(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発電装置と、前記発電装置で発電された交流電力を直流電力に変換するコンバータと、前記コンバータで変換された直流電力を、系統に連系可能な交流電力に変換する連系型インバータとを備えると共に、
前記コンバータと連系型インバータとの間から、負荷に直流または交流の電力を供給する負荷出力部を備えていて、
さらに、第1バッテリと、
前記第1バッテリよりも定格電圧が低い第2バッテリと、
前記コンバータおよび前記負荷出力部を繋ぐ直流配線と前記第1バッテリとの接続、および、前記直流配線と前記第2バッテリとの接続を切り替える第1接点部と、を備え、
前記第1接点部の切り替えにより前記第1バッテリおよび前記第2バッテリが個別に充電されるものであって、
前記第2バッテリを前記第1バッテリに直列に繋ぐ第2接点部を備え、
前記直流配線の電圧が第1設定電位範囲の上限値よりも大きい、または、下限値よりも小さい場合に、前記第2接点部が閉じられて前記第1バッテリおよび前記第2バッテリが前記直流配線に接続される
ことを特徴とする発電システム。
発電装置と、前記発電装置で発電された交流電力を直流電力に変換するコンバータと、前記コンバータで変換された直流電力を、系統に連系可能な交流電力に変換する連系型インバータとを備えると共に、
前記コンバータと連系型インバータとの間から、負荷に直流または交流の電力を供給する負荷出力部を備えていて、
前記負荷出力部は、前記コンバータで変換された直流電力を、交流電力に変換して前記負荷に出力する独立型インバータを有していて、
さらに、第1バッテリと、
前記第1バッテリよりも定格電圧が低い第2バッテリと、
前記コンバータおよび前記負荷出力部を繋ぐ直流配線と前記第1バッテリとの接続、および、前記直流配線と前記第2バッテリとの接続を切り替える第1接点部と、を備え、
前記第1接点部の切り替えにより前記第1バッテリおよび前記第2バッテリが個別に充電されるものであって、
前記第2バッテリを前記第1バッテリに直列に繋ぐ第2接点部を備え、
前記直流配線の電圧が第1設定電位範囲の上限値よりも大きい、または、下限値よりも小さい場合に、前記第2接点部が閉じられて前記第1バッテリおよび前記第2バッテリが前記直流配線に接続される
ことを特徴とする発電システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明の発電システム1の第1実施形態を、図を用いて説明する。
図1に示すように、第1実施形態の発電システム1は、電力会社などが供給する電力系統とは別に設けられた自立的な発電設備であって、自ら発電した電力を負荷(例えば、工場内の設備など)に供給したり、電力系統に売電したりできるようになっている。
【0017】
本発明の発電システム1に設けられる発電装置2(発電機)は、どのような発電方式に属するものであっても良い。例えば、蒸気を用いたランキンサイクルやガスタービンのような発電方式であっても良いし、水力、太陽光、風力といった自然エネルギで発電を行う方式であっても良い。なお、以降の第1実施形態、及び後述する第2実施形態では、バイナリサイクルを利用した発電装置2(バイナリ発電装置)を用いた例を挙げて、本発明の発電システム1を説明する。
【0018】
第1実施形態の発電システム1は、所定の電力(例えば、200Vの三相交流)を発電可能な発電装置2(発電機)と、この発電装置2で発電された交流の電力を直流の電力に変換するコンバータ3と、コンバータ3で変換された直流の電力を外部の系統(電力系統)に連系可能な交流に変換する連系型インバータ4とを有している。
次に、第1実施形態の発電システム1を構成する発電装置2、コンバータ3、及び連系型インバータ4について、まず説明する。
【0019】
第1実施形態の発電装置2は、バイナリサイクルを用いて発電を行うバイナリ発電装置2であり、発電装置2外で発生した地熱や工場排熱などのような熱源を利用して発電を行うものである。
この発電装置2は、熱源の熱を利用して液体の作動媒体(例えば、代替えフロンなど)を蒸発させる蒸発器5と、この蒸発器5で生成された作動媒体の蒸気を用いて膨張機6のタービン(例えば、スクリュ膨張機のスクリュタービン)を回転させて発電を行う発電機7と、この発電機7で発電に用いられた作動媒体の蒸気を凝縮させて液体に戻す凝縮器8とを有している。これらの蒸発器5、膨張機6、凝縮器8は作動媒体を循環させる閉ループ状の循環配管9により接続されており、この循環配管9には作動媒体(例えば、水より沸点の低い低沸点の有機媒体など)を蒸発器5から膨張機6・凝縮器8を経由して蒸発器5に帰還する順に循環させる媒体循環ポンプ10が備えられている。
【0020】
なお、この発電装置2に用いられる発電機7は交流を発生させる発電機であり、発電機7で発電された交流の電力(3相交流)は、3極配線を介してコンバータ3に送られる。
コンバータ3は、発電機7で発電された交流の電力を直流に変換するものである。このコンバータ3で直流に変換された直流電力は、直流状態のままコンバータ3から独立型インバータ14に送られる。
【0021】
独立型インバータ14は、後述する連系型インバータ4とは異なり、装置自身において、出力側の電圧、周波数、位相を設定することが可能となっているものである。したがって、例えば、負荷11が200V、60Hzの三相交流で稼働する負荷11である場合は、独立型インバータ14における変換後の交流の特性の設定を「電圧=200V、周波数=60Hz、位相差=120°」に指定するとよい。それにより、独立型インバータ14は、発電装置2で発電され、コンバータ3を経由して供給される直流電力を、所望とする(負荷に合った)交流電力へと変換できる。
【0022】
負荷11に電力を供給した上で発電装置2で発電された電力に余裕がある場合は、発電した電力の一部を電力系統に売電することもできる。例えば、コンバータ3から独立型インバータ14に向かう直流配線の途中に分岐配線を設け、この分岐配線に連系型インバータ4を設ける。
この連系型インバータ4は、コンバータ3で直流に変換された電力を再び交流に変換するものである。この連系型インバータ4には、図中に点線で示すように外部に設けられた電力系統で供給されている(電力会社から供給されている)交流の電圧、周波数、位相の情報が入力されており、連系型インバータ4は電力系統から入力された情報に合わせて、電力系統で供給されているものと全く同じ電圧、周波数、位相の交流に直流の電力を変換するものとなっている。
【0023】
例えば、この連系型インバータ4に、200V、60Hz、位相差120°の電力系統が接続されている場合、この電力系統の品質に合わせて直流の電力を200V、60Hz、位相差120°の交流に高精度で変換する。また、この連系型インバータ4では、電力系統を流れる交流電力との間に位相差が生じないように、電力系統を流れる交流電力と位相が同期した交流が出力される。このようにして連系型インバータ4で変換された交流の電力は、必要に応じて外部の電力系統に供給(売電)することができる。
【0024】
以上述べた本実施形態の発電システム1は、言い換えるならば、コンバータ3と連系型インバータ4との間に、負荷11に直流または交流の電力を供給する負荷出力部12(独立型インバータ14)を設けたものである。この位置に負荷出力部12を設けるのは、次のような理由からである。
図4は比較例に係る発電システムを示す図である。コンバータで直流に変換された電力をインバータ104で交流に変換した後、交流に変換された電力を負荷111に送る場合を考える。
【0025】
このインバータ104は、上述した連系型インバータ4と同様に電力系統を流れる電力の電圧、周波数、あるいは位相と等しくなるように直流を交流に変換するもの、言い換えれば連系型のインバータ104とされている必要がある。
ところが、
図4に示すようなシステムにおいて、電力系統が落雷や災害などで停電した場合には発電を継続することが困難になることがある。というのも、インバータ104は、例えば電力系統を流れる電力の電圧、周波数、あるいは位相と等しくなるように直流を交流に変換しているため、インバータ104が停止してしまうと、直流の電力を交流に変換することできない。そうすると、
図4に示す発電システムでは、発電した電力を負荷111に送ることができなくなり、発電を継続することが不可能になる。
【0026】
このように、
図4の発電システムでは、電力系統が停電した場合には、電力系統とは別に自家発電が可能な発電装置102が設けられているにも関わらず、負荷に電力を供給することができなくなる。
一方で、本発明の発電システム1では、コンバータ3と連系型インバータ4との間に、上述したような負荷出力部12を設けて、負荷出力部12から連系型インバータ4を経由することなく直接負荷11に電力を供給することにより、電力系統の停電などの理由で連系型インバータ4が停止した場合であっても、独立型インバータ14は動き続けるため、発電した電力を負荷11に供給することを可能としている。このようにすれば発電装置2で発電した電力を負荷11で消費し続けることが可能となり、連系型インバータ4が停止しても発電装置2での発電を継続することが可能となる。
【0027】
やがて、停電していた電力系統が復帰して電力系統からの電力供給が可能になったら、停止状態にあった連系型インバータ4を再始動させる。そうすると、発電した電力を電力系統に供給することが可能になる。
なお、上述した負荷出力部12をコンバータ3と連系型インバータ4との間に設けて、発電装置2で発電した電力を負荷に供給する場合には、図例のように負荷変動に伴って発生するコンバータ3の出力側の電圧変動を安定化させる電圧安定化手段13が、コンバータ3と負荷出力部12との間に備えられているのが好ましい。
【0028】
図1に示すように、電圧安定化手段13は、コンバータ3から独立型インバータ14に達するまでの直流配線に設けられていて、負荷変動に伴ってこれらの直流配線間に発生する電圧変動を安定化させるものである。言い換えれば、電圧安定化手段13は、直流配線間に発生する電圧変動を安定化させることにより、負荷(電圧)の変動を吸収するものということもできる。
【0029】
具体的には、電圧安定化手段13は、直流配線間(極間)を結ぶ配線上に設けられた抵抗15と、直流配線間の電圧を測定する電圧測定器16とを有している。さらに、電圧安定化手段13は、電圧測定器16で測定された電圧が所定の電圧となっているか否かを比較(判断)する比較部17(コンパレータなど)と、比較部17での判断の結果に応じて例えば20kHzの高周波数で作動するスイッチング部18とを備えている。スイッチング部18は、高周波ゲート指令部19(指令部)とこの高周波ゲート指令部19の信号がゲートに入力されるIGBT20(パワースイッチング素子)とを備えていて、IGBT20のスイッチング動作により直流配線間で生じる負荷(電圧)を調整している。なお、直流配線間を結ぶ配線上には、スイッチング部18と並列に整流子が設けられていてもよい。
【0030】
なお、スイッチング部18を構成するIGBT20に代えてSSR(Solid State Relay)やコンタクタ(SSC)を用いることもできる。また、本発明の電圧安定化手段13では、スイッチング部18をトランジスタ(TR)などで構成することも可能である。トランジスタで構成すると、高速なスイッチング動作を不要にでき、簡便な構成でありながらもノイズ発生などの問題を回避可能となる。
【0031】
なお、負荷出力部12から負荷11に送られる電力は一般には交流であることが多いが、直流であっても良い。負荷が例えば直流で動く設備である場合は、直流のまま負荷に電力を供給する方が良いからである。
次に、上述した発電システム1において電力系統が停電した際に行われる操作と、比較例に係る発電システム1において電力系統が停電した際に行われる操作とを対比して、本発明の発電システム1が有する作用効果について詳しく説明する。
【0032】
例えば、送電線に落雷があったり発電所が災害などを受けて電力系統が停電した場合を考える。このように電力系統が停電すれば、電力系統から連系型インバータ4に対して入力される信号がなくなり、直流の電力を交流に変換することができなくなって連系型インバータ4は停止してしまう。
ここで、
図4に示す発電システム101(参考の発電システム101)であれば、負荷111が連系型インバータ104よりも電力系統側に設けられているため、連系型インバータ104が停止すると、発電装置102側から負荷111に所定の電圧、周波数、位相を備えた交流を送ることができなくなる。その結果、負荷111に対する電力の供給が完全にストップする。そして、発電装置102は無負荷で発電を行うことになるので、発電装置102自体も最終的に停止する。
【0033】
つまり、
図4の発電システム101では、電力系統が停電した場合には、電力系統とは別に自家発電が可能な発電装置102が設けられているにも関わらず、負荷に電力を供給することができなくなる。
一方、
図1に示す第1実施形態の発電システム1の場合であれば、電力系統の停電に伴って連系型インバータ4が停止してしまった場合も、負荷出力部12が負荷11に電力を供給し続ける。つまり、コンバータ3で変換された直流の電力を負荷出力部12の独立型インバータ14が交流の電力に変換し、負荷11に合わせた電圧、周波数、または位相の交流を供給し続ける。そのため、電力系統が停電した後も発電装置2で発電した電力は負荷11に送られ、電力系統が停電しても負荷11である設備などは運転を継続することができる。つまり、第1実施形態の発電システム1は、高信頼性を有する発電システム1である。さらに、第1実施形態の発電システム1の場合は発電装置2は停止しないため、従来の発電システム1のように発電装置2を再始動させるために複雑な操作は不要となる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の発電システム1について、
図2を用いて説明する。
【0034】
図2に示すように、第2実施形態の発電システム1は、コンバータ3と負荷出力部12との間に、上述した電圧安定化手段13と並列にバッテリ21(蓄電手段)を備えている点が、第1実施形態と大きく異なっている。
具体的には、この第2実施形態の発電システム1は、直流の電力を蓄電するバッテリ21を有している。このバッテリ21は、コンバータ3から独立型インバータ14に向かう直流配線(乃至は分岐配線)に設けられた蓄電ユニットであり、一定時間だけ電力を供給可能なものとなっている。このバッテリ21は、直流配線に対してON/OFFスイッチを介して接続されている。バッテリ21に蓄えられた電力は、例えば冷媒ポンプ10や発電装置2の起動に用いられる。また、当該電力は発電システム1以外の機器に供給されてもよい。
【0035】
ところで、第2実施形態の発電システム1において、上述した電圧安定化手段13に加えてバッテリ21を設ける理由は、次のようなものである。
例えば、上述した発電システム1において、負荷側で消費する電力量が想定以上に大きくなった場合を考える。この場合、負荷の増大に合わせて発電装置2で発電される電力を迅速に増やすことが望まれる。
【0036】
しかしながら、第2実施形態の発電システム1における発電装置2は、バイナリサイクルを用いた発電装置2であり、バイナリサイクルでは作動媒体の循環量を急峻に増加させることができず、そのため発電された電力がすぐに増加することはなく、増大する負荷に対して発電される電力の追従が遅れがちになる。また、抵抗15、IGBT20などで構成された第1実施形態と略同様な電圧安定化手段13では、直流配線を流れる直流電力の一部を抵抗15で消費するものであって、負荷の増大に合わせて供給電力を増やす作用を有するものではない。
【0037】
そこで、第2実施形態の発電システム1では、電圧安定化手段に加えてバッテリ21を設けておき、負荷変動により負荷側の消費電力が大きくなった場合には、バッテリ21のスイッチをONにして、バッテリ21に充電された電力を負荷出力部12側へ供給する。斯かるバッテリ21からの電力供給により、独立型インバータ14の入側での電力不足、電圧低下を回避でき、独立型インバータ14の出力(すなわち負荷側)で電圧が低下するなどといった不都合を確実に防ぐことができるものとなる。
【0038】
そして、バッテリ21を用いて増えた負荷11を補っている間に、バイナリサイクルでの作動媒体を増やすなどして、発電装置2で発電される電力を増大させる。やがて、負荷11の増分に対応した電力が発電装置2で発電できるようになったら、バッテリ21をOFFにし、コンバータ3〜独立型インバータ14間の直流配線から切り離すようにする。
逆に、負荷側で消費する電力量が想定以上に小さくなった場合は、バッテリ21のスイッチをOFFにしたまま、第1実施形態と同様の電圧安定化手段13を用いて電力の一部を消費して、コンバータ3と独立型インバータ14との間の直流配線を流れる直流電力の電圧を小さくするとよい。この際、バッテリ21のスイッチをONにしてバッテリ21への充電を行うようにしてもよい。こうすることで、電力をむだに使用する状況(電圧安定化手段13を用いて電力の一部を熱として消費)を多少なりとも回避できるようになる。
【0039】
このように、電圧安定化手段13及びバッテリ21を設ければ、負荷の増大、減少にも確実に対応し、コンバータ3〜独立型インバータ14間の直流配線における電圧変動を補償して常に安定した電力を供給できる高信頼性を備えた発電システム1を実現できるようになる。なお、第2実施形態の他の構成や他の作用効果は、第1実施形態と略同様であるため、詳細な説明は省略する。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の発電システム1について、
図3を用いて説明する。
【0040】
図3に示すように、第3実施形態の発電システム1は、高温高圧の蒸気などを利用して発電を行う発電装置2を用いている点が第1実施形態と大きく異なっている。
すなわち、第3実施形態の発電システム1に設けられる発電装置2は、スクリュ膨張機6と、このスクリュ膨張機6で発生する回転駆動力により、発電を行う発電機7を備えている。さらに、スクリュ膨張機6内に高温高圧の蒸気を導入する高圧蒸気配管23と、スクリュ膨張機6内で膨張された低圧の蒸気を排出する低圧蒸気配管24とを備えている。この高圧蒸気配管23には、スクリュ膨張機6内に流入する蒸気の圧力を計測する入側の圧力計25と、膨張機内に流入する蒸気の圧力や流量を調整する調整弁26が備えられている。
【0041】
また、低圧蒸気配管24には、スクリュ膨張機6から外部に排気される蒸気の圧力を計測する出側の圧力計27と、スクリュ膨張機で膨張済みの低圧の蒸気を貯留するバッファタンク28とを有している。このバッファタンク28に貯留された低圧の蒸気は、他の設備などで二次的に利用される。
上述したような第3実施形態の発電システム1では、高圧蒸気配管24を通じてスクリュ膨張機6内に導かれた高圧の蒸気がスクリュ膨張機6のスクリュタービンを回転させ、スクリュタービンに連結された発電機7で発電が行われる。
【0042】
つまり、第1実施形態と同様に、例えば発電機7を用いて発生した交流の電力をコンバータ3で直流電力に変換し、コンバータ3で変換された直流電力を連系型インバータ4で系統に連系可能な交流電力に変換するようにした上で、コンバータ3と連系型インバータ4との間から負荷出力部12を用いて負荷11に直流または交流の電力を供給すれば、連系下にあった電力系統が停電した場合においても継続して発電を行うことができ、高い信頼性を維持することが可能となる。
【0043】
第3実施形態の他の構成や他の作用効果は、第1実施形態と略同様であるため、詳細な説明は省略する。
[第4実施形態]
次に、第4実施形態の発電システム1について、
図5を用いて説明する。発電システム1の構成は、第2実施形態の装置(
図2参照)と略同じである。第1バッテリ30は、コンバータ3から系統へと向かう直流配線38(以下、「母線38」という。)に接続されており、第1バッテリ30と母線38との間には接点331が設けられる。第1バッテリ30の定格電圧は342Vである。第1バッテリ30は蓄電された電力(10kW)を30分間、負荷11に供給することが可能である。
【0044】
接点331の開閉は制御部39にて行われる。接点331は常開接点である。接点331としてIGBT等の半導体スイッチが用いられる。母線38に生じる電圧は定常的に345V以上350V以下の範囲に制御される。以下、母線38に生じる電圧を「母線電圧」といい、当該範囲を「定常範囲」という。ただし、発電システム1は340V以上380V以下の範囲まで出力可能である。以下、当該範囲を「許容範囲」という。
【0045】
次に、第1バッテリ30の充電及び放電の手順を
図6を参照しつつ述べる。まず、第1バッテリ30のプラス側の位置であるB点の電位Vbが測定され、電位Vbが予め設定された第1開閉閾値(本実施形態では、341.5V)以下であるか否かが判断される(ステップS101)。電位Vbはマイナス側母線382を基準として求められており、実質的に第1バッテリ30の電圧に等しい。電位Vbが第1開閉閾値以下であると判断されると、接点331が閉じられる(ステップS102)。既述のように、母線電圧の定常範囲が345V以上350V以下であることから第1バッテリ30の電圧は母線電圧よりも低く、第1バッテリ30が充電される。一定時間経過後、接点331が初期状態、すなわち、開かれ、ステップS101に戻り、再び電位Vbと第1開閉閾値とが比較される。
【0046】
ステップS101において、電位Vbが第1開閉閾値よりも大きいと判断されると、
図5中のA点、すなわち、プラス側母線381の電位Vaが測定され、電位Vaが予め設定された第2開閉閾値(本実施形態では、341.5V)以下であるか否かが判断される(ステップS103)。電位Vaが第2開閉閾値以下となった場合、すなわち、電位Vaが定常範囲よりも低下した場合、接点331が閉じられる(ステップS102)。第1バッテリ30が十分に充電された状態では、第1バッテリ30が母線38へと放電する。これにより、母線電圧が低下しても負荷11へ供給される電力量の低下を補うことができる。一定時間経過後、接点331が開かれ、ステップS101に戻る。一方、電位Vaが第2開閉閾値よりも大きい場合、接点331を開いた状態が維持される(ステップS104)。一定時間経過後、ステップS101に戻る。
【0047】
以上に説明したように、発電システム1では、第1バッテリ30の電圧および母線電圧に応じて接点331を開閉することにより、接点331を常時閉じる場合に比べて、第1バッテリ30の負荷を低減し、第1バッテリ30を長寿命とすることができる。
第1開閉閾値および第2開閉閾値は、母線電圧の下限値(本実施形態では340V)以上とされ、第1バッテリ30の定格電圧(本実施形態では、342V)以下とされるのであれば他の値でもよい。
【0048】
第1バッテリ30は、定格電圧が340V以上であれば他のバッテリが用いられてもよい。発電システム1では、接点331として半導体リレーに代えてメカニカルリレーが用いられてもよい。以下の実施形態における各種接点においても同様である。発電システム1では、実質的に、第1バッテリ30の電圧と第1開閉閾値との比較、および、母線電圧と第2開閉閾値との比較を行うことができるのであれば、必ずしもマイナス側母線382を基準として電位の測定を行う必要はない。以下の実施形態におけるバッテリおよび母線と閾値との比較においても同様である。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態の発電システム1について、
図7を用いて説明する。発電システム1の構成は、第1バッテリ30および接点331を介して母線38に接続される分岐経路と、第1バッテリ30、抵抗31および接点332を介して母線38に接続される分岐経路と、を備える。他の構造は、第4実施形態の装置と同様である。接点331,332は常開接点である。
【0049】
図8は、第1バッテリ30の充電及び放電の手順を示したものである。まず、B点の電位Vbが測定され、電位Vbが予め設定された第1開閉閾値(本実施形態では、341.5V)以下であるか否かが判断される(ステップS201)。電位Vbが第1開閉閾値以下である場合、ステップS202へ移行する。電位Vbが第1開閉閾値より大きい場合は、ステップS203へ移行する(詳細については後述する。)。
【0050】
ステップS202では、A点の電位Vaを測定し、電位Vaと予め設定された第3開閉閾値(本実施形態では、345V)とを比較する。電位Vaが第3開閉閾値以上の場合、接点332が閉じられるとともに接点331が開かれ(ステップS204)、第1バッテリ30が充電される。抵抗31を介して第1バッテリ30が充電されることにより、母線電圧が大きい場合であっても、突入電流を防止することができる。一定時間経過後、接点331,332が初期状態に戻され、ステップS201に戻る。
【0051】
一方、ステップS202において、電位Vaが第3開閉閾値より小さい場合、接点331が閉じられるとともに接点332が開かれる(ステップS205)。母線電圧が第1バッテリ30の電圧よりも大きい場合には、第1バッテリ30が充電される。母線電圧と第1バッテリ30の電圧との差が小さいため、抵抗31を介することなく充電を行うことができ、不要な電力消費を防止することができる。母線電圧が第1バッテリ30の電圧よりも小さい場合には、第1バッテリ30が放電する。一定時間経過後、接点331,332が初期状態に戻され、ステップS201に戻る。
【0052】
ステップS201において、電位Vbが第1開閉閾値よりも大きいと判断されると、A点の電位Vaを測定し、電位Vaと予め設定された第2開閉閾値(本実施形態では、341.5V)とを比較する(ステップS203)。電位Vaが第2開閉閾値以下である場合、接点331が閉じられるとともに接点332が開かれる(ステップS205)。第1バッテリ30の電圧が母線電圧よりも大きいため、第1バッテリ30は母線38へと放電する。一定時間経過後、ステップS201に戻る。
【0053】
電位Vaが第2開閉閾値よりも大きい場合、接点331および接点332が開かれ、第1バッテリ30と母線38とが分断される(ステップS206)。一定時間経過後、ステップS201に戻る。
第5の実施形態においても、第4の実施形態と同様に、第1バッテリ30が母線38に常時接続される場合に比べて、第1バッテリ30を長寿命とすることができる。第3開閉閾値は母線電圧の許容範囲内において、第2開閉閾値よりも大きい値として設定されるのであれば任意に設定されてよい。
[第6実施形態]
次に、第6実施形態の発電システム1について、
図9を用いて説明する。発電システム1は、第1バッテリ30、接点331及び接点333を介して母線38に接続される分岐経路と、第1バッテリ30、接点331、第2バッテリ32及び接点334を介して母線38に接続される分岐経路と、第1バッテリ30、抵抗31、接点332及び接点333を介して母線38に接続される分岐経路と、第1バッテリ30、抵抗31、接点332、第2バッテリ32及び接点334を介して母線38に接続される分岐経路と、を備える。本実施形態では、第2バッテリ32の定格電圧は30Vである。その他の構成は、第5の実施形態と同様である。接点333は常閉接点である。接点331,332,334は常開接点である。第1バッテリ30および第2バッテリ32には内部抵抗が小さいものが利用されることが好ましい。
【0054】
次に、第1バッテリ30及び第2バッテリ32の充放電の流れについて
図10を参照しつつ述べる。まず、プラス側母線381の位置であるA点の電位Vaを測定し、電位Vaと予め設定された第4開閉閾値(本実施形態では、375V)とを比較する(ステップS301)。電位Vaが第4開閉閾値以下であると判断された場合、接点333が閉じられ、接点334が開かれる(ステップS312)。ただし、接点331,332は開かれている。なお、電位Vaが第4開閉閾値より大きい場合、すなわち、母線電圧が許容電圧の上限値近傍まで上昇した場合については後述する。
【0055】
次に、電位Vaと第2バッテリ32のプラス側の位置であるC点の電位Vcとを比較する(ステップS302)。換言すれば、母線電圧と第1バッテリ30および第2バッテリ32の電圧の和とを比較する。電位Vaが電位Vcより低いと判断されると、第2バッテリ32のマイナス側の位置であるD点における電位Vdが求められ、電位Vcと電位Vdとの差、すなわち、第2バッテリ32の電圧(Vc−Vd)が求められる。電位Vaが電位Vc以上である場合の動作については後述する。そして、第2バッテリ32の電圧と予め設定された第5開閉閾値(本実施形態では10V)とを比較する(ステップS303)。
【0056】
第2バッテリ32の電圧が第5開閉閾値より大きい場合、接点332,333が開かれ、かつ、接点331,334が閉じられる(ステップS313)。これにより、第1バッテリ30および第2バッテリ32が母線38に接続され、第1バッテリ30および第2バッテリ32が母線38へと放電する。一定時間経過後、接点331〜334が初期状態に戻され、ステップS301に戻る。
【0057】
ところで、ステップS302において電位Vaが電位Vc以上である場合、及び、ステップS303において電位Vcと電位Vdとの差(Vc−Vd)が第5開閉閾値以下である場合、A点の電位Vaが測定され、電位Vaと予め設定された第6開閉閾値(本実施形態では、345V)とが比較される(ステップS306)。電位Vaが第6開閉閾値以上である場合、接点332が閉じられるとともに、接点331が開かれる(ステップS307)。これにより、抵抗31を介して第1バッテリ30が充電される。母線38と第1バッテリ30との間に抵抗31を設けることにより、突入電流を防止することができる。一定時間経過後、接点331〜334が初期状態に戻され、ステップS301に戻る。
【0058】
一方、ステップS306において、電位Vaが第6開閉閾値より小さいと判断されると、第1バッテリ30のプラス側の位置であるB点の電位Vbを測定し、電位Vbと第1開閉閾値(本実施形態では、341.5V)とを比較する(ステップS308)。電位Vbが第1開閉閾値以下であると判断されると、接点331が閉じられ、かつ、接点332が開かれる(ステップS309)。これにより、母線電圧に応じて第1バッテリ30の充電または放電が行われる。母線電圧と第1バッテリ30の電圧との差が小さい場合には、抵抗31を介さずに充放電が行われることにより、不要な電力消費を防止することができる。一定時間経過後、接点331〜334が初期状態に戻され、ステップS301に戻る。
【0059】
ステップS308において、電位Vbが第1開閉閾値よりも大きいと判断されると、接点331,332が開かれ(ステップS310)、第1バッテリ30と母線38とが分断される。一定時間経過後、ステップS301に戻る。なお、第1バッテリ30と母線38との接続が分断されるのであれば、接点333,334を開いてもよい。
ところで、ステップS301において、電位Vaが第4開閉閾値より大きい場合、接点332,334が閉じられ、接点331,333が開かれる(ステップS304)。これにより、第1バッテリ30および第2バッテリ32が母線38に接続され、これらのバッテリ30,32が充電される。発電システム1では、母線電圧が許容電圧の上限値近傍まで上昇した場合であっても、第1バッテリ30および第2バッテリ32により電力を吸収することができ、母線電圧の急峻な上昇による負荷11側への過大な電力の供給が抑えられる。一定時間経過後、接点331〜334が初期状態に戻され、ステップS301に戻る。
【0060】
以上、第1バッテリ30および第2バッテリ32の充放電の流れについて説明したが、発電システム1では、第1バッテリ30および第2バッテリ32の充放電により、母線電圧が変動しても負荷11側へ安定した電力を供給することができる。負荷を用いて電力を消費する場合に比べて、生成された電力を効率よく利用することができる。第6の実施形態では、第4開閉閾値は、母線電圧の定常範囲の上限値以上とされ、許容範囲の上限値未満とされるのであれば任意の値に設定されてよい。第6開閉閾値は、第4開閉閾値未満とされ、第1バッテリ30の電圧以上とされるのであれば任意の値に設定されてよい。第5開閉閾値は、第1バッテリ30と第2バッテリ32の電圧の和が母線電圧よりも大きい場合において、第2バッテリ32の定格電圧未満であり、母線電圧から第1バッテリ30の電圧を引いた値以上の任意の値に設定されてよい。
【0061】
図11は、変形例に係る充電及び放電の手順を示すフローチャートである。
図11では、
図10のステップS308に代えてステップS311が行われる。他の動作は
図10と同様である。
ステップS306において、電位Vaが第6開閉閾値より低いと判断されると、電位Vaが第2開閉閾値(本実施形態では、341.5V)以下であるか否かが判断される(ステップS311)。電位Vaが第2開閉閾値以下であると判断されると、接点331を閉じ、接点332を開く(ステップS309)。母線電圧に応じて第1バッテリ30に対して充放電が行われる。また、電位Vaが第2開閉閾値よりも大きいと判断されると、接点331,332が開かれ(ステップS310)、第1バッテリ30と母線38とが分断される。
図11に示す場合においても、負荷11側へ安定した電力を供給することができる。
[第7実施形態]
次に、第7実施形態の発電システム1について、
図12を用いて説明する。発電システム1は、第1バッテリ30、接点331及び接点333を介して母線38に接続される分岐経路と、第1バッテリ30、接点331、第2バッテリ32及び接点334を介して母線38に接続される分岐経路と、抵抗31、接点332、第2バッテリ32及び接点334を介して母線38に接続される分岐経路と、を備える。本実施形態では、第1バッテリ30の定格電圧は350Vであり、第2バッテリ32の定格電圧は50Vである。母線電圧の許容範囲は330V以上380V以下である。その他の構成は、第6の実施形態と同様である。
【0062】
発電システム1では、接点331および接点333を閉じることにより、第1バッテリ30が母線38に接続され、接点332および接点334を閉じることにより、第2バッテリ32が母線38に接続される。接点331および接点334を閉じることにより、第1バッテリ30および第1バッテリ30に直列に接続された第2バッテリ32が母線38に接続される。このように、第1の接点部である接点331および接点333の組、並びに、接点332および接点334の組により、母線38と第1バッテリ30との接続および母線38と第2バッテリ32との接続が切り替えられ、第1バッテリ30の充放電と第2バッテリ32への充電とが個別に行われる。また、第2の接点部である接点331および接点334の組により、第1バッテリ30および第2バッテリ32と母線38とが接続され、これらのバッテリ30,32の充放電が同時に行われる。
【0063】
図13は第1バッテリ30および第2バッテリ32の充電及び放電の手順を示す図である。まず、A点の電位Vaが測定され、電位Vaが母線38における瞬時的な電圧変動が許容される範囲である第1設定電位範囲(本実施形態では340V以上375V以下の範囲)内であるか否かが判断される(ステップS401)。電位Vaが第1設定電位範囲内である場合、接点331,333が閉じられるとともに接点332,334が開かれる(ステップS402)。電位Vaが第1設定電位範囲外の場合については後述する。これにより、第1バッテリ30が母線38に接続される。第1バッテリ30の電圧が母線電圧よりも低い場合には第1バッテリ30に充電が行われ、第1バッテリ30の電圧が母線電圧よりも大きい場合には第1バッテリ30が放電する。このように、第1バッテリ30にて充放電が行われることにより、母線電圧が変動しても負荷11側へ安定した電力を供給することができる。また、第1バッテリ30に対して、いわゆるトリクル充電が行われるため、第1バッテリ30の自然放電を補うことができる。
【0064】
一定時間経過後、A点の電流Ia、すなわち、第1バッテリ30と母線38との間の電流が測定され(ステップS403)、電流Iaと第1電流設定値(本実施形態では、0.5A)とが比較される。電流Iaが第1電流設定値より大きいと判断されると、ステップS401へ戻る。電流Iaが第1電流設定値以下であると判断されると、電位Vaが母線電圧の定常範囲(345V以上350V以下の範囲)である第2設定電位範囲内であるか否かが判断される(ステップS404)。
【0065】
電位Vaが第2設定電位範囲外であると判断されると、ステップS401へ戻る。電位Vaが第2設定電位範囲内であると判断されると、第2バッテリ32のマイナス側の位置であるD点の電位Vdと、プラス側の位置であるC点の電位Vcとが測定され、第2バッテリ32の電圧(Vc−Vd)と、第7開閉閾値(本実施形態では、40V)とが比較される(ステップS405)。第2バッテリ32の電圧(Vc−Vd)が第7開閉閾値以上である場合、ステップS401へ戻る。
【0066】
第2バッテリ32の電圧(Vc−Vd)が第7開閉閾値より低い場合、接点331,333を開き、接点332,334を閉じる(ステップS406)。その結果、第2バッテリ32が充電される。発電システム1では、母線電圧が第2設定電位範囲内であることにより、第2バッテリ32の充電を安定して行うことができる。なお、接点331,333および接点332,334の開閉は同時に行われることがより好ましいが、接点331,333が開かれた後に接点332,334が閉じられてもよい。
【0067】
一定時間経過後、プラス側母線381から第2バッテリ32へと分岐する経路を流れる電流Ie(
図12におけるE点の電流)が第2電流設定値(本実施形態では、0.5A)以下であるか否かが判断される(ステップS407)。本実施形態では、第2バッテリ32の充電量の割合が50%となるときの電流値を第2電流設定値として設定している。ただし、第2電流設定値は他の値とされてもよい。電流Ieが第2電流設定値以下となると、ステップS401へ戻る。電流Ieが第2電流設定値よりも大きい場合、電位Vaが第2設定電位範囲内であるか否かが判断される(ステップS410)。電位Vaが第2設定電位範囲内である場合には、再び電流Ieと第2電流設定値とが比較され(ステップS407)、電流Ieが第2電流設定値以下であると判断されると、ステップS401へ戻る。電流Ieが第2電流設定値よりも大きい場合には、電位Vaと第2設定電位範囲とが比較され(ステップS410)、電位Vaが第2設定電位範囲内であると判断されると、ステップS407に戻る。このように、電流Ieが第2電流設定値以下となるまでステップS407,S410が繰り返され、充電量が50%となるまで第2バッテリ32が充電される。ただし、ステップS410において、電位Vaが第2設定電位範囲を超えたと判断されると、強制的にステップS401へ戻る。
【0068】
ところで、ステップS401において、測定した電位Vaが第1設定電位範囲外であると判断されると、接点331,334を閉じ、接点332,333を開く(ステップS408)。電位Vaが第1設定電位範囲の上限値よりも大きい、すなわち、母線電圧が許容範囲の上限値近傍である場合には、第1バッテリ30および第2バッテリ32が充電される。一定時間経過後、E点における電流Ieが第3電流設定値(本実施形態では、2A)以下であるか否かが確認され(ステップS409)、電流Ieが第3電流設定値以下となると、接点331〜334が初期状態に戻され、ステップS401へ戻る。また、電流Ieが第3電流設定値よりも大きい場合、電流Ieが第3電流設定値以下となるまで所定時間ごとに電流Ieの大きさが繰り返し確認される。
【0069】
一方、電位Vaが第1設定電位範囲の下限値よりも低い、すなわち、許容範囲の下限値近傍である場合、第1バッテリ30および第2バッテリ32が放電する。一定時間経過後、電流Ieが第3電流設定値以下であるか否かが確認され(ステップS409)、電流Ieが第3電流設定値以下となると、ステップS401へ戻る。電流Ieが第3電流設定値よりも大きい場合、第3電流設定値以下となるまで所定時間ごとに電流Ieの大きさが繰り返し確認される。
【0070】
第1バッテリとして鉛蓄電池等の内部抵抗が大きいものを用いた発電システムでは、母線電圧が許容範囲の下限値近傍まで低下すると、放電の際に電圧降下が大きいことから母線に十分な電力を供給することができない。これに対し、発電システム1では、第1バッテリ30の内部抵抗による電圧降下を第2バッテリ32に蓄電された電力にて補うことができる。
【0071】
以上のように、発電システム1では、母線電圧が許容範囲の上限値または下限値となる場合であっても、負荷11側へ安定した電力を供給することができる。
以上、第1バッテリ30および第2バッテリ32の動作について説明したが、第1設定電位範囲内において、第1バッテリ30と第2バッテリ32とが個別に充電されることから、第1バッテリ30および第2バッテリ32の過充電を抑えることができる。また、第1バッテリ30として鉛蓄電池など内部抵抗が大きいものを利用することができ、バッテリの選択の自由度を高くすることができる。その結果、発電システム1の製造コストを抑えることが可能となる。本実施形態では、第7開閉閾値は、第2バッテリ32の定格電圧より小さい値で設定されるのであれば他の値でもよい。第1設定電位範囲の上限値は、定常範囲の上限値と許容範囲の上限値との間の任意の値に設定されてよく、下限値は、定常範囲の下限値と許容範囲の下限値との間の任意の値に設定されてよい。第2設定電位範囲は必ずしも母線電圧の定常範囲と同じとされる必要はない。第2設定電位範囲の下限値および上限値は、第1バッテリ30の定格電圧である350Vから10Vを減じた値以上、定格電圧に10Vを加えた値以下の範囲にて設定されることが好ましい。ただし、第2設定電位範囲の下限値は第1設定電位範囲の下限値よりも大きくされ、上限値は第1設定電位範囲の上限値よりも小さくされる。
【0072】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。第2実施形態では、蓄電手段としてバッテリ21に代えてコンデンサが設けられてもよく、バッテリおよびコンデンサの両方が互いに並列に設けられてもよい。第1バッテリ30は複数セルを直列に配置したものや複数セルを並列に配置したものが用いられてもよい。第2バッテリ32においても同様である。上記第4ないし第7の実施形態におけるバッテリと母線との接続動作において、接点を初期状態に戻す操作はバッテリの電圧や母線電圧に基づいて行われてもよい。