特許第6188961号(P6188961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6188961
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】ハイブリッドチェーンタイミングベルト
(51)【国際特許分類】
   F16G 13/06 20060101AFI20170821BHJP
   F16G 13/02 20060101ALI20170821BHJP
   F16H 7/18 20060101ALI20170821BHJP
   F16G 1/28 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   F16G13/06 C
   F16G13/02 G
   F16G13/06 A
   F16G13/06 E
   F16H7/18 B
   F16G1/28 B
   F16G1/28 J
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-549397(P2016-549397)
(86)(22)【出願日】2015年2月5日
(65)【公表番号】特表2017-505414(P2017-505414A)
(43)【公表日】2017年2月16日
(86)【国際出願番号】US2015014536
(87)【国際公開番号】WO2015120105
(87)【国際公開日】20150813
【審査請求日】2016年7月29日
(31)【優先権主張番号】61/936,567
(32)【優先日】2014年2月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/101,140
(32)【優先日】2015年1月8日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・イー・ジャンカー
(72)【発明者】
【氏名】ディーン・アール・ルッソ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・エル・アクラー
【審査官】 瀬川 裕
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−123243(JP,U)
【文献】 特開2002−349637(JP,A)
【文献】 実開昭59−127946(JP,U)
【文献】 特表2012−522953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16G 13/06
F16G 1/28
F16G 13/02
F16H 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプロケットの歯に係合するハイブリッドチェーンベルトであって、
上面、第1側面、第2側面、底面、及び前記上面又は前記底面の少なくとも一方から延びる複数の歯を有する歯付きベルトと、
複数のプレート対と、
複数のピンとを備え、
前記各プレート対は、前記歯付きベルトの前記第1側面上のプレートと前記第2側面上のプレートとからなり、前記各プレートは、少なくとも1つの開口を有し、
前記各ピンは、前記歯付きベルトの前記第1側面上のプレートの前記開口、前記歯付きベルト、前記歯付きベルトの前記第2側面、及び前記歯付きベルトの前記第2側面上のプレートの前記開口を通じて延び、
前記複数のプレートがガイド又はテンショナアームの摺動面に係合するように、前記複数のプレートの高さは、前記歯付きベルトの歯の高さより高いハイブリッドチェーンベルト。
【請求項2】
前記各ピンは、前記各プレート対に固定して取り付けられる請求項1に記載のハイブリッドチェーンベルト。
【請求項3】
前記各ピンの端部に取り付けられるリベットをさらに備える請求項1に記載のハイブリ
ッドチェーンベルト。
【請求項4】
前記各ピンは、非円形である請求項1に記載のハイブリッドチェーンベルト。
【請求項5】
前記歯付きベルトは、前記上面及び前記底面の双方に歯を有する請求項1に記載のハイブリッドチェーンベルト。
【請求項6】
前記複数の歯の各歯は、キー溝を有し、前記ピンは、前記キー溝を通じて延びる請求項1に記載のハイブリッドチェーンベルト。
【請求項7】
前記各プレートは、2つの開口を有し、2つの歯を通じて延びる2つのピンを渡す請求項1に記載のハイブリッドチェーンベルト。
【請求項8】
スプロケットの歯に係合するハイブリッドチェーンベルトであって、
上面、第1側面、第2側面、底面、及び前記上面又は前記底面の少なくとも一方から延びる複数の歯を有する歯付きベルトと、
複数の内側リンク対と、
複数の外側リンク対と、
複数のピンとを備え、
前記各内側リンク対は、前記歯付きベルトの前記第1側面上の内側リンクと前記第2側面上の内側リンクとからなり、前記各内側リンクは、一対の開口を有し、
前記各外側リンク対は、前記歯付きベルトの前記第1側面上の2つの隣接する内側リンクから外側に設けられた外側リンクと前記第2側面上の2つの隣接する内側リンクから外側に設けられた外側リンクとからなり、前記各外側リンクは、一対の開口を有し、前記開口対の各開口は、前記2つの隣接する内側リンクの一方の開口と配列され、
前記各ピンは、前記歯付きベルトの前記第1側面上の外側リンク及び内側リンクの前記開口、前記歯付きベルトの歯、前記歯付きベルトの前記第2側面、及び前記歯付きベルトの前記第2側面上の内側リンク及び外側リンクの前記開口を通じて延びることにより、前記外側リンク及び前記内側リンクがチェーンを形成するようにし、
前記歯付きベルトの歯の高さは、前記内側リンク及び前記外側リンクの高さより高いことにより、前記歯付きベルトの歯がガイド又はテンショナアームの摺動面に係合するようにするハイブリッドチェーンベルト。
【請求項9】
前記歯付きベルトは、前記上面及び前記底面の双方に歯を有する請求項8に記載のハイブリッドチェーンベルト。
【請求項10】
前記複数の歯の各歯は、キー溝を有し、前記ピンは、前記キー溝を通じて延びる請求項8に記載のハイブリッドチェーンベルト。
【請求項11】
スプロケットの歯に係合するハイブリッドチェーンベルトであって、
上面、第1側面、第2側面、底面、及び前記上面又は前記底面の少なくとも一方から延びる複数の歯を有する歯付きベルトと、
複数の内側リンク対と、
複数の外側リンク対と、
複数のピンとを備え、
前記各内側リンク対は、前記歯付きベルトの前記第1側面上の内側リンクと前記第2側面上の内側リンクとからなり、前記各内側リンクは、一対の開口を有し、
前記各外側リンク対は、前記歯付きベルトの前記第1側面上の2つの隣接する内側リンクから外側に設けられた外側リンクと前記第2側面上の2つの隣接する内側リンクから外側に設けられた外側リンクとからなり、前記各外側リンクは、一対の開口を有し、前記開口対の各開口は、前記2つの隣接する内側リンクの一方の開口と配列され、
前記各ピンは、前記歯付きベルトの前記第1側面上の外側リンク及び内側リンクの前記開口、前記歯付きベルトの歯、前記歯付きベルトの前記第2側面、及び前記歯付きベルトの前記第2側面上の内側リンク及び外側リンクの前記開口を通じて延びることにより、前記外側リンク及び前記内側リンクがチェーンを形成するようにし、
前記複数の内側リンク及び前記複数の外側リンクの高さは、前記歯付きベルトの歯の高さより高く、前記内側リンク及び前記外側リンクがガイド又はテンショナアームの摺動面に係合するようにするハイブリッドチェーンベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイミングベルト及びチェーン分野に関する。本発明は、特に、タイミングベルト及びタイミングチェーンの組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
タイミングベルト又はチェーンは、内燃機関のクランクシャフト及びカムシャフトの回転に同期することにより、シリンダーの各吸気及び排気ストローク中、適正なタイミングにエンジンバルブが開閉するようにする。
【0003】
通常、タイミングベルトの動作は静かで効率的であると考えられる。また、オイルの汚染に敏感であることも知られている。通常のベルトシステムには、ベルトの経路を案内して張力を付与するため、プーリ及び軸受を利用した張力システムが設けられる。これらの構成要素は、十分機能するが、重く、コストが高く、システムに寄生損失を与えるという不都合がある。ベルトに対しては、この幅が追加のパッケージスペースを必要とするとともに、非常に急激な失敗モードがベルトの故障を招くという不都合がある。
【0004】
タイミングチェーンは、強度が高く、長期に亘る耐久性を有することが知られているものの、ユーザにとって不利益となる機械騒音を生じるタイミングチェーンもある。最近の車両用チェーンタイミングシステムに通常使用される張力システムは、軽量プラスチックアームと、オイルフィルム上のプラスチック表面をチェーンが移動するガイドとの使用を伴い、対応の寄生損失が非常に低い超低摩擦界面を生じる結果となった。また直接燃料注入及びターボ過給等の最近のエンジン技術に伴い、エンジンオイルが、汚染により、チェーンに対してさらに攻撃を加えるようになってきた。これにより、チェーンの摩耗耐久性に関する問題が生じてきた。
【0005】
歴史的に、ベルト構造物で使用される材料がモータオイルと相性が悪いため、タイミングベルトにタイミングチェーン張力システムを使用することはできなかった。最近のベルト材料技術の進歩により、ちょうどエンジンタイミングチェーンのように、モータオイルの環境下でベルトを走行させることができるようになっている。チェーンに使用されるアーム及びガイドの表面上でフラットバックベルトを走行させる試みも行われたが、ベルトの表面積が広いため、過剰な寄生損失を生じる結果となった。
【0006】
チェーン及びベルトの組み合わせ使用を試みたチェーン及びベルトがあった。例えば、英国特許出願GB第196294号は、外側リンクプレートと、内側リンクプレートと、スリーブと、皮ひも又はベルトひもとを備えたベルトを開示している。内側リンクプレートは、ベルトひもを包囲する硬質スリーブによって互いに接続される。皮ひもは、外側リンクプレート及び内側リンクプレートより高く、プーリが皮ひもによってのみ係合されるようにする。外側リンクプレートは、リベットによって互いに接続され、スリーブ及びリベットがチェーンのリンクを形成するようにする。スリーブ及びリベットは、引張りひずみ及び曲げひずみの双方を受け入れる。
【0007】
米国特許第2,645,132号は、Vベルトの上部のいずれか一方にワイヤチェーンリンクを備え、ワイヤチェーンリンクの接続バーがVベルトの上部の孔部を通過するVベルトを開示している。
【0008】
ドイツ国特許DE第3347957C2号は、ピンで接続された剛性歯を備える二重鎖ベルトを開示している。ピン及び突起が二重鎖ベルトの中央を通過する。
【0009】
その他の組み合わせの大部分が、ベルトの内側にチェーンを備えたものを提示している。例えば、米国特許第2,113,790号は、チェーンの外側に設けられた2つの可撓性駆動ベルトを有するチェーンを開示している。米国特許第2,555,190号は、Vベルトを補強するため、ベルトの内側にワイヤチェーンを備えたVベルトを開示している。米国特許第2,224,068号は、いずれかの側でVベルトに包囲されたチェーンを開示している。スウェーデン国出願SE第113793号は、ローラチェーンの核部を有するゴム本体を備えたベルトを開示している。
【発明の概要】
【0010】
一実施形態において、ハイブリッドチェーンベルトは、歯付きゴムベルトと、交互に配置又は組み付けられた複数の内側チェーンリンクセット及び歯付きベルトの側面に搭載された内側リンクに直接隣接して交互に配置された複数の外側又は外部リンクを備えるチェーン対とを備える。内側リンク及び外側リンクは各々、リンクの開口を通過する少なくとも1つのピンを受容するため、離間した一対の開口を有する。ピンは、ゴムベルトの歯を通じて延びる。
【0011】
代替の実施形態において、ハイブリッドチェーンベルトは、歯付きゴムベルトと、歯付きベルトの側面に直接隣接した外側リンクとを備える。各外側リンクは、リンクの開口を通過する少なくとも1つのピンを受容するため、離間した一対の開口を有する。ピンは、ゴムベルトの歯を通じて延びる。外側リンクの高さは、歯付きゴムベルトの高さより高く、外側リンクがガイド又はテンショナアームの摺動面上を摺動するように歯付きベルトを上昇させる。
【0012】
他の実施形態において、ハイブリッドチェーンベルトは、歯付きゴムベルトと、歯付きベルトの側面に直接隣接した外側プレートとを備える。外側プレートは、歯付きゴムベルトの各歯に対して設けられることが好ましい。各外側プレートは、プレートの開口を通過する少なくとも1つのピンを受容するため、単一の開口を有する。ピンは、ゴムベルトの歯を通じて延びる。外側プレートの高さは、歯付きゴムベルトの高さより高く、外側プレートがガイド又はテンショナアームの摺動面上を摺動するように歯付きベルトを上昇させる。
【0013】
他の実施形態において、ハイブリッドチェーンベルトは、両面歯付きゴムベルトと、歯付きベルトの側面に直接隣接した外側プレートとを備える。外側プレートは、両面歯付きゴムベルトの一方側から延びる各歯に対して設けられることが好ましい。各外側プレートは、プレートの開口を通過する少なくとも1つのピンを受容するため、単一の開口を有する。ピンは、ゴムベルトの歯を通じて延びる。外側プレートの高さは、歯付きゴムベルトの高さより高く、外側プレートがガイド又はテンショナアームの摺動面上を摺動するように歯付きベルトを上昇させる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、内燃機関のタイミング駆動に使用される、第1実施形態に係るハイブリッドタイミングチェーンベルトの概略図である。
図2図2は、歯付きスプロケットに係合するハイブリッドチェーンベルトの概略図である。
図3図3は、ハイブリッドチェーンベルトの上面図である。
図4図4は、図3の線4−4に沿った断面図である。
図5図5は、図3の線5−5に沿った断面図であり、リンクがテンショナアーム又はガイドの摺動面に係合している様子を示す。
図6図6は、ハイブリッドチェーンベルトの断面図であり、ベルトがテンショナアーム又はガイドの摺動面に係合している様子を示す。
図7図7は、テンショナアーム又はガイドの摺動面に係合する、第2実施形態に係るハイブリッドチェーンベルトの図である。
図8図8は、テンショナアーム又はガイドの摺動面に係合するハイブリッドチェーンベルトの側面図である。
図9図9は、テンショナアーム又はガイドの摺動面に係合するハイブリッドチェーンベルトの拡大側面図である。
図10図10は、図8の線10−10に沿った断面図であり、ハイブリッドチェーンベルトがテンショナアーム又はガイドの摺動面に係合している様子を示す。
図11図11は、リベットの取り外された、第2実施形態に係るハイブリッドチェーンベルトの上面図である。
図12図12は、リベットの取り外された、第2実施形態に係るハイブリッドチェーンベルトの底面図である。
図13図13は、テンショナアーム又はガイドの摺動面に係合する、第2実施形態に係るハイブリッドチェーンベルトの図である。
図14図14は、テンショナアーム又はガイドの摺動面に係合するハイブリッドチェーンベルトの側面図である。
図15図15は、テンショナアーム又はガイドの摺動面に係合するハイブリッドチェーンベルトの拡大側面図である。
図16図16は、図14の線16−16に沿った断面図であり、ハイブリッドチェーンベルトがテンショナアーム又はガイドの摺動面に係合している様子を示す。
図17図17は、リベットの取り外された、第3実施形態に係るハイブリッドチェーンベルトの上面図である。
図18図18は、リベットの取り外された、第3実施形態に係るハイブリッドチェーンベルトの底面図である。
図19図19は、テンショナアーム又はガイドの摺動面に係合する、第4実施形態に係るハイブリッドチェーンベルトの側面図である。
図20図20は、第4実施形態に係るハイブリッドチェーンベルトの上面図である。
図21図21は、第4実施形態に係るハイブリッドチェーンベルトの図19の線21−21に沿った断面図である。
図22図22は、第4実施形態に係るハイブリッドチェーンベルトの図20の線22−22に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び図3〜6は、内燃機関のタイミング駆動において使用される、本発明の第1実施形態に係るハイブリッドタイミングチェーンベルトを示している。図2は、歯付きスプロケットに係合する、第1実施形態に係るハイブリッドタイミングチェーンベルトを示している。
【0016】
ハイブリッドタイミングチェーンベルト10は、歯付きベルト6を備える。歯付きベルト6は、補強コード(図示せず)を収容し、モータオイルと相性の良いゴム、エラストマー、又はその他の材料からなることが好ましい。歯付きベルト6は、上面6aと、歯7の延びる底面6bと、2つの同一の側面6cとを有する。歯7が、歯付きベルト6の底面6bから延びる。少なくとも1つのピン8が、歯付きベルト6の各歯7内に設けられる。ピン8は、歯付きベルト6の製造中にオーバーモールドされるか、又はその他の技術を使用して歯付きベルト6の歯7に挿入されてもよい。ピン8は、刻み付きパターン、クロス穿孔された孔部、又はその他の保持手段を使用して歯付きベルト6の歯7内に保持されてもよい。ピン8のみを図示しているが、歯付きベルト6の歯7内に異なる形状及び大きさの複数のピンが使用されてもよいことに留意しなければならない。
【0017】
交互に配置又は組み付けられた複数の内側チェーンリンク4のセットと、内側リンク4に直接隣接して交互に配置された複数の外側すなわち外部リンク2とを備えたチェーン対が、歯付きベルト6の側面6cに搭載される。内側リンク4及び外側リンク2は各々、リンクの開口5を通過する少なくとも1つのピン8を受容するため、離間した一対の開口5を有する。外側リンクのピン開口5は、内側リンク4のピン開口5に配列され、少なくとも1つのピン8を受容する。ピン8は、外側リンク2に固定して取り付けられる。
【0018】
ピン8は、図4に示すとおり、歯付きベルト6の第1側面6c上の内側リンク4及び外側リンク2の開口5、歯付きベルト6、歯付きベルト6の第2側面6c、外側及び内側リンク2、4の開口5、第2側面6cを通じて延びる。歯付きベルト6にチェーンリンク2、4及びピン8を追加することにより、引張強度を増し、歯付きベルト6の耐久性を向上する。
【0019】
チェーンベルト10は、歯付きベルト6の歯7がスプロケットのスプロケット歯22に係合するようにして、スプロケット20の周囲に接合される。タイミング駆動負荷が非常に高くなった時、又は歯付きベルト6の補強コードの強度が低下し始めた時を除き、チェーンベルト10の歯付きベルト6によってタイミング駆動負荷が支持される。内側チェーンリンク4及び外側チェーンリンク2は、タイミング駆動負荷が高くなった時、更なる引張負荷容量を付与する。内側リンク及び外側リンクはスプロケット歯22に係合しないことに留意しなければならない。
【0020】
チェーンリンクは、金属製であることが好ましい。
【0021】
従来既知のとおり、1つ以上のガイド又はテンショナ24により、ハイブリッドチェーンベルトを支持又は案内することができる。図5において、リンク2、4の背面高さは、歯付きベルト6上の歯7の長さより僅かに高く、ガイド面26上にリンク2、4が乗り上げるようにする。いくつかの適用例において、図6に示すとおり、ベルトをガイド面に接触させることが好ましく、この場合、リンク2、4の背面高さがより低く、ベルト6の歯7がリンク2、4の代わりにガイド又はテンショナ24のガイド面26に接触するようにする。
【0022】
図7〜12は、テンショナアーム又はガイドの摺動面に係合する、第2実施形態のハイブリッドチェーンベルトを示している。
【0023】
ハイブリッドチェーンベルト60は、歯付きベルト56を備える。歯付きベルト56は、補強コード(図示せず)を収容し、モータオイルと相性の良いゴム、エラストマー、又はその他の材料からなることが好ましい。歯付きベルト56は、歯57を備えた上面56aと、底面56bと、2つの同一の側面56cとを有する。歯57が、歯付きベルト56の底面56bから延びる。少なくとも1つのピン58が、歯付きベルト56の各歯57内に設けられる。ピン58は、歯付きベルト56の製造中にオーバーモールドされるか、又はその他の技術を使用して歯付きベルト56の歯57に挿入されてもよい。ピン58は、歯57に設けられたキー溝にも挿入されてよい。ピン58は、刻み付きパターン、クロス穿孔された孔部、又はその他の保持手段を使用して歯付きベルト56の歯57内に保持されてもよい。ピン58を1つのみ図示しているが、歯付きベルト56の歯57内に異なる形状及び大きさの複数のピンが使用されてもよいことに留意しなければならない。
【0024】
外側又は外部リンク52は、ベルト56の側面56cに搭載される。各外側リンク52は、リンクの開口55を通過する少なくとも1つのピン58を受容するために、離間した一対の開口55を有する。外側リンク52は、少なくとも2つのピン58をともに接続する。ピン58は、外側リンク52に固定して取り付けられる。リベット59が、ピン58の少なくとも一端に設けられてもよく、四角形状を有することが好ましい。ピン58は、円形でないことが好ましく、例えば四角形であってもよい。ピン58及び開口55は、少なくとも1つのピン58が開口55に嵌合するものの、ベルトの接合に際して自在に回転し、摩擦量を少なくするような形状を有することが好ましい。
【0025】
ピン58は、歯付きベルト56の第1側面56c上の外側リンク52の開口55、歯付きベルト56、歯付きベルト56の第2側面56c、第2側面56c上の外側リンク52の開口55を通じて延びる。
【0026】
図7〜10を参照すると、リンクの高さHは、歯付きベルト56の高さより高く、ハイブリッドチェーンベルト60の外側リンク52がガイド又はテンショナアーム70の摺動面72から歯付きベルト56を上昇させ、歯付きベルト56とガイド又はテンショナアーム70の摺動面72との接触を防ぐ。ガイド又はテンショナアーム70の摺動面72から歯付きベルト56を上昇させることにより、ハイブリッドチェーンベルト60をガイド又はテンショナアーム70の摺動面72と低摩擦係合させる。
【0027】
歯付きベルト56に外側リンク52及びピン58を追加することにより、引張強度を増し、歯付きベルト56の耐久性を向上する。チェーンリンク52はまた、ガイド又はテンショナアーム70の上方に歯付きベルト56を上昇させることにより、ともにプラスチックからなる歯付きベルト56とガイド又はテンショナアーム70の摺動面72との接触を防ぎ、ベルトをスプロケットの低摩擦係合及び包装と組み合わせてチェーンの張力システムの摩擦を低減する。
【0028】
外側リンク52は、金属製であることが好ましい。
【0029】
図13〜18は、テンショナアーム又はガイドの摺動面と係合する、第3実施形態に係るハイブリッドチェーンベルトを示す。第3実施形態に係るハイブリッドチェーンベルトは、各外側プレートが歯付きベルトの各歯に対してピン及び外側プレートを受容する単一の開口を有することにより、第2実施形態のように、ピンが外側リンクを通じて接続されないようにする点で第2実施形態及び第1実施形態と異なる。
【0030】
ハイブリッドチェーンベルト100は、歯付きベルト56を備える。歯付きベルト56は、補強コード(図示せず)を収容し、モータオイルと相性の良いゴム、エラストマー、又はその他の材料からなることが好ましい。歯付きベルト56は、歯57を備えた上面56aと、底面56bと、2つの同一の側面56cとを有する。歯57が、歯付きベルト56の底面56bから延びる。少なくとも1つのピン58が、歯付きベルト56の各歯57内に設けられる。ピン58は、歯付きベルト56の製造中にオーバーモールドされるか、又はその他の技術を使用して歯付きベルト56の歯57に挿入されてもよい。ピン58はまた、歯57に設けられたキー溝に挿入されてもよい。ピン58は、刻み付きパターン、クロス穿孔された孔部、又はその他の保持手段を使用して歯付きベルト56の歯57内に保持されてもよい。ピン58を1つのみ図示しているが、歯付きベルト56の歯57内に異なる形状及び大きさの複数のピンが使用されてもよいことに留意しなければならない。
【0031】
外側又は外部プレート82は、ベルト56の側面56cに搭載される。各外側プレート82は、少なくとも1つのピン58を受容するため、単一の開口83を有する。ピンは、ベルト56の第1側面56c上のプレート82の開口83、歯付きベルト56、ベルト56の第2側面56c、及び第2側面56c上のプレート82の開口を通じて延びる。外側プレート82は、歯付きゴムベルト56の各歯57に対して関連のピン58とともに設けられることが好ましい。ピン58は、歯付きベルト56自体を通じてのみ接続される。ピン58は、外側プレート82に固定して取り付けられる。リベット59は、ピン58の少なくとも一端に設けられてもよく、四角形状を有することが好ましい。ピン58は、円形でないことが好ましく、例えば四角形であってもよい。ピン58及び開口83は、少なくとも1つのピン58が開口83内に嵌合するものの、ベルトの接合に際して自在に回転し、摩擦量を少なくするような形状を有することが好ましい。
【0032】
図13〜16を参照すると、プレートの高さHは、歯付きベルト56の高さより高く、ハイブリッドチェーンベルト100の外側プレート82がガイド又はテンショナアーム70の摺動面72から歯付きベルト56を上昇させ、歯付きベルト56とガイド又はテンショナアーム70の摺動面72との接触を防ぐようにする。歯付きベルト56をガイド又はテンショナアーム70の摺動面72から上昇させることにより、ハイブリッドチェーンベルト100とガイド又はテンショナアーム70の摺動面72との係合の摩擦を低減する。
【0033】
図19〜22は、テンショナアーム又はガイドの摺動面に係合する、第4実施形態に係るハイブリッドチェーンベルトを示している。第4実施形態に係るハイブリッドチェーンベルトは、ベルトが上面及び底面の双方に歯を有し、ピンがベルトの一方側のみの歯を貫通している点で第3実施形態に係るハイブリッドチェーンベルトと異なる。
【0034】
ハイブリッドチェーンベルト150は、両面歯付きベルト156を備える。ベルトの背面側の歯の主な目的は、ベルトがベルトの両側に動力を伝達することが可能であるとき、外側プレートに対してピン158を収容することにある。歯付きベルト156は、補強コード(図示せず)を収容し、モータオイルと相性の良いゴム、エラストマー、又はその他の材料からなることが好ましい。歯付きベルト156は、歯160aの各対が谷部161によって離間する、上面に沿った第1歯セット160と、歯157aの各対が谷部162によって離間する、底面から延びた第2歯セット157とを有する。ベルトの側面156aは、同一である。第1歯セット160は、第2歯セット157に対してオフセットされることにより、第1歯セット160の歯160aがベルト156から延び、反対に歯160aが谷部162となるようにする。同様に、第2歯セット157の歯157aは、反対に谷部161となる。これにより、ハイブリッドチェーンベルト150が外側プレート182によって案内されるようにし、ハイブリッドチェーンベルトを含むテンショナシステムにおいて、他の案内特徴部の必要性を潜在的になくすようにする。
【0035】
少なくとも1つのピン158が、歯付きベルト156の第2歯セット157の各歯157aに設けられる。ピン158は、歯付きベルト156の製造中にオーバーモールドされるか、又はその他の技術を使用して歯付きベルト156の第2歯セット157の歯157aに挿入されてもよい。ピン158は、歯157の第2セットの歯157aに設けられたキー溝にも挿入されてよい。ピン158は、刻み付きパターン、クロス穿孔された孔部、又はその他の保持手段を使用して歯付きベルト156の第2歯セット157の歯157a内に保持されてもよい。ピン158を1つのみ図示しているが、歯付きベルト156の第2歯セット157の歯157a内に異なる形状及び大きさの複数のピンが使用されてもよいことに留意しなければならない。
【0036】
外側又は外部プレート182は、ベルト156の側面156aに搭載される。各外側プレート182は、少なくとも1つのピン158を受容するため、単一の開口183を有する。ピンは、ベルト156の第1側面156c上のプレート182の開口183、歯付きベルト156、ベルト56の第2側面156c、及び第2側面156c上のプレート182の開口183を通じて延びる。外側プレート182は、歯付きゴムベルト156の各歯157aに対して関連ピン158とともに設けられることが好ましい。ピン158は、歯付きベルト156自体を通じてのみ接続される。ピン158は、外側プレート182に固定して取り付けられる。リベットは、ピン158の少なくとも一端に設けられてもよく、四角形状を有することが好ましい。ピン158は、円形でないことが好ましく、例えば四角形であってもよい。ピン158及び開口183は、少なくとも1つのピン158が開口183内に嵌合するものの、ベルトの接合に際して自在に回転し、摩擦量を少なくするような形状を有することが好ましい。
【0037】
図19を参照すると、プレート182の高さHは、歯付きベルト156の歯157、160の高さh1、h2より高く、ハイブリッドチェーンベルト150の外側プレート182がガイド又はテンショナアーム70の摺動面72から歯付きベルト156を上昇させ、歯付きベルト156とガイド又はテンショナアーム70の摺動面72との接触を防ぐようにする。歯付きベルト156をガイド又はテンショナアーム70の摺動面72から上昇させることにより、ハイブリッドチェーンベルト156とガイド又はテンショナアーム70の摺動面72との係合の摩擦を低減する。外側プレート182は、金属製であることが好ましい。
【0038】
歯付きベルト156に外側プレート182及びピン158を追加することにより、第3及び第4実施形態に係るハイブリッドチェーンベルトを得ることができ、これはベルトシステムより軽量で、スプロケットとの係合中、自由鎖ベルトの振動を低減する利点を有し、騒音・振動・ハーシュネス(NVH)を低減する。またベルトの張力を低下させることにより、システムの効率を向上し、ベルトの係合効率を維持し、ガイドがハイブリッドチェーンベルトに内蔵されることにより、ベルトプーリからガイドをなくし、パッケージサイズを縮小する。さらにベルトの張力が低くなることにより、ベルトの耐久性を増し、且つ/又は、ベルトの幅を低減する。
【0039】
図19〜22において使用される「底面」という用語は、テンショナアーム又はガイドの摺動面72に最も近いベルト156の側面をいうことにも留意しなければならない。
【0040】
従って本明細書に記載の本発明の実施形態は、本発明の原則の適用を例示することのみを目的としていることが理解されなければならない。本明細書において、例示の実施形態の詳細を参照したが、クレームの範囲を限定することを意図するものでなく、クレーム自体が本発明に必須とみなされる特徴を列挙するものである。
図1
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