特許第6188833号(P6188833)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188833
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】画像形成システムおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20170821BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20170821BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20170821BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   G06F3/12 361
   G06F3/12 304
   G06F3/12 322
   G06F3/12 338
   G06F3/12 326
   B41J29/38 Z
   B41J29/00 Z
   H04N1/00 C
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-562775(P2015-562775)
(86)(22)【出願日】2015年1月27日
(86)【国際出願番号】JP2015052233
(87)【国際公開番号】WO2015122274
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2016年6月20日
(31)【優先権主張番号】特願2014-24240(P2014-24240)
(32)【優先日】2014年2月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】徳永 智治
【審査官】 山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−274242(JP,A)
【文献】 特開2010−109721(JP,A)
【文献】 特開2012−252578(JP,A)
【文献】 特開2004−213437(JP,A)
【文献】 特開2013−149103(JP,A)
【文献】 特開2009−033228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09−3/12
B41J 29/00
B41J 29/38
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像形成装置と、
1以上の第2の画像形成装置と、
前記1以上の第2の画像形成装置のユーザー認証を行う認証サーバーとを備え、
前記第1の画像形成装置、前記第2の画像形成装置、および前記認証サーバーは、ネットワークにより互いに接続可能であり、
前記第1の画像形成装置は、ユーザーによる印刷指示に基づく印刷を実行できないとき、(a1)前記印刷指示に基づく印刷を実行可能な前記第2の画像形成装置に代理印刷を要求し、(a2)前記ユーザーが、前記代理印刷を要求した前記第2の画像形成装置を管理する前記認証サーバーの管理下にないとき、前記ユーザーを認証するために一時的に発行される認証IDを、前記代理印刷を要求した前記第2の画像形成装置から受信し、前記受信した認証IDを前記ユーザーに通知するように構成された第1の制御部を備え、
前記第2の画像形成装置は、前記第1の画像形成装置から前記代理印刷の要求を受信した場合において前記ユーザーが前記認証サーバーの管理下になく認証できないとき、(b1)前記認証IDの発行を前記認証サーバーに要求し、(b2)前記発行された認証IDを受信し、前記受信した認証IDを前記第1の画像形成装置に通知し、(b3)前記ユーザーによる前記認証IDの入力を受け付け、前記受け付けた認証IDと前記受信した認証IDとが一致するとき、前記印刷指示に基づく印刷を実行するように構成された第2の制御部を備え、
前記認証サーバーは、前記第2の画像形成装置から前記認証IDの発行要求を受信すると、前記認証IDを発行するように構成された第3の制御部を備える、
画像形成システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成システムであって、
前記第1の画像形成装置の第1の制御部は、前記代理印刷を要求する前に、前記印刷指示に基づく印刷を実行可能な前記1以上の第2の画像形成装置を検索し、検索結果に基づいて、前記代理印刷を要求する前記第2の画像形成装置を選定する、
画像形成システム。
【請求項3】
ユーザーによる印刷指示に基づく印刷を実行できない他の画像形成装置から、ネットワークを介して代理印刷の要求を受信し、かつ前記ユーザーが認証サーバーの管理下になく認証できないとき、(a)前記ユーザーを一時的に認証する認証IDの発行を前記認証サーバーに要求し、(b)前記発行された認証IDを受信し、前記受信した認証IDを前記他の画像形成装置に通知し、(c)前記ユーザーによる前記認証IDの入力を受け付け、前記受け付けた認証IDと前記受信した認証IDとが一致するとき、前記印刷指示に基づく印刷を実行するように構成された制御部
を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザーが画像形成装置を用いて印刷を行う際、機械的な故障やトナー切れ、紙詰まりなどにより印刷を要求した画像形成装置で印刷が出来ないことがある。その場合、ユーザーは別の画像形成装置にあらためて印刷を要求することも出来るし、最初に印刷を要求された画像形成装置が別の画像形成装置に代理で印刷を依頼することも出来る。
【0003】
例えば、特許文献1において開示されている画像形成装置は、代理印刷を実行させるために、着脱可能な操作パネルを備えている。その画像形成装置において印刷を要求したユーザーは、その画像形成装置で不具合が発生したことなどにより印刷を実行できないとき、操作パネルをその画像形成装置から外し、その操作パネルを持って代理で印刷を実行できる画像形成装置を探すために歩き回る。
【0004】
その操作パネルは無線通信により代理印刷を行う画像形成装置を検索する。操作パネルは、印刷データや印刷条件などを操作パネル内に保持しており、それに基づいて、代理印刷を行える適切な画像形成装置の候補を操作パネル内に表示する。ユーザーは、表示された候補の中から代理印刷をさせる画像形成装置を選択し、選択した画像形成装置に操作パネルを取り付ける。操作パネルが取り付けられた画像形成装置において、代理印刷(代替印刷)が実行される。
【0005】
また、特許文献1において開示された技術では、ユーザーが最初に印刷を要求した画像形成装置の持つ機能と代理印刷を行う画像形成装置の持つ機能との差分を表示することにより、ユーザーが代理印刷をさせる画像形成装置を選択しやすくしている。なお、ここでいう機能の差分とは、例えば、ある画像形成装置には、パンチやステープルなどのフィニッシャー機能が付いているが、別の画像形成装置には付いていないなどの事である。
【0006】
また、特許文献2において開示されている技術では、ある画像形成装置において障害が発生した際に、障害に対応するためのメンテナンス情報を印刷するために代替の画像形成装置を利用する。この技術では、優先順位を付けて予め幾つかの代替画像形成装置を登録しておき、障害が発生した画像形成装置でメンテナンス情報を印刷できない時は、優先順に代替画像形成装置でのメンテナンス情報の印刷を試みる。障害が発生した画像形成装置と代替となる画像形成装置とが、ネットワークを介して通信することにより、その処理が行われる。
【0007】
なお、近年、情報管理を適切に行うために、画像形成装置において印刷された情報のセキュリティを高める目的で、画像形成装置にユーザーを認証する機能が搭載されるようになってきた。画像形成装置におけるユーザー認証では、ネットワークにより接続された認証サーバーに予め管理者がユーザーを登録しておき、ユーザーは認証サーバーから発行される認証IDを用いることにより画像形成装置を利用することが出来る。
【0008】
認証サーバーは、独立したコンピューターとして実装されることもあるし、1台の画像形成装置の中に組み込まれ、ユーザー認証機能を搭載した画像形成装置として実装されることもある。
【0009】
この認証機能を用いることにより、画像形成装置の不正な利用を防止したり、印刷される情報が漏洩することを防止したりすることが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2013−55470号公報
【特許文献2】特開2007−237472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1の技術では、代替印刷を実現するために、特殊な機能を持ったハードウェアである操作パネルを製造しなければならない。
【0012】
また、ユーザー認証機能を有効にしたネットワーク環境で、特許文献2の技術による代替印刷を行おうとした場合、障害が発生した画像形成装置のユーザーが、代替印刷を行う画像形成装置を管理する認証サーバーに登録されていないときには、そのままでは代替印刷を行うことは出来ない。
【0013】
もし、代替印刷を行わせたい場合は、代替印刷を行う画像形成装置を管理する認証サーバーにそのユーザーを登録しなければならず、ユーザーの所属組織などに合わせて体系的にユーザーを登録している認証サーバーでは、そのユーザーを登録することは、認証サーバーにおける管理体系を崩してしまうという管理上の問題がある。
【0014】
より具体的には、通常、営業部に所属する従業員が使う画像形成装置に対する認証サーバーでは、その画像形成装置のユーザーとして営業部に所属する従業員だけが登録されているが、そこに人事部の従業員を例外的に登録しなければならない状況が挙げられる。
【0015】
また、代替印刷を行わせる度に、ユーザーを登録することは手間になるという問題もある。
【0016】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、認証サーバーにおける管理体系を崩さずに、代理印刷を実行できる画像形成システムとその画像形成システムに含まれる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一形態に係る画像形成システムは、第1の画像形成装置と、1以上の第2の画像形成装置と、前記1以上の第2の画像形成装置のユーザー認証を行う認証サーバーとを備える。前記第1の画像形成装置、前記第2の画像形成装置、および前記認証サーバーは、ネットワークにより互いに接続可能である。前記第1の画像形成装置は、ユーザーによる印刷指示に基づく印刷を実行できないとき、(a1)前記印刷指示に基づく印刷を実行可能な前記第2の画像形成装置に代理印刷を要求し、(a2)前記ユーザーが、前記代理印刷を要求した前記第2の画像形成装置を管理する前記認証サーバーの管理下にないとき、前記ユーザーを認証するために一時的に発行される認証IDを、前記代理印刷を要求した前記第2の画像形成装置から受信し、前記受信した認証IDを前記ユーザーに通知するように構成された第1の制御部を備える。前記第2の画像形成装置は、前記第1の画像形成装置から前記代理印刷の要求を受信した場合において前記ユーザーが前記認証サーバーの管理下になく認証できないとき、(b1)前記認証IDの発行を前記認証サーバーに要求し、(b2)前記発行された認証IDを受信し、前記受信した認証IDを前記第1の画像形成装置に通知し、(b3)前記ユーザーによる前記認証IDの入力を受け付け、前記受け付けた認証IDと前記受信した認証IDとが一致するとき、前記印刷指示に基づく印刷を実行するように構成された第2の制御部を備える。前記認証サーバーは、前記第2の画像形成装置から前記認証IDの発行要求を受信すると、前記認証IDを発行するように構成された第3の制御部を備える。
【0019】
また、本発明の一形態に係る画像形成装置は、ユーザーによる印刷指示に基づく印刷を実行できない他の画像形成装置から、ネットワークを介して代理印刷の要求を受信し、かつ前記ユーザーが認証サーバーの管理下になく認証できないとき、(a)前記ユーザーを一時的に認証する認証IDの発行を前記認証サーバーに要求し、(b)前記発行された認証IDを受信し、前記受信した認証IDを前記他の画像形成装置に通知し、(c)前記ユーザーによる前記認証IDの入力を受け付け、前記受け付けた認証IDと前記受信した認証IDとが一致するとき、前記印刷指示に基づく印刷を実行するように構成された制御部を備える。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、認証サーバーにおける管理体系を崩さずに、代理印刷を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態にかかる画像形成システム100の全体構成の例を示す構成図である。
図2】本実施形態にかかる画像形成装置1の構成の一例を示すブロック図である。
図3】画像形成システム100において、画像形成装置1で障害が発生した際に、画像形成装置2が代理で印刷するまでの処理の流れ(その1)について説明するためのシーケンス図である。
図4】画像形成システム100において、画像形成装置1で障害が発生した際に、画像形成装置2が代理で印刷するまでの処理の流れ(その2)について説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、最初に本実施形態にかかる画像形成システムの全体構成を説明する。次に、画像形成装置の詳細な構成を説明する。最後に、ある画像形成装置で障害が発生してから別の画像形成装置において代理印刷が行われるまでの処理の流れについて説明する。
【0024】
[システム全体の構成]
【0025】
最初に、本実施形態にかかる画像形成システム全体の構成について、例を挙げて説明する。図1は、本実施形態にかかる画像形成システム100の全体構成の例を示す構成図である。
【0026】
この例では、画像形成システム100は、画像形成装置1、画像形成装置2、画像形成装置3、および認証サーバー4を含んでいる。PC(Personal Computer)5は、画像形成装置(この例では画像形成装置1)に印刷指示を出すために用いられる。画像形成装置1〜3は、制御の詳細を除き同様の構成でも構わないので、画像形成装置1についてのみ、構成の詳細を後述する。
【0027】
認証サーバー4は、一般的なコンピューターの構成であればよいので、構成に関する説明は省略する。PC5も同様である。なお、認証サーバー4は、上述したように、独立した1つのサーバーとして実現されてもよいし、画像形成装置に組み込まれて実現されてもよい。
【0028】
この例では、画像形成装置1に関する認証サーバーが画像形成装置1に組み込まれており、画像形成装置1は、内部に保持した認証情報に基づきユーザー認証を行う認証モードを採用しており、画像形成装置2および3は、独立した認証サーバー4の保持する認証情報に基づきユーザー認証を行う認証モードを採用している。
【0029】
なお、この例では、PC5が画像形成装置1に印刷を要求したが、画像形成装置1において障害(故障)が発生したため、画像形成装置2が代理で印刷を行うことになり、画像形成装置1から画像形成装置2に対し代替印刷の指示が行われる。
【0030】
この例では、ユーザー認証を行うための認証サーバー4が管理する画像形成装置は、画像形成装置2および画像形成装置3のみであり、画像形成装置1を含まない。画像形成装置1への印刷要求を出したユーザーは、認証サーバー4に登録されていないので、従来の方法では、PC5から画像形成装置1に出した印刷指示を画像形成装置2に転送しても、ユーザーは、画像形成装置2を用いて印刷することは出来ない。
【0031】
[画像形成装置1の構成]
【0032】
次に、本実施形態にかかる画像形成装置1の構成について説明する。図2は、本実施形態にかかる画像形成装置1の構成の一例を示すブロック図である。なお、図に示す画像形成装置1は、複写機能、プリンター機能、ファクシミリ機能、およびスキャナー機能等、画像形成に関する複数の機能を兼ね備えた、いわゆるMFP(Multifunction Peripheral)である。
【0033】
画像形成装置1は、スキャナー部10、不揮発性メモリー20、プリンター部30、制御部40、操作パネル部50、ファクシミリ通信部60、ネットワークI/F部70、パラレルI/F部80、およびシリアルI/F部90を備える。
【0034】
そして、スキャナー部10、不揮発性メモリー20、制御部40、操作パネル部50、およびネットワークI/F部70によって、画像スキャンにより得られた画像の画像データを暗号化して予め指定されたメールアドレスへ電子メールとして送信したり、予め指定されたIPアドレスへ直接送信したりするネットワークスキャナー機能が実現される。
【0035】
また、スキャナー部10、不揮発性メモリー20、プリンター部30、制御部40、操作パネル部50、およびファクシミリ通信部60によって、ファクシミリ機能が実現される。さらに、不揮発性メモリー20、プリンター部30、制御部40、操作パネル部50、ネットワークI/F部70、およびパラレルI/F部80によって、プリンター機能が実現される。また、スキャナー部10、不揮発性メモリー20、プリンター部30、制御部40、および操作パネル部50によって、コピー機能が実現される。
【0036】
操作パネル部50は、ユーザーがコピー機能、プリンター機能、ファクシミリ機能、およびスキャナー機能等に関する操作を行うために使用され、ユーザーによる操作指示、例えば不揮発性メモリー20に記憶されている情報の印字を指示する画像形成指示等を制御部40に与えるものである。
【0037】
また、操作パネル部50は、ユーザーの識別情報として、例えば機密情報へのアクセスが許されたユーザーのみが知っているパスワード(すなわち当該パスワードを知っているユーザーは機密情報へのアクセスが許されているユーザーであることを識別する識別情報であるパスワード)や、各ユーザーを個々に識別するための識別情報であるユーザーID(認証ID)の入力を受け付ける。
【0038】
操作パネル部50は、タッチパネル等を有する表示部51と、スタートキーやテンキー等を有する操作キー部52とを含む。
【0039】
表示部51は、タッチパネルとLCD(Liquid Crystal Display)とを組み合わせた表示可能なタッチパネルユニット等を有し、種々の操作画面を表示し、入力操作を可能にする。
【0040】
表示部51は、例えばファクシミリ機能実行時において、ユーザー選択、送信先選択、送信設定等に関する情報を表示するとともに、使用者が当該部分をタッチすることで種々の操作指示を入力するための操作ボタン等を表示する。
【0041】
操作キー部52は、使用者によるコピー実行開始指示、あるいはファクシミリ送信開始指示といった種々の指示入力を行うために用いられる。
【0042】
スキャナー部10は、原稿の画像を光学的に取得して画像データを生成するものである。スキャナー部10は、露光ランプ11、およびCCD(電荷結合素子)12を含んでいる。スキャナー部10は、露光ランプ11によって光を原稿に照射し、その反射光をCCD12で受光することで、原稿画像を読み取り、読み取った画像に対応する画像データを制御部40へ出力する。スキャナー部10はモノクロ原稿だけでなく、カラー原稿や写真原稿の読み取りが可能となっていてもよい。
【0043】
不揮発性メモリー20は、例えば制御部40によって暗号化された原稿の画像データを記憶する記憶部の一例である。不揮発性メモリー20は、SSD(Solid State Drive)などの不揮発性半導体メモリーやHDD(Hard Disk Drive)であってもよい。
【0044】
プリンター部30は、スキャナー部10によって読み取られた原稿の画像データ、ネットワークI/F部70を介して外部のパーソナルコンピューター等から受信した画像データ、およびファクシミリ通信部60によって外部のファクシミリ装置から受信したファックスデータ等の画像データを制御部40から取得して、これら画像データに対する画像を所定の記録紙に印刷するものである。
【0045】
プリンター部30は、例えば、給紙カセットおよび給紙ローラ等を有する用紙搬送部31、中間転写体ローラ、感光体ドラム、露光装置、および現像装置等を有する像形成部32、転写ローラ等を有する転写部33、並びに定着ローラ等を有する定着部34を含む電子写真方式の画像形成部である。
【0046】
具体的には、用紙搬送部31は記録紙を像形成部32へ搬送し、像形成部32は上記画像データに対応するトナー像を形成し、転写部33はトナー像を記録紙に転写し、定着部34はトナー像を記録紙に定着させて画像を形成する。
【0047】
なお、プリンター部30は、トナーを用いて画像を形成する電子写真方式に限られず、例えば、記録紙にインクを吐出して画像を形成するインクジェット方式や、インクフィルムに熱を加えて記録紙に画像を転写する熱転写方式等、種々の方式を用いることができる。
【0048】
ファクシミリ通信部60は、符号化/復号化部(図示せず)、変復調部(図示せず)、およびNCU(Network Control Unit、図示せず)を含み、スキャナー部10によって読み取られた原稿の画像データを電話回線やインターネット回線等の通信回線61を介して他のファクシミリ装置へ送信したり、他のファクシミリ装置から送信されてきた画像データを受信したりするものである。
【0049】
符号化/復号化部は、送信する画像データを圧縮・復号化し、受信した画像データを伸張・復号化する。変復調部は、圧縮・復号化された画像データを音声信号に変調したり、受信した信号(音声信号)を画像データに復調したりする。また、NCUは、送信先となるファクシミリ装置との電話回線による接続を制御する。
【0050】
ネットワークI/F部70は、ネットワークインターフェース(例えば10/100base-TX)等を用い、LAN(Local Area Network)71を介して接続された外部のパーソナルコンピューター等の端末装置(PC5など)との間で種々のデータの送受信を制御するものである。例えば、ネットワークI/F部70は、スキャナー部10によって読み取られ、制御部40により暗号化された原稿画像データを端末装置へ電子メールとして送信したり、プリンター部30で印刷するために端末装置から送られた画像データを受信したりする。
【0051】
パラレルI/F部80は、高速双方向パラレルインターフェイス(例えばIEEE1284準拠)等を用いて、複数の信号線を用いて複数ビット単位でデータを送信するパラレル伝送によって、外部機器から印刷データ等を受信等するものである。
【0052】
シリアルI/F部90は、シリアルインターフェイス(例えばRS−232C)等を用い、単一の信号線を用いて1ビットずつ順次データを送るシリアル伝送によって、外部機器等から種々のデータ等を受信等するものである。
【0053】
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)41、所定の制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)42、ならびに一時的にデータを保管するRAM(Random Access Memory)43(揮発性メモリー)などを備えている。これらによって、制御部40は、操作パネル部50等で受け付けられた指示情報や、画像形成装置1の各所に設けられているセンサーからの検出信号に応じて、画像形成装置1全体の制御を行う。
【0054】
より具体的には、制御部40は、ROM42に記憶されている制御プログラムをCPU41が実行することにより、スキャナーコントローラー(図示せず)、ファクシミリコントローラー(図示せず)、プリンターコントローラー(図示せず)、コピーコントローラー(図示せず)、不揮発性メモリーコントローラー(図示せず)として機能する。
【0055】
制御部40としてのコンピューターが実行することによって上述の各機能を実現するためのプログラムは、不揮発性メモリー20等の不揮発性の外部記憶装置に格納しておき、RAM43等の主記憶装置に適宜転送することで、CPU41による実行に供することも可能である。
【0056】
スキャナーコントローラーは、スキャナー機能を実現するために用いられる各部の動作を制御する。
【0057】
ファクシミリコントローラーは、ファクシミリ機能を実現するために用いられる各部の動作を制御する。ファクシミリコントローラーは、ファクシミリの送信を行う際には、ファクシミリ通信部60によって、スキャナー部10により読み取られた原稿の画像データを、通信回線61を介して、不揮発性メモリー20に記憶されている電話番号を指定してファクシミリ装置等へ直接送信させる。
【0058】
プリンターコントローラーは、プリンター機能を実現するために用いられる各部の動作を制御する。
【0059】
コピーコントローラーは、コピー機能を実現するために用いられる各部の動作を制御する。
【0060】
不揮発性メモリーコントローラーは、不揮発性メモリー20の初期化やパーティションの作成を行ったり、データの読み込み、書き込み等I/O制御を行ったりする。
【0061】
[想定する障害の程度について]
【0062】
ここでは、本実施形態で想定する画像形成装置1において発生する障害の程度について説明する。本実施形態で想定する画像形成装置1の障害は、ユーザーから要求された機能は実現出来ないが、制御部40が代理の画像形成装置を探し出して、探し出した画像形成装置にユーザーから要求された機能の代理を頼むことは出来る程度の障害である。
【0063】
具体的には、ユーザーからの要求が印刷であるが、プリンター部30におけるトナー切れや紙詰まり、プリンター部30やプリンターコントローラーの障害によって印刷が出来ない場合などである。また、ユーザーからの要求がFAX送信である場合は、電話回線の障害や、ファクシミリ通信部60やファクシミリコントローラーの障害によって、FAX送受信ができない場合などである。
【0064】
[代理印刷処理の流れ(その1)]
【0065】
次に、画像形成システム100において、画像形成装置1で障害が発生した際に、画像形成装置2が代理で印刷するまでの処理の流れ(その1)について説明する。なお、ここでは1つの流れ(その1)について説明し、もう1つ(その2)については後述する。これらの違いは、代理となる画像形成装置の選択を、ユーザーが行うか、画像形成装置1の制御部40が行うかの違いである。
【0066】
図3は、画像形成システム100において、画像形成装置1で障害が発生した際に、画像形成装置2が代理で印刷するまでの処理の流れ(その1)について説明するためのシーケンス図である。
【0067】
(1)まず、ユーザーが、PC5から、または直接、画像形成装置1に印刷指示を与える。
【0068】
(2)画像形成装置1ではユーザーからの印刷指示に基づく印刷を実行しようとするが障害の発生により印刷を実行することが出来ない。そこで、画像形成装置1の制御部40は、代理で印刷を実行することが可能な画像形成装置の検索を開始する。
【0069】
具体的には、画像形成装置1の制御部40は、印刷指示の概要や、要求される印刷条件の概要を含んだ、代理印刷装置の検索メッセージをネットワーク経由でブロードキャストしてもよい。なお、検索条件の詳細については後述する。
【0070】
(3)次に、上記検索メッセージを受け取った他の画像形成装置のうち、代理で印刷処理を行える画像形成装置は、検索メッセージに対する応答を行う。この応答には、自機のシステム設定の情報を含めることが出来る。システム設定とは、印刷する用紙としてどのようなサイズの用紙を持っているか、カラーでの印刷が可能か、フィニッシャー機能を持っているか、ユーザー認証の認証モードなどの情報である。
【0071】
(4)ネットワーク上の画像形成装置(1つとは限らない)から応答メッセージを受信した画像形成装置1の制御部40は、代理できる(代替可能な)画像形成装置の候補リストを作成し、作成したリストをユーザーに提示する。
【0072】
(5)ユーザーは、操作パネル部50を操作して、提示された代替候補のリストから、実際に代理を頼む画像形成装置を選択し、選択結果を画像形成装置1の制御部40に伝える。
【0073】
(6)次に、画像形成装置1の制御部40は、選択された画像形成装置に対し、代理印刷要求メッセージを送信する。なお、ここでは画像形成装置2が選択されたものとする。
【0074】
(7)代理印刷要求メッセージを受信した画像形成装置2の制御部40は、自機の、ユーザー認証の認証モードを確認し、印刷指示を出したユーザーが、画像形成装置2を管理する認証サーバー4に登録されているか否かを判断する。
【0075】
そして、このユーザーが認証サーバー4に登録されておらず、そのままでは画像形成装置1から受信した代理印刷要求を実行できないとき、画像形成装置2の制御部40は、認証サーバー4に対して一時的な認証IDの発行を要求するメッセージを送信する。
【0076】
(8)一時的な認証IDの発行要求メッセージを受信した認証サーバー4の制御部は、画像形成装置2に対し、一時的な認証IDを発行する。なお、ここでいう一時的とは、その認証IDを用いるユーザーが、認証サーバー4に登録されないことを意味する。
【0077】
(9)認証サーバー4から一時的な認証IDの発行を受けた画像形成装置2の制御部40は、上記(6)で受信した代理印刷要求に対する応答メッセージに、発行された一時的な認証IDを含めて、画像形成装置1に返信する。なお、ここでは、応答メッセージとして、代理印刷の要求を受け入れる旨のメッセージが返されるものとする。
【0078】
(10)画像形成装置2から、要求を受け入れる旨のメッセージを受信すると、画像形成装置1の制御部40は、印刷指示により印刷する際の実際の印刷データを画像形成装置2に転送する。
【0079】
(11)また、画像形成装置1の制御部40は、画像形成装置2から要求を受け入れる旨のメッセージを受信すると、そのメッセージに含まれている認証IDをユーザーに通知する。なお、認証IDの通知は、画像形成装置1の表示部51に認証IDを表示することにより行われてもよいし、印刷指示を行ったPC5の画面に認証IDを表示することにより行われてもよい。
【0080】
(12)ユーザーは、画像形成装置1から通知された認証IDを画像形成装置2に入力すると共に、印刷する印刷データを選択する。
【0081】
例えば、ユーザーは、画像形成装置1の操作パネル50に表示された認証IDをメモし、そのメモを持って画像形成装置2の所に移動し、画像形成装置2の操作パネル50からメモした認証IDを入力してもよい。また、例えば、ユーザーが印刷指示を出したPC5の画面上に認証IDが表示される場合は、同じくPC5上に表示される画像形成装置2からの認証ID入力画面から、その認証IDを入力するようにしてもよい。
【0082】
(13)画像形成装置2は、上記(8)において認証サーバー4から発行された認証IDと、ユーザーにより入力された認証IDが一致した場合、上記(10)において転送された印刷データを指定された印刷条件で印刷する。
【0083】
以上、画像形成システム100において、画像形成装置1で障害が発生した際に、画像形成装置2が代理で印刷するまでの処理の流れ(その1)について説明した。
【0084】
[検索条件について]
【0085】
ここでは、上述した検索条件の詳細について説明する。
【0086】
検索条件とは、障害の発生した画像形成装置1の制御部40が、代理として印刷を行う画像形成装置を検索する時に使う条件のことであり、この条件に合った画像形成装置が代理する画像形成装置の候補となる。
【0087】
検索条件としては、例えば、障害が発生した画像形成装置1で印刷に使用しようとしていた用紙と同じサイズやタイプの用紙を保有していることや、同じ認証モードを使用している、すなわち同じ認証サーバーの管理下にあることや、同じ機種であることなどが挙げられる。なお、同じ機種であることは、専用のパケットを送信し、その反応を見ることで判断するようにしてもよい。
【0088】
さらに、検索条件として、例えば、印刷の濃さなど印刷環境が一致していることも挙げられる。
【0089】
これらの条件は、印刷データに含まれているので、印刷データを転送する際に、これらの条件も転送され、転送先の代理となる画像形成装置において、同じ条件で印刷される。
【0090】
[代理印刷処理の流れ(その2)]
【0091】
次に、画像形成システム100において、画像形成装置1で障害が発生した際に、画像形成装置2が代理で印刷するまでの処理の流れ(その2)について説明する。
【0092】
図4は、画像形成システム100において、画像形成装置1で障害が発生した際に、画像形成装置2が代理で印刷するまでの処理の流れ(その2)について説明するためのシーケンス図である。
【0093】
なお、上述したように、処理の流れ(その1)と処理の流れ(その2)の違いは、代理となる画像形成装置の選択を、ユーザーが行うか、画像形成装置1の制御部40が行うかの違いだけであるので、ここではその部分についてのみ説明を行う。
【0094】
すなわち、上述の処理の流れ(その1)と異なる部分は、上記(4)および上記(5)である。これらの処理が、以下の(4')に置き換わる。
【0095】
(4')ネットワーク上の画像形成装置(1つとは限らない)から応答メッセージを受信した画像形成装置1の制御部40は、代理できる(代替可能な)画像形成装置の候補リストを作成し、作成した代替候補のリストから、実際に代理を頼む画像形成装置を選択し、選択結果を画像形成装置1の制御部40に伝える。
【0096】
なお、候補リストに挙がった複数の画像形成装置の中から1つの画像形成装置を選択する為には、例えば、上述した検索条件を用いて、より多くの検索条件が一致したものを優先して選択するようにしてもよい。これにより、ユーザーの手を煩わせることなく、代理の画像形成装置が選択される。
【0097】
以上、画像形成システム100において、画像形成装置1で障害が発生した際に、画像形成装置2が代理で印刷するまでの処理の流れ(その2)について説明した。
【0098】
なお、上述の実施の形態は、例示および説明を目的として示したものであり、これがすべてではなく、発明をこの形態に限定するものではない。
【0099】
また、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が追加請求項に含まれることを意図している。
図1
図2
図3
図4