特許第6188830号(P6188830)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6188830側面ドアアクセスを備えた変換可能航空機ギャレーの冷蔵庫/冷却装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188830
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】側面ドアアクセスを備えた変換可能航空機ギャレーの冷蔵庫/冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20170821BHJP
   B64D 11/04 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   F25D23/02 303Z
   B64D11/04
   F25D23/02 306A
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-559008(P2015-559008)
(86)(22)【出願日】2014年2月21日
(65)【公表番号】特表2016-509194(P2016-509194A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】US2014017761
(87)【国際公開番号】WO2014130845
(87)【国際公開日】20140828
【審査請求日】2015年10月8日
(31)【優先権主張番号】61/768,037
(32)【優先日】2013年2月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/185,163
(32)【優先日】2014年2月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500413696
【氏名又は名称】ビーイー・エアロスペース・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】B/E Aerospace, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ホーキンス、アーロン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ペック、ジェス アール.
(72)【発明者】
【氏名】ゴドカー、ウィリアム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ザンキシュ、ヴィクター エー.
【審査官】 横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06761332(US,B1)
【文献】 実開昭59−060473(JP,U)
【文献】 米国特許第04776903(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1503157(EP,A2)
【文献】 米国特許第2756570(US,A)
【文献】 実開昭58−062093(JP,U)
【文献】 米国特許第05209082(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
B64D 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機ギャレーの冷蔵装置であって、
床、天井、第1及び第2フロントドアを備える前面、後壁、取り外し可能な第1側壁、及び、前記取り外し可能な第1側壁に対向した開放側ウィンドウによって規定されるフレームと、
前記フレームの開放側ウィンドウに受けられるように構成された側面アクセス区画であって、当該側面アクセス区画は、隔壁を備え、上部及び底部パネルが、前記隔壁と共に側面区画内部空間を規定し、前記隔壁が、前記側面区画内部空間をメインの冷却区画から分離する、側面アクセス区画と、
前記隔壁から離れ、前記上部及び底部パネルから延びて前記側面アクセス区画を固定されたギャレーの壁に取り付ける横方向保持リップと、
前記側面区画内部空間へアクセスできるように、前記側面アクセス区画に取り付けられた側面ドアと、を備え、
前記メインの冷却区画及び前記側面アクセス区画の両方において、商品を前記第1及び第2フロントドアを介して前記冷蔵装置に配置することができ、前記側面ドアを介した前記メインの冷却区画へのアクセスが排除される、冷蔵装置。
【請求項2】
前記側面アクセス区画は、後部パネルを備え、前記横方向保持リップは、前記上部パネルから前記後部パネル、前記底部パネルまで連続して延びる、請求項1に記載の冷蔵装置。
【請求項3】
前記後部パネルは、前記メインの冷却区画から、前記側面アクセス区画に冷却された空気を連通させる開口部を備える、請求項2に記載の冷蔵装置。
【請求項4】
前記固定されたギャレーの壁は、前記横方向保持リップと前記フレームとの間に配置される、請求項1に記載の冷蔵装置。
【請求項5】
前記側面アクセス区画は、単一のシートで形成され、前記側面区画内部空間を構築するように成形される、請求項1に記載の冷蔵装置。
【請求項6】
前記側面アクセス区画を囲むウィンドウを更に備え、前記側面ドアは、前記ウィンドウの溝内を滑動する、請求項1に記載の冷蔵装置。
【請求項7】
前記側面ドアは、キーなしで入ることを防ぐためにロックされることができる、請求項1に記載の冷蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年2月22日に出願された米国出願第61/768,037号、及び、2014年2月20日に出願された米国出願第14/185,163号の優先権を主張し、それらの内容を参照により組み込む。
【背景技術】
【0002】
今日の民間航空機は、従来、一般的にギャレーと呼ばれる、乗客及び乗務員へ提供する食事及び飲料の準備領域を有して構成される。ギャレーは、食事及び飲料の保存、準備及び廃棄のための、冷蔵装置、加熱器、オーブン、飲料抽出機などの様々な種類の機器を包含する。客室乗務員は、乗客に飲料、軽食、及び、長いフライトの場合、食事などのサービスを提供するためにギャレー内で作業する。全ての航空機と同様に、今日の航空機ギャレーは、効率性、及び、重量及び空間の維持の模範を目指している。航空機ギャレーの各部品は、これらの原則に従わなければならず、小型で効率的でありながら、機能性及び利便性を保持しなければならない。また、これらの機器は全て、割り当てられた空間に人間工学的及び効率的に配置されなければならない。
【0003】
増え続ける民間航空機においては、乗客が、ソフトドリンクの入った冷却器や軽食用の棚など、特定の商品を自分で出すことができることが一般的である。このシステムの例として、一方にソフトドリンク、一方に食料の収納あるいはワインやビールの収納を有するギャレー内の二重冷蔵装置がある。乗客は、ソフトドリンク及び軽食は、自由に取ることができるが、アルコール類は、自由に取ることを規制されている。このシステムの1つの問題は、乗客にギャレーに入ることを許可する必要があることであり、これは、客室乗務員にとって問題である。ギャレーに乗客がいることは、ギャレーには給湯タンクや他の装置があるため、乗客が火傷や怪我をする可能性があるという安全性の問題、及び、乗客が誰も見ていない隙に規制された商品を盗むことができるというセキュリティの問題がある。
【0004】
乗客がギャレーに入ることを許可する必要をなくすため、多くの航空機は、ギャレーに隣接した通路など、ギャレーの外側に冷却器を設置している。この冷却器にはソフトドリンクや軽食が詰められており、乗客は、ギャレーに入ることなく、あるいは、客室乗務員を煩わすことなく、それらを取り出すことができる。しかし、このようなシステムは、それ自体の冷却システムが必要であるか、または、メインの冷却システムから別の補助的な冷却器への導管が必要となる。これらの策は両方とも、航空機の重量を付加し、導管での損失により効率性の欠点を増大し、メインの冷却システムへ冷却器を接続する構成の問題も増大してしまう。
【0005】
二重の冷蔵装置は、乗客のセルフサービスステーションに別の冷蔵装置を設ける必要がなくなる点で経済的であるが、乗客が(ワインやビールなどの無料ではないものも収納されている)メインの冷蔵装置から取り出す際に起こるセキュリティの問題があるため、十分ではない策である。乗客は、冷蔵装置に手を入れ、他の乗客が保存している、あるいは、別料金がかかる商品を盗むことができる。現在、乗客のセルフサービスウィンドウを備えるが、無料の商品のみに手が届くように配置された選択された領域にのみ、乗客の冷蔵庫内のアクセスを制限する単一の冷蔵装置の経済性を提供する方法なない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、乗客がソフトドリンクなどの特定の商品を選択してセルフサービスすることを可能にする側面アクセスウィンドウ/ドアを備える航空機ギャレーの冷蔵装置であって、当該冷蔵装置は、乗客が冷却装置の指定された部分にアクセスすることを制限するように構築され、乗客がギャレーに入る必要をなくす、冷蔵装置である。側面ウィンドウは、ギャレーの外側からアクセスされ、好ましくは、隣接した共有通路または通路にあるため、乗客が無料の飲み物などを取り出すためにギャレーに入る必要がない。本発明の有利な点は、例えば、フロリダ州ウェリントンのB/Eエアロスペース社から市販されている600シリーズワイン冷却装置などの既存の航空機冷却装置から改造することができることである。前面から詰められる冷蔵装置は、ギャレー内に少なくとも1つのフロントドアを有し、客室乗務員は当該冷蔵装置に飲み物や軽食を入れることができるとともに、当該冷蔵装置の別の区画をビールやワインなどの規制された飲料に用いることができる。乗客は、側面アクセスドアを介して、指定された区画に保存された無料の商品を取り出すことができるが、別の区画にある規制された商品にアクセスすることはできない。しかし、これらの区画は、両方とも同じ冷却装置によって冷却され、両方の区画を冷却するのに必要な付加的な導管は必要ない。
【0007】
本発明の冷蔵装置は、取り外し可能なパネルを一方に有するフレームを備え、当該パネルは、航空機の構成及びギャレー内での位置によって必要に応じてもう一方に移動させることができる。フレームの反対側は、ギャレーの側壁内に取り付けるための側面区画モジュールを受けるために開口している。側面区画モジュールは、好ましくは、背面または上部のいずれかにおいて開口し、冷却された空気を循環させるが、乗客がビールやワインなどにアクセスできないようにする、規制された区画への障壁となっている。冷蔵装置は、このように2つの区画に分割され、冷蔵装置のフロントドアからは両方の区画に詰めることができるが、ギャレーの外側の側面ドアからは2つの区画のうち一方のみにアクセスすることができる。
【0008】
両区画は、同じ冷却機器を用いているので、側面区画にある商品を冷却するのに必要な付加的な導管または装置は、必要ない。第2冷却装置及び/または導管の必要性をなくすことにより、冷却装置のコスト及び第2冷蔵装置及び付加的な部品に関わる重量を省く。ギャレーの外側の通路からアクセス可能な側面区画は、乗客が利用できる無料の飲料や軽食を保存するのに用いることができ、客室乗務員の負担を軽減する。
【0009】
本発明の他の特徴及び効果は、本発明の作用を一例として示している添付の図面と併せて以下の好適な実施形態の詳細な説明から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のギャレー冷却装置の立面斜視図である。
図2】ギャレー冷却装置の前面図である。
図3図1のギャレー冷却装置の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、乗客がギャレーに入ることなく側面入口から無料の商品を取り出すことを可能にする側面ドアアクセスを備えた変換可能航空機ギャレー冷蔵庫/冷却装置の例を示す。ギャレー構造物23は、ギャレー領域15への入り口及び乗客によって用いられる通路20の両方を示すように斜視図にて示されている。構造物23は、乗客に提供するのに用いられる飲料カートを収納するベイ22、飲料及び食事を準備するのに用いられるカウンタ24、マグ、補給品、清掃用品または他の非常設備を収容する収納キャビネット26、及び、食事を加熱するオーブン28を含む、多くの機構を備える。ギャレーは、当業者に既知の他の機構を備えてもよいことは、理解されるため、その記載は、本明細書では、簡潔さのために省略する。
【0012】
構造物23の角には、フロントパネル32と、ドア36を開けるのに用いられるハンドル34とを有する冷蔵装置30がある。構造物23の側面には、ギャレー領域15の外側にあり、乗客がアクセスできるセルフサービスステーション40を備える通路壁38がある。セルフサービスステーション40は、ドア42を備え、ドア42は、冷蔵装置30の内部にアクセスするスライド式パネルまたは回転式ドアであってもよい。ソーダの缶や水のボトルなどの商品は、ドア36を介してギャレー領域15の客室乗務員によって冷蔵装置30に詰められることができ、セルフサービスステーション40の側面ドア42を用いて取り出すことができる。しかし、以下に説明するように、乗客は、冷蔵装置の内部全体へアクセスすることはできず、乗客は、内部の選択された部分にのみアクセスすることができる。
【0013】
図3は、側面ドア42からのアクセスを制限する、付加的、または、補助的な区画を冷蔵装置30においてどのように形成できるかを示す。冷蔵装置30のフレーム44は、床46と、天井48と、後壁50と、取り外し可能な第1側壁52とを備える。第1側壁52は、ギャレーの配置及び冷蔵装置30の設置によって、フレーム44の右側または左側のいずれかに設置可能である。取り外し可能な第1側壁52の反対側には、構造物の壁38の乗客セルフサービスステーション40に揃えられた開放側ウィンドウがある。冷蔵装置の前面のハンドル34付きのドア36は、冷却された空気が逃げることを防ぐ密封材を備え、第2ドア56は、補助的な区画にアクセスするのに用いられてもよい。開放側ウィンドウ内には、壁38の切り欠き60に合う大きさに形成された側面アクセス区画58が設置される。側面アクセス区画58は桶型であり、桶の底面が冷蔵装置30の内部の隔壁62を構築する。上部パネル64及び底部パネル66は、隔壁62と共に、側面区画内部空間を規定することで、隔壁62は、側面区画内部空間をメインの冷蔵区画から分離する。
【0014】
切り欠き60内の側面アクセス区画58を維持するため、隔壁62から離れた横方向保持リップ68は、壁38の外側面に重みをかけ、締め具、接着剤などを含むあらゆる方法を用いて壁に取り付けられる。横方向保持リップ68は、上部及び底部パネル64、66(及び、好ましくは、後部パネル70)から延び、側面アクセス区画を固定されたギャレー構造物の壁38に固定する。側面区画は、側面ドア42を介してアクセスされ、側面ドア42は、スライド式ドア、開き戸から引き出しパネルまで、あらゆる種類のドアであってもよい。第1の好適な実施形態において、ドア42は、セルフサービスステーション内の溝を滑動して冷蔵装置を容易に開放及び閉鎖する。側面ドア42により、側面区画へのアクセスが可能になるが、隔壁62までである。冷蔵装置のメイン区画に保存された他の商品へは、側面ドア42からアクセスすることはできないので、確実に、有料の商品が、乗客によってセルフサービスステーションを介して取り出されないようにされる。本構成により、メイン冷却区画及び側面アクセス区画の両方において、第1及び第2フロントドア36、56を介して飲み物及び軽食を冷蔵装置30に配置することができ、側面ドアを介したメイン冷却区画へのアクセスは、排除される。
【0015】
第1の好適な実施形態において、後部パネル70は、開放しており(図3参照)、冷却された空気をメイン区画から側面区画に循環させ、上部パネル64にも開口部を構築することができる。ただし、乗客が隔壁62を越えて手を入れることを防ぐため、開口部の上に網または格子があることが好ましい。
【0016】
側面アクセス区画58は、好ましくは、金属またはポリマの単一のシートで形成され、所望の形状に型打ちされ、フレームの空洞に挿入される。耐食性及び成形の容易さからアルミニウムを用いてもよいが、成形後に必要な強度を有し、冷蔵装置30の冷却された環境に一旦挿入された後、変形または腐食しないものであれば、他の材料も同様に用いることができる。
【0017】
冷蔵装置は、冷蔵装置の中身に対してより厳しい管理が必要な場合、キーなしで入ることを防ぐため、フロントドア36、56または側面ドア42のいずれかにロックを備えてもよい。
【0018】
本発明の利点は、一次冷却装置を用いて第2区画を冷却することによりコスト及び重量が節約されることであり、より効率的であり、コスト及び重量が節約される。また、第2冷却装置の第2冷却システムを収容するのに必要であった容積を飲料、食料、ワイン、ビールまたは飛行中に提供される他の商品の収納に用いることができるため、空間も節約される。
【0019】
本発明の特定の形態について例示及び記載したが、種々の改良が、本発明の要旨及び範囲を逸脱しない範囲で可能であることは、前述により明らかであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲以外によって限定を受けることを意図されていない。
【符号の説明】
【0020】
15 領域
20 通路
23 構造物
30 冷蔵装置
34 ハンドル
36 ドア
38
40 セルフサービスステーション
42 ドア
44 フレーム
46
48 天井
50 後壁
52 第1側壁
58 側面アクセス区画
60 切り欠き
62 隔壁
66 底部パネル
68 横方向保持リップ68
図1
図2
図3