(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0003】
可動物体の空間的配置を決定する改良された検出装置が必要とされている。本明細書に開示の実施形態は、可動物体の加速度及び回転を検出するために、1つ以上の加速度計及び1つ以上のジャイロスコープを備える検出装置を提供する。加速度計及びジャイロスコープは、所定量の運動減衰を提供する各減衰要素を介して、支持台に接続できる。ある事例において、加速度計の最適性能に必要な運動減衰量は、ジャイロスコープとは異なる。従って、加速度計及びジャイロスコープに適用される運動減衰量は、対応する減衰要素の特性を調整することによって変更してよい。有利なことに、このアプローチを用いると、各センサのタイプに合わせて減衰パラメータをカスタマイズできる。したがって、センサの感度、正確度、及び、応答性を満足のいくレベルに維持し、ノイズと測定ドリフトの発生が低減される。
【0004】
よって、一態様において、可動物体の空間的配置を決定する装置を提供する。この装置は、支持台、1つ以上の加速度計、1つ以上のジャイロスコープを備える。支持台は可動物体によって支持される。1つ以上の加速度計は、加速度計の動作を減衰させる第1減衰要素を介して支持台に接続される。1つ以上のジャイロスコープは、ジャイロスコープの動作を減衰させる第2減衰要素を介して支持台に接続される。第1減衰要素による運動減衰量は、第2減衰要素による運動減衰量より大きい。
【0005】
ある実施形態においては、可動物体は、無人航空機(UAV)でよい。1つ以上の加速度計は、微小電気機械システム(MEMS)加速度計でよい。1つ以上の加速度計は、3つ以下の動作軸に関して可動物体の加速度を検出できる。3つの動作軸は、直交軸でよい。1つ以上のジャイロスコープは、微小電気機械システム(MEMS)ジャイロスコープでよい。また、1つ以上のジャイロスコープは、3つ以下の回転軸に関して、可動物体の回転を検出できる。3つの回転軸は、直交軸でよい。
【0006】
ある実施形態においては、第1の減衰要素と第2減衰要素の少なくとも1つは、スポンジ、発泡体、または、ゴム材料を含んでよい。第1減衰要素は、第2減衰要素の剛性とは異なる剛性を有し得る。例えば、第1減衰要素の剛性は、第2減衰要素の剛性より小さくてよい。第1減衰要素の剛性は、1つ以上の加速度計が生成する信号に関連するノイズを低減するように選択できる。第2減衰要素の剛性は、1つ以上のジャイロスコープが生成する信号に関連するノイズの低減を選択できる。第1減衰要素は、1つ以上の加速度計の振動を減衰し得る。第2減衰要素は、1つ以上のジャイロスコープの振動を減衰し得る。
【0007】
別の態様においては、無人航空機は、機体本体と処理ユニットを備える。機体本体は本明細書に記載の装置を支持する。処理ユニットは、機体本体の加速度を示す信号を1つ以上の加速度計から受信し、機体本体の回転を示す信号を1つ以上のジャイロスコープから受信する。
【0008】
別の態様においては、可動物体の空間的配置を決定する方法は以下を含む。本明細書に記載の装置を提供するステップ。1つ以上の加速度計を用いて可動物体の加速度を検出するステップ。1つ以上のジャイロスコープを用いて可動物体の回転を検出するステップ。
【0009】
別の態様においては、可動物体の空間的配置を決定する装置を提供する。当該装置は、支持台と複数の慣性計測装置と複数の減衰要素を含む。支持台は可動物体によって支持される。慣性計測装置の各ユニットは、少なくとも1つの加速度計と少なくとも1つのジャイロスコープを備える。減衰要素の各要素は複数の慣性計測装置の少なくとも1つの動作を減衰させるように複数の慣性計測装置の少なくとも1つの支持台に接続させる。ある実施形態においては、複数の減衰要素の少なくとも幾つかは、異なる運動減衰量を提供できる。
【0010】
ある実施形態においては、可動物体は、無人航空機(UAV)でよい。複数の慣性計測装置の少なくとも1つは、微小電気機械システム(MEMS)加速度計を備え得る。複数の慣性計測装置の少なくとも1つは、微小電気機械システム(MEMS)ジャイロスコープを備え得る。
【0011】
ある実施形態においては、複数の減衰要素の少なくとも1つは、スポンジ、発泡体、または、ゴム材料を含み得る。また、複数の慣性計測装置のうちの2つ以上に接続でき、接続された慣性計測装置の振動を減衰させる。複数の減衰要素の少なくとも幾つかは、異なる剛性を有し得る。複数の減衰要素の少なくとも1つは、接続された慣性計測装置の少なくとも1つの加速度計、少なくとも1つのジャイロスコープのいずれかまたは両方によって生成された信号に関連するノイズを低減するように選択された剛性を有し得る。
【0012】
ある実施形態においては、装置は、処理ユニットをさらに備える。当該処理ユニットは、複数の慣性計測装置のそれぞれから可動物体の加速度及び回転の少なくとも1つを示す信号を受信し、受信した信号を処理して可動物体の加速度及び回転の少なくとも1つを決定する。処理ユニットは、冗長法を用いて、または、受信した信号の平均値を求めることによって、受信した信号を処理できる。
【0013】
ある実施形態においては、複数の慣性計測装置は、第1慣性計測装置及び第2慣性計測装置を備え得る。受信した信号は以下を含み得る。第1慣性計測装置の少なくとも1つの加速度計から受信した第1信号。第2慣性計測装置の少なくとも1つのジャイロスコープから受信した第2信号。第1信号は、3つ以下の動作軸に関する可動物体の加速度を示し得る。第2信号は、3つ以下の回転軸に関する可動物体の回転を示し得る。複数の減衰要素は、第1減衰要素及び第2減衰要素を含み得る。第1慣性計測装置は、第1減衰要素を介して支持台に接続できる。第2慣性計測装置は、第2減衰要素を介して支持台に接続できる。第1減衰要素は、第2減衰要素より大きい減衰量の動作を提供してよい。任意で、第1減衰要素の剛性は、第2減衰要素の剛性より小さくてよい。
【0014】
別の態様においては、無人航空機は、機体本体と処理ユニットを備える。機体本体は、本明細書に記載の装置を支持する。処理ユニットは無人航空機の加速度及び回転の少なくとも1つを示す信号を複数の慣性計測装置のそれぞれから受信し、受信した信号を処理して無人航空機の加速度と回転の少なくとも1つを決定する。
【0015】
別の態様においては、可動物体の空間的配置を決定する方法は以下を含む。本明細書に記載の装置を提供するステップ。可動物体の加速度及び回転の1つ以上を複数の慣性計測装置を用いて検出するステップ。
【0016】
別の態様においては、可動物体の空間的配置を決定する装置を提供する。当該装置は、支持台、1つ以上の加速度計と1つ以上のジャイロスコープを備える。支持台は可動物体によって支持される。1つ以上の加速度計は運動減衰する第1減衰要素を介して支持台に接続される。1つ以上のジャイロスコープは、支持台に直接、接続される。
【0017】
ある実施形態においては、可動物体は、無人航空機(UAV)でよい。1つ以上の加速度計は、微小電気機械システム(MEMS)加速度計でよい。1つ以上の加速度計は、3つ以下の動作軸に関して可動物体の加速度を検出できる。3動作軸は、直交軸でよい。1つ以上のジャイロスコープは、微小電気機械システム(MEMS)ジャイロスコープでよい。1つ以上のジャイロスコープは、3つ以下の回転軸に関して可動物体の回転を検出できる。3つの回転軸は、直交軸でよい。
【0018】
ある実施形態においては、減衰要素は、スポンジ、発泡体、または、ゴム材料を含む。減衰要素は、1つ以上の加速度計によって生成される信号に関連するノイズを低減するように選択された剛性を有し得る。減衰要素は、1つ以上の加速度計の振動を減衰できる。
【0019】
別の態様においては、無人航空機は、機体本体と処理ユニットを備える。機体本体は本明細書に記載の装置を支持する。処理ユニットは、機体本体の加速度を示す信号を1つ以上の加速度計から受信し、機体本体の回転を示す信号を1つ以上のジャイロスコープから受信する。
【0020】
別の態様においては、可動物体の空間的配置を決定する方法は以下を含む。本明細書に記載の装置を提供するステップ。可動物体の加速度を1つ以上の加速度計を用いて検出するステップ。可動物体の回転を1つ以上のジャイロスコープを用いて検出するステップ。
【0021】
理解されるように、本発明の異なる態様は、個々に、集合的に、または、互いに組み合わせて正しく評価され得る。本明細書に記載の発明の様々な態様は、以下に記載の任意の個々の適用、または、任意の他の種類の可動物体に適用してよい。航空機に関する本明細書の記載はいずれも、任意の輸送機等、任意の可動物体に適用及び使用可能である。さらに、航空機の動作(例えば、飛行)の文脈で本明細書に開示したシステム、装置、及び、方法は、地上もしくは水上での移動、水中での動作、または、宇宙での動作等、他の種類の動作の文脈にも適用可能である。さらに、ロータまたはロータセンブリに関する本明細書の記載はいずれも、回転によって推進力を生成する任意の推進システム、装置、または、機構(例えば、プロペラ、車輪、車軸)に適用及び使用してよい。
【0022】
本発明の他の目的及び特徴は、明細書、請求項、及び、添付の図面を読むことで明らかとなるだろう。
【0023】
参照による組み込み
本明細書に記載の全ての出版物、特許、及び、特許出願は、各出版物、特許、及び、特許出願を、具体的及び個別に参照により組み込むことによって示すのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示は、無人航空機(UAV)等の可動物体の空間的配置を決定する改良された検出装置を提供する。ある事例において、本明細書に記載の検出装置は、1つ以上の慣性センサを備え得る。「慣性センサ」という用語は、本明細書においては、モーションセンサ(例えば、速度センサ、加速度計等の加速度センサ)、方位センサ(例えば、ジャイロスコープ)、または、1つ以上の一体型モーションセンサと1つ以上の一体型方位センサのいずれかあるいは両方を有する慣性計測装置(IMU)を指して用いられてよい。慣性センサは、可動物体によって支持される支持台に各減衰要素を介して接続できる。減衰要素による運動減衰量は、慣性センサのタイプに基づいて最適化されてよい。例えば、加速度計の減衰要素は、ジャイロスコープの減衰要素とは異なる減衰量を提供してよい。既存の検出装置において、異なるタイプの慣性センサが1つのユニット(例えば、IMU)に一体化されて、同じ減衰量を受けるのとは違い、本明細書に記載の装置は、異なるセンサのタイプに合わせて減衰量をカスタマイズできる。これは、異なるセンサのタイプに対して最適な性能を達成するために必要な減衰量が異なる状況において有利であり得る。例えば、減衰量が大きいと、加速度計の信号対ノイズ比は向上するが、ジャイロスコープの応答遅延が増加できる。従って、本明細書に記載の検出装置は、安定性、応答時間、正確度、並びに、可動物体の制御の精度を向上させるように、可動物体の制御システムと共に用い得る。
【0026】
本明細書に記載の検出装置の実施形態は、以下に記載の可動物体等の可動物体によって支持できる。検出装置は、可動物体の機体本体の上、下、側面(片方もしくたは両方)、または、内部等、可動物体の任意の適切な部分に配置できる。ある事例においては、検出装置は、可動物体の空間的配置、可動物体の動作の少なくとも1つが、検出装置が検出する空間的配置、検出する動作の少なくとも1つに一致するように、可動物体に機械的に接続される。検出装置は、検出装置が取り付けられている可動物体の部分に対して検出装置が移動しないように、固定継手を用いて可動物体に接続できる。あるいは、検出装置と可動物体との間の接続は、検出装置が可動物体に対して移動可能にしてもよい。接続は、永続的な接続、一時的な(例えば、解除可能な)接続でもよい。適切な接続方法は、接着剤、ボンディング、溶接、締結部材(例えば、ねじ、釘、ピン等)の少なくとも1つを含んでよい。任意で、検出装置は、可動物体の一部と一体的に形成できる。さらに、検出装置が収集した検出データを可動物体の様々な機能(例えば、航行、制御、推進、ユーザーまたは他の装置との通信等)のために使用できるように、検出装置は、可動物体の一部(例えば、処理ユニット、制御システム、データ記憶装置)と電気的に接続できる。
【0027】
検出装置は、可動物体の現在の状態を決定するために使用される1つ以上のセンサを備え得る。本明細書に記載の実施形態と組み合わせるのに適切な例示的なセンサは、以下を含んでよい。位置センサ(例えば、全地球測位システム(GPS)センサ、位置三角測量を可能にするモバイル装置の送信機)、視覚センサ(例えば、カメラ等の可視光、赤外線、紫外線を検出できる撮像装置)、近接センサ(例えば、超音波センサ、ライダー)、慣性センサ(例えば、上記の、加速度計、ジャイロスコープ、IMU)、または、フィールドセンサ(例えば、磁気探知機、電磁センサ)。慣性センサに関して本明細書に記載した実施形態はいずれも他の種類のセンサに適用でき、逆も同様である。センサが提供する状態情報は、可動物体の空間的配置(例えば、位置、向き)に関する情報を含んでよい。状態情報は、可動物体の動作に関する情報(例えば、並進速度、並進加速度、角速度、角加速度等)を含んでよい。例えば、6以下の自由度(例えば、位置と並進のいずれかもしくは両方の3自由度、向きと回転のいずれかもしくは両方の3自由度)に関して、可動物体の空間的配置と動作の少なくとも1つを決定するようにセンサを構成できる。状態情報は、グローバル基準フレームに対して、または、別のエンティティの基準フレームに対して、提供されてよい。処理ユニットを利用して、可動物体の空間的配置と空間的動作の少なくとも1つを決定するように、1つ以上のセンサによって生成された状態情報を受信し処理できる。空間的配置と空間的動作の情報の少なくとも1つは、その後、航行、制御、推進、通信等、様々な用途に用い得る。
【0028】
例えば、検出装置は、少なくとも1つ、2つ、または、3つ以上の加速度計と少なくとも1つ、2つ、または、3つ以上のジャイロスコープのいずれか一方または両方等、任意の適切な数及び組み合わせの慣性センサを備え得る。任意で、検出装置は、少なくとも1つ以上のIMUを備えることができる。各IMUは、任意の数または組み合わせの一体型加速度計及び一体型ジャイロスコープを備え得る。慣性センサは、1つの動作軸に対する検出データを提供してよい。当該動作軸は、慣性センサの軸(例えば、縦軸)に一致してよい。検出装置が複数の慣性センサを備える実施形態においては、各慣性センサは、異なる動作軸に沿った測定値を提供してよい。例えば、検出装置は、3つの異なる動作軸に沿って加速度データを提供するように、3つの加速度計を備えてよい。動作の3つの方向は、直交軸でよい。加速度計の1つ以上は、並進軸に沿って加速度を測定する直線加速度計でよい。一方、加速度計の1つ以上は、回転軸の周りの加速度を測定する角加速度計でよい。別の実施例としては、検出装置は、3つの異なる回転軸に関する方位データを提供するように3つのジャイロスコープを備えてよい。3つの回転軸は、直交軸(例えば、ロール軸、ピッチ軸、ヨー軸)でよい。あるいは、慣性センサの少なくとも幾つかまたは全ては、同じ動作軸に対する測定を提供してよい。例えば、測定の正確度を向上させるために、このような冗長性を実施してよい。任意で、慣性センサは、複数の軸に対する検出データを提供可能でよい。例えば、複数の一体型加速度計及び一体型ジャイロスコープを備えるIMUを用いて、6つ以下の動作軸に関して加速度データ及び方位データを生成できる。あるいは、1つの加速度計を用いて複数の軸に沿って加速度を検出でき、1つのジャイロスコープを用いて複数の軸の周りの回転を検出できる。
【0029】
慣性センサの様々な構成及び実施形態を本明細書に記載の検出装置に組み込み得る。例えば、慣性センサの長さまたは幅は、約20マイクロメートル、50マイクロメートル、100マイクロメートル、200マイクロメートル、500マイクロメートル、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、15mm、20mm、30mm、40mm、または、50mm以下でよい。逆に、慣性センサの長さまたは幅は、約20マイクロメートル、50マイクロメートル、100マイクロメートル、200マイクロメートル、500マイクロメートル、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、15mm、20mm、30mm、40mm、または、50mm以上でもよい。本明細書に記載の慣性センサの幾つかまたは全ては、微小電気機械システム(MEMS)センサでよい。MEMSセンサは、他の種類の慣性センサより小さくてよい。このようなMEMSセンサは、チップ内等、集積回路の一部として提供できる。
【0030】
検出装置は、支持台等、センサを指示するのに適切な部品を備え得る。支持台は、筐体、板、壁、プラットフォーム、フレーム、または、センサを取り付け、固定するのに適した任意の他の要素を含み得る。支持台は、ほぼ平坦または平面でよい。逆に、支持台は、立法体、角柱、円柱、球体、半球、または、任意の他の適切な三次元形状として形成されてもよい。支持台は、中空でも中空でなくてもよい。さらに、支持台は、1つの要素として、または、複数の個別要素として形成できる。複数の個別要素の実施形態においては、支持台の様々な個別要素を可動物体の異なる部分に配置できる。場合によっては、支持台は、可動物体の機体の筐体または機体本体に接続でき、または、それらと一体的に形成できる。支持台の動作が可動物体の動作に一致するように、支持台は、可動物体に剛性接続できる。あるいは、支持台は、可動物体に対して移動可能でもよい。支持台の材料特性は、所望のように変更してよい。例えば、支持台は、比較的堅い材料で形成されてよい。あるいは、支持台は、比較的柔軟な材料で形成されてよい。任意で、支持台は、本明細書で前述したようにセンサを他の部品に電気的に接続するのに適した電気的接続要素(例えば、ワイヤ、電子回路)を備え得る。または、このような電気的接続要素を収容できる。
【0031】
本明細書に記載のセンサは、任意の適切な配置で支持台に接続できる。例えば、センサの少なくとも1つは、支持台の上面、底面、側面、外面、と内面の少なくとも1つに接続できる。異なるセンサは、支持台の様々な部分に接続してよい。ある事例においては、複数のセンサは、センサ間に所定の空間関係を維持した配置で支持台に接続してよい。例えば、複数のセンサは、互いに直角に向くように、支持台の各直交壁に接続されてよい。あるいは、複数のセンサの少なくとも一部は、互いに平行に配置できる。センサは、本明細書で前述した接続機構等、任意の適切な接続機構を用いて支持台に接続できる。センサは、直接、または1つ以上の中間要素を介して間接的に、支持台に接続できる。センサは、接続される時、支持台に直接、接触しても接触しなくてもよい。
【0032】
ある事例においては、センサは、減衰要素を介して支持台に間接的に接続できる。減衰要素は、接続されたセンサの動作を減衰するのに適切な任意の要素でよい。例えば、能動的減衰要素、受動的減衰要素、能動的及び受動的減衰特性を有するハイブリッド減衰要素等。本明細書に記載の減衰要素によって減衰される動作は、振動及び衝撃の1つ以上を含み得る。このような動作は、支持台を介してセンサに伝えられる可動物体の動作から生じ得る。減衰要素は、センサに伝えられる動作の量を散逸または低減させて不要な動作の源からセンサを分離すること(例えば、振動絶縁)によって、運動減衰させてよい。減衰要素は、減衰しなければ、センサが受けたであろう動作の大きさ(例えば、振幅)を、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または、100%以上等、低減し得る。ある事例においては、減衰要素は、一定の周波数を有する動作を低減できる。例えば、一部の減衰要素は、高周波数の動作を低減できる。他の減衰要素は、低周波数の動作を低減できる。減衰要素は、約0.5Hz、1Hz、5Hz、10Hz、20Hz、30Hz、40Hz、50Hz、100Hz、200Hz、300Hz、400Hz、500Hz、600Hz、700Hz、800Hz、900Hz、または、1000Hz以上の周波数を有する動作を減衰できる。あるいは、減衰要素は、約0.5Hz、1Hz、5Hz、10Hz、20Hz、30Hz、40Hz、50Hz、100Hz、200Hz、300Hz、400Hz、500Hz、600Hz、700Hz、800Hz、900Hz、または、1000Hz以下の周波数を有する動作を減衰できる。減衰要素による運動減衰は、センサが生成するセンサ信号の質を向上させ得る。例えば、センサのノイズの量と測定ドリフトの低減の少なくとも1つ、及び、センサの正確度、精度、応答性、と安定性の向上の少なくとも1つによる。
【0033】
本明細書に記載の減衰要素は、固体、液体、または、気体の材料を含む、任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成できる。減衰要素に用いられる材料は、圧縮可能、及び、変形可能の少なくとも1つでよい。例えば、減衰要素は、スポンジ、発泡体、ゴム材料、ジェル等でよい。代わりに、または、加えて、減衰要素は、圧電材料または形状記憶材料を含んでよい。減衰要素は、ばね、ピストン、液圧、空気圧、ダッシュポット、ショックアブソーバ、アイソレータ等の1つ以上の機械要素を含んでよい。減衰要素の特性は、所定量の運動減衰を提供するように選択できる。例えば、減衰要素は、減衰要素のヤング率に対応し得る固有の剛性を有してよい。ヤング率は、約0.01GPa、0.05GPa、0.1GPa、0.2GPa、0.3GPa、0.4GPa、0.5GPa、0.6GPa、0.7GPa、0.8GPa、0.9GPa、1GPa、または、5GPa以上でよい。あるいは、ヤング率は、約0.01GPa、0.05GPa、0.1GPa、0.2GPa、0.3GPa、0.4GPa、0.5GPa、0.6GPa、0.7GPa、0.8GPa、0.9GPa、1GPa、または、5GPa以下でよい。ある事例においては、減衰要素は粘弾性特性を有してよい。減衰要素の特性は等方性でもよく、異方性でもよい。例えば、減衰要素は、全ての方向に沿って等しく動作を減衰してよい。逆に、減衰要素は、方向のサブセット(例えば、動作の一方向)に沿ってのみ動作を減衰してもよい。
【0034】
センサと減衰要素間、減衰要素と支持台間の接続は、本明細書で前述した接続機構等、任意の適切な接続機構を用い得る。さらに、本明細書では、1つのセンサに接続した1つの減衰要素を利用する実施形態を記載しているが、減衰要素とセンサの任意の適切な組み合わせを使用できることは理解され得る。例えば、1つのセンサは、複数の減衰要素を用いて、支持台に接続できる。各減衰要素は、センサの異なる部分(例えば、上面、下面、側面、内面、と外面の少なくとも1つ)に接続できる。ある事例においては、センサは、減衰要素内に埋め込み得る。または、減衰要素で取り囲み得る。あるいは、減衰要素は、センサの一定の部分のみに(例えば、センサの一面のみに)接続できる。
【0035】
図面を参照する。
図1は、実施形態に係る、減衰を用いた検出装置100を示す。検出装置100は、減衰要素106を介して支持台104に接続された少なくとも1つの慣性センサ102を備え得る。ある事例においては、慣性センサ102は、加速度計とジャイロスコープの任意の適切な組み合わせを有するIMUでよい。例えば、1つ以上の加速度計108と1つ以上のジャイロスコープ110等。慣性センサ102が1つの部品(例えば、1つのチップ)として提供されるように、加速度計108及びジャイロスコープ110は、IMUに一体化させられ得る。検出装置100は、処理ユニット(図示せず)を備え得る。処理ユニットは、1つ以上の加速度計108と1つ以上のジャイロスコープ110からセンサ信号を受信、処理する。よって、検出装置100の加速度及び回転を決定するように、慣性センサ102に接続される。
【0036】
ばね112及びダンパ114として本明細書に示される減衰要素106は、慣性センサ102の動作を減衰できる。ばね112は、減衰要素106の弾性を表すばね係数を特徴とし得る。ダンパ114は、減衰要素106の粘性を表す減衰係数を特徴とし得る。
図1は、1つのばね112及びダンパ114を平行に示している。減衰要素106は、本明細書に記載の全ての他の減衰要素と同様、ばね、ダンパ、もしくは、他の代表的部品の任意の数、組み合わせ、及び、配置によって表し得る。各部品は、減衰要素106の特性(例えば、剛性、粘弾性)に対応する各係数を特徴とする。ある事例においては、減衰要素106は、複数の部品ではなく、1つの部品(例えば、1つのばね、1つのダンパ)によって表し得る。減衰要素106が提供する運動減衰量は、減衰要素106の特性に基づいて決定できる。1つの部品を形成するように加速度計108及びジャイロスコープ110を慣性センサ102に一体化させた実施形態においては、減衰要素106が提供する運動減衰は、加速度計108及びジャイロスコープ110に一様に適用されてよい。よって、加速度計108及びジャイロスコープ110が同じまたは類似の運動減衰を受ける。
【0037】
図2は、実施形態に係る、別々に減衰されたセンサを備える検出装置200を示す。検出装置200は、第1慣性センサ202及び第2慣性センサ204等、複数のセンサを備え得る。複数のセンサは、複数の減衰要素を介して支持台206に接続できる。例えば、第1慣性センサ202及び第2慣性センサ204は、それぞれ、第1減衰要素208及び第2減衰要素210を介して、支持台206に接続できる。検出装置200のセンサは、異なる減衰要素を介して、支持台206に接続できる。あるいは、少なくとも一部のセンサは、同一の減衰要素を介して支持台206に接続し得る。ある事例においては、第1慣性センサ202及び第2慣性センサ204を含む複数のセンサは、処理ユニット(図示せず)に接続し得る。処理ユニットは、センサによって生成された信号を受信、処理して、検出装置200の空間的配置と動作の少なくとも1つ(例えば、加速度と回転の少なくとも1つ)を決定する。
【0038】
第1減衰要素208及び第2減衰要素210は、任意の適切な材料特性を有し得る。例えば、第1減衰要素208は、第1ばね係数を特徴とする第1ばね212と、第1減衰係数を特徴とする第1ダンパ214とによって表し得る。第2減衰要素210は、第2ばね係数を特徴とする第2ばね216と、第2減衰係数を特徴とする第2ダンパ218とによって表すことができる。第1ばね係数及び第1減衰係数は、第1減衰要素208の特性を表してよい。第2ばね係数及び第2減衰係数は、第2減衰要素210の特性を表してよい。
【0039】
ある事例においては、第1慣性センサ202は、第2慣性センサ204とは異なるタイプのセンサである。例えば、第1慣性センサ202は、1つ以上の加速度計を備え得、第2慣性センサ204は、1つ以上のジャイロスコープを備え得る。逆もまた同様である。第1減衰要素208の特性(例えば、剛性、粘弾性)は、第2減衰要素210の特性とは異なってよい。例えば、第1減衰要素208は、第2減衰要素210より剛性が小さくてよく、逆もまた同様である。従って、第1慣性センサ202に適用される運動減衰量は、第2慣性センサ204に適用される減衰量と異なってよい(例えば、より大きい、より小さい)。例えば、第1慣性センサ202に適用される運動減衰は、第2慣性センサ204に適用される運動減衰の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または、90%でよく、逆もまた同様である。一方、第1慣性センサ202に適用される運動減衰量は、第2慣性センサ204に適用される運動減衰の約110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、300%、400%、または、500%でもよく、逆もまた同様である。
【0040】
ある事例においては、運動減衰は、第1減衰要素208及び第2減衰要素210によって、第1慣性センサ202及び第2慣性センサ204に、それぞれ適用される。運動減衰量は、第1慣性センサ202及び第2慣性センサ204の性能を最適化または向上させるのに必要な減衰量に基づいて選択してよい(例えば、満足のいく正確度、精度、応答性、及び、安定性の少なくとも1つを維持しながら、ノイズ及び正確度の低減の少なくとも1つに関して)。例えば、上記のように、運動減衰量を大きくすることは、加速度計にとっては有益であり得、運動減衰量を小さくすることは、ジャイロスコープにとって有益であり得る。慣性センサ202、204は、1つの部品に一体化されずに、別個の部品として提供される。よって減衰量は、各センサに関して個々に変わってよい。従って、減衰要素208、210の特性(例えば、剛性)は、接続された慣性センサのセンサタイプに応じて、適切な運動減衰量を提供するように選択できる。例えば、第1慣性センサ202は、加速度計でよく、第2慣性センサ204は、ジャイロスコープでよい。第1減衰要素208が第1慣性センサ202に提供する減衰は、第2減衰要素210が第2慣性センサ204に提供する減衰より大きくてよい。
【0041】
図3は、実施形態に係る、減衰されたセンサ及び減衰されていないセンサを有する検出装置300を示す。検出装置300は、第1慣性センサ302及び第2慣性センサ304等、複数のセンサを備え得る。第1慣性センサ302は、運動減衰させる介在要素なしに支持台306に接続できる。ある事例においては、第1慣性センサ302は、支持台306に直接、接続できる。第2慣性センサ304は、本明細書では、ばね係数を特徴とするばね310及び減衰係数を特徴とするダンパ312によって表される減衰要素308を介して支持台306に接続し得る。第1慣性センサ302は、最適または満足のいく品質の検出データを生成するために運動減衰を必要としないセンサタイプでよい。例えば、第1慣性センサ302は、1つ以上のジャイロスコープを備え得る。一方、第2慣性センサ304は、運動減衰を適用すると、性能が向上するセンサタイプでよい。例えば、第2慣性センサ304は、1つ以上の加速度計を備え得る。減衰要素308の特性は、本明細書で前述した他の実施形態と同様、適切な量の運動減衰を第2慣性センサ304に提供するように選択できる。本明細書に記載の他の実施形態と同様、第1慣性センサ302及び第2慣性センサ304は、第1慣性センサ302及び第2慣性センサ304から受信した検出信号を処理する処理ユニットに接続できる。
【0042】
図4は、実施形態に係る、別々に減衰されたセンサを備える検出装置400を示す。検出装置400は、少なくとも第1慣性センサ404及び第2慣性センサ406を含む、支持台402に接続された複数の慣性センサを備え得る。2つの慣性センサ404、406のみを本明細書に示す。しかし、検出装置400は、本明細書に記載の任意の検出装置と同様、任意の適切な数の慣性センサを備え得ることは理解され得る。第1慣性センサ404は、少なくとも1つの一体型加速度計408及び1つ以上の一体型ジャイロスコープ410を備えるIMUでよい。同様に、第2慣性センサ406は、1つ以上の一体型加速度計412及び1つ以上の一体型ジャイロスコープ414を備えるIMUでよい。
【0043】
検出装置400の複数の慣性センサは、複数の減衰要素を介して支持台402に接続できる。例えば、第1慣性センサ404及び第2慣性センサ406は、それぞれ、第1減衰要素416及び第2減衰要素418を介して支持台402に接続できる。第1減衰要素416及び第2減衰要素418は、それぞれ、前述のばね及びダンパの適切な組み合わせによって表し得る。ある事例において、複数の慣性センサの1つ以上は、2つ以上の減衰要素(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、または、6つ以上の減衰要素)によって支持台402に接続し得る。逆に、慣性センサ1つ以上は、減衰要素を用いずに、支持台402に直接、接続し得る。任意で、検出装置400のセンサの幾つかは、同一の減衰要素によって支持台402に接続できる。
【0044】
検出装置200の実施形態と同様、様々な減衰要素の特性は、互いに異なってよい。例えば、第1減衰要素416の特性は、第2減衰要素418の特性と異なってよい。ある事例においては、第1減衰要素416は、第2減衰要素418より剛性が小さくてよく、逆もまた同様である。従って、第1慣性センサ404に適用される運動減衰量は、第2慣性センサ406に適用される減衰量とは異なってよい(例えば、より大きい、より小さい)。例えば、第1慣性センサ404に適用される運動減衰は、第2慣性センサ406に適用される運動減衰の約0%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または、90%でよい。逆もまた同様である。一方、第1慣性センサ404に適用される運動減衰量は、第2慣性センサ406に適用される運動減衰の約110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、300%、400%、または、500%でもよい。
【0045】
ある事例においては、運動減衰は、第1慣性センサ404及び第2慣性センサ406に第1減衰要素416及び第2減衰要素418によってそれぞれ適用される。運動減衰量は、第1慣性センサ404及び第2慣性センサ406のセンサタイプの性能を最適化または向上させるのに必要な減衰量に基づいて選択してよい。例えば、第1減衰要素416によって適用される減衰量は、第1慣性センサ404の加速度計408の減衰要件に基づいて選択できる。また、第2減衰要素418によって適用される減衰量は、第2慣性センサ406のジャイロスコープ414の減衰要件に基づいて選択できる。このような実施形態においては、第1減衰要素416は、第2減衰要素418より大きい運動減衰量を提供するように、第2減衰要素418より剛性が小さくてよい。
【0046】
前述のように、検出装置400のセンサの幾つかは、同一の減衰要素によって支持台402に接続できる。従って、検出装置400の1つ以上の減衰要素は、2つ以上の慣性センサに接続されてよい。共有される減衰要素(単数または複数)は、接続されたセンサに同じまたは類似の運動減衰量を提供してよい。このアプローチは、類似の減衰要件を有するセンサにとって有益であり得る。
【0047】
検出装置400は、第1慣性センサ404及び第2慣性センサ406を含む複数のセンサのそれぞれから検出信号を受信する処理ユニット(図示せず)に接続できる。任意で、処理ユニットによって受信された検出信号の一部は、他の検出信号と冗長でよい。例えば、処理ユニットは、加速度を示す2つ以上の信号と、回転を示す2つ以上の信号等を受信してよい。処理ユニットは、空間的配置と動作の少なくとも1つを決定するように任意の適切な方法で受信した信号を処理できる。例えば、処理ユニットは、受信したセンサ信号の一部または全ての平均化できる。あるいは、処理ユニットは、冗長法を用いて受信した信号の一部または全てを処理できる。連続値である受信信号に対する冗長法は、以下を含んでもよい。受信した信号の値の1つ以上の中間の値(例えば、受信した信号の値の平均)を決定すること。その中間の値(単数または複数)を処理結果として出力すること。離散値である受信信号に対する冗長法は、以下を含んでもよい。受信信号値の大部分に最も近いまたは等しい値を決定すること。その値を処理結果として出力すること。
【0048】
ある事例においては、処理ユニットは、運動減衰を最適化または向上させた第1慣性センサ404及び第2慣性センサ406のセンサタイプ(本明細書では「最適化センサ」と称する)のみから信号を受信してよい。例えば、処理ユニットは、第1慣性センサ404の加速度計408のみから加速度信号を受信し、第2慣性センサ406のジャイロスコープ414のみから回転信号を受信してよい。あるいは、処理ユニットは、第1慣性センサ404及び第2慣性センサ406の両方のセンサタイプの全てからセンサ信号を受信してよい。しかし、可動物体の空間的配置を決定する時、最適化センサからの信号のみを利用してよい。逆に、処理ユニットは、センサタイプの全てからの信号の全てを利用して、空間的配置を決定してよい。しかし、最適化センサからの信号により大きい重みを割り当ててよい(例えば、加重平均)。このアプローチは、カスタマイズ可能な減衰の利点を、一体型加速度計と一体型ジャイロスコープの両方を備える慣性センサ(例えば、IMU)に適用し得るので、有利である。
【0049】
本明細書に記載のシステム、装置、及び、方法は、多種多様な可動物体に適用できる。前述のように、航空機に関する本明細書の記載はいずれも任意の可動物体に適用及び使用してよい。本発明の可動物体は、以下のような任意の適切な環境内を移動できる。空中(例えば、固定翼航空機、回転翼航空機、または、固定翼も回転翼を持たない航空機)、水中(例えば、船または潜水艦)、地上(例えば、車、トラック、バス、バン、及び、オートバイ等の自動車類、杖、釣り竿等の可動構造物もしくはフレーム、または、電車)、地下(例えば、地下鉄)、宇宙(例えば、宇宙飛行機、人工衛星、または宇宙探査機)、または、これらの環境の任意の組み合わせ内等。可動物体は、本明細書の他の箇所に記載の輸送機等の輸送機でよい。ある実施形態においては、可動物体は、人間もしくは動物等の生体に取り付けられてよい。適切な動物は、鳥類、犬類、猫科、馬科、牛亜科、羊、豚、イルカ科、齧歯動物、または、昆虫類を含み得る。
【0050】
可動物体は、6自由度(例えば、並進の3自由度と回転の3自由度)に関して環境内で自由に移動可能でよい。あるいは、可動物体の移動は、所定の経路、軌道、または、方位によって等、1つ以上の自由度に関して制約できる。移動は、エンジンやモータ等の任意の適切な作動機構によって作動できる。可動物体の作動機構は、任意の適切なエネルギー源によって動力を供給されてよい。例えば、電気エネルギー、磁気エネルギー、太陽エネルギー、風力エネルギー、重力エネルギー、化学エネルギー、核エネルギー等の任意の適切なエネルギー源、または、これらの任意の適切な組み合わせ等。可動物体は、本明細書の他の箇所に記載のように、推進システムを介して自走してよい。推進システムは、任意で、電気エネルギー、磁気エネルギー、太陽エネルギー、風力エネルギー、重力エネルギー、化学エネルギー、核エネルギー等、または、それらの任意の組み合わせで動作してよい。あるいは、可動物体は、生物によって支持されてよい。
【0051】
ある事例においては、可動物体は輸送機でよい。好適な輸送機は、船舶、航空機、宇宙船、または地上輸送機を含み得る。例えば、航空機は、固定翼航空機(例えば、飛行機、グライダー)、回転翼航空機(例えば、ヘリコプター、回転翼機)、固定翼と回転翼の両方を有する航空機、またはそのいずれも有さない航空機(例えば、小型飛行船、熱気球)であり得る。輸送機は、空中、水上もしくは水中、宇宙空間、または地上もしくは地下での自己推進等、自己推進し得る。自己推進型輸送機は、推進システムを利用できる。例えば、1つ以上のエンジン、モータ、車輪、車軸、磁石、ロータ、プロペラ、ブレード、ノズル、または、それらの任意の適切な組み合わせを含む推進システム等。ある事例においては、推進システムを用いて、可動物体は以下の少なくとも1つが可能である。表面から離陸、表面に着陸、可動物体の現在位置と向きの維持のいずれかあるいは両方(例えば、ホバリング)、向きの変更と位置の変更。
【0052】
可動物体は、ユーザーが遠隔で制御できる。または、可動物体内または可動物体上の人がローカルで制御できる。ある実施形態においては、可動物体は、UAV等の無人の可動物体である。UAV等の無人の可動物体は、可動物体に誰も乗車していなくてよい。可動物体は、人間または自律制御システム(例えば、コンピュータ制御システム)または、それらの任意の適切な組み合わせによって制御し得る。可動物体は、人工知能を備えて構成されたロボット等、自律型または半自律型ロボットでよい。
【0053】
可動物体は、任意の好適な大きさと寸法の少なくとも一方を有し得る。ある実施形態において、可動物体は、輸送機内またはその上に人間の乗員を有するような大きさと寸法の、少なくとも一方であり得る。あるいは、可動物体は、輸送機内またはその上に人間の乗員を有し得るものより小さい大きさと寸法の、少なくとも一方であり得る。可動物体は、人間が持ち上げるかまたは支持するのに好適な大きさと寸法の、少なくとも一方でもよい。あるいは、可動物体は、人間が持ち上げるかまたは支持するのに好適な大きさと寸法の、少なくとも一方よりも大きくてもよい。ある事例においては、可動物体は、約2cm、5cm、10cm、50cm、1m、2m、5m、または10m以下の最大寸法(例えば、長さ、幅、高さ、直径、対角線)を有してもよい。最大寸法は、約2cm、5cm、10cm、50cm、1m、2m、5m、または10m以上でもよい。例えば、可動物体の対向するロータのシャフト間の距離は、約2cm、5cm、10cm、50cm、1m、2m、5m、または10m以下でもよい。あるいは、対向するロータのシャフト間の距離は、約2cm、5cm、10cm、50cm、1m、2m、5m、または10m以上でもよい。
【0054】
ある実施形態において、可動物体は、100cm×100cm×100cm未満、50cm×50cm×30cm未満、または5cm×5cm×3cm未満の体積を有してもよい。可動物体の総体積は、約1cm
3以下、2cm
3以下、5cm
3以下、10cm
3以下、20cm
3以下、30cm
3以下、40cm
3以下、50cm
3以下、60cm
3以下、70cm
3以下、80cm
3以下、90cm
3以下、100cm
3以下、150cm
3以下、200cm
3以下、300cm
3以下、500cm
3以下、750cm
3以下、1000cm
3以下、5000cm
3以下、10,000cm
3以下、100,000cm
3以下、1m
3以下、または10m
3以下でもよい。逆に、可動物体の総体積は、約1cm
3以上、2cm
3以上、5cm
3以上、10cm
3以上、20cm
3以上、30cm
3以上、40cm
3以上、50cm
3以上、60cm
3以上、70cm
3以上、80cm
3以上、90cm
3以上、100cm
3以上、150cm
3以上、200cm
3以上、300cm
3以上、500cm
3以上、750cm
3以上、1000cm
3以上、5000cm
3以上、10,000cm
3以上、100,000cm
3以上、1m
3以上、または10m
3以上でもよい。
【0055】
ある実施形態において、可動物体は、約32,000cm
2以下、20,000cm
2以下、10,000cm
2以下、1,000cm
2以下、500cm
2以下、100cm
2以下、50cm
2以下、10cm
2以下、または5cm
2以下のフットプリント(可動物体により包含される横方向の断面積を指す)を有してもよい。逆に、フットプリントは、約32,000cm
2以上、20,000cm
2以上、10,000cm
2以上、1,000cm
2以上、500cm
2以上、100cm
2以上、50cm
2以上、10cm
2以上、または5cm
2以上でもよい。
【0056】
ある事例において、可動物体は、重量が1000kg以下であり得る。可動物体の重量は、約1000kg以下、750kg以下、500kg以下、200kg以下、150kg以下、100kg以下、80kg以下、70kg以下、60kg以下、50kg以下、45kg以下、40kg以下、35kg以下、30kg以下、25kg以下、20kg以下、15kg以下、12kg以下、10kg以下、9kg以下、8kg以下、7kg以下、6kg以下、5kg以下、4kg以下、3kg以下、2kg以下、1kg以下、0.5kg以下、0.1kg以下、0.05kg以下、または0.01kg以下でもよい。逆に、重量は、約1000kg以上、750kg以上、500kg以上、200kg以上、150kg以上、100kg以上、80kg以上、70kg以上、60kg以上、50kg以上、45kg以上、40kg以上、35kg以上、30kg以上、25kg以上、20kg以上、15kg以上、12kg以上、10kg以上、9kg以上、8kg以上、7kg以上、6kg以上、5kg以上、4kg以上、3kg以上、2kg以上、1kg以上、0.5kg以上、0.1kg以上、0.05kg以上、または0.01kg以上でもよい。
【0057】
ある実施形態において、可動物体は、支持する積載量と比較して小さくてもよい。積載量は、本明細書の他の箇所にさらに詳細に記載されるように、搭載物と支持機構の少なくとも一方を含み得る。ある例において、可動物体の重量と積載重量との比率は、約1:1を上回るか、下回るか、または等しくてもよい。ある事例においては、可動物体の重量と積載重量との比率は、約1:1を上回るか、それを下回るか、またはそれと等しくてもよい。場合によっては、支持機構重量と積載重量との比率は、約1:1を上回るか、それを下回るか、またはそれと等しくてもよい。所望される場合、可動物体の重量と積載重量との比率は、1:2以下、1:3以下、1:4以下、1:5以下、1:10以下、またはそれをさらに下回ってもよい。逆に、可動物体の重量と積載重量との比率は、2:1以上、3:1以上、4:1以上、5:1以上、10:1以上、またはさらに上回ってもよい。
【0058】
ある実施形態において、可動物体は、低いエネルギー消費量を有し得る。例えば、可動物体は、約5W/h未満、4W/h未満、3W/h未満、2W/h未満、1W/h未満、またはそれを下回る量を使用する。ある事例においては、可動物体の支持機構は、低いエネルギー消費量を有し得る。例えば、支持機構は、約5W/h未満、4W/h未満、3W/h未満、2W/h未満、1W/h未満、またはそれを下回る量を使用する。場合によっては、可動物体の搭載物は、5W/h未満、4W/h未満、3W/h未満、2W/h未満、1W/h未満、またはそれを下回るもの等、低いエネルギー消費量を有し得る。
【0059】
図5は、本発明の実施形態に係る、無人航空機(UAV)500を示す。UAVは、本明細書に記載の可動物体の実施例でよい。UAV500は、4つのロータ502、504、506、508を有する推進システムを備え得る。任意の数のロータを(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または、7つ以上)を備えてよい。ロータは、本明細書の他の箇所に記載の自己締め付けロータの実施形態でよい。無人航空機のロータ、ロータセンブリ、または、他の推進システムによって、無人航空機が、ホバリング/位置の維持、向きの変更、と場所の変更の少なくとも1つを可能にしてよい。対向するロータの軸間距離は、任意の適切な長さ510でよい。例えば、長さ510は、2m以下でもよく、5m以下でもよい。ある実施形態においては、長さ510は、40cm〜1m、10cm〜2m、または、5cm〜5mの範囲内でよい。UAVに関する本明細書の記載はいずれも、異なる種類の可動物体等の可動物体に適用してよく、逆もまた同様である。
【0060】
ある実施形態においては、可動物体は、積載物を支持できる。積載物は、乗客、貨物、設備、機器等の1つ以上を含み得る。積載物は、筐体内に備えられ得る。筐体は、可動物体の筐体とは別個でもよく、可動物体の筐体の一部でもよい。あるいは、積載物には筐体が提供されてもよいが、可動物体は筐体を有さない。また、積載物の一部または積載物全体に筐体が提供されない場合もある。積載物は、可動物体に固着できる。任意で、積載物は、可動物体に対して可動できる(例えば、可動物体に対して並進可能または回転可能)。
【0061】
ある実施形態においては、積載物は、搭載物を含む。搭載物は、操作あるいは機能を行わないことがあり得る。あるいは、搭載物は、機能的搭載物としても知られる操作または機能を行う搭載物であり得る。例えば、搭載物は、1つ以上の目標物を調査するための1つ以上のセンサを含んでよい。撮像装置(例えば、カメラ)、音声取得装置(例えば、パラボラマイク)、赤外線撮像装置、または、紫外線撮像装置等、任意の適切なセンサを搭載物に組み込み得る。センサは、静的検出データ(例えば、写真)または動的検出データ(例えば、動画)を提供できる。ある実施形態においては、センサは、搭載物の目標物に検出データを提供する。代わりに、または、それと併用して、搭載物は、信号を1つ以上の目標物に提供する1つ以上のエミッタを含み得る。光源または音源等の任意の適切なエミッタを用いることができる。ある実施形態においては、搭載物は、可動物体から離れたモジュールと通信する等のために、1つ以上の送受信機を含む。任意で、搭載物は、環境または目標物と相互作用できる。例えば、搭載物は、ロボットの腕等のオブジェクトを操作可能なツール、機器、または、機構を含み得る。
【0062】
任意で、積載物は、支持機構を含んでよい。支持機構は、搭載物のために備え得る。搭載物は、支持機構を介して、直接的に(例えば、可動物体に直接、接触して)または、間接的に(例えば、可動物体に接触せずに)可動物体に接続できる。逆に、搭載物は、支持機構を必要とせずに、可動物体に取り付け得る。搭載物は、支持機構と一体的に形成できる。あるいは、搭載物は、支持機構に解除可能に接続できる。ある実施形態においては、搭載物は、1つ以上の搭載物要素を含むことができる。搭載物要素の1つ以上は、上記のように、可動物体と支持機構の少なくとも1つに対して可動でよい。
【0063】
支持機構は、可動物体と一体的に形成できる。あるいは、支持機構は、可動物体と解除可能に接続できる。支持機構は、可動物体に直接または間接に接続し得る。支持機構は、搭載物を支持し得る(例えば、搭載物の重量の少なくとも一部を支える)。支持機構は、搭載物の移動を安定と方向付けの少なくとも1つができる適切な取付構造(例えば、ジンバルプラットフォーム)を備え得る。ある実施形態においては、支持機構は、搭載物の状態(例えば、位置と向きの少なくとも1つ)を可動物体に対して制御するように適合できる。例えば、支持機構は、可動物体に対して移動できる。(例えば、1、2、または、3の並進度、及び、1、2、または、3の回転度のいずれかあるいは両方に関して)よって、搭載物が可動物体の移動に関わらず、適切な基準フレームに対して位置と向きの少なくとも1つを維持する。基準フレームは、固定基準フレーム(例えば、周囲環境)でよい。あるいは、基準フレームは、移動基準フレーム(例えば、可動物体、搭載物の目標物)でよい。
【0064】
ある実施形態においては、支持機構と可動物体の少なくとも1つに対して搭載物が移動可能に構成できる。移動は、(例えば、1つ、2つ、または、3つの軸に沿った)3以下の自由度に関する並進、(例えば、1つ、2つ、または、3つの軸に沿った)3以下の自由度に関する回転、または、それらの任意の適切な組み合わせでよい。
【0065】
ある事例においては、支持機構は、支持機構フレームアセンブリ及び支持機構作動アセンブリを備え得る。支持機構フレームアセンブリは、搭載物を構造的に支持できる。支持機構フレームアセンブリは、個々の支持機構フレーム部品を備え得る。支持機構フレーム部品の幾つかは、互いに対して可動でよい。支持機構作動アセンブリは、個々の支持機構フレーム部品の移動を作動させる1つ以上のアクチュエータ(例えば、モータ)を備え得る。アクチュエータは、複数の支持機構フレーム部品を同時に移動できる。または、一度に1つの支持機構フレーム部品を移動させてもよい。支持機構フレーム部品の移動によって、対応する搭載物を移動できる。例えば、支持機構作動アセンブリは、1つ以上の回転軸(例えば、ロール軸、ピッチ軸、または、ヨー軸)を中心にした1つ以上の支持機構フレーム部品の回転を作動できる。1つ以上の支持機構フレーム部品の回転によって、搭載物を可動物体に対して1つ以上の回転軸を中心に回転できる。代わりに、または、それと併用して、支持機構作動アセンブリは、少なくとも1つの並進軸に沿って1つ以上の支持機構フレーム部品の並進を作動させ得る。それによって、可動物体に対して少なくとも1つの対応する軸に沿って搭載物を並進させる。
【0066】
ある実施形態においては、可動物体、支持機構、及び、搭載物の固定基準フレーム(例えば、周囲環境)に対する移動と互いに対する移動の少なくとも1つは、端末によって制御できる。端末は、可動物体、支持機構、搭載物の少なくとも1つから離れた場所にあるリモートコントロール装置であり得る。端末は、支持プラットフォームに置いてもよく、取り付けてもよい。あるいは、端末は、ハンドヘルドまたはウェアラブルな装置でよい。例えば、端末は、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、コンピュータ、眼鏡、手袋、ヘルメット、マイクロフォン、または、それらの適切な組み合わせでよい。端末は、キーボード、マウス、ジョイスティック、タッチスクリーン、または、ディスプレイ等のユーザーインタフェースを備え得る。任意の適切なユーザー入力を用いて、端末と相互作用できる。例えば、手動入力コマンド、音声制御、ジェスチャ制御、または、(例えば、端末の移動、場所、または、傾きを介した)位置制御等。
【0067】
端末を用いて、可動物体、支持機構、と搭載物の少なくとも1つ任意の適切な状態を制御できる。例えば、端末を用いて、固定基準フレームと互いの少なくとも1つに対して、可動物体、支持機構、搭載物の少なくとも1つの、位置と向きのいずれかまたは両方を制御し得る。ある実施形態においては、端末を用いて、可動物体、支持機構、と搭載物の少なくとも1つの個々の要素を制御できる。例えば、支持機構の作動アセンブリ、搭載物のセンサ、または、搭載物のエミッタ等。端末は、可動物体、支持機構、または、搭載物の1つ以上と通信するように適合された無線通信装置を含み得る。
【0068】
端末は、可動物体、支持機構、と搭載物の少なくとも1つの情報を見るための適切なディスプレイユニットを備え得る。例えば、端末は、位置、並進速度、並進加速度、向き、角速度、角加速度、または、それらの任意の適切な組み合わせに関して、可動物体、支持機構、と搭載物の少なくとも1つの情報を表示できる。ある実施形態においては、端末は、機能的搭載物によって提供されたデータ等(例えば、カメラまたは他の撮像装置によって記録された画像)、搭載物によって提供された情報を表示できる。
【0069】
任意で、同じ端末で、可動物体、支持機構と搭載物の1つ以上、または、可動物体、支持機構、と搭載物の1つ以上の状態の制御をしてもよい。同様に、可動物体、支持機構と搭載物の1つ以上からの情報を受信と表示のいずれかもしくは両方を行ってよい。例えば、端末は、搭載物によって捕捉された画像データ、または、搭載物の位置に関する情報を表示しながら、環境に対する搭載物の位置決めを制御してよい。あるいは、異なる端末を様々な機能に対して用いてよい。例えば、第1端末が、可動物体、支持機構と搭載物の1つ以上の移動または状態を制御する。一方、第2端末が、可動物体、支持機構、搭載物の情報を、受信と表示のいずれかあるいは両方してよい。例えば、第1端末を用いて、環境に対する搭載物の位置決めを制御してよく、第2端末は、搭載物によって捕捉された画像データを表示する。可動物体と、可動物体の制御とデータの受信の両方を行う統合端末との間、または、可動物体と、可動物体の制御とデータの受信の両方を行う複数の端末との間で、様々な通信モードが利用されてよい。例えば、少なくとも2つの異なる通信モードが、可動物体の制御と可動物体からのデータ受信の両方を行う、可動物体と端末との間に形成されてよい。
【0070】
図6は、実施形態に係る、支持機構602及び搭載物604を備える可動物体600を示す。可動物体600は、航空機として描かれているが、この図は制限を意図するものではなく、本明細書に前述した任意の適切な種類の可動物体を用い得る。航空機システムの文脈で本明細書に記載した実施形態はいずれも、任意の適切な可動物体(例えば、UAV)に適用可能なことを当業者は理解し得る。場合によっては、搭載物604は、支持機構602を必要とせずに、可動物体600上に備えられてよい。可動物体600は、推進機構606、検出システム608、及び、通信システム610を備えてよい。
【0071】
推進機構606は、前述したように、ロータ、プロペラ、ブレード、エンジン、モータ、車輪、車軸、磁石、または、ノズルの1つ以上を備え得る。可動物体は、1つ以上、2つ以上、3つ以上、または、4つ以上の推進機構を有してよい。推進機構は、全て、同じ種類でよい。あるいは、1つ以上の推進機構は、異なる種類の推進機構でもよい。推進機構606は、任意の適切な手段を用いて可動物体600に取り付け可能である。推進機構606は、可動物体600の、上部、底部、前部、後部、側部、または、それらの適切な組み合わせ等、任意の適切な部分に取り付け可能である。
【0072】
ある実施形態においては、推進機構606は、可動物体600が、その水平方向の動作を必要とせずに(例えば、滑走路を進むことなく)、表面から垂直に離陸、または、表面に垂直に着陸することを可能にする。任意で、推進機構606は、可動物体600が空中の特定の位置と向きの1つ以上でホバリングを動作可能でよい。推進機構606の1つ以上は、他の推進機構とは独立して制御されてよい。あるいは、推進機構606は、同時に制御できる。例えば、可動物体600は、揚力と推力の1つ以上を可動物体に提供できる複数の水平方向に向いたロータを有し得る。複数の水平方向に向いたロータを作動させて、垂直方向の離着陸能力、及び、ホバリング能力を可動物体600に提供できる。ある実施形態においては、水平方向に向いたロータの1つ以上は、時計回りに回転してよい。水平方向に向いたロータの1つ以上は、反時計回りに回転してよい。例えば、時計回りのロータの数は、反時計回りのロータの数と等しくてよい。水平方向に向いた各ロータの回転速度は、各ロータが提供する揚力と推力の少なくとも1つを制御するために独立して変更できる。それによって、(例えば、3以下の並進度と3以下の回転度に関して)可動物体600の空間的配置、速度と加速度の少なくとも1つを調整する。
【0073】
検出システム608は、可動物体600の空間的配置、速度、と加速度の少なくとも1つを検出し得る1つ以上のセンサを備え得る(例えば、3以下の並進度と3以下の回転度に関して)。1つ以上のセンサは、GPSセンサ、モーションセンサ、慣性センサ、近接センサ、または、画像センサを含んでよい。場合によっては、検出システム608は、本明細書で前述した検出装置の実施形態を含んでよい。検出システム608が提供する検出データを用いて、(例えば、以下に記載のように、適切な処理ユニットと制御モジュールの少なくとも1つを用いて)可動物体600の空間的配置、速度、と向きの少なくとも1つを決定及び制御のいずれかまたは両方可能である。あるいは、検出システム608を用いて、天候条件、潜在的障害物への近接性、地理的特徴のある場所、人工的構造物の場所等、可動物体の周囲の環境に関するデータを提供できる。
【0074】
通信システム610によって、無線信号616を介して通信システム614を有する端末612と通信が可能になる。通信システム610、614は、無線通信に適した任意の数の送信機、受信機、送受信機の少なくとも1つを備えてよい。通信は、データを一方向にのみ送信可能な片方向通信でよい。例えば、片方向通信は、可動物体600がデータを端末612に送信することのみを伴ってよい。逆もまた同様である。データは、通信システム610の1つ以上の送信機から通信システム614の1つ以上の受信機に送信されてよい。逆もまた同様である。あるいは、通信は、データが可動物体600と端末612との間で両方向に送信できる双方向通信でよい。双方向通信は、通信システム610の1つ以上の送信機から通信システム614の1つ以上の受信機にデータを送信することを伴ってよい。逆もまた同様である。
【0075】
ある実施形態においては、端末612は、可動物体600、支持機構602、及び、搭載物604の1つ以上に制御データを提供し、可動物体600、支持機構602、及び、搭載物604の1つ以上から情報を受信できる(例えば、可動物体、支持機構、または、搭載物の位置と動作の情報の少なくとも1つ。搭載物カメラによって撮影された画像データ等、搭載物によって検出されたデータ)。場合によっては、端末からの制御データは、可動物体、支持機構、と搭載物の少なくとも1つの相対的な位置、移動、作動、または、制御に関する命令を含んでよい。例えば、制御データによって、(例えば、推進機構606の制御を介して)可動物体の場所と向きの少なくとも1つの修正を行ってよい。または、(例えば、支持機構602の制御を介して)可動物体に対して搭載物を移動させてよい。端末からの制御データによって、カメラまたは他の撮像装置の操作の制御等、搭載物を制御してよい(例えば、静止画または動画を撮る、ズームインまたはズームアウトする、電源のオンまたはオフ、画像モードを切り替える、画像の解像度を変更する、フォーカスを変更する、被写界深度を変更する、露光時間を変更する、視野角または視野を変更する)。場合によっては、可動物体、支持機構と搭載物の少なくとも1つからの通信は、(例えば、検出システム608または搭載物604の)1つ以上のセンサからの情報を含んでよい。通信は、1つ以上の異なるタイプのセンサ(例えば、GPSセンサ、モーションセンサ、慣性センサ、近接センサ、または、画像センサ)からの検出した情報を含んでよい。上記情報は、可動物体、支持機構と搭載物の1つ以上の位置(例えば、場所または向き)、移動、または、加速度に関してよい。搭載物からの上記情報は、搭載物によって捕捉されたデータまたは搭載物の検出された状態を含んでよい。端末612によって送信、提供された制御データは、可動物体600、支持機構602、または、搭載物604の1つ以上の状態を制御できる。代わりに、または、それと併用して、支持機構602及び搭載物604は、端末612と通信する通信モジュールも備え得る。端末は、可動物体600、支持機構602、及び、搭載物604のそれぞれと独立して通信し、制御できる。
【0076】
ある実施形態においては、可動物体600は、端末612に加えて、または、端末612の代わりに、別のリモート装置と通信できる。端末612は、別のリモート装置、及び、可動物体600と通信してもよい。例えば、可動物体600と端末612の少なくとも1つは、別の可動物体、別の可動物体の支持機構もしくは搭載物と通信してよい。必要に応じて、リモート装置は、第2端末または他のコンピュータ装置(例えば、コンピュータ、ラップトップ、タブレット、スマートフォン、もしくは、他のモバイル装置)でよい。リモート装置は、可動物体600にデータを送信、可動物体600からデータを受信、端末612にデータを送信、及び、端末612からデータを受信の少なくとも1つを構成できる。任意で、リモート装置は、インターネットまたは他の電気通信ネットワークに接続できる。よって、可動物体600と端末612の少なくとも1つから受信したデータをウェブサイトまたはサーバにアップロードできる。
【0077】
図7は、実施形態に係る、可動物体を制御するシステム700の概略をブロック図で示す。システム700は、本明細書に開示のシステム、装置、及び、方法の任意の適切な実施形態と組み合わせて用い得る。システム700は、検出モジュール702、処理ユニット704、非一時的コンピュータ可読媒体706、制御モジュール708、及び、通信モジュール710を備え得る。
【0078】
検出モジュール702は、異なる方法で可動物体に関する情報を収集する異なるタイプのセンサを利用できる。異なるタイプのセンサは、異なるタイプの信号、または、異なるソースからの信号を検出してよい。例えば、センサは、慣性センサ、GPSセンサ、近接センサ(例えば、ライダー)、または、視覚及び画像センサ(例えば、カメラ)を含み得る。検出モジュール702は、本明細書で前述した検出装置の任意の適切な実施形態を含み得る。検出モジュール702は、複数のプロセッサを有する処理ユニット704に動作可能に接続できる。ある実施形態においては、検出モジュールは、適切な外部装置またはシステムに検出データを直接送信する送信モジュール712(例えば、Wi‐Fi画像送信モジュール)に動作可能に接続できる。例えば、送信モジュール712を用いて、検出モジュール702のカメラによって撮影された画像をリモート端末に送信できる。
【0079】
処理ユニット704は、プログラム可能プロセッサ(例えば、中央処理ユニット(CPU))等、1つ以上のプロセッサを有し得る。処理ユニット704は、非一時的コンピュータ可読媒体706に動作可能に接続できる。非一時的コンピュータ可読媒体706は、1つ以上のステップを行うために処理ユニット704によって実行可能なロジック、コード、及び、プログラム命令の少なくとも1つを記憶できる。非一時的コンピュータ可読媒体は、1つ以上のメモリユニットを含み得る(例えば、SDカードもしくはランダムアクセスメモリ(RAM)等の取り外し可能媒体または外部記憶装置)。ある実施形態においては、検出モジュール702からのデータは、非一時的コンピュータ可読媒体706のメモリユニットに、直接、伝達し記憶できる。非一時的コンピュータ可読媒体706のメモリユニットは、本明細書に記載の方法の任意の適切な実施形態を行うために処理ユニット704によって実行可能なロジック、コード、とプログラム命令の少なくとも1つを記憶できる。例えば、処理ユニット704は、検出モジュールが生成した検出データを処理ユニット704の1つ以上のプロセッサに分析させる命令を実行できる。メモリユニットは、処理ユニット704が処理すべき検出モジュールからの検出データを記憶できる。ある実施形態においては、非一時的コンピュータ可読媒体706のメモリユニットを用いて、処理ユニット704が生成する処理結果を記憶できる。
【0080】
ある実施形態においては、処理ユニット704は、可動物体の状態を制御する制御モジュール708に動作可能に接続できる。例えば、制御モジュール708は、6自由度に関して、可動物体の空間的配置、速度、加速度の少なくとも1つを調整するように可動物体の推進機構を制御し得る。代わりに、または、それと併用して、制御モジュール708は、支持機構、搭載物、または、検出モジュールの状態の1つ以上を制御できる。
【0081】
処理ユニット704は、1つ以上の外部装置(例えば、端末、ディスプレイ装置、または、他のリモートコントローラ)にデータを送信、当該外部装置からデータを受信の少なくとも一方をする通信モジュール710に動作可能に接続できる。有線通信または無線通信等、任意の適切な通信手段を用い得る。例えば、通信モジュール710は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、赤外線、無線、WiFi、ポイントツーポイント(P2P)ネットワーク、電気通信ネットワーク、クラウド通信等の1つ以上を利用できる。任意で、タワー、衛星、または、移動局等の中継局を用い得る。無線通信は、近接性に依存してもよく、近接性には無関係でもよい。ある実施形態においては、通信のために見通し線が必要な場合も、必要でない場合もある。通信モジュール710は、検出モジュール702からの検出データ、処理ユニット704が生成した処理結果、所定の制御データ、端末もしくはリモートコントローラからのユーザーコマンド等の1つ以上を送信及び受信のいずれかあるいは両方を可能である。
【0082】
システム700の部品は、任意の適切な構成で配置できる。例えば、システム700の部品の1つ以上は、可動物体、支持機構、搭載物、端末、検出システム、または、上記の1つ以上と通信する追加の外部装置に置き得る。さらに、
図7は、1つの処理ユニット704と1つの非一時的コンピュータ可読媒体706を示しているが、これは制限を意図しているのではなく、システム700は、複数の処理ユニットと非一時的コンピュータ可読媒体の1つ以上を備えてよいことを当業者は理解し得る。ある実施形態においては、複数の処理ユニットと非一時的コンピュータ可読媒体の1つ以上は、異なる場所に配置できる。例えば、可動物体、支持機構、搭載物、端末、検出モジュール、上記の1つ以上と通信する追加の外部装置、または、それらの適切な組み合わせ等。よって、システム700によって行われる処理とメモリ機能のいずれかあるいは両方の任意の適切な態様は、上記場所の1つ以上で行い得る。
【0083】
本発明の好ましい実施形態を、本明細書に図示し記載したが、このような実施形態は、例示のみを目的としていることは当業者には明らかであろう。本発明を逸脱することなく、多くの変形形態、変更、代替形態を当業者は着想するであろう。本明細書に記載の発明の実施形態の様々な代替形態も、発明の実践にあたって採用してよいことは理解されたい。請求項は発明の範囲を規定し、請求項の範囲内の方法及び構造、並びに、それと等価なものは発明の範囲に含まれるものとする。