特許第6188965号(P6188965)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6188965
(24)【登録日】2017年8月10日
(45)【発行日】2017年8月30日
(54)【発明の名称】痒み緩和シート
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20170821BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20170821BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20170821BHJP
   A61F 7/02 20060101ALI20170821BHJP
【FI】
   A61K45/00
   A61K9/70 401
   A61K9/70 405
   A61P17/04
   A61F7/02 A
【請求項の数】25
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-553615(P2016-553615)
(86)(22)【出願日】2016年8月22日
(86)【国際出願番号】JP2016074356
【審査請求日】2016年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】314000800
【氏名又は名称】株式会社無有
(74)【代理人】
【識別番号】100148518
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
【審査官】 井関 めぐみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−021309(JP,A)
【文献】 特開2005−237571(JP,A)
【文献】 実開昭59−051026(JP,U)
【文献】 特開2004−008262(JP,A)
【文献】 特開2000−143503(JP,A)
【文献】 特開昭59−189845(JP,A)
【文献】 実開昭56−023632(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 45/00
A61F 7/02
A61K 9/70
A61P 17/04
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
痒みが生じた患部を覆う痒み緩和シートであって、
前記痒みを抑える薬剤が含浸される浸透性層と、
前記浸透性層上に設けられ、前記薬剤の浸透を防ぐ非浸透性層と、
前記非浸透性層上に設けられ、冷感作用を有する冷感層と、を備え、
前記非浸透性層は、通気性を有するフィルムからなり、
当該痒み緩和シートは、前記患部に前記浸透性層が接触するように、当該患部を覆うことを特徴とする痒み緩和シート。
【請求項2】
請求項1に記載の痒み緩和シートにおいて、
前記浸透性層は、肌に対して粘着性を有しない痒み緩和シート。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の痒み緩和シートにおいて、
前記浸透性層には、前記薬剤が予め含浸されている痒み緩和シート。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の痒み緩和シートにおいて、
前記浸透性層の下面上には、当該浸透性層から剥離可能な第1の保護層が設けられており、
前記第1の保護層は、当該痒み緩和シートの使用前に前記浸透性層から剥離される痒み緩和シート。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の痒み緩和シートにおいて、
前記浸透性層は、脱脂綿又は不織布からなる痒み緩和シート。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の痒み緩和シートにおいて、
前記非浸透性層は、平面視で、前記浸透性層よりも大きい痒み緩和シート。
【請求項7】
請求項6に記載の痒み緩和シートにおいて、
平面視で、前記非浸透性層の周囲全体が、前記浸透性層から食み出している痒み緩和シート。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の痒み緩和シートにおいて、
前記フィルムの厚みは、0.25mm未満である痒み緩和シート。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の痒み緩和シートにおいて、
前記フィルムには、孔が形成されている痒み緩和シート。
【請求項10】
請求項に記載の痒み緩和シートにおいて、
前記フィルムには、複数の前記孔が形成されている痒み緩和シート。
【請求項11】
請求項10に記載の痒み緩和シートにおいて、
前記複数の孔は、前記フィルムの略全面にわたって形成されている痒み緩和シート。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れかに記載の痒み緩和シートにおいて、
前記冷感層は、平面視で、前記浸透性層及び前記非浸透性層の何れよりも大きい痒み緩和シート。
【請求項13】
請求項12に記載の痒み緩和シートにおいて、
平面視で、前記冷感層の周囲全体が、前記浸透性層及び前記非浸透性層の双方から食み出している痒み緩和シート。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の痒み緩和シートにおいて、
前記冷感層は、前記冷感作用を有する冷感材料を含有しており、
前記冷感材料は、前記冷感層における前記浸透性層と重なる領域である第1の領域にのみ含有されている痒み緩和シート。
【請求項15】
請求項12又は13に記載の痒み緩和シートにおいて、
前記冷感層は、前記冷感作用を有する冷感材料を含有しており、
前記冷感材料は、前記冷感層における前記非浸透性層と重なる領域である第2の領域にのみ含有されている痒み緩和シート。
【請求項16】
請求項12又は13に記載の痒み緩和シートにおいて、
前記冷感層は、前記冷感作用を有する冷感材料を含有しており、
前記冷感材料は、前記冷感層における前記浸透性層及び前記非浸透性層の何れとも重ならない領域である第3の領域にのみ含有されている痒み緩和シート。
【請求項17】
請求項12乃至16の何れかに記載の痒み緩和シートにおいて、
前記冷感層における前記浸透性層及び前記非浸透性層の何れとも重ならない領域である第3の領域は、肌に対して粘着性を有する痒み緩和シート。
【請求項18】
請求項17に記載の痒み緩和シートにおいて、
前記冷感層における前記第3の領域の下面上には、当該冷感層から剥離可能な第2の保護層が設けられており、
前記第2の保護層は、当該痒み緩和シートの使用前に前記冷感層から剥離される痒み緩和シート。
【請求項19】
請求項18に記載の痒み緩和シートにおいて、
前記第2の保護層は、前記非浸透性層と同一の材料からなるとともに、当該非浸透性層と同一の厚みを有している痒み緩和シート。
【請求項20】
請求項19に記載の痒み緩和シートにおいて、
前記非浸透性層及び前記第2の保護層は、1枚のフィルムからなる痒み緩和シート。
【請求項21】
請求項20に記載の痒み緩和シートにおいて、
前記非浸透性層と前記第2の保護層との境界には、切取線が形成されている痒み緩和シート。
【請求項22】
請求項1乃至21の何れかに記載の痒み緩和シートにおいて、
前記冷感層上に設けられ、水分の浸入を防ぐ防水層を備える痒み緩和シート。
【請求項23】
請求項22に記載の痒み緩和シートにおいて、
前記防水層は、平面視で、前記浸透性層、前記非浸透性層及び前記冷却層の何れよりも大きい痒み緩和シート。
【請求項24】
請求項23に記載の痒み緩和シートにおいて、
平面視で、前記防水層の周囲全体が、前記浸透性層、前記非浸透性層及び前記冷却層の全てから食み出している痒み緩和シート。
【請求項25】
請求項24に記載の痒み緩和シートにおいて、
前記防水層における前記浸透性層、前記非浸透性層及び前記冷却層の何れとも重ならない領域は、肌に対して粘着性を有する痒み緩和シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虫刺され等による痒みを緩和するための痒み緩和シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の痒み緩和シートとしては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された痒み緩和シートは、密閉層と、密閉層の肌当接面側に設けられた固定層とを備えている。密閉層は、空気遮断性能を有する素材からなり、虫刺され等による痒みが生じた部位(患部)の周囲を密閉する機能を有する。また、固定層は、粘着性のある素材からなり、当該痒み緩和シートを患部に固定する機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/84611号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の痒み緩和シートを患部に固定することにより、患部が覆われるため、患部を掻くことができなくなる。それにより、患部が悪化するのを防ぎ、痒みを緩和することができる。しかしながら、従来の痒み緩和シートには、痒みの緩和効果の面で向上の余地がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、痒みの緩和効果に優れた痒み緩和シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による痒み緩和シートは、痒みが生じた患部を覆う痒み緩和シートであって、上記痒みを抑える薬剤が含浸される浸透性層と、上記浸透性層上に設けられ、上記薬剤の浸透を防ぐ非浸透性層と、上記非浸透性層上に設けられ、冷感作用を有する冷感層と、を備え、上記患部に上記浸透性層が接触するように、当該患部を覆うことを特徴とする。
【0007】
この痒み緩和シートは、痒みが生じた患部を覆うものである。患部が覆われることにより、患部を掻いて悪化させるのを防ぐことができる。このとき、患部には、痒みを抑える薬剤が含浸される浸透性層が接触する。これにより、長時間にわたって薬剤を患部上に留めておくことができ、患部に対する薬剤の作用を効果的に発揮させることができる。さらに、この痒み緩和シートには、冷感作用を有する冷感層が設けられている。かかる冷感作用により、痒みを感じにくくすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、痒みの緩和効果に優れた痒み緩和シートが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による痒み緩和シートの第1実施形態を示す断面図である。
図2図1の痒み緩和シートを示す平面図である。
図3図1中の非浸透性層20を示す平面図である。
図4図1の痒み緩和シートの使用時の様子を示す模式図である。
図5】本発明による痒み緩和シートの第2実施形態を示す断面図である。
図6図5の痒み緩和シートを示す平面図である。
図7図5の痒み緩和シートの使用時の様子を示す模式図である。
図8】本発明による痒み緩和シートの第3実施形態を示す断面図である。
図9図8の痒み緩和シートを示す平面図である。
図10図8中の非浸透性層20及び保護層60を示す平面図である。
図11図8の痒み緩和シートの使用時の様子を示す模式図である。
図12】本発明による痒み緩和シートの第4実施形態を示す断面図である。
図13図12の痒み緩和シートを示す平面図である。
図14図12の痒み緩和シートの使用時の様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
【0011】
図1は、本発明による痒み緩和シートの第1実施形態を示す断面図である。また、図2は、図1の痒み緩和シートを示す平面図である。痒み緩和シート1は、痒みが生じた患部を覆う痒み緩和シートであって、浸透性層10、非浸透性層20、及び冷感層30を備えている。浸透性層10上に非浸透性層20が設けられ、非浸透性層20上に冷感層30が設けられている。本実施形態において浸透性層10、非浸透性層20及び冷感層30は、平面視で、互いに同一の形状及び大きさを有している。浸透性層10、非浸透性層20及び冷感層30の平面形状は、図2からわかるように、円形である。浸透性層10、非浸透性層20及び冷感層30の各々の大きさ(直径)は、例えば、2〜5cm程度である。痒み緩和シート1は、患部に浸透性層10が接触するように、患部を覆う。
【0012】
浸透性層10は、痒みを抑える薬剤が含浸される層である。浸透性層10には、薬剤が予め含浸されていることが好ましい。浸透性層10に薬剤が予め含浸されていない場合、例えば、痒み緩和シート1の使用前に、ユーザ自身で浸透性層10に薬剤を含浸させればよい。あるいは、薬剤が塗布された患部を痒み緩和シート1で覆うことにより、浸透性層10に薬剤を含浸させてもよい。浸透性層10は、粘着剤を含有しておらず、肌に対して粘着性を有していない。浸透性層10は、例えば、脱脂綿又は不織布からなる。
【0013】
図3は、非浸透性層20を示す平面図である。非浸透性層20は、薬剤の浸透を防ぐ層である。本実施形態において非浸透性層20は、プラスチックフィルム等のフィルムからなる。このフィルムは、通気性を有している。また、フィルム(非浸透性層20)には、複数の孔22が形成されている。これらの孔22は、フィルムの略全面にわたって形成されている。フィルムの厚みは、0.5mm未満であることが好ましく、0.25mm未満であることがより好ましい。非浸透性層20の厚みは、浸透性層10の厚みよりも小さい。
【0014】
図1に戻って、冷感層30は、冷感作用を有する層である。冷感層30は、患部に対して冷感を与えるものである限り、冷却作用(患部の温度を下げる作用)を有していてもよいし、有していなくてもよい。冷感層30は、例えば、含水ゲル又は冷湿布からなる。
【0015】
さらに、痒み緩和シート1は、保護層40(第1の保護層)、及び防水層50を備えている。保護層40は、浸透性層10の下面(肌に対向する面)上に設けられている。保護層40は、平面視で浸透性層10と同一の形状及び大きさを有しており、浸透性層10の下面の全体を覆っている。保護層40は、浸透性層10から剥離可能であり、痒み緩和シート1の使用前に浸透性層10から剥離される。保護層40は、例えば、プラスチックフィルムからなる。
【0016】
防水層50は、冷感層30上に設けられている。防水層50は、水分の浸入を防ぐ層である。防水層50は、平面視で冷感層30と同一の形状及び大きさを有しており、冷感層30の上面(肌と反対側の面)の全体を覆っている。防水層50は、例えば、プラスチックフィルムからなる。
【0017】
痒み緩和シート1を使用するには、図4に示すように、保護層40を剥離した上で、浸透性層10の下面が患部90及びその周辺の肌に接触するようにして、痒み緩和シート1で患部90を覆えばよい。痒み緩和シート1は、例えば、薬剤の粘着力により患部90に固定することができる。あるいは、上から粘着テープを貼ることにより、痒み緩和シート1を患部90に固定してもよい。
【0018】
痒み緩和シート1の効果を説明する。痒み緩和シート1は、痒みが生じた患部を覆うものである。患部が覆われることにより、患部を掻いて悪化させるのを防ぐことができる。このとき、患部には、痒みを抑える薬剤が含浸される浸透性層10が接触する。これにより、長時間にわたって薬剤を患部上に留めておくことができ、患部に対する薬剤の作用を効果的に発揮させることができる。さらに、痒み緩和シート1には、冷感作用を有する冷感層30が設けられている。かかる冷感作用により、痒みを感じにくくすることができる。したがって、痒みの緩和効果に優れた痒み緩和シート1が実現されている。
【0019】
上述のように、痒み緩和シート1で覆われた状態では、患部を掻くことができない。このため、痒み緩和シート1は、子どもの虫刺されに対して特に有用である。また、薬剤が塗布された部位が痒み緩和シート1で覆われるため、薬剤が服や下着等に付着するのを防ぐこともできる。さらに、冷感作用により、痒みだけでなく痛みも緩和することができる。それゆえ、痒み緩和シート1は、痛み緩和シートとしても使用することが可能である。
【0020】
浸透性層10上に非浸透性層20が設けられている。このため、浸透性層10に含浸された薬剤が浸透性層10の上面から漏出するのを防ぐことができる。これにより、薬剤を無駄なく患部に作用させることができる。
【0021】
浸透性層10は、肌に対して粘着性を有していない。この場合、浸透性層10においては、粘着剤が不要となる。このため、粘着剤と薬剤との相互作用により各々の機能が低下する事態を回避することができる。ただし、浸透性層10は、肌に対して粘着性を有していてもよい。
【0022】
浸透性層10に薬剤が予め含浸されている場合、薬剤と痒み緩和シート1とを別々に持ち歩かなくても、外出先で痒み緩和シート1を使用することができる。このため、痒み緩和シート1の利便性が向上する。
【0023】
浸透性層10の下面上には、保護層40が設けられている。これにより、使用前に浸透性層10の下面が汚損するのを防ぐことができる。また、浸透性層10に薬剤が予め含浸されている場合には、当該薬剤が浸透性層10の下面から漏出するのを防ぐことができる。ただし、保護層40を設けることは、必須でない。
【0024】
非浸透性層20がフィルムからなる場合、非浸透性層20の厚みを小さくしやすい。非浸透性層20の厚みを小さくすることにより、冷感層30の冷感作用が患部まで伝わりやすくなる。かかる観点から、フィルムの厚みは、0.5mm未満であることが好ましく、0.25mm未満であることがより好ましい。
【0025】
非浸透性層20を構成するフィルムは、通気性を有している。これにより、冷感層30の冷感作用が患部まで一層伝わりやすくなる。
【0026】
非浸透性層20を構成するフィルムには、孔22が形成されている。これにより、非浸透性層20の通気性を高めることができる。特に孔22は、複数形成されている。これにより、非浸透性層20の通気性を一層高めることができる。また、複数の孔22が非浸透性層20の略全面にわたって形成されているため、非浸透性層20の広範囲において通気性を高めることができる。
【0027】
冷感層30上には、防水層50が設けられている。これにより、痒み緩和シート1の内部に水分が浸入するのを防ぐことができる。ただし、防水層50を設けることは、必須でない。
(第2実施形態)
【0028】
図5は、本発明による痒み緩和シートの第2実施形態を示す断面図である。また、図6は、図5の痒み緩和シートを示す平面図である。痒み緩和シート2は、痒みが生じた患部を覆う痒み緩和シートであって、浸透性層10、非浸透性層20、冷感層30、保護層40、及び防水層50を備えている。
【0029】
本実施形態において防水層50は、平面視で、浸透性層10、非浸透性層20及び冷感層30の何れよりも大きい。図6からわかるように、平面視で、防水層50の周囲全体が、浸透性層10、非浸透性層20及び冷感層30の全てから食み出している。防水層50における平面視で浸透性層10、非浸透性層20及び冷感層30の何れとも重ならない領域(図6において斜線が付された領域)は、肌に対して粘着性を有している。例えば、上記領域の下面に粘着剤を塗布することにより、当該領域に粘着性をもたせることができる。痒み緩和シート2のその他の構成は、痒み緩和シート1と同様である。
【0030】
痒み緩和シート2を使用するには、図7に示すように、保護層40を剥離した上で、浸透性層10の下面が患部90及びその周辺の肌に接触するようにして、痒み緩和シート2で患部90を覆えばよい。このとき、防水層50における上記領域を肌に貼着することにより、痒み緩和シート2を患部90に固定することができる。
【0031】
痒み緩和シート2の効果を説明する。防水層50は、平面視で、浸透性層10、非浸透性層20及び冷感層30の何れよりも大きい。このため、浸透性層10,非浸透性層20及び冷感層30の側面を防水層50で覆うことができる。これにより、浸透性層10,非浸透性層20及び冷感層30の側面を通じて痒み緩和シート2の内部に水分が浸入するのを防ぐことができる。
【0032】
平面視で、防水層50の周囲全体が、浸透性層10、非浸透性層20及び冷感層30の全てから食み出している。このため、浸透性層10,20及び冷感層30の側面全体を防水層50で覆うことができる。
【0033】
防水層50における浸透性層10、非浸透性層20及び冷感層30の何れとも重ならない領域は、肌に対して粘着性を有している。これにより、痒み緩和シート2を患部に対して容易に固定することができる。ただし、当該領域が肌に対して粘着性を有することは、必須でない。痒み緩和シート2のその他の効果は、痒み緩和シート1と同様である。
(第3実施形態)
【0034】
図8は、本発明による痒み緩和シートの第3実施形態を示す断面図である。また、図9は、図8の痒み緩和シートを示す平面図である。痒み緩和シート3は、痒みが生じた患部を覆う痒み緩和シートであって、浸透性層10、非浸透性層20、冷感層30、保護層40、及び防水層50を備えている。
【0035】
本実施形態において冷感層30は、平面視で、浸透性層10及び非浸透性層20の何れよりも大きい。図9からわかるように、平面視で、冷感層30の周囲全体が、浸透性層10及び非浸透性層20の双方から食み出している。
【0036】
冷感層30は冷感作用を有する冷感材料を含有するところ、冷感材料は、冷感層30に全体的に含有されていてもよいし、部分的に含有されていてもよい。後者の場合、冷感材料は、冷感層30における平面視で浸透性層10と重なる領域(第1の領域)にのみ含有されていてもよいし、冷感層30における平面視で非浸透性層20と重なる領域(第2の領域)にのみ含有されていてもよい。本実施形態においては、浸透性層10と非浸透性層20とが互いに完全に重なり合っているため、第1の領域と第2の領域とは一致する。あるいは、冷感材料は、冷感層30における平面視で浸透性層10及び非浸透性層20の何れとも重ならない領域(第3の領域)にのみ含有されていてもよい。第3の領域は、図9において斜線が付された環状の領域である。
【0037】
冷感層30における第3の領域は、肌に対して粘着性を有している。第3の領域の下面上には、保護層60(第2の保護層)が設けられている。保護層60は、平面視で第3の領域と同一の形状及び大きさを有しており、第3の領域の下面の全体を覆っている。保護層60は、冷感層30から剥離可能であり、痒み緩和シート3の使用前に冷感層30から剥離される。保護層60は、非浸透性層20と同一の材料からなるとともに、非浸透性層20と同一の厚みを有している。
【0038】
図10は、非浸透性層20及び保護層60を示す平面図である。本実施形態において非浸透性層20及び保護層60は、1枚のフィルムからなっている。当該フィルムにおいて、非浸透性層20と保護層60との境界には、ミシン目等の切取線70が形成されている。痒み緩和シート3のその他の構成は、痒み緩和シート1と同様である。
【0039】
痒み緩和シート3を使用するには、図11に示すように、保護層40及び保護層60を剥離した上で、浸透性層10の下面が患部90及びその周辺の肌に接触するようにして、痒み緩和シート3で患部90を覆えばよい。このとき、冷感層30における第3の領域を肌に貼着することにより、痒み緩和シート3を患部90に固定することができる。
【0040】
痒み緩和シート3の効果を説明する。冷感層30は、平面視で、浸透性層10及び非浸透性層20の何れよりも大きい。このため、浸透性層10及び非浸透性層20の側面を冷感層30で覆うことができる。これにより、非浸透性層20の上面だけでなく浸透性層10及び非浸透性層20の側面も、冷感層30の冷感作用の伝達経路として寄与することになる。このため、冷感層30の冷感作用が患部まで伝わりやすくなる。
【0041】
平面視で、冷感層30の周囲全体が、浸透性層10及び非浸透性層20の双方から食み出している。このため、浸透性層10及び非浸透性層20の側面全体を冷感層30で覆うことができる。
【0042】
冷感材料が冷感層30に部分的に含有されている場合、全体的に含有されている場合に比して、冷感層30の形成コストひいては痒み緩和シート3の製造コストを削減することができる。特に冷感材料が第1又は第2の領域にのみ含有されている場合、肌に直接触れる部分(第3の領域)には冷感材料が含有されていないため、過度の冷たさを肌が感じるのを防ぐことができる。他方、冷感材料が第3の領域にのみ含有されている場合、患部の周辺の肌を通じて冷感層30の冷感作用を患部まで効率良く伝えることができる。
【0043】
冷感層30における第3の領域は、肌に対して粘着性を有している。これにより、痒み緩和シート3を患部に対して容易に固定することができる。ただし、当該領域が肌に対して粘着性を有することは、必須でない。
【0044】
第3の領域の下面上には、保護層60が設けられている。これにより、使用前に冷感層30の下面が汚損するのを防ぐことができる。また、使用前に冷感層30の冷感作用が低下するのを防ぐことができる。
【0045】
保護層60は、非浸透性層20と同一の材料からなるとともに、非浸透性層20と同一の厚みを有している。これにより、非浸透性層20と同一のフィルムによって保護層60を構成することが可能となる。実際、本実施形態において非浸透性層20及び保護層60は、1枚のフィルムからなる。これにより、非浸透性層20と保護層60とを別々に形成する場合に比して、痒み緩和シート3の製造コストを削減することができる。
【0046】
非浸透性層20と保護層60との境界には、切取線70が形成されている。これにより、保護層60を剥離する際、非浸透性層20から保護層60を容易に分離することができる。痒み緩和シート3のその他の効果は、痒み緩和シート1と同様である。
(第4実施形態)
【0047】
図12は、本発明による痒み緩和シートの第4実施形態を示す断面図である。また、図13は、図12の痒み緩和シートを示す平面図である。痒み緩和シート4は、痒みが生じた患部を覆う痒み緩和シートであって、浸透性層10、非浸透性層20、冷感層30、保護層40、防水層50、及び保護層60を備えている。
【0048】
本実施形態において非浸透性層20は、平面視で浸透性層10よりも大きい。図13からわかるように、平面視で、非浸透性層20の周囲全体が、浸透性層10から食み出している。それゆえ、本実施形態においては、冷感層30における平面視で浸透性層10と重なる領域(第1の領域)と、冷感層30における平面視で非浸透性層20と重なる領域(第2の領域)とが一致しない。この場合、上述の冷感材料は、第2の領域のうち第1の領域とは重ならない領域にのみ含有されていてもよい。痒み緩和シート4のその他の構成は、痒み緩和シート3と同様である。
【0049】
痒み緩和シート4を使用するには、図14に示すように、保護層40及び保護層60を剥離した上で、浸透性層10の下面が患部90及びその周辺の肌に接触するようにして、痒み緩和シート4で患部90を覆えばよい。このとき、冷感層30における第3の領域を肌に貼着することにより、痒み緩和シート4を患部90に固定することができる。
【0050】
痒み緩和シート4の効果を説明する。非浸透性層20は、平面視で浸透性層10よりも大きい。このため、浸透性層10の側面を非浸透性層20で覆うことができる。これにより、浸透性層10に含浸された薬剤が浸透性層10の側面から漏出するのを防ぐことができる。
【0051】
平面視で、非浸透性層20の周囲全体が、浸透性層10から食み出している。このため、浸透性層10の側面全体を非浸透性層20で覆うことができる。痒み緩和シート4のその他の効果は、痒み緩和シート3と同様である。
【0052】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、非浸透性層20がフィルムからなる場合を例示した。しかし、非浸透性層20は、薬剤の浸透を防ぐものである限り、不織布等の布地からなっていてもよい。
【0053】
上記実施形態においては、非浸透性層20に複数の孔22が形成された場合を例示した。しかし、非浸透性層20には、1つの孔22のみが形成されていてもよい。また、非浸透性層20には、孔が形成されていなくてもよい。
【0054】
上記実施形態においては、非浸透性層20が通気性を有する場合を例示した。しかし、非浸透性層20は、通気性を有していなくてもよい。
【0055】
上記実施形態においては、非浸透性層20及び保護層60が1枚のフィルムからなる場合を例示した。しかし、非浸透性層20及び保護層60は、別々のフィルムからなっていてもよい。
【0056】
上記実施形態においては、浸透性層10、非浸透性層20及び冷感層30の平面形状が円形である場合を例示した。しかし、これらの平面形状は、任意であり、例えば、楕円形、多角形、星形、ハート形等であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 痒み緩和シート
2 痒み緩和シート
3 痒み緩和シート
4 痒み緩和シート
10 浸透性層
20 非浸透性層
22 孔
30 冷感層
40 保護層(第1の保護層)
50 防水層
60 保護層(第2の保護層)
70 切取線
90 患部
【要約】
痒みの緩和効果に優れた痒み緩和シートを提供する。痒み緩和シート1は、痒みが生じた患部を覆う痒み緩和シートであって、浸透性層10、非浸透性層20、及び冷感層30を備えている。浸透性層10上に非浸透性層20が設けられ、非浸透性層20上に冷感層30が設けられている。浸透性層10は、痒みを抑える薬剤が含浸される層である。非浸透性層20は、薬剤の浸透を防ぐ層である。冷感層30は、冷感作用を有する層である。痒み緩和シート1は、患部に浸透性層10が接触するように、患部を覆う。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14