(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記食事代補助の金額を算出するのに未だ用いられていない前記精算データを読み出し、読み出した前記精算データに含まれる前記会社識別子に関連付けられる企業システムに対して、前記読み出した精算データのうちの少なくとも利用者識別子および日時情報を送信する手段と、
前記送信した前記利用者識別子および前記日時情報に関連付けられた更新情報を前記企業システムから受信し、前記更新情報に基づいて前記精算データを更新する手段であって、前記更新情報は、前記カード保有者の企業における勤怠情報に基づく、手段と
をさらに備えた、請求項1に記載の精算システム。
前記精算データに含まれる日時情報によって示される時間が企業によって指定された時間帯の範囲内である前記精算データを前記第1の表示で更新する手段をさらに備えた、請求項2または請求項3に記載の精算システム。
前記食事代補助の金額を算出するのに未だ用いられていない前記精算データを読み出し、読み出した前記精算データに含まれる前記会社識別子に関連付けられる企業システムに対して、前記読み出した精算データのうちの少なくとも利用者識別子および日時情報を送信することと、
前記送信した前記利用者識別子および前記日時情報に関連付けられた更新情報を前記企業システムから受信し、前記更新情報に基づいて前記精算データを更新することであって、前記更新情報は、前記カード保有者の企業における勤怠情報に基づく、ことと
をさらに備える、請求項8に記載の精算方法。
前記精算データに含まれる日時情報によって示される時間が企業によって指定された時間帯の範囲内である前記精算データを前記第1の表示で更新することをさらに備える、請求項9または請求項10に記載の精算方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(全体構成)
図1は、本発明に係るシステム100を含むシステム全体の構成図である。本明細書では、システム100は、説明の便宜上、クレジットカード会社によって制御されるシステムとして説明するが、本発明は、この実施形態に限定されることはない。また、本発明は、従来のカード決済の仕組みを利用するが、本明細書では最初にクレジットカードを利用するカード決済の実施形態について説明する。
【0015】
システム100は、クレジットカード会社によって制御されるシステムであり、ネットワーク120を介して加盟店端末110a、加盟店端末110b、・・・および加盟店端末110n(本明細書ではこれらをまとめて「加盟店端末110」と呼ぶ)に通信可能に接続される。加盟店端末110は、クレジットカード会社と加盟店契約を締結した加盟店に設置される既知のデバイスであり、オーソリゼーションデータ、売上精算データなどのデータをクレジットカード会社のシステム100に送信することができるデバイスである。加盟店端末110は、従来から使用されているCAT(Credit Authorization Terminal)などのオンライン決済端末であってもよいし、あるいは、クレジットカード決済が可能な専用のアプリケーションがインストールされているタブレット端末やスマートフォンなどの端末であってもよい。
【0016】
非特許文献1に説明されているように、オーソリゼーション(Authorization、「オーソリ」ともいう)とは、加盟店での顧客(カード会員)のカード取引について、その取引ごとにクレジットカード会社が承認判定する処理をいう。オーソリゼーションの処理の結果、当該取引について承認がなされると、後続処理を実行可能となるが、仮に、オーソリゼーションの処理の結果、当該取引が否認されると以後の処理は行われない。クレジットカード会社のシステム100は、カード会員の返済状況やカード利用状況などの情報を保有しており、オーソリでは、これらの情報に基づいてカード有効期限のチェック、セキュリティコードチェック、盗難・偽造カードのチェック、与信限度枠チェックなどを実行する。また、非特許文献1に説明されているように、売上精算(Clearing、「クリアリング」ともいう)とは、加盟店におけるカード利用代金の支払(精算)を受けるための処理で、加盟店が、カード利用代金を精査、集計し、その明細を報告することをいい、売上データの電文がクレジットカード会社のシステム100に送信されることによって行われる。オーソリゼーションの電文と売上データの電文は、別々に送信されてもよく、あるいは、一つの電文でまとめて送信されてもよい。オーソリゼーションの電文や売上データの電文を含め、加盟店端末110とカード会社のシステム100との間でやり取りされる電文をまとめて「オーソリ電文」ということもある。
【0017】
システム100は、加盟店端末110から受信したオーソリ電文を蓄積しておき、所定の日が到来すると、カード会員ごとに精算処理を行い、請求データを生成する。請求データは、予め定められたやり方(例えば、郵送やオンラインでの確認)によってカード会員に対して提示される。システム100は、本明細書で後述する食事代補助の仕組みを提供することができる。
【0018】
ネットワーク120は、システム100および加盟店端末110の間で相互通信可能な周知のネットワークであればよく、特に限定されることはない。
【0019】
さらに、システム100は、ネットワーク140を介して企業システム130に通信可能に接続され、本明細書で後述する食事代補助の仕組みにおいて説明される従業員の勤怠情報のマッチング処理(任意の決済が従業員の勤務時に発生したかどうかを判定する処理)を行うことができる。企業システム130は、カード会員が勤務する企業のシステムである。ネットワーク140は、システム100および企業システム130の間で相互通信可能な周知のネットワークであればよく、特に限定されることはない。
【0020】
(システム構成)
図2は、本発明に係るシステム100のシステム構成図である。
図2に示すように、システム100は、一般的なコンピュータと同様に、バス220などによって相互に接続された制御部201、主記憶部202、補助記憶部203、インターフェース(IF)部204および出力部205を備えることができる。また、システム100は、利用者マスタ206、対象加盟店マスタ207、オーソリ電文208および精算情報209を備えることができる。
【0021】
制御部201は、中央処理装置(CPU)とも呼ばれ、システム100内の各構成要素の制御やデータの演算を行い、また、補助記憶部203に格納されている各種プログラムを主記憶部202に読み出して実行することができる。主記憶部202は、メインメモリとも呼ばれ、受信した各種データ、コンピュータ実行可能な命令および当該命令による演算処理後のデータなどを記憶することができる。補助記憶部203は、ハードディスク(HDD)などに代表される記憶装置であり、データやプログラムを長期的に保存する際に使用される。
【0022】
図2の実施形態では、制御部201、主記憶部202および補助記憶部203を同一のサーバコンピュータ内に設ける実施形態について説明するが、他の実施形態として、システム100は、制御部201、主記憶部202および補助記憶部203を複数個使用することにより、複数のサーバコンピュータによる並列分散処理を実現するように構成されることもできる。また、他の実施形態として、システム100用の複数のサーバを設置し、複数サーバが一つの補助記憶部203を共有する実施形態にすることも可能である。
【0023】
IF部204は、他のシステムや装置との間でデータを送受信する際のインターフェースの役割を果たし、また、システムオペレータから各種コマンドや入力データ(各種マスタ、テーブルなど)を受け付けるインターフェースを提供することができる。出力部205は、処理されたデータを表示する表示画面や当該データを印刷するための印刷手段などを提供することができる。
【0024】
利用者マスタ206は、カード会員の情報を格納するマスタテーブルである。ここで、本発明に係る利用者マスタ206について
図3を参照しながら説明する。利用者マスタ206は、会員ID301、パスワード(PW)302、会員情報303、会社コード304、会社情報305、利用者ID306および対象クレジットカード番号307を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることなく、他のデータ項目も含むように構成されることが可能である。
【0025】
会員ID301は、クレジットカード会社においてカード会員を識別する識別子である。一人のカード会員が複数枚のクレジットカードを所有していることもあり得るので、会員ID301はクレジットカード番号とは異なる番号である。パスワード(PW)302は、カード会員がシステム100にアクセスする際に使用する認証用パスワードである。会員情報303は、カード会員の氏名、住所、連絡先などの情報を示す。
【0026】
会社コード304は、カード会員が勤務する企業を識別する識別子である。会社情報305は、カード会員が勤務する企業の名称、所在地などの情報を示す。利用者ID306は、カード会員が勤務する企業における当該カード会員を識別する識別子である。利用者ID306は、勤務企業において従業員(カード会員)を識別することができれば十分であり、当該企業において割り当てられている従業員コードに相当するものであってよい。対象クレジットカード番号307は、本発明に係る食事代補助の仕組みで処理対象とするクレジットカード番号を示す。対象クレジットカード番号307は、複数登録しておいてもよく、特に限定されない。
【0027】
図2に戻って説明すると、対象加盟店マスタ207は、クレジットカード会社と加盟店契約を締結した加盟店であって、企業から本発明に係る食事代補助の対象加盟店として指定された加盟店の情報を格納するマスタテーブルである。対象加盟店マスタ207によって、本発明に係る食事代補助の仕組みを、どの企業が利用可能であるのかどうか、また、どの加盟店が利用可能であるのかどうかを識別することができる。ここで、本発明に係る対象加盟店マスタ207について
図4を参照しながら説明する。対象加盟店マスタ207は、会社コード304、加盟店ID401、加盟店情報402を含むことができるが、他のデータ項目も含むように構成されることが可能である。
【0028】
会社コード304は、カード会員が勤務する企業を識別する識別子であり、かつ本発明に係る食事代補助の仕組みを利用する企業を識別するための識別子である。加盟店ID401は、それぞれの加盟店を識別するための識別子である。加盟店情報402は、加盟店の住所、企業名、クレジットカード会社との間で取り決めた締日の情報、精算金額の振込日、振込口座などの情報を示すことができる。なお、当業者には周知のことであるが、同じ企業(例えば、コンビニエンスストアやレストランチェーン)であっても、それぞれの店舗に対して異なる加盟店IDが付与される。このため、同じレストランであってもある企業の徒歩圏に立地するレストランに付与されている加盟店IDと、当該企業から数十km離れたところに立地する同一チェーンのレストランに付与されている加盟店IDは異なることとなる。このため、企業は個々の加盟店IDを指定することで特定の店舗のみを、本発明に係る食事代補助の仕組みを利用可能な店舗とすることができる。すなわち、対象加盟店マスタ207に登録される会社コード304および加盟店ID401の組み合わせにより、本発明に係る食事代補助の仕組みを利用する企業がどの加盟店を指定したのかが示される。
【0029】
図2に戻って説明すると、オーソリ電文208は、加盟店端末110からシステム100に対して送信されたオーソリ電文を格納するデータベース(DB)である。オーソリ電文は、加盟店でのカード会員のクレジットカード取引に対して発生する電文であり、クレジットカード取引の内容を示す業務区分が「事前承認(与信)」、「売上」、「取消・返品」などの電文を含む。オーソリ電文には、クレジットカード番号、加盟店を識別する情報(加盟店ID)、金額情報なども含まれている。ここで、本発明に係るオーソリ電文208について
図5を参照しながら説明する。
【0030】
オーソリ電文208は、カード番号501、加盟店ID401、日時502、業務区分503、カード利用金額504を含むことができるが、他のデータ項目も含むように構成されることが可能である。
【0031】
カード番号501は、加盟店におけるカード決済で利用されたクレジットカードの番号を示し、加盟店ID401は、カード決済が行われた加盟店を識別する識別子である。日時502は、当該加盟店でカード決済が行われた日時を示す。業務区分503は、上述した業務区分、例えば、「売上」などを示す。カード利用金額504は、当該カード決済の金額を示す。
【0032】
再び
図2に戻って説明すると、精算情報209は、オーソリ電文208に格納されているオーソリ電文に基づいて生成される、カード会員に対する請求データ(精算情報)を格納するデータベースである。精算情報209に格納されているデータは、所定の期日が到来するとカード会員に対する請求書の作成処理に利用されることができ、あるいはオンライン上で請求書の内容を確認できるデータの作成処理に利用されることができる。精算情報209は、カード利用金額以外にも、カード会員から徴収すべき費用(例えば、年会費)、あるいはカード会員に返金すべき費用(例えば、本明細書で説明する食事代補助の金額)も含むことができる。ここで、本発明に係る精算情報209について
図6を参照しながら説明する。
【0033】
精算情報209は、カード番号501、加盟店ID401、日時502、業務区分503、カード利用金額504、利用者ID306、会社コード304、補助対象フラグ601および請求処理フラグ602を含むことができるが、他のデータ項目も含むように構成されることが可能である。
【0034】
精算情報209は、オーソリ電文208に格納されているオーソリ電文に基づいて生成されるが、業務区分503が「売上」と「取消・返品」であるペアとなるデータがある場合、それらのデータは相殺される。さらに、業務区分が「事前承認(与信)」であるデータは、カード会員に対する請求データとはならないので処理対象外となる。このため、精算情報209に格納される初期データには、業務区分503が「売上」のデータのみが格納される。
【0035】
精算情報209のカード番号501、加盟店ID401、日時502、業務区分503およびカード利用金額504は、
図5を参照しながら上記で説明した各データ項目に対応する。すなわち、カード番号501は、加盟店におけるカード決済で利用されたクレジットカードの番号を示し、加盟店ID401は、カード決済が行われた加盟店を識別する識別子である。日時502は、当該加盟店でカード決済が行われた日時を示す。業務区分503は、「売上」の業務区分を示し、カード利用金額504は、当該カード決済の金額を示す。
【0036】
利用者ID306および会社コード304は、
図3を参照しながら説明した利用者マスタ206の利用者ID306および会社コード304に対応する。利用者ID306および会社コード304は、精算情報209のカード番号501を検索キーとして利用者マスタ206に問い合わせを行い、利用者マスタ206の対象クレジットカード番号307と一致したデータの利用者IDおよび会社コードである。
【0037】
補助対象フラグ601は、後述する食事代補助を決定する処理にて補助対象となったか否かを示すフラグである。請求処理フラグ602は、カード会員に対する請求処理を行ったデータであるか否かを示すフラグである。
【0038】
(食事代補助の仕組み:クレジットカードの場合)
本発明に係る食事代補助の仕組みでは、従業員が企業の指定する加盟店において、飲食をし、あるいは食事のための買い物をした際に一定額を企業が負担する仕組みである。企業の指定する加盟店は、個々の店舗ごとに指定することができるため、例えば、会社の近隣のコンビニエンスストアやレストランなどを個別に指定することができ、同一のコンビニエンスストアやレストランのチェーンであっても会社から離れた場所にある店舗は対象外とすることができる。さらに、後述するように、カード決済の情報と従業員の勤怠情報をマッチングすることができるため、従業員の勤務時に支出した費用のみの補助をすることが可能となり、例えば、休日に支出した費用に対する補助を防ぐことができる。また、従業員自ら、任意の支出を補助の対象に含めないことを選択することもできる(例えば、勤務日であっても退勤後に企業が指定した加盟店にてアルコール類を飲食し、あるいは購入したデータが含まれている場合には除外することができる)。本発明の一実施形態では、カード決済が行われた時間帯を限定することも可能であり、例えば、企業が指定した昼食時間帯の支出のみを補助対象とすることも可能である。
【0039】
以下では、本発明に係る食事代補助の仕組みについて
図7を参照しながら説明する。
図7は、本発明に係る食事代補助の仕組みを説明するフロー図である。
【0040】
S701にて、カード会員が加盟店で食事代の支出のためにカード決済を行う。食事代の支出には、飲食店の店内での食事に対する支出および店舗での食料品等の購入に対する支出が含まれる。カード会員の保有するクレジットカードが加盟店端末110によって読み取られると、カードを識別する情報(例えば、カード番号)を含むオーソリ電文がクレジットカード会社のシステム100に送信される。上述したように、オーソリ電文には、オーソリゼーションの電文や売上データの電文が含まれる。送信されるオーソリ電文は、カード番号501、加盟店ID402、日時502、業務区分503およびカード利用金額504を含むことができる。加盟店端末110は、クレジットカード決済において従来から使用されているデバイスである。
【0041】
S702にて、システム100は、受信したオーソリ電文をオーソリ電文208に格納する。システム100は、オーソリ電文を主記憶部202上に一時的に格納しておき、S702の処理が終わった後にオーソリ電文208に格納してもよいし、あるいは、オーソリ電文を受信したらすぐにオーソリ電文208に格納してもよい。
【0042】
S703にて、システム100は、所定のタイミングでオーソリ電文208からオーソリ電文を読み出し、読み出したデータに対してデータ処理を行う。以下、このデータ処理について説明する。
【0043】
システム100は、読み出したデータに含まれるカード番号501を検索キーとして利用者マスタ206に問い合わせを行い、カード番号501と対象クレジットカード番号307とが一致したデータの利用者ID306および会社コード304を当該読み出したデータに付加する。システム100は、付加後のデータに含まれる会社コード304および加盟店ID401を検索キーにして対象加盟店マスタ207に問い合わせを行い、会社コード304および加盟店ID401がペアとなっているデータが存在するかどうかを判定する。存在するとの判定がなされた場合には、付加後のデータに含まれる補助対象フラグ601に「補助対象」であることを示すフラグがセットされ、存在しないとの判定がなされた場合には、補助対象フラグ601に「補助対象外」であることを示すフラグがセットされる。また、請求処理フラグ602には「未請求」を示すフラグがセットされる。このようなデータ処理が行われた後、処理後のデータは精算情報209に格納される。
【0044】
S704にて、システム100は、精算情報209に格納されているデータのうち、請求処理フラグが「未請求」を示すデータを読み出し、読み出したデータの会社コード304に関連付けられる企業の企業システム130に対して精算情報209から読み出したデータを送信することができる。企業システム130は、受信したデータに含まれる利用者ID306および日時502の情報に基づいて従業員の勤怠情報とのマッチング処理を行い、そのデータによって示される従業員が日時502によって示される日に勤務していたかどうかを判定することができる。企業システム130は、勤務していたと判定される場合には何ら処理を行わず、勤務していなかった日が存在する場合には、その日のデータに対して補助対象フラグ601に「補助対象外」であることを示すフラグをセットした後、システム100に送信することができる。システム100は、受信した精算情報のデータのうち、更新されたデータに基づいて精算情報209に格納されている対応するデータをアップデートすることができる。システム100と企業システム130との間のデータ通信および上述のデータ更新処理によって、従業員が勤務した日のみ食事代補助をすることが可能となる。本発明の他の実施形態では、システム100は、精算情報209から読み出したデータのうち利用者ID306および日時502を企業システム130に送信し、利用者ID306に関連付けられる従業員が日時502の日に勤務していたかどうかを示す情報(例えば、○と×)を企業システム130から受信してもよい。システム100は、受信した情報(例えば、○と×)に基づいて精算情報209を更新することができる。
【0045】
S705にて、システム100は、従業員に対して実際の請求処理が行われる前の精算情報を精算情報209から読み出し、システム100によって提供されるアプリケーションを通じてカード会員(従業員)に提示することができる。従業員は、周知のパーソナルコンピュータや携帯電話機などを通じて自らのPW302を使用してシステム100にアクセスし、自らの精算情報を確認することができる。提示された精算情報の中に補助対象に含めて欲しくないと判断される決済データ(例えば、アルコール関連)が存在する場合、従業員は当該アプリケーションを通じてそのようなデータの補助対象フラグ601の値を「補助対象外」に変更することができる。システム100は、当該変更操作を受信して精算情報209の対応するデータを更新することができる。なお、当該アプリケーションを通じて精算情報209の補助対象フラグ601の値を変更できるのは「補助対象」から「補助対象外」に変更する場合に限定される。この制限は、従業員による不正行為(本来なら補助対象にならない決済データであるが、操作により補助対象にしてしまう行為)を防ぐためである。
【0046】
S706にて、システム100は、所定の期日が到来したら精算情報209からデータを読み出し、カード会員に対する請求データを生成する。さらに、システム100は、当該カード会員に対する請求データのうち、補助対象フラグ601の値が「補助対象」を示す請求データのカード利用金額504の数値を合算処理し、カード会員の勤務先が定めた基準に従って食事代補助金額を算出することができる。例えば、合算したカード利用金額504が2万円であり、会社の補助率が30%(ただし、一月の上限金額が5000円まで)の場合、単純計算では2万円×30%=6000円となるが、上限金額が5000円と決まっているので、当該従業員に対する食事代補助金額は5000円となる。また、合算金額が1万円の場合には、上限金額5000円に満たないので食事代補助金額は1万円×30%=3000円となる。本発明によれば、企業側は、食事代補助の金額を事前に従業員に渡す必要はなく、実際にカード決済が行われた支出に対してのみ後払いで食事代の補助をすることができるので、キャッシュフローの面からも特許文献1に記載の発明や従来のサービスよりも優れている。
【0047】
システム100は、食事代補助金額の計算結果に基づいて、当該従業員の請求データにマイナス5000円のデータを加えることができる。最終的な請求データは、予め定められたやり方で当該従業員に通知されることとなる(例えば、郵送、オンライン上での確認など)。また、システム100は、当該企業の従業員に対する食事代補助の金額データ(上記の例で言えば、5000円や3000円)を全て合算し、合算後の金額を企業に対する請求データとすることができる。企業への請求については、予め企業とカード会社との間で口座振替契約を締結しておき、請求額を企業の口座から引き落とし、カード会社の口座に振り替えるようにしてもよい。
【0048】
企業システム130は、食事代補助としてシステム100から企業に対する請求額のデータを受信することができる。企業は、受信した請求額のデータを利用して、国税庁から出されている所得税基本通達36−38の2「食事の支給による経済的利益はないものとする場合」に規定される管理、すなわち、所得税から補助額を差し引くことを一部行うことも可能である。
【0049】
本発明の他の実施形態として、精算情報209は、請求処理を未実行のデータのみを格納するように構成されることができる。かかる場合、本処理フローが成功裏に行われた場合、処理対象となったデータはバックアップ用データベースに移動されることになる。
【0050】
本発明の他の実施形態では、システム100は、精算情報209に格納されているデータのうち、日時502の値が企業によって指定された時間帯の範囲内に入っている場合のみ、補助対象フラグ601の値を「補助対象」にセットすることができる。
【0051】
以下の表は、本発明に係る食事代補助の仕組みと、[背景技術]において記載した従来行われていたサービスの一例との比較である。
【0053】
(食事代補助の仕組み:デビットカードの場合)
次に、本発明に係る食事代補助の仕組みを、デビットカードを利用する実施形態を例に説明する。デビットカードは、銀行やクレジットカード会社が発行主体となる即時払いカードである。詳細に言えば、デビットカードは、デビットカード発行時に予め指定した銀行口座と連動・直結しており、加盟店で買い物する際に代金がその口座から即時引落し(即時払い)になるカードである。口座に残金がない場合、引落しは行われず、買い物することはできない。デビットカードは、銀行口座と連動・直結しているためプリペイドカードや電子マネーのように予めチャージ(前払い)する必要はない。
【0054】
図8は、本発明に係るシステム100を含む、デビットカード用の実施形態(第2の実施形態)のシステム全体の構成図である。システム100は、ネットワークを通じて銀行システム150および企業システム130と接続されている。企業システム130は、デビットカード利用者が勤務する企業のシステムである。銀行システム150は、デビットカード決済を担う周知の銀行システムであり、複数の加盟店端末160とネットワークを通じて接続されている。加盟店端末160は、デビットカード決済を担う周知のデバイスである。
【0055】
加盟店においてデビットカード決済が行われると、加盟店端末160は、
図9に示されるようなデビット決済電文900を銀行システム150に送信することができる。デビットカードは、カード発行時に代金の引落し用の銀行口座が指定されているので、指定された銀行口座を有する銀行の銀行システム150にデビット決済電文900が送信される。なお、加盟店端末160および銀行システム150の間に周知の中継システム(例えば、通信決済情報処理センターなど)が存在して、当該中継システムがデビット決済電文900の制御に関与してもよい。例えば、中継システムがデビット決済電文900を保持しつつ、デビット決済電文900を銀行システム150に転送し、その後、銀行システム150から成功裏に口座引き落としが完了した旨の通知を受けたことに応答して、中継システムがシステム100にデビット決済電文900を送信してもよい。
【0056】
図9は、デビットカード用の決済電文であるデビット決済電文900を説明する図である。デビット決済電文900は、デビットカード番号901、加盟店ID401、日時902、銀行口座903および決済金額904を含むことができるが、他のデータ項目も含むように構成されることが可能である。
【0057】
デビットカード番号901は、デビットカードを識別するための識別子である。加盟店ID401は、デビットカード決済を利用可能な加盟店を識別するための識別子であり、クレジットカード決済を利用可能な加盟店と同一の加盟店IDであってもよい。日時902は、デビットカード決済が行われた日時を示す。銀行口座903は、デビットカード決済の代金を口座引き落としするための銀行口座の情報を示す。決済金額904は、デビットカード決済の代金(決済金額)を示す。
【0058】
図8に戻って説明すると、銀行システム150は、デビット決済電文900を受信すると、銀行口座903および決済金額904の情報に基づいて、対応する銀行口座から代金を引き落とすことができるかどうかを判定することができる。引き落としができない場合には、加盟店端末160に対して決済不可のメッセージを送信し、デビットカード決済ができなかったことを通信する。引き落としできる場合には、銀行システム150は、当該銀行口座から決済金額904によって示される代金を引き落とし、当該銀行口座の残高を更新するとともに、デビット決済電文900をシステム100に送信する。
【0059】
システム100は、デビット決済電文900を受信すると、デビットカード番号901を検索キーとして利用者マスタ1000に問い合わせを行って、対応する会社コード304および利用者ID306を読み出し、デビット決済電文900に含まれる情報と読み出した会社コード304および利用者ID306の情報とに基づいて、精算情報1100を生成することができる。ここで、
図10および
図11を参照しながら、利用者マスタ1000および精算情報1100について説明する。
【0060】
図10は、第2の実施形態で利用される、利用者マスタ1000について説明する図である。利用者マスタ1000は、デビットカード番号901、会社コード304および利用者ID306を含むことができるが、他のデータ項目も含むように構成されることが可能である。利用者マスタ1000は、デビットカード利用者が、どの企業に勤務しているのか、およびその企業における従業員の識別番号(例えば、社員コード)を示すデータベースである。デビットカード番号901は、デビットカードを識別するための識別子であり、会社コード304は、デビットカード利用者が勤務する企業を識別する識別子であり、利用者ID306は、当該企業における当該デビットカード利用者を識別する識別子(例えば、社員コード)である。
【0061】
図11は、第2の実施形態で利用される精算情報1100について説明する図である。精算情報1100は、デビットカード決済が行われた精算データであって、カード利用者の勤務先企業および勤務先企業における識別情報を有しているデータベースである。詳細に言えば、精算情報1100は、デビットカード番号901、加盟店ID401、日時902、銀行口座903、決済金額904、利用者ID306、会社コード304、補助対象フラグ1101および返金フラグ1102を含むことができるが、他のデータ項目も含むように構成されることが可能である。デビットカード番号901、加盟店ID401、日時902、銀行口座903および決済金額904の情報は、デビット決済電文900に含まれていた情報であり、利用者ID306および会社コード304は、利用者マスタ1000に含まれていた情報である。デビット決済電文900および利用者マスタ1000に含まれていた情報は、デビットカード番号901に基づいて抽出された情報である。
【0062】
補助対象フラグ1101は、本発明に係る食事代補助の対象になり得る支出であるかどうかを示し、返金フラグ1102は、実際に返金処理を行ったかどうかを示すフラグである。
【0063】
再び
図8に戻ると、システム100は、精算情報1100に含まれる会社コード304および加盟店ID401のペアを検索キーとして対象加盟店マスタ207にアクセスし、一致するペアのデータが存在するかどうかを判定する。存在すると判定された場合には、システム100は、当該データの補助対象フラグ1101に「補助対象」を示すフラグをセットすることができる。存在しないと判定された場合には、システム100は、当該データの補助対象フラグ1101に「補助対象外」を示すフラグをセットすることができる。このような処理をシステム100は精算情報1100の全てのデータに対して行う。
【0064】
その後、システム100は、予め定められたタイミング(例えば、月一回)で精算情報1100のデータをデビットカード番号901ごとに読み出し、補助対象フラグ1101に「補助対象」を示すフラグがセットされているデータの決済金額904を合算する。システム100は、合算された金額に基づいて食事代補助の金額を計算するデータ処理を行う。例えば、合算金額が2万円であり、会社の補助率が30%(ただし、一月の上限金額が5000円まで)の場合、単純計算では2万円×30%=6000円となるが、上限金額が5000円と決まっているので、当該従業員に対する食事代補助金額は5000円となる。また、合算金額が1万円の場合には、上限金額5000円に満たないので食事代補助金額は1万円×30%=3000円となる。本発明によれば、企業側は、食事代補助の金額を事前に従業員に渡す必要はなく、実際にデビットカード決済が行われた支出に対してのみ後払いで食事代の補助をすることができるので、キャッシュフローの面からも特許文献1に記載の発明や従来のサービスよりも優れている。
【0065】
システム100は、上記したデータ処理後の金額を銀行口座903によって示される口座に対して振込を行うための振込データを生成することができる。生成された振込データは、システム100から銀行システム150に送信され、銀行システム150は、銀行口座903によって示される口座に対する振込処理を行う。振込元口座(例えば、カード会社の口座)は複数の銀行に存在してよく、この振込元口座から銀行口座903によって示される口座に対する振込処理が実行される。このような仕組みにより、デビットカード利用者は、企業から食事代補助を受けることができるようになる。
【0066】
さらに、システム100は、当該企業の従業員に対する食事代補助の金額データ(上記の例で言えば、5000円や3000円)を全て合算し、合算後の金額を企業に対する請求データとすることができる。すなわち、企業に対する請求金額は、従業員に対する食事代補助の金額に等しくなる。企業への請求については、予め企業とカード会社との間で口座振替契約を締結しておき、請求額を企業の口座から引き落とし、カード会社の口座に振り替えるようにしてもよい。
【0067】
以下では、本発明に係る食事代補助の仕組みについて
図12を参照しながら説明する。
図12は、第2の実施形態で実行される、本発明に係る食事代補助の仕組みを説明するフロー図である。本発明に係る食事代補助の仕組みは、従業員が企業の指定する加盟店において、飲食をし、あるいは食事のための買い物をした際に一定額を企業が負担する仕組みである。企業の指定する加盟店は、個々の店舗ごとに指定することができる。さらに、デビットカード決済の情報と従業員の勤怠情報をマッチングすることができるため、従業員の勤務時に支出した費用のみの補助をすることが可能となる。従業員自ら、任意の支出を補助の対象に含めないことを選択することもでき、また、カード決済が行われた時間帯を限定することも可能である。
【0068】
S1201にて、デビットカード利用者が加盟店で食事代の支出のためにカード決済を行う。食事代の支出には、飲食店の店内での食事に対する支出および店舗での食料品等の購入に対する支出が含まれる。デビットカードが加盟店端末160によって読み取られると、デビット決済電文900が銀行システム150に送信される。デビットカードは、カード発行時に代金の引落し用の銀行口座が指定されているので、指定された銀行口座を有する銀行の銀行システム150にデビット決済電文900が送信される。
【0069】
S1202にて、銀行システム150は、デビット決済電文900を受信すると、銀行口座903および決済金額904の情報に基づいて、対応する銀行口座から代金を引き落とすことができるかどうかを判定することができる。引き落としができない場合には、加盟店端末160に対して決済不可のメッセージを送信し、デビットカード決済ができなかったことを通信する。引き落としできる場合には、銀行システム150は、当該銀行口座から決済金額904によって示される代金を引き落とし、当該銀行口座の残高を更新するとともに、デビット決済電文900をシステム100に送信する。
【0070】
S1203にて、システム100は、デビット決済電文900を受信すると、デビットカード番号901を検索キーとして利用者マスタ1000に問い合わせを行って、対応する会社コード304および利用者ID306を読み出し、デビット決済電文900に含まれる情報と読み出した会社コード304および利用者ID306の情報に基づいて、精算情報1100を生成することができる。
【0071】
システム100は、精算情報1100に含まれる会社コード304および加盟店ID401のペアを検索キーとして対象加盟店マスタ207にアクセスし、一致するペアのデータが存在するかどうかを判定する。存在すると判定された場合には、システム100は、当該データの補助対象フラグ1101に「補助対象」を示すフラグをセットすることができる。存在しないと判定された場合には、システム100は、当該データの補助対象フラグ1101に「補助対象外」を示すフラグをセットすることができる。この処理は精算情報1100の全てのデータに対して行われる。
【0072】
S1204にて、システム100は、精算情報1100に格納されているデータを読み出し、読み出したデータの会社コード304に関連付けられる企業の企業システム130に対して精算情報1100から読み出したデータを送信することができる。企業システム130は、受信したデータに含まれる利用者ID306および日時902の情報に基づいて従業員の勤怠情報とのマッチング処理を行い、そのデータによって示される従業員が日時902によって示される日に勤務していたかどうかを判定することができる。企業システム130は、勤務していたと判定される場合には何ら処理を行わず、勤務していなかった日が存在する場合には、その日のデータに対して補助対象フラグ1101に「補助対象外」であることを示すフラグをセットした後、システム100に送信することができる。システム100は、受信した精算情報のデータのうち、更新されたデータに基づいて精算情報1100に格納されている対応するデータをアップデートすることができる。システム100と企業システム130との間のデータ通信および上述のデータ更新処理によって、従業員が勤務した日のみ食事代補助をすることが可能となる。本発明の他の実施形態では、システム100は、精算情報1100から読み出したデータのうち利用者ID306および日時902を企業システム130に送信し、利用者ID306に関連付けられる従業員が日時902の日に勤務していたかどうかを示す情報(例えば、○と×)を企業システム130から受信してもよい。システム100は、受信した情報(例えば、○と×)に基づいて精算情報1100を更新することができる。
【0073】
S1205にて、システム100は、従業員に対して実際の返金処理が行われる前の精算情報を精算情報1100から読み出し、システム100によって提供されるアプリケーションを通じて従業員に提示することができる。従業員は、周知のパーソナルコンピュータや携帯電話機などを通じてシステム100にアクセスし、自らの精算情報を確認することができる。提示された精算情報の中に補助対象に含めて欲しくないと判断される決済データ(例えば、アルコール関連)が存在する場合、従業員は当該アプリケーションを通じてそのようなデータの補助対象フラグ1101の値を「補助対象外」に変更することができる。システム100は、当該変更操作を受信して精算情報1100の対応するデータを更新することができる。なお、当該アプリケーションを通じて精算情報1100の補助対象フラグ1101の値を変更できるのは「補助対象」から「補助対象外」に変更する場合に限定される。この制限は、従業員による不正行為(本来なら補助対象にならない決済データであるが、操作により補助対象にしてしまう行為)を防ぐためである。
【0074】
S1206にて、システム100は、予め定められたタイミング(例えば、月一回)で精算情報1100のデータをデビットカード番号901ごとに読み出し、補助対象フラグ1101に「補助対象」を示すフラグがセットされているデータの決済金額904を合算する。システム100は、合算された金額に基づいて食事代補助の金額を計算するデータ処理を行う。例えば、合算金額が2万円であり、会社の補助率が30%(ただし、一月の上限金額が5000円まで)の場合、単純計算では2万円×30%=6000円となるが、上限金額が5000円と決まっているので、当該従業員に対する食事代補助金額は5000円となる。また、合算金額が1万円の場合には、上限金額5000円に満たないので食事代補助金額は1万円×30%=3000円となる。本発明によれば、企業側は、食事代補助の金額を事前に従業員に渡す必要はなく、実際にデビットカード決済が行われた支出に対してのみ後払いで食事代の補助をすることができるので、キャッシュフローの面からも特許文献1に記載の発明や従来のサービスよりも優れている。
【0075】
その後、システム100は、上記したデータ処理後の金額を銀行口座903によって示される口座に対して振込を行うための振込データを生成することができる。生成された振込データは、システム100から銀行システム150に送信され、銀行システム150は、銀行口座903によって示される口座に対する振込処理を行う。振込元口座(例えば、カード会社の口座)は複数の銀行に存在してよく、この振込元口座から銀行口座903によって示される口座に対する振込処理が実行される。このデータ処理の対象となったデータの返金フラグ1102には「返金済」を示すフラグがセットされる。
【0076】
また、システム100は、当該企業の従業員に対する食事代補助の金額データ(上記の例で言えば、5000円や3000円)を全て合算し、合算後の金額を企業に対する請求データとすることができる。
【0077】
本発明の他の実施形態として、精算情報1100は、返金処理を未実行のデータのみを格納するように構成されることができる。かかる場合、
図12の処理フローが成功裏に行われた場合、処理対象となったデータはバックアップ用データベースに移動されることになる。
【0078】
本発明の他の実施形態では、システム100は、精算情報1100に格納されているデータのうち、日時902の値が企業によって指定された時間帯の範囲内に入っている場合のみ、補助対象フラグ1101の値を「補助対象」にセットすることができる。
【0079】
以下の表は、本発明に係る食事代補助の仕組みと、[背景技術]において記載した従来行われていたサービスの一例との比較である。
【0081】
(食事代補助の仕組み:プリペイドカードの場合)
次に、本発明に係る食事代補助の仕組みを、プリペイドカードを利用する実施形態を例に説明する。本明細書の「背景技術」の欄で説明したプリペイドカードを使ったサービスでは、企業が事前にプリペイドカードに対してチャージ(前払い)処理を行っていたが、本発明に係るプリペイドカードを利用した食事代補助の仕組みでは、上述した実施形態と同様に事後的に補助金額を算出するため、企業は、食事代補助金額を予めチャージする必要はない。
【0082】
図13は、本発明に係るシステム100を含む、プリペイドカード用の実施形態(第3の実施形態)のシステム全体の構成図である。システム100は、ネットワークを通じて企業システム130と通信可能に接続され、本明細書で後述する食事代補助の仕組みにおいて説明される従業員の勤怠情報のマッチング処理(任意の決済が従業員の勤務時に発生したかどうかを判定する処理)を行うことができる。企業システム130は、プリペイドカード利用者が勤務する企業のシステムである。加盟店端末170は、プリペイドカード決済を担う周知のデバイスである。システム100は、複数の加盟店端末170とネットワークを通じて接続されている。
【0083】
加盟店においてプリペイドカード決済が行われると、加盟店端末170は、プリペイドカード決済電文をシステム100に送信することができる。プリペイドカード決済電文は、例えば、プリペイドカード番号1401、加盟店ID401、日時1501、決済金額1502を含むことができる。システム100は、プリペイドカード決済電文を受信し、および格納した後、対応するプリペイドカードの残高情報を更新するとともに、利用者マスタ1400に格納されている情報とプリペイドカード決済電文に含まれている情報をマージして、精算情報1500を生成することができる。また、システム100は、加盟店端末170に対して、当該プリペイドカードの残高情報(決済前および/または決済後の残高情報)を提示することができる。
【0084】
図14は、第3の実施形態で利用される、利用者マスタ1400について説明する図である。利用者マスタ1400は、プリペイドカード番号1401、会社コード304および利用者ID306を含むことができるが、他のデータ項目も含むように構成されることが可能である。利用者マスタ1400は、プリペイドカード利用者が、どの企業に勤務しているのか、およびその企業における従業員の識別番号(例えば、社員コード)を示すデータベースである。プリペイドカード番号1401は、プリペイドカードを識別するための識別子であり、会社コード304は、プリペイドカード利用者が勤務する企業を識別する識別子であり、利用者ID306は、当該企業における当該プリペイドカード利用者を識別する識別子(例えば、社員コード)である。
【0085】
図15は、第3の実施形態で利用される精算情報1500について説明する図である。精算情報1500は、プリペイドカード決済が行われた精算データであって、カード利用者の勤務先企業および勤務先企業における識別情報を有しているデータベースである。詳細に言えば、精算情報1500は、プリペイドカード番号1401、加盟店ID401、日時1501、決済金額1502、利用者ID306、会社コード304、補助対象フラグ1503およびチャージフラグ1504を含むことができるが、他のデータ項目も含むように構成されることが可能である。プリペイドカード番号1401、加盟店ID401、日時1501、決済金額1502の情報は、プリペイドカード決済電文に含まれていた情報であり、利用者ID306および会社コード304は、利用者マスタ1400に含まれていた情報である。補助対象フラグ1503は、本発明に係る食事代補助の対象になり得る支出であるかどうかを示すフラグである。チャージフラグ1504は、食事代補助の対象になった支出に関して、対応するプリペイドカードにチャージを行ったかどうかを示すフラグである。
【0086】
プリペイドカード番号1401は、プリペイドカードを識別するための識別子である。加盟店ID401は、プリペイドカード決済を利用可能な加盟店を識別するための識別子であり、クレジットカード決済/デビットカード決済を利用可能な加盟店と同一の加盟店IDであってもよい。日時1501は、プリペイドカード決済が行われた日時を示す。決済金額1502は、プリペイドカード決済の代金(決済金額)を示す。
【0087】
以下では、本発明に係る食事代補助の仕組みについて
図16を参照しながら説明する。
図16は、第3の実施形態で実行される、本発明に係る食事代補助の仕組みを説明するフロー図である。本発明に係る食事代補助の仕組みは、従業員が企業の指定する加盟店において、飲食をし、あるいは食事のための買い物をした際に一定額を企業が負担する仕組みである。企業の指定する加盟店は、個々の店舗ごとに指定することができる。さらに、プリペイドカード決済の情報と従業員の勤怠情報をマッチングすることができるため、従業員の勤務時に支出した費用のみの補助をすることが可能となる。従業員自ら、任意の支出を補助の対象に含めないことを選択することもでき、また、カード決済が行われた時間帯を限定することも可能である。
【0088】
S1601にて、プリペイドカード利用者が加盟店で食事代の支出のためにカード決済を行う。食事代の支出には、飲食店の店内での食事に対する支出および店舗での食料品等の購入に対する支出が含まれる。プリペイドカードが加盟店端末170によって読み取られると、プリペイドカード決済電文がシステム100に送信される。
【0089】
S1602にて、システム100は、プリペイドカード決済電文を受信すると、不図示のプリペイドカード残高情報を更新することができる。更新前後の残高情報は、加盟店端末170に対して提示されてよい。
【0090】
S1603にて、システム100は、受信したプリペイドカード決済電文に含まれる情報と利用者マスタ1400に含まれる情報をプリペイドカード番号1401をキーにしてマージし、精算情報1500を生成することができる。精算情報1500の一例は、
図15を参照しながら上述した通りであり、補助対象フラグ1503およびチャージフラグ1504は、初期値としてNULLがセットされている。
【0091】
システム100は、精算情報1500に含まれる会社コード304および加盟店ID401のペアを検索キーとして対象加盟店マスタ207にアクセスし、一致するペアのデータが存在するかどうかを判定する。存在すると判定された場合には、システム100は、当該データの補助対象フラグ1503に「補助対象」を示すフラグをセットすることができる。この処理は精算情報1500の全てのデータに対して行われる。
【0092】
S1604にて、システム100は、精算情報1500に格納されているデータを読み出し、読み出したデータの会社コード304に関連付けられる企業の企業システム130に対して精算情報1500から読み出したデータを送信することができる。企業システム130は、受信したデータに含まれる利用者ID306および日時1501の情報に基づいて従業員の勤怠情報とのマッチング処理を行い、そのデータによって示される従業員が日時1501によって示される日に勤務していたかどうかを判定することができる。企業システム130は、勤務していたと判定される場合には何ら処理を行わず、勤務していなかった日が存在する場合には、その日のデータに対して補助対象フラグ1503に「補助対象外」であることを示すフラグをセットした後、システム100に送信することができる。システム100は、受信した精算情報のデータのうち、更新されたデータに基づいて精算情報1500に格納されている対応するデータをアップデートすることができる。システム100と企業システム130との間のデータ通信および上述のデータ更新処理によって、従業員が勤務した日のみ食事代補助をすることが可能となる。本発明の他の実施形態では、システム100は、精算情報1500から読み出したデータのうち利用者ID306および日時1501を企業システム130に送信し、利用者ID306に関連付けられる従業員が日時1501の日に勤務していたかどうかを示す情報(例えば、○と×)を企業システム130から受信してもよい。システム100は、受信した情報(例えば、○と×)に基づいて精算情報1500を更新することができる。
【0093】
S1605にて、システム100は、従業員に対して食事代補助金額のチャージ処理が行われる前の精算情報を精算情報1500から読み出し、システム100によって提供されるアプリケーションを通じて従業員に提示することができる。従業員は、周知のパーソナルコンピュータや携帯電話機などを通じてシステム100にアクセスし、自らの精算情報を確認することができる。提示された精算情報の中に補助対象に含めて欲しくないと判断される決済データが存在する場合、従業員は当該アプリケーションを通じてそのようなデータの補助対象フラグ1503の値を「補助対象外」に変更することができる。システム100は、当該変更操作を受信して精算情報1500の対応するデータを更新することができる。なお、当該アプリケーションを通じて精算情報1500の補助対象フラグ1503の値を変更できるのは「補助対象」から「補助対象外」に変更する場合に限定される。この制限は、従業員による不正行為(本来なら補助対象にならない決済データであるが、操作により補助対象にしてしまう行為)を防ぐためである。
【0094】
S1606にて、システム100は、予め定められたタイミング(例えば、月一回)で精算情報1500のデータをプリペイドカード番号1401ごとに読み出し、補助対象フラグ1503に「補助対象」を示すフラグがセットされているデータの決済金額1502を合算する。システム100は、合算された金額に基づいて食事代補助の金額を計算するデータ処理を行う。例えば、合算金額が2万円であり、会社の補助率が30%(ただし、一月の上限金額が5000円まで)の場合、単純計算では2万円×30%=6000円となるが、上限金額が5000円と決まっているので、当該従業員に対する食事代補助金額は5000円となる。また、合算金額が1万円の場合には、上限金額5000円に満たないので食事代補助金額は1万円×30%=3000円となる。本発明によれば、企業側は、食事代補助の金額を事前に従業員に渡す必要はなく、実際にプリペイドカード決済が行われた支出に対してのみ後払いで食事代の補助をすることができるので、キャッシュフローの面からも特許文献1に記載の発明よりも優れている。
【0095】
その後、システム100は、システム100内に格納されているプリペイドカードの残高情報を、計算した食事代補助の金額で更新するとともに、このデータ処理の対象となったデータのチャージフラグ1504に「チャージ済み」であることを示すフラグをセットすることができる。
【0096】
また、システム100は、当該企業の従業員に対する食事代補助の金額データ(上記の例で言えば、5000円や3000円)を全て合算し、合算後の金額を企業に対する請求データとすることができる。
【0097】
本発明の他の実施形態として、精算情報1500は、チャージ処理を未実行のデータのみを格納するように構成されることができる。かかる場合、
図16の処理フローが成功裏に行われた場合、処理対象となったデータはバックアップ用データベースに移動されることになる。
【0098】
本発明の他の実施形態では、システム100は、精算情報1500に格納されているデータのうち、日時1501の値が企業によって指定された時間帯の範囲内に入っている場合のみ、補助対象フラグ1503の値を「補助対象」にセットすることができる。
【0099】
以下の表は、本発明に係る食事代補助の仕組みと、[背景技術]において記載した従来行われていたサービスの一例との比較である。
【0101】
実施形態1〜3では、利用者マスタ206、1000、1400を別個のテーブルとして説明したが、これらのテーブルを1つに統合しても構わない。
【0102】
以上、例示的な実施形態を参照しながら本発明の原理を説明したが、本発明の要旨を逸脱することなく、構成および細部において変更する様々な実施形態を実現可能であることを当業者は理解するだろう。すなわち、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様を採用することが可能である。
【解決手段】従業員に対する食事代補助のための精算システムは、受信したカード決済電文に基づいて、精算データを生成する手段であって、精算データは、食事代補助対象を示す第1の表示または食事代補助対象外を示す第2の表示のいずれかを有し、第1の表示および第2の表示は、精算データに含まれる会社識別子および加盟店識別子のペアに基づいて設定される、手段と、精算データのうち、第1の表示を有する精算データに基づいて食事代補助の金額を算出する手段であって、食事代補助の金額は、カード保有者に対して支払われる金額を示す、手段と、算出された食事代補助の金額に基づいて企業に対する請求データを生成する手段を備える。