【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、「高効率燃料電池と再生バイオガスを融合させた地域内エネルギー循環システムの構築」事業「省エネルギー型水質管理技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記散気体が、支持体と前記支持体上に取り付けられた、散気孔を有する弾性多孔体からなるものであり、前記支持体が平板状または筒状のものである、請求項1〜3のいずれか1項記載の散気装置を含む散気システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<散気装置を含む散気システム>
本発明の散気装置を含む散気システムは、深さが1〜3m、面積(A1)が500m
2以上のエビ、魚などの各種水生生物の養殖池で使用するものである。
前記養殖池は、人工池および自然池のいずれでもよく、淡水、海水および汽水のいずれでもよい。
【0009】
図1に示す散気装置1は、養殖池の外に設置される送風機11と、養殖池の中に浸漬される散気部20と、送風機11と散気部20を接続する第1送風管18を有している。
第1送風管18は、地上側から養殖池側に伸ばされた水平部(または養殖池側に下った傾斜部)18aと養殖池の水面上から水底側に伸ばされた垂下部(または傾斜部)18bを有している。
【0010】
送風機11は、流量計12、圧力計13、第1送風ライン18を開閉できる第1ボールバルブ14と合わせて一つのハウジング10内に収容されているものでもよい。
さらにハウジング10内には、送風機11と第1ボールバルブ14の間の第1送風管18から枝分かれした排気管19と、排気管19に取り付けた第2ボールバルブ15を有していてもよい。送風機11の空気取り入れ口と排気管19の出口は、ハウジンング10外に伸ばされている。
第1送風管18と排気管19は、プラスチック管、ゴム管などを使用することができる。
送風機11の送風能力は20〜40m
3/hである。
【0011】
散気部20は、9個の散気体21と、9個の散気体21を接続する10本の第2送風管22を有している。
10本の第2送風管22の内の1本と第1送風管18が接続されている。
第2送風管22は、プラスチック管、ゴム管などを使用することができる。
【0012】
図2に示すとおり、散気部20は、全体の平面形状が第2送風管22で囲まれた二つの長方形が組み合わされた一つの正方形となっている。
9個の散気体21は、二つの長方形の角部と、二つの長方形の各辺の中間部に配置されている。なお、二つの長方形の角部が重複する部分は一つの散気体21が配置されている。
散気部20の平面形状が、三つ以上の長方形の組み合わせになったときも、それぞれの長方形の角部と、それぞれの長方形の各辺の中間部に散気体21を配置することができる。
また
図3に示すとおり、散気部20は、全体の平面形状が第2送風管22で囲まれた四つの正方形が組み合わされた一つの正方形となっているものでもよいし、それ以上の数の正方形の組み合わせからなるものでもよい。
【0013】
散気部20の占有面積(A2)は50〜150m
2である。散気部20の占有面積(A2)は、第2送風管22のみで囲まれた場合を基準とする面積であり、
図2におけるL1×L2から求められる面積である。
【0014】
散気体21は、支持体と前記支持体上に取り付けられた、散気孔を有する弾性多孔体からなるものであり、前記支持体が平板状(パネル状)、筒状(チューブ状)またはディスク状のものを使用することができる。このような散気体21は、公知のものを使用することができる。
散気体21の発泡可能面積は200cm
2/個〜550cm
2/個である。
弾性多孔体は、通常の散気装置で使用されているゴム製又はエラストマー製の膜と同じものであり、例えば、特開2006−75771号公報や特開2007−38198号公報に記載された弾性多孔体と同じものを使用することができる。
ゴムまたはエラストマーとしては、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、ポリウレタン(ウレタンエラストマー)、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、パーフルオロエラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、天然ゴム、またはこれらの複合体などを挙げることができる。
これらのゴムまたはエラストマーには、核材、補強充填材、顔料等の添加剤を任意に混合することができる。
ゴムメンブレンには、多数の散気孔(例えばスリット)が形成されており、散気孔の大きさは運転時の気泡径の大きさを考慮して調整することができるものであり、散気孔がスリットであるとき、幅が0.05〜0.2mm、長さが0.5〜3.0mmにすることができる。
散気孔の密度は、1万個/m
2〜100万個/m
2が好ましい。
【0015】
前記散気体21は、例えば、特開2015−85227号公報に記載の散気装置用メンブレンを備えた散気装置(
図1の散気装置10、
図4の散気装置10)、特開2014−73468号公報の散気装置用のメンブレンを備えた散気装置(請求項7、
図3の散気装置10)、特開2013−226525号公報の散気装置用のメンブレンを備えた散気装置(請求項5、
図1の散気装置10)、特開2013−169527号公報の散気装置(請求項1、
図1)、特開2013−121569号公報(請求項1−3、
図1−
図6)、特開2013−91049号公報の散気装置(特許請求の範囲および図面)などを使用することができる。
また前記散気体21は、ダイセン・メンブレン・システムズ(株)から販売されているパネルタイプの散気装置(品名PMD−P300,PMD−P300R)、チューブタイプの散気装置〔品名PMD−T06(610L,762L)、PMD−T106S(500L,1000L)、ディスクタイプの散気装置(品名PMD−D09,PMD−D12)などを使用することもできる。
【0016】
本発明の散気システムは、複数の散気装置1の組み合わせからなるものである。
散気装置1の合計数は、A1/A2から求められる数を最大数として、それ以下の数である。
散気部20は、養殖池の形状に応じて、占有面積(A2)が同じものと異なるものの組み合わせからなるものにすることができる。例えば、養殖池にA2が100m
2の散気部20を有する散気装置1を5個配置したあとで、残ったスペースに50m
2の散気部20を有する散気装置1を配置することもできる。
また複数の散気装置1を組み合わせて使用するときは、例えば、二つの散気装置1にて一つの送風機11を使用することもできる。このような場合には、送風機11として送風能力が40〜80m
3/hのものを使用し、第1送風管18として先端が二叉に分かれたものを使用して、1本の第1送風管18から二つの散気部20に送風できるようにする。
【0017】
本発明の散気システムは、
図4に示すとおり、散気装置1と発電装置30を組み合わせたものにすることができる。
発電装置30は、ハウジング10内の送風機11とリードワイヤ31を介して電気的に接続されている。
本発明の散気システムは、電源として化石燃料を使用した発電の電源のほか、太陽光発電装置、風力発電装置などの再生可能エネルギーを利用した発電装置を組み合わせて使用することもできる。
【0018】
<散気装置を含む散気システムの運転方法>
次に、
図1、
図4、
図5により複数の散気装置1を含む散気システムの運転方法を説明する。
散気装置1は、散気部20が養殖池50の底部51に配置され、第1送風管18の垂下部18bの一部も養殖池(深さ1〜3m)50内に浸漬されている。
【0019】
複数の散気部20の配置形態は、
隣接する散気部20(散気体21)同士が接触して配置された第1配置形態(
図5(a))、
隣接する散気部20(散気体21)同士が短い間隔をおいて配置された第2配置形態、
一つの散気部20の散気体21が隣接する散気部20の第2送風管22の中間位置付近になるように組み合わされた配置された第3配置形態(
図5(b))、
隣接する散気部20(散気体21)と第2送風管22が重なり合って配置された第4配置形態のいずれの配置形態でもよいし、各配置形態が混在された形態でもよい。
図5(a)に示す第1配置形態の場合には、隣接する散気部20の間に隙間25が生じてしまい、第2配置形態の場合には前記隙間25がより大きくなる。
図5(b)に示す第3配置形態の場合には、前記隙間25が第1配置形態よりも小さくなり、第4配置形態の場合には、前記隙間25がさらに小さくなる。
また、散気部20は、養殖池50の底部51に沿って配置されるものであるが、一部が養殖池50の側面部52に沿って配置されていてもよい。
【0020】
送風機11などが収容されたハウジング10と発電機30は地上(陸地)60側に配置されている。
送風機11から第1送風管18と第2送風管22を経て散気体21に対して20〜40m
3/hで送風する。このとき、送風機11の電源は発電装置30を使用している。
空気が供給された散気体21から、気泡径0.5〜2mmの気泡を発生させることで養殖池50内を曝気する。
【0021】
散気運転中は、第1ボールバルブ14は開けて、排気管19の第2ボールバルブ15は閉じておく。
散気運転を停止するときは、送風機11を停止して、第1ボールバルブ14を閉じる。このとき、送風機11から第1ボールバルブ14間に残った空気は、第2ボールバルブ15を開けて排気管19から排気する。
【実施例】
【0022】
実施例1(散気システムと運転方法)
平面形状が正方形に近い形状のエビ(ブラックタイガー)の養殖池(深さ約2m、面積A1約1100m
2)において、
図1に示す散気装置1を合計で10台備えた散気システムを適用した。
【0023】
1台の散気装置1の詳細は、次のとおりである。
送風機11:送風能力30m
3/h
第1送風管18:ポリ塩化ビニル製のパイプ(内径31mm,外径38mm,水平部長さ約4m、垂下部長さ約3m)
第2送風管22:ポリ塩化ビニル製のパイプ(内径25mm,外径32mm)
散気体21:ダイセン・メンブレン・システムズ(株)のPMD−D09
(外径267mm,発泡面積375cm
2/個,ゴムメンブレンの材質(PTFE/EPDMの複合体),質量1.0kg/個)
散気部20の占有面積A2:100m
2(10m×10m)
【0024】
第1ボールバルブ14を開け、第2ボールバブル15を閉じた状態にて、送風機11から空気を供給した。
空気は第1送風管18から第2送風管22を経て、合計で9個の散気体21まで供給して、養殖池50内に0.5〜2mmの気泡を連続的に発生させて曝気した。
以上の水生生物の養殖池で使用する散気装置1を含む散気システム。散気装置1が、養殖池の外に設置される送風機11と、養殖池の中に浸漬される散気部20と、送風機11と散気部20を接続する第1送風管18を有しているものであり、散気部20が、4以上の散気体21と、4以上の散気体21を接続する4本以上の第2送風管22を有しており、さらに散気部20の4本以上の第2送風管22の内の1本と送風機11を接続する第1送風管18を有しているものであり、送風機11の送風能力が20〜40m