周面との前記隙間に一旦開通する周囲で前記流体ノズル部から前記ロータに向けて延在したフィンと、を備えることを特徴とする。
【0020】
このシール装置によれば、供給孔が流体ノズル部とロータとの隙間に一旦開通し、この開通した周囲において、流体ノズル部からロータに向けて延在して隙間にフィンが設けられていることで、流体ノズル部とロータとの隙間において回転機械に供給される流体の漏れ出しを抑止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、シール性能を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0024】
本実施形態のシール装置は、回転機械として、例えば、ガスタービンや蒸気タービンに適用される。
図1は、これらガスタービンおよび蒸気タービンが適用されるコンバインドサイクルプラントの一例を示す概略構成図である。
図1に示すコンバインドサイクルプラント100は、ガスタービン110、高圧蒸気タービン120、中圧蒸気タービン130、低圧蒸気タービン140で構成され、これらガスタービン110、高圧蒸気タービン120、中圧蒸気タービン130、低圧蒸気タービン140は、発電機150と同軸上に配置されている。
【0025】
ガスタービン110は、圧縮機111、燃焼器112、タービン113で構成されている。圧縮機111において、圧縮機入口空気114が昇圧され燃焼器112に供給される。燃焼器112において、供給された空気と燃料115により高温の燃焼ガスが生成されタービン113に供給される。タービン113を通過する燃焼ガスはタービン113を回転駆動した後に排ガスとなって排出される。
【0026】
コンバインドサイクルプラント100は、ガスタービン110におけるタービン113から排出される排ガスを加熱源として水から過熱蒸気を生成するボイラ(排熱回収ボイラ)1を備える。このボイラ1により生成される過熱蒸気により高圧蒸気タービン120、中圧蒸気タービン130、低圧蒸気タービン140が駆動される。そして、これらガスタービン110、高圧蒸気タービン120、中圧蒸気タービン130、低圧蒸気タービン140の駆動により発電機150で発電される。また、低圧蒸気タービン140に利用された蒸気は、当該低圧蒸気タービン140に接続された復水器160により復水とされ、過熱蒸気を生成するための水としてボイラ1に送られる。
【0027】
ボイラ1は、ガスタービン110におけるタービン113の排気側に設けられた煙道113aに接続される。ボイラ1は、排ガスの流れの下流側から、低圧節炭器10、低圧ドラム11、低圧蒸発器12、中圧節炭器13、高圧一次節炭器14、中圧ドラム15、中圧蒸発器16、低圧過熱器17、高圧二次節炭器18、中圧過熱器19、高圧ドラム20、高圧蒸発器21、高圧一次過熱器22、一次再熱器23、二次再熱器24、高圧二次過熱器25が設けられ、かつ復水ポンプ26、中圧給水ポンプ27、高圧給水ポンプ28が設けられている。
【0028】
このボイラ1は、低圧蒸気タービン140を駆動するための低圧の過熱蒸気を生成する低圧系と、中圧蒸気タービン130を駆動するための中圧の過熱蒸気を生成する中圧系と、高圧蒸気タービン120を駆動するための高圧の過熱蒸気を生成する高圧系と、を有している。低圧系は、低圧節炭器10、低圧ドラム11、低圧蒸発器12、低圧過熱器17、復水ポンプ26で構成される。中圧系は、中圧節炭器13、中圧ドラム15、中圧蒸発器16、中圧過熱器19、一次再熱器23、二次再熱器24、中圧給水ポンプ27で構成される。高圧系は、高圧一次節炭器14、高圧二次節炭器18、高圧ドラム20、高圧蒸発器21、高圧一次過熱器22、高圧二次過熱器25、高圧給水ポンプ28で構成される。
【0029】
低圧系において、低圧節炭器10は、接続ライン30で復水器160と接続されている。この接続ライン30に復水ポンプ26が設けられる。また、低圧節炭器10は、3つに分岐する接続ライン31のうちの低圧分岐ライン31aで低圧ドラム11と接続される。低圧ドラム11は、低圧蒸発器12に接続される。さらに、低圧ドラム11は、接続ライン32で低圧過熱器17に接続される。低圧過熱器17は、接続ライン33で低圧蒸気タービン140の入口側に接続される。低圧蒸気タービン140の出口側は、接続ライン34で復水器160に接続される。
【0030】
すなわち、低圧系は、復水器160の水(復水)が復水ポンプ26により接続ライン30を経て低圧節炭器10に流入して加熱され、接続ライン31の低圧分岐ライン31aを経て低圧ドラム11に流れ込む。低圧ドラム11に供給された水は、低圧蒸発器12で蒸発して飽和蒸気となって低圧ドラム11に戻され、接続ライン32を経て低圧過熱器17に送出される。低圧過熱器17にて飽和蒸気が過熱され、この過熱蒸気は、接続ライン33を経て低圧蒸気タービン140に供給される。低圧蒸気タービン140を駆動して排出された蒸気は、接続ライン34を経て復水器160に導かれて水(復水)となり、復水ポンプ26により接続ライン30を経て低圧節炭器10に送り出される。
【0031】
中圧系において、中圧節炭器13は、低圧節炭器10に対して3つに分岐する接続ライン31のうちの中圧分岐ライン31bで接続される。この中圧分岐ライン31bに中圧給水ポンプ27が設けられる。また、中圧節炭器13は、接続ライン35で中圧ドラム15に接続される。この接続ライン35は、途中に流量調整弁36が設けられる。中圧ドラム15は、中圧蒸発器16に接続される。また、中圧ドラム15は、接続ライン37で中圧過熱器19に接続される。中圧過熱器19は、接続ライン38で一次再熱器23の入口側に接続される。また、中圧系において、一次再熱器23は、接続ライン40で高圧蒸気タービン120の出口側に接続される。また、一次再熱器23は、接続ライン41で二次再熱器24に接続される。そして、二次再熱器24は、接続ライン42で中圧蒸気タービン130の入口側に接続される。中圧蒸気タービン130の出口側は、接続ライン39で低圧蒸気タービン140の入口側に接続される。
【0032】
すなわち、中圧系は、低圧節炭器10で加熱された水が中圧給水ポンプ27により接続ライン31の中圧分岐ライン31bを経て中圧節炭器13に流入してさらに加熱され、接続ライン35を経て中圧ドラム15に流れ込む。中圧ドラム15に供給された水は、中圧蒸発器16で蒸発して飽和蒸気となって中圧ドラム15に戻され、接続ライン37を経て中圧過熱器19に送出される。中圧過熱器19にて飽和蒸気が過熱され、この過熱蒸気は、接続ライン38を経て一次再熱器23に供給される。また、中圧系では、高圧蒸気タービン120を駆動して排出された蒸気は、接続ライン40を経て一次再熱器23に送出される。一次再熱器23にて蒸気が過熱され、この過熱蒸気は、接続ライン41を経て二次再熱器24に送出される。二次再熱器24にて蒸気がさらに過熱され、この過熱蒸気は、接続ライン42を経て中圧蒸気タービン130に供給される。なお、中圧蒸気タービン130を駆動して排出された蒸気は、接続ライン39を経て低圧蒸気タービン140に供給される。
【0033】
なお、一次再熱器23および二次再熱器24は、蒸気を過熱するものであることから、過熱器と同様の機能を有し、本実施形態において過熱器に含まれる。つまり、一次再熱器23を第一過熱器ともいい、二次再熱器24を第二過熱器ともいう。
【0034】
高圧系において、高圧一次節炭器14は、低圧節炭器10に対して3つに分岐する接続ライン31のうちの高圧分岐ライン31cで接続される。この高圧分岐ライン31cに高圧給水ポンプ28が設けられる。また、高圧一次節炭器14は、接続ライン43で高圧二次節炭器18に接続される。高圧二次節炭器18は、接続ライン44で高圧ドラム20に接続される。この接続ライン44は、途中に流量調整弁45が設けられる。高圧ドラム20は、高圧蒸発器21に接続される。また、高圧ドラム20は、接続ライン46で高圧一次過熱器22に接続される。高圧一次過熱器22は、接続ライン47で高圧二次過熱器25に接続される。高圧二次過熱器25は、接続ライン48で高圧蒸気タービン120の入口側に接続される。高圧蒸気タービン120の出口側は、上述したように接続ライン40で中圧系の一次再熱器23に接続される。
【0035】
すなわち、高圧系は、低圧節炭器10で加熱された水が高圧給水ポンプ28により接続ライン31の高圧分岐ライン31cを経て高圧一次節炭器14に流入してさらに加熱され、さらに接続ライン43を経て高圧二次節炭器18に流入してさらに加熱されて接続ライン44を経て高圧ドラム20に流れ込む。高圧ドラム20に供給された水は、高圧蒸発器21で蒸発して飽和蒸気となって高圧ドラム20に戻され、接続ライン46を経て高圧一次過熱器22に送出される。高圧一次過熱器22にて飽和蒸気が過熱され、この過熱蒸気は、接続ライン47を経て高圧二次過熱器25に送出される。高圧二次過熱器25にて過熱蒸気がさらに過熱され、この過熱蒸気は、接続ライン48を経て高圧蒸気タービン120に供給される。
【0036】
このようなコンバインドサイクルプラント100に適用されるガスタービン110や蒸気タービン120,130,140は、回転体と静止体とを有している。回転体は、ロータやロータに取り付けられる動翼がある。また、静止体は、ロータおよび動翼などの回転体を格納する車室や車室に取り付けられる静翼などがある。そして、回転体と静止体との間は、静止体に対して回転体の回転を許容するために隙間が必要であり、この隙間により流体が漏れ出ることを抑止するため本実施形態のシール装置が設けられる。
【0037】
図2〜
図10は、本実施形態に係るシール装置の一例を示す概略構成図である。そして、
図2〜
図5は、本実施形態に係るシール装置の主構成の例を示す。
【0038】
図2〜
図5に示すように、本実施形態のシール装置は、回転体51と静止体52との隙間53に適用される。上述した回転機械において、その作用により隙間53に流動し得る流体Fの流動方向が決められている。例えば、ガスタービン110において、圧縮機111では、ロータの延在方向に沿って流体(空気)Fを圧縮し、圧縮の前段から後段に向かって流体Fの圧力が高くなるため、圧縮の後段から前段に向けて隙間53に流体Fが流動する。また、ガスタービン110において、タービン113では、ロータの延在方向に沿って燃焼器112で生成された高温高圧の流体(燃焼ガス)Fが送られ、送りの前段から後段に向かって流体Fの圧力が低くなるため、送りの前段から後段に向けて隙間53に流体Fが流動する。また、例えば、蒸気タービン120,130,140においては、ロータの延在方向に沿って高温の流体(蒸気)Fが送られ、送りの前段から後段に向かって流体Fの圧力が低くなるため、送りの前段から後段に向けて隙間53に流体Fが流動する。
【0039】
そして、本実施形態のシール装置は、
図2〜
図5に示すように、フィン54と、貫通孔55と、高圧流体供給部56と、を含む。
【0040】
フィン54は、静止体52と回転体51との隙間53で静止体52から回転体51に向けて延在し回転体51に非接触で設けられている。フィン54は、単一で設けられていてもよいが、隙間53での流体Fの流動を阻害するために、流体Fの流動方向に沿って複数設けられていることが好ましい。なお、フィン54は、例えば、ラビリンスシール、ブラシシール、リーフ状シールに適用される。
【0041】
貫通孔55は、静止体52と回転体51との隙間53に流動し得る流体Fの流動方向に対しフィン54の上流側にて静止体52と回転体51との少なくとも一方に開口して形成されている。
図2および
図3では、貫通孔55が静止体52に開口して形成された形態を示す。また、
図4および
図5では、貫通孔55が回転体51に開口して形成された形態を示す。また、図には明示しないが、貫通孔55が静止体52および回転体51に開口して形成されてもよい。なお、貫通孔55は、フィン54が流体Fの流動方向に沿って複数設けられている場合、各フィン54における流体Fの流動方向の上流側に設けてもよいが、少なくとも、流体Fの流動方向の最も上流側に配置されたフィン54における流体Fの流動方向の上流側に設けられていればよい。
【0042】
高圧流体供給部56は、静止体52と回転体51との隙間53に流動し得る流体Fよりも高い圧力の高圧流体Hを貫通孔55から隙間53に供給する。従って、高圧流体供給部56は、流体Fよりも高い圧力の高圧流体Hを生成する供給源と、供給源から貫通孔55に高圧流体Hを送る配管と、を含む。
【0043】
このようなシール装置は、
図2および
図3に示すように、貫通孔55が静止体52に開口して形成された形態では、高圧流体供給部56から供給された高圧流体Hが、貫通孔55からフィン54における流体Fの流動方向の上流側に吐出されることで、高圧流体Hの流量分で流体Fの流量を減少させ、フィン54の先端と回転体51との間の流体Fの通過を抑止する。この結果、シール性能を向上することができる。
【0044】
また、
図4および
図5に示すように、貫通孔55が回転体51に開口して形成された形態では、高圧流体供給部56から供給された高圧流体Hが、貫通孔55からフィン54における流体Fの流動方向の上流側に吐出されることで、フィン54における流体Fの流動方向の上流側で高圧流体Hが流体Fを押し退けるように作用し、フィン54の先端と回転体51との間の流体Fの吹き抜けを抑止する。この結果、シール性能を向上することができる。
【0045】
また、本実施形態のシール装置では、
図3および
図5に示すように、貫通孔55は、開口を静止体52と回転体51との隙間53において流動し得る流体の上流側に向けて設けられることが好ましい。
【0046】
このようなシール装置は、
図3に示すように、貫通孔55が静止体52に開口して形成された形態では、貫通孔55から吐出された高圧流体Hが、フィン54における流体Fの流動方向の上流側で流体Fがフィン54に衝突して生じる渦流を助勢して強め、フィン54の先端と回転体51との間の流体Fの通過を抑止する。この結果、シール性能を向上することができる。
【0047】
また、
図5に示すように、貫通孔55が回転体51に開口して形成された形態では、貫通孔55から吐出された高圧流体Hが、フィン54における流体Fの流動方向の上流側で流体Fがフィン54に衝突して生じる渦流を助勢して強め、かつフィン54における流体Fの流動方向の上流側で高圧流体Hが流体Fを押し退けるように作用し、フィン54の先端と回転体51との間の流体Fの通過を抑止する。この結果、シール性能を向上することができる。
【0048】
図6〜
図10は、
図2〜
図5に示すシール装置の適用例を示し、シール装置を上述した蒸気タービン120,130,140に適用した例を示している。
【0049】
蒸気タービン120,130,140は、
図6〜
図10に示すように、ロータ61と、車室62と、蒸気通路(流体通路)63と、蒸気供給部(流体供給部)64と、を含む。ロータ61は、自身の回転の軸心Sに沿って延在して設けられている。車室62は、ロータ61を格納し、かつロータ61を軸心S廻りに回転可能に支持する。蒸気通路63は、ロータ61の延在方向に沿ってロータ61と車室62との間に設けられた環状の空間である。蒸気供給部64は、車室62の外部から車室62を貫通して蒸気通路63に到り連通して設けられ、過熱された過熱蒸気G(流体Fに相当する)が供給されることで、当該蒸気を蒸気通路63に供給する。
【0050】
蒸気供給部64は、蒸気ノズル部(流体ノズル部)64Aを含む。蒸気ノズル部64Aは、ロータ61の外周を囲んで環状に形成されてその外面とロータ61の外周面との間に蒸気通路63に連通する隙間65Aを有して車室62に取り付けられている。そして、蒸気ノズル部64Aは、その内部に環状に沿って形成された蒸気ノズル室(流体ノズル室)64Aaと、蒸気ノズル室64Aaからロータ61の延在方向に向いて蒸気通路63に通じる開口64Abとを有する。蒸気ノズル部64Aは、過熱された過熱蒸気Gが供給され、開口64Abから蒸気通路63に吐出される。ここで、高圧蒸気タービン120の場合、蒸気供給部64は、
図1に示す接続ライン48に接続され、高圧二次過熱器25で過熱された過熱蒸気Gが供給される。また、中圧蒸気タービン130の場合、蒸気供給部64は、
図1に示す接続ライン42に接続され、二次再熱器24で過熱された過熱蒸気Gが供給される。また、低圧蒸気タービン140の場合、蒸気供給部64は、
図1に示す接続ライン33に接続され、低圧過熱器17で過熱された過熱蒸気Gが供給される。
【0051】
また、蒸気供給部64は、蒸気ノズル部64Aにおける蒸気ノズル室64Aaの開口64Abにノズル部静翼66Aが環状に沿って複数取り付けられている。ノズル部静翼66Aは、ロータ61側が先端部であり車室62側が基端部となる。また、蒸気通路63内において、車室62に蒸気通路静翼66Bが環状に沿って複数取り付けられている。蒸気通路静翼66Bは、ロータ61の延在方向に沿って複数段設けられている。蒸気通路静翼66Bは、ロータ61側が先端部であって環状部材66Baが取り付けられており、環状部材66Baとロータ61の外周面との間に隙間65Bを有し、車室62に取り付けられた側が基端部となる。また、蒸気通路63内において、ロータ61の外周に静翼66A,66Bに隣接して動翼67が環状に沿って複数取り付けられている。動翼67は、ロータ61の延在方向に沿って複数段設けられている。動翼67は、ロータ61に取り付けられた側が基端部であってロータ61との間に環状部材67aが取り付けられており、車室62に向く側が先端部であって車室62との間に隙間65Cを有する。
【0052】
従って、蒸気タービン120,130,140は、蒸気ノズル室64Aaに過熱された過熱蒸気Gが供給され、開口64Abから蒸気通路63に吐出され、静翼66A,66Bおよび動翼67によりロータ61が回転する。
【0053】
図6に示すシール装置は、蒸気タービン120,130,140に対し、蒸気ノズル部64Aからロータ61に向けて延在して隙間65Aにフィン54が設けられ、蒸気ノズル部64Aに、ロータ61に向けて開口して貫通孔55が設けられる。貫通孔55は、車室62の外部から車室62を貫通して設けられた供給孔55Aが連通しており、高圧流体供給部56から供給孔55Aを介して高圧流体Hが供給される。
【0054】
この
図6に示す蒸気タービン120,130,140の場合、
図2および
図3に示すシール装置が適用される。すなわち、ロータ61が回転体51を構成し、車室62および蒸気ノズル部64Aが静止体52を構成し、隙間65Aが隙間53を構成する。
【0055】
そして、高圧流体Hを供給する高圧流体供給部56は、高圧蒸気タービン120の場合、コンバインドサイクルプラント100における高圧蒸発器21(高圧ドラム20)の出口から高圧一次過熱器22を経て高圧二次過熱器25の内部までの間が供給源となり、当該供給源が高圧蒸気タービン120の内部であって供給孔55Aに接続ライン(図示せず)により接続される。高圧蒸気タービン120に供給される過熱蒸気Gは、高圧二次過熱器25から接続ライン48を経るが、接続ライン48を経る過程で圧力が低下する。従って、高圧蒸発器21の出口から高圧一次過熱器22を経て高圧二次過熱器25の内部までの間の蒸気は、高圧蒸気タービン120に供給される過熱蒸気Gよりも高圧で、かつ低温である。従って、高圧蒸気タービン120に供給される過熱蒸気Gよりも高圧で、かつ低温の冷却蒸気を高圧流体Hとして高圧蒸気タービン120の内部に供給することが可能である。
【0056】
また、高圧流体Hを供給する高圧流体供給部56は、中圧蒸気タービン130の場合、コンバインドサイクルプラント100における中圧蒸発器16(中圧ドラム15)の出口から中圧過熱器19および一次再熱器23を経て二次再熱器24の内部までの間が供給源となり、当該供給源が中圧蒸気タービン130の内部であって供給孔55Aに接続ライン(図示せず)により接続される。中圧蒸気タービン130に供給される過熱蒸気Gは、二次再熱器24から接続ライン42を経るが、接続ライン42を経る過程で圧力が低下する。従って、中圧蒸発器16の出口から中圧過熱器19および一次再熱器23を経て二次再熱器24の内部までの間の蒸気は、中圧蒸気タービン130に供給される過熱蒸気Gよりも高圧で、かつ低温である。従って、中圧蒸気タービン130に供給される過熱蒸気Gよりも高圧で、かつ低温の冷却蒸気を高圧流体Hとして中圧蒸気タービン130の内部に供給することが可能である。
【0057】
また、高圧流体Hを供給する高圧流体供給部56は、低圧蒸気タービン140の場合、コンバインドサイクルプラント100における低圧蒸発器12(低圧ドラム11)の出口から低圧過熱器17の内部までの間が供給源となり、当該供給源が低圧蒸気タービン140の内部であって供給孔55Aに接続ライン(図示せず)により接続される。低圧蒸気タービン140に供給される過熱蒸気Gは、低圧過熱器17から接続ライン33を経るが、接続ライン33を経る過程で圧力が低下する。従って、低圧蒸発器12の出口から低圧過熱器17の内部までの間の蒸気は、低圧蒸気タービン140に供給される過熱蒸気Gよりも高圧で、かつ低温である。従って、低圧蒸気タービン140に供給される過熱蒸気Gよりも高圧で、かつ低温の冷却蒸気を高圧流体Hとして低圧蒸気タービン140の内部に供給することが可能である。
【0058】
このように、
図6に示す蒸気タービン120,130,140に適用されたシール装置によれば、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fよりも高圧で、かつ低温の高圧流体Hが蒸気ノズル部64Aとロータ61の外周面との隙間65Aに吐出されるため、当該隙間65Aにおけるシール性能を向上することができ、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fの漏れ出しを抑止することができる。しかも、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fよりも高圧で、かつ低温の高圧流体Hが蒸気ノズル部64Aとロータ61の外周面との隙間65Aに吐出されるため、ロータ61を冷却することができる。この結果、蒸気タービン120,130,140の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。
【0059】
図7に示すシール装置は、蒸気タービン120,130,140に対し、蒸気ノズル部64Aからロータ61に向けて延在して隙間65Aにフィン54が設けられ、ロータ61に、蒸気ノズル部64Aに向けて開口して貫通孔55が設けられる。貫通孔55は、車室62の外部からロータ61を通じて設けられた供給孔55Aが連通しており、高圧流体供給部56から供給孔55Aを介して高圧流体Hが供給される。
【0060】
この
図7に示す蒸気タービン120,130,140の場合、
図4および
図5に示すシール装置が適用される。すなわち、ロータ61が回転体51を構成し、車室62および蒸気ノズル部64Aが静止体52を構成し、隙間65Aが隙間53を構成する。そして、高圧流体Hを供給する高圧流体供給部56は、上述したように、それぞれ高圧蒸気タービン120、中圧蒸気タービン130、低圧蒸気タービン140において、コンバインドサイクルプラント100内の各供給源が供給孔55Aに接続ライン(図示せず)により接続される。
【0061】
このように、
図7に示す蒸気タービン120,130,140に適用されたシール装置によれば、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fよりも高圧で、かつ低温の高圧流体Hが蒸気ノズル部64Aとロータ61の外周面との隙間65Aに吐出されるため、当該隙間65Aにおけるシール性能を向上することができ、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fの漏れ出しを抑止することができる。しかも、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fよりも高圧で、かつ低温の高圧流体Hが蒸気ノズル部64Aとロータ61の外周面との隙間65Aに吐出されるため、ロータ61を冷却することができる。この結果、蒸気タービン120,130,140の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。
【0062】
図8に示すシール装置は、蒸気タービン120,130,140に対し、蒸気通路静翼66Bからロータ61に向けて延在して隙間65Bにフィン54が設けられ、車室62および蒸気通路静翼66Bに、ロータ61に向けて開口して貫通孔55が設けられる。また、
図8に示すシール装置は、蒸気タービン120,130,140に対し、車室62から動翼67に向けて延在して隙間65Cにフィン54が設けられ、車室62に、動翼67に向けて開口して貫通孔55が設けられる。各貫通孔55は、車室62の外部から車室62を貫通して設けられた供給孔55Aが連通しており、高圧流体供給部56から供給孔55Aを介して高圧流体Hが供給される。
【0063】
この
図8に示す蒸気タービン120,130,140の場合、
図2および
図3に示すシール装置が適用される。すなわち、ロータ61および動翼67が回転体51を構成し、車室62および蒸気通路静翼66Bが静止体52を構成し、隙間65B,65Cが隙間53を構成する。そして、高圧流体Hを供給する高圧流体供給部56は、上述したように、それぞれ高圧蒸気タービン120、中圧蒸気タービン130、低圧蒸気タービン140において、コンバインドサイクルプラント100内の各供給源が供給孔55Aに接続ライン(図示せず)により接続される。
【0064】
このように、
図8に示す蒸気タービン120,130,140に適用されたシール装置によれば、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fよりも高圧で、かつ低温の高圧流体Hが蒸気通路静翼66Bとロータ61の外周面との隙間65Bに吐出されるため、当該隙間65Bにおけるシール性能を向上することができ、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fの漏れ出しを抑止することができる。しかも、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fよりも高圧で、かつ低温の高圧流体Hが蒸気通路静翼66Bとロータ61の外周面との隙間65Bに吐出されるため、ロータ61を冷却することができる。この結果、蒸気タービン120,130,140の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。また、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fよりも高圧で、かつ低温の高圧流体Hが蒸気通路静翼66Bを貫通して通過するため、蒸気通路静翼66Bを冷却することができる。この結果、蒸気タービン120,130,140の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。
【0065】
また、
図8に示す蒸気タービン120,130,140に適用されたシール装置によれば、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fよりも高圧で、かつ低温の高圧流体Hが車室62と動翼67との隙間65Cに吐出されるため、当該隙間65Cにおけるシール性能を向上することができ、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fの漏れ出しを抑止することができる。しかも、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fよりも高圧で、かつ低温の高圧流体Hが車室62と動翼67との隙間65Cに吐出されるため、動翼67を冷却することができる。この結果、蒸気タービン120,130,140の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。
【0066】
図9に示すシール装置は、蒸気タービン120,130,140に対し、蒸気通路静翼66Bからロータ61に向けて延在して隙間65Bにフィン54が設けられ、ロータ61に、蒸気通路静翼66Bに向けて開口して貫通孔55が設けられる。また、
図9に示すシール装置は、蒸気タービン120,130,140に対し、車室62から動翼67に向けて延在して隙間65Cにフィン54が設けられ、ロータ61および動翼67に、車室62に向けて開口して貫通孔55が設けられる。各貫通孔55は、車室62の外部からロータ61を通じて設けられた供給孔55Aが連通しており、高圧流体供給部56から供給孔55Aを介して高圧流体Hが供給される。
【0067】
この
図9に示す蒸気タービン120,130,140の場合、
図4および
図5に示すシール装置が適用される。すなわち、ロータ61および動翼67が回転体51を構成し、車室62および蒸気通路静翼66Bが静止体52を構成し、隙間65B,65Cが隙間53を構成する。そして、高圧流体Hを供給する高圧流体供給部56は、上述したように、それぞれ高圧蒸気タービン120、中圧蒸気タービン130、低圧蒸気タービン140において、コンバインドサイクルプラント100内の各供給源が供給孔55Aに接続ライン(図示せず)により接続される。
【0068】
このように、
図9に示す蒸気タービン120,130,140に適用されたシール装置によれば、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fよりも高圧で、かつ低温の高圧流体Hが蒸気通路静翼66Bとロータ61の外周面との隙間65Bに吐出されるため、当該隙間65Bにおけるシール性能を向上することができ、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fの漏れ出しを抑止することができる。しかも、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fよりも高圧で、かつ低温の高圧流体Hが蒸気通路静翼66Bとロータ61の外周面との隙間65Bに吐出されるため、ロータ61を冷却することができる。この結果、蒸気タービン120,130,140の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。
【0069】
また、
図9に示す蒸気タービン120,130,140に適用されたシール装置によれば、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fよりも高圧で、かつ低温の高圧流体Hが車室62と動翼67との隙間65Cに吐出されるため、当該隙間65Cにおけるシール性能を向上することができ、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fの漏れ出しを抑止することができる。しかも、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fよりも高圧で、かつ低温の高圧流体Hが車室62と動翼67との隙間65Cに吐出されるため、動翼67を冷却することができる。この結果、蒸気タービン120,130,140の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。また、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fよりも高圧で、かつ低温の高圧流体Hが動翼67を貫通して通過するため、動翼67を冷却することができる。この結果、蒸気タービン120,130,140の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。
【0070】
図10に示すシール装置は、蒸気タービン120,130,140に対し、蒸気通路静翼66Bからロータ61に向けて延在して隙間65Bにフィン54が設けられ、ロータ61に、蒸気通路静翼66Bに向けて開口して貫通孔55が設けられる。また、
図10に示すシール装置は、蒸気タービン120,130,140に対し、車室62から動翼67に向けて延在して隙間65Cにフィン54が設けられ、ロータ61および動翼67に、車室62に向けて開口して貫通孔55が設けられる。各貫通孔55は、車室62の外部から車室62を貫通して隙間65Aに一旦開通すると共に当該隙間65Aからロータ61を通じて設けられた供給孔55Aが連通しており、高圧流体供給部56から供給孔55Aを介して高圧流体Hが供給される。また、供給孔55Aが隙間65Aに一旦開通した周囲において、蒸気ノズル部64Aからロータ61に向けて延在して隙間65Aにフィン54が設けられている。
【0071】
この
図10に示す蒸気タービン120,130,140の場合、
図4および
図5に示すシール装置が適用される。すなわち、ロータ61および動翼67が回転体51を構成し、車室62および蒸気通路静翼66Bが静止体52を構成し、隙間65B,65Cが隙間53を構成する。そして、高圧流体Hを供給する高圧流体供給部56は、上述したように、それぞれ高圧蒸気タービン120、中圧蒸気タービン130、低圧蒸気タービン140において、コンバインドサイクルプラント100内の各供給源が供給孔55Aに接続ライン(図示せず)により接続される。
【0072】
このように、
図10に示す蒸気タービン120,130,140に適用されたシール装置によれば、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fよりも高圧で、かつ低温の高圧流体Hが蒸気通路静翼66Bとロータ61の外周面との隙間65Bに吐出されるため、当該隙間65Bにおけるシール性能を向上することができ、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fの漏れ出しを抑止することができる。しかも、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fよりも高圧で、かつ低温の高圧流体Hが蒸気通路静翼66Bとロータ61の外周面との隙間65Bに吐出されるため、ロータ61を冷却することができる。この結果、蒸気タービン120,130,140の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。
【0073】
また、
図10に示す蒸気タービン120,130,140に適用されたシール装置によれば、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fよりも高圧で、かつ低温の高圧流体Hが車室62と動翼67との隙間65Cに吐出されるため、当該隙間65Cにおけるシール性能を向上することができ、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fの漏れ出しを抑止することができる。しかも、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fよりも高圧で、かつ低温の高圧流体Hが車室62と動翼67との隙間65Cに吐出されるため、動翼67を冷却することができる。この結果、蒸気タービン120,130,140の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。また、蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fよりも高圧で、かつ低温の高圧流体Hが動翼67を貫通して通過するため、動翼67を冷却することができる。この結果、蒸気タービン120,130,140の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。
【0074】
また、
図10に示す蒸気タービン120,130,140に適用されたシール装置によれば、供給孔55Aが蒸気ノズル部64Aとロータ61との隙間65Aに一旦開通し、この開通した周囲において、蒸気ノズル部64Aからロータ61に向けて延在して隙間65Aにフィン54が設けられていることで、蒸気ノズル部64Aとロータ61との隙間65Aにおいて蒸気タービン120,130,140に供給される流体Fの漏れ出しを抑止することができる。
【0075】
ところで、
図6〜
図10に示すシール装置は、コンバインドサイクルプラント100内において、蒸気タービン120,130,140に供給される過熱蒸気よりも高圧で、かつ低温の冷却蒸気を高圧流体Fとして蒸気タービン120,130,140の内部に供給することができる。この結果、別の動力源を必要とせず、蒸気タービン120,130,140の内部の高温部を冷却することができる。また、コンバインドサイクルプラント100内の発生蒸気を用い、蒸気タービン120,130,140の内部の流体を用いないため、蒸気タービン120,130,140の稼働効率の低下を防ぎ、その結果サイクル効率の低下を防ぐことができる。なお、コンバインドサイクルプラント100内の発生蒸気を高圧流体Fとして用いなくてもシール装置として機能する。
【0076】
なお、
図6〜
図10に示すシール装置において、高圧流体Hを供給する高圧流体供給部56は、高圧蒸気タービン120の場合、高圧一次過熱器22の出口から高圧二次過熱器25の入口までの間を供給源とし、当該供給源が高圧蒸気タービン120の内部であって供給孔55Aに接続ライン(図示せず)により接続されることが好ましい。高圧一次過熱器22の出口から高圧二次過熱器25の入口までの間の接続ライン47から、高圧蒸気タービン120の内部に冷却蒸気を高圧流体Hとして供給すると、高圧二次過熱器25へ供給する蒸気が減るため、高圧二次過熱器25での過熱効率が向上し高圧蒸気タービン120に供給する過熱蒸気Gの温度が上昇する。この結果、高圧蒸気タービン120の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。一方、高圧一次過熱器22の出口から高圧二次過熱器25の入口までの間の接続ライン47から、高圧蒸気タービン120の内部に冷却蒸気を高圧流体Hとして供給すると、高圧蒸気タービン120に供給する過熱蒸気Gの温度を一定とする場合に、高圧蒸発器21から得る蒸気量を増すことができるため、高圧蒸気タービン120への過熱蒸気Gの供給量を増加できる。この結果、高圧蒸気タービン120の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。
【0077】
また、高圧流体Hを供給する高圧流体供給部56は、中圧蒸気タービン130の場合、中圧過熱器19の出口から一次再熱器23の入口までの間を供給源とし、当該供給源が中圧蒸気タービン130の内部であって供給孔55Aに接続ライン(図示せず)により接続されることが好ましい。中圧過熱器19の出口から一次再熱器23の入口までの間の接続ライン38(および接続ライン40の一部)から、中圧蒸気タービン130の内部に冷却蒸気を高圧流体Hとして供給すると、一次再熱器23および二次再熱器24へ供給する蒸気が減るため、一次再熱器23および二次再熱器24での過熱効率が向上し中圧蒸気タービン130に供給する過熱蒸気Gの温度が上昇する。この結果、中圧蒸気タービン130の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。一方、中圧過熱器19の出口から一次再熱器23の入口までの間の接続ライン38(および接続ライン40の一部)から、中圧蒸気タービン130の内部に冷却蒸気を高圧流体Hとして供給すると、中圧蒸気タービン130に供給する過熱蒸気Gの温度を一定とする場合に、中圧蒸発器16から得る蒸気量を増すことができるため、中圧蒸気タービン130への過熱蒸気Gの供給量を増加できる。この結果、中圧蒸気タービン130の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。
【0078】
また、高圧流体Hを供給する高圧流体供給部56は、中圧蒸気タービン130の場合、一次再熱器23の出口から二次再熱器24の入口までの間を供給源とし、当該供給源が中圧蒸気タービン130の内部であって供給孔55Aに接続ライン(図示せず)により接続されることが好ましい。一次再熱器23の出口から二次再熱器24の入口までの間の接続ライン41から、中圧蒸気タービン130の内部に冷却蒸気を高圧流体Hとして供給すると、二次再熱器24へ供給する蒸気が減るため、二次再熱器24での過熱効率が向上し中圧蒸気タービン130に供給する過熱蒸気Gの温度が上昇する。この結果、中圧蒸気タービン130の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。一方、一次再熱器23の出口から二次再熱器24の入口までの間の接続ライン41から、中圧蒸気タービン130の内部に冷却蒸気を高圧流体Hとして供給すると、中圧蒸気タービン130に供給する過熱蒸気Gの温度を一定とする場合に、中圧蒸発器16から得る蒸気量を増すことができるため、中圧蒸気タービン130への過熱蒸気Gの供給量を増加できる。この結果、中圧蒸気タービン130の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。
【0079】
また、高圧流体Hを供給する高圧流体供給部56は、低圧蒸気タービン140の場合、低圧蒸発器12の出口から低圧過熱器17の入口までの間を供給源とし、当該供給源が低圧蒸気タービン140の内部であって供給孔55Aに接続ライン(図示せず)により接続されることが好ましい。低圧蒸発器12の出口から低圧過熱器17の入口までの間の接続ライン32から、低圧蒸気タービン140の内部に冷却蒸気を高圧流体Hとして供給すると、低圧過熱器17へ供給する蒸気が減るため、低圧過熱器17での過熱効率が向上し低圧蒸気タービン140に供給する過熱蒸気Gの温度が上昇する。この結果、低圧蒸気タービン140の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。一方、低圧蒸発器12の出口から低圧過熱器17の入口までの間の接続ライン32から、低圧蒸気タービン140の内部に冷却蒸気を高圧流体Hとして供給すると、低圧蒸気タービン140に供給する過熱蒸気Gの温度を一定とする場合に、低圧蒸発器12から得る蒸気量を増すことができるため、低圧蒸気タービン140への過熱蒸気Gの供給量を増加できる。この結果、低圧蒸気タービン140の稼働効率を向上することができ、サイクル効率を向上することができる。
【0080】
なお、回転機械は、上述したガスタービン110を含む、そして、
図6〜
図10に示すシール装置は、ガスタービン110に適用することも可能である。この場合、ガスタービン110の圧縮機111に供給される高圧流体Hは、コンバインドサイクルプラント100内の供給源である当該圧縮機111で圧縮された高圧の空気を用いることができ、またはコンバインドサイクルプラント100外の供給源の高圧空気を用いてもよい。また、ガスタービン110のタービン113に供給される高圧流体Hは、コンバインドサイクルプラント100内の供給源である当該圧縮機111で圧縮された高圧の空気を用いることができ、またはコンバインドサイクルプラント100外の供給源の高圧空気を用いてもよい。