【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、インフルエンザウイルスのHAの成熟を阻害することによってインフルエン
ザ感染を治療および予防するための、式Iのチアゾリドを使用する方法、医薬組成物、お
よび組み合わせ製剤を対象とする。本発明による組み合わせ製剤、医薬組成物および治療
方法において、抗ウイルス薬は、1から4種の化合物または調製物を含むことができ、ワ
クチンおよび/または免疫賦活薬を含むこともできる。
【0008】
一実施形態では、本発明は、治療有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその
塩もしくはエステルおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供または企図す
る。
【0009】
他の実施形態では、本発明は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩および他
の抗ウイルス薬を含む、インフルエンザを治療するために有用な組み合わせを提供または
企図する。
【0010】
より具体的な実施形態では、本発明は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩
およびノイラミニダーゼ阻害薬を含む、インフルエンザを治療するために有用な組み合わ
せを提供または企図する。
【0011】
他のより具体的な実施形態では、本発明は、式Iの化合物または薬学的に許容されるそ
の塩、および免疫賦活薬を含む、インフルエンザを治療するために有用な組み合わせを提
供または企図する。
【0012】
他のより具体的な実施形態では、本発明は、式Iの化合物または薬学的に許容されるそ
の塩、およびペグ化インターフェロンを含む、インフルエンザを治療するために有用な組
み合わせを提供または企図する。
【0013】
他のより具体的な実施形態では、本発明は、式Iの化合物,または薬学的に許容される
その塩、および組換えシアリダーゼ融合タンパク質を含む、インフルエンザを治療するた
めに有用な組み合わせを提供または企図する。
【0014】
他のより具体的な実施形態では、本発明は、式Iの化合物または薬学的に許容されるそ
の塩、およびワクチンを含む、インフルエンザを治療するために有用な組み合わせを提供
または企図する。
【0015】
他のより具体的な実施形態では、本発明は、式Iの化合物または薬学的に許容されるそ
の塩、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、インフルエンザを治療するために
有用な組み合わせを提供または企図する。
【0016】
他のより具体的な実施形態では、本発明は、2つの薬剤を実質的に同時に投与する式I
の化合物または薬学的に許容されるその塩および他の抗ウイルス薬を含む、インフルエン
ザを治療するために有用な組み合わせを提供または企図する。
【0017】
他のより具体的な実施形態では、本発明は、2つの薬剤を順次投与する、式Iの化合物
または薬学的に許容されるその塩および他の抗ウイルス薬を含む、インフルエンザを治療
するために有用な組み合わせを提供または企図する。
【0018】
他の実施形態では、本発明は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を投与す
ることによりウイルス感染症を治療および予防する方法を提供する。
【0019】
他の実施形態では、本発明は、免疫賦活薬と組み合わせて、式Iの化合物または薬学的
に許容されるその塩を投与することによりウイルス感染症を治療および予防する方法を提
供する。
【0020】
他の実施形態では、本発明は、ノイラミニダーゼ阻害薬と組み合わせて、式Iの化合物
または薬学的に許容されるその塩を投与することによりウイルス感染症を治療および予防
する方法を提供する。
【0021】
他の実施形態では、本発明は、ワクチンと組み合わせて、式Iの化合物または薬学的に
許容されるその塩を投与することによりウイルス感染症を治療および予防する方法を提供
する。
【0022】
他の実施形態では、本発明は、アンチセンスオリゴヌクレオチドと組み合わせて、式I
の化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することにより、ウイルス感染症を治療
および予防する方法を提供する。
【0023】
他の実施形態では、本発明は、アダマンチン類似体と組み合わせて、式Iの化合物また
は薬学的に許容されるその塩を投与することによりウイルス感染症を治療および予防する
方法を提供する。
【0024】
他の実施形態では、本発明は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩およびノ
イラミニダーゼ阻害薬を含む、インフルエンザを治療するために有用な組み合わせパック
またはキットを提供する。
【0025】
他の実施形態では、本発明は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩および免
疫賦活薬を含む、インフルエンザを治療するために有用な組み合わせパックまたはキット
を提供する。
【0026】
他の実施形態では、本発明は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩およびア
ダマンチン類似体を含む、インフルエンザを治療するために有用な組み合わせパックまた
はキットを提供する。
【0027】
他の実施形態では、本発明は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩および組
換えシアリダーゼ融合タンパク質を含む、インフルエンザを治療するために有用な組み合
わせパックまたはキットを提供する。
【0028】
他の実施形態では、本発明は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩およびア
ンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、インフルエンザを治療するために有用な組み合わ
せパックまたはキットを提供する。
【0029】
本明細書では、以下の用語は、指定された意味を有する。
【0030】
別段の指示がない限り、「a」という用語は、「1つ(種)または複数」を意味する。
【0031】
別段の指示がない限り、本明細書では、「1つまたは複数の置換基」という用語は、利
用可能な結合部位の数に基づいた1から最大数のあり得る置換基を意味する。
【0032】
本明細書では、「治療」という用語は、かかる用語を適用する障害もしくは状態、また
はかかる状態もしくは障害の1つまたは複数の症状の進行を逆転する、緩和する、抑制す
る、あるいは、それらを予防することを意味する。本明細書では、「治療」という用語は
、「治療する」が直上に定義される通り、治療する行為を意味する。
【0033】
「組み合わせ」、「組み合わせ療法」および「併用療法」という用語は、式Iの化合物
、およびこれらの治療薬の協調的作用から有益な効果を提供することを目的としたある特
定の治療レジメンの一部としての他の薬剤の投与を包含する。組み合わせの有益な効果に
は、それだけには限らないが、治療薬の組み合わせから生じる薬物動態学的または薬力学
的な相互作用が含まれる。組み合わせでのこれらの治療薬の投与は、通常、規定された期
間(選択された組み合わせに依存して、通常、分、時間、日または週)にわたって実施さ
れる。
【0034】
「組み合わせ療法」は、一般に、偶発的におよび任意に本発明の組み合わせになる別々
の単独療法レジメンの一部としてこれらの治療薬の2つ以上の投与を包含することは意図
しない。「組み合わせ療法」は、実質的に同時の方式または逐次的な方式で治療薬の投与
が含まれるものとする。実質的に同時の投与は、例えば、治療薬の固定比率を含む単一の
カプセルを投与することによりまたはそれぞれの治療薬のための単一のカプセルを投与す
ることにより達成することができる。治療薬の逐次および実質的に同時の投与は、それだ
けには限らないが、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、および粘膜組織による直接吸収
が含まれる任意の適当な経路により実施することができる。治療薬は、同一経路または異
なる経路により投与することができる。例えば、選択される組み合わせの第一の治療薬を
静脈内注射により投与することができ、組み合わせの他の治療薬を経口で投与することが
できる。あるいは、例えば、すべての治療薬を経口で投与してもよく、すべての治療薬を
静脈内注射により投与してもよい。治療薬を投与する順序は、重要なことも重要ではない
こともある。「組み合わせ療法」はまた、生物学的有効成分(それだけには限らないが、
異なる抗ウイルス薬、ワクチン、または免疫賦活薬など)、ならびに栄養補助食品を含め
た非薬物療法とさらに組み合わせた、前述した通り治療薬の投与を包含することもできる
。
【0035】
「塩」という用語は、最も広義に用いられる。例えば、「塩」という用語には、本化合
物のイオンとの水素塩および水酸化物塩が含まれる。いくつかの実施形態において、「塩
」という用語は、薬理学的活性を有する本化合物の塩であり、生物学的にも他の点でも望
ましくないものではない、薬学的に許容される塩と称されるサブクラスとなり得る。すべ
ての実施形態では、塩は、それだけには限らないが、酸で形成することができ、水素塩、
ハロゲン化物、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、
ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩(camphorate)、樟脳ス
ルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタン
スルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩(glucoheptanoate)、グリセロリン酸
塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩
、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2
−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩(
tosylate)、およびウンデカン酸塩などであり得る。すべての実施形態において、塩は、
それだけには限らないが、水酸化物塩、アンモニウム塩、リチウム、ナトリウムおよびカ
リウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウムなどのアルカリ土類金属塩、マグネシウム塩
、アルミニウム塩、アンモニア、メチルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、ジ
シクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチル−D−グルカミンなどの有機
塩基との塩、ならびにアルギニンおよびリシンなどのアミノ酸との塩など、塩基で形成す
ることができる。塩基性の窒素含有基は、メチル、エチル、プロピルおよびブチル塩化物
、臭化物およびヨウ化物などの低級アルキルハロゲン化物;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル
、硫酸ジブチルおよび硫酸ジアミルなどの硫酸ジアルキル;デシル、ラウリル、ミリスチ
ルおよびステアリル塩化物、臭化物およびヨウ化物などの長鎖ハロゲン化物;および臭化
ベンジルおよび臭化フェネチルなどのアラルキルハロゲン化物を含めた薬剤で四級化する
ことができる。
【0036】
本明細書では、「治療上許容される塩」、および「薬学的に許容される塩」という用語
は、水または油に可溶性または分散性であり;過度の毒性、刺激性、およびアレルギー応
答がなく疾患の治療に適しており;妥当な利益/危険比と釣り合い;これらの所期の使用
のために有効である、本発明の化合物の塩および両性イオンの形態を表す。塩は、化合物
の最終の単離および精製中に調製することもでき、または別々に遊離塩基の形態の適当な
化合物を適当な酸と反応させることにより調製することもできる。代表的な酸付加塩には
、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、L−アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安
息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、酪酸塩、カンホラート、カ
ンファースルホン酸塩、クエン酸塩、二グルコン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、ゲンチジン
酸塩、グルタル酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、
ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタ
ンスルホン酸塩(イセチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、DL−マンデ
ル酸、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ニコチ
ン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩(pectinat
e)、過硫酸塩、3−フェニルプロプリオナート(phenylproprionate)、ホスホン酸塩、
ピクリン酸塩、ピバラート、プロピオン酸塩、ピログルタミン酸塩、コハク酸塩、スルホ
ン酸塩、酒石酸塩、L−酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、
グルタミン酸塩、炭酸水素塩、p‐トルエンスルホン酸(p−トシラート)、およびウン
デカン酸塩が含まれる。また、本発明の化合物中の塩基性基は、メチル、エチル、プロピ
ル、およびブチル塩化物、臭化物、およびヨウ化物;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸
ジブチルおよび硫酸ジアミル;デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル塩化物、
臭化物、およびヨウ化物;ならびに臭化ベンジルおよび臭化フェネチルで四級化すること
ができる。治療上許容される付加塩を形成するために用いることができる酸の例には、塩
酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸などの無機酸、およびシュウ酸、マレイン酸、コハ
ク酸、およびクエン酸などの有機酸が含まれる。塩は、化合物のアルカリ金属イオンまた
はアルカリ土類イオンとの配位により形成することもできる。そのため、本発明は、本発
明の化合物の化合物のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、およびカルシウム塩
などを考えている。
【0037】
塩基性付加塩は、カルボキシル、フェノールもしくは類似の基を、金属水酸化物、カル
ボナート、もしくは炭酸水素塩などの適当な塩基と、あるいはアンモニアまたは有機第1
級、第2級、もしくは第3級アミンと反応させることにより、化合物の最終の単離および
精製中に調製することができる。治療上許容される塩の陽イオンには、リチウム、ナトリ
ウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム、ならびにアンモニウ
ム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルア
ミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチ
ルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモ
ルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジ
ルフェネチルアミン、1−エフェナミン、およびN,N’−ジベンジルエチレンジアミン
などの非毒性の第4級アミン陽イオンが含まれる。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的
な有機アミンには、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリ
ジン、およびピペラジンが含まれる。
【0038】
「溶媒和物」という用語は、最も広義に用いられる。例えば、溶媒和物という用語には
、本発明の化合物が1つまたは複数の結合水分子を含むときに形成された水和物が含まれ
る。
【0039】
本明細書では、「アルキルカルボニル」および「アルカノイル」という用語は、カルボ
ニル基により親分子部分に結合したアルキル基を意味する。かかる基の例には、アセチル
としても知られるメチルカルボニル;プロピオニルとしても知られるエチルカルボニル;
および2−メチル−シクロペンチルカルボニルなどが含まれる。
【0040】
本明細書では、「アシル」という用語は、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロア
リール、ヘテロシクロアルキルに結合したカルボニル、またはそのカルボニルに結合した
原子が炭素である任意の他の部分を意味する。「アセチル」基は、−C(O)CH3基を
意味する。アシル基の例には、ホルミル、アセチル、およびプロピオニルなどのアルカノ
イル基、ベンゾイルなどのアロイル基、およびシンナモイルなどの混合されたアルキル−
アリール基が含まれる。
【0041】
「アシルアミノ」という用語は、アシル基で置換されたアミノラジカルを意味する。「
アシルアミノ」ラジカルの一例は、アセチルアミノ(CH3C(O)NH−)であり;他
は、ベンゾイルアミノである。
【0042】
本明細書では、「アルケニル」という用語は、直鎖、分枝鎖、もしくは環式不飽和の炭
化水素ラジカル、または1つまたは複数の二重結合を有し、2から20個の炭素原子を含
む、または環式部分の場合では、3から20個の環員を有する、直鎖もしくは分枝鎖、お
よび環式部分の任意の組み合わせを含むラジカルを意味する。多くの実施形態では、アル
ケニル基は、2から6個の炭素原子を含む。「アルケニル基」という用語は、最も広義に
用いられる。例えば、「(C2〜C8)アルケニル基」という用語は、少なくとも1つの
二重結合を有する2から8個の炭素原子を含む直鎖、分枝、および環式炭化水素ラジカル
を包含する。適当なアルケニルラジカルの例には、ビニルとしても知られるエテニル、プ
ロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル、tert−ブ
テニル、1,3−ブタジエニル、n−ペンテニル、n−ヘキセニル、シクロヘキセニルお
よび1,3−シクロペンタジエニルなどのシクロアルケニルラジカル、シクロヘキセニル
メチルなどのシクロアルケニルアルキルラジカル、メチレンシクロヘキシルなどのアルケ
ニルシクロアルキルラジカルなどが含まれる。
【0043】
アルケニレンは、エテニレン[(−CH=CH−),(−C::C−)]などの2つ以
上の位置で結合した炭素−炭素二重結合系を意味する。
【0044】
本明細書では、「アルコキシ」という用語は、アルキルエーテルラジカルを意味し、ア
ルキルという用語は、本明細書で定義する通りである。適当なアルキルエーテルラジカル
の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソ
ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、シクロメントキシなどが含まれる。
【0045】
本明細書では、「アルコキシアルコキシ」という用語は、他のアルコキシ基により親分
子部分に結合した1つまたは複数のアルコキシ基を意味する。例には、エトキシエトキシ
、メトキシプロポキシエトキシ、エトキシペントキシエトキシエトキシなどが含まれる。
【0046】
本明細書では、「アルコキシアルキル」という用語は、アルキル基により親分子部分に
結合したアルコキシ基を意味する。「アルコキシアルキル」という用語は、アルキル基に
結合した、すなわち、モノアルコキシアルキルおよびジアルコキシアルキル基を形成する
ために結合した、1つまたは複数のアルコキシ基を有するアルコキシアルキル基をも包含
する。
【0047】
本明細書では、「アルコキシカルボニル」という用語は、カルボニル基により親分子部
分に結合したアルコキシ基を意味する。かかる「アルコキシカルボニル」基の例には、メ
トキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニルお
よびヘキシルオキシカルボニルが含まれる。
【0048】
「アルコキシカルボニルアルキル」という用語は、上記で定義した通り、アルキルラジ
カルに置換された「アルコキシカルボニル」を有するラジカルを意味する。より好ましい
アルコキシカルボニルアルキルラジカルは、上記で定義した通り1から6個の炭素原子に
結合した低級アルコキシカルボニルラジカルを有する「低級アルコキシカルボニルアルキ
ル」である。かかる低級アルコキシカルボニルアルキルラジカルの例には、メトキシカル
ボニルメチルが含まれる。
【0049】
本明細書では、「アルキル」という用語は、直鎖、分枝、もしくは環式アルキルラジカ
ルまたは直鎖、分枝および/または環式ラジカルの任意の組み合わせからなるラジカルを
意味し、1〜20個の炭素原子を含む飽和脂肪族炭化水素基である。多くの実施形態では
、アルキル基は、1〜10個の炭素原子を含む。多くの他の実施形態では、アルキル基は
、1〜6個の炭素原子を含む。「アルキル基」という用語は、最も広義に用いられる。ア
ルキル基は、本明細書で定義する通り、場合によって置換することができる。アルキルラ
ジカルの例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シク
ロプロピルメチル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、
ペンチル、ネオペンチル、イソアミル、ヘキシル、シクロヘキシル、トランス−1,2−
ジ−エチルシクロヘキシル、オクチル、ノニルなどが含まれる。例えば、略語「(C1〜
C6)−アルキル基」には、(C3〜C6)−シクロアルキル基ならびに直鎖および分枝
アルキル基が含まれ、「O(C1〜C8)−アルキル基」は、直鎖O(C1〜C8)−ア
ルキル基、分枝O(C1〜C6”)−アルキル基、および環式O(C1〜C6)−アルキ
ル基が含まれる。
【0050】
本明細書では、「アルキレン」という用語は、メチレン(−CH2−)、エチレン、お
よび1,3−シクロブチレンなど、2つ以上の位置で結合した直鎖または分枝鎖飽和炭化
水素に由来する飽和脂肪族基を意味する。
【0051】
本明細書では、「アルキルアミノ」という用語は、アルキル基により親分子部分に結合
したアミノ基を意味する。
【0052】
本明細書では、「アルキルアミノカルボニル」という用語は、カルボニル基により親分
子部分に結合したアルキルアミノ基を意味する。かかるラジカルの例には、N−メチルア
ミノカルボニルおよびN,N−ジメチルカルボニルが含まれる。
【0053】
本明細書では、「アルキリデン」という用語は、炭素−炭素二重結合の1個の炭素原子
がアルケニル基が結合した部分に属するアルケニル基を意味する。
【0054】
本明細書では、「アルキルスルフィニル」という用語は、スルフィニル基により親分子
部分に結合したアルキル基を意味する。アルキルスルフィニル基の例には、メチルスルフ
ィニル、エチルスルフィニル、ブチルスルフィニルおよびヘキシルスルフィニルが含まれ
る。
【0055】
本明細書では、「アルキルスルホニル」という用語は、スルホニル基により親分子部分
に結合したアルキル基を意味する。アルキルスルフィニル基の例には、メタンスルホニル
、エタンスルホニル、tert−ブタンスルホニルなどが含まれる。
【0056】
本明細書では、「アルキルチオ」という用語は、アルキルチオエーテル(R−S−)ラ
ジカルを意味し、アルキルという用語は、上記で定義される通りである。適当なアルキル
チオエーテルラジカルの例には、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロ
ピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチ
オ、エトキシエチルチオ、メトキシプロポキシエチルチオ、エトキシペントキシエトキシ
エチルチオなどが含まれる。
【0057】
「アルキルチオアルキル」という用語は、アルキルラジカルに結合したアルキルチオラ
ジカルを包含する。アルキルチオアルキルラジカルには、1から6個の炭素原子のアルキ
ルラジカルおよび前述した通りアルキルチオラジカルを有する「低級アルキルチオアルキ
ル」ラジカルが含まれる。かかるラジカルの例には、メチルチオメチルが含まれる。
【0058】
本明細書で最も広義に用いられる通り、「アルキニル」という用語は、直鎖、分枝鎖、
または環式不飽和の炭化水素ラジカル、ならびに1つまたは複数の炭素−炭素三重結合を
有し、2から20個の炭素原子を含む直鎖、分枝、および/または環式ラジカルの任意の
組み合わせを含むラジカルを意味する。多くの実施形態では、アルキニル基は、2から6
個の炭素原子を含む。多くの他の実施形態では、アルキニル基は、2から4個の炭素原子
を含む。「アルキニレン」は、エチニレン(−C:::C−、−C≡C−)などの2つの
位置で結合した炭素−炭素三重結合を意味する。例えば、(C2〜C8)アルキニル基は
、少なくとも1つの三重結合を有する2から8個の炭素原子を含む直鎖、分枝、および環
式炭化水素鎖を包含し、この用語には、それだけには限らないが、別段の指示がない限り
、エチニル、プロピニル、ヒドロキシプロピニル、ブチン−1−イル、ブチン−2−イル
、ペンチン−1−イル、ペンチン−2−イル、4−メトキシペンチン−2−イル、3−メ
チルブチン−1−イル、ヘキシン−1−イル、ヘキシン−2−イル、ヘキシン−3−イル
、3,3−ジメチルブチン−1−イルなどの置換基が含まれる。
【0059】
本明細書では、「アミド」という用語は、後述の通りカルボニル基またはスルホニル基
により親分子部分に結合したアミノ基を意味する。本明細書では、「Cアミド」という用
語は、C(=O)NR2基を意味し、Rは本明細書で定義する通りである。本明細書では
、「Nアミド」という用語は、RC(=O)NH基を意味し、Rは本明細書で定義する通
りである。
【0060】
本明細書では、「アミノ」という用語は、−NRR’を意味し、RおよびR’は、独立
に、水素、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アル
キル、アルキルカルボニル、アリール、アリールアルケニル、アリールアルキル、シクロ
アルキル、ハロアルキルカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルケニル、ヘテ
ロアリールアルキル、複素環、ヘテロシクロアルケニル、およびヘテロシクロアルキルか
らなる群から選択され、アリール、アリールアルケニルのアリール部位、アリールアルキ
ル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルケニルのヘテロアリール部位およびヘテロアリ
ールアルキル、複素環、ヘテロシクロアルケニルの複素環部位およびヘテロシクロアルキ
ルは、独立に、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキル、シアノ、ハロ
、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−アルキル、ニトロ、および
オキソからなる群から選択される1、2、3、4または5個の置換基で場合によって置換
することができる。
【0061】
本明細書では、「アミノアルキル」という用語は、アルキル基により親分子部分に結合
したアミノ基を意味する。例には、アミノメチル、アミノエチルおよびアミノブチルが含
まれる。「アルキルアミノ」という用語は、1または2個のアルキルラジカルで置換され
ているアミノ基を意味する。モノ−またはジアルキル化し、それによって、例えば、N−
メチルアミノ、N−エチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノな
どの基を形成することができる。
【0062】
本明細書では、「アミノカルボニル」および「カルバモイル」という用語は、アミノ置
換カルボニル基を意味し、アミノ基は、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキ
ル、シクロアルキルアルキルラジカルなどから選択される置換基を含む第または第2アミ
ノ基となり得る。
【0063】
本明細書では、「アミノカルボニルアルキル」という用語は、前述した通り、アルキル
ラジカルに結合したアミノカルボニルラジカルを意味する。かかるラジカルの例は、アミ
ノカルボニルメチルである。「アミジノ」という用語は、−C(NH)NH2ラジカルを
意味する。「シアノアミジノ」という用語は、−C(N−CN)NH2ラジカルを意味す
る。
【0064】
本明細書では、「アラルケニル」または「アリールアルケニル」という用語は、アルケ
ニル基により親分子部分に結合したアリール基を意味する。
【0065】
本明細書では、「アラルコキシ」または「アリールアルコキシ」という用語は、アルコ
キシ基により親分子部分に結合したアリール基を意味する。
【0066】
本明細書では、「アラルキル」または「アリールアルキル」という用語は、アルキル基
により親分子部分に結合したアリール基を意味する。
【0067】
本明細書では、「アラルキルアミノ」または「アリールアルキルアミノ」という用語は
、窒素原子により親分子部分に結合したアリールアルキル基を意味し、窒素原子は、水素
で置換されている。
【0068】
本明細書では、「アラルキリデン」または「アリールアルキリデン」という用語は、ア
ルキリデン基により親分子部分に結合したアリール基を意味する。
【0069】
本明細書では、「アラルキルチオ」または「アリールアルキルチオ」という用語は、硫
黄原子により親分子部分に結合したアリールアルキル基を意味する。
【0070】
本明細書では、「アラルキニル」または「アリールアルキニル」という用語は、アルキ
ニル基により親分子部分に結合したアリール基を意味する。
【0071】
本明細書では、「アラルコキシカルボニル」という用語は、式アラルキル−O−C(O
)−のラジカルを意味し、「アラルキル」という用語は、上述した意義を有する。アラル
コキシカルボニルラジカルの例は、ベンジルオキシカルボニル(「Z」または「Cbz」
)および4−メトキシフェニルメトキシカルボニル(「MOS」)である。
【0072】
本明細書では、「アラルカノイル」という用語は、ベンゾイル、フェニルアセチル、3
−フェニルプロピオニル(ヒドロシンナモイル)、4−フェニルブチリル、(2−ナフチ
ル)アセチル、4−クロロヒドロシンナモイル、4−アミノヒドロシンナモイル、4−メ
トキシヒドロシンナモイルなどのアリール置換アルカンカルボン酸由来のアシルラジカル
を意味する。「アロイル」という用語は、アリールカルボン酸に由来するアシルラジカル
を意味し、「アリール」は、以下の意味を有する。かかるアロイルラジカルの例には、ベ
ンゾイル、4−クロロベンゾイル、4−カルボキシベンゾイル、4−(ベンジルオキシカ
ルボニル)ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル、6−カルボキシ−2−ナフト
イル、6−(ベンジルオキシカルボニル)−2−ナフトイル、3−ベンジルオキシ−2−
ナフトイル、3−ヒドロキシ−2−ナフトイル、3−(ベンジルオキシホルムアミド)−
2−ナフトイルなどの置換されたおよび非置換のベンゾイルまたはナフトイルが含まれる
。
【0073】
本明細書では、「アリール」という用語は、1、2または3つの環を含む炭素環式芳香
族系を意味し、かかる環は、ペンダント方式で一緒になって結合してもよく、縮合しても
よい。「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントリ
ル、およびビフェニルなどの芳香族ラジカルを包含する。本発明のアリール基は、本明細
書で定義する通り基から独立に選択される1、2、3、4または5個の置換基で、場合に
よって置換することができる。
【0074】
本明細書では、「アリールアミノ」という用語は、N−フェニルアミノなど、アミノ基
により親部分に結合したアリール基を意味する。
【0075】
本明細書では、「アリールカルボニル」および「アロイル」という用語は、カルボニル
基により親分子部分に結合したアリール基を意味する。
【0076】
本明細書では、「アリールオキシ」という用語は、酸素原子により親分子部分に結合し
たアリール基を意味する。
【0077】
本明細書では、「アリールスルホニル」という用語は、スルホニル基により親分子部分
に結合したアリール基を意味する。
【0078】
本明細書では、「アリールチオ」という用語は、硫黄原子により親分子部分に結合した
アリール基を意味する。
【0079】
「カルボキシ」または「カルボキシル」という用語は、「カルボキシアルキル」など、
単独で用いられても他の用語と共に用いられても−CO2Hを意味する。
【0080】
本明細書では、「ベンゾ」および「ベンズ」という用語は、ベンゼンに由来する二価ラ
ジカルC6H4=を意味する。例には、ベンゾチオフェンおよびベンズイミダゾールが含
まれる。
【0081】
本明細書では、「カルバモイルオキシ」という用語は、酸素原子(例えば、RR’NC
(=O)O−)により親分子部分に結合したアミノ置換カルボニル基を意味し、アミノ基
は、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキルラジカ
ルなどから選択される置換基を含む1級もしくは2級アミノ基であり得る。
【0082】
本明細書では、「O−カルバミル」という用語は、本明細書で定義する通りRを有する
基−OC(O)NR基を意味する。
【0083】
本明細書では、「C−結合」という用語は、炭素−炭素結合により親分子部分に結合さ
れる任意の置換基を意味する。
【0084】
本明細書では、「N−カルバミル」という用語は、ROC(O)NH基を意味し、Rは
本明細書で定義する通りである。
【0085】
本明細書では、「カルボナート」という用語は、−O−C(=O)OR基を意味し、R
は本明細書で定義する通りである。
【0086】
本明細書では、「カルボニル」という用語は、単独のとき、ホルミル[−C(O)H]
を含み、組み合わせたとき、−C(O)−基である。
【0087】
本明細書では、「カルボキシ」という用語は、−C(O)OHまたはカルボン酸塩誘導
体もしくはエステル誘導体などの対応する「カルボキシラート」を意味する。「O−カル
ボキシ」基は、RC(O)O−基を意味し、Rは本明細書で定義する通りである。「C−
カルボキシ」基は、−C(O)OR基を意味し、Rは、本明細書で定義する通りである。
【0088】
本明細書では、「シアノ」という用語は、−CN基を意味する。
【0089】
本明細書では、「シクロアルキル」という用語は、飽和したもしくは部分的に飽和した
単環式、二環式または三環式アルキルラジカルを意味し、それぞれの環式部分は、3から
12個、好ましくは3から7個の炭素原子環員を含み、本明細書で定義する通り、場合に
よって置換されているベンゾ縮合環系に場合によってなり得る。かかるシクロアルキルラ
ジカルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シ
クロヘプチル、オクタヒドロナフチル、2,3−ジヒドロ−1H−インデニル、アダマン
チルなどが含まれる。本明細書では、「二環式」および「三環式」は、デカヒドナフタレ
ン、オクタヒドロナフタレンなどの縮合環系、ならびに多環式(多中心性)の飽和もしく
は部分的に不飽和のタイプが含まれるものとする。異性体の後者のタイプは、ビシクロ[
2.2.2]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[1.1.1]ペン
タン、カンフルおよびビシクロ[3.2.1]オクタンによって一般に例示される。
【0090】
本明細書では、「シクロアルケニル」という用語は、部分的に不飽和の単環式、二環式
もしくは三環式ラジカルを意味し、それぞれの環式部分は、3から12個、好ましくは5
から8個の、炭素原子環員を含み、本明細書で定義する通り、場合によって置換されてい
るベンゾ縮合環系に場合によってなり得る。かかるシクロアルケニルラジカルの例には、
シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シク
ロオクタジエニル、−1H−インデニルなどが含まれる。
【0091】
本明細書では、「シクロアルキルアルキル」という用語は、上記で定義した通りシクロ
アルキルラジカルによって置換されている上記で定義したアルキルラジカルを意味する。
かかるシクロアルキルアルキルラジカルの例には、シクロプロピルメチル、シクロブチル
メチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、1−シクロペンチルエチル、1
−シクロヘキシルエチル、2−シクロペンチルエチル、2−シクロヘキシルエチル、シク
ロブチルプロピル、シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルブチルなどが含まれる。
【0092】
本明細書では、「シクロアルケニルアルキル」という用語は、上記で定義した通りシク
ロアルケニルラジカルによって置換されている上記で定義したアルキルラジカルを意味す
る。かかるシクロアルケニルアルキルラジカルの例には、1−メチルシクロヘキシ−1−
エニル−、4−エチルシクロヘキシ−1−エニル−、1−ブチルシクロペント−1−エニ
ル−、3−メチルシクロペント−1−エニル−などが含まれる。
【0093】
本明細書では、「エステル」という用語は、炭素原子で結合した2つの部分を架橋する
カルボニルオキシ−(C=O)O−基を意味する。例には、安息香酸エチル、桂皮酸n−
ブチル、酢酸フェニルなどが含まれる。
【0094】
本明細書では、「エーテル」という用語は、炭素原子で結合した2つの部分を架橋する
オキシ基を意味する。
【0095】
本明細書では、「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、また
はヨウ素を意味する。
【0096】
本明細書では、「ハロアルコキシ」という用語は、酸素原子により親分子部分に結合し
たハロアルキル基を意味する。
【0097】
本明細書では、「ハロアルキル」という用語は、上記で定義した意味を有するアルキル
ラジカルを意味し、1つまたは複数の水素は、ハロゲンで置き換えられる。具体的に含ま
れるのは、モノハロアルキル、ジハロアルキル、ペルハロアルキル、およびポリハロアル
キルラジカルである。一例としては、モノハロアルキルラジカルは、ラジカルの中でヨー
ド、ブロモ、クロロまたはフルオロ原子を有し得る。ジハロおよびポリハロアルキルラジ
カルは、同一のハロ原子の2つ以上または異なるハロラジカルの組み合わせを有し得る。
ハロアルキルラジカルの例には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチ
ル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、トリクロロエチル、ペンタフル
オロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチ
ル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチルおよびジクロロプロピルが
含まれる。「ハロアルキレン」は、2つ以上の位置で結合したハロヒドロカルビル基を意
味する。例には、フルオロメチレン(−CHF−)、ジフルオロメチレン(−CF2−)
、クロロメチレン(−CHCl−)などが含まれる。かかるハロアルキルラジカルの例に
は、クロロメチル、1−ブロモエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオ
ロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、ペルフルオロデシルなどが含まれる。
【0098】
本明細書では、「ヘテロアルキル」という用語は、完全飽和のまたは1から3度の不飽
和を含む、定まった数の炭素原子ならびにO、N、およびSからなる群から選択される1
から3個のヘテロ原子からなる、安定した直鎖もしくは分枝鎖、もしくは環式炭化水素ラ
ジカル、またはそれらの組み合わせを意味し、窒素および硫黄原子は、場合によって酸化
することができ、窒素ヘテロ原子は、場合によって、四級化することができる。1個(ま
たは複数)のヘテロ原子O、NおよびSは、ヘテロアルキル基の任意の内側の位置に置く
ことができる。2個までのヘテロ原子は、例えば、−CH2−NH−OCH3など、連続
的になり得る。
【0099】
本明細書では、「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1個の原子がN、O、お
よびSからなる群から選択され、残りの環原子が炭素である場合、芳香族5または6員環
を意味する。5員環は、2つの二重結合を有し、6員環は、3つの二重結合を有する。ヘ
テロアリール基は、環の中の置換可能な炭素または窒素原子により親分子基に連結される
。「ヘテロアリール」という用語はまた、ヘテロアリール環が、本明細書で定義する通り
、アリール基、本明細書で定義する通り複素環基、または追加のヘテロアリール基に縮合
される系が含まれる。ヘテロアリールは、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾ
フラニル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルベンゾトリアゾリル、シンノリニル、
フリル、イミダゾリル、トリアゾリル[例えば、4H−1,2,4−トリアゾリル、1H
−1,2,3−トリアゾリル、2H−1,2,3−トリアゾリルなど]、テトラゾリル[
例えば、1H−テトラゾリル、2H−テトラゾリルなど]、インダゾリル、インドリル、
イソオキサゾリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリ
ル[例えば、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,
5−オキサジアゾリルなど]、オキサゾリル、イソオキサゾリル、プリニル、チアゾリル
、イソチアゾリル、チエノピリジニル、チエニル、チアジアゾリル[例えば、1,2,4
−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリルなど]、
ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピロリル、ピリド
[2,3−d]ピリミジニル、ピロロ[2,3−b]ピリジニル、キナゾリニル、キノリ
ニル、チエノ[2,3−c]ピリジニル、テトラゾリル、トリアジニルなどによって例示
される。本発明のヘテロアリール基は、場合によって、本明細書で定義された基から独立
に選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換することができる。
【0100】
ヘテロアリール基の例には、それだけには限らないが、チエニル、ベンゾチエニル、フ
リル、ベンゾフリル、ジベンゾフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル
、ピラジニル、ピリミジニル、インドリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、
テトラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、およびイソオキサゾリルが含
まれる。
【0101】
本明細書では、「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルキル」という用語は
、アルキル基により親分子部分に結合したヘテロアリール基を意味する。
【0102】
本明細書では、「ヘテロアラルケニル」または「ヘテロアリールアルケニル」という用
語は、アルケニル基により親分子部分に結合したヘテロアリール基を意味する。
【0103】
本明細書では、「ヘテロアラルコキシ」または「ヘテロアリールアルコキシ」という用
語は、アルコキシ基により親分子部分に結合したヘテロアリール基を意味する。
【0104】
本明細書では、「ヘテロアラルキリデン」または「ヘテロアリールアルキリデン」とい
う用語は、アルキリデン基により親分子部分に結合したヘテロアリール基を意味する。
【0105】
本明細書では、「ヘテロアリールオキシ」という用語は、酸素原子により親分子部分に
結合したヘテロアリール基を意味する。
【0106】
本明細書では、「ヘテロアリールスルホニル」という用語は、スルホニル基により親分
子部分に結合したヘテロアリール基を意味する。
【0107】
本明細書では、「ヘテロシクロアルキル」、同義的に「ヘテロシクリル」という用語は
、環員として1つまたは複数のヘテロ原子を含む、飽和、部分的に不飽和の、または完全
に不飽和の単環式、二環式、もしくは三環式複素環式ラジカルをそれぞれ意味し、それぞ
れの前記ヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄からなる群から独立に選択することがで
き、それぞれの環に通常3から8個の環員がある。最も一般的な複素環式環は、5から6
個の環員を含む。本発明のいくつかの実施形態において、複素環式環は、1から4個のヘ
テロ原子を含み;他の実施形態では、複素環式環は、1から2個のヘテロ原子を含む。「
ヘテロシクロアルキル」および「複素環」は、スルホン、スルホキシド、三級窒素環員の
N−オキシド、および炭素環式縮合およびベンゾ縮合環系を含むものとし、さらに、両方
の用語にはまた、複素環が本明細書で定義する通りアリール基または追加の複素環基に縮
合される系が含まれる。本発明の複素環基は、アジリジニル、アゼチジニル、1,3−ベ
ンゾジオキソリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロシンノ
リニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[4,5−b]ピ
リジニル、ベンゾチアゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロピリジニル、1,3−ジオ
キサニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、イソインドリニル、モルホ
リニル、ピペラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロピリジニル、ピペリジニル、チオモ
ルホリニルなどによって例示される。複素環基は、特に禁止されない限り、場合によって
置換してもよい。
【0108】
本明細書では、「ヘテロシクロアルケニル」という用語は、アルケニル基により親分子
部分に結合した複素環基を意味する。
【0109】
本明細書では、「ヘテロシクロアルコキシ」という用語は、酸素原子により親分子基に
結合した複素環基を意味する。
【0110】
本明細書では、「ヘテロシクロアルキルアルキル」という用語は、少なくとも1つの水
素原子が、ピロリジニルメチル、テトラヒドロチエニルメチル、ピリジルメチルなど、上
記で定義した通りヘテロシクロアルキルラジカルによって置き換えられる、上記で定義し
たアルキルラジカルを意味する。
【0111】
本明細書では、「ヘテロシクロアルキリデン」という用語は、アルキリデン基により親
分子部分に結合した複素環基を意味する。
【0112】
本明細書では、「ヒドラジニル」という用語は、単結合、すなわち、−N−N−によっ
て結合される2個のアミノ基を意味する。
【0113】
本明細書では、「ヒドロキシ」および「ヒドロキシル」という用語は、−OH基を意味
する。
【0114】
本明細書では、「ヒドロキシアルキル」という用語は、1から約10個の炭素原子を有
する直鎖または分枝アルキル基を意味し、そのいずれか1つは、1つまたは複数のヒドロ
キシルラジカルで置換することができる。かかるラジカルの例には、ヒドロキシメチル、
ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチルおよびヒドロキシヘキシルが
含まれる。
【0115】
本明細書では、「ヒドロキシアルキル」という用語は、アルキル基により親分子部分に
結合したヒドロキシ基を意味する。
【0116】
本明細書では、「イミノ」という用語は、=N−を意味する。
【0117】
本明細書では、「イミノヒドロキシ」という用語は、=N(OH)および=N−O−を
意味する。
【0118】
「主鎖中で」という語句は、基の本発明の化合物への結合点で開始する炭素原子の最も
長い隣接するまたは近接する鎖を意味する。
【0119】
「イソシアナト」という用語は、−NCO基を意味する。
【0120】
「イソチオシアナト」という用語は、−NCS基を意味する。
【0121】
「原子の直鎖」という語句は、炭素、窒素、酸素および硫黄から独立に選択される原子
の最も長い直鎖を意味する。
【0122】
「低級アルキル」のようなかかる用語として本明細書において用いられる「低級」とい
う用語は、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有するものを意味する。
【0123】
本明細書では、「メルカプトアルキル」という用語は、R’SR−基を意味し、Rおよ
びR’は本明細書で定義する通りである。
【0124】
本明細書では、「メルカプトメルカプチル」という用語は、RSR’S−基を意味し、
Rは、本明細書で定義する通りである。
【0125】
本明細書では、「メルカプチル」という用語は、RS−基を意味し、Rは、本明細書で
定義する通りである。
【0126】
「ヌルの」という用語は、孤立電子対を意味する。
【0127】
本明細書では、「ニトロ」という用語は、−NO2を意味する。
【0128】
「場合によって置換されている」という用語は、先行する基が置換されても置換されな
くてもよいことを意味する。「置換されている」は、炭素に結合した1個または複数の水
素原子が、「置換基」によって置き換えられていることを意味する。「場合によって置換
されている」という用語の範囲内に含まれるまたはそれらによって考えられる置換基は、
C1〜3アルキル、C3〜6シクロアルキル、C1〜3アルコキシ、ヒドロキシ、C1〜
3アルカノイル、C1〜3アルコキシカルボニル、ハロ、フェニル、ベンジル、フェノキ
シ、ベンゾイル、ピリジル、アミノ、C1〜3アルキルアミノ、アミド、C1〜3アルキ
ルアミド、シアノ、C1〜3ハロアルキル、およびC1〜3ペルハロアルキルである。2
つの置換基は、メチレンジオキシ、またはエチレンジオキシなどの0から3個のヘテロ原
子からなる縮合された4−、5−、6−、もしくは7員炭素環式または複素環式環を形成
するために一緒になって結合することができる。場合によって置換されている基は、非置
換(例えば、−CH2CH3)、完全に置換されている(例えば、−CF2CF3)、一
置換されている(例えば、−CH2CH2F)または完全に置換されているおよび一置換
されている(例えば、−CH2CF3)の間のどこかで、あるレベルで置換されていてよ
い。置換基が置換に関して資格を有さず列挙される場合、置換および非置換の形態は包含
される。置換基が「置換されている」資格がある場合、置換された形態は、特に意図され
る。すべてのペンダントアリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクロ部分は、上に挙
げた基から独立に選択される、1、2、3、4または5個の置換基で場合によってさらに
置換することができる。
【0129】
本明細書では、「オキシ」または「オキサ」という用語は、−O−を意味する。
【0130】
本明細書では、「オキソ」という用語は、二重に結合された酸素=Oを意味する。
【0131】
「ペルハロアルコキシ」という用語は、水素原子のすべてがハロゲン原子によって置き
換えられるアルコキシ基を意味する。
【0132】
本明細書では、「ペルハロアルキル」という用語は、すべての水素原子がハロゲン原子
によって置き換えられるアルキル基を意味する。
【0133】
本明細書では、「ホスホン酸塩」という用語は、GおよびG1がH、アルキル、アルケ
ニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールなどから選択される、−P(=O)(OG
)(OG1)基を意味する。
【0134】
本明細書では、「ホスフィナート」という用語は、GおよびG1がH、アルキル、アル
ケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールなどから選択される、−P(=O)(G
)(OG1)基を意味する。
【0135】
本明細書では、「スルホン酸塩」、「スルホン酸」および「スルホン基の」という用語
は、−SO3H基を意味し、スルホン酸としてのその陰イオンは、塩形成に用いられる。
【0136】
本明細書では、「スルファニル」という用語は、−Sおよび−S−を意味する。
【0137】
本明細書では、「スルフィニル」という用語は、−S(O)−を意味する。
【0138】
本明細書では、「スルホニル」という用語は、−SO2−を意味する。
【0139】
「N−スルホンアミド」という用語は、RS(=O)2NH基を意味し、Rは本明細書
で定義する通りである。
【0140】
「S−スルホンアミド」という用語は、S(=O)2NR2基を意味し、Rは本明細書
で定義する通りである。
【0141】
本明細書では、「チア」および「チオ」という用語は、−S−基またはエーテルを意味
し、酸素は、硫黄で置き換えられる。チオ基の酸化型の誘導体、すなわちスルフィニルお
よびスルホニルは、チアおよびチオの定義に含まれる。
【0142】
本明細書では、「チオエーテル」という用語は、炭素原子で結合した2つの部分を架橋
するチオ基を意味する。
【0143】
本明細書では、「チオール」という用語は、−SH基を意味する。
【0144】
本明細書では、「チオカルボニル」という用語は、単独のとき、チオホルミル−C(S
)Hを含み、組み合わせたとき、−C(S)−基である。
【0145】
「N−チオカルバミル」という用語は、ROC(S)NH−基を意味し、Rは本明細書
で定義する通りである。
【0146】
「O−チオカルバミル」という用語は、本明細書で定義する通りRを有する基、−OC
(S)NRを意味する。
【0147】
「チオシアナト」という用語は、−CNS基を意味する。
【0148】
「トリハロメタンスルホンアミド」という用語は、X3CS(O)2NR−基を意味し
、Xは、ハロゲンであり、Rは本明細書で定義する通りである。
【0149】
「トリハロメタンスルホニル」という用語は、Xがハロゲンである、X3CS(O)2
−基を意味する。
【0150】
「トリハロメトキシ」という用語は、Xがハロゲンである、X3CO−基を意味する。
【0151】
本明細書では、「三置換シリル」という用語は、置換アミノの定義の下で本明細書に示
された基を有する、その3つの自由原子価で置換されたシリコーン基を意味する。例には
、トリメチシリル、tert−ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリルなどが含まれ
る。
【0152】
本明細書では、「尿素」という用語は、−N(R)C(=O)N(R)(R)を意味し
、Rは本明細書で定義する通りである。
【0153】
「担体」という用語は、最も広義に用いられる。例えば、担体という用語は、任意の担
体、賦形剤、添加剤、湿潤剤、緩衝剤、懸濁化剤、潤滑剤、アジュバント、ビヒクル、送
達系、乳化剤、崩壊剤、吸収剤、保存剤、界面活性剤、着色料、香料、および甘味剤を意
味する。いくつかの実施形態において、担体は、「薬学的に許容される担体」という用語
が、医薬組成物中で使用するために適しているはずである非毒性を意味するため、担体よ
りも狭義の用語である、薬学的に許容される担体となり得る。
【0154】
本発明はまた、薬学的に許容される担体中で、本発明の少なくとも1つの化合物の有効
量を含む医薬組成物に関する。
【0155】
有効量という用語は、最も広義に用いられる。例えば、この用語は、所望の効果をもた
らすために必要とされる量を意味する。
【0156】
一実施形態では、本発明は、ウイルスの血球凝集素の成熟を標的にし、現在利用可能な
抗インフルエンザ薬によって得られるのと異なる段階で、感染性ウイルス粒子の産生を妨
害するための機会を提供する。他の実施形態では、本発明は、式Iの化合物の有効量を投
与することによってヒトおよび他の哺乳動物におけるウイルス感染症を治療および予防す
る方法を提供または企図する。1つのかかる化合物は、慢性C型肝炎の治療について米国
および海外で第II相臨床試験を現在行っている感染性胃腸炎の治療のための、米国にお
いて承認済みの生成物である、ニタゾキサニド(1)である。薬物は、1年にわたって投
与されるとき、安全かつ有効であることが示されており、第II相臨床試験は、将来は任
意の期間でインフルエンザの治療において開始することができる。臨床試験では、ロタウ
イルス性胃腸炎および慢性B型およびC型肝炎を治療することにおけるニタゾキサニドの
市販の医薬製剤の活性が最近実証されている。
【化1】