(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188919
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】オプトエレクトロニクス半導体チップ及びオプトエレクトロニクス半導体部品
(51)【国際特許分類】
H01L 33/20 20100101AFI20170821BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20170821BHJP
【FI】
H01L33/20
H01L33/50
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-509355(P2016-509355)
(86)(22)【出願日】2014年3月28日
(65)【公表番号】特表2016-521004(P2016-521004A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】EP2014056261
(87)【国際公開番号】WO2014173623
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2015年12月22日
(31)【優先権主張番号】102013104132.9
(32)【優先日】2013年4月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】アーダム バウアー
【審査官】
高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2003/0137031(US,A1)
【文献】
特開2003−023178(JP,A)
【文献】
特開2012−169189(JP,A)
【文献】
特表2010−525585(JP,A)
【文献】
特開2000−164930(JP,A)
【文献】
特表2008−524831(JP,A)
【文献】
特開2011−249573(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/005646(WO,A1)
【文献】
特開2010−287777(JP,A)
【文献】
特開2008−041626(JP,A)
【文献】
特開2013−055187(JP,A)
【文献】
特開2008−123837(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0127374(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オプトエレクトロニクス半導体部品であって、
少なくとも1個のオプトエレクトロニクス半導体チップと、
前記少なくとも1個のオプトエレクトロニクス半導体チップの放射出射面(11)に設けられた変換素子(3)と
を含み、
前記変換素子(3)は長方形状であり、
前記変換素子(3)は前記放射出射面(11)を完全に覆い、
前記少なくとも1個のオプトエレクトロニクス半導体チップは、
・長方形状でない、平行四辺形状のカバー面(1)であって、前記オプトエレクトロニクス半導体チップの上面に形成されている、カバー面(1)と、
・前記カバー面(1)に対して間隔を置いて、少なくとも部分的に前記カバー面(1)に対して平行に延在する活性領域(21)と
を含み、
・前記カバー面(1)は、動作中に前記活性領域(21)において形成される電磁放射が通過する前記放射出射面(11)を含み、
・前記放射出射面(11)は少なくとも4個の角部(12)を有しており、
・前記カバー面(1)は、前記活性領域を電気的に接続可能とする少なくとも1個の三角形状の端子面(13a,13b)を含む、
ことを特徴とするオプトエレクトロニクス半導体部品。
【請求項2】
前記変換素子(3)は、一部の領域が前記オプトエレクトロニクス半導体チップの側面を超えて突出する、剛性の長方形状のプレートとして構成されている、
請求項1記載のオプトエレクトロニクス半導体部品。
【請求項3】
オプトエレクトロニクス半導体チップであって、
長方形状でない、平行四辺形状のカバー面(1)であって、前記オプトエレクトロニクス半導体チップの上面に形成されている、カバー面(1)と、
前記カバー面(1)に対して間隔を置いて、少なくとも部分的に前記カバー面(1)に対して平行に延在する活性領域(21)と
を含み、
前記カバー面(1)は、動作中に前記活性領域(21)において形成される電磁放射が通過する放射出射面(11)を含み、
前記放射出射面(11)は長方形状であり、
前記放射出射面(11)は4個の角部(12)を有しており、
前記カバー面(1)は、前記活性領域を電気的に接続可能とする少なくとも1個の三角形状の端子面(13a,13b)を含み、
前記カバー面(1)は、正確に1個の放射出射面(11)と正確に2個の三角形状の端子面(13a,13b)とを含み、
前記2個の三角形状の端子面は前記カバー面(1)の互いに向かい合う側に配置されており、
前記放射出射面(11)は前記2個の三角形状の端子面(13a,13b)間に配置されている、
ことを特徴とするオプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項4】
前記活性領域(21)を貫通する少なくとも1個のスルーコンタクト(25)が設けられており、
前記スルーコンタクト(25)は少なくとも1個の三角形状の端子面(13a,13b)に導電接続されている、
請求項3記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項5】
前記カバー面(1)は専ら前記放射出射面(11)と前記少なくとも1個の三角形状の端子面(13a,13b)とを含む、
請求項3又は4記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項6】
前記少なくとも1個の三角形状の端子面(13a,13b)はワイヤによるコンタクト形成が可能である、
請求項3から5までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体チップ。
【請求項7】
オプトエレクトロニクス半導体部品であって、
請求項3から6までのいずれか1項記載の、少なくとも1個のオプトエレクトロニクス半導体チップ(100)と、
前記少なくとも1個のオプトエレクトロニクス半導体チップの放射出射面(11)に設けられた変換素子(3)と
を含み、
前記変換素子(3)は長方形状であり、
前記変換素子(3)は前記放射出射面(11)を完全に覆う、
ことを特徴とするオプトエレクトロニクス半導体部品。
【請求項8】
前記変換素子(3)は、位置ごとに、前記オプトエレクトロニクス半導体チップ(100)の側面(100c)を超えて突出している、
請求項7記載のオプトエレクトロニクス半導体部品。
【請求項9】
前記変換素子(3)は、少なくとも2個のオプトエレクトロニクス半導体チップ(100)の放射出射面(11)を完全に覆う、
請求項7又は8記載のオプトエレクトロニクス半導体部品。
【請求項10】
2個のオプトエレクトロニクス半導体チップ(100)と、
前記2個のオプトエレクトロニクス半導体チップ(100)の放射出射面(11)に設けられた変換素子(3)と
を含む、オプトエレクトロニクス半導体部品であって、
前記2個のオプトエレクトロニクス半導体チップ(100)は、それぞれ、正確に1個ずつの三角形状の端子面(13a,13b)を備え、かつ、それぞれの三角形状の端子面(13a,13b)の反対側の側面(100b)で相互に接しており、
前記変換素子(3)は長方形状であり、
前記変換素子(3)は、前記2個のオプトエレクトロニクス半導体チップ(100)の前記放射出射面(11)を完全に覆い、
前記各オプトエレクトロニクス半導体チップ(100)は、
平行四辺形状のカバー面(1)であって、前記各オプトエレクトロニクス半導体チップ(100)の上面に存在する、カバー面(1)と、
前記カバー面(1)に対して間隔を置いて、少なくとも部分的に前記カバー面(1)に対して平行に延在する活性領域(21)と
を含み、
前記カバー面(1)は、動作中に前記活性領域(21)において形成される電磁放射が通過する前記放射出射面(11)を含み、
前記放射出射面(11)は少なくとも4個の角部(12)を有しており、
前記カバー面(1)は、前記活性領域(21)を電気的に接続可能とする前記三角形状の端子面(13a,13b)を含む、オプトエレクトロニクス半導体部品。
【請求項11】
動作中に前記放射出射面(11)を通過する電磁放射は、前記変換素子(3)に対して少なくとも部分的に波長変換される、
請求項7から10までのいずれか1項記載のオプトエレクトロニクス半導体部品。
【請求項12】
前記変換素子(3)は、一部の領域が前記オプトエレクトロニクス半導体チップの側面を超えて突出する、剛性の長方形状のプレートとして構成されている、
請求項7記載のオプトエレクトロニクス半導体部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明では、オプトエレクトロニクス半導体チップを提供する。さらに、本発明では、オプトエレクトロニクス半導体部品を提供する。
【0002】
刊行物:米国特許第6163036号明細書には、オプトエレクトロニクス半導体チップ及びオプトエレクトロニクス半導体部品が記載されている。
【0003】
解決すべき課題は、放射出射面を特に大きく構成できるオプトエレクトロニクス半導体チップを提供することである。また、特に簡単かつ低コストに製造可能なオプトエレクトロニクス半導体部品を提供することも課題とする。
【0004】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1個の実施形態によれば、オプトエレクトロニクス半導体チップは、長方形状でない、平行四辺形状のカバー面を有する。当該カバー面は、製造差の範囲で平行四辺形状である。つまり、カバー面は製造差の範囲で相互に平行な2本ずつの境界線を有する。これらの境界線は±5%の許容差で相互に平行に配置される。
【0005】
カバー面はオプトエレクトロニクス半導体チップの主面によって形成されている。カバー面は、オプトエレクトロニクス半導体チップの底面とは反対側に存在する。底面には、例えば支持体上へ実装されるオプトエレクトロニクス半導体チップが配設されている。
【0006】
カバー面は例えばオプトエレクトロニクス半導体チップの上面に形成され、オプトエレクトロニクス半導体チップの上面全体を含む。オプトエレクトロニクス半導体チップは、長方形状でない平行四辺形状のカバー面に加え、長方形状でない平行四辺形状の断面と長方形状でない平行四辺形状の底面とを有することができる。断面及び底面は、製造差の範囲で、カバー面に対して平行に延在することができる。
【0007】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1個の実施形態によれば、オプトエレクトロニクス半導体チップは活性領域を含む。活性領域は、オプトエレクトロニクス半導体チップの動作中に電磁放射、例えば光を形成するように構成されている。活性領域は、カバー面に対して間隔を置いてオプトエレクトロニクス半導体チップの内部に設けられ、製造差の範囲で、少なくとも部分的にカバー面に対して平行に延在する。
【0008】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1個の実施形態によれば、カバー面は、動作中に活性層に形成された電磁放射を通過させて出射する放射出射面を含む。つまり、放射出射面はカバー面の一部によって形成される。ここでの放射出射面は、例えば、オプトエレクトロニクス半導体チップの唯一の放射出射面である。この場合、オプトエレクトロニクス半導体チップの側面からは、半導体チップの活性領域で形成された電磁放射は殆どもしくは全く出射されない。
【0009】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1個の実施形態によれば、放射出射面は少なくとも4個の角部を有する。放射出射面は例えば長方形状に形成される。さらに、放射出射面を、四辺形もしくは五角形もしくは六角形などの多角形状に形成してもよい。
【0010】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1個の実施形態によれば、カバー面は少なくとも1個の三角形状の端子面を有する。この場合、端子面は製造差の範囲で三角形状に形成される。当該端子面は、活性領域を電気的に接続可能なオプトエレクトロニクス半導体チップの電気端子面である。当該端子面は、導電性材料、例えばメタライゼーション部によって、部分的にもしくは完全に覆われている。
【0011】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1個の実施形態によれば、オプトエレクトロニクス半導体チップは、長方形状でない平行四辺形状のカバー面と、このカバー面に対して間隔を置いて、少なくとも部分的にこのカバー面に対して平行に延在する活性領域とを含む。この場合、カバー面は、動作中に活性領域で形成された電磁放射を通過させて出射する放射出射面を含み、この放射出射面は少なくとも4個の角部を有する。また、カバー面は、活性領域を電気的に接続可能な少なくとも1個の三角形状の端子面を含む。
【0012】
ここで説明しているオプトエレクトロニクス半導体チップは、長方形でない平行四辺形状のカバー面を有する、長方形でない平行四辺形状の半導体チップの端部には特に省スペースな状態で電気端子面を形成できるという認識を基礎としている。
【0013】
さらに、ここで説明しているオプトエレクトロニクス半導体チップは、製造時に、所定の直線に沿って延在する個別化のための溝によって形成される。個別化のための溝は例えばソーダイシング用トレンチであってよい。複数のオプトエレクトロニクス半導体チップを含む半導体ウェハが、当該個別化のための溝によって、複数のオプトエレクトロニクス半導体チップへ個別化される。種々の方向に延在する個別のための溝の主延在方向は、この場合、相互に垂直ではないが交差するので、長方形ではない平行四辺形状のカバー面を有する半導体チップが得られる。
【0014】
また、このようにして、長方形もしくはほぼ長方形の放射出射面を有するオプトエレクトロニクス半導体チップを実現でき、その際にオプトエレクトロニクス半導体チップの端子面をオプトエレクトロニクス半導体チップのカバー面の全幅又は全長を超えて延在させる必要はない。つまり、長方形でない平行四辺形状のカバー面を有するオプトエレクトロニクス半導体チップによって、コンタクト面の面積を従来の長方形のオプトエレクトロニクス半導体チップよりも小さくしつつ、ほぼ長方形の全発光像による均質な発光像を形成することができる。ここで説明しているオプトエレクトロニクス半導体チップでは、放射出射面を端子面に比べて特に大きく選定できる。
【0015】
「平行」「三角形」「長方形」などの幾何学形状の概念は、ここで詳細に説明しないが、厳密に数学的に意味においてではなく、製造差の範囲で生じうる形状を意味する概念である。
【0016】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1個の実施形態によれば、カバー面は専ら放射出射面と少なくとも1個の三角形状の端子面とを含む。すなわち、カバー面はこのカバー面を完全に充填するこれらの部材のみによって形成される。
【0017】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1個の実施形態によれば、カバー面は正確に1個の放射出射面と正確に2個の三角形状の端子面とを有しており、これらの面はカバー面の向かい合う側に位置している。この場合、放射出射面は2個の三角形状の端子面の間に位置している。ここでは、カバー面は放射出射面と2個の三角形状の端子面とから成る。よって、平行四辺形状のカバー面は、例えば、2個の三角形と1個の長方形又は1個の六角形とに分割される。このようにすれば、放射出射面を有しかつ端子面が平行四辺形状のカバー面の角部に位置するオプトエレクトロニクス半導体チップを特に簡単に形成できる。端子面においてカバー面が占める面積の割合は、平行四辺形の傾きの角度によって簡単に調整できる。
【0018】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1個の実施形態によれば、放射出射面は長方形状である。これは、例えば、カバー面が正確に1個の長方形状の放射出射面と2個の三角形状の端子面とに分割されることによって達成される。この場合、三角形状の端子面は、長方形状の放射出射面に向かい合う2個の面に配置される。
【0019】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1個の実施形態によれば、放射出射面は六角形状である。すなわち、放射出射面は6個の角部を有する。この場合、三角形状の端子面の面積は特に小さく形成され、例えば平行四辺形状のカバー面の頂部のみを含む。このようにすれば、残りの放射出射面を特に大きく、そのうえほぼ長方形状に形成できるので、例えば正方形状の放射出射面が所望されない適用分野においても半導体チップを高い効率で利用できる。
【0020】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1個の実施形態によれば、オプトエレクトロニクス半導体チップは、活性領域を貫通する少なくとも1個のスルーコンタクトを含み、このスルーコンタクトは少なくとも1個の三角形状の端子面に導電接続される。この場合、オプトエレクトロニクス半導体チップは、放射出射面に、オプトエレクトロニクス半導体チップの駆動のための電流を分配する導体路もしくはコンタクト路を有さない。そうでなく、チップ面への電流の分配は、放射出射面の下方で行われる。活性領域を貫通するスルーコンタクトを有するこうしたオプトエレクトロニクス半導体チップの動作方式は、刊行物:米国特許出願第2010/0171135号明細書の長方形状の半導体チップにおいて説明されており、この刊行物の開示内容は引用により本発明に含まれるものとする。
【0021】
オプトエレクトロニクス半導体チップの少なくとも1個の実施形態によれば、少なくとも1個の三角形状の端子面は、ワイヤによるコンタクト形成が可能である。つまり、オプトエレクトロニクス半導体チップの三角形状の端子面は、ワイヤ接続(英語ではワイヤボンディング)のために設けられる。
【0022】
本発明では、さらに、オプトエレクトロニクス半導体部品が提供される。オプトエレクトロニクス半導部品は、上述したオプトエレクトロニクス半導体チップを少なくとも1個含む。よって、オプトエレクトロニクス半導体チップについて上述した特徴は全て、オプトエレクトロニクス半導体部品にも当てはまる。
【0023】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1個の実施形態によれば、オプトエレクトロニクス半導体部品は上述したオプトエレクトロニクス半導体チップを少なくとも1個含む。この場合、オプトエレクトロニクス半導体部品は、オプトエレクトロニクス半導体チップを1個だけ含んでもよいし、2個以上のオプトエレクトロニクス半導体チップを含んでもよい。
【0024】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1個の実施形態によれば、オプトエレクトロニクス半導体部品は変換素子を含む。変換素子は、例えば、ルミネセンス変換材料を含むフィルムもしくは剛性のプレートである。
【0025】
変換材料は、活性領域で形成された電磁放射の一部を吸収して、例えばより大きな波長の電磁放射を再放出するために設けられる。つまり、変換素子は、こうした電磁放射を波長変換する。
【0026】
オプトエレクトロニクス半導体チップが例えば活性領域で青色光を形成する場合、変換素子は、青色光の一部を吸収してより大きな波長の光を放出するように構成される。このようにすれば、半導体部品から、例えば白色の混合光、すなわちオプトエレクトロニクス半導体チップから直接に放出された光と変換光とから成る光を放出させることができる。さらに、変換素子が自身へ入射してくるオプトエレクトロニクス半導体チップの放射のほぼ全てを吸収し、これにより半導体部品が色光を放出するように構成してもよい。
【0027】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1個の実施形態によれば、変換素子は少なくとも1個の半導体チップの放射出射面に配置される。この場合、変換素子はオプトエレクトロニクス半導体チップの放射出射面に直接に設けることができる。また、変換素子を、接続手段、例えば放射透過性の接着剤によって、少なくとも1個のオプトエレクトロニクス半導体チップの放射出射面に接続することもできる。
【0028】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1個の実施形態によれば、変換素子は製造差の範囲で長方形状を有する。つまり、変換素子は、オプトエレクトロニクス半導体チップの1個もしくは複数個の端子面を覆わないことを保証するために、断部もしくは切欠を有さない。変換素子はむしろ例えば長方形状のプレートもしくは長方形状のフィルムとして形成される。
【0029】
この場合、本発明のオプトエレクトロニクス半導体部品の基礎となっているのは、特に、長方形でない平行四辺形状のカバー面を有するチップを備えていない従来のオプトエレクトロニクス半導体部品では、端子面を露出させるための切欠を変換素子に設けなければならないという認識である。こうした切欠は、例えば、変換素子の打ち抜きもしくはソー切削によって形成される。本発明ではこのようなオプトエレクトロニクス半導体部品を製造するコストを低減できる。なぜなら、本発明のオプトエレクトロニクス半導体部品はパターニングされていない長方形状の変換素子しか要さないからである。
【0030】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1個の実施形態によれば、変換素子は少なくとも1個のオプトエレクトロニクス半導体チップの放射出射面を完全に覆う。すなわち、少なくとも1個のオプトエレクトロニクス半導体チップの放射出射面は変換素子によって完全に覆われる。ただし、このことは、変換素子が放射出射面に直接に接触することを必ずしも意味しない。なお、この場合、変換素子の一部が上方に全く存在しない放射出射面の部分は存在しない。
【0031】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1個の実施形態によれば、変換素子は位置ごとにオプトエレクトロニクス半導体チップの側面を超えて存在する。これは例えば、オプトエレクトロニクス半導体チップの放射出射面が長方形でなく、六角形に形成される場合に相当する。この場合、三角形状の端子面に隣接して、変換素子の小領域が生じる。この小領域は、放射出射面に直接には接せず、オプトエレクトロニクス半導体チップの側面を超えて突出する領域であって、このため、放射出射面によって直接には照明されない。ただし、変換素子内での光導波によって、活性領域で形成された電磁放射が変換素子の当該領域にも入射可能であるので、当該領域からも電磁放射が放出される。オプトエレクトロニクス半導体部品の発光面積はこのようにして増大され、放射出射面よりも大きくなる。
【0032】
さらに、本発明のオプトエレクトロニクス半導体部品では、2個以上のオプトエレクトロニクス半導体チップが大面積かつ均質な発光面積を形成するために組み合わされる。各オプトエレクトロニクス半導体チップは、その放射面が、唯一の変換素子によって覆われる。
【0033】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1個の実施形態によれば、変換素子は少なくとも2個のオプトエレクトロニクス半導体チップの放射出射面を完全に覆う。このことについては、オプトエレクトロニクス半導体チップの端子面が三角形状に形成されて、平行四辺形状のカバー面の角部に配置されるという特徴に基づいて、複数の放射出射面を完全に覆う長方形状の変換素子が利用される。
【0034】
オプトエレクトロニクス半導体部品の少なくとも1個の実施形態によれば、オプトエレクトロニクス半導体部品はそれぞれ正確に1個ずつの三角形状の端子面を有する2個のオプトエレクトロニクス半導体チップを含む。ここで、2個のオプトエレクトロニクス半導体チップは、それぞれの三角形状の端子面とは反対側の側面で相互に接する。変換素子は2個のオプトエレクトロニクス半導体チップの放射出射面を完全に覆う。
【0035】
この場合、2個のオプトエレクトロニクス半導体チップの長方形でない2個の放射出射面から、長方形状の1個の放射出射面が形成される。当該長方形状の1個の放射出射面は、オプトエレクトロニクス半導体チップの端子面用の切欠を有さない、パターニングなしの長方形の変換素子によって覆われる。
【0036】
以下に、本発明のオプトエレクトロニクス半導体チップとオプトエレクトロニクス半導体部品とを添付図に即して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】オプトエレクトロニクス半導体チップの一実施形態を示す概略図である。
【
図2A】オプトエレクトロニクス半導体チップの別の実施形態を示す概略図である。
【
図2B】オプトエレクトロニクス半導体チップの別の実施形態を示す概略図である。
【
図2C】オプトエレクトロニクス半導体チップの別の実施形態を示す概略図である。
【
図2D】オプトエレクトロニクス半導体チップの別の実施形態を示す概略図である。
【
図3A】オプトエレクトロニクス半導体チップの別の実施形態を示す概略図である。
【
図3B】オプトエレクトロニクス半導体チップの別の実施形態を示す概略図である。
【
図3C】オプトエレクトロニクス半導体チップの別の実施形態を示す概略図である。
【
図3D】オプトエレクトロニクス半導体チップの別の実施形態を示す概略図である。
【
図4】オプトエレクトロニクス部品の一実施形態を示す概略図である。
【
図5】オプトエレクトロニクス部品の別の実施形態を示す概略図である。
【
図6】オプトエレクトロニクス部品を示す図である。
【0038】
図中、同じ要素もしくは同様の機能を有する要素には同じ参照番号を付してある。図は特に各要素の寸法比の点でそれぞればらつきがあり、縮尺どおりに描かれていない。むしろ、表示しやすくするため及び/又は理解しやすくするために、個々の要素を意図的に拡大して示したところがある。
【0039】
図1のAに関連して、本発明のオプトエレクトロニクス半導体チップの第1の実施形態を詳細に説明する。
図1のAには、オプトエレクトロニクス半導体チップ100の概略的な上面図が示されている。オプトエレクトロニクス半導体チップ100は、長方形でない平行四辺形状のカバー面1を含む。カバー面1は四角形状の放射出射面11と三角形状の端子面13aとに分割されている。
【0040】
動作中、放射出射面11を通って、オプトエレクトロニクス半導体チップ100で形成された電磁放射が出射される。放射出射面11は
図1のAの実施形態では4個の角部12を有する。放射出射面11は三角形状の端子面13aに直接に接している。
【0041】
三角形状の端子面13aはワイヤによるコンタクト形成に適している。三角形状の端子面13aにより、オプトエレクトロニクス半導体チップ100はコンタクトワイヤ30を介して動作に必要な電流を受け取ることができる。
【0042】
図1のBには、オプトエレクトロニクス半導体チップ100を切断線AA’で切断した概略的な可能断面が示されている。ここでのオプトエレクトロニクス半導体チップ100は成長基板を有さない薄膜チップである。オプトエレクトロニクス半導体チップ100はp導電型領域22とn導電型領域23とこれらの領域間に存在する活性領域21とを含む。活性領域21では、半導体チップ100の動作中に電磁放射が形成され、その少なくとも一部が放射出射面11を通って出射される。
【0043】
カバー面1は放射出射面11と三角形状の端子面13aとを含む。この端子面13aは例えばボンディングパッドとして構成されており、この端子面13aを介してオプトエレクトロニクス半導体チップ100のn側のコンタクトが形成される。オプトエレクトロニクス半導体チップ100のカバー面1とは反対側の下面に鏡面層29が設けられており、この鏡面層29は例えば銀などの反射性金属によって形成可能である。活性領域21とは反対側で、鏡面層29に続いて、導電性材料によって形成される支持体28が設けられる。またこの支持体28を介してオプトエレクトロニクス半導体チップ100のp側のコンタクトが形成される。
【0044】
図1のBに関連して説明した実施形態に代えて、オプトエレクトロニクス半導体チップを
図1のCに示されているように構成することもできる。この場合、三角形状の端子面13aは、オプトエレクトロニクス半導体チップ100のn導電型領域には配置されず、半導体層22,23,24に並んで配置される。
【0045】
この場合、オプトエレクトロニクス半導体チップ100は、活性領域21を貫通し、かつ、n導電型領域23と三角形状の端子面13aとの間を電気的に接続するスルーコンタクト25を含む。オプトエレクトロニクス半導体チップ100はさらに、活性領域21とp導電型領域22とn導電型領域23とを含む。
【0046】
図1のCに示されているように、放射出射面11は例えば粗面化され、これにより光出射の確率が増大される。オプトエレクトロニクス半導体チップ100は少なくとも側方縁部にパシベーション部26を有する。オプトエレクトロニクス半導体チップ100はさらに、p導電型領域22とp端子材料24との間に設けられる鏡29を有する。オプトエレクトロニクス半導体チップ100の下方には、支持体28が、接続手段27、例えばはんだ材料によって固定されている。
【0047】
図1のCのオプトエレクトロニクス半導体チップでは、放射出射面11には導電性の構造体、例えば、三角形状の端子面13aからの電流を放射出射面11へ分配する導体路が存在せず、露出されている。むしろ、
図1のCの実施形態では、n側に印加される電流は放射出射面11の下方で少なくとも1個のスルーコンタクト25を介して分配される。
【0048】
図2Aに関連して、本発明のオプトエレクトロニクス半導体チップの別の実施形態を詳細に説明する。この実施形態では、カバー面1が2個の三角形状の端子面13a,13bと長方形状の放射出射面11とから形成されている。
【0049】
オプトエレクトロニクス半導体チップの可能な実現形態は、
図2Bに示されているように行われる。
図2Bの概略図では、
図2Aのオプトエレクトロニクス半導体チップを切断線AA’に沿って切断した断面が示されており、チップはp導電型領域22及びn導電型領域23及び活性領域21を含む。半導体チップ100は、さらに、例えば、p端子材料24と接続手段27と例えば電気的絶縁性を有するように構成された支持体28とを有する。オプトエレクトロニクス半導体チップ100のコンタクトは三角形状の端子面13a,13bによって構成されており、端子面13bを介してオプトエレクトロニクス半導体チップ100のp側のコンタクトが形成される。2個の三角形状の端子面13a,13bはワイヤによってコンタクト形成可能であり、コンタクトワイヤ30を介して電気的にコンタクトされる。
【0050】
図2Cの概略断面図には、オプトエレクトロニクス半導体チップの別の実現形態を切断線AA’で切断した断面が示されている。オプトエレクトロニクス半導体チップは、p導電型領域22とn導電型領域23と活性領域21とを含む。これらの領域は成長基板20上にエピタキシャル成長され、例えば電気的絶縁性を有するように構成される。成長基板20は例えばサファイア基板である。活性領域21に向かう側の成長基板20の上面は、光出力の改善及び/又は後続の層の成長の改善に寄与するパターニング部20aを有する。
【0051】
三角形状の端子面13a,13bは半導体チップの対応する領域に電気的に接続されている。例えば三角形状の端子面13aはスルーコンタクト25を介してn導電型領域23に接続されている。
【0052】
活性領域21とは反対側の成長基板20の下面には、金属鏡及び/又は誘電性の鏡及び/又はブラッグ鏡として構成可能な鏡29が配置されている。
【0053】
図2Dの概略的断面図には、オプトエレクトロニクス半導体チップの別の実現形態を切断線AA’で切断した断面が示されている。
図2Cの実施形態とは異なり、電磁放射の出射は、この実施形態では、成長基板20を通して行われる。鏡29は、p導電型領域22に向かう成長基板20の面に配置されている。
【0054】
図3A,
図3Bに関連して、概略的な上面図により、上述したオプトエレクトロニクス半導体チップの別の実施形態を詳細に説明する。オプトエレクトロニクス半導体チップは、この場合、
図1のB,C及び
図2Bに関連して説明したのと同様に構成される。
【0055】
図3Aの実施形態では、半導体チップ100の放射出射面11が六角形状に構成されている。このため、三角形状の端子面13a,13bは、例えば、
図2Aの実施形態の領域よりも面積の小さい領域によって形成することができる。
【0056】
図3Bの実施形態では、放射出射面11が五角形状に形成されており、オプトエレクトロニクス半導体チップは、ワイヤ接続可能に構成された唯一の三角形状の端子面13aのみを有する。第2の電気端子は、例えば、
図1のBに示されているのと同様に、支持体28の下面によって形成される。
【0057】
図3Cの実施形態では、放射出射面11は六角形によって形成される。三角形状の端子面13a,13bは、この実施形態では、その面積が特に小さく構成される。端子面13a,13bは、カバー面の最も外側の頂点のみを含み、上述した実施形態とは異なって、直角三角形としては構成されない。
【0058】
図3Dの実施形態では、電流分配路30が三角形状の端子面13a,13bから放射出射面11の全体に延在している。こうした電流分配路30は、半導体チップ100の上述した他の実施形態においても設けることができる。電流分配路30は対応する端子面13a,13bに導電接続されている。電流分配路30により、端子面を介して、印加電流が放射出射面11ひいては活性領域21の全体にわたって特に均等に分配される。電流分配路30は金属及び/又は透明な導電性酸化物によって形成することができる。
【0059】
図4のAの概略的上面図に即して、上述したオプトエレクトロニクス半導体部品の第1の実施形態を詳細に説明する。オプトエレクトロニクス半導体部品は、例えば
図3Aに関連して説明したようなオプトエレクトロニクス半導体チップ100を含む。オプトエレクトロニクス半導体チップ100は6個の角部を有する放射出射面11を有する。さらに、半導体チップ100は、そのカバー面1に、三角形状の端子面13a,13bを有する。ここでの端子面13a,13bは平行四辺形状のカバー面1の角部に配置されている。
【0060】
オプトエレクトロニクス半導体チップ100の放射出射面11はその全体が変換素子3によって覆われている。変換素子3は長方形状に構成されており、その小領域がオプトエレクトロニクス半導体チップの側面100cひいては放射出射面11を超えて突出している。変換素子3には、端子面を接触させるための貫通孔もしくは切欠が存在しない。この場合、変換素子3は、パターニングされていない長方形状の変換素子である。
【0061】
図4のBの実施形態では、放射出射面11がそれぞれ五角形状に構成された2個のオプトエレクトロニクス半導体チップ100を含むオプトエレクトロニクス半導体部品が示されている。各オプトエレクトロニクス半導体チップ100は、五角形状の放射出射面11とともに対応するオプトエレクトロニクス半導体チップのカバー面1を形成する唯一の三角形状の端子面を有する。
【0062】
唯一の長方形状の変換素子3は、2個の半導体チップ100の各放射出射面を完全に覆う。オプトエレクトロニクス半導体チップのそれぞれに対して、変換素子3に、各半導体チップ100の側面100cを超えて変換素子3から突出する小領域が1個ずつ存在している。オプトエレクトロニクス半導体チップは、この場合、
図3Bに関連して説明したのと同様に構成される。
【0063】
図5に関連して、上述したオプトエレクトロニクス半導体部品の別の実施形態が示されている。この実施形態では、オプトエレクトロニクス半導体部品は、
図3Aに関連して説明したような2個のオプトエレクトロニクス半導体チップ100を含む。つまり、各半導体チップ100は六角形状の放射出射面11と2個の三角形状の端子面13a,13bとから成るカバー面1を含む。2個の半導体チップはそれぞれの側面100aで相互に隣接して配置されており、唯一の長方形状の変換素子3によって覆われている。こうしたオプトエレクトロニクス半導体部品によって、半導体チップ100とは反対側の変換素子3の上面に特に大きな発光面を形成することができる。
【0064】
図6のA,B,Cの概略図には、三角形状の端子面を有さないものの、長方形状の変換素子3を使用しているオプトエレクトロニクス半導体チップ100を含むオプトエレクトロニクス半導体部品が示されている。図示の例では、それぞれ少なくとも長方形状の端子面130が設けられている。
【0065】
図6のAの実施形態では、変換素子3が放射出射面11を超えて突出する大領域が設けられている。これらの変換素子3の大領域は光導波によっては充分に照明されないので、この手段は不経済である。
【0066】
図6のBの実施形態では、長方形状の端子面130は半導体チップの全長に沿って延在する。この場合、長方形状の変換素子3は放射出射面11全体を覆うために用いることができる。しかし、長方形状の端子面130によって半導体チップのカバー面の大領域が覆われるので、この手段は不経済である。なぜなら、端子面130の面に比べて放射出射面11を相対的に小さく選定しなければならないからである。
【0067】
図6のCの実施形態でも、長方形状の端子面130をカバー面の短辺側に配置することに関する同様の問題が生じる。この場合にも、放射出射面は大幅に低減されてしまう。
【0068】
本発明は上述した実施形態には限定されない。むしろ、本発明は、明細書乃至特許請求の範囲に明示的に示されていなくても、個々の新規な特徴のそれぞれもしくは任意の組み合わせを含む。個々の新規な特徴は特には特許請求の範囲に含まれている。
【0069】
本願は、独国特許出願第102013104132.9号明細書の優先権を主張するものであり、この文献の開示内容は引用により本願に含まれるものとする。