特許第6188959号(P6188959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6188959アタッチメントコーム及びヘアカッティング器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188959
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】アタッチメントコーム及びヘアカッティング器具
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/20 20060101AFI20170821BHJP
   B26B 19/06 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   B26B19/20
   B26B19/06 Z
【請求項の数】15
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-545907(P2016-545907)
(86)(22)【出願日】2016年2月2日
(65)【公表番号】特表2017-509365(P2017-509365A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】EP2016052101
(87)【国際公開番号】WO2016134920
(87)【国際公開日】20160901
【審査請求日】2016年7月8日
(31)【優先権主張番号】15156723.7
(32)【優先日】2015年2月26日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】フォーン キン ファット
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン ジェンズ
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−023677(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0295340(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0072437(US,A1)
【文献】 実開昭53−040379(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0092178(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 19/20
B26B 19/06
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアカッティング器具の切断ヘッドの旋回可能に支持される刃のセットのための取り外し可能なアタッチメントコームであって、前記アタッチメントコームは、
支持フレームであって、前記支持フレームの両側端において、ユーザによって握られるように配置された第1の側部グリップバー及び第2の側部グリップバーと、前記第1の側部グリップバーと前記第2の側部グリップバーとの間に配置された横方向に延在する少なくとも1つの支持バーと、を有する前記支持フレームと、
肌接触前面を規定する複数のガイド歯と、
複数のスナップ式マウント素子と
を有し、
前記複数のスナップ式マウント素子前記第1の側部グリップバー及び前記第2の側部グリップバーとの間に、ギャップが設けられ
前記複数のスナップ式マウント素子の少なくとも1つは、第1の近位側に配置された近位スナップ式マウント素子として構成され、
前記複数のスナップ式マウント素子の少なくとも1つは、前記第1の近位側とは反対側の第2の遠位側に配置された遠位スナップ式マウント素子として構成され、
前記少なくとも1つの近位スナップ式マウント素子と前記少なくとも1つの遠位スナップ式マウント素子とは、前記切断ヘッドに前記アタッチメントコームを取り付けるため、前記少なくとも1つの近位スナップ式マウント素子と前記少なくとも1つの遠位スナップ式マウント素子との間に前記刃のセットを相互にロックするように構成される、アタッチメントコーム。
【請求項2】
前記第1の側部グリップバー及び前記第2の側部グリップバーが、前記ユーザに対して前記アタッチメントコームを握り、かみ合わせるよう促す各表示を備える、及び/又は、意図された力付与スポットを示すための各窪み又は凹部を備える、請求項1記載のアタッチメントコーム。
【請求項3】
前記近位スナップ式マウント素子及び前記遠位スナップ式マウント素子の少なくとも1つが、偏向可能な態様で、前記支持フレームに取り付けられ、前記アタッチメントコームがマウント方向において前記刃のセットに近づき、前記刃のセットとかみ合う場合、変形可能である、請求項1又は2に記載のアタッチメントコーム。
【請求項4】
前記近位スナップ式マウント素子及び前記遠位スナップ式マウント素子の少なくとも1つが、前記アタッチメントコームが前記刃のセットに与えられる場合、自己偏向する態様で変形され、また、前記アタッチメントコームが前記刃のセットから取り外される場合、自己偏向する態様で変形される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアタッチメントコーム。
【請求項5】
前記スナップ式マウント素子が、前記刃のセットとかみ合う場合、前記アタッチメントコームが前記刃のセットに対して規定された位置及び向きとなるように促す、及び/又は、前記アタッチメントコームを圧入し、しっかりとロックする態様で留めるように構成されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアタッチメントコーム。
【請求項6】
前記スナップ式マウント素子が、前記第1の側部グリップバー及び前記第2の側部グリップバーから離れて配置され、前記少なくとも1つの近位スナップ式マウント素子が、マウントされた状態で、前記刃のセットの歯状先端と関連付けられる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のアタッチメントコーム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの近位スナップ式マウント素子が、前記歯状先端の近傍において、前記マウントされた状態で、前記刃のセットの固定刃と係合する保持部を有する、請求項6記載のアタッチメントコーム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの近位スナップ式マウント素子が、前記マウントされた状態で、前記刃のセットの第1の歯状先端と関連付けられ、前記少なくとも1つの遠位スナップ式マウント素子が、前記マウントされた状態で、前記刃のセットの第2の歯状先端と関連付けられ、前記少なくとも1つの遠位スナップ式マウント素子が、前記第2の歯状先端の近傍において、前記マウントされた状態で、前記刃のセットの固定刃と係合する保持部を有する、請求項6又は7に記載のアタッチメントコーム。
【請求項9】
前記ガイド歯が、前記肌接触前面から離れて対向している前記刃のセットのための受けシートを更に規定する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のアタッチメントコーム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの近位スナップ式マウント素子が、落込凹部を備える各マウント歯において形成されている、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のアタッチメントコーム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの遠位スナップ式マウント素子が、前記支持フレームの後部支持バーにおけるスナップ式フックとして構成される、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のアタッチメントコーム。
【請求項12】
前記支持フレームが、前記マウントされた状態で、前記刃のセットの第1の歯状先端の反対側に配置される前記刃のセットの第2の歯状先端を覆うように構成されている、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のアタッチメントコーム。
【請求項13】
ヘアカッティング器具の切断ヘッドであって、前記切断ヘッドは、
固定刃と切断刃とを有する刃のセットであって、前記固定刃及び前記切断刃は、前記固定刃及び前記切断刃の各歯によって協働して規定された少なくとも1つの歯状先端を有し、前記固定刃及び前記切断刃の前記歯は、基本的に、長手方向に延在し、前記固定刃は、動作中、ユーザの肌に面するように配置された前面を更に有する前記刃のセットと、
請求項1乃至12のいずれか1項に記載のアタッチメントコームと、
を有し、
前記アタッチメントコームは、前記刃のセットに取り外し可能にマウントされ、動作中、前記ユーザの肌に対して規定された距離及び向きで前記刃のセットを位置付けるように構成される、切断ヘッド。
【請求項14】
前記刃のセットと筐体部とを結合するスイベル機構を更に有し、前記アタッチメントコームが、マウントされた状態で、前記筐体部に対して前記刃のセットに沿って旋回されるように構成される、請求項13記載の切断ヘッド。
【請求項15】
前記刃のセットが、前記筐体部に取り外し可能に取付けられ、前記少なくとも1つの近位スナップ式マウント素子及び前記少なくとも1つの遠位スナップ式マウント素子が、前記刃のセットから前記アタッチメントコームを取り外すために必要な力が、前記筐体部から前記刃のセットを取り外すために必要な力よりも小さいように構成される、請求項13又は14に記載の切断ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘアカッティング器具の切断ヘッドの刃のセットのためのアタッチメントコームに関し、特に、旋回可能に支持された刃のセットに関する。また、本開示は、ヘアカッティング器具のための切断ヘッドに関するとともに、アタッチメントコームと適合され得るヘアカッティング器具に関する。より具体的には、本開示は、ヘアトリミングモードとシェービングモードとにおいて動作可能なヘアカッティング器具に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2013/150412号明細書は、ヘアカッティング器具、及び、ヘアカッティング器具の対応する刃のセットを開示している。当該刃のセットは、固定刃と、可動刃とを有し、可動刃は、毛を切断するための固定刃に対して往復して駆動され得る。刃のセットは、特に、トリミング動作とシェービング動作との両方を可能にするのに適している。
【0003】
体毛を切断する目的のため、基本的に、2つの通例区別されるタイプの電動器具が存在する。剃刀、並びに、ヘアトリマー又はヘアクリッパーである。一般的に、剃刀は、シェービング、即ち、無精ひげがない滑らかな肌を得るため、肌の高さにおいて体毛を薄く切るために使用される。ヘアトリマーは、典型的に、肌から選択された距離において毛を切るため、即ち、毛を所望の長さに切るために使用される。用途における違いが、各器具に実装される切断刃構成の異なる構造及びアーキテクチャに反映されている。
【0004】
電気剃刀は、一般的に、箔、即ち、極めて薄い穴の空いた篩と、箔の内側に沿って移動可能な切断刃とを含む。使用中、箔の外側は、肌に対して配置及び押下され、これにより、箔を突き出る任意の毛が、箔の内側を移動する切断刃によって切断され、剃刀の内側の空洞の毛収集部分へ落ちる。
【0005】
一方、電気ヘアトリマーは、一般的に、歯形状のエッジを持つ2つの切断刃を含み、各歯形状のエッジが重なるように、その一方は、他方の上に配置されている。動作中、切断刃は、互いに往復運動し、切断動作において、エッジ間に捉えた任意の毛を切断する。毛が切断される肌からの正確な高さは、通常、(スペーサ)ガード又は櫛と呼ばれる、付加的な取付可能な部品により決定される。
【0006】
さらに、シェービングとトリミングとの両方に基本的に適合した複合装置が知られている。しかしながら、これらの装置は、単に、2つの別個の区別される切断刃、いわゆる、上述のように設計されるような電動剃刀の概念にマッチする構成を有するシェービング部分と、一方で、ヘアトリマーの概念にマッチする構成を有するトリミング部分とを含む。
【0007】
一般的な電気剃刀は、肌の上の所望の可変長さに髪を切るために、即ち、正確なトリミング動作には特に適していない。このことは、少なくとも部分的に、電気剃刀が、箔、及び、結果的には、肌から切断刃に間隔を空けるメカニズムを含まないという事実によって説明され得る。しかしながら、たとえ電気剃刀が、例えば、スペーサ櫛などの取り付けスペーサ部品を付加することによって、一般的に多数の小さい円形の穴を含む箔の構成を有したとしても、最も短い、及び、最も固い毛のほとんどの効率的な捉える能力を減少させるであろう。
【0008】
同様に、一般的なヘアトリマは、髭剃りには特に適していない。これは、主に、別個の切断刃が、変形することなく切断動作を実行すべく、特定の剛性、ひいては厚みを必要とするためである。それは、肌に近い毛の切断を阻害する肌に面する刃の最低限必要な刃の厚みである。結果、自身の体毛の髭剃り及びトリミングを所望するユーザは、2つの別個の機器を購入し、使用する必要があろう。
【0009】
さらに、髭剃り機能及びトリミング機能を併せ持った装置は、基本的に2つの切断刃のセット及び各駆動機構を必要とするため、幾つかの欠点を示す。結果、これらの装置は、標準的なタイプの単一目的のヘアカット機器よりも重たくなり、摩耗しやすくなり、また、高価な製造及び組み立てプロセスを必要とする。同様に、これらの複合装置を動作させることは、しばしば、不快且つ複雑となり過ぎる。2つの別個の切断部分を有する従来の髭剃り及びトリミングの複合装置が使用される場合であっても、装置の操作、及び、異なる動作モード間の切り替えは、煩わしいものであり、極めてユーザフレンドリでないと考えられ得る。切断部分は、一般的に、装置の異なる位置に供給されるため、ガイド精度(ひいては切断精度)が減少する。ユーザは、動作中、2つの別個の主要な把持位置に慣れる必要があるためである。
【0010】
上記国際公開第2013/150412号明細書は、シェービングのために使用される場合、固定刃の第1の部分が、肌に対向する可動刃の側に配置されるとともに、固定刃の第2の部分が、使用中、肌から離れた方向を向いている可動刃の側に配置されるように、可動刃を収容する固定刃を有する刃のセットを供給することによって、これらの問題に取り組んでいる。さらに、歯状の切断エッジにおいて、固定刃の第1の部分と第2の部分とが接続され、これにより、可動刃の各歯を覆う複数の固定歯を形成している。結果、可動刃は、固定刃によってガードされている。
【0011】
この構成は、固定刃も肌から離れた方向を向く可動刃の側に存在しているため、固定刃が、増大された強度及び剛性を有する刃のセットを供給できる限りにおいて好適である。このことは、一般的に、可動刃の肌に面している側における固定刃の第1の部分の厚さを減少させることを可能にする。結果、このように、動作中、可動刃が肌に近づくことができるため、上記刃のセットは、ヘアシェービング動作に良く適する。一方、刃のセットは、ヘアトリミング動作にも特に適している。スロットと交互に配置される各歯を含む切断エッジの構成が、より長い毛がスロットに入ることを許容するためである。結果、可動刃と固定刃との間の相対的な切断動作により、より長い毛が切断される。
【0012】
米国特許第3,008,233号は、電気剃刀のシェービングヘッドに着脱可能に固定されるヘアトリマーアタッチメントを開示している。当該アタッチメントは、その間にシェービングヘッドを収容するための距離を空けて配置された一組の長手方向に延在するリブと、前記リブと一体的に形成されるとともに、前記リブの上に位置する複数の横方向に延在する歯とを含み、前記歯は、ヘッドとアタッチメントとをしっかりとフィットさせることを保障するため、前記電気剃刀のシェービングヘッドの形状に合わせるための内部形状を持っている。
【0013】
米国特許出願公開第2012/233865号明細書は、電気ヘアカッティング器具に取り付け可能な調整式コームアセンブリを開示している。当該コームアセンブリは、電気ヘアカッティング器具の切断エッジによって切断される毛に由来するヘアカット長さを一定にするための複数の歯を有している。調整式コームアセンブリが電気ヘアカッティング器具に取り付けられた場合、前記歯は、実質的に無限の数の様々なヘアカット長さ位置の任意の1つに、電気ヘアカッティング器具の切断エッジに対して選択的に移動可能である。
【0014】
米国特許出願公開第2002/092178号明細書は、筺体と、前記筺体に取り外し可能に接続された回転刃アセンブリであって、前記刃アセンブリは、2つの切断エッジと、単一の切断面と、を持ち、前記切断面に対して略垂直な軸まわりに選択的に回転するように構成された前記回転刃アセンブリと、前記刃アセンブリに動作可能に接続される前記刃アセンブリを選択的にアンロックするためのスイッチ機構であって、これにより、前記刃アセンブリが前記軸周りに回転可能とされる前記スイッチ機構と、を有するヘアクリッパーを開示している。
【0015】
米国特許出願公開第2014/0215832号明細書は、毛又は髭クリッパーに取付けられるように意図された取り外し可能なコームを開示している。当該コームは、使用中、コームをクリッパーに取付けられるようにするラッチを有し、当該ラッチは、弧上に配置され、その曲率は、弧の側部に圧力が付与された場合に増加し、弧上の曲率の増加は、コームのアンロックを引き起こす。
【0016】
米国特許出願公開第2014/0215832号明細書に開示されたコームは、ヘアクリッピング装置の筺体に容易に取付けられるとともに、取り外され得る。かかるコームのラッチは、ある程度偏向可能であり、かかる装置のユーザによって付勢されることができる。しかしながら、コームを係合し、外すためには、ユーザは、コームの側に著しく大きな力を与える必要がある。原理上、かかる構成は、ヘアクリッパーの硬い筺体へのコームの直接的な取り付けに良く適している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、ヒンジ又は旋回可能な態様でヘアカッティング器具に取付けられる刃のセットを利用するヘアカッティング器具が知られている。換言すれば、刃のセットは、現在処理される肌の輪郭に位置決めするため、ヘアカッティング器具の筺体に対してスイベル旋回することができる。これは、ヘアカッティング器具のシェービング能力を著しく増加させ得る。コームが刃のセットに取付けられた場合に、刃のセットのスイベル旋回又はピボット能力を維持したい場合、保持力、作動力、及び、コームの直接的な取り付けから生じ得る他の影響が考慮されるべきである。
【0018】
結果、ヘアカッティング器具における改善がなお必要である。これは、特に、ユーザ快適性に関連する側面、及び、性能に関連する側面を含み得る。特に、筺体に旋回可能に取付けられる刃のセットを有するヘアカッティング器具に関し、様々な個別の動作モードにおいて器具を動作させることが、幾つかの課題をもたらし得る。特に、ユーザの肌からかかる器具の刃のセットを安全に離すことは、困難であろう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本開示の目的は、トリミング動作のために構成されるとともに、ヘアカッティング器具の刃のセットに取付けられ、また、取り外されることが可能なアタッチメントコームを提供することである。より具体的には、ヘアカッティング器具が、輪郭追従能力を提供する場合、アタッチメントコームは、現在処理される皮膚の輪郭と位置決めするため、刃のセットと、刃のセットに取付けられたコームとが、ヘアカッティング器具に対して、旋回又はスイベル可能であるように、刃のセットに直接的に取付けられるべきである。好適には、本開示は、上述の既知の従来技術のカッティング器具における少なくとも幾つかの欠点を解決し得る。また、ヘアカッティング器具のための切断ヘッド、及び、シェービング動作とトリミング動作との両方に良く適するように構成されたヘアカッティング器具を提供することが好ましい。さらに、アタッチメントコームが、ヘアカッティング器具のトリミング性能を高めることが特に好ましい。
【0020】
本開示の第1の態様において、ヘアカッティング器具の切断ヘッドの刃のセット、特に旋回可能に支持される刃のセットのための取り外し可能なアタッチメントコームであって、前記アタッチメントコームは、支持フレームであって、前記支持フレームの両側端において、ユーザによって握られるように配置された第1の側部グリップバー及び第2の側部グリップバーと、前記第1の側部グリップバーと前記第2の側部グリップバーとの間に配置された横方向に延在する少なくとも1つの支持バーと、を有する前記支持フレームと、肌接触前面を規定する複数のガイド歯と、複数のスナップ式マウント素子、特に複数のスナップ式フックと、を有し、前記複数のスナップ式マウント素子は、前記第1の側部グリップバー及び前記第2の側部グリップバーから離れて間隔を空けられており、前記複数のスナップ式マウント素子の少なくとも1つは、第1の近位側に配置された近位スナップ式マウント素子として構成され、前記複数のスナップ式マウント素子の少なくとも1つは、前記第1の近位側とは反対側の第2の遠位側に配置された遠位スナップ式マウント素子として構成され、前記少なくとも1つの近位スナップ式マウント素子と前記少なくとも1つの遠位スナップ式マウント素子とは、前記切断ヘッドに前記アタッチメントコームを取り付けるため、前記少なくとも1つの近位スナップ式マウント素子と前記少なくとも1つの遠位スナップ式マウント素子との間に前記刃のセットを相互にロックするように構成される、アタッチメントコームが提示される。
【0021】
この態様は、ユーザがアタッチメントコームを握ることができる操作領域、特に、接触領域が、好ましくは、最終的には刃のセットと係合し、アタッチメントコームを刃のセットにロックする、任意のスナップ式マウント素子とは別個の、又は、任意のスナップ式マウント素子から離れた別個のエンティティとして構成される場合、アタッチメントコームの供給、特に、アタッチメントコームのマウント及び/又は取り外しの動作が、著しく単純化され得るという見識に基づいている。換言すれば、上記スナップ式マウント素子は、自己活性される又は自己活性する、いわば、アタッチメントコームが刃のセットに近づき係合する場合に、自己活性される又は自動的に活性化される、スナップ式素子とみなされ得る。また、換言すれば、ユーザは、アタッチメントコームと刃のセットとを近付けることによって、単に、スナップ式マウント素子を間接的に動作させる。このため、アタッチメントコームのマウント動作は、単に、刃のセットにアタッチメントコームを滑らせる又は押すことを要する。
【0022】
一方、上述の米国特許出願公開第2014/0215832号明細書は、前記ラッチを係合させ又は外すため、前記ラッチが位置する弧の側に圧力を付与することによって、取り外し可能なコームのラッチに付勢することを教示している。これは、ヘアカッティング器具の固定された筺体に取り外し可能なコームをマウントするための適切な手段とみなされ得る。しかしながら、コームがヘアカッティング器具に取付けられる場合でさえ、ヘアカッティング器具の輪郭追従能力を維持することが望ましい場合、アタッチメントコームがヘアカッティング器具に与える任意の作動力及び/又は係合力が、刃のセット自体に付与される。結果、刃のセットは、基本的に、ヘアカッティング器具の筺体に対して可動な態様で取付けられるとともに受けられ、マウントプロセスの最中に生成され得る任意の力が制限され得る。ユーザがアタッチメントコームに実際に触れるスポット、及び、最終的に刃のセットと係合し、刃のセットにアタッチメントコームをロックするスナップ式マウント素子の位置を分割又は分離することによって、係合力及び/又は係合力に起因する任意の応力が制限されることが保障され得る。
【0023】
より具体的には、ユーザの作動力が、直接、係合力に変換されないため、ユーザによって側部グリップバーに付与される作動力の係合力に対する影響又は効果が、許容レベルまで制限及び/又は低下され得る。
【0024】
さらに、上記態様によれば、アタッチメントコームは、ユーザが、一般的に、アタッチメントコームの側面又は側端において、アタッチメントコームを握り作動させる傾向にあるという事実の利点を享受できる。これは、主に、ユーザが、一般的に、切断ヘッドの歯状先端と関連付けられるアタッチメントコームの長手方向面においてアタッチメントコームを触ることを回避しようとするためである。
【0025】
本文脈において、アタッチメントコームが、好ましくは、トリミングとシェービングとの両方に適した、2つの目的を兼ねた又は多目的の刃のセットとして構成される刃のセットを用いるヘアカッティング器具にマウントされ得ることは言及する価値がある。
【0026】
アタッチメントコームの例示的な実施形態では、第1の側部グリップバー及び第2の側部グリップバーが、ユーザに対してアタッチメントコームを握り、かみ合わせるよう促す各表示を備える。代替的に、又は、追加的に、第1の側部グリップバー及び第2の側部グリップバーは、意図された力付与スポットを示すための各窪み又は凹部を備える。このため、作動位置の明確な割り当て、及び、アタッチメントコームの明白なマウント/取り外し動作がもたらされることができる。
【0027】
例示的な実施形態では、アタッチメントコームは、刃のセットに直接的に取付けられるように構成される。このため、アタッチメントコームは、器具の切断ヘッドの器具の任意の筺体部分に間接的に取付けられるように構成され得る。結果、旋回可能に支持された輪郭追従する刃のセットを実装する少なくとも幾つかの実施形態において、刃のセット及び刃のセットに取付けられたアタッチメントコームは、スイベル旋回の態様で、筺体に対して移動され得る。
【0028】
好ましくは、マウント素子の第1の組とマウント素子の第2の組とが供給され、その各々が、互いに対向する近位スナップ式マウント素子及び遠位スナップ式マウント素子から構成される。好ましくは、スナップ式マウント素子の第1の組と第2の組との各々が、互いに対して横方向に位置決めされた近位スナップ式マウント素子及び遠位スナップ式マウント素子を有する。好ましくは、スナップ式マウント素子の第1の組が、第1の側端と関連付けられ、スナップ式マウント素子の第2の組が、アタッチメントコームの第2の側端と関連付けられる。これは、勿論、各スナップ式マウント素子が、各第1の側部グリップバー及び第2の側部グリップバーから距離を空けて離されていることを含んでいてもよい。換言すれば、第1の側部グリップバー及び第2の側部グリップバーの作動(即ち、押す力の付与)が、スナップ式マウント素子の各作動を直接的に引き起こさないことが好ましい。反対に、スナップ式マウント素子は、側部グリップバーの作動とは独立して作動又は偏向されてもよいことが好ましい。アタッチメントコームが刃のセットに近づき、接触した場合、スナップ式マウント素子は、刃のセットにアタッチメントコームを押す又は引く動作によって作動又は偏向され得る。
【0029】
或る実施形態では、近位スナップ式マウント素子又は遠位スナップ式マウント素子の少なくとも1つ、好ましくは、各スナップ式マウント素子が、偏向可能な態様で、支持フレームに取り付けられ、アタッチメントコームがマウント方向において刃のセットに近づき、刃のセットとかみ合う場合、変形可能である。この目的のため、一体ヒンジ又は少なくとも偏向可能な部分が、支持フレームと各スナップ式マウント素子との間の移行領域に供給され得る。
【0030】
好ましくは、マウント方向、又は、いわば意図された(理想の)マウント方向は、基本的に線形である。換言すれば、ユーザは、単純に側部グリップバーにおいてアタッチメントコームを握り、スナップ式マウント素子がアタッチメントコームを刃のセットにロックするまで基本的に線形的な動作で刃のセットに近付け、かみ合わせることによって、アタッチメントコームを取付け、又は、取り外すことができる。結果、アタッチメントコームの取り付け及び取り外しが、複合的なマウント動作の必要なく、更に単純化されることができる。例えば、幾つかの従来的なアタッチメントコームは、刃のセットを近付け、刃のセットにアタッチメントコームをロックするため、線形的なアプローチ動作、回転及び/又はスイベル係合動作などの多次元的なマウント動作を必要とする。上記実施形態によれば、係合コームを動作させることが、促進され、これにより、ご動作のリスクも低減される。
【0031】
上述したように、スナップ式マウント素子の係合的偏向は、基本的に、ユーザの作動力及び/又は把持力の実際のレベルとは関係なく発生する。スナップ式マウント素子の偏向は、主に、かかるマウント動作によって、誘起又は発生される。結果、マウント動作に関してはむしろ単純な動作が、必要な係合及び保持力を間接的に生じさせ得る。
【0032】
アタッチメントコームの他の実施形態によれば、近位スナップ式マウント素子又は遠位スナップ式マウント素子の少なくとも1つ、好ましくは、各スナップ式マウント素子が、アタッチメントコームが刃のセットに与えられる場合、自己偏向する態様で変形され、また、アタッチメントコームが刃のセットから取り外される場合、自己偏向する態様で変形される。即ち、スナップ式マウント素子は、アタッチメントコームを作動又は把持することによって、及び、第1の側部グリップバー及び第2の側部グリップバーにマウント力(又は、取り外し力)を付与することによって、間接的に動作され得る。好ましくは、近位スナップ式マウント素子は、遠位スナップ式マウント素子の偏向方向とは反対の偏向方向において偏向する。さらに、スナップ式マウント素子の偏向方向は、好ましくは、第1の側部グリップバー及び第2の側部グリップバーにユーザが付与し得る押す力の方向に対して略直交する。
【0033】
アタッチメントコームの更に他の実施形態では、スナップ式マウント素子が、刃のセットと係合している場合、アタッチメントコームが刃のセットに対して規定された位置及び向きとなることを促す。好ましくは、アタッチメントコームの他の改善例では、スナップ式マウント素子が、刃のセットと係合している場合、アタッチメントコームを圧入し、しっかりとロックする態様で留める。結果、アタッチメントコームは、大きな遊びがなく、刃のセットにおいて固定され得る。好ましくは、アタッチメントコームは、マウントされた状態において、少なくともわずかに付勢される。このことは、切断性能を増加させ、任意のがたつき及び/又は動作ノイズを低減し得る。
【0034】
アタッチメントコームの更に他の実施形態では、スナップ式マウント素子が、第1の側部グリップバー及び第2の側部グリップバーから離れて配置され、少なくとも1つの近位スナップ式マウント素子が、マウントされた状態で、刃のセットの歯状先端と関連付けられる。結果、スナップ式マウント素子は、刃のセットと係合し得る、又は、各歯状先端に隣接し得る。このため、アタッチメントコームは、刃のセットにおいて、正確に配向され、位置付けられる。これは、切断性能を著しく増加させ得る。上述のように、ユーザは、歯状先端に直接作用する作動力を付与する必要がない。むしろ、ユーザによってアタッチメントコームの側端に付与された作動押力は、主に、アタッチメントコームの支持フレームによって維持される。
【0035】
上記実施形態の更なる改善例では、少なくとも1つの近位スナップ式マウント素子が、歯状先端の近傍において、マウントされた状態で、刃のセットの固定刃と係合する保持部、特に保持突起部を有する。好ましくは、保持部は、歯状先端の長手方向拡がりに対して垂直な方向において固定刃と係合し、側部グリップバーと隣接するが側部グリップバーにおいてではなく、歯状先端の各側端において固定刃と係合する。好ましくは、少なくとも1つの近位スナップ式マウント素子及び少なくとも1つの遠位スナップ式マウント素子は、マウント方向において見た場合、狭窄領域を規定し、当該狭窄領域に次いで、シート領域又は受け領域を規定する。換言すれば、アタッチメントコームは、マウントプロセスを促進する引き込みガイド形状を備えていてもよい。好ましくは、アタッチメントコームは、刃のセットに近づく場合に自動位置合わせ(self-aligning)する。
【0036】
上記実施形態の更に他の改善例では、少なくとも1つの近位スナップ式マウント素子が、マウントされた状態で、刃のセットの第1の歯状先端と関連付けられ、少なくとも1つの遠位スナップ式マウント素子が、マウントされた状態で、刃のセットの第2の歯状先端と関連付けられ、少なくとも1つの遠位スナップ式マウント素子が、第2の歯状先端の近傍において、マウントされた状態で、刃のセットの固定刃と係合する保持部、特に保持突起部を有する。結果、遠位及び近位スナップ式マウント素子の各組が、その間の刃のセットを付勢又はロックし得る。各付勢力又はロック力は、基本的に、上記長手方向に対して直交する方向において、刃のセットに付与される。
【0037】
好ましくは、近位スナップ式マウント素子及び遠位スナップ式マウント素子は、各長手方向の拡がりの補強された側端部において、刃のセットの固定刃と係合する。スナップ式マウント素子の第1の組とスナップ式マウント素子の第2の組とが供給される場合、刃のセットの歯状先端の歯は、2つの組の接触点の間に配置され得る。
【0038】
アタッチメントコームの更に他の実施形態では、ガイド歯が、皮膚接触前面から離れる方向を向いている刃のセットのための受けシートを更に規定する。また、上記前面及び受けシートは、その間に所望の空間及び角度を有して配置されてもよい。結果、アタッチメントコームがマウントされた状態では、刃のセットは、処理される肌部分に対して所望の向きを向いていてもよい。
【0039】
アタッチメントコームの他の実施形態では、少なくとも1つの近位スナップ式マウント素子が、落込凹部を備える各マウント歯において形成される。一般的に、アタッチメントコームは、基本的に平行に配置された一連の歯を有していてもよい。当該歯の少なくとも幾つかは、ガイド歯として構成され得る。アタッチメントコームの側端に配置され得る少なくとも1つの歯は、少なくとも1つの近位スナップ式マウント素子の柔軟性及び/又は偏向動作を増加させるため、落込凹部又は空間を備えていてもよい。好ましくは、2つのマウント歯が、一連の歯の各速単に供給される。
【0040】
アタッチメントコームの他の実施形態によれば、少なくとも1つの遠位スナップ式マウント素子が、支持フレーム(受けフレーム)の後部支持バーにおけるスナップ式フックとして構成される。この目的のため、凹部又はスロットが、少なくとも1つの遠位スナップ式マウント素子の柔軟性及び/又は偏向動作を増加させるための各落込を供給するため、後部支持バーにおいて形成されてもよい。
【0041】
アタッチメントコームの更に他の実施形態では、受けフレームが、マウントされた状態で、刃のセットの第1の歯状先端とは反対側に配置された刃のセットの第2の歯状先端を覆うように構成される。結果、アタッチメントコームは、所望のヘアトリミング動作のために使用されるべき歯状先端を明確に示し得る。本文脈において、アタッチメントコームは、刃のセットの第1の歯状先端又は第2の歯状先端を選択的にブロック又は非活性化するため、2つの向きにおいて刃のセットにマウントされ得るリバーシブルなアタッチメントコームとして構成されていることが更に好ましい。換言すれば、この改善例によれば、アタッチメントコームは、第1の前向きにマウントされるとともに、第2の後ろ向きにもマウントされ得る。このことは、届きにくい肌領域における切断動作を更に可能にすることができる。
【0042】
好ましくは、アタッチメントコームは、一体的に形成された単一部品の射出成形された部品として構成される。好ましくは、アタッチメントコームは、弾性プラスチック材料から作られる。例えば、アタッチメントコームは、強化されたプラスチック材料、特に繊維強化プラスチックから形成されてもよい。
【0043】
本開示の他の態様では、ヘアカッティング器具、特に電動グルーミング器具の切断ヘッドであって、前記切断ヘッドは、固定刃と切断刃とを有する刃のセットであって、前記固定刃及び前記切断刃は、前記固定刃及び前記切断刃の各歯によって協働して規定された少なくとも1つの歯状先端を有し、前記固定刃及び前記切断刃の前記歯は、基本的に、長手方向に延在し、前記固定刃は、動作中、特にその歯において、ユーザの肌に面するように配置された前面を更に有する前記刃のセットと、本開示の少なくとも幾つかの実施形態に記載のアタッチメントコームと、を有し、前記アタッチメントコームは、前記刃のセットに取り外し可能にマウントされ、動作中、前記ユーザの肌に対して規定された距離及び向きで前記刃のセットを位置付けるように構成される、切断ヘッドが提供される。
【0044】
当該実施形態によれば、アタッチメントコームが刃のセットから除去されている場合、切断ヘッドは、特に、シェービング動作に適している。アタッチメントコームが刃のセットに係合している取り付け状態では、切断ヘッドは、特に、ヘアトリミング動作に適している。
【0045】
切断ヘッドの或る実施形態では、切断ヘッドは、刃のセットと筐体部とを結合するスイベル機構を更に有し、アタッチメントコームが、マウントされた状態で、筐体部に対して刃のセットに沿って旋回されるように構成される。換言すれば、アタッチメントコームは、筺体部とは独立して、刃のセットに取り付けられることができる。結果、輪郭追従機能が刃のセットのためのスイベル機構によって供給される場合、アタッチメントコームがマウントされた状態で輪郭追従能力が機能し得る。換言すれば、アタッチメントコームは、本実施形態によれば、筺体部に直接的に取り付けられないが、切断ヘッド及びスイベル機構を介して筺体に間接的に結合される。
【0046】
切断ヘッドの他の実施形態では、刃のセットが、筐体部に取り外し可能に取付けられ、少なくとも1つの近位スナップ式マウント素子及び少なくとも1つの遠位スナップ式マウント素子が、刃のセットからアタッチメントコームを取り外すために必要な力が、筐体部から刃のセットを取り外すために必要な力よりも小さいように構成される。
【0047】
アタッチメントコームが、明白且つ明確な態様でマウント及び除去され得るため、これは、特に有用である。換言すれば、刃のセットからアタッチメントコームを取り外すために必要な力が、筐体部から刃のセットを取り外すために必要な力よりも大きい場合、ユーザは、頻繁に、刃のセットからアタッチメントコームを最終的に取り外す前に、筐体部から刃のセットをうっかり取り外してしまうであろう。この文脈では、アタッチメントコームが筺体部に対して直接接続されていないことを好ましいことを再度強調しておく。アタッチメントコームの第1の側部グリップバー及び第2の側部グリップバーに付与されるユーザの作動力が、解放力へ直接変換されないため、力むリスクが大幅に低減される。また、いわば、ユーザの押す力のレベルを各係合及び/又は切り離し動作によって誘起される係合力及び切り離し力のレベルから切断又は分離することによって、係合/切り離し力のレベルが、正確に定義され得る。これは、アタッチメントコームの動作信頼性を更に増加させ得る。
【0048】
本開示の更に他の態様では、ヘアカッティング器具、特に、電動グルーミング器具であって、前記ヘアカッティング器具は、毛を切断するための動作方向において毛を通過するように構成され、前記ヘアカッティング器具は、刃のセット、特に、旋回可能にマウントされた刃のセットと、本開示の少なくとも幾つかに従ったアタッチメントコームと、を有するヘアカッティング器具が提供される。好ましくは、上記ヘアカッティング器具は、アタッチメントコームがヘアカッティング器具から取り外された場合、シェービングモードにおいて毛を剃るように動作し、また、アタッチメントコームがヘアカッティング器具にマウントされた場合、トリミングモードにおいて毛をトリミングするように動作し、好ましくは、刃のセットは、シェービングモードとトリミングモードとの両方において、刃のセットが作動表面、特に、ユーザの肌に適合及び/又は位置合わせされるように、スイベル旋回するように構成される。結果、両方の動作モードにおいて、輪郭追従能力が存在し得る。
【0049】
本開示の更に他の態様では、特に、アタッチメントコームのマウント手段の観点において、本開示の少なくとも幾つかの態様に従って構成されたアタッチメントコームのセットが、供給されてもよい。また、様々な長さでトリミング動作を可能にするため、アタッチメントコームのセットは、刃のセットと処理される肌表面との間に、個別に定められた向き及び/又は相対位置を供給する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本開示のこれらの態様及び他の態様が、以下に説明される実施形態を参照して、明確且つ明らかとなろう。
図1図1は、本開示に係るアタッチメントコームの例示的な実施形態とフィットし得る例示的なヘアカッティング器具の概略的な透視図を示している。
図2図2は、ヘアカッティング器具のための切断ヘッドの刃のセットの上面斜視図を示している。
図3図3は、本開示に係るアタッチメントコームの実施形態とフィットし得る他の例示的なヘアカッティング器具の概略的な斜視図を示している。
図4図4は、図3の示される構成の更なる部分的斜視図を示しており、アタッチメントコームが取り外された状態で示されている。
図5図5は、刃のセットと、刃のセットにマウントされ得るアタッチメントコームとの拡大斜視図を示しており、アタッチメントコームが取り外された状態で示されている。
図6図6は、図5に示されるアタッチメントコームの底面図であり、アタッチメントコームが刃のセットと係合している。
図7図7は、図5に示されるアタッチメントコームの更なる斜視底面図であり、アタッチメントコームが分離されて示されている。
図8図8は、図7に示されるアタッチメントコームの他の詳細な部分的底面斜視図を示している。
図9図9は、図6に示される構成の斜視断面底面図を示している。
図10図10は、図6における線分X−Xに沿って見た場合の図6の構成の側面断面図を示している。
図11図11は、図6に示される構成の他の斜視断面底面図を示しており、図11の図の向きは、図9の図の向きと少し異なっている。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、単純化された透視図で、ヘアカッティング器具10、特に電動ヘアカッティング器具の例示的な実施形態を概略的に図示している。ヘアカッティング器具10は、筺体、又は、より具体的には、筺体部12と、筐体部12において点線ブロック14で示されたモータと、筐体部12において点線ブロック16で示された駆動機構又は駆動トレインと、を有していてもよい。モータ14に給電するため、少なくとも、ヘアカッティング器具10の幾つかの実施形態では、例えば、再充電可能なバッテリ、交換可能なバッテリなどの、筺体部12において点線ブロック18で示された電池が設けられ得る。しかしながら、幾つかの実施形態では、カッティング器具10は、電源に接続するための電源ケーブルを更に備えていてもよい。電源コネクタが、(内部)電池18に加えて、又は、(内部)電池18の代わりに、設けられ得る。
【0052】
ヘアカッティング器具10は、切断ヘッド20を更に有していてもよい。切断ヘッド20において、刃のセット22が、ヘアカッティング器具10に取り付けられ得る。刃のセット22は、切断動作を可能にするための駆動機構又は駆動トレインを介して、モータ14によって駆動され得る。切断動作は、一般的に、以下において更に説明及び議論される、固定刃と可動切断刃との間の相対的な動作としてみなされ得る。一般的に、ユーザは、毛を切断するために、移動方向30において毛を通すようにカッティング器具10を握り、保持し、手動でガイドすることができる。カッティング器具10は、一般的に、手でガイドされる、又は、手で動作される電動装置としてみなされ得る。また、切断ヘッド20、又は、より具体的には、刃のセット22は、図1において参照符号28で示される湾曲した双方向矢印で表されるように、カッティング器具10の筺体部12に旋回可能な態様で接続され得る。幾つかのアプリケーションでは、カッティング器具10は、肌において成長する毛を切断するため、肌に沿って移動され得る。肌の近くで毛を切断する場合、肌の高さにおいて毛を切断するため、基本的に、シェービング動作が実行され得る。しかしながら、クリッピング(又は、トリミング)動作も想定され得る。この場合、刃のセット22を有する切断ヘッド20は、肌に対して所望の距離を有する経路に沿って通過される。
【0053】
毛を通るようにガイドされる場合、刃のセット22を含むカッティング器具10は、一般的に、図1において参照符号30で示される共通の移動方向に沿って移動される。本文脈において、ヘアカッティング器具10が一般的に手動でガイドされ、移動される場合、移動方向30は、必ずしもヘアカッティング器具10及びその切断ヘッド20の向きに対して固定の定義及び関係を持つ正確な位置基準として解釈される必要はないことは言及する価値がある。つまり、肌における切断されるべき毛に対するヘアカッティング器具10の全体の向きは、幾らか安定していないものとして解釈され得る。しかしながら、説明目的のため、(仮想的な)移動方向30が、ヘアカッティング器具10の構造的特徴を説明するための手段として以下役立つであろう座標系の主な中央面に対して平行(又は、略平行)であることが適正に仮定され得る。
【0054】
参照を簡単にするため、座標系が、本開示の幾つかの図面において示されている。一例として、直交座標系X−Y−Zが図1において示されている。各座標系のX軸は、本開示の目的のため、一般的に、長さと関連付けられた長手方向に延在している。また、座標系のY軸は、本開示の目的のため、幅と関連付けられた横(又は、横断)方向に延在している。さらに、座標系のZ軸は、説明目的のため、少なくとも幾つかの実施形態において、略垂直な方向と称され得る高さ(又は、垂直)方向に延在している。言うまでもないことだが、ヘアカッティング器具10の特徴及び/又は実施形態に対する座標系X−Y−Zの関係は、主に、説明目的のために設けられており、本発明を限定するように解釈すべきではない。当該技術分野における当業者は、代替的な実施形態、代替的な向きを含む各図面及び図示に直面した場合、ここで設けられる座標系を容易に変換及び/又は移行することができることを理解すべきである。また、本開示の目的のため、座標系X−Y−Zは、一般的に、切断ヘッド20、特に、切断ヘッド20の刃のセット22の主な方向及び向きと位置合わせされていることも言及する価値がある。
【0055】
図2は、図1に図示された切断ヘッド20に実装され得る刃のセット22の斜視図を示している。当該刃のセット22は、固定刃24と、固定刃24に対して往復運動するように動かされ得る切断刃26と、を有している。固定刃24及び切断刃26は、協働して、少なくとも1つの歯状先端32,34、好ましくは、第1の歯状先端32と第2の歯状先端34とを定義し得る。第1の歯状先端32及び第2の歯状先端34は、互いに平行且つ逆方向を向くように配置されている。可動切断刃26は、図2において、点線で示されている。切断刃24は、往復運動するように、駆動シャフト50によって駆動され得る。結果、切断刃26及び固定刃24は、互いに対して往復運動することができ、従って、ヘアカッティング器具10が、移動方向30において、毛を通過される場合、各先端32,34において、固定刃24の歯38と切断刃26の歯40との間のスロットに入る毛を協働して切断することができる。
【0056】
固定刃24は、可動切断刃26のためのガードとして構成され得る。固定刃24は、図9乃至図11において刃のセット22の断面表示で示されるように、切断刃26のためのガイドスロットがその間に規定されるよう、少なくとも部分的に互いから間隔を空けられた第1の壁部分と第2の壁部分とを有することが特に好ましい。結果、固定刃24は、少なくとも1つの歯状先端32,34において、切断刃26をも覆うことができる。
【0057】
既述のように、刃のセット22は、シェービング動作及びトリミング動作に特に適していてもよい。シェービング性能及びトリミング性能は、刃のセット22が実際の肌の輪郭に追従可能である場合に、更に改善され得る。結果、刃のセット22が、旋回可能な態様でヘアカッティング器具10の筐体部12に取り付け可能であることが特に好ましい。スイベル機構が、図2において、参照符号42で示されている。刃のセット22は、スイベル機構42に取り付けられている。スイベル機構42は、刃のセット22と筐体部12との間に挿入される切断ヘッド20の一部を形成していてもよい。スイベル機構42は、図1及び図2において湾曲した双方向矢印28で示される、刃のセット22のための枢軸又は仮想軸を規定し得る。
【0058】
筐体部12に対する刃のセット22の最大スイベル角度を規定するため、スイベル機構42は、スイベル動作の許容された範囲を定義するための接触表面46と協働し得る制限留め部44を有していてもよい。一例として、スイベル機構42は、四節回転機構として構成されてもよい。この実施形態では、スイベル機構42は、筺体部12に取り付けられ得るベースリンク52を有する。第1の側部リンク54及び第2の側部リンク56は、ベースリンク52に結合されていてもよい。それらの上端において、スイベル機構42が、第1の側部リンク54と第2の側部リンク56とを接続する上部リンク58を有していてもよい。各リンク52,54,56,58の間には、隣接するリンク間の相対的な回転ひいては全体的な旋回動作を可能とするヒンジ、特に、一体ヒンジが設けられ得る。
【0059】
一般的に、少なくとも幾つかの実施形態では、切断ヘッド20は、交換可能及び/又は取り外し可能な切断ヘッドとしてみなされ得る。この目的のため、切断ヘッド20は、ヘアカッティング器具10の筐体部12において、各受けインタフェースと係合するように構成された取り付けインタフェース48を有していてもよい。特に、切断ヘッド20は、プラグイン切断ヘッド20として構成され得る。既述のように、刃のセット22、特に刃のセット22の切断刃26は、駆動シャフト50に結合され得る。駆動シャフト50は、駆動シャフト50の長手方向軸まわりを回転し得る偏心部を有していてもよい。結果、偏心駆動機構16が、固定刃24に対して往復運動するよう、切断刃26を駆動するために供給され得る。
【0060】
図2に例示的に図示されるようにスイベル機構42又はスイベル機構の他の例示的な実施形態とフィットされ、切断ヘッド20は、シェービング動作に特に適していてもよい。しかしながら、ヘアカッティング器具10は、ヘアトリミング動作にも適していることが更に好ましい。ヘアトリミングは、所望の長さに毛を切ることを含み得る。毛の所望の残り長さは、いわゆるアタッチメントコームによって規定され得る。ヘアカッティング器具10にアタッチメントコームを取り付ける場合、刃のセット22が、好ましくは、筐体部12において旋回可能にマウントされることが考慮される必要がある。ここで議論される少なくとも幾つかの実施形態では、アタッチメントコームが刃のセット22にマウントされた場合、輪郭追従特性がトリミングモードにおいても供給されることが好ましい。結果、例えば、米国特許出願公開第2014/0215832号明細書に開示されるような従来技術装置とは対照的に、スイベル機構42をロック又はブロックする筺体部12にアタッチメントコームを直接取り付けないことが好ましい。
【0061】
特に、図3乃至図11を参照し、ヘアカッティング器具10のためのアタッチメントコーム60の例示的な実施形態が、図示され、より詳細に説明される。アタッチメントコーム60は、マウントされた状態で、図3に示されている。一方、アタッチメントコーム60は、取り外された状態で、図4に示されている。図3及び図4は、ヘアカッティング器具10の筐体部12の例示的な実施形態を図示している。筐体部12は、基本的に細長い態様で形作られている。しかしながら、その全体的な長手方向の拡がりに沿って、筐体部12は、少なくともわずかに湾曲されている、又は、バナナのような形状となっている。結果、図4から分かるように、各刃のセット22の向きは、一般的に切断ヘッド20とは反対側の端部に配置される筐体部12の操作部又はグリップ部に対して幾らか偏位又は傾斜している。
【0062】
切断ヘッド20、特に刃のセット22、及び、スイベル機構42は、基本的に、図2を用いて上述された実施形態に従って、構成されていてもよい。好ましくは、アタッチメントコーム60は、刃のセット22に直接取り付けられている。また、アタッチメントコーム60は、好ましくは、筐体部12に直接取り付けられていない。結果、アタッチメントコーム60も、図3において旋回矢印28として表されているように、筺体部12に対してスイベル機構42によって旋回され得る。結果、ヘアカッティング器具10が、ヘアトリミングモードである場合も、ヘアカッティング器具10の輪郭追従能力が維持される。
【0063】
しかしながら、この構成は、マウントプロセス及び/又は取り付けプロセス、並びに、アタッチメントコーム60の各マウント特性に対して、幾つかの課題をもたらす。刃のセット22は、比較的小型であり、ある程度、壊れやすいユニットであることが考慮される必要がある。結果、アタッチメントコーム60は、特に、刃のセット22に直接マウントされることを意図するように適合している。また、既述のように、刃のセット22及び/又は刃のセット22及びスイベル機構42を含む切断ヘッド20は、着脱可能な態様で、筐体部12に取り付けられてもよい。従って、アタッチメントコーム60を取り外すことは、偶然にも、ヘアカッティング器具10から刃のセット22又はスイベル機構42をも取り外すことにはならないことを考慮すべきである。
【0064】
更なる説明が、図5乃至図7を参照してなされる。図5の上面斜視図及び図7の斜視底面図の各々から分かるように、この実施形態のアタッチメントコーム60は、第1の支持バー64と第2の支持バー66とを有する支持フレーム62を有している。好ましくは、支持バー64及び支持バー66は、基本的に平行に、互いに離れて配置されている。支持バー64は、遠位、後端、後方支持バー64と称され得る。また、支持バー66は、近位、前端、前方支持バー66と称され得る。支持バー66は、動作中、基本的に、最初に、処理される肌に接触するアタッチメントコーム60の長手方向側に配置されている。
【0065】
支持フレーム62の各側部には、第1の側部グリップバー68及び第2の側部グリップバー70が設けられている。支持バー64,66は、側部グリップバー68から側部グリップバー70まで延在している。側部グリップバー68,70は、基本的に、長手方向X及び/又は長手方向Xと垂直方向Zとによって規定される平面において延在している。支持バー64,66は、基本的に、横方向Yにおいて延在している。支持バー64,66及び側部グリップバー68,70は、協働して、アタッチメントコーム60の支持フレーム62を規定している。支持バー64,66は、マウントされた状態で、歯状先端32,34の横方向の拡がりに対して基本的に平行であるように構成されている。
【0066】
図9乃至図11から最も良く分かるように、支持バー64は、歯状先端34を覆っている。結果、歯状先端34は、アタッチメントコーム60のマウント状態において、幾らか、ブロック又は不活性化される。一方、支持バー66は、歯状先端32と関連付けられているが、基本的に、平行な態様で歯状先端32からは間隔を空けられている。好ましくは、アタッチメントコーム60は、両側アタッチメントコーム60として構成されている。これは、アタッチメントコーム60が刃のセット22に対して反対方向にも取り付けられ得ることを含み得る。結果、反対方向にマウントされた状態において、支持バー66は、歯状先端32と関連付けられるとともに覆われる。ここで、支持バー64は、歯状先端34と関連付けられるとともに、基本的に平行な態様で、歯状先端34から間隔を空けて配置される。
【0067】
図3乃至図11に図示される例示的な実施形態では、支持バー64,66及び側部グリップバー68,70によって規定されるような支持フレーム62は、閉環境支持フレーム62として構成されている。しかしながら、少なくとも幾つかの実施形態では、支持フレーム62は、例えば、支持バー66が、省かれている、又は、例えば、遮断されているなど、開放プロファイル又はフレームとして構成されてもよい。しかしながら、支持バー64と支持バー66との両方が、側部グリップバー68と側部グリップバー70とを接続していることが好ましい。これは、ユーザによって側部グリップバー68,70にそれぞれ付与され得る押す力が、アタッチメントコーム60を著しく変形させず、結果、刃のセット22を付勢しない点で好適であろう。一般的にユーザによって側部グリップバー68,70に付与され得る押す力の主な方向が、図6において、基本的に横方向Yに平行である矢印96で示されている。
【0068】
好ましくは、第1の側部グリップバー68と第2の側部グリップバー70とは、ユーザに、アタッチメントコーム60を把持し、係合させるように促す各表示を備えている。一般的に、ユーザ自身は、先端32,34への負荷を誘引し得る(横方向に延在する)支持バー64,66への接触を回避するため、アタッチメントコーム60の側部グリップバー68,70に触れようとする。これは、主に、支持バー64,66への押す力の付与が、刃のセット22の歯状先端32,34への過度の付勢力を引き起こす可能性が高いためである。一例として、側部グリップバー68,70の各々は、意図された力の付与点を示すための各窪み又は凹部を備えていてもよい。
【0069】
アタッチメントコーム60は、支持フレーム62の支持バー64から延在する複数のガイド歯72を更に有する。ガイド歯72は、基本的に、固定刃24の歯38に対して、規定されたパターン又はシリーズで配向されている。ガイド歯72は、基本的に、長手方向Xにおいて、より一般的には、長手方向Xと垂直方向Zとによって規定される平面において、延在している。ヘアカッティング器具10が動作中である場合にマウント状態において一般的に肌と接触するアタッチメントコーム60の上側又は前側において、ガイド歯72は、図5乃至図10に表されるように、肌接触面74を協働して規定する。
【0070】
一方、図5から分かるように、肌接触面74は、基本的に横方向Yと平行である平面を規定し得る。一方、肌接触面74は、長手方向Xに対して角度αで配置され得る。結果、肌接触面74は、アタッチメントコーム60の傾斜した長手方向Xを規定し得る。換言すれば、肌接触面74、及び、刃のセット22の上面又は前面36は、マウントされた状態で、角度αで配置される。後端又は後方側において、ガイド歯72は、マウントされた状態で上面36と接触する受けシート76を規定する。換言すれば、肌接触面74及び受けシート76も角度αで配置されている。
【0071】
アタッチメントコーム60を刃のセット22に取り付けるため、特に、刃のセット22の比較的硬い補強された側端部に取り付けるため、複数のスナップ式素子78,80が、アタッチメントコーム60に設けられている。一般的に、スナップ式素子78,80は、スナップ式マウント素子と称され得る。特に、各組、好ましくは、近位スナップ式素子78と遠位スナップ式素子80との2つの組が設けられ得る。スナップ式素子78,80の第1の組は、第1の側部グリップバー68と関連付けられていてもよい。また、スナップ式素子78,80の第2の組は、第2の側部グリップバー70と関連付けられていてもよい。しかしながら、好ましくは、スナップ式素子78,80は、各側部グリップバー68,70に直接取り付けられていない。むしろ、近位スナップ式素子78は、アタッチメントコーム60の第1の、近位側84に配置され、(近位)支持バー66から延在していてもよい。また、遠位スナップ式素子80は、アタッチメントコーム60の第2の、遠位側86に配置され、(遠位)支持バー64から延在していてもよい。
【0072】
規定の一般的なマウント方向(及び、取り外し方向)が、双方向矢印82によって、図5に示されている。好ましくは、ユーザは、側部グリップバー68,70において、アタッチメントコーム60を握り、一般的に、図5に示されるような態様でアタッチメントコーム60を位置付けるとともに、方向付けて、最終的には、マウント方向82において、刃のセット22に近づく。これは、ユーザが、スナップ式素子78,80を直接作動させる必要がない点で好適である。むしろ、スナップ式素子78,80は、アタッチメントコーム60が刃のセット22に接触し、係合する場合に、間接的に、作動されるとともに偏向される。
【0073】
スナップ式素子78,80を示す図7乃至図11により、更なる説明がなされる。刃のセット22とアタッチメントコーム60との係合を促進するため、近位スナップ式素子78が、挿入斜面88を備え、遠位スナップ式素子80が、挿入斜面90を備えている。挿入斜面88,90は、マウントプロセスを促進するテーパ型の漏斗形状を規定している。近位スナップ式素子78の斜面88と隣接して、保持部92が設けられている。また、遠位スナップ式素子80の斜面90と隣接して、保持部94が設けられている。図10から最も良く分かるように、保持部92,94は、スナップ式素子78,80から内側へ突出しており、ボトルネック又はくびれを規定していてもよい。
【0074】
マウントされた状態において、図9乃至図11に図示されるように、保持部92,94は、アタッチメントコーム60を、刃のセット22において、所望の位置及び向きで保持及び固定してもよい。スナップ式素子78,80のマウント方向に付与され得る付勢力は、基本的に、刃のセット22に対して、長手方向Xに作用する。これとは別に、ユーザによって側部グリップバー68,70に付与される押す力が、図6の矢印96で表されるように、横方向Yに付与される場合であっても、刃のセット22に対して、横方向Yに、何の付勢力も、又は、極めて僅かな付勢力しか作用しないことが望ましい。
【0075】
再び、図5により、説明がなされる。図5の実施形態によれば、近位スナップ式素子78が、アタッチメントコーム60の側端歯を形成し得る各マウント歯98において形成されていてもよい。所望の偏向特性を有するスナップ式素子78を供給するため、マウント歯98は、阻害され、又は、より一般的には、落込凹部100を備えていてもよい。これとは別に、マウント歯98は、肌接触面74及び/又は受けシート76の形成に寄与し得る。マウント歯98の後部が、図5において、参照符号112で示されている。後部112は、遠位支持バー64から延在している。マウント歯98の後部112は、極めて堅く、剛性を有する。一方、マウント歯98の前部を形成する近位スナップ式素子78は、極めて偏向し易い態様で構成されている。マウント歯98における近位スナップ式素子78と後部112との間の凹部又は阻害が、図5及び図7において、参照符号100で示されている。図5から分かるように、ガイド歯72ひいてはマウント歯98は、肌に接触するように構成された丸みを帯びた先端102を備えていてもよい。
【0076】
図6の底面図から分かるように、また、図7の底面斜視図から分かるように、側部ガイドリップ104が、側部グリップバー68,70から内側へ延在していてもよい。好ましくは、側部ガイドリップ104は、単に、刃のセット22に対するマウントされた状態におけるアタッチメントコーム60の横方向の位置を規定している。しかしながら、側部ガイドリップ104は、刃のセット22に対して横方向Yに力を付与するように構成された、係合構造、ロック構造、又は、付勢構造を備えていない。ユーザの押す力(図6の参照符号96)が極めて大きいレベルであっても、横方向Yにおいて、刃のセット22に直接影響しない、又は、直接付勢しないように、側部ガイドリップが、マウントされた状態において、刃のセット22の側端から十分に間隔を空けられている、又は、十分なオフセットを有することが好ましい。
【0077】
図7及び図8から最も良く分かるように、遠位スナップ式素子80は、遠位支持バー64において設けられる凹部又はスロット106に配置されている。結果、遠位スナップ式素子80は、反対側の近位スナップ式素子78と協働して、刃のセット22と係合し、刃のセット22を保持するため、十分に偏向し得る。
【0078】
更なる説明が、図8乃至図10によりなされる。近位スナップ式素子78の係合による偏向が、図10において、参照符号114を付された湾曲双方向矢印によって示されている。また、遠位スナップ式素子80の係合による偏向が、図10において、参照符号116を付された湾曲双方向矢印によって示されている。さらに分かることは、近位スナップ式素子78が、遠位スナップ式素子80が遠位支持バー64に取り付けられる上側又は前側とは反対側の、長手方向Xと横方向Yとによって規定される平面の(肌から離れた方向にある)底側において、近位支持バー66に取り付けられていることである。換言すれば、スナップ式素子78,80の各偏向領域又はヒンジ部118,120は、上述の平面X−Yに対して反対側に配置されていてもよい。
【0079】
ヒンジ部118は、近位スナップ式素子78と近位支持バー66との間の移行部によって形成され得る。また、ヒンジ部120は、遠位スナップ式素子80と遠位支持バー64との間の移行部に配置され得る。ヒンジ部118,120は、偏向領域と称され得る。言うまでもないが、ヒンジ部118,120は、必ずしも、スナップ式素子78,80と支持バー64,66との間の各移行部において明確に形成及び形作られている必要はない。むしろ、スナップ式素子78,80の、又は、より具体的には、アタッチメントコーム60の原料であるプラスチック材料の本来の柔軟性が、必要とされる偏向機能を可能にしてもよい。
【0080】
また、言うまでもないが、アタッチメントコーム60は、ヘアカッティング器具10の刃のセット22に対して、反対方向及び繰り返して、取り付けられてもよいし、取り外されてもよい。このため、反対方向にマウントされた状態では、近位スナップ式素子78は、第2の先端34と係合してもよく、また、遠位スナップ式素子80は、第1の先端32と係合してもよい。
【0081】
本発明が、図面及び上記記述において詳細に図示及び説明されてきたが、かかる図示及び説明は、例示であって、限定するものではないと考えられるべきであり、即ち、本発明は、開示の実施形態に限定されない。開示の実施形態に対する他の変形が、本発明を実施する際、当該技術分野における当業者によって、図面、開示、及び、添付の請求項の研究から、理解及び実施され得る。
【0082】
請求項において、「有する」なる用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形は、複数あることを除外しない。単一の要素又は他のユニットが、請求項に記載の幾つかの項目の機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項において言及されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、好適に使用されないということを示すものではない。
【0083】
請求項中の任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
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図4
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図7
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図9
図10
図11