特許第6188914号(P6188914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6188914不織布集電体、これを用いた電池の製造方法及びその製造システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188914
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】不織布集電体、これを用いた電池の製造方法及びその製造システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/80 20060101AFI20170821BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20170821BHJP
   H01M 2/26 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   H01M4/80 C
   H01M4/66 A
   H01M2/26 A
【請求項の数】20
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-506265(P2016-506265)
(86)(22)【出願日】2014年4月30日
(65)【公表番号】特表2016-519399(P2016-519399A)
(43)【公表日】2016年6月30日
(86)【国際出願番号】KR2014003850
(87)【国際公開番号】WO2014178646
(87)【国際公開日】20141106
【審査請求日】2015年10月5日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0050054
(32)【優先日】2013年5月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513003301
【氏名又は名称】ジェナックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム チャンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ ミンギュ
(72)【発明者】
【氏名】シン イヒョン
【審査官】 大畑 通隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−130395(JP,A)
【文献】 特開2010−282789(JP,A)
【文献】 特開2001−273923(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/137206(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0159998(US,A1)
【文献】 特開昭56−050069(JP,A)
【文献】 特開2006−310261(JP,A)
【文献】 特表2013−543231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/66−82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が導電性纎維のネットワークを含む上部及び下部の導電性不織布シートと、
前記導電性不織布シートよりも高い引張強度を有し、前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートとの間でこれらの結合の媒介となり、前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートとを連通させる気孔を有する張力補強層と、を含む不織布集電体であって、
前記上部または下部の導電性不織布シートは、前記導電性纎維と共に混合した纎維化された線状結着材を更に含むことを特徴とする不織布集電体。
【請求項2】
前記不織布集電体の引張伸び率は、2%ないし10%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の不織布集電体。
【請求項3】
前記不織布集電体の降伏強度は、0.1kgf/cmないし100kgf/cmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の不織布集電体。
【請求項4】
前記導電性纎維は、カーボンファイバー、導電性ポリマーファイバー、金属フィラメント、金属層あるいは導電性ポリマー層がコーティングされたポリマーファイバー、または中空型金属ファイバーを含むことを特徴とする請求項1に記載の不織布集電体。
【請求項5】
前記導電性纎維上に金属層または導電性ポリマー層が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の不織布集電体。
【請求項6】
前記上部または下部の導電性不織布シートは、前記導電性纎維上に、導電材と、前記導電材の固定のための結着材とを更に含み、電気的活物質を含まないことを特徴とする請求項1に記載の不織布集電体。
【請求項7】
前記導電材は、カーボンブラック、アセチレンブラック、ファインカーボン、ナノ金属粒子ペースト、ITO(indium tin oxide)ペーストまたはカーボンナノチューブを含むことを特徴とする請求項に記載の不織布集電体。
【請求項8】
前記金属フィラメントは、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、銅、銀、金、コバルト、スズ、ビスマス、鉛、アンチモン、亜鉛、鉄、カドミウム及びこれらの合金、またはリチウムと合金化/脱合金化が可能な金属化合物を含むことを特徴とする請求項4に記載の不織布集電体。
【請求項9】
前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートの前記導電性纎維上に、電気的活物質のコーティング層を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の不織布集電体。
【請求項10】
前記金属フィラメントは、相異なる種類の金属を含む2種以上の金属フィラメントを含むことを特徴とする請求項に記載の不織布集電体。
【請求項11】
前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートは、前記張力補強層にそれぞれ接着して結合されることを特徴とする請求項1に記載の不織布集電体。
【請求項12】
前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートは、前記張力補強層の前記気孔を介して互いに交絡して結合されることを特徴とする請求項1に記載の不織布集電体。
【請求項13】
前記張力補強層の前記気孔の平均サイズは、前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートの前記ネットワーク内の気孔の平均サイズと同じであるか、またはそれよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の不織布集電体。
【請求項14】
前記張力補強層は、不織布構造、織造構造、網構造、一定の方向に展開された纎維構造、またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の不織布集電体。
【請求項15】
各々が導電性纎維のネットワークを含む上部及び下部の導電性不織布シートと、
前記導電性不織布シートよりも高い引張強度を有し、前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートとの間でこれらの結合の媒介となり、前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートとを連通させる気孔を有する張力補強層と、を含む不織布集電体であって、
前記張力補強層は、前記不織布集電体の主面に平行であるが、一定の方向の引張強度を増加させることを特徴とする不織布集電体。
【請求項16】
前記増加した引張強度の方向は、電池製造工程を連続的に行うためのロール工程におけるローラの回転軸、またはゼリーロール電極形成工程におけるロールの中心軸に垂直な方向であることを特徴とする請求項15に記載の不織布集電体。
【請求項17】
前記張力補強層は、高分子素材、金属またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の不織布集電体。
【請求項18】
各々が導電性纎維のネットワークを含む上部及び下部の導電性不織布シートと、
前記導電性不織布シートよりも高い引張強度を有し、前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートとの間でこれらの結合の媒介となり、前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートとを連通させる気孔を有する張力補強層と、を含む不織布集電体であって、
なくとも一表面上に前記導電性纎維のネットワーク間の気孔を部分的に閉塞する導電性パターンを更に含むことを特徴とする不織布集電体。
【請求項19】
前記導電性パターンは、前記不織布集電体の前記表面上の気孔を露出させるように、所定の間隔ほど離隔したラインパターンを含むことを特徴とする請求項18に記載の不織布集電体。
【請求項20】
前記ラインパターン上に電池タブまたはリードが形成されることを特徴とする請求項19に記載の不織布集電体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の技術に係り、より詳しくは、不織布集電体、これを用いた電池の製造方法及びその製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
去る20年間、半導体製造技術及び通信技術が飛躍的に発展するにつれて、移動通信端末機及びラップトップコンピュータなどの携帯型電子装置の電力源として、リチウムイオン電池についての研究と商用化が幅広く行われてきた。近年、エネルギー枯渇や温室効果などの環境問題への対応のため、エネルギー低減技術の要望が急増しており、その結果、携帯型電子装置の関連産業だけでなく、電気自動車、ハイブリッド自動車または電力グリッドに適用可能な中大型電池に係る関心と研究が活発に行われつつある。このような用途のバッテリーとして、ニッケル・金属水素(Ni−MH)電池とリチウム二次電池が主に研究されている。このうち、リチウム二次電池は、自然界に知られた金属のうち最も軽く、標準還元電位が最も低いリチウムを用いるため、エネルギー密度が高いだけでなく、高電圧と高出力の電池を製造することができる。
【0003】
このような電池の性能を具現するにあたり、好適な集電体の開発は重要である。集電体は、電池性能を向上させるために内部抵抗と非可逆性の改善を確保しなければならず、これと共に製造経済性を有するために高い収率が得られなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、エネルギー密度が高いだけでなく、充放電効率、充放電速度及びサイクル特性が優秀であり、高い収率を達成して製造経済性を有する集電体を提供することにある。
【0005】
本発明が解決しようとする他の課題は、上述の利点を有する不織布集電体を用いて、再現性及び信頼性のある電池の製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明が解決しようとする更に他の課題は、上述の利点を有する電池の製造システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の一実施形態による不織布集電体は、導電性纎維のネットワークを含む上部及び下部の導電性不織布シートと、前記導電性不織布シートよりも高い引張強度を有し、前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートとの間でこれらの結合の媒介となり、前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートとを連通させる気孔を有する張力補強層と、を含む。
【0008】
前記不織布集電体の引張伸び率は、2%ないし10%の範囲内である。また、前記不織布集電体の降伏強度は、0.1kgf/cmないし100kgf/cmの範囲内である。
【0009】
前記導電性纎維は、カーボンファイバー、導電性ポリマーファイバー、金属層あるいは導電性ポリマー層がコーティングされたポリマーファイバー、または中空型金属ファイバーを含む。
【0010】
一部の実施形態において、前記導電性纎維上に金属層または導電性ポリマー層が形成される。また、前記上部または下部の導電性不織布シートは、前記導電性纎維上に、導電材と、前記導電材の固定のための結着材とを更に含む。
【0011】
一部の実施形態において、前記上部または下部の導電性不織布シートは、前記導電性纎維と共に混合した纎維化された線状結着材を更に含む。前記線状結着材は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ナイロン、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びこれらの共重合体、または混合物を含む。
【0012】
また、前記金属フィラメントは、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、銅、銀、金、コバルト、スズ、ビスマス、鉛、アンチモン、亜鉛、鉄、カドミウム及びこれらの合金、またはリチウムと合金化/脱合金化が可能な金属化合物を含む。前記不織布集電体は、前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートの前記導電性纎維上に、電気的活物質のコーティング層を更に含んでもよい。また、前記金属フィラメントは、相異なる種類の金属を含む2種以上の金属フィラメントを含んでもよい。
【0013】
前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートは、前記張力補強層にそれぞれ接着して結合される。選択的には、前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートは、前記張力補強層の前記気孔を介して互いに交絡して結合されてもよい。
【0014】
一部の実施形態において、前記張力補強層の前記気孔の平均サイズは、前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートの前記ネットワーク内の気孔の平均サイズと同じであるか、またはそれよりも大きい。
【0015】
前記張力補強層は、不織布構造、織造構造、網構造、一定の方向に展開された纎維構造、またはこれらの組み合わせを含む。前記張力補強層は、前記不織布集電体の主面に平行であるが、一定の方向の引張強度を選択的に増加させる。一部の実施形態において、前記増加した引張強度の方向は、電池製造工程を連続的に行うためのロール工程におけるローラの回転軸、またはゼリーロール電極形成工程におけるロールの中心軸に垂直な方向である。
【0016】
前記張力補強層は、高分子素材、金属またはこれらの組み合わせを含む。前記高分子素材は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ナイロン、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、またはこれらの共重合体を含む誘導体である。前記金属は、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルまたはこれらの合金を含む。
【0017】
一部の実施形態において、前記不織布集電体は、少なくとも一表面上に前記導電性纎維のネットワーク間の気孔を部分的に閉塞する導電性パターンを更に含む。前記導電性パターンは、前記不織布集電体の前記表面上の気孔を露出させるように、所定の間隔ほど離隔したラインパターンを含む。また、前記ラインパターン上に電池タブまたはリードが形成される。
【0018】
前記他の課題を解決するための本発明の一実施形態による電池の製造方法は、導電性纎維のネットワークを含む上部導電性不織布シートと、導電性纎維のネットワークを含む下部導電性不織布シートとを用意する。次いで、前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートとの間に、前記導電性不織布シートよりも高い引張強度を有し、気孔を有する張力補強層を提供した後、前記張力補強層を媒介して、前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートとを結合させ、不織布集電体を形成する。次いで、前記不織布集電体内に活物質が満たされる。
【0019】
前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートの結合は、溶融接着または交絡により行われる。前記交絡は、ニードルパンチ、スパンレースまたはステッチボンドにより行われる。
【0020】
前記不織布集電体の引張伸び率は、0.1%ないし10%の範囲内である。また、前記不織布集電体の降伏強度は、0.1kgf/cmないし100kgf/cmの範囲内である。
【0021】
前記更に他の課題を解決するための本発明の一実施形態による電池の製造システムは、連続的に上部導電性不織布シートを供給する第1供給装置と、連続的に下部導電性不織布シートを供給する第2供給装置と、前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートとの間に連続的に張力補強層を供給する第3供給装置と、連続的に供給される前記張力補強層を媒介して、前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートとを結合させ、不織布集電体を形成する結合装置と、を含む。
【0022】
一部の実施形態において、前記結合装置は、前記上部導電性不織布シート、前記下部導電性不織布シート及び前記張力補強層を溶融接着するために、前記不織布集電体に熱、赤外線、紫外線、電子ビームまたは超音波を印加するエネルギー印加装置を含む。また、前記結合装置は、前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートとを互いに交絡させるためのニードルパンチ、スパンレースまたはステッチボンド装置を含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施形態によれば、導電性纎維のネットワークを有する導電性不織布シートを使用することで、優秀な電気的特性及び纎維の柔軟性と組織性に基づいて、集電体と電気的活物質との間の内部抵抗減少及び界面増加の効果によって、電池のエネルギー密度が向上するだけでなく、充放電速度、充放電効率及びサイクル特性が改善された電池が得られる。また、前記導電性不織布シート内に張力補強層が提供されることで、機械的引張強度が向上し、巻出装置を用いた連続工程またはゼリーロールなどの電池パッケージングの際に発生する不織布集電体の変形による内部抵抗増加を防止し、降伏による不良を改善して収率を向上させることができる。
【0024】
本発明の他の実施形態によれば、上述の利点を有する不織布集電体を用いた電池の製造方法が提供される。
【0025】
本発明の更に他の実施形態によれば、上述の利点を有する不織布集電体を用いた電池の製造システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】本発明の一実施形態による不織布集電体を示す斜視図である。
図1B】本発明の他の実施形態による不織布集電体を示す部分図である。
図1C図1AのIC−IC′線に沿ってカットされた不織布集電体の断面図である。
図2A】本発明の様々な実施形態による張力補強層を示す斜視図である。
図2B】本発明の様々な実施形態による張力補強層を示す斜視図である。
図2C】本発明の様々な実施形態による張力補強層を示す斜視図である。
図2D】本発明の様々な実施形態による張力補強層を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による電池の製造方法を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態による電池の製造システムを示す図面である。
図5】本発明の一実施形態による引張伸び率の測定装置を示す図面である。
図6A】本発明の他の実施形態による不織布集電体を用いた電極の製造方法を示す斜視図である。
図6B】本発明の他の実施形態による不織布集電体を用いた電極の製造方法を示す斜視図である。
図7】本発明の一実施形態による不織布集電体を用いた電池を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付された図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0028】
本発明の実施形態は、当業者に本発明をさらに完全に説明するために提供されるものであり、下記の実施形態は、色々な他の形態に変形可能であり、本発明の範囲が下記の実施形態に限定されるものではない。かえって、それらの実施形態は、本開示をさらに充実かつ完全にし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
【0029】
また、以下の図面において、各層の厚さやサイズは、説明の便宜及び明確性のために誇張されたものであり、図面上で、同じ符号は同じ要素を指す。本明細書で使われたように、用語“及び/または”は、当該列挙された項目のうちいずれか一つ及び一つ以上の全ての組み合わせを含む。
【0030】
本明細書で使われた用語は、特定の実施形態を説明するために使われ、本発明を制限するためのものではない。本明細書で使われたように、単数の形態は、文脈上明確に取り立てて指摘するものでなければ、複数の形態を含む。また、本明細書で使われる場合、“含む(comprise)”及び/または“含んだ(comprising)”は、言及した形状、数字、段階、動作、部材、要素及び/またはそれらのグループの存在を特定するものであり、一つ以上の他の形状、数字、動作、部材、要素及び/またはそれらのグループの存在または付加を排除するものではない。
【0031】
本明細書において、第1、第2などの用語は、多様な部材、部品、領域、層及び/または部分を説明するために使われるが、それらの部材、部品、領域、層及び/または部分は、それらの用語によって限定されてはならない。それらの用語は、一つの部材、部品、領域、層または部分を、他の領域、層または部分と区別するためにのみ使われる。したがって、後述する第1部材、部品、領域、層または部分は、本発明の思想から逸脱しない範囲内で、第2部材、部品、領域、層または部分を指す。
【0032】
図1Aは、本発明の一実施形態による不織布集電体100を示す斜視図であり、図1Bは、本発明の他の実施形態による不織布集電体100を示す部分図であり、図1Cは、図1AのIC−IC′線に沿ってカットされた不織布集電体100の断面図である。
【0033】
図1Aを参照すれば、不織布集電体100は、上部導電性不織布シート10Aと下部導電性不織布シート10Bとを含む。上部導電性不織布シート10Aと下部導電性不織布シート10Bは、部分拡大図(M)に示すように、導電性纎維10Wを含む。導電性纎維10Wは、電子伝達経路であり、集電体として使われる。この場合、不織布集電体100には、従来の集電体として主に使われる金属ホイルが省略される。しかし、一部の実施形態において、不織布集電体100の表面上に金属ホイルが結合されてもよい。
【0034】
導電性纎維10Wは、ランダムに絡み合った不織布構造を有する。部分拡大図(M)に示すように、複数の導電性纎維10Wは、大体的に曲がった不規則な形態を有し、かつ互いに物理的接触または化学的結合により電気的に接続して、一つの導電性ネットワークを形成する。前記導電性ネットワークは、導電性纎維10Wが反ったり折られたりして絡み合って接触または結合して形成されるので、内部に気孔を有しながらも機械的に堅固であり、纎維の特性のために可撓性を有する。前記気孔を介して電解液が容易に浸湿され、電池の化学反応のためのリチウムイオンなどの正イオンの伝達が行われる。
【0035】
複数の導電性纎維10Wは、金属フィラメント、カーボンファイバー、導電性ポリマーファイバー、金属層あるいは導電性ポリマー層がコーティングされたポリマーファイバー(例えば、金属がコーティングされたポリオレフィンファイバー)、または中空型金属ファイバー(例えば、カーボンファイバーまたはポリマーファイバーで犠牲コアを製造し、前記犠牲コア上に金属層をコーティングした後、前記犠牲コアを酸化または燃焼させることによって除去して、金属層を残留させたファイバー)であり、好ましくは、金属フィラメントである。
【0036】
一部の実施形態において、複数の導電性纎維10W上には、導電性纎維10W間の接触抵抗減少と結合力向上のため、金属層または導電性ポリマー層が更に形成される。例えば、カーボンファイバーまたは金属フィラメント上に、導電性ポリマー層または金属層がコーティングされる。また、前記金属層または導電性ポリマー層と、複数の導電性纎維10Wの表面との間には、接合力向上のための好適な反応界面層またはバッファ層が形成されてもよい。
【0037】
前記金属フィラメントは、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、銅、銀、金、コバルト、亜鉛、上述の電気的活物質、またはこれらの合金などの金属を含む繊維体である。例えば、正極の場合、アルミニウムフィラメントが使われ、負極の場合、銅またはニッケルフィラメントが使われる。他の実施形態において、これらの材料は、上述の金属が順次に並んだ積層構造を有してもよいし、熱処理により部分的に酸化された層や層間化合物を含んでもよい。また、金属フィラメントは、相異なる種類の金属で形成され、異種の金属フィラメントが各導電性不織布シート10A、10Bを構成する。
【0038】
前記金属フィラメントは、1μmないし200μmの範囲内の厚さを有する。前記金属フィラメントの厚さが1μm未満であれば、均一な物性、例えば、均一な抵抗を有するフィラメントの成形が困難であり、電気的活物質のコーティングも困難である。また、金属フィラメントの厚さが200μmを超えれば、金属フィラメントの体積当たり表面積が減少し、表面積増加による電池性能向上を得ることが困難であり、エネルギー密度も減少するだけでなく、不織布集電体の内部に含浸された電気的活物質の束縛効果が低下し、繰り返し的な充放電中に電気的活物質が導電性フィラメントから脱落されることで、電池のサイクル特性が劣化する。
【0039】
一部の実施形態において、好ましくは、金属フィラメントは、2μmないし20μmの厚さを有する。これを単位長さ当たり表面積/体積の比(例えば、円状断面を有する場合、4/直径)に換算すれば、4×10(1/m)ないし2×10(1/m)に該当する。一般的に金属ホイルを使用する従来の集電体は、概ね20μmの厚さを有する。厚さ20μmのホイルを使用する従来の集電体に対して、2μmないし20μmの厚さを有する金属フィラメントは、約4倍から40倍に増加した表面積を有する。集電体の表面積は、電気的活物質及び電解質液とそれぞれ反応界面を形成する金属フィラメント10Wの電極体積当たり導電性ネットワークの表面積を意味するものであるので、これを最大化することで、エネルギー密度が飛躍的に向上した電池が得られる。
【0040】
一部の実施形態において、金属フィラメントの平均長さは、5mmないし1000mmの範囲内である。この場合、前記金属フィラメントの平均縦横比は、25ないし10の範囲内である。必要に応じて、前記金属フィラメントは、約5cmないし8cmの長さを有するようにセグメント化されて不織布構造を形成する。
【0041】
他の実施形態において、導電性ネットワークを成す金属フィラメントの長さ及び厚さのうちいずれか一つ以上が異なってもよい。例えば、長いフィラメントと短いフィラメントとを混用して不織布集電体を形成する。長いフィラメントに対する短いフィラメントの長さの割合は、1%ないし50%の範囲内である。長いフィラメントは、不織布集電体の全体導電率と機械的強度を決定し、短いフィラメントは、活物質と長いフィラメントとの間の電子伝達経路、または長いフィラメント間の電気的連結を向上させることで、電池の内部抵抗を決定する。
【0042】
前記金属フィラメントは、金属が有する、他の材料に比べて相対的に優れた耐熱性、可塑性及び電気伝導性を有し、かつ不織布加工などの纎維製造工程ができるという利点を同時に有する。したがって、前記金属フィラメントを用いると、実質的に5mm以上の全長範囲でこのような材料の利点がそのまま維持できるので、前記挙げられたカーボンファイバー、導電性ポリマーファイバー、導電材がコーティングされたポリマーファイバー等の他の材料に比べて、交絡工程や熱工程の工程負担が小さく、製造工程ウィンドウが相対的に広いという利点を有する。
【0043】
一部の実施形態において、複数の導電性纎維10W、例えば、金属フィラメント上に導電材がコーティングされる。前記導電材は、不織布形成の前に、または後述する張力補強層の結合工程の前に、複数の導電性纎維10W上にプレコーティングされてもよいし、その後の工程で好適な分散溶媒を用いて、前記導電材がポストコーティングされてもよい。前記導電材は、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック及び超微細グラファイト粒子などのファインカーボン、ナノ金属粒子ペースト、ITO(indium tin oxide)ペースト、カーボンナノチューブ、または比表面積が高く、抵抗が低い他のナノ構造体であり、本発明がこれに限定されるものではない。不織布集電体100を用いた電極において、前記導電材は、電池の充放電時にもたらす体積変化によって、導電性纎維10Wから電気的活物質が脱落されたり、導電性纎維10W間の物理的接触が弱くなる際に発生する内部抵抗増加と電池寿命低下を防止する。
【0044】
一部の実施形態において、前記導電材を複数の導電性纎維10W上に固定するため、結着材が前記導電材と共にプレコーティングまたはポストコーティングされる。前記結着材は、前記導電材を複数の導電性纎維10W上に固定させるだけでなく、複数の導電性纎維10Wの間を固定したり、含浸された電気的活物質を固定する役割を行う。例えば、前記結着材は、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ポリイミド、ポリウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、及びエチレン・プロピレンジエン共重合体(EPDM)などの高分子結着材である。
【0045】
図1Bを参照すれば、他の実施形態による導電性不織布シート10A、10Bは、部分図(M′)に示すように、複数の導電性纎維10Wと共に分散された纎維化された線状結着材30Wを更に含む。線状結着材30Wは、纎維化が有利な高分子材料を含む。例えば、線状結着材30Wは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ナイロン、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びこれらの共重合体などの誘導体または混合物を含む。このような材料は例示的であり、本発明がこれらに限定されるものではない。線状結着材30Wは、高強度、高弾性、自己収縮性纎維などの他の好適な機械的または耐熱性のある機能性高分子材料を含んでもよい。
【0046】
製造の面において、線状結着材30Wを導電性纎維10Wとランダムに交ぜた後、交絡などの工程により不織布構造を得たり、纎維混紡工程によりこれらの結合構造を得る。導電性纎維10Wと線状結着材30Wとの間の気孔内に、後述する電気的活物質をスラリーではない乾燥した粉末状に不織布集電体100内に含浸させ、不織布集電体を加熱及び圧着する無溶媒乾式粉体含浸法により電極が製造される。この場合、スラリーの製造のための水または有機溶媒などの有害な液状材料が使われないため、環境への負荷が低く、スラリー状に電気的活物質を含浸することと異なり、前記溶媒を除去するための別の乾燥工程が不要である点で、工程の簡単化、生産性の向上及び設備の単純化を図ることができる。また、前記溶媒が電極内に残留する場合、電気的活物質が劣化するため、上述の無溶媒乾式粉体を用いた混合工程は電池の寿命を向上させることができる。
【0047】
不織布集電体100内に、電気的活物質(図示せず)は、スラリーまたは粉末状に前記気孔を介して含浸されたり、導電性纎維10W上にコーティングされて提供される。他の実施形態において、電気的活物質で導電性纎維10Wを製造することで、導電性纎維10W自体が電気的活物質として機能することもできる。選択的には、電気的活物質が前記導電性纎維上にプレコーティングされてもよいし、電気的活物質で形成された導電性纎維の気孔を介して電気的活物質が更に含浸されてもよい。
【0048】
正極の場合、前記電気的活物質は、LiNiO、LiCoO、LiMnO、LiFePO及びLiVなどの物質であり、これらは例示的であり、本発明がこれらに限定されるものではない。例えば、正極用電気的活物質は、リチウム、ニッケル、コバルト、クロム、マグネシウム、ストロンチウム、バナジウム、ランタン、セリウム、鉄、カドミウム、鉛、チタン、モリブデニウムまたはマンガンを含む二成分系以上の酸化物、リン酸塩、硫化物、フッ化物またはこれらの組み合わせから選択される。例えば、Li[Ni,Mn,Co]Oなどの三成分系以上の化合物である。
【0049】
負極の場合、前記電気的活物質は、炭素材料(軟化炭素または硬化炭素である低結晶炭素)/天然黒鉛、キッシュ黒鉛、熱分解炭素、液晶ピッチ系炭素纎維、炭素微小球体、中間相ピッチ、石油または石炭系コークスなどの高温焼成を含む高結晶炭素/ケッチェンブラック/アセチレンブラック/金属リチウム/シリコン(Si)またはシリコン酸化物などのシリコン系化合物/スズ(Sn)及びその合金またはSnOなどのSn系化合物/ビスマス(Bi)またはその化合物/鉛(Pb)またはその化合物/アンチモン(Sb)及びその化合物/亜鉛(Zn)及びその化合物/鉄(Fe)及びその化合物/カドミウム(Cd)及びその化合物/アルミニウム(Al)またはその化合物を含み、本発明がこれらに制限されるものではない。例えば、前記電気的活物質は、リチウムの吸張/放出または合金化/脱合金化が可能な他の金属、準金属、非金属、またはこれらの酸化物、窒化物、フッ化物などの化合物を含んでもよい。また、NaS電池に適したナトリウム、または他の酸化物、炭化物、窒化物、硫化物、リン化物、セレン化物及びテルル化物のうち少なくともいずれか一つを含んでもよい。
【0050】
一部の実施形態において、粒子状の電気的活物質間の束縛のため、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ポリイミド、ポリウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、及びエチレン・プロピレンジエン共重合体(EPDM)などの高分子結着材が添加される。また、前記結着材と共に、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック及び超微細グラファイト粒子などのファインカーボン、ナノ金属粒子ペースト、ITOペースト、カーボンナノチューブ、または比表面積が高く、抵抗が低い他のナノ構造体である導電材が更に外添されてもよい。
【0051】
図1Aと共に図1Cを参照すれば、上部導電性不織布シート10Aと下部導電性不織布シート10Bとの間には、不織布集電体100の全体の引張強度を向上させるための張力補強層20が提供される。前記引張強度は、不織布集電体100の主面に平行な方向の張力強化を意味しており、不織布集電体100の主面に垂直な方向の張力強化を意味するものではない。不織布集電体100の主面に平行な方向の張力強化は、不織布集電体100の主面に対して全ての平行な方向、すなわち、放射状に不織布集電体100の引張強度を向上させることができる。
【0052】
一部の実施形態において、不織布集電体100の主面に平行な方向の張力強化は、不織布集電体100の主面に対して平行な方向のうち選択された所定の方向のみで表されるように制御される。例えば、スラリー含浸や圧着工程などの電池製造工程を連続的に行うためのロール工程、または不織布集電体100に変形を誘発するゼリーロール電極形成工程において、前記張力強化の方向は、これらの工程で使われる前記ローラの回転軸またはゼリーロールの中心軸に垂直な方向に限定される。これによって、ローラの回転による巻出または巻取過程/またはゼリーロール形成などのパッケージング工程中に、不織布集電体100の変形が抑制され、破断や降伏が阻止できる。これについては、図4を参照して詳細に説明する。
【0053】
図1A及び図1Bに示す実施形態において、張力補強層20が明確な層構造を維持するものと図示されているが、これは説明の便宜のためのものであり、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、実際に製造された不織布集電体100では、上部導電性不織布シート10Aと下部導電性不織布シート10Bとが実質的に一体化され、その内部に張力補強層20が埋め込まれ、張力補強層20が目視で明確に区分されない。このような特徴は、図2Aないし図2Dを参照して後述する張力補強層20Aないし20Dの実施形態ごとに異なって表される。
【0054】
張力補強層20は、上部導電性不織布シート10Aと下部導電性不織布シート10Bの結合の媒介となる。一実施形態において、上部導電性不織布シート10Aと下部導電性不織布シート10Bは、それぞれ張力補強層20の上部表面20Uと下部表面20Dに接着することで、上部導電性不織布シート10Aと下部導電性不織布シート10Bの結合が達成される。一実施形態において、このような結合のため、張力補強層20が結合材を含むか、または別の結合材が使われる。
【0055】
他の実施形態において、張力補強層20と導電性不織布シート10A、10Bの前記結合は、張力補強層20と導電性不織布シート10A、10Bのうちいずれか一つが加熱、赤外線、紫外線、電子ビームまたは超音波などのエネルギーにより一部溶融され、これらの間が接着することによって達成されてもよいし、これらがいずれも部分的に溶融され、これらの間が接着することによって達成されてもよい。このような工程は、結合材が使われないため、環境への負荷が減少するという利点がある。
【0056】
他の実施形態において、上部導電性不織布シート10Aと下部導電性不織布シート10Bは、これらの纎維の特性を用いて、張力補強層20を介して互いに交絡されて結合される。図1Bに示すように、上部導電性不織布シート及び/または下部導電性不織布シート10A、10Bを構成する導電性纎維が、張力補強層20を介してブリッジBRを形成することで、上部導電性不織布シート10Aと下部導電性不織布シート10Bは互いに機械的に結合されて一体化される。実施形態において、張力補強層20を介して結合された上部導電性不織布シート10Aと下部導電性不織布シート10Bは、互いにブリッジBRにより接触して連結されるので、電気的にも結合され、不織布集電体100は、電池の集電体または電子伝達のための単一の導電性ネットワークを提供することができる。
【0057】
ブリッジBRの形成は、ニードルパンチ法、スパンレース法、ステッチボンド法または他の好適な方法による機械的接着により行われる。前記ニードルパンチ法は、フックが付着した多くの針を垂直に導電性不織布シートに入れたり抜いたりすることを繰り返すことで、上部導電性不織布シートと下部導電性不織布シートの導電性纎維10Wを互いに交絡させるものであり、前記針の形状を適切に設計して、ベロア(velours)の不織布を形成できる。前記スパンレース法は、針の代わりに高速ジェットの水を用いて、上部導電性不織布シートと下部導電性不織布シートの導電性纎維10Wを互いに交絡させるものであり、水流交絡法ともいう。前記ステッチボンド法は、前記不織布集電体に沿って裁縫するものである。
【0058】
上述の実施形態によって形成された不織布集電体100は、導電性纎維10W同士が交絡されることによって一体化されるため、導電性纎維10Wの量を減少させると、気孔が大きく柔らかい製品を作ることができる。本発明の実施形態によれば、気孔率増加のために導電性纎維10Wの量を少なく使用するものの、張力補強層により不織布集電体の全体の機械的強度を確保できるので、不織布集電体の気孔率の制御が容易である。
【0059】
また、上部及び下部の導電性不織布シートの導電性纎維が互いに分離可能な物理的接触を成しており、不織布集電体の主面に水平な方向にのみ引張強度を向上させることを考慮すれば、不織布集電体の上部及び下部表面に垂直な方向への収縮膨脹や限定された体積内で内部体積変化の吸収が容易であり、充放電時に発生する電極の体積変化に柔軟に対応できる。これによって、電極のクラック等の非可逆性をもたらさず、電池の寿命が向上する。
【0060】
図2Aないし図2Dは、本発明の様々な実施形態による張力補強層20A、20B、20C、20Dをそれぞれ示す斜視図である。
【0061】
図2Aに示す張力補強層20Aは、複数の纎維20Wからなる不織布構造を有する。張力補強層20Aの不織布構造は、複数の導電性纎維が物理的接触のみを行っている上部及び下部の導電性不織布シート10A、10Bと異なり、互いに熱融着やフォーム構造で形成され、張力が不織布シート10A、10Bに比べてより強化した点で区別される。
【0062】
図2Bに示す張力補強層20Bは、複数の纎維が緯糸20W_1と経糸20W_2とで織造された織造構造を有する。前記織造構造は、例示的な平織であり、他の実施形態において、綾織または朱子織などの他の織造構造を有してもよいし、所定の方向の引張強度を選択的に増加させる好適な構造を更に有してもよい。
【0063】
他の実施形態において、張力補強層20Cは、図2Cに示すような網構造20Mを有する。更に他の実施形態において、張力補強層20Dは、図2Dに示すように、ギャップSを有しつつ一定の方向に展開された複数の纎維20Wを含む。複数の纎維20Wが展開された方向(矢印E)は、スラリー含浸や圧着工程などの電池製造工程で要求されるロール工程、またはパッケージングのためのゼリーロール形成工程で使われるローラ(図4の10P_1、10P_2、20P、30、60、80)の回転軸、またはゼリーロールの中心軸に垂直な方向(例えば、図4の矢印B方向)である。
【0064】
更に他の実施形態において、張力補強層は、上述の不織布構造、織造構造、網構造または一定の方向に展開された構造のうち、二つ以上の構造が組み合わせられた構造を有する。例えば、電池製造工程の中に活用されるローラの回転軸に垂直な方向に不織布集電体の引張強度を増加させるために、変形された張力補強層は、図2Aに示した不織布構造を有すると共に、図2Dに示した前記ローラの回転軸に垂直な方向に展開された複数の纎維が混紡された構造を有する。
【0065】
上述の実施形態による張力補強層20Aないし20Dは、いずれも気孔Sを有する。気孔Sは、張力補強層20Aないし20Dを構成する隣接した複数の纎維10Wまたはメッシュ(図2C)により提供される。気孔Sを介して、上部導電性不織布シートと下部導電性不織布シートとの間が連通される。これにより、上述の上部導電性不織布シートと下部導電性不織布シートの結合のための、例えば、導電性ワイヤ10Wの交絡は、張力補強層20Aないし20Dの気孔Sを介して行われる。また、張力補強層20Aないし20Dの気孔Sを介して、電池反応のためのイオン伝達が不織布集電体100の内部で円滑に行われ、通電も確保できる。
【0066】
一部の実施形態において、張力補強層20Aないし20Dの気孔Sの平均サイズは、不織布構造を有する導電性不織布シート10A、10Bの気孔の平均サイズと同じであるか、またはそれよりも大きい。電極製造のため、不織布集電体100の内部の全体に活物質粒子の含浸が行われる場合、張力補強層20Aないし20Dの気孔Sが充分に大きいと、上部導電性不織布シートまたは下部導電性不織布シートのいずれか一面を通じて積荷される電気的活物質が、張力補強層による干渉を受けずに不織布集電体の内部の全体に均一に含浸される。
【0067】
張力補強層20Aないし20Dは、高分子素材、金属またはこれらの組み合わせを含む。張力補強層20Aないし20Dの材料は、前記不織布集電体と同じ材料であってもよいし、他の材料を含んでもよい。前記高分子素材は、例えば、纎維化が有利な高分子材料を含む。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ナイロン、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、またはこれらの共重合体のような誘導体が、張力補強層用高分子材料として使われる。このような材料は例示的であり、本発明がこれらに限定されるものではない。張力補強層20は、高強度、高弾性、自己収縮性纎維などの他の好適な機械的または耐熱性のある機能性高分子材料を含んでもよい。または、必要に応じて、前記結着材は、導電性を有する他のポリマー系材料、石油ピッチ、コールタールであってもよい。本発明がこれらに限定されるものではなく、電解質に溶解されずに電気化学的反応下で所定の結合力を有しつつ安定性を有する材料が適用できる。
【0068】
前記金属は、前記不織布集電体と同じ材料であってもよいし、異なる材料を含んでもよい。前記金属は、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルまたはこれらの合金を含む。
【0069】
図3は、本発明の一実施形態による電池の製造方法を示すフローチャートであり、図4は、本発明の一実施形態による電池の製造システムを示す。
【0070】
図3を参照すれば、上部導電性不織布シートを提供する段階S10と、下部導電性不織布シートを提供する段階S20と、張力補強層を提供する段階S30とがそれぞれ行われる。次いで、前記張力補強層を介して、前記上部導電性不織布シートと前記下部導電性不織布シートとを結合させる段階S40が行われる。
【0071】
図3と共に図4を参照すれば、前記段階S10ないしS40は連続的に行われる。連続的な工程のため、上部導電性不織布シート10A_Lと下部導電性不織布シート10B_Lは、それぞれ第1及び第2巻出装置10P_1、10P_2により提供される。また、張力補強層20_Lも、第3巻出装置20Pにより提供される。上部導電性不織布シート10A_Lと下部導電性不織布シート10B_Lとの間に張力補強層20_Lが配置されるように、第1ないし第3巻出装置10P_1、10P_2、20Pは、その積層順序に適するように同じ順序で配置される。
【0072】
一部の実施形態において、第1ないし第3巻出装置10P_1、10P_2、20Pから解かれた導電性不織布シート10A_L、10B_Lと張力補強層20_Lとが積層に適するように並んで整列するための整列部材が提供され、前記整列部材は、ローラ部材30である。他の実施形態において、ローラ部材30と共に、またはその代わりにブレードなどのガイド部材が提供される。
【0073】
並んで整列された導電性不織布シート10A_L、10B_Lと張力補強層20_Lは、結合装置40により互いに結合される。結合装置40は、張力補強層20_Lの種類によって、溶融接着のためのヒータ、赤外線、紫外線、電子ビームまたは超音波などのエネルギー印加装置である。他の実施形態において、結合装置40は、上部導電性不織布シート10A_Lと下部導電性不織布シート10B_Lとを互いに交絡させるためのニードルパンチ、スパンレースまたはステッチボンド装置である。
【0074】
結合装置40により製造された不織布集電体100_Lは、張力補強層により強化した引張応力を有することになる。製造された不織布集電体100_Lは、別の巻取装置(図示せず)により収納される。一部の実施形態において、巻取装置に収納される前に、加圧ローラ部材などの加圧装置により不織布集電体100_Lが圧着されたり、熱風装置などの乾燥装置を経て水分または不純物除去のための精錬工程を行う。製造された不織布集電体100_Lは、電極活物質の充填段階S50、前記電極活物質の後処理段階S60及び電極の圧着段階S70を行う。
【0075】
他の実施形態において、図4に示した結合装置40の後段工程のように、上述の巻取装置により収納されず、連続的に正極または負極の形成のための電気的活物質を満たす充填工程が行われる(S50)。前記電気的活物質の充填工程は、スラリーまたは粉末状に電気的活物質を積荷する工程により行われる。例えば、前記電気的活物質の積荷は、スリットダイ50により行われる。スリットダイ50を介して、電気的活物質は、スラリーまたは粉末状に不織布集電体100_Lの表面上に露出した気孔を介して、不織布集電体100_Lの内部に含浸される。スリットダイ50に印加される圧力を適切に制御することで、含浸される電気的活物質の量と均一度を制御することができる。
【0076】
他の実施形態において、電気的活物質の積荷工程は、スプレーなどの噴霧装置または電気的活物質が溶解または分散した槽に不織布集電体100_Lを通過させることにより充填されることもある。不織布集電体100_Lの気孔を介して浸湿された電気的活物質は、不織布集電体の内部にトラップされるので、このような工程が溶液槽を用いた工程が可能であり、従来の金属ホイル集電体では行われることが困難である。
【0077】
一部の実施形態において、電気的活物質の含浸量を調節するために、一定の圧力を印加するガイドロール60が提供される。他の実施形態において、ブレードまたはバーで不織布集電体の表面をスイーピングすることで、電気的活物質の含浸量が調節できる。
【0078】
更に他の実施形態において、前記電気的活物質は、不織布集電体100_Lの導電性纎維上にコーティングされて提供される。導電性纎維上に電気的活物質をコーティングするために、電解メッキまたは非電解メッキのためにメッキ槽が提供される。前記メッキ槽内の電解液または金属イオン溶液に不織布集電体100_Lが通過しながら、金属イオンの還元または析出が行われ、前記電気的活物質が導電性繊維上にコーティングされる。更に他の実施形態において、前記電気的活物質は、不織布集電体100_Lの導電性繊維上に、スパッタリング及び電子ビーム蒸発法により物理気相蒸着されてもよいし、好適な気相前駆体を用いて化学気相蒸着されてもよい。このために、好適な常圧または真空チャンバーが提供される。上述の電気的活物質の形成システムは、互いに組み合わせられて使われる。
【0079】
電気的活物質が充填された不織布電極100_L′は、熱風装置などの乾燥装置または熱処理装置70を通過しながら後処理される(S60)。次いで、矢印で示したように、圧力印加が可能なローラ部材80を介して、後処理された不織布電極100_L′が圧着されることで、厚さ及びそれによる電極密度が制御できる。
【0080】
製造された不織布電極ELは、矢印Bで示したように、製造システム200を通じて連続的に出力され、巻取装置(図示せず)により収納される。収納された不織布電極ELは適切にカットされ、電池パッケージングに利用できる。一部の実施形態において、製造された不織布電極ELは別に収納されず、連続的にタブ形成工程、分離膜積層工程、電解質含浸またはパッケージングのためのスタッキングまたはゼリーロール工程などの後段工程を行うこともできる。
【0081】
張力補強層がなく、不織布シートのみからなる不織布集電体の場合、その纎維の特性のため、上述のローラ部材10P1、20P、10P2、30を用いた連続工程で印加される応力によって、引張伸び率が20%以上になる。この場合、ローラを用いた連続伝達は実質的にできない。また、たとえ破断などの極端的不良が現われないとしても、不織布集電体が伸びる場合、導電性纎維間の電気的コンタクト及び導電性纎維の表面と電気的活物質の電気的コンタクトが劣化するので、伸び率の制御及び抑制が求められる。本発明の実施形態によれば、張力補強層により不織布集電体の引張伸び率が20%以下に制御され、好ましくは、0.1%ないし10%の範囲内に制御されるので、従来の金属ホイル集電体を用いた電池製造工程と同じレベルで工程が行われ、不織布集電体の工程上の利点を最大限有することができる。
【0082】
図5は、本発明の一実施形態による引張伸び率の測定装置300を示す。
【0083】
図5を参照すれば、本明細書で使われる不織布集電体の引張伸び率は、測定装置300により測定される。張力補強層が結合された不織布集電体を、例えば、幅20mm及び長さ40mmに切断して、測定用集電体100を製作する。製作された測定用集電体100の一端部を基部301に固定し、測定用集電体100の他端部をチャック部302に固定する。
【0084】
チャック部302は、測定用集電体100の長手方向に沿って変位可能である。基部301またはチャック部302のうちいずれか一方には、チャック部302の変位によって測定用集電体100に印加される荷重を測定するためのロードセルが結合される。
【0085】
測定のため、チャック部302を、所定の速度、例えば、15mm/minで移動させて測定用集電体100を引張る。測定用集電体100が変形するにつれて、前記ロードセルにより測定される荷重は次第に増加する。このように荷重が増加していて一定になるか減少する地点までの変形率と降伏強度を測定する。本発明の実施形態において、張力補強層を有する不織布集電体は、0.1%ないし10%の範囲内の変形率を有し、この際に測定される降伏強度(=不織布集電体の断面積当たり引張強度(Kg/cm)×集電体の厚さ(cm))は、0.1kgf/cmないし100kgf/cmの範囲内であり、好ましくは、0.2kgf/cmないし50kgf/cmの範囲内である。この範囲内で、不織布集電体の変形が抑制され、連続工程ができるだけでなく、導電性纎維間及び導電性纎維の表面と電気的活物質の電気的コンタクトの劣化が防止できる。
【0086】
不織布集電体の全体に均一な気孔度を達成しながら、気孔度を増加させることは、張力が補強されない限り、不織布集電体の降伏強度が減少するので好ましくない。しかし、本発明の実施形態によれば、張力補強層により気孔度を向上させると共に、連続工程に適した引張応力を確保できるという利点がある。
【0087】
図6A及び図6Bは、本発明の他の実施形態による不織布集電体150を用いた電極の製造方法を示す斜視図である。不織布集電体150は、図示したようにカットされて電極製造に活用されるか、または図4に示したように連続工程に適するように連続的に提供されながら電極製造工程を行う。
【0088】
図6Aを参照すれば、不織布集電体150は、少なくとも一表面上に不織布集電体150の気孔を閉塞するように、表面上に導電性パターン105を更に含む。導電性パターン105は、不織布集電体の双方の主面に形成されてもよいし、いずれか一主面にのみ形成されてもよい。
【0089】
導電性パターン105は、不織布集電体150の表面上に気孔を露出させるように、所定の間隔ほど離隔したラインパターンである。前記ラインパターンの延長方向Fは、連続工程のために不織布集電体150が移送される方向(例えば、図4の矢印B方向)に垂直に整列される。他の実施形態において、パッケージング時に互いに対向する電池の正極と負極の延長線に平行に整列される。導電性パターン105は、張力補強層20と共に不織布集電体150の張力を補強させることを補助する。
【0090】
一部の実施形態において、導電性パターン105は、導電性不織布シート10A、10Bの表面の導電性纎維を互いに部分融着して製造される。他の実施形態において、導電性パターン105は、金属パターン層を導電性不織布シート10A、10Bの表面にコーティングしたり融着することによって提供される。導電性パターン105の形成は、超音波溶接、熱溶接、または半田付け工程により行われる。
【0091】
導電性パターン105により閉塞された部分を除いては、不織布集電体150の残りの表面は、露出した気孔により不織布集電体150の内部に連通される。導電性パターン105が形成された不織布集電体150に、矢印で示したように電気的活物質の積荷工程が行われる。導電性パターン105によりマスキングされた領域を除いては、積荷される電気的活物質は、不織布集電体の表面から内部まで均一に充填される。このような積荷工程が完了した後、電気的活物質が充填された不織布集電体150の表面を抜き取ると、導電性パターン105が露出する。選択的には、電極密度及び厚さの制御のための圧着工程を行うこともある。
【0092】
図6Bを参照すれば、露出した導電性パターン105に電池タブまたはリードTbが形成される。電池タブまたはリードTbは、不織布集電体150に充填された電気的活物質による干渉なく導電性パターン105に半田付けまたは融着されるため、不織布集電体の導電性纎維と実質的に低抵抗コンタクトが可能であり、不織布集電体150のための電池タブまたはリードの形成が容易になる。
【0093】
図7は、本発明の一実施形態による不織布集電体を用いた電池1000を示す分解図である。
【0094】
図7を参照すれば、電池1000は、一般的な円筒状電池である。電池反応面積を増加させるために、不織布集電体を用いた正極100A及び負極100Bは交互に巻き取るゼリーロール構造を有する。しかし、これは例示的であり、正極と負極のうちいずれか一つの電極のみを不織布集電体で構成してもよい。また、他のコイン型電池、角形電池、または纎維を用いた様々な形状のフレキシブル電池でも製造できる。
【0095】
前記不織布集電体は、上述したように、上部導電性不織布シート10Aと、下部導電性不織布シート10Bと、これら間の張力補強層20とを含む。電気的活物質は、不織布集電体100A、100Bの内部に粒子状に束縛されたり、不織布集電体の導電性纎維上にコーティングされる。
【0096】
電極構造100a、100bの側部には、タブまたはリードTb_A、Tb_Bが形成される。タブまたはリードTb_A、Tb_Bは、内部抵抗を減少させるために適切な個数を有する。タブまたはリードTb_A、Tb_Bは、ハウジング800の内部で電池1000の正極600と負極700にそれぞれ内部締結される。
【0097】
正極100Aと負極100Bとの間には、これらの絶縁のために分離膜500が配置される。分離膜500は、例えば、ポリマー系微細多孔膜、織布、不織布、セラミック、真性固体高分子電解質膜、ゲル固体高分子電解質膜またはこれらの組み合わせである。前記真性固体高分子電解質膜は、例えば、直鎖ポリマー材料または仮橋ポリマー材料を含む。前記ゲル高分子電解質膜は、例えば、塩を含む可塑剤含有ポリマー、フィラー含有ポリマーまたは純粋なポリマーのうちいずれか一つまたはこれらの組み合わせである。前記固体電解質膜は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブタジエン、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ナイロン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、フッ化ビニリデンとトリフルオロエチレンの共重合体、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンの共重合体、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリビニルアセテート及びポリビニルアルコールのうちいずれか一つまたはこれらの組み合わせからなる高分子マトリックス、添加剤及び電解液を含む。上述の分離膜500に関して挙げられた材料は例示的であり、分離膜500として、形状の変化が容易であり、機械的強度に優れるので、電極100A、100Bが変形されるとしても、破れたり、裂けることがない任意の好適な電子絶縁性を有し、かつ優れたイオン伝導性を有する材料が選択される。
【0098】
分離膜500は、単層膜または多層膜であり、前記多層膜は、同一単層膜の積層体であっても、異なる材料で形成された単層膜の積層体であってもよい。例えば、前記積層体は、ポリオレフィンなどの高分子電解質膜の表面にセラミックコーティング膜を含む構造を有する。分離膜500の厚さは、耐久性、ショットダウン機能及び電池の安全性を考慮すれば、10μmないし300μmであり、好ましくは、10μmないし40μmであり、より好ましくは、10μmないし25μmである。
【0099】
ハウジング800内では、水酸化カリウム(KOH)、臭化カリウム(KBr)、塩化カリウム(KCl)、塩化亜鉛(ZnCl)及び硫酸(HSO)などの塩を含む好適な水系電解液が電極構造100A、100B及び/または分離膜500に吸湿され、電池1000が完成する。他の実施形態において、電池1000は、LiClOまたはLiPFなどのリチウム塩を含むエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートまたはジエチルカーボネートなどの非水系電解液であり、本発明がこれに制限されるものではない。また、図示していないが、電池1000の使用中の安定性及び/または電力供給特性を制御するための好適な冷却装置または電池運用システムが更に結合されてもよい。
【0100】
上述の不織布集電体を用いた電極は、その繊維の特性によって、形状の変化が容易であり、電気的活物質と導電性ネットワークとが電極構造の全体積内で実質的に均一に混合されているので、電池の容量調節のために厚さを増大させても、金属ホイル上に活物質層をコーティングして得られる従来の電池構造で表れるような電池性能の劣化がなく、その体積が多様に選択される。
【0101】
また、繊維状の電極構造が有する成形の容易性によって、図7に示したようなゼリーロールタイプ以外に、積み、曲げ及び巻きのような方法により三次元的に変形可能であり、上述の円筒状電池でない角型、ポーチ型または服、かばんなどの繊維製品と一体化される様々な体積と形状を有する。また、上述の電極構造は、一つの電池でカソードとアノードのうちいずれか一方または両方に適用できることを理解しなければならない。
【0102】
また、上述の不織布集電体は、リチウムイオン電池だけでなく、リチウムメタル電池、リチウムエア電池、またはニッケル水素電池、NaS電池にも適用できる。これは例示的であり、当業者ならば、本発明がこれに限定されないことを理解できるであろう。
【0103】
以上で説明した本発明は、前述した実施形態及び添付された図面に限定されず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、色々な置換、変形及び変更が可能であるということは、当業者にとって明らかである。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7