【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を実現するために、本発明は、
前記リン酸鉄リチウム電池パックにおける各々のセルについて、電池残量を正確に検出しうる電圧範囲を確定し、電池残量を正確に検出しうる電圧と電池残量との対応関係を確定することと、
静止状態での前記リン酸鉄リチウム電池パックにおける各々のセルの開路電圧を収集することと、
前記開路電圧が前記の電池残量を正確に検出しうる電圧範囲内にあるか否かを判断することと、
前記開路電圧が前記の電池残量を正確に検出しうる電圧範囲内にあると、前記開路電圧及び前記の電池残量を正確に検出しうる電圧と電池残量との対応関係に基づいて、前記開路電圧に対応するセルの電池残量を取得し、各々のセルの電池残量に基づいて、各々のセルの等化容量を確定する(セルの等化容量は各々のセルの容量と前記リン酸鉄リチウム電
池パックにおけるすべてのセルの容量のうち最小値との差であり、セルの容量はセルの定格容量とセルの電池残量との積である)ことと、
前記リン酸鉄リチウム電池パックにおけるセルの等化容量に基づいて、前記リン酸鉄リチウム電池パックに対して能動的等化処理を行うこととを含むリン酸鉄リチウム電池パックの能動的等化方法を提供する。
【0007】
さらに、前記のリン酸鉄リチウム電池パックの能動的等化方法は、
セルの前回の能動的等化前の等化容量と前記セルの前記前回の能動的等化における補充電容量及び/又は放電容量に基づいて、前記セルの現在の等化容量を更新する(前記セルの現在の等化容量=セルの前回の能動的等化前の等化容量+前記セルの前記前回の能動的等化における補充電容量−前記セルの前記前回の能動的等化における放電容量)ことをさらに含み、
前記能動的等化処理は、前記リン酸鉄リチウム電池パックにおけるセルの更新された現在の等化容量に基づいて、前記リン酸鉄リチウム電池パックに対して能動的等化処理を行うことを含む。
【0008】
さらに、前記のリン酸鉄リチウム電池パックの能動的等化方法は、前記のセルの前回の能動的等化前の等化容量と前記セルの前記前回の能動的等化における補充電容量及び/又は放電容量に基づいて、前記セルの現在の等化容量を更新する前、
前記リン酸鉄リチウム電池パックにおける各々のセルの等化容量がいずれも0であるか否かを継続して判断し、前記リン酸鉄リチウム電池パックにおいて少なくとも一つのセルの等化容量が0ではないと、前記リン酸鉄リチウム電池パックが静止状態にあるか否か、及び、実時間に収集された開路電圧が前記の電池残量を正確に検出しうる電圧範囲内にあるか否かを判断し、前記リン酸鉄リチウム電池パックにおける各々のセルの等化容量がいずれも0である場合、前記リン酸鉄リチウム電池パックにおいて少なくとも一つのセルの等化容量が0ではなくなるまで判断し続けることと、
前記リン酸鉄リチウム電池パックが静止状態になくて、あるいは、実時間に収集された開路電圧が前記の電池残量を正確に検出しうる電圧範囲内にないと、セルの前回の能動的等化前の等化容量と前記セルの前記前回の能動的等化における補充電容量及び/又は放電容量に基づいて、前記セルの現在の等化容量を更新するステップを実行することとをさらに含む。
【0009】
さらに、前記のリン酸鉄リチウム電池パックの能動的等化方法は、
前記リン酸鉄リチウム電池パックが静止状態にあり、そして実時間に収集された開路電圧が前記の電池残量を正確に検出しうる電圧範囲内にないと、実時間に収集された開路電圧及び前記の電池残量を正確に検出しうる電圧と電池残量との対応関係に基づいて、前記の実時間に収集された開路電圧に対応するセルの電池残量を取得し、各々のセルの前記の実時間に収集された開路電圧に対応する電池残量に基づいて、各々のセルの等化容量を確定するステップを実行することをさらに含む。
【0010】
さらに、前記の各々のセルの電池残量に基づいて、各々のセルの等化容量を確定することは、
前記リン酸鉄リチウム電池パックにおける各々のセルの電池残量差を取得する(前記電池残量差はセルの電池残量と電池残量の最小値との差であり、前記電池残量の最小値は前記リン酸鉄リチウム電池パックにおけるすべてのセルの電池残量のうち最小値を指す)ことと、
前記電池残量差に基づいて、対応するセルの等化容量を確定する(前記セルの等化容量はセルの定格容量と前記セルの電池残量差との積である)こととを含む。
【0011】
さらに、前記リン酸鉄リチウム電池パックにおけるセルの等化容量に基づいて、前記リ
ン酸鉄リチウム電池パックに対して能動的等化処理を行うことは、
前記リン酸鉄リチウム電池パックの平均電圧をプリセットされた電圧閾値と比較することと、
前記リン酸鉄リチウム電池パックの平均電圧が前記電圧閾値より小さいと、前記リン酸鉄リチウム電池パックにおける等化容量の最も小さいM個のセルに対して補充電等化を行う(Mは自然数である)ことと、
前記リン酸鉄リチウム電池パックの平均電圧が前記電圧閾値より大きいと、前記リン酸鉄リチウム電池パックにおける等化容量の最も小さいM個のセルに対して補充電等化を行い、及び/又は、前記リン酸鉄リチウム電池パックにおける等化容量の最も大きいQ個のセルに対して放電等化を行う(Qは自然数である)こととを含む。
【0012】
さらに、前記の電池残量を正確に検出しうる電圧範囲は、2710ミリボルト〜3283ミリボルトの電圧区間と3299ミリボルト〜3317ミリボルトの電圧区間との合併集合である。
【0013】
本発明の実施例にかかるリン酸鉄リチウム電池パックの能動的等化方法は、等化の根拠として正確なSoC差異を使用し、そしてLFP電池パックが高電圧側と低電圧側にある二つのタイミングで異なる等化動作を行うことにより、等化の判断と実行のタイミングは必ずしも同時に行われるものとならない。また、本発明の実施例にかかるリン酸鉄リチウム電池パックの能動的等化方法は、判断根拠の選別と等化動作の実行を分離させたものであり、このようにして、判断根拠の信頼性を高めたとともに、どんなタイミングでも等化を実行可能になった。本発明の実施例にかかるリン酸鉄リチウム電池パックの能動的等化方法は、LFP電池パックの性能を高め、LFP電池パックの寿命を延ばすことができる。
【0014】
上記の目的を実現するために、本発明は、記憶モジュール、収集モジュール、判断モジュール、確定モジュール、及び等化モジュールを含むリン酸鉄リチウム電池パックの能動的等化システムにおいて、
前記記憶ユニットは、電池残量を正確に検出しうる電圧と電池残量との対応関係を記憶するためのものであり、
前記収集モジュールは、静止状態での前記リン酸鉄リチウム電池パックにおける各々のセルの開路電圧を収集するためのものであり、
前記判断モジュールは、前記開路電圧が前記の電池残量を正確に検出しうる電圧範囲内にあるか否かを判断するためのものであり、
前記確定モジュールは、前記開路電圧が前記の電池残量を正確に検出しうる電圧範囲内にある時、前記開路電圧及び前記の電池残量を正確に検出しうる電圧と電池残量との対応関係に基づいて、前記開路電圧に対応するセルの電池残量を取得し、各々のセルの電池残量に基づいて、各々のセルの等化容量を確定する(セルの等化容量は各々のセルの容量と前記リン酸鉄リチウム電池パックにおけるすべてのセルの容量のうち最小値との差であり、セルの容量はセルの定格容量とセルの電池残量値との積である)ためのものであり、
前記等化モジュールは、前記リン酸鉄リチウム電池パックにおけるセルの等化容量に基づいて、前記リン酸鉄リチウム電池パックに対して能動的等化処理を行うためのものであるリン酸鉄リチウム電池パックの能動的等化システムを提供する。
【0015】
さらに、前記リン酸鉄リチウム電池パックの能動的等化システムは、セルの前回の能動的等化前の等化容量と前記セルの前記前回の能動的等化における補充電容量及び/又は放電容量に基づいて、前記セルの現在の等化容量を更新する(前記セルの現在の等化容量=セルの前回の能動的等化前の等化容量+前記セルの前記前回の能動的等化における補充電容量−前記セルの前記前回の能動的等化における放電容量)ための更新モジュールをさらに含み、前記等化モジュールはさらに、前記リン酸鉄リチウム電池パックにおけるセルの
更新された現在の等化容量に基づいて、前記リン酸鉄リチウム電池パックに対して能動的等化処理を行うためのものである。
【0016】
さらに、前記リン酸鉄リチウム電池パックの能動的等化システムは、
前記リン酸鉄リチウム電池パックにおける各々のセルの等化容量がいずれも0であるか否かを継続して判断するための第一判断モジュールと、
前記第一判断モジュールによって、前記リン酸鉄リチウム電池パックにおいて少なくとも一つのセルの等化容量が0ではないと判断された時、前記リン酸鉄リチウム電池パックが静止状態にあるか否か、及び、実時間に収集された開路電圧が前記の電池残量を正確に検出しうる電圧範囲内にあるか否かを判断するための第二判断モジュールとをさらに含み、
前記第二判断モジュールは、それによって、リン酸鉄リチウム電池パックが静止状態になくて、あるいは、実時間に収集された開路電圧が前記の電池残量を正確に検出しうる電圧範囲内にないと判断された時、セルの前回の能動的等化前の等化容量と前記セルの前記前回の能動的等化における補充電容量及び/又は放電容量に基づいて、前記セルの現在の等化容量を更新するよう前記更新モジュールに通知する。
【0017】
さらに、前記第二判断モジュールは、それによって、リン酸鉄リチウム電池パックが静止状態にあり、そして実時間に収集された開路電圧が前記の電池残量を正確に検出しうる電圧範囲内にあると判断された時、実時間に収集された開路電圧及び前記の電池残量を正確に検出しうる電圧と電池残量との対応関係に基づいて、前記の実時間に収集された開路電圧に対応するセルの電池残量を取得し、各々のセルの前記の実時間に収集された開路電圧に対応する電池残量に基づいて、各々のセルの等化容量を確定するよう前記確定モジュールに通知する。
【0018】
さらに、前記確定モジュールは、
リン酸鉄リチウム電池パックにおける各々のセルの電池残量差を取得する(前記電池残量差はセルの電池残量と電池残量の最小値との差であり、前記電池残量の最小値は前記リン酸鉄リチウム電池パックにおけるすべてのセルの電池残量値のうち最小値を指す)ための取得ユニットと、
前記電池残量差に基づいて、セルの等化容量を確定する(前記セルの等化容量はセルの定格容量と前記セルの電池残量差との積である)ための確定ユニットとを含む。
【0019】
さらに、前記等化モジュールは、
前記リン酸鉄リチウム電池パックの平均電圧をプリセットされた電圧閾値と比較するための比較ユニットと、
前記リン酸鉄リチウム電池パックの平均電圧が前記電圧閾値より小さい時、前記リン酸鉄リチウム電池パックにおける等化容量の最も小さいM個のセルに対して補充電等化を行う(Mは自然数である)ための第一等化ユニットと、
前記リン酸鉄リチウム電池パックの平均電圧が前記電圧閾値より大きい時、前記リン酸鉄リチウム電池パックにおける等化容量の最も小さいM個のセルに対して補充電等化を行い、及び/又は、前記リン酸鉄リチウム電池パックにおける等化容量の最も大きいQ個のセルに対して放電等化を行う(Qは自然数である)ための第二等化ユニットとを含む。
【0020】
さらに、前記の電池残量を正確に検出しうる電圧範囲は、2710ミリボルト〜3283ミリボルトの電圧区間と3299ミリボルト〜3317ミリボルトの電圧区間との合併集合である。
【0021】
本発明の実施例にかかるリン酸鉄リチウム電池パックの能動的等化システムは、等化の根拠として正確なSoC差異を使用し、そしてLFP電池パックが高電圧側と低電圧側に
ある二つのタイミングで異なる等化動作を行うことにより、等化の判断と実行のタイミングは必ずしも同時に行われるものとならない。また、本発明の実施例にかかるリン酸鉄リチウム電池パックの能動的等化システムは、判断根拠の選別と等化動作の実行を分離させたものであり、このようにして、判断根拠の信頼性を高めたとともに、どんなタイミングでも等化を実行可能になった。本発明の実施例にかかるリン酸鉄リチウム電池パックの能動的等化システムは、LFP電池パックの性能を高め、LFP電池パックの寿命を延ばすことができる。