(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6188901
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】フリーロックジョイント
(51)【国際特許分類】
F16C 11/10 20060101AFI20170821BHJP
F16C 11/06 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
F16C11/10 F
F16C11/06 B
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-188256(P2016-188256)
(22)【出願日】2016年9月27日
【審査請求日】2017年4月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398042576
【氏名又は名称】三恵工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市田 裕樹
【審査官】
西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−089923(JP,A)
【文献】
実開昭60−154617(JP,U)
【文献】
実開昭62−023331(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/10
F16C 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
外周面の少なくとも一部が球面状のヘッド部及び前記ヘッド部から突き出るように設けられる軸部を備えるボールスタッドと、
一端に前記ヘッド部より小径に形成された開口を有し、前記開口から前記軸部を突出させた状態で前記ヘッド部を回転可能に保持する筒状のソケットと、
前記ベース上に配置されかつ前記ソケット内で前記ヘッド部を支持する支持部材と、
前記ソケットの周囲に配備されかつ前記ベースにねじ結合により装着されるスリーブと、
前記ソケットと前記スリーブの間に配備される弾性部材と、を備え、
前記スリーブは、前記ベースへのねじ込みにより前記弾性部材を圧縮させる押圧プレートを備え、圧縮する前記弾性部材の復元力により前記ソケットが前記ヘッド部に押し当てられる、フリーロックジョイント。
【請求項2】
前記ヘッド部は、前記軸部と一体に形成されかつ前記支持部材に支持される第1部分と、前記軸部及び前記第1部分と別体に形成されかつ前記ソケットが押し当てられる第2部分とからなる、請求項1に記載のフリーロックジョイント。
【請求項3】
前記ソケットの前記ベースに対する回転を規制する複数の回り止め部材をさらに備える、請求項1又は2に記載のフリーロックジョイント。
【請求項4】
前記ソケットは、前記ベース側の端にフランジ部を有し、
前記回り止め部材は、棒状の本体部を有し、前記本体部の一方の端部が前記ソケットのフランジ部を貫通して前記ベースに固定されている、請求項3に記載のフリーロックジョイント。
【請求項5】
前記押圧プレートは前記スリーブと別体に形成され、
前記回り止め部材は、前記本体部の他方の端部に拡径した頭部を有し、
前記押圧プレートは、前記頭部を収容する収容凹部を有し、前記収容凹部の底面には前記本体部が突き出る貫通孔が設けられている、請求項4に記載のフリーロックジョイント。
【請求項6】
前記弾性部材は、コイルバネよりなり、前記回り止め部材の前記本体部の周囲に配備される、請求項4又は5に記載のフリーロックジョイント。
【請求項7】
前記スリーブの外周面には、前記スリーブを回転させる工具を引っ掛けることが可能な凹部が少なくとも1つ設けられている、請求項1〜6のいずれかに記載のフリーロックジョイント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば照明、テレビ及びカメラなどの機器、作業台、棚、足場の足などを位置調整可能に設置するのに用いられるフリーロックジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば照明、テレビ及びカメラなどの機器を机や台の上に置いて使用したり、作業台上の物に対して作業を行う場合、機器や作業台などの位置を調整する必要があり、その調整機構としては種々のタイプが提案されているが、ボールジョイントを用いたものが提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、ボールジョイントを用いた位置調整機構を有するプロジェクタが開示されている。この特許文献1では、台などの上に2つの支持板を介して機器を置いて使用する場合の機器の位置調整を目的としており、各支持板から伸びる脚部が開脚することにより機器の位置調整が可能である。各脚部の先端部には、機器内部に固定部を介して回転可能に固定された球状のボールジョイントが接続されている。固定部の固定レバーには調整レバーが連結されており、この調整レバーを操作することにより固定レバーが作動する。固定レバーは、ボールジョイント上部に配置されているボール押さえと協働し、固定レバーが作動することにより支持ピンを中心としてボール押えが回転し、ボール押えにより固定部内に収納されたボールジョイントが固定されることで、ボールジョイントが回転不能となり、機器の位置が固定される。
【0004】
しかし、上述した特許文献1のような位置調整機構では、ボールジョイントが機器内に固定されているため、その機器専用としてしか利用することができない。また、ボールジョイントを回転不能に固定するのに、調整レバー、固定レバー、ボール押さえなどであるため、構造が複雑で製造コストがかかるという問題点がある。
【0005】
そこで、本出願人は、構造が簡単でありかつ容易に機器などの位置調整をすることができるフリーロックジョイントを提案している(特許文献2を参照)。特許文献2のフリーロックジョイントでは、ソケットとベースとのねじ結合により、ボールスタッドのヘッド部が支持部材及びソケットに挟持されて、ボールスタッドが固定されることで、調整された機器などの位置が固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−160595号公報
【特許文献2】特開2016−089923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献2のフリーロックジョイントでは、位置調整後にボールスタッドが何らかの外力により回転してしまうと、ボールスタッドとソケットとの摩擦で、ソケットとベースとのねじ結合がゆるんでソケット及び保持部材によるヘッド部の挟持力が弱くなるおそれがある。その結果、ボールスタッドが回転しやすくなって調整された機器の位置を固定できなくなるため、特許文献2のフリーロックジョイントは、更なる改良の余地がある。
【0008】
本発明は、上記した課題に着目してなされたもので、機器などを容易に位置調整可能に設置できるうえ、位置調整後にボールスタッドが回転したとしても、調整された機器などの位置を固定できるフリーロックジョイントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の前記目的は、ベースと、外周面の少なくとも一部が球面状のヘッド部及び前記ヘッド部から突き出るように設けられる軸部を備えるボールスタッドと、一端に前記ヘッド部より小径に形成された開口を有し、前記開口から前記軸部を突出させた状態で前記ヘッド部を回転可能に保持する筒状のソケットと、前記ベース上に配置されかつ前記ソケット内で前記ヘッド部を支持する支持部材と、前記ソケットの周囲に配備されかつ前記ベースにねじ結合により装着されるスリーブと、前記ソケットと前記スリーブの間に配備される弾性部材と、を備え、前記スリーブは、前記ベースへのねじ込みにより前記弾性部材を圧縮させる押圧プレートを備え、圧縮する前記弾性部材の復元力により前記ソケットが前記ヘッド部に押し当てられる、フリーロックジョイントにより達成される。
【0010】
上記構成のフリーロックジョイントにおいて、前記ヘッド部は、前記軸部と一体に形成されかつ前記支持部材に支持される第1部分と、前記軸部及び前記第1部分と別体に形成されかつ前記ソケットが押し当てられる第2部分とからなることが好ましい。
【0011】
また、前記ソケットの前記ベースに対する回転を規制する複数の回り止め部材をさらに備えることが好ましい。
【0012】
また、前記ソケットは、前記ベース側の端にフランジ部を有し、前記回り止め部材は、棒状の本体部を有し、前記本体部の一方の端部が前記ソケットのフランジ部を貫通して前記ベースに固定されていることが好ましい。
【0013】
また、前記押圧プレートは前記スリーブと別体に形成され、前記回り止め部材は、前記本体部の他方の端部に拡径した頭部を有し、前記押圧プレートは、前記頭部を収容する収容凹部を有し、前記収容凹部の底面には前記本体部が突き出る貫通孔が設けられていることが好ましい。
【0014】
また、前記弾性部材は、コイルバネよりなり、前記回り止め部材の前記本体部の周囲に配備されることが好ましい。
【0015】
また、前記スリーブの外周面には、前記スリーブを回転させる工具を引っ掛けることが可能な凹部が少なくとも1つ設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のフリーロックジョイントによると、機器などを容易に位置調整可能に設置できるうえ、位置調整後にボールスタッドが回転したとしても、調整された機器などの位置を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフリーロックジョイントの正面図である。
【
図26】スリーブがベースにねじ込まれた後のフリーロックジョイントの断面図である。
【
図28】
図27のボールスタッドを備えかつスリーブがベースにねじ込まれた後のフリーロックジョイントの断面図である。
【
図29】フリーロックジョイントを作業台に適用した状態の正面図である。
【
図30】フリーロックジョイントを棚に適用した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実態形態について添付図面を参照して説明する。
図1及び
図2は、本発明の一実施形態に係るフリーロックジョイント1の外観構成を示し、
図3は、フリーロックジョイント1の内部構成を示している。
【0019】
このフリーロックジョイント1は、例えば照明、テレビ及びカメラなどの機器の他、
図29に示す物101を作業するための作業台100、
図30に示す棚102、さらには足場の足や脚立などの位置を自由に調整して設置するのに用いられるものである。
【0020】
フリーロックジョイント1は、ボールスタッド2、ソケット3、支持部材4、押圧プレート10を備えるスリーブ5、弾性部材6及びベース7を備えている。さらに、フリーロックジョイント1は、ダストカバー8及び回り止め部材9を備えている。
【0021】
ボールスタッド2は、
図4に示すように、鉄や鋼鉄の他、非鉄金属などの金属材料により形成されており、略球形状のヘッド部20と、ヘッド部20から突き出るように設けられる軸部21とを備えている。軸部21は、機器、作業台、棚、足場の足などが装着される部分であり、本実施形態では丸棒状に形成され、先端部分(ヘッド部20とは反対側の部分)の外周面に接続用の雄ネジ22が形成されている。
【0022】
ヘッド部20は、外周面の少なくとも一部が断面視で円弧状に湾曲する球面状に形成されており、この球面状の部分がソケット3内で滑らかに転動することで、回転可能となっている。
【0023】
ソケット3は、
図5〜
図8に示すように、軸方向両端に開口30A,30Bを有する略円筒状の部材であり、鉄や鋼鉄の他、非鉄金属などの金属材料により形成されている。ソケット3の一方の開口30A側の内周面には、内側に向かって突き出る突出部31が設けられており、ソケット3の開口30Aの径は、ボールスタッド2のヘッド部20の径よりも小さく、突出部31によりヘッド部20がソケット3の外部に抜け出るのが防止されている。ボールスタッド2のヘッド部20は、ソケット3内に回転可能に保持されており、ソケット3(突出部31)と支持部材4とで挟まれた状態で回転する。また、ボールスタッド2の軸部21は、ソケット3の一方の開口30Aから外部に突出している。ソケット3の突出部31の表面は、ボールスタッド2のヘッド部20の外周面の球面に沿った湾曲面に形成されており、これにより、ヘッド部20はソケット3内で滑らかに回転する。
【0024】
ソケット3の一方の開口30A側の外周面には、凹状の溝部32が一周にわたって形成されている。この溝部32は、後述するダストカバー8を固定するためのものである。また、ソケット3の他方の開口30B側(図示ではベース7側の端)の外周面には、フランジ部33が一周にわたって突設されている。フランジ部33には、所定の間隔をあけて貫通孔34が複数(図示では6個)形成されている。
【0025】
支持部材4は、ベース7上に配置されかつソケット3内に収容されている。支持部材4は、
図9〜
図12に示すように、円柱状の部材よりなり、鉄や鋼鉄の他、非鉄金属などの金属材料により形成されている。支持部材4の一方面(図示では上面)には、ボールスタッド2のヘッド部20の外周面の球面に沿ってへこむ窪み部40が形成されており、この窪み部40にてヘッド部20を支持している。これにより、ボールスタッド2のヘッド部20は、支持部材4上でソケット3の突出部31と挟持された状態で滑らかに回転する。なお、本実施形態では、支持部材4の内部に空洞41を有する中空構造になっているが、必ずしも中空構造とする必要はなく、空洞41をなくした中実構造としてもよい。
【0026】
スリーブ5は、ソケット3の周囲に配置されている。スリーブ5は、
図13〜
図16に示すように、一端(図示では上端)に上面部50を有しかつ他端(図示では下端)が開口した円筒状の部材である。スリーブ5の上面部50の中央位置には、上面部50を貫通する貫通孔51が形成されており、貫通孔51にソケット3が挿通されている。スリーブ5の外周面には、後述するベース7の雌ネジ72と螺合する雄ネジ52が形成されている。また、スリーブ5の雄ネジ52よりも一端側の外周面には、凹部53が少なくとも1つ設けられている。本実施形態では、所定の間隔をあけて4つの凹部53が設けられている。この凹部53は、例えば引掛けピンスパナなどの、スリーブ5を回転させるための工具を引っ掛けることが可能であり、工具を回すことでスリーブ5をベース7に対して容易に回転させることができる。
【0027】
弾性部材6は、
図3に示すように、ソケット3(具体的にはフランジ部33)とスリーブ5(具体的には後述する押圧プレート10)との間に配備されている。本実施形態では、弾性部材6はコイルバネで構成されており、後述する回り止め部材9の本体部90の周囲に配備されている。弾性部材6は、自然長さの状態でソケット3(フランジ部33)とスリーブ5(押圧プレート10)との間との間に配備されており、スリーブ5の下方への移動に伴い圧縮して、弾性部材6の復帰しようとする復元力(バネ圧)がソケット3に作用する。これにより、ソケット3が支持部材4側に向けて付勢されるので、ソケット3によって、ボールスタッド2のヘッド部20が支持部材4に押し付けられる。なお、弾性部材6としては、コイルバネ以外に、金属製のカラーなど、弾性を有するものであれば種々のものを用いることができる。
【0028】
ベース7は、
図17〜
図20に示すように、平面視円形状の底壁部70と、底壁部70の周縁に立設される周壁部71とを備えている。周壁部71は、内側にソケット3を収容できるように、内径がソケット3(具体的にはフランジ部33)の外径よりも若干大きく設定されている。周壁部71の内周面には、スリーブ5の雄ネジ52と螺合する雌ネジ72が形成されている。底壁部70の中心位置には、円形状の浅い凹部73が設けられており。この凹部73内には支持部材4が配置され、支持部材4の位置決めがなされる。底壁部70の凹部73の周囲には、複数(図示では6つ)の貫通孔74が所定の間隔をあけて形成されている。貫通孔74は、本実施形態では、内周面に雌ネジが形成されたネジ孔となっている。周壁部71には、複数(図示では4つ)のボルト収容孔75が所定の間隔をあけて形成されている。ボルト収容孔75に図示しないボルトが挿入され、ベース7は、机や台、床、板などにボルトを用いて固定される。
【0029】
回り止め部材9は、ソケット3のベース7に対する回転を規制する役割を果たす。回り止め部材9は、
図21に示すように、本実施形態では、一方の端部に雄ネジ92が形成された棒状の本体部90と、本体部90の他方の端部に一体に設けられた拡径した頭部91とを有している。複数(図示では6つ)の回り止め部材9が、本体部90の一方の端部がソケット3のフランジ部33の貫通孔34を貫通してベース7の貫通孔74にねじ込まれることで、ベース7に固定されており、これにより、ソケット3のベース7に対する回転が規制される。
【0030】
スリーブ5は、ベース7へのねじ込みにより弾性部材6を圧縮させる押圧プレート10を備えており、圧縮する弾性部材6の復元力(バネ圧)によりソケット3がボールスタッド2のヘッド部20に押し当てられる。押圧プレート10は、スリーブ5に一体に形成されていてもよいし、スリーブ5と別体に形成されていてもよく、本実施形態では別体に形成されている。押圧プレート10は、
図22〜
図25に示すように、所定の肉厚を有しかつ平面視円形状に形成されている。押圧プレート10の中央位置には、スリーブ5の貫通孔51と連続しかつ同じ大きさの貫通孔11が形成されており、貫通孔11にソケット3が挿通されている。
【0031】
押圧プレート10には、複数(図示では6つ)の収容凹部12が所定の間隔をあけて設けられている。また、収容凹部12の底面の中央位置には貫通孔13が形成されている。収容凹部12には、回り止め部材90の頭部91が収容され、貫通孔13から回り止め部材9の本体部91が突き出ている。
【0032】
ダストカバー8は、
図3に示すように、弾性変形可能なゴム材又は軟質の合成樹脂材などによって形成され、ソケット3の上部及びソケット3内に収容されるボールスタッド2のヘッド部20を覆っている。ダストカバー8は、一端(図示では上端)の開口縁にてボールスタッド2の軸部21の外周面に固定されるとともに、他端(図示では下端)がソケット3の溝部32に嵌め込まれて固定されている。このダストカバー8により、ソケット3内に水や塵、異物が浸入することが防止される。
【0033】
上記構成のフリーロックジョイント1は、
図3に示すように、スリーブ5がベース7にねじ込まれていない場合においては、弾性部材6の付勢力がソケット3に作用しておらず、ソケット3がボールスタッド2のヘッド部20に強く押し当てられていない。そのため、ヘッド部20はソケット3内で自由に回転可能である。よって、ボールスタッド2の軸部21の向きを上下・左右・斜めのあらゆる方向に変えることができるので、照明、テレビ及びカメラなどの機器、作業台、棚、足場の足や脚立などの位置を自由に調整することができる。
【0034】
そして、位置調整後は、
図26に示すように、引掛けピンスパナなどの工具を用いてスリーブ5を回転させることでベース部材7にねじ込むと、押圧プレート10により弾性部材6が圧縮され、弾性部材6の圧縮により生じる復元力(バネ圧)がソケット3に作用する。その結果、ボールスタッド2のヘッド部20がソケット3により支持部材4に押し付けられるので、ヘッド部20はソケット3内で回転し難くなる。スリーブ5のねじ込み量を大きくすると、ヘッド部20がソケット3により支持部材4にさらに強く押し付けられるために、ヘッド部20はソケット3内でさらに回転し難くなるので、ボールスタッド2が固定されて軸部21は移動せず、軸部21に取り付けられた機器などを調整した位置で保持することができる。
【0035】
以上のように、本実施形態のフリーロックジョイント1によると、ある特定の機器専用としてしか利用することができないということはなく、様々な機器、作業台、棚、足場の足や脚立などを位置調整可能に設置することができる。また、スリーブ5のベース7へのねじ込み量を調整することで、ソケット3によるボールスタッド2の押し付け力が調整されるので、容易に機器などの位置調整をすることができる。
【0036】
また、本実施形態のフリーロックジョイント1では、スリーブ5とベース7とのねじ結合に伴ってボールスタッド2がソケット3により押し付けられてボールスタッド2が回転し難くなっているので、位置調整後にボールスタッド2が何らかの外力により回転してしまい、ボールスタッド2との摩擦がソケット3に作用しても、ソケット3の回転はスリーブ5とベース7とのねじ結合に直接関係しないため、スリーブ5とベース7とのねじ結合がゆるんでソケット3によるボールスタッド2の押し付け力が弱くなることを防止できる。よって、ボールスタッド2は依然として回転し難い状態に保持されるので、調整された機器などの位置を固定することができる。
【0037】
また、本実施形態のフリーロックジョイント1では、回り止め部材9によりソケット3のベース7に対する回転が規制されている。よって、位置調整後にボールスタッド2が何らかの外力により回転してしまい、ボールスタッド2との摩擦がソケット3に作用しても、ソケット3が回転しないので、スリーブ5とベース7とのねじ結合がゆるむことはない。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態のフリーロックジョイント1では、回り止め部材9を備えているが、回り止め部材9を備えていなくてもよい。なお、回り止め部材9を設けない場合には、バネ6は必ずしもコイルバネを用いる必要はなく、板バネなどを用いることもできる。また、押圧プレート10はスリーブ5と別体である必要はなく、一体であってもよい。
【0039】
また、
図28及び
図29に示すフリーロックジョイント1のように、ボールスタッド2のヘッド部20を、軸部21と一体に形成されかつ支持部材4に支持される第1部分20Aと、第1部分20A及び軸部21と別体に形成されかつソケット3が押し当てられる第2部分20Bとで構成してもよい。第2部分20Bは略半球状をなし、かつ、軸部21を挿通可能な挿通孔が形成されている。
【0040】
この実施形態によると、スリーブ5を回転させることでベース部材7にねじ込んだ状態において、ボールスタッド2のヘッド部20は、第2部分20Bがソケット3により押圧されることで支持部材4に押し付けられるので、ソケット3内での回転が原則規制される。よって、軸部21は移動せず、軸部21に取り付けられた機器などを調整した位置で保持することができる。ただし、ヘッド部20の第1部分20Aは第2部分20Bに対して、軸部21の軸方向と直交する面内で回転可能であるため、例えば
図29に示すように、物101の作業のために作業台100の位置を調整した後でも、物の作業101に応じて物101を矢印XあるいはYの方向に回転させたい場合には、作業台100を回転させることができるので、作業がしやすくなる。
【符号の説明】
【0041】
1 フリーロックジョイント
2 ボールスタッド
3 ソケット
4 支持部材
5 スリーブ
6 弾性部材
7 ベース
9 回り止め部材
10 押圧プレート
12 収容凹部
13 貫通孔
20 ヘッド部
20A 第1部分
20B 第2部分
33 フランジ部
53 凹部
90 本体部
91 頭部
【要約】
【課題】機器などを容易に位置調整可能に設置できるうえ、位置調整後にボールスタッドが回転しても、調整後の機器などの位置を固定できるフリーロックジョイントを提供する。
【解決手段】フリーロックジョイント1は、ベース7と、ヘッド部20及び軸部21を備えるボールスタッド2と、開口30Aから軸部21を突出させた状態でヘッド部20を回転可能に保持するソケット3と、ベース7上に配置されかつソケット3内でヘッド部20を支持する支持部材4と、ソケット3の周囲に配備されかつベース7にねじ結合により装着されるスリーブ5と、ソケット3とスリーブ5との間に配備される弾性部材6と、を備え、スリーブ5は、ベース7へのねじ込みにより弾性部材6を圧縮させる押圧プレート10を備え、圧縮する弾性部材6の復元力によりソケット3がヘッド部20に押し当てられる。
【選択図】
図3