【実施例1】
【0017】
図1は実施例1のユニット建物Uの概略構成を示し、
図2は
図1のA1-A1線に沿う断面を示し、
図3は
図2のA2−A2線に沿う断面図、
図4は
図2に示した床板を除いた2階の建物ユニットの床フレームの説明図である。
この
図1においてユニット建物Uは、階段取付のための吹抜空間形成用の第1の建物ユニット組付体UAと、この第1の建物ユニット組付体UAに並設する第2の建物ユニット組付体UBを備えている。
【0018】
この第1の建物ユニット組付体UAは、1階(下階)の建物ユニットUa1と、1階の建物ユニットUa1の上に組み付けた2階(上階)の建物ユニットUa2を備えている。
また、第2の建物ユニット組付体UBは、1階(下階)の建物ユニットUb1と、1階の建物ユニットUb1の上に組み付けた2階(上階)の建物ユニットUb2を備えている。
尚、建物ユニットUa1,Ub1は、基礎1上に並設して構築されている。
【0019】
ここで、1階の建物ユニットUa1,Ub1と2階の建物ユニットUa2,Ub2は、それぞれ短辺側の長さが略2500mmで且つ長辺側の長さが略5400mmの建物ユニットである。
[第1の建物ユニット組付体UA]
(吹抜空間2)
また、第1の建物ユニット組付体UAを構成する1階の建物ユニットUa1と2階の建物ユニットUa2の内部には、
図1,
図3に示したように建物ユニットUa1,Ua2に跨って上下に延びる吹抜空間2が形成されている(
図2参照)。
<1階の建物ユニットUa1>
ここで、1階の建物ユニットUa1についてはフレーム構造の図示を省略しているが、建物ユニットUa1のフレームは一対の平行な長辺側の溝型鋼製の天井大梁(図示せず)と一対の平行な短辺側の溝型鋼製の天井大梁(図示せず)とを備えている。この図示を省略した一対の長辺側の天井大梁と一対の短辺側の天井大梁は、略矩形状に組まれた状態で隣接する端部同士が溶接により剛接合されている。また、図示しない長辺側の天井大梁間には、短辺側の天井小梁と平行な角型鋼の天井小梁(図示せず)が長辺側の天井大梁(図示せず)の延びる方向に間隔をおいて複数配設されている。この天井小梁は、長辺側の天井大梁に図示しない取付片を介して溶接により剛接合されている。また、1階の建物ユニットUa1では、天井フレームを形成する角型鋼の天井小梁のうち、吹抜空間2に対応する位置の天井小梁が省略されている。
<2階の建物ユニットUa2>
また、
図4に示した2階の建物ユニットUa2の床フレームUf2は、矩形状の外枠3と、複数の床小梁4,・・・(
図6参照)を備えている。この外枠3は、一対の長辺側の溝型鋼製の床大梁3A,3Aと、一対の短辺側の溝型鋼製の床大梁3B,3Bとを備えている。また、複数の床小梁4,・・・は、床大梁3Bと平行に且つ床大梁3Aの延びる方向に間隔をおいて配設されている。
【0020】
床大梁3A,3Aと床大梁3B,3Bは、矩形状に配設されていていると共に、隣接する端部同士が溶接により剛接合されて矩形状の外枠3を形成している。この外枠3は、4つのコーナ部(角部)C1〜C4を形成している。また、複数の床小梁4,・・・は端部が床大梁3A,3Aに取付片31[
図6(a),
図6(b)参照]を介して溶接により剛接合されている。これにより複数の床小梁4,・・・は、床大梁3Bと平行に床大梁3A,3Aに架設されている。しかも、床フレームを形成する床小梁4,・・・のうち、吹抜空間2に対応する位置の床小梁4が省略されている。
<折り返し階段K>
更に、吹抜空間2内には、
図1,
図2に示したように、1階の建物ユニットUa1の床f1から2階の建物ユニットUa2まで延びる折り返し階段(階段構造)Kが設けられている。この折り返し階段Kは、
図1〜
図3に示したように、1階の建物ユニットUa1の中間踊り場kaと、吹抜空間2内に位置するコーナ部C1の踊り場kbと、1階の建物ユニットUa1の床f1から中間踊り場kaまで延びる階段部k1と、中間踊り場kaから踊り場kb(
図4,
図5参照)まで延びる階段部k2を有する。
(踊り場kb)
この踊り場kbは、
図2,
図3に示したように踊り場フレーム(床フレーム)kfと、踊り場フレームkf上に取り付けられた踊り場パネルkpを有する。
【0021】
踊り場フレームkfは、
図4,
図5に示したように、床大梁3Aのコーナ部C1側の部分に溶接等により取り付けられた溝型鋼製の取付片32[
図7(a),
図7(b)参照]と、床大梁3Bのコーナ部C1側の部分に溶接等により取り付けられた溝型鋼製の取付片33[
図8(a),
図8(b)参照]と、取付片32とコーナ部C1との間に位置させて床大梁3Aに溶接等により取り付けられた溝型鋼製の取付片34[
図9(a),
図9(b)参照]を有する。
【0022】
尚、取付片31は、
図6(b)に示したように床大梁3Aの上部フランジ上に溶接固定された幅狭の上部フランジ31aと、床大梁3Aの下部フランジ上に溶接固定された幅広の下部フランジ31bを有する。取付片32は、
図7(b)に示したように床大梁3Aの上部フランジ上に溶接固定された幅狭の上部フランジ32aと、床大梁3Aの下部フランジ上に溶接固定された幅広の下部フランジ32bを有する。取付片33は、
図8(b)に示したように床大梁3Bの上部フランジ上に溶接固定された幅狭の上部フランジ33aと、床大梁3Bの下部フランジ上に溶接固定された幅広の下部フランジ33bを有する。 取付片34は、
図9(b)に示したように床大梁3Aの上部フランジ上に溶接固定された幅狭の上部フランジ34aと、床大梁3Aの下部フランジ上に溶接固定された幅広の下部フランジ34bを有する。
【0023】
また、踊り場フレームkfは、
図4,
図5に示したように、床大梁3Aの内側面側から床大梁3Bの延びる方向(軸方向)と同方向に平行に延びる角型鋼製の第一フレーム材5と、床大梁3Bの内側面側から床大梁3Aの延びる方向(軸方向)と同方向に平行に延びる角型鋼製の第二フレーム材6を有する。更に、踊り場フレームkfは、一対の分割補強部材7a,7bを備える補強部材7と、床大梁3A,3Bに対して斜めに配設された角型鋼製の補強用斜材(斜材)8を有する。
【0024】
補強部材7の分割補強部材7a,7bは、
図10に示したように鋼製で角筒型の部材が用いられていて、
図4,
図5に示すように床大梁3Aと第二フレーム材6との間に直線状に配設されていると共に、床大梁3Bと平行に第一フレーム材5と床大梁3Bとの間に配設されている。そして、分割補強部材7aは一端部が取付片34に溶接固定され、分割補強部材7bは一端部が第二フレーム材6の長手方向の中間部内側面に溶接固定されている。しかも、この分割補強部材7a,7bの他端部間には補強用斜材8の中間部が配設されていて、補強用斜材8の互いに反対側の側面8a,8bには分割補強部材7a,7bの他端部がそれぞれ溶接固定されている。
【0025】
更に、第一フレーム材5の一端部は取付片32に溶接固定され、第二フレーム材6の一端部は取付片33に溶接固定され、第一フレーム材5の他端部は第二フレーム材6の他端部内側面に溶接固定されている。また、補強用斜材(斜材)8は、両端部が取付片32,33にそれぞれ溶接固定されている。
【0026】
このような第一フレーム材5、第二フレーム材6、補強部材7、補強用斜材(斜材)8が設けられた踊り場フレームkf上に踊り場パネルkpを取り付けることにより、踊り場kbが完成する。
【0027】
この踊り場kbを有する第1の建物ユニット組付体UAの2階(上階)の建物ユニットUa2には、第2の建物ユニット組付体UBの2階(上階)の建物ユニットUb2が並設されている。そして、建物ユニットUa2には、踊り場kbから建物ユニットUb2内の居室R2に出入りするための入り口Op1が設けられていると共に、建物ユニットUa2の居室R1に出入りするための入り口Op2が設けられている(
図2参照)。
【0028】
この第一フレーム材5には、腰壁取付支柱5a,5bが長手方向両端部上に植立固定されている。この腰壁取付支柱5a,5bは、下端に図示を省略したベースプレートを溶接固定しておいて、このベースプレートをボルト等で第一フレーム材5に固定することにより第一フレーム材5に植立固定することができるが、第一フレーム材5上に溶接固定することにより第一フレーム材5に植立固定することもできる。そして、この腰壁取付支柱5a,5bには、腰壁パネル5cが図示しないボルト等で着脱可能に固定されている。
【0029】
また、2階の建物ユニットUa2は、
図3に示したように複数の床小梁4,・・・上に取り付けられた床下地材91及び床仕上げ材92から成る床面材(床パネル)9を有し、この床面材9の上に居室R1が設けられている。
【0030】
また、
図4に示した吹抜空間2側の床小梁4の長手方向中央(中間)部分には、
図11に示したように、吹抜空間2側の側面に位置させて側面形状をコ字状に形成した取付部材10が溶接固定されている。この取付部材10には、
図11,
図12に示したように上下に位置させたボルト孔10a,10aが形成されている。この取付部材10には、
図11に示したように床小梁4と取付部材10との間に配設したナット11,11がボルト孔10a,10aに合わせて溶接固定されている。
【0031】
この取付部材10の吹抜空間2側には
図11に示したように腰壁パネル取付用の上下に延びる支柱12が配設されている。この支柱12は、
図13に示したようにコ字状部12aとコ字状部12aの両開放縁部に設けられたフランジ部12b,12bから平面形状がハット状に形成されている。そして、コ字状部12aの底部の下端部には、
図11,
図12に示したようにボルト孔12c,12cが形成されている。
【0032】
そして、支柱12の下端部は、ボルト孔12c,12cに挿通したボルト13,13を取付部材10のボルト孔10a,10aを介してナット11,11に螺着することにより、取付部材10に固定されている。この支柱12のフランジ部12b,12bには、腰壁パネル14A,14Aがネジ15,15により固定されている(
図2参照)。これによって腰壁パネル14A,14Aは、2階の建物ユニットUa2の床面材9上の居室を吹抜空間2に開放させて開放感が得られるように、腰壁14を構成している。しかも、この腰壁14は、床面材9上の居室R1から折り返し階段K側に落下防止するのを防止している。
【0033】
また、支柱12を設ける部分を除いた床小梁4の吹抜空間2側の側面には、
図3に示したように、横桟材16がスクリュー釘17,・・・により固定されて設けられている。しかも、床面材9は吹抜空間2側の床小梁4から吹抜空間2に突出する延長部分を有している。この床面材9の延長部分は、横桟材16に支持されていると共に、腰壁パネル14Aの下面を支持している。
【0034】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態について実施例をもとに詳述してきたが、具体的な構成は、上記した実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0035】
例えば、上記実施例1,2では、ユニット建物Uを、説明が簡単なように、単純な2階建てとしたが、これに限定されず、より複雑な構成で実施してもよい。
【実施例2】
【0036】
更に、上述した実施例では第二フレーム材6と長辺側の床大梁3Aとを補強部材7により連結するように構成としたが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、
図14に示したように、L字状の補強部材40の両端部を第一,第二フレーム材5,6の内側面に溶接固定すると共に、L字状の補強部材40の中間部の折曲部40aの外側面40bを補強用斜材8の側面に溶接固定するようにしてもよい。
【0037】
以上説明したように、この発明の実施の形態のユニット建物の階段構造は、下階の建物ユニットUa1とその上部に載置された上階の建物ユニットUa2との内部に形成された吹抜空間2内に階段が設けられている。また、前記上階の建物ユニットUa2は、一対の長辺側の床大梁3Aと一対の短辺側の床大梁3Bとが略矩形状に組まれ、前記長辺側の床大梁3A,3A間に複数の床小梁4が前記短辺側の床大梁3Bの軸方向に架設されて床フレームUf2が形成され、前記吹抜空間2が形成される部分では前記床小梁4が省略されている。更に、前記上階の建物ユニットUa2の前記長辺側の床大梁3Aの内側面から第一フレーム材5が前記短辺側の床大梁3Bの軸方向に突出して設けられ、前記上階の建物ユニットUa2の前記短辺側の床大梁3Bの内側面から第二フレーム材6が前記長辺側の床大梁3Aの軸方向に突出して設けられ、前記第一フレーム材5の先端部と前記第二フレーム材6の先端部とが接合されて上階の建物ユニットUa2の内隅部(コーナ部C1)に踊り場kbの床フレーム(踊り場フレームkf)が形成されている。
【0038】
しかも、前記第一,第二フレーム5,6の一方の内側面と前記第一,第二フレーム5,6の一方と同方向に延びる床大梁(3A,3Bの一方)の内側面との間に補強部材7が設けられていると共に、前記長辺側の床大梁3Aの内側面と短辺側の床大梁3Bの内側面が斜材で連結されている。
【0039】
このような構成によれば、十分な構造強度を有する階段の踊り場kbを上階の建物ユニットUa2の内隅部(コーナ部C1)に簡易に形成することができる。しかも、上階の建物ユニットUa2の内隅部(コーナ部C1)に設けられた踊り場フレームkfに床大梁3A,3Bを中心とする下方への荷重が作用して、床大梁3A,3Bに軸回り方向に捻れ回転しようとしても、前記斜材(補強用斜材8)が床大梁3A,3Bの軸回り方向への捻れ回転を防止するので、上階の建物ユニットUa2の床大梁3A,3Bの十分な構造強度を確保できる。
【0040】
また、この発明の実施の形態のユニット建物の階段構造において、前記斜材(補強用斜材8)は、前記補強部材7と連結されている。
【0041】
この構成によれば、踊り場kbの床フレーム(踊り場フレームkf)の強度が更に向上する。
【0042】
この発明の実施の形態のユニット建物の階段構造は、下階の建物ユニットUa1とその上部に載置された上階の建物ユニットUa2との内部に形成された吹抜空間2内に階段が設けられている。また、前記上階の建物ユニットUa2は、一対の長辺側の床大梁3Aと一対の短辺側の床大梁3Bとが略矩形状に組まれ、前記長辺側の床大梁3A,3A間に複数の床小梁4が前記短辺側の床大梁3Bの軸方向に架設されて床フレームUf2が形成され、前記吹抜空間2が形成される部分では前記床小梁4が省略されている。更に、前記上階の建物ユニットUa2の前記長辺側の床大梁3Aの内側面から第一フレーム材5が前記短辺側の床大梁3Bの軸方向に突出して設けられ、前記上階の建物ユニットUa2の前記短辺側の床大梁3Bの内側面から第二フレーム材6が前記長辺側の床大梁3Aの軸方向に突出して設けられ、前記第一フレーム材5の先端部と前記第二フレーム材6の先端部とが接合されて上階の建物ユニットUa2の内隅部(コーナ部C1)に踊り場kbの床フレーム(踊り場フレームkf)形成されている。また、前記長辺側の床大梁3Aの内側面と短辺側の床大梁3Bの内側面が斜材(補強用斜材8)で連結されている。しかも、補強部材が前記二フレーム6の内側面と前記斜材(補強用斜材8)の側面に連結されている。
【0043】
このような構成によれば、十分な構造強度を有する階段の踊り場kbを上階の建物ユニットUa2の内隅部(コーナ部C1)に簡易に形成することができる。しかも、上階の建物ユニットUa2の内隅部(コーナ部C1)に設けられた踊り場フレームkfに床大梁3A,3Bを中心とする下方への荷重が作用して、床大梁3A,3Bに軸回り方向に捻れ回転しようとしても、前記斜材(補強用斜材8)が床大梁3A,3Bの軸回り方向への捻れ回転を防止するので、上階の建物ユニットUa2の床大梁3A,3Bの十分な構造強度を確保できる。
【0044】
この構成によれば、補強部材7や斜材(補強用斜材8)の組付前の構造を簡単に形成することができる。
【0045】
また、この発明の実施の形態のユニット建物の階段構造では、前記吹抜空間2に面する位置の前記床小梁4から立ち上げた支柱12によって、腰壁パネル14Aが支持され、落下防止用の腰壁14が設けられている。
【0046】
この構成によれば、吹抜空間2に面する位置の床小梁4から立ち上げた支柱12によって、腰壁パネル14Aが支持され、落下防止用の腰壁14が設けられているので、腰壁14により吹抜空間2側への落下を防止できる。
【0047】
また、この発明の実施の形態のユニット建物の階段構造において、前記支柱12は、その内部にボルト孔10aの位置に合わせてナット11がそれぞれ固定して設けられた取付部材10を介して、前記吹抜空間2に面する位置の前記床小梁4の吹抜空間2側の側面にボルト13止めで固定されている。
【0048】
この構成によれば、ボルト孔10aが設けられ且つこのボルト孔10aの位置に合わせて固定されたナット11が設けられた取付部材10を吹抜空間2に面する位置の床小梁4の吹抜空間2側の側面に固定しておくことで、支柱12を取付部材10のナット11に容易にボルト固定することができるので、支柱12を吹抜空間に面する位置の床小梁から容易に立ち上げた状態として設けることができる。
【0049】
また、この発明の実施の形態の建物ユニットUa2は、ユニット建物Uの階段構造の踊り場kbの床フレーム(踊り場フレームkf)を備えている。また、この発明の実施の形態のユニット建物Uは、上述した建物ユニットUa2を備えている。この建物ユニットUa2及びユニット建物Uは、上述したユニット建物Uの階段構造の作用・効果を有する。